名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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電脳山荘殺人事件(金田一)

私は琢磨ゆり。

元ヤンだった私を更生させてくれた婚約者・榊原先生を殺した奴らに復讐するため、奴らの集まるミステリー・サークル『電脳山荘』のオフ会に参加するわ。

そう、仇は【全て殺す】。それが私の【殺害計画】

 

 

ここで1つ、私は宣言するわよ。

トリックは使わない!

 

えっ? 使えよって?

トリックを使った殺人が日本で1年間に何件起きていると思ってるの?使わない方が正常なのよ。

それに聞いた事ない? 『トリックは、最期はフィジカル』って。最後に体力頼みになるなら、結局は使わないのと変わらないでしょ。

(私にトリックを考える学が無いのが本当の理由とか思った人、残念。更生したヤンキーは、国立大学に入れたのよ。頭イイの私)

第一、今回の標的は全員がミステリーサークルのメンバー。下手にトリックで勝負を挑んだら負ける可能性だってある。最初から相手の土俵で戦わない。それが正解でしょ。

 

 

 

さて、話は戻して、殺す予定の7人を紹介するわ。

一流商社マン【僧正】

一流大学生【乱歩】

一流大学生【スペンサー】

新人女性漫画家【ぱとりしあ】

天才ミュージシャン【シド】

天才医大生【ワトソン】

ちなみに標的の1人【アガサ】は殺害済み。今回私はこのアガサに成りすます。

 

登場人物が多すぎる? 1人ずつ減らしていくから心配しないで。

 

 

 

そして本番当日。ロッジ・シルバーウッドで開催されるオフ会に参加した私。

ちなみに前の日に恋する乙女【スペンサー】から『乱歩と逢引きしたいから、アガサの名前を譲って』って頼まれたわ。どうやら【アガサ】と【乱歩】は付き合っていたみたい。

ネット上で恋人同士? 私にはよく分からないけど。

 

私はとりあえずOKの返事を出しておいたわ。どうせ2人とも殺すから。映画でもよくあるでしょ? 殺す寸前の敵に「死ぬ前にタバコが吸いたい」ってリクエストを叶えさせてあげる。それよ。

ということで、2人には時間をズラしてロッジに来てもらうように伝えてワンナイトを用意しておいたわ。

 

 

一方、私は他のメンバーと初顔合わせ。

ここでの言動は慎重に行かないと、私が偽アガサだとバレてしまう。

相手はミステリーオタク達・・・心配だわ。

そんな不安な私に待っていたのは「アガサさんがこんなに可愛い子だと思わなかった」とべた褒めの嵐。

これが仇たちじゃなかったらなぁ・・・

 

そんな苦痛な時間がしばらく経過。外も猛吹雪になりかけてきたわ。

あとは各々が割り振られたコテージに戻ったら、1人ずつ殺していくだけ。

この調子なら問題なく殺人できそう。オタクたちも鈍感だし。

よっぽど、これから来る【スペンサー】と【乱歩】が、名探偵でもないかぎりはね。

 

 

ピンポーン

 

 

その時、ロッジのチャイムが聴こえてきたわ。

!?

「おっ、噂をすれば影かな?」って、突然の来客に皆は歓迎ムード。

だけど私としては予想外。逢引きのためにスペンサーと乱歩には、もっと遅く来てって言っておいたのに。

 

「いや~、すいませんねぇ。俺ら、スキーしてて迷っちゃったみたいで」

来客は吹雪の中で遭難したスキー客の若いカップルだった。もちろんスペンサーでも乱歩でもない。

 

 

「俺ぇ金田一一っす。で、こいつはその」「友達の七瀬美雪です」

 

皆、この珍客に唖然としていたわ。このカップル、遭難多発地帯を抜けて迷い込んできたんだもの。

すごい幸運。

きっと死神に嫌われているのね。

 

 

それから私たちはしばらく、このカップルを交えてゲームをして過ごして、時間が来たから各々のコテージに分かれたわ。

私だけは彼氏の【乱歩】が来るまでロッジで待機することになったけど、あとで【スペンサー】と交代することになるからすぐにロッジを抜ける。

と、その前に電話線を切っておくわ。警察呼ばれたらアウトでしょ? そのためにね。

にしてもこういう人里離れたキャンプ地で連絡手段遮断するのって、ジェイソンしてるみたいでなんか楽しい。

 

