御門先生と一般男性が恋愛を始めたようです 作:ヘル・レーベンシュタイン
「おはよう、藤田さん。」
「おはよう、御門さん。」
翌朝、俺達は何気なく挨拶をした。もちろん俺は夜中の出来事は覚えているが、普段通りの振る舞いを意識している。
「もうすぐ朝ごはん出来るから待っててね。」
「まさかそこまでしてもらえるとは....なんだか申し訳ない。」
「気にしないで。呼んだのは私だし、お酒を飲ましてそのまま返すわけにもいかないもの。」
そう言って御門さんはエプロン姿になり台所へと入っていった。話していた内容もそうだが、御門さんのエプロン姿がとても新鮮だった。
(凄い可愛いし、なんだか新婚のお嫁さんみたいだったな....)
「....おはようございます。」
「あ、おはよう闇ちゃん。」
などと見惚れていると、闇ちゃんが少し眠たそうな顔をしながら現れた。夜での出来事を思い出してまうが、顔に出さないようにする。
「昨日はかなりアルコールを摂取して眠っていたようですね。体調はいかがですか?」
「そうだね、正直頭を重く感じるよ。朝ごはん食べたら、少し外を歩こうかなって。」
「....そうですか、私は貴方が吐き気に耐えきれずトイレから出られない状態になるのではと思っていました。」
「そ、そうならないようにちゃんと調整して飲んでいるよ。」
俺はそう苦笑しながら闇ちゃんに返事を返してた。まさか彼女からそのような話を仕掛けてくるとは思わなかった。すると、目の前に料理が並べられていく。
「おはよう闇ちゃん、昨日はありがとうね。」
「いいえ、ドクターが無事なら何よりです。」
「ええ、ちゃんとぐっすりと眠れたわ。」
二人はそんなふうに他愛のない会話をしていく。俺は最初は会話を合わせようとしたが、あえて黙っておく事にした。下手に突っ込むと闇ちゃんに鋭く突っ込まれそうな気がしたからだ。
「そういえば、ティアーユはまだ寝ているの?」
「ええ、彼女もお酒を飲んでいましたからね。とはいえそろそろ起きてくるでしょう。」
闇ちゃんはそう言いながらパンにバターを塗り、流れるようにあっさりと食べ終えた。そしてテーブルから立ち上がった。
「あら、もう行くの?これだけで大丈夫?」
「はい、今日は新刊の発売日なので本屋で読みに行こうかと。残ったものは藤田さんが食べてください。では....」
そう言い残して闇ちゃんは外へと出て行った。まだ朝早いのに空いている本屋があるのだろうか、と疑問に感じたが気にしない事にする。
「えっと、ごめん藤田さん。闇ちゃんの残した分食べれそう?」
「うん、大丈夫だよ。」
俺は朝はそこまで食べない方だが、そこまで多くない量だからそこまで問題ではない。寧ろ昨日のことを深く突っ込まれないだけ幸いだろう。
「全くあの子ったら....急なんだから。」
「ははは、深く聞いてこなかったから俺としてはホッとしたけど.....」
「ふふ、それもそうね。それにしても昨日といいあの子たちと仲良くやってくれてるようで良かった。」
「え、闇ちゃんたちとのこと?まだ親しく話せてる気はしないけど....」
「ちゃんと自然と会話できてるわよ。闇ちゃんは警戒心が強くて仲良く出来るかわからなかったけど、その様子なら安心したわ。自宅に招待した甲斐があったというものよ。」
御門さんがそう微笑みながら言う。確かにお互い嫌々ながら話をしていた様子もないし、ある程度の信頼は得られたのかもしれない。まだ警戒心のほうが強いかもしれないが....
「そういえば、近いうちにお祭りがあるみたいね。」
「え、そうなんだ。もうそんな時期なんだな....」
「よかったら一緒に行かない?ティアーユ達とも一緒にね。」
「そうだね、良いと思う。」
「ふぁ、おはようミカド....」
「おはようございます、御門先生!」
「おはようティアーユ、お静ちゃん。丁度良かったわ、今ね....」
などとこんな調子で俺たちは朝食を食べ終えた。二人からはOKの返事をもらい、後は闇ちゃんに聞くだけだ。
「はいよ、毎度あり!」
「....つい気まずく飛び出してしまいました。鯛焼きでも食べて忘れますか。」
一方で外に出た闇は鯛焼きを買い込み、食べながら街を歩いていた。同時に彼女は頭の中を思考で巡らせる。。
(確かにあの場で感じた男性の香りは彼のものでした。ですが、特にドクターに対して何かハレンチな事や害を与えた様子もないので本当に無害な男だったのですね.....警戒していた私がまるで馬鹿みたいでした。)
胸の中では巣に落ちない感情が湧きつつも、闇はひとまずそう結論付けた。しかしまだ警戒の種はあるのか、険しい表情を浮かびあげる。
(ですがまだ安心できませんね。いくら大人といえど、もしかしたら結城リトみたいに物理法則を無視したハレンチ行為を成してしまうかもしれません。もしそうだったら....流石のドクターも、そんなことが毎日起きたら大変です。)
曰くハレンチスパイラル。彼女の脳裏に浮かび上がった結城リトは、その物理を無視した不思議な現象で彼女達を困らせてきた。リトには悪意は決してなく、寧ろリト本人にとっても、悩みの種となっているのだ。
「....考えても仕方ありませんね。ひとまず今は様子見ということで、今後は彼の行動をしっかりと注目しておきましょう。」
そう呟きながら闇は帰路へと歩いていった。その後、御門に祭りのことを聞かれると参加すると返事した。