御門先生と一般男性が恋愛を始めたようです 作:ヘル・レーベンシュタイン
別作品の執筆ばかり集中してすみませんでした。どうにもイメージが中々思い浮かばなかったもので……これをきっかけに更新ペースを可能な限り上げていきたいものです。仕事とか色々あって難しいかもしれませんが。
ある日、俺が仕事を終えて本屋に行った時だった。
(お、あの漫画新刊出てたんだな。web版で更新のたび見てるけど、おまけ漫画が気になってつい買ってしまうんだよな。折角だし、買って家でじっくり読むか……ん?)
そう考えながら漫画の新刊を手に取り、レジへ持っていこうと思ったその時だった。
「ふひ、ふひひひひ……」
「………」
そのあまりに衝撃的な光景に、俺は一瞬にして頭の中が真っ白になった。何故ならレジから少し離れたアダルト雑誌コーナーに、メタボ体型でどこぞの国の総統閣下風なチョビ髭、そして全裸の中年男性が鼻息を荒げながらエロ本を読んでいたのだから。
俺は男がエロ本読むのは悪い事じゃないと思ってるし、何歳になっても男性にはガキンチョみたいなバカをやりたくなることも、まあ分かるつもりだ。けど全裸で、尚且つ公共の場所でエロ本を読むのは流石にアウト。どうやっても援護しようがない。
「……もしもし、警察ですか?」
無心な状態のまま俺はスマホを取り出し、そして110番を選んだ後、電話に出た人に向かってそういった。
そして数分後、例の男は警察に連行された。その後に警察の人に事情聴取されたが、どうやらあの人は涼子さんの学校の校長らしい。その変人さは聞いていたが、それを直にお目にかかるなんて夢にも思ってなかった。
(いつかあの学校、廃校になったりしないよな?)
俺はそう心配せずにはいられなかった。まあ、涼子さんの場合なら仮に学校がなくなっても宇宙人専門の医者としてやっていけるだろうけど……と考えていると、先の方が何やら騒がしかった。
「何だ?妙に騒がしいような……」
「うわあぁぁぁっ!た、助けてくれぇぇッ!!」
「な、なんだあの学生は!?」
「アダっ!?」
「コケた!?」
学生服を着た少年が、必死の形相でこちらの方へと疾走してきて、そして俺の目の前で転倒した。あまりに急な出来事で俺は思わず歩みを止めて身構えてしまった。そしたら今度は、少年の後ろから見覚えのある人物が近付いてきた。
「結城、リト……またやってくれましたねッ!」
なんと、金色の闇ちゃんが、何やら顔を赤らめつつ、特徴的な金髪を巨大な拳に変形させながら接近してきた。あれ?もしかして俺、巻き込まれるのでは?そう考えた瞬間、物凄い悪寒が全身を巡る。しかしそれをどうにか抑えて、いつも通りの雰囲気を可能な限り出しながら声をかけた。
「こ、こんにちは闇ちゃん……物凄い剣幕だけど何かあったの?」
「……貴方には関係ありません、そこの結城リトに用があります。」
「ほ、本当にごめんなさい!わ、ワザとじゃ……」
「……もうそのセリフは、聞き飽きました。」
(……なんだ?何か違和感が……)
少年は結城リト、という名前らしい。どうやら闇ちゃんと顔見知りのようだが、何かトラブルがあったようだ。しかし不思議と闇ちゃんからは怒りは感じても『殺意』は感じられなかった。
俺は前に涼子さんの家で寝泊まりして、つい隠れてしまった時があった。戦闘に関してはど素人な俺ですら、その時の闇ちゃんからは明確な殺意と敵意を感じたことがあるし今でも覚えている。だが今の闇ちゃんからはどうにもそれを感じられない。そこに一抹の不安と疑問が絡み合って、ますます関心を引き立てる。つい俺は2人の間を割って入ろうとしてしまったが、それが最悪な一手へと進めてしまうとは、俺は夢にも思わなかった。
「ま、まあ2人とも落ち着こうよ。とりあえず何があったのか俺に聞かせ……」
「ッ!だから、貴方には関係ないと……」
「お、おい闇!やめ……」
「……え?」
すると闇ちゃんは声を荒げながら俺を拒絶しようと、物凄い剣幕で俺の方へと向き合った。それをまずいと感じたのか、リトくんは急いで立ち上がって闇ちゃんを止めようとする。その時、偶然にも俺の持ってた鞄の隙間から紙が一枚飛び出してしまい、そして奇跡のようなタイミングでリトくんの足元へと滑り込み、踏んでしまった。
「なっ!?」
「きゃっ!?」
「だぁっ!?」
その結果、足を滑らせてしまった彼は闇ちゃんと俺に衝突してしまった。俺は腹に強い衝撃を受け、しりもちをしてしまった。
