御門先生と一般男性が恋愛を始めたようです 作:ヘル・レーベンシュタイン
部屋に入ると、リトくんがベッドの上に座っていた。俺は彼の元へと近づき声をかける。
「やあ、リトくんだったかな?気分はどうだい。」
「あ、どうも……はい、特に問題はないですよ。えっと……」
「俺の名前か?藤田龍弥だ、気軽に龍弥って呼んでくれ。」
「は、はい……わかりました、龍弥さん。俺の名前は結城リトです、どうぞよろしくお願いします。」
「うん、よろしくリトくん。それで……」
こうして俺はリトくんの身の回りの話について、世間話をするように聞いていった。そして話しているうちに、俺にとって衝撃の真実を知ることとなる。
「な、父親があの漫画家の結城才培先生なのか!?」
「いやぁははは……そんなに驚かなくても。」
「な、なんというか……図々しく話しかけて、すみません。」
「いやいやとんでもない!別にそんな親父を盾に鼻に掛けるつもりないし!」
「す、すまん……あまりの事実に動揺してしまった。」
事実いまだに心臓がドクドクと鳴っている。だってあの売り手漫画家の結城先生の息子さんがこんな近くにいたなんて思わなかった。とはいえ、涼子さん曰く男友達と接する機会を増やし、彼の持病を抑えることが今回の目的だ。俺はあくまでラフな感じ話を続けていこう。
「ところでさっき闇ちゃんに追いかけられてたけど、君と彼女はもしかしてそういう関係なのか?」
「えっ!?い、いや、闇とはそういう関係じゃ……」
「そうか……じゃあリトくんは、恋愛経験は無いのか?」
「えっ……それは……」
「?」
リトくんは俺のそのセリフを聞いた瞬間、赤くなって固まってしまった。どうやら心当たりがあるようだが……
「……ずっと片想いしてる女の子がいます。」
「そうなんだ、その女の子とは同じ学校?」
「はい、だから何度も告白しようと思ったこともあって……」
「おお、良いじゃないか!その子とは話したことは?」
「何度かあります。結構緊張しますけど……」
どうやら片想いしてる女の子がいて、その子とも何度かお喋りしているようだ。まだ俺はその子のことをちゃんと見てるわけではないが、何度か話せるんなら決して悪い関係ではないだろう。ここまでリトくんと話していて、個人的には誠実でとても良い男の子だから純粋に応援したくなる。
「良いじゃないか、好きな子の事を一途に思えるなんて。いっその事、卒業までに告白したらどうだ?」
「そ、それなんですけど……実は。」
「……どうした?」
「その……同居してる女の子が居まして。」
「……えっ?」
彼のその言葉を聞いた瞬間、頭の中がフリーズした。同居、つまり同じ屋根の下で生活している女の子が居ると。あくまで推測だが、1ヶ月どころではない期間同居しているように感じるのだが……落ち着け、落ち着け俺。俺が慌てたらリトくんまで動揺させてしまう。
「そ、そうか……君は女の子とも同居してるのだな。」
「は、はい……」
「ちなみに、その子も同年代だったりするのか?」
「はい、それに一緒の学校も通ってます……」
「……ちなみにその子とはどんな関係なんだ?」
「その……もの凄く好かれています。」
「マジか……」
もしかしてこれ、俺が思ってる以上に責任の大きな話なのでは?と感じ始めてきた。片想いしてる反面、同居している女の子から好意を寄せられている。男として状況を見るなら、なんとも羨ましいと感じざるを得ない。しかもその上、涼子さんの言ってたハレンチ病とやらを持っているのだから……だが、今の段階では彼の事を十全に理解したわけじゃない。だから安易な意見を言うのは違うだろう。
「……とりあえず、とても大変な状況に置かれてるのは理解したよ。なんと言うか、災難だったな。」
「察してくれて、ありがとうございます。けど、悪いことばかりじゃないですよ。その、同居してる女の子はララって言うんですけど、確かにトラブルに巻き込まれることもあったけど、同時に助けられることだってたくさんありました。そして、そんな俺を必要としてくれてるから、大変かもしれないけど、苦しいとは思わないですよ。」
「……そうか、それなら良かったよ。」
その言葉を聞いて、俺は思わず感心した。まだ学生であろうに今の状況を逃げ出そうとせず、寧ろ寛容さと誠実さを持って向き合っていた。
「龍弥さんと話していたら、少し気も楽になった気もします。ありがとうございます。」
「それなら良かったよ、君からも色々貴重な話も聞けたしね。」
「あはは……そういえば、龍弥さんは恋人いるんですか?」
