「彼方、今度の水曜って…」
彼方「…ごめ~ん…家族で集まる用事があるの…」
「そっか、ごめんな変な事聞いて」
彼方「それより~、峻くんの、お膝貸して~♪」
「…はいはい、どーぞ?」
…家族で集まる…か。
水曜が彼方の誕生日って知ってたから…お祝いしたかったけど…。
(…何かプレゼントを渡そうかな)
とはいえ…彼方が喜ぶ物…。
(…ピンと来ないな…)
既に寝息を立てている彼方の頭を撫でる。
「…ホント…彼方は…」
その時、ふと思いついた。
彼方らしい…プレゼントを。
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【次の日】
「付き合ってくれてありがとうな、歩夢」
歩夢「ううん、全然大丈夫だよっ♪
私も彼方ちゃんへのプレゼント選びたかったし♪」
「…後、は…っと…」
歩夢「…峻くんは、何をプレゼントするの…?」
「秘密…っつっても…物でバレちゃいそうだけどな…。」
裁縫糸に薄紫の生地…それにコットン。
歩夢「…お裁縫?」
「うん、手作りで…枕作ってあげようかなって」
歩夢「あっ、いいかも!♪」
「だろ?彼方らしいプレゼントかなって」
歩夢「私は何にしようかな~…料理道具とかどうかなっ?♪」
「いいね、大事に使ってくれそうだね」
こうして俺と歩夢は各々考えるプレゼントを選ぶのであった。
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【さらに次の日】
学園の前に思わぬ人物が待っていた。
遥「…ぁ…峻さんっ!」
「…遥…ちゃん?
どうしたの虹ヶ咲学園になんか来て…」
遥「ウチの学校、今日は午前中のみなんです…
それで、お姉ちゃんが良かったら虹ヶ咲に来ない?って…」
「…あぁ、なるほどね…通りでルンルン気分だったわけか」
遥「…すいません、部室まで…案内してもらっても…」
「いいよ!広いもんね、ここ…」
……歩き始めて少し経った時…遥ちゃんが口を開いた。
遥「…お姉ちゃんから…何か聞いてませんか?」
「…彼方から?…いや、何も…」
遥「…そう、ですか」
「…家で同好会の話でもしてたのか?」
遥「…いえ、どちらかといえば…峻さんのお話を…」
「…俺の?」
遥「…今度の水曜日…何の日か分かりますか?」
「…彼方の誕生日…だろ?」
遥「…はい、実はその件で……っ…」
なにか言おうとした遥ちゃんだったが、唇を強く噛み締めた。
「…何かあったのか?」
遥「…お姉ちゃんには…ナイショですよ?
実は…お姉ちゃん、峻さんを誘いたかったらしいんです」
「…俺を?…でも、数日前に聞いたら…家族で集まるって…」
遥「…お姉ちゃん、その事で家で後悔してたみたいなんです
本当は峻さんにも来て欲しかったのに…恥ずかしくて断っちゃったって…」
「…そうだったんだ…」
遥「…あのっ、峻さんさえ良ければ…来て、くれませんか?」
「…奇遇だね、同じこと言おうとしてた」
遥「…あっ…お、お姉ちゃんも喜びますよ!」
「なら、サプライズだな?」
遥「はいっ!」
遥ちゃんと秘密のサプライズを計画し…俺と遥ちゃんは部室に入った。
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【水曜 当日】
部室では既に同好会のメンバーが彼方へプレゼントを渡していた。
彼方「…………………」
果林「彼方?」
彼方「…ぁ…っ、ど、どうしたの~…?♪」
エマ「ずっと上の空だから…」
果林「もしかして…プレゼント…お気に召さなかった?」
彼方「ち、違う違う~っ…大丈夫だよ~っ♪」
…と、言いつつも…視線は峻の方ばかり向いていた。
【放課後】
「悪い、今日は先に帰るわ!」
足早に峻は、部室を出た。
エマ「…珍しいね?」
歩夢「ふふっ、予定でもあるのかな?♪」
