名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿 作:三柱 努
今日の事件はニセモノ探偵 普通が通用しない町
たった一つの真実隠す。見た目は平気、中身はドキドキ。それは犯人!
俺は麻薬の運び屋をやっている兵頭順治。
同じアパートの住民で、麻薬の件で俺を脅している傳川源祐って男を殺そうと思っている。
よりにもよってこの男、俺の部屋の電話の音がうるさいからって、扉を蹴破って部屋に侵入してそこで麻薬を見つけやがったんだ。
この時点で常識が通用しないだろ。電話の音きっかけで人の部屋に侵入とか。小さな異変があったとしても、ドアの修理代を心配して躊躇するだろ。何か他の理由だったりを考えたり、無視を決め込んだりして放置するだろ。
って話を知り合いにしたら、この町じゃよくあることらしい。何か異変を感じたらすぐにドアを破って突入とか、そこそこ日常の光景らしい。で、実際その扉の向こうには死体があったりするらしい。
というのは置いといて。麻薬見つけて、その所有者を脅すとかアリなの? 普通警戒するでしょ? 自分が殺されるかもしれないってビクビクして、背後に気を付ける生活に陥るでしょ?
って話を知り合いにしたら、この町じゃよくあることらしい。麻薬くらいなら、例えば図書館とかの職場で発見した後で、後ろに館長が立って殺そうとしてきても無防備なまま待機するらしい。危機感が仕事しない町。
とはいってもこの傳川の行動、少なくとも俺の他のアパートの住民基準でもクレイジー。迷惑かけられまくっているからアパートの嫌われ者。そして逆に俺を含めて他の住民同士は仲良くなるくらいに。傳川メンタル鋼すぎだろ。
ということで今回俺はこの仲の良さに便乗して、皆で旅行中にアリバイを作って傳川を殺します。
トリックは簡単。旅行前に傳川を自殺に見せかけて殺して、奴が旅行中に生きているように見せかけるピタゴラ装置を作動しておく。旅行から帰ってきたら理由を付けて傳川の部屋の扉を破って中に入って発見。隙を見てトリックの痕跡を消しておく。これだけ。
そして実行。サクッと殺して、ピタゴラって、死体を発見して。
あとは警察に任せておけば傳川は自殺ってことになってくれる・・・・
「大丈夫! 事件はすぐに解決しますわ!」
その時、俺たちの死体発見の騒ぎを聞きつけて、アパートの大家さんが現場に現れた。
え、大家さん?
「こちらには名探偵の毛利小五郎さんが付いていますから!」
え?
えぇぇ!?
探偵、いるのかよ!
秒で探偵がいた。いや、ミステリードラマとかでも見るけどさ。犯人が旅行先や街で偶然出会った人が探偵だったり警察だったり、って展開。知り合いからも聞いたことがあるけれど、旅行先で探偵と出会って、しかもそこで偶然殺人事件が起きたりすることが、この町じゃ毎日のように聞く話だって。
なんで俺のパターンだけ兆候ないの? 唐突に探偵出てくるの!
って思っていたけれど、意外と毛利小五郎が大人しい。
警察が到着して捜査開始してるけど、今のところあんまりしゃべらない。
そりゃそうか。いくら名探偵とはいえ一般人。警察の捜査に干渉するのは公務執行妨害。探偵が現場に入らないのは普通の光景なんだ。そうさドラマと違うよな。
でもって警察も普通に今回のことを自殺として処理してくれそうな雰囲気。普通普通。
「自殺じゃないと思うよ」
なんか大家さんの知り合いの小学生が何か普通じゃないことを言い始めた。
というかこの子供、普通に死体のそばにいるよな。殺人現場にいるよな。俺たちの死体発見の騒ぎにも普通に真っ先に現れたよな。
そもそもこの子供が鑑識さんのそばに近寄っているのを警官たちも普通にスルーしてるよな。これって証拠になる物を壊す危険性高くないのか? 犯人である俺からしたらむしろ歓迎だけど。
何この普通じゃない光景。いや、この町じゃ普通の光景なのか?
って思っていた矢先、俺に援軍到来。
一緒に旅行に行ったメンバーがスマホで調べてくれたんだよ。
毛利小五郎のこと。本物の毛利小五郎のことな。
なんだ大家さんが言っていた毛利小五郎、ニセモノじゃねぇか。心配して損した。
しかもメンバーたちも旅行の疲れがあるから、早いところ警察の事情聴取から抜けたいってんで「毛利小五郎の推理に従って、俺たちが事件と関係なさそうなら解放してくれ」って警察に交渉できそうな雰囲気になってきたぜ。
もちろん警察も、この毛利小五郎がニセモノだって分かっているから、俺たちの解放を渋っている。だけど俺には仲間がいる。旅行メンバーと息を合わせて論破開始。
警察の都合のいいように俺たちを言いくるめているんじゃないかってな。
いやぁ、人殺ししておいてアレだけど。仲間の団結力っていいな。
「じゃあお望み通り、この毛利小五郎が事件の真相を解き明かしましょう」
なんかニセモノが啖呵を切り始めたぜ。そいつはおもしれぇ。ニセモノのクセに調子ぶっこいて推理ショーなんか始めやがったぜ。
だが所詮はニセモノ。しかも完成度の低い。
何故かって? 毛利小五郎はな、眠りの小五郎って呼ばれているんだよ! 眠っているように推理をすることで有名なんだ。だがニセモノのアンタは普通に起きている。そこの再現度が勝敗の決定的な決め手なんだよ!
って思っていたけど・・・なんか普通に推理が合ってる。咲き乱れている。ズバリ的中俺のトリック。
「となると残るは身に付けていても怪しまれず、最も回収が容易である。兵頭さん、あなたがさっき髪を束ねていた髪止め用の輪ゴムくらいしかないんですよ!」
こうして謎は全て解かれた。
いかがでしたでしょうか? 小五郎さんはいい人。
いやいやいや。小五郎さんじゃないからな。ニセモノだからな。
そうだよ。そのニセモノが俺の敗因。めっちゃシンプルな答え。
ニセモノなのに推理力がブーストしてんだよ。一般市民なのに。いや探偵も一般市民だけどさ。
この町、怖すぎる。住民全てが犯人を根こそぎ解き殺そうとしてくる町だろ。