「いたた……って、2人ともだいじょ……」
そして俺は例の校長に続き、再び衝撃的な光景を目の当たりにした。それはもう、言葉にすることも憚れるような……
「あっ……」
「うっ……」
端的にいうのならば、転んだ拍子に結城リトくんが闇ちゃんに絡まってしまった。それも、いくら転倒したからといってそんなエロい風になる?と思えるほどの。俺自身多少アダルトチックな知識はあるが、それでもなかなか刺激の強い光景だ。
「うわぁ、ご、ごめんなさいィッ!?」
「結城、リト……貴方って人はッ!」
「や、闇ちゃん落ち着いて!俺も謝るから!」
瞬間、リトくんが闇ちゃんから離れるが時すでに遅し。闇ちゃんの全身から怒気が溢れていた。俺はどうにか彼女を落ち着かせようとそういうが、焼け石に水というやつだ。
彼女が俺を拒絶したのも、おそらくこうなることを考慮してたからだろう。しかし結果としてこうなったのだから、仕方ない。だがしかしこの状況、どうしたらいいのか……
「貴方達、何やってるの?」
その時、俺の背後から聞きなれた声が聞こえた。そこには涼子さんが少し驚いた表情で俺たちを見ていた。
暫くして、俺たちは涼子さんの自宅へと移動した。
「すみません、騒ぎを大きくしてしまいました……」
「まあ、あんな目に遭えば冷静さも失うよね……」
移動している間に闇ちゃんは落ち着いたのか、闇ちゃんは申し訳無さそうにそう言った。ちなみにリトくんは涼子さんの検査を受けている。一体何の検査なのかわからないが……そう考えていると、涼子さんが入ってきた。
「涼子さん、なんの検査をしてたの?リトくんって何か持病でも?」
「ええ、健康面では至って普通だけど、ちょっと彼の場合特殊でね……」
「特殊……あっ」
「……」
その時俺は思い出した、俺を突き飛ばして不自然に闇ちゃんと絡まったあの現象を。闇ちゃんも思い出したのか、顔を少し赤らめていた。
「……やはり貴方も見たのね。」
「た、確かに色々とおかしいと思ったけど……あれが?」
「ええ……私はこの現象を『ハレンチスパイラル』と名付けてるわ。過去に色々と手を施したけど、解決することはなかったわ……」
(な、なんて名前だ……)
リトくんの体質の名前を聞いて、俺はそう思わずにいられなかった。まるで必殺技のような名前だが、発生する現象がアレななのだから。
だがその時、俺はある事を思いついた。
「過去に色々と手を施したって言ったけど、もしかして涼子さんが?」
「あっ……え、ええまあ……お察しの通りよ。重ねていうけど、解決しなかったわ。」
「ああいや、別段怒ってるとかそういうわけじゃないよ。ただ、確認したかっただけで……」
「ごめんなさい、助かるわ……」
涼子さんの顔が少し赤くなっていた。やはり予想の通り、涼子さんも『ハレンチスパイラル』とやらに巻き込まれたようだ。確かに彼女と恋人関係の男として、感じるところはある。だがその時には俺と出会ってなかったわけだし、涼子さんだって元々善意で問題解決に挑んだはずだし、俺だってそれを尊重したい。
そしてリトくんだって悪意を元にハレンチスパイラルとやらを起こしてるわけじゃない。これらの点を踏まえて、この件について俺が怒りを示すようなことはしない事にした。
「寧ろ、俺が出来ることって何かあるのかな?」
「……そうね、歳上の男性として彼と色々話してみると良いかもしれないわ。思えば、彼の周りに同性の知人が少なかった気がするし。」
「え、リトくんの人間関係ってそんなに女性ばかりなのか?」
「別に同性の知人や友人皆無って訳じゃないらしいけど……そうね、女性の比率が多そうなイメージだわ。」
「一応猿山というお友達もいるみたいですけど、彼もエッチな感じのする人でした。」
それはまた何とも世の男達から恨まれそうな人間関係だ……だけど出会って数分の関係だが、人柄自体は決して悪く無さそうな人物だと思う。ひとまず話してみない事にはわからないな。
「了解、ひとまずちょっとだけ話してみるよ。」
「ええ、お願いね。」
俺は涼子さんに頷き返して、リトくんのいる部屋へと入っていった。
というんけで、原作主人公であるリトとの初接触です。66話の出来事をどう落とし込むか悩みましたが、大体こんな感じですね。
原作のテーマである、誰も不幸にならないというスタンスは必ず守りたいと思ってるので、これがベストかなと思いました。