名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿 作:三柱 努
今日の事件は中学探偵 2人は顔を合わせていない
たった一つの真実隠す。見た目は平気、胸はドキドキ。その名は犯人!
オレはスタントマンの三俣耕介。4年前に先輩を殺した俳優の箕輪奨兵に復讐する。
トリックは奴が4年前に先輩を殺した時と同じものを使うぜ。仇討ちにはピッタリのアイディアだろ。
手順は簡単だ。
足が悪い箕輪の代わりに俺がヤツのスキーウェアを着てファンの子たちの前で滑るっつう身代わりをする約束がある。箕輪はその間スキーバッグの中に隠れて、俺がそのバッグをかついでおく。こうすればだれが見ても俺が箕輪だって見えるのさ。
そのバッグをかついだままスキーリフトに乗るだけで、リフトには箕輪と俺の二人きりなのに周りからはリフトには箕輪だけが乗っているようにみえる。
そのままリフトの上で奴をサクッと殺して、返り血のついたバッグの代わりにあらかじめリフトの近くに待機させておいたバッグを回収して入れ替えるだけで証拠隠滅。
あとは俺自身もリフトから途中で飛び降りて、拳銃の発砲音に似た音が出る花火を途中で打ち上げて、音が鳴った時に俺が犯行現場にいなかったように見せかければアリバイも成立。
リフトは空中の密室だから、箕輪が自殺したってことで処理される。こういうトリックさ。
うん、今回のトリック、箕輪のアイディア丸パクリだから俺の脳味噌あんま使ってないんだけど・・・
怖ッ。え? 箕輪おまえ俳優だよな? こんな手の込んだ殺し方を自分だけで考えたの? 怖ッ! 普通に引くわ。まぁこれだけ上出来なトリックなら、おかげで実行するオレ自身も安心できるけど。
こんな殺しの才能のあるヤツと今まで一緒に仕事していたと思うと、やっぱ怖ッ。
ということでいよいよ本番だ。シーズンってこともあって、周りはスキー客がたくさん。
だがまぁ大丈夫だろう。むしろオレのアリバイ証明のためには他に客がたくさんいるほうが好都合。よっぽど変な客でもいない限り大丈夫。
そう。よほど探偵でもいない限りな。
なんて思っていたら・・・先輩が死んだ事件を捜査していた刑事さんが、探偵になって俺たちの前に現れた。あれは自殺じゃない、殺人だって。
探偵、いるのかよ! まぁこの探偵は先輩の事件の謎も解けなかった人だから脅威じゃないけどさ。
そういえばさっきもいたなぁ。先輩の事件が殺人だったら不可能犯罪だっていうオレたちの話に口を挟んできた中学生。
「アホか! 人間がやったから犯罪ちゅうんじゃ! それに不可能なモンがあるかっちゅうねん! ボケェ!」
また出た。今度は関西弁の中学生。
これでこのスキー場には、今日オレが使うトリックで自殺じゃなくて殺人だって言い出しそうな人間が3人いるってことか。まぁそのうち2人は中学生だし問題なし。
さて実行に移るか。
まずは箕輪をスキーバッグに詰めて、オレはリフトで上に登ってからスキーでファンの子たちの前まで滑る。
バッグをかついだらリフトに乗車。
サクッと殺したらリフトから降りて、花火をセットして滑るだけ。
さてそろそろ花火が鳴るってタイミングで同僚のメイク担当の人と遭遇。タイミング最高。これでオレとメイクさんは互いにアリバイ証言できる。
そしてメイクさんと一緒にリフトで上まで行って、案の定箕輪が死んだことで騒ぎになって警察も到着しているところに合流。
全て予定通り。あと警察の到着めっちゃ早い。
なんてことを思っていたら、なんか急にさっきの関西弁の中学生が出現。
「なるほど、つまりや。箕輪さんの前にリフトに乗っとった大山監督にも。後ろに乗っとった片品さんにも。下りのリフトでスレ違うた立石さんにも。ゲレンデにおった三俣さんにも、箕輪さんを撃つことは出来たっちゅう事やな」
なにこの中学生。急に事件に口を挟んできた。しかも遺留品の状態も勝手に調べ始めたし。自由すぎるだろ。
しかも、気付いてなかったけど・・・後ろのリフトに探偵いたのかよ! あの時、偶然吹雪いてくれていたからよかったものの・・・射殺の瞬間見られてなくてラッキーだった。ラッキーに救われてた。
「しかし今時の中学生はどいつもこいつも好奇心旺盛だな。いたんだよ。君と全く同じ三点を我々警察に偉そうに指摘した中学生がな」
そんなことを警察が言った後、関西弁の中学生は話に出ていた中学生に対抗心を燃やしている感じで現場から離れていった。青春だな。
でも何だろうその青春、嫌な予感がする。何かこう、足元からゾワゾワと迫られているような。
そう、なんかもっと別の脅威が、オレに迫ってきているような。
まぁ気のせいだよな。きっと大丈夫。今回の敵は例の中学生なんだから。
例えばどこかの都道府県の本部長とか、世界的な推理小説家とか。そういうヤツが中学生の推理に口を挟まない限りは大丈夫。
オレはあと警察の事情聴取が終わったら、証拠品を回収して捨てるだけ・・・
「なんもかんもわかったで。箕輪さんを自殺に見せかけて殺したんが誰かっちゅう事も」
「 」
「「はぁ!?」」
事情聴取の最中、さっきの関西弁の中学生が現れて、とんでもないことを言い始めた。
あと、刑事さんが電話口で何か分からないけれど驚いてた。
そしてそこから咲き乱れる中学生の名推理の数々。
「箕輪さんが入ったバッグ担いでリフトに乗って、まんまと殺しよったんは、箕輪さんのリフトの前にも後ろにも乗ってへんかった、スタントマンの三俣さん…あんたしかおらへんよな?」
「 」
正解。それに何だろう、この子以外の方向からも犯人だって名指しされている気分。
こうして、謎は全て解かれた。
と思っていた矢先、さっきからずっと電話している刑事さんがとんでもないことを言い始めた。
「け、警部! 電話の中学生はどうします? その少年と全く同じ推理を、全く同じタイミングで話していたんですけど。例のペットボトルを今、ここに持ってくると言ってますが」
な、謎は二重で解かれていた。
いかがでしたでしょうか? 服部平次VS工藤新一 ゲレンデの推理対決。
あっ、そうなんですね。いやぁ例の二重で謎を解いて来た中学生の名前、やっとわかりました。
名前も名乗らずに事件を解いた謎の中学生って感じだったので。
いやぁ、敗因はもう言わずもがな。他人のトリックに依存しすぎた事です。
実際、今回このスキー場に一緒に来た監督も、箕輪が4年前に先輩を殺した犯人だって見抜いていて、監督の映画の内容でも今回のトリックを暴いていたらしい。
なるほど、どうやら今回の事件、探偵以外にも警戒するべき人がずっといたってことですね。
そう。あの時感じたオレの足元ゾワゾワ感の正体。それは本部長でも小説家でもない。監督だったんですね。