名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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鏡迷宮の殺人(金田一)

私は大学生の秋元和那。卒業したらアナウンサーになる予定よ。

そのアナウンサー採用試験を妨害して、間接的に私のお父さんを殺した小峰円を殺すつもり。

 

トリックは遊園地のアトラクションの1つ、全ての壁が鏡でできている迷路「鏡迷宮」を使うわ。

ここの迷路、トリックに使いやすい構造上の欠陥があってそれを利用するの。

迷路の一か所だけ。出口付近と入り口付近が壁越しに隣り合っている場所。そしてその壁は天井との間に隙間がある。

しかもその出口側の場所に行くには、一度出口が見える地点を通り過ぎてからじゃないとたどり着けない。だから他のお客さんが間違えて侵入してしまう危険性がほとんどない場所よ。よっぽど目が節穴な人じゃなきゃ、そんな場所に迷い込まない、絶好の殺人ロケーション。

 

うん、アトラクションとして致命的。お客さんが99%迷い込まないエリアなんて、スペースの無駄。施工主が馬鹿! 

でもその施工主のおかげでトリックが生まれたわ。

施工主さん、お子さんはこの私が大切に使わせていただきます。

 

 

とはいえ、迷路はやっぱり迷路。この迷路攻略にトリックの全てがかかっている。

ダンジョンRPG。リアルダンジョンRPG。

ゲームならいいわ。迷路の構造を上から俯瞰して見れるから。

でもここはリアル。それが無い。つまり自分の現在地を把握するには脳内の地図を頼りにするしかない。

難易度高すぎ。

しかもここは迷路は迷路でも鏡迷宮。どこが曲がり角でどこが真っ直ぐの道なのかもわからない。目に見えるのは自分の姿と他のお客さんの姿ばかり。

現在地の把握が難易度HARD!

 

そう。私に求められるのは犯行時にスムーズに迷路を攻略できる経験値。もはや目をつぶっていても迷宮の端から端まで行けるほどの迷路マスタースキル。

どうやってそのスキルを手に入れるかって? 数こなすしかないわよ!

だけどあまり迷路に入りすぎて、この迷路の常連客になっちゃうと従業員さんに顔を覚えられてしまう。

だから私は毎回変装して通い詰めた。

ある時は眼鏡っ子。またある時はロリータファッション。またある時は多羅尾伴内。しかしてその実態は、殺人鬼の私!

 

こうして迷路を完全把握したら準備万端。あとは円を誘って遊園地に遊びに行くだけ。

もちろん2人きりで遊びに行ったら知人で動機のある私が疑われてしまう。だから一緒につるんでいることが多い女友達も一緒に誘って、私以外に容疑者を作っておくわ。

 

 

ということで女4人で来ました遊園地。あとは鏡迷宮に行く約束をして、4人バラバラで行動するように仕向けるだけ。

 

ここよ。女の集団行動志向、読めない。

このトリックの重要なところは、まず私が最初に変装したまま迷宮に入って、次に円が普通に入ってくる。そして私がゴール前で円を待ち伏せて、例のデッドスペースに誘い込んでサクッと殺す。

私の今回のトリックは、一度円を殺してから、もう一度迷宮に入ることでアリバイを確保するの。2周目なのに1周目のふりをして、犯行が不可能な場所に私がいたっていう状況を作り出すため。

 

そう。そのために“順番”が何より大切。私⇒円の順番が狂ったらダメ。もし他の人が円より先に入って来て私と鉢合わせになったら、私のアリバイが崩れてしまう。

頼みは円の迷宮攻略能力! 誰にも先を越されず、鏡の惑わされずに迷宮を通りきる、円の行動知力!

 

 

結果、私は無事に円と遭遇できた! 感謝! 他の客の迷宮攻略能力の低さに感謝!

円をサクッと殺して、私は変装して迷宮から脱出。

変装セットをゴミ箱に捨てて、素顔の状態でもう一度迷宮に突入。

そして例のデッドスペースの壁の向こう、円の死体から一番遠くて一番近い場所に行き、円のフリをして悲鳴を上げて、円の防犯アラームを鳴らして壁の向こうへスローイン。

こうすることで今、円は殺されたばかりという偽装になる。

 

あとは迷宮にいる他の客が容疑者になって、犯行現場から一番遠い場所にいる私は容疑者から外れるの。

 

 

 

な~のに、なのに! 他の客の配置が悪すぎて、円の死体にたどり着くまでに誰かが誰かに必ず鉢合わせになる状況。つまりほぼ全員にアリバイあり。でも犯人は私たちしかいない。

 

こうして謎が出来上がってしまった。

 

 

うわぁ計算外。想定外の事情聴取。

でも私のアリバイは鉄壁。だって私が現場に行くには絶対に誰かに遭遇するっていう状況。

つまり自然と私以外の誰かが共犯で口裏を合わせているとしか考えられないって状況。

そういう状況よね? 

そう。私の最後の武器は状況、それだけよ!

 

 

 

と思っていた矢先に、一緒に迷宮にいた他のお客さんのうちの1人、男子高校生の金田一君が私たちを集め始めたわ。

 

「つまり、犯人は現場から最後尾から向かった秋元和那、アンタだ」

 

まるっきり見抜かれてました。

ゴミ箱にあった私の変装セットが見つかって、そこに指紋が付着していたのが決定的な証拠。

 

 

 

 

こうして、謎は全て解かれた。

 





いかがでしたでしょうか? 鏡迷宮の殺人。

いや私頑張ったでしょ? 迷宮のことだって一生懸命頭に叩き込んで、円が迷宮を攻略できそうな時間も一生懸命見計らって。
運も良かった。

でもトリックに凝りすぎた!


目先のトリックに囚われて、消すべき物的証拠を見誤ってしまった。それが私の敗因ね。













あと言っていい? あの高校生、何?
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