その日、またもスクールアイドル部のランジュの機嫌は悪かった。
ランジュ「今日のライブ…明らかに前回のライブより観客が少なかったわ!!!」
悔しさからか、わなわなと身体を震わせるランジュ。
そこ怒りの矛先は…。
ランジュ「それもこれも、せっかくライブの回数を増やしたのに…
新曲が披露されないからよ!どういうこと、ミア!!」
ミアはため息を交えて、睨むように言葉を吐き捨てた。
ミア「自分の力不足をボクのせいにするのはやめてよね」
ランジュ「なん…ですって…っ!!??」
愛「まーまー!言い合いはダメだよ~っ!…あっ、愛だけに…言い合い、的な?♪」
ミア「こんな時にふざけてるのもどうかと思うけど」
果林「それだけ落ち着いて欲しいってことよ、ね?
イライラしてても始まらないわよ?」
ランジュ「失敗の理由は明確よ、話し合うことすら要らないわ
ランジュはいつも通り、完璧なパフォーマンスをしただけよ?
それなのに、盛り上がらないのは飽きられてる証拠よ!」
愛「あ、いや…だから~…」
ランジュ「悔しくないわけ!?」
果林「悔しい………どちらかと言えば…不甲斐ない…かしら、ね」
愛「ランジュは比べたくないと思うけど…同好会だって、毎回新曲を含めたライブをしてる訳じゃない…けど、勢いは明らかに上だし…」
ランジュ「…ランジュの魅力が同好会に劣ってるって言いたいわけ?」
ミア「最も、このメンバーで誰一人手を抜いてるなんて思えないけど」
面倒くさそうにガムを膨らましながら言うミア。
果林「あれだけ毎日ハードな練習をしてるのだもの、手なんか抜けないわ」
愛「今回の事は、素直に受け止めて…前に進む糧にしようよ」
ランジュ「………………」
愛「燃えてくるものもあるし、ね?♪」
ランジュ「それって、意味があるのかしら?」
ミア「………」
ランジュ「なんでみんな同好会のやり方を褒めるの?
向こうは今は敵なのに!」
愛「…う、うーん…愛さんは同好会を敵って思った事はないんだけど…」
果林「部に移ったからって繋がりが消えた訳では無いわ」
愛「かすかすからは裏切り者ー!って言われるけどね~♪」
果林「……………そう、ね……………エマ………」
ランジュ「…なんでランジュが責められるのよ」
ミア「建設的な話なだけな気がするけど」
ランジュ「だったら、早く新曲を…っ!」
ミア「…言われなくても、そうするよ」
ランジュ「…見てなさい、こっちのやり方が正しいって証明してやるわ……同好会のメンバーだって…必ず部に呼び込むんだから…」
ミア(…なら、その性格をまず直すべきだね)
果林(…あら、そういえば…)
愛(しおってぃー…居ないね?)
───────────────────────
【生徒会室】
「呼び出して悪いな」
栞子「いえ、そろそろ……来ると思ってました」
「…そっか、何となく状況は理解出来たよ」
栞子「…峻さんには、全てをお話します…だから…
─────''助けてください''…!!」
「……OK、栞子の想いは分かった…聞かせてくれないか?」
栞子「……はい、今の部は………………」
………………
「…そっか、いよいよ歯止めが効かなくなってきたな…ランジュは」
栞子「あんなに酷い目に遭った峻さんに助けを求めるなんて…おこがましいにも程があるのは…重々承知の上です…ですが…」
「ん、安心しろ、間違った方向なんかにはいかせないよ
それに、栞子や愛…果林は同好会の仲間だ…困ってたら助けるさ」
栞子「…あっ、ありがとうございます…!」
「…しかし、どうしたもんかな…」
栞子「…あの、私に考えがあるのですが…聞いてくれませんか?」
「いいよ、聞かせて?」
栞子「…実は…ランジュよりも…ミアの方が心配で……かなり悩んでるようでして…それで…」
「…んーーーー…それは思うんだよなぁ…確かに…」
栞子「えっ?」
「いや、俺もその…ミア?って子に会ってるからさ」
栞子「そ、そうだったんですか?!」
「…ま、いいや…言ってはくれないだろうけど…本人のとこ行ってみるか」
栞子「い、行くって…今からですか!?」
「行くよー、栞子~」
栞子「あっ、ちょ、ちょっと待ってください!」
────────────────────────
【ミアの部屋】
ミア「わかんない…わかんないよ…どうすりゃいいのさ…」
1人、座りながら頭を抱えるミア。
ミア「今まで…ボクはどうやって曲を作ってきた?
どうやったらいい曲を作れる?」
自分の作る曲全てが歪に感じたのは…しずくの同好会復帰ライブを見てからだった。
自分の作る曲が駄作としか思えなくなった。
ミア「ボクは…天才なのに…っ
作曲は…誰よりも優れていないといけないのに…!」
ぐっと近くにあった目覚まし時計を手にかけた。
ミア「わかんない…わかんないよ…っ!!!!!」
投げつけようとした時だった。
ガチャ…。
────────カギを掛けてたドアが…開いた。
「お、開いた」
栞子「しゅ、峻さんっ!!!!!いくらなんでも…っ!!」
「悪い悪い…いや、まさかピッキング出来るとは…ね?
今回は不問に………………あ、やっぱり出来ない?
反省文でも停学でも何でもすっから…とりあえずこっちを、な」
栞子「………あ、あなたという人は…っ!」
ミア「な、ななな、何しに来た!!!」
「物は大事に扱えよ、それ…投げるつもりだっただろ」
栞子「…あの、人のことは言えないかと…」
「…………う、うむ…………すまん…」
ミア「お、お前…何しに来た…っ!」
「何悩んでんだよ」
ミア「ひ、人の言うことを聞…っ!!」
「俺の質問に答えろ」
ミア「ぼ、僕は悩んでなんかいない!ボクは天才だ…っ!!」
「…………………」
こりゃ答えてくれそうも無いな…と、感じた峻は一言だけ呟いた。
「…楽しいか?」
ミア「…えっ…」
「曲、作るの楽しいか?」
ミア「…た、楽しくなんかない…作曲は…ただの作業だ…」
「…そっか、でも…作る人が楽しいとか…作ってあげる人の事を考えなきゃ…良い物は出来ないよ」
ミア「…なっ…せ、説教か…っ!!!偉そうに!!!」
「そんなんじゃないよ」
ミア「………っ!!!」
「言ったろ、人を助けるのに理由なんか要らないって…ま、それだけ言えばあとは自分で解決できるだろ……突然押しかけて悪かったな」
ミア「…………ま、待てよ!!」
「…ん?」
ミア「…な、何が…お前をそうやって動かすのさ…!
自分のエゴも業も何も持たないで…!!!」
「好きだからさ、音楽も同好会もスクールアイドルも」
ミア「そ、それだけの理由で…っ!」
「それだけありゃ十分なんだよ
誰かの為に頑張る…それはとても幸せな事さ…んじゃな」
ミア「…っ………!!!」
栞子「…ミア…」
ミア「………これが…」
栞子「…えっ?」
ミア「これが…認めるってこと…なの…っ?!
これが…負けたって…感じたって…こと…なの…………」
栞子「…ミア……………」
ミア「…悔しい…けど…考えや器は…あいつの方が…上だった…」
栞子「…その悔しさは…きっと貴方を成長させてくれますよ」
ミア「……宮之原…峻…………」
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