 

さぁ、ここからが本番よ。

まずは【僧正】の所に行ってサクッと殺害。

で、そろそろイチャイチャタイムは止めるようにロッジに電話して、コテージに戻ろうとしてる熱々【スペンサー】をサクッと殺害。

 

正直言うと【スペンサー】とは初対面だから、『本当にこの女の人、スペンサーなのかな?』って思ったけど・・・まぁ間違いないわよね。

だってこの人、金田一くん達と同じように遭難してきた人だったら、こんな薄着なわけがないもの。

大丈夫大丈夫。

 

 

それにしても寒い!

どうしてこんな吹雪の時期に山奥のコテージに泊まろうとするかなぁ?

普通にカラオケでオフ会でもいいじゃない。

殺す側としては、すぐに警察が来ない状況だからありがたいけど・・・やっぱ寒いから全然ありがたくない!

 

 

コテージに私は温かい飲み物を用意。お湯が沸くまでの間に、お電話を3本。

【僧正】が死んでることを皆に知らせて恐怖を煽るために、発見者を3人用意。【ワトソン】と【乱歩】と金田一くんに「【僧正】コテージに来てね」って。もちろん声はパーティー用のボイスチェンジガスを使ってね。じゃなきゃバレちゃう。

えっ? それはトリックじゃないのかって? 

いいえ、ただの工夫よ。

 

 

さて、あとは皆が怖がるまでゆっくりドリンクタイム♪

ん? ところでこのボイスチェンジって、どのくらい続くのかしら?

 

 

 

とうおるるるるるるるる

 

 

 

その時、電話かかってきたわ。

プッ

 

電話は【僧正】の死体を見つけた金田一くんから。皆で集まろうって話になったわ。

う~ん、そうか。そうなっちゃうのかぁ。殺人事件起きたら、皆で集まって身を守る流れになっちゃうのかぁ。仕方ない。

その後、同じく死体を発見した【乱歩】に電話が代わったわ。

 

これいい流れじゃない? 電話口で【乱歩】だけコテージに残るように仕向けることできないかしら・・・

結果:できた!

金田一くん招集のロッジに行く前に、【僧正】コテージに残った【乱歩】をサクッと殺してきたわ。

 

ただ1つ気になるのが、【乱歩】を刺した時に私を見て「ぱとりしあ」って呼んでたわ。

?????何故?

まぁいいや。

 

 

その後、ロッジに集まった生存者たち。私を含めて5人。

金田一くんと【ワトソン】が、【乱歩】がまだ来ていないって言い出して、死体を見つけてきてくれたわ。

【乱歩】は発見時にまだ少し生きていたらしく、死に際に「・・ぱ、と・・・」って言って死んでいったみたい。

 

 

???

 

 

ますます頭にクエスチョンマーク。

でもこの【乱歩】奇行のおかげで(正確には「ぱと」しか言っていなかったみたいだけど)殺人犯の容疑は【ぱとりしあ】に向いてくれているわ。

金田一くんは「ぱとりしあさんが犯人とは断定できない」って言ってたけど、【ワトソン】「他に“ぱと”がつく言葉があるか?」って食い下がって。

あるわよね? 『パトカーで逃げた』とか『パトロール中に刺された』とか。

 

(後で判ったことだけど、【乱歩】はオフ会に参加した女性が2人だと認識していて、【スペンサー】を女性だと思ったから、私のことを残る女性の【ぱとりしあ】だと思ったらしいわ)

 

 

 

まぁいずれにせよ、私は疑われず。

しかも【僧正】殺しの時の皆のアリバイを、金田一くんが調べていたみたいで、私にもアリバイありってことになったわ。

 

あるの? 私に・・・

話を聞いてみると、【乱歩】が死ぬ前に事件発生時に【アガサ】と一緒にいたって言ってたそうなの。

・・・・???・・・・!?

