御門先生と一般男性が恋愛を始めたようです 作:ヘル・レーベンシュタイン
知ってる方もいるでしょうが、新しく投稿した新作は自分がやってみたかったことの一つで、同時更新していこうかと思います。恋愛系も好きですが、元はバトル系一本だったもので....もちろんこっちを疎かにするつもりはありません。
ひとまず今回はまた御門先生とのイチャイチャ回ですので、どうぞお楽しみください。
祭りの日から数日が経過した。あの後俺達は合流して、そのまま何事もなく帰宅した。ただ、俺自身は御門....涼子さんとの距離を一気に縮めることが出来たため、暫く眠ることはできなかったが。
そして金曜日となり、仕事を終えて帰宅する。そしてご飯を食べながら先週のお祭りでの出来事を思い出す。
(....これ、涼子さんと恋仲って解釈して良いんだよな?)
俺は俺自身にそう問いかける。正直まだ実感できてないことだからだ。涼子さんと出会うまで彼女いない歴史=年齢だった俺が、女性、それも超美人と恋仲になるなんて夢のような話だからだ。だが、これは夢ではない。ちゃんとした現実なのだから、まずは自覚して行動しなければならない。
「とは言え、何をすれば良いものか。うーん....」
そう呟くも何も思い浮かばず悩んでいた時だった。机に落ちていたスマホが震え出す。誰かメッセージが届いた。
「あ、涼子さんから.....え?」
『明日、龍弥さんの自宅に遊びに行っていいかしら?』
涼子さんからそうメッセージが送られ、俺は脳内が一瞬フリーズする。過去に一度涼子さんを自宅に招き入れたことがあるが、あれは突然豪雨でやむを得ずにだった。
だが今回は涼子さん自らが俺の自宅に遊びに来る。所謂お家デートというやつだ。勿論俺としては大歓迎、直ぐにOKの返事をする。
『涼子さんがきてくれるのなら、大歓迎だよ。』
『ありがとう。それじゃあ明日のお昼12時ごろに行くわ、お昼ご飯も作るから、楽しみに待っていてね♪』
なんと手作り料理も振る舞ってくれるようだ。ああ、これが男女の恋愛というものか....俺はそうしみじみと実感した。我ながら俗で単純な男だと思った。だが俗で何が悪い。こちとら生まれて初めての恋愛なのだから、全力で楽しまねば損だ。
「だが、その前にしっかりと整理しないとな。」
俺は自分の部屋を見渡しながらそう呟く。時々軽い掃除をしてるから決して汚い部屋というではない。だが置きっぱなしの漫画やゲーム、床やテレビに埃が被っていたりなど、少し目に入る汚れが見られた。流石に見られると結構恥ずかしい。
食事を終えると俺は部屋の整理と掃除をキッチリと済ませた。例え男といえど、女性を招き入れるなら部屋は清潔にしないとな。
「さて、初めてのお家デートになるのか.....」
はっきり言って、すごく緊張している。重ねて言うが、幾ら一度部屋に入れたと言っても、アレは事故みたいなものだ。今回はデートという目的があってのことだ。祭りの一環で一気に距離を縮めたんだから、涼子さんに男としてとても信頼されてるはずだ。それに、恋人として付き合いも長くなれば、その先も......
「....いかんいかん、あくまで紳士的にだ。変なこと考えるんじゃねぇぞ。」
俺の中で芽生えそうな欲望は抑える。それもまた男らしいとは思うが、その流れに乗せられてはいけない。
そして翌日の昼頃になる。
インターホンの音が部屋に鳴り響き、モニターで確認すると、ドアの前に涼子さんが立っていた。俺はドアを開けて迎え入れる。
「こんにちは、龍弥さん。待たせちゃったかしら?」
「いやいや、涼子さんが来てくれるだけで嬉しいよ。上がって、あまり面白い部屋じゃないだろうけど....」
「ふふ、お邪魔します。キッチン借りるわね。」
「うん、自由に使って良いよ。」
涼子さんは部屋に入ると、真っ直ぐにキッチンへと向かった。そして手に持ってたビニールを置く。中を少しみると、結構野菜が多めだ。やはり医者らしく健康的な料理をするのだろうか。
「そういえば先週大変だったわよ。」
「大変って、何が?」
「お静ちゃん達よ。あの子達ったら、あなたが帰った後とても質問攻めしてきたもの。普段はこういう話題には疎いのに....」
「あー、なるほど.....」
などと涼子さんは何かを料理しながらそう話をしてきた。ティアーユさんもお静ちゃんも女の子だから、そういう話題になんだかんだ興味あるんだろうなぁ。
「逆に闇ちゃんはいつも通りだったわね。まあ、あの子も恋してるしね。」
「へぇ、そうなんだ。同級生の子?」
「ふふ、そこは敢えてノーコメントにするわ。生徒のプライベートはあまり明かせないもの。」
少し意地悪な笑みを浮かべながら、涼子さんはそう言葉を返す。しかし闇ちゃんも恋をしているのか、物静かな子だのに意外に進んでいて驚いた。俺自身学生の頃は自分の事で手一杯だったから恋愛に首を突っ込むことはほとんどできなかった。
「しかしやっぱ保険医って、そういった相談事も受けることがあるんだね。」
「ええ、ほぼ無関係な第三者だからこそ、聞いて欲しい話とかってあるのよ。例え若い学生でも、例外じゃないわ。」
「確かにな....」
その学校の教員らしい口調は、どこか凛々しさを感じた。ちゃんと生徒一人一人と真剣に向き合っているんだなと思えた。
女性ながらもカッコいい、素直にそう敬意を抱いてしまった。
「なんて、堅苦しいことを言ったけど、実際のところは私自身興味もあるから、聞いてしまうのよね。だって、恋する女の子って可愛いでしょ?」
「そういう言葉はよく聞くけど....」
「ええ、恋に夢中な子を見るとね、応援したくなるわ。媚薬とか使って、一線超えてもらったりとかね♪」
「ちょっ、学生に媚薬を使わせるとか!?」
「ふふ、貴方も興味ある?」
「え、遠慮させていただきます....」
小悪魔みたいな笑みを浮かべながら、涼子さんは作った料理を俺の元へと持ってきた。ご飯と味噌汁、そして八宝菜を作った様だ。
しかし媚薬とか勘弁してくれ、ただでさえさっき紳士的な対応するって誓ったんだから....まさかこの料理にも媚薬とか入ってないよな?薬品を使った様子はなかったけど....
「もう、顔に出てるわよ。料理媚薬は使ってないから安心して頂戴。新鮮な野菜を使った八宝菜よ。」
「え、顔に出てた!?ご、ごめんなさい折角作ってもらったのに.....それじゃ、頂きます。」
「ええ、どうぞ召し上がれ♪」
俺は八宝菜を口に含みつつ、苦笑を浮かべながらそう返した。涼子さんの作ったご飯はとてもヘルシーで箸が止まらないほど美味しい。爽やかな風味で実に口に運びやすい。
「うん、とても美味しいよ。」
「そう....それなら良かったわ。」
少し照れ臭そうに、涼子さんは微笑みながらそう言葉を返した。そして窓の景色を見ながら、御門さんはポツリと呟いた。
「.....毎日こんな風に、楽しく穏やかに過ごしたいわね.....」
俺は言葉に出さないながらも、心の中で同意していた。涼子さんと毎日そんな風に過ごせるなら、それ以上の幸せはないと思えたのだから。