せつ菜「…愛さんはおウチの手伝いで」
しずく「果林さんは…モデルの撮影、でしたね?」
彼方「…彼方ちゃんも…帰るね…」
璃奈「…こっちは…元気、なさそう…」
かすみ「せっかくの誕生日なのにそんな顔しないでくださいよ~!」
彼方「…だって…峻くん…彼方ちゃんの誕生日…覚えてくれてないから…」
「「「「………」」」」
部室に残ってたメンバーはみんな黙っていたが…内心では。
((((峻(くん・さん)がそんなことするとは思えないけど…))))
と考えていた。
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【彼方視点】
…結局、何も無く…おウチに着いちゃった…。
「…ううん、遥ちゃんの前で…こんな顔、ダメだよね…っ
せっかくの誕生日なんだし…」
よしっ…と勢いよくドアを開けた時だった。
峻「…おっ、やっと来た」
「…えっ…」
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ドアを開けた彼方は正に鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
「…何固まってるの?」
彼方「…え、ええええっ~!!??…しゅ、峻くん…?」
遥「私が呼びました~♪」
「呼ばれました~」
彼方「えっ…は、遥ちゃん……あっ…あああぁ~っ…///」
自分の発言を思い出したのか…彼方は手で顔を隠した。
「ほらほら、主役が入らないと?」
遥「お姉ちゃん、こっちこっち!♪」
彼方「わ、わかったから~っ///」
恥ずかしそうに部屋に入る彼方…しかし、追撃が…。
近江母「彼方ってば、こんなイケメンくんと同好会して羨ましいわね?」
彼方「…うぅ…///」
遥「あははっ、お姉ちゃん顔真っ赤~!///」
彼方「そ、そんなこと無い~っ!///」
こうして賑やかな誕生日会が始まった。
遥「ほーらっ、峻さん?」
「…えっ?…あ、あぁ…その…彼方
今日が彼方の誕生日だってことは…知ってたんだ」
彼方「そう、だったの…?
…でも、プレゼントは…」
「…これ…」
丁寧にラッピングした赤い袋を手渡した。
「…なんか、みんなの前で渡すのは…恥ずかしかったし…それに」
遥「私がサプライズで渡そうって考えたんだよ~♪」
彼方「…遥ちゃん…峻くん…」
大事そうに彼方は赤い袋を抱きしめた。
彼方「…開けて…良い?」
「もちろん」
中を開けると…そこには…
彼方「わぁ~…っ、枕だ~…!♪」
「この前膝枕してた時に枕が無いことに気がついたからね」
遥「えっ!?…お姉ちゃん、峻さんに膝枕してもらってるの!?」
近江母「あらあら…」
「…ん、んん…まぁそれは追々…」
彼方「フカフカで気持ちい~…っ♪///」
「良かった、喜んでもらえて」
彼方「…これ、峻くんの…手作り?」
「そだよ」
遥「え、ほんとに!?…お姉ちゃん、お婿さんに来てもらったら…?」
彼方「ななな、なんでそうなるのっ!?///」
遥「いやいやいや…なんでも出来るし…性格もよし…好立地すぎない?」
「俺は都内の一等地か」
彼方は全力で否定してたけど…枕は決して離さなかった。
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【数日後】
しずく「ここ最近、彼方さんのお昼寝が…」
彼方「すやぴ~…っ♪」
しずく「心無しか嬉しそうな感じがするんですが…」
エマ「確かにっ、いい夢見てるのかな?♪」
歩夢「…良かったね、峻くん♪」
「きっと夢の中で誕生日会の続きをしてるの…かもな?」
彼方「すぅ…っ…峻…くん…大…好きだよ…~…///」
彼方の寝言は…いつもの賑やかな部室の声にかき消されるのであった。
彼方ちゃん誕生日おめでとう…!!
無自覚の…色気…!(違う)