分岐ルート 桜坂しずく その1
しずく「あぁ、私は何故─────」
今日は演劇部に顔を出している。
と言うのも、しずくの付き添いなのだが……。
近いうちに、演劇部で大きな舞台をやるそうだ。
今日はそのリハーサルらしい。
(しずくも気合い入った顔してるな)
割と重要な役柄を貰ったしずくは、スクールアイドル同好会の部室でも台本に目を通す時間が多かった。
演劇部部長「ストップ、一旦ここで止めようか」
その時、演劇部の部長さんが手を叩き、リハーサルを止めさせた。
しずく「……部……長?」
部長「しずく、気合入ってるのは分かるけど…途中から声が上ずってる」
しずく「えっ……あ、す、すいませんっ!」
気合が空回りしてるのか、しずくは指摘されて少し焦ってるようにも見えていた。
部長「じゃあ、さっきの続きから」
再開されたが、明らかにしずくは声を質を気にするが……少し動きが小さくなっていた……気がした。
部長「ストップ!……しずく、気になるのは分かるけど…
それが元手に全部ダメになったら意味が無いよ?」
しずく「……はい…」
部長「少し、クールダウンしよう、しずく」
しずく「だ、大丈夫です!まだ出来ます!」
部長「しずく、気持ちは分かる……けど、焦ったらダメだよ」
しずく「……はい…分かりました……」
肩を落として、リハーサル組の輪から外れるしずく。
様子を見ていた俺は、しずくに近づいた。
「そんな時もあるよ」
しずく「先輩……お気遣い、ありがとうございます…」
「見てて思ったんだが、ここは──────」
その時、演劇部の部長の視線が俺に止まった。
部長「代役なんだけど、同好会の部長さん、やってみない?」
「……は?俺すか?」
部長「なかなか目の付け所が良いからね、物は試しでどうかな?」
「……でも……」
チラッとしずくに目を移すしたが、特に何も言い返して来なかった。
「……分かりました、今日だけですよ」
しずくの頭に手を置き……俺はリハーサル組の輪に加わった。
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【リハーサル後】
部長「お疲れ様、なかなかの演技力だね?」
「どうも……あんまり褒められても良い気はしないけどな」
しずくはあの後、結局1人で台本読み込むと言って席を外してしまった。
「……あの、なんでしずくを……」
部長「言いたいことは分かるよ、それに、私もああいう形で降ろしたくは無かった」
「……じゃあ、なんで……」
部長「あの子はセンスに溢れている
それに、もっと成長して欲しいし、これから先こういう経験もあると思う……だから、今のうちにこういう経験もさせておきたいなって
もちろん、演技に迷いがあったのは嘘じゃないし、もっと演技力を高めて欲しいと思っての行動だけどね」
「……なるほどね」
部長も色々考えての事……って事か。
部長「……ふふっ」
「……?」
部長「いや、自分が代役で演劇部のリハーサルに立っているにも関わらずしずくのことを心配するなんてね♪」
「……ああ、いや……それは…」
部長「しずくもキミのアドバイスを貰ってる時の目は輝いてたしね♪」
「……そう、でしたか?」
部長「もしかしたら、しずくの原動力は……」
「……え?」
部長「いや、なんでもないよ」
何か言いかけた演劇部の部長だったが……ニコッと笑って誤魔化した。
次回:波乱の演劇
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