「え?あー……うん、いるよ。多分、君も知ってる人。」
「知ってる人?あっ……もしかして、御門先生!?」
「その通り。」
照れ隠しに誤魔化そうと思ったが、流石にそれは彼に対して不誠実だと思って明かした。思えば同年代ではないとはいえ、同姓相手にこの様な色事の話をするのは初めてで、なんだか照れくさかった。
「そ、そうか……御門先生に彼氏出来てたんだ。しかし龍弥さんもすごい、あんな綺麗な人をパートナーにできるなんて。」
「正直俺も身に余るなと思ってるが、そんな俺を彼女が受け入れてくれた。だから俺も、相応しくあるよう色々頑張ろうと思ってるよ。」
「そうなんですね、俺も影ながら応援してますよ!」
「あはは、ありがとう」
リトくんにそう言われて、俺も少し心が満たされた気がした。こうやって男同士で気楽に話せるのも、実に良いものだ。
「しかし驚いたな。俺たちが知らない間にそこまで進んでたなんて。ララ達が聞いたらどうなるんだろう……」
「ララって、もしかして同居してる女の子の名前?」
「あ、はいそうです。」
なんだか名前からして外国の女の子っぽいな。もしかしてホームステイとかそんな関係で知り合ったのか?リトくんが英語が上手いのか、それともララって子が日本語に長けているのか、そのどちらかかもしれないな。その辺り聞いてみるか。
「そのララって子とはどう知り合ったんだ。もしかして結城先生の人脈?」
「あ、いやそれがなんですけど……あの笑わないで聞いて欲しいんですけど。」
「なんだろう?」
「ララは、宇宙人なんです……しかも、とある星の王女でして。」
「あっ……なるほど。」
俺は彼のセリフでなんとなく察した。どうやら思ってた以上にハードな事情だったようだ。詳しい経緯は知らないものの、何かしらの事情でララという異星の王女がリトくんの自宅に訪れ、そして実生活や学生生活もしていくようになった。そして同居していくうちに、王女が彼に恋意を抱くようになったのだろう。
加えて王女もまた生活させてもらってる恩返しとして、リトくんへ何かしらの形で恩返しをしている。そんな彼女見て、リトくんも女性として意識するようになった、というところだろう。しかも相手は異星の王女、一般人が安易に断れるはずもなく……こんな恋愛の板挟み、普通の人なら耐えられないだろうに。しかも彼の場合ハレンチ病とやらもが暴走して、それに王女も巻き込まれるであろうと考えると、非常に心苦しい。そう考えてると、リトくんの口が開く。
「あはは、すみませんこんな話をして……いきなりすぎて飲み込むのなんて無理ですよね。」
「……いいや、そんな事はないよ。俺も涼子さんが宇宙人だと聞いた時は驚いたけど、それでも好きだという気持ちが無くなることはなかった。」
「えっ、という事は宇宙人の存在も?」
「ああ、受け入れることにしたよ。と言っても、見た目がほとんど人間と変わりない涼子さんや、闇ちゃん達としか会ったことないんだけどね……」
俺が苦笑しながらそう応えると、リトくんの表情もだいぶ解れて明るくなっていった。
「それなら安心しました、一般の人にこう言った話受け入れらるかどうかやっぱ不安で……」
「まあそりゃ、脈略も無くいきなり突きつけられたら驚くだろうけどさ。俺の場合は、好きな人が実は宇宙人だったからね。」
「学校では御門先生そういった話一切してる様子はなかったですね。まあ、話したら色々と騒ぎになるだろうし……」
「やっぱ、男子生徒の人気は高いの?」
「ま、まあそれなりに……」
まあ、あんなスタイル抜群の美人保健医を、思春期真っ盛りな男子生徒が注目しないわけないよな。俺も学生なら目が奪われるだろうし……とはいえ、色々と複雑な心境になるが、ここはグッと堪えよう。
「さて、そろそろ良い時間だし戻ろうか?」
「あ、そうですね。俺もそろそろ家に帰らないと。」
「さっきも言ったけど、悩み事があるなら遠慮なく連絡してくれ。話くらいなら聞くからさ。」
「ありがとうございます。俺の方も龍弥さんと気兼ねなくお話しできればなと思います。」
「ああ、色々と相談に乗ってくれると俺も嬉しいよ。」
俺とリトくんは、そんな感じで話をしながら部屋から出たのであった。
こんな感じで、原作リトさんとまったりと話す回でした。一般人視点で見れば、リトってこんな感じに見えるんじゃないかなーと思いながら書きました。正直常人であればプレッシャーに押し潰されそうだなと思って(笑)
次回から、またToLoveらしい日常のストーリーを展開していこうかなと思います。