入れ替わってたの思い出した。そうだ、イチャイチャタイムをプレゼントするために【スペンサー】と入れ替わってたわ私。

だから私に予期せぬアリバイが生まれていたのよ。

 

え? すごくない この状況? 言いたい! 今すっごい事が起きたって 誰かに言いたい!

しかもこの偶然の産物を金田一くんが「巧妙に仕掛けられたアリバイ工作トリック」って褒めちぎってる。

 

でも、トリックだってなると、私のアリバイが無視されることになっちゃうわけで・・・案の定、【乱歩】殺しのほうのアリバイが無い私とワトソンが疑われることになっちゃったわ。

ぬか喜び!

 

だけど、そこを救ってくれるのが金田一くんの屁理屈。

「この事件は別の角度から見ないと、とんでもないことが起こる気がするんだ。まだこの殺人は続くってことさ」

うん、論点がズレてる。金田一くん、たしかに言う通り、私はまだこれからも殺人を続けるつもりよ。でも今、アリバイについて話してたわよね? まぁ助かったからいいけど。

 

 

 

その後、一夜を明かして翌日。

風が無いから吹雪じゃないけど、雪は相変わらず。すっごく寒い。

でもこれは私にとっても好都合。昼間に殺しに回るのは流石に目撃されちゃうから、夜まで皆コテージ付近にいてくれるから。

まぁ途中、【シド】が「殺人犯と一緒の部屋にいられるか!俺は自分のコテージに戻る!」って、私でも聞いた事のあるフラグを吐いて出て行ったりしたけど。特に何事も無くいつの間にか夜・・・

 

ガシャン

夜、突然【シド】が何者かに襲われるハプニング発生!

もちろん私じゃないわよ。

えぇぇぇぇ。誰? 怖いんですけど。まさか本物のジェイソン的な人!? このコテージの人を、全て・殺しに来たってこと!?

(後で判ったことだけど、この時【シド】を襲ったのは【ワトソン】。過去を探られたことに怒っての犯行だそうよ)

 

っていうハプニングだったけど、意外と私に好都合。

ますます「自分の身は自分で守る」ムードになって、皆それぞれコテージに散ってくれたわ。

どうして人ってパニックになると、犯人の為に殺しやすくなってくれるのかしら。逆に怖いわこういう展開。

 

なんてこと気にしないで、【ぱとしりあ】の所に行って毒ガス攻撃!

これで仇は残り2人♪

 

 

って思った矢先・・・ついにその時が来ちゃったわ。

コテージに集まった皆の前で、金田一くんが高らかに宣言したの。

 

 

 

「謎は全て解けた」

 

 

 

金田一くんは【ぱとしりあ】が残したデータを見て、私の婚約者の殺害方法を完璧に解き明かしたそうなの。「あんたら最低だよ」って怒りに声を震わせてね。

その形相にガクブルな【ワトソン】と【シド】。

私としては内心複雑。金田一くんが婚約者の死の真相に辿り着いてくれたのは嬉しいけど、私まで一緒くたにして叱りつけてほしくはないから。

 

この話を皮切りに、急に咲き乱れる“私の犯罪”についての推理。

まるで私の横で見てきたかのように。

 

私の知らなかったことも。

そもそも私の計算外だったことも、まるで私の仕業みたいに。

そして、仇たちが犯した完全犯罪まで全て。

 

 

こうして、謎は全て解かれた。

 

 

 

一応、最後に仇の2人と金田一くんたちを道連れに特攻毒ガスを炸裂させようとしたんだけど・・・

「オッサン!」「剣持警部!」

金田一くんを心配して来てくれていたお巡りさんにアッサリ止められちゃったわ。




いかがでしたでしょうか?
電脳山荘殺人事件

敗因は、やっぱりトリックに頼らなかったのに、トリックが勝手に生まれてしまったことね。
一応、殺し方はパワー頼みのゴリ押しでいったんだけど・・・


あと、私が連行される時に【シド】が謝りに来たわ。自首するって。
でもね、謝るも何も、この事件は終わっていないわ。

だって、匿名で誰かを遊び半分に殺している人や、殺されてる人・・・・
そんな私と同じ状況にいる人は、まだまだたくさんいるんだから。

こんな話をしている今も・・・何処かで誰かが”誰かの暇つぶし”に殺されているのよ
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