今日も学校には行かず………と、言いたいところだが…今日は土曜日。
学校自体は無い…が。
(同好会のみんな…集まってんだろうな…)
一瞬、みんなの顔が目に浮かんだが…直ぐに考えるのをやめた。
(…はぁ…なんか気が進まない…)
まだ家に一人の時間は長いし…テレビも…見る気ないな…
携帯も…みんなからの連絡を見ると…やるせない気持ちになるし…。
(…シャワーでも浴びよ…)
そう思って立ち上がった時だった。
ピンポーーーーーーン
「…誰だ……?」
心当たりもなく、出るつもりもなかったので無視をすることにした。
…しかし。
ピンポーーーーーーン
「2回目…歩夢じゃないようだな…」
あいつなら一回やって出なかったら諦めるもんな…。
「………はい」
栞子「三船です」
「栞子…なんで…」
栞子「…中に入れさせて貰えないでしょうか?」
「…………………………………」
俺はただ、無言でドアの施錠を解除した。
「…………」
栞子「失礼します」
俺の様子を見て特に何も言うことなく…栞子は家の中に入ってきた。
「…誰から…聞いた…」
栞子「優木さんからです」
「…しまった」
栞子「…その件につきましては…不問に致しましょう
優木さんのご家庭の問題も関係しているので」
そう言って机の上にガサガサと物を置いた栞子。
栞子「…あまり、食べてないようなので…お節介ですが、色々買ってきました…差し入れです」
「…そんな、気を使うなよ…」
栞子「まだ、分からないのですか…」
「…えっ?」
栞子「あなたがそんな様子だと…こちらも調子も狂うんですよ…
あなたは…私も優木さんも認めた生徒会長補佐であり…スクールアイドル同好会の部長なんですよ…っ!
もっと胸を張って…堂々としてください!」
「……なんだよ、急に来たと思ったら…説教かよ…」
栞子「ち、違います!これは…っ」
「俺だって…そんなことくらい…分かってるよ…!
でも…でも、俺は無力だった…!
なんにもしてやれなかった…詰めが甘いから…こんなことに…っ!」
悔しくて拳を握り締める。
俺だってスクールアイドルが好きだ、スクールアイドル同好会のみんなが好きだ。
…でも、こんな姿じゃ…。
栞子「…大嫌い…ですか?」
「……っ!!!」
栞子「…その言葉が…更にマイナスの思考に拍車をかけてたのですね…」
「そ、んな、こと…っ…」
栞子「…同好会の皆さんの…今の状況…知ってますか?」
「………………………」
静かに俺は首を横に振った。
知らなきゃ…と思いつつも…遠ざけていた自分がいたからだ。
栞子「無理もありませんね、連絡入れても見てないようですし
…今、同好会の皆さんは…峻さんに余計な事するなと怒られたりしても構わない…だから、私たちにできるボランティア希望者を集めようと頑張って各方面の方々に話をしています」
「………………ほら、やっぱり俺が役立たずだから…」
栞子「そうではありません、皆さん貴方の事が大好きだから…できる行動なんじゃないんですか?」
「………………………」
栞子「…まぁ…こんなことしている私も例外ではありませんが…」
そう言って自虐的に笑う栞子。
そして、優しく俺の事を抱きしめた。
栞子「…ゆっくり…自分のなりの考えと答えで結構です…
ですが、貴方は1人ではありません…月曜日、学園で待ってますよ」
「…………………栞子…」
そう言うと栞子は家の後にした。
「………………俺は…」
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【栞子 視点】
「……あとは…貴方が決めることです…峻さん」
閉まるドアを目で確認し…そう呟いた私。
「…さて…次、は……」
そのまま…歩き始めた方向は…迷うことなく隣の家へと向かった。
「上原さんのご自宅でしょうか?…私、虹ヶ咲学園生徒会長の三船と言います…実は、上原さんにお話があり…」
こうして、私は上原さんの家に上がらせてもらった。
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歩夢「し、栞子ちゃんっ!?…な、なんでうちに…っ!?」
栞子「お見舞いに来ました…あぁ、家の場所は…優木さんから」
歩夢「……ご、ごめんなさい!……実は…ず、ずる休みで…どうしても学校に足が向かなくて…」
栞子「ふふっ、上原さんの事だからそんな事だと思いました♪」
歩夢「…怒ら、ないの?」
栞子「…お説教されたかったのですか?」
歩夢「…うぅ、それは…やだけど…」
栞子「上原さんなら数日学校に行かなくても勤勉なので大丈夫でしょう
…私には、あまり分からない気持ちですが…」
歩夢「学校に行きたくないし、部活も黙って休んで…私ってダメな子…」
栞子「…」
歩夢「ねぇ…栞子ちゃん…私、どうしたら…いいのかな…」
落ち込む歩夢を他所に…栞子は少し微笑んだ。
栞子「…少し…外に出ませんか?…私が見るからに…気が滅入ってるように感じますよ」
歩夢「…でも……」
栞子「…嫌、でしょうか…?」
歩夢「…ううん、せっかく誘ってもらったし…行くよっ」
しかし、歩夢が家を出た瞬間…口から「あっ」という言葉が出た。
歩夢「…………」
峻の家を前を通るのが…少し複雑なのだろう。
栞子「…さ、行きましょう♪」
そう言って栞子は歩夢の手を握り…そのまま足早に峻の家の前を通り過ぎた。
歩夢「あ、ま、待って栞子ちゃん…っ!」
チラッと峻の家を見たが…少し俯きながら歩夢も栞子の後を追うよう足早に歩き去った。
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歩夢「…なんだか…ここに来るのは久しぶりだな…
前は用もなく遊びに来てたのに…スクールアイドル活動してから…あんまり来なくなっちゃったな…」
栞子「いい気分転換になりそうですか?」
歩夢「何となくだけど、なりそうな気がするよっ
…あっ、久しぶりに編み物やろうかなっ!
栞子ちゃん、ちょっとお店覗いていいかな?」
栞子「はいっ♪」
………………………………
歩夢「は~…っ…たくさん買っちゃった~…♪」
栞子「ふふっ、見ていて気持ちのいいくらい買いっぷりでしたよ♪」
歩夢「なんだか欲しいものがあれもこれもってなっちゃった…♪」
栞子「歩夢さんは本当に多趣味ですね」
歩夢「…そう、かな?……うん、そうかも…♪
私、やりたい事や好きな事が沢山あったみたい♪」
栞子「…上原さん…不躾な質問ですが…本当にそれでいいのですか?」
歩夢「…?…それでいいって…なにが?」
栞子「スクールアイドルの事です…もう、やらないのですか?」
歩夢「…もう、いいんだと思う
だって…もともと好きなわけじゃ無かったし…やりたかったわけじゃないから…」
そう言ってニコッと歩夢は笑った。
歩夢「これでいいんだよ、いつもの私に戻っただけなのっ♪」
栞子「…そう、ですか…私には、スクールアイドルをしている時の上原さん、とても楽しそうに映ってましたよ」
歩夢「…そう?」
栞子「…それに、同好会活動中はあんなに練習熱心でしたし…」
歩夢「…あ、あれは、みんなの代表だって…自分で思っていたから…」
栞子「…嘘、ですね…」
歩夢「…………………………どうして…」
栞子「…はい」
歩夢「…………どうして………バレちゃうのかな………」
栞子「私でよければ…胸の内の本音…聞きますよ」
そう言われた歩夢は買った物が入った紙袋をぎゅっと抱きしめた。
歩夢「………私…やっぱり峻くんの事…大嫌いになんて…なれないよっ…
やっぱり…気になっちゃう…諦めるなんて…嫌…っ
峻くんに…会いたい、よ…」
ポロポロと涙を零す歩夢。
栞子「…きっと…あの人も…同じことを…思っていると思いますよ」
歩夢「……えっ…?」
栞子「月曜日になれば…きっと、分かりますよ」
歩夢「……………峻くん………っ」
次回:叱咤と仲直り
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