ヒソヒソ…………ヒソヒソ……。
「………………」
いたたまれない、非常にいたたまれない。
今回の件、思ったよりも広まっているらしく、生徒間でヒソヒソと話している。
もちろん、事実無根だし、俺の方からも違うと否定はしている。
……が、そんな事で納得し収束することは無い。
歩夢「私も何人からか聞かれたよ~、もちろん違うって答えたけど……」
かすみ「かすみんも、聞かれたから''峻先輩はかすみんの物ですよ~♪''って答えたら鼻で笑われたんですけど~…」
ミア「果林と同じステージに立ててないだけだよ」
かすみ「きいぃ!!これが格差社会なのぉ~っ!?」
「…みんな、ゴメンな変な苦労かけさせて」
愛(2人似合ってると思うけどね~って声もちらほら聞こえるけど…
でも、果林はモデルだし…スクールアイドルでもある…
簡単には解決しない問題なのかな…)
一方の果林はと言うと…。
果林「……………っ」
芳しくないのか、ため息混じりで電話を切る。
「やっぱり厳しいか?」
果林「そうね、事が大きくなってるわね…」
事務所で1回話をしに行くと言う。
「俺も行かせてくれ、当事者だしな」
果林「でも…」
「ここまで来て、一般人だから関係ないとか言わないよ」
それに、果林1人に背負わせたくない」
果林「…分かったわ、行きましょ」
こうして、学校終わりに果林の所属する事務所に行くこととなった。
────────────────────────
【事務所】
果林「ここよ」
「…分かってはいたが、すげぇなぁ…」
【朝香さん、来てくれたんですね】
果林「えぇ……それと…」
目が合い、俺も頭を下げる。
【…貴方も来てくれたんですか、そうですよね
当事者もいなくては話は進みませんものね、どうぞこちらへ】
担当者について行き、応接室へと入っていった。
【…さて、今回の件ですが…】
「すいません、こんな出来事にしてしまって…」
【なってしまったものは仕方ありません、それに…
貴方方は、けして不純な関係性ではないと、目を見れば分かります】
「……」
果林「…でも、これから先、どうすれば…」
【…ふむ……すいません、お名前を伺ってもよろしいですか?】
「峻です、宮之原 峻といいます」
【宮之原さんですね、あなたは今まで通りにしていてください
狼狽えたり、周りをキョロキョロするようになると相手が有利になるので…朝香さんは…】
その時、果林が手を挙げた。
果林「…その件で、私の方から提案があるの」
【…提案、ですか?】
果林「…私、モデルを辞めるわ
こんな事になったケジメはつけないと」
「…なっ、お前…っ!!」
つい立ち上がってしまったが、事務所の担当者が手で制した。
【気持ちは、分かります…が、そう判断するのは早計です
…特に、宮之原さんはそれを望んではいません…そうですよね?】
「…はい」
【朝香さんも、しばらくはお休みをしましょう
…今はそれが賢明な判断です】
果林「…分かりました」
グッと堪えるかのように、果林は呟いた。
────────────────────────
【その帰り道】
果林「…怒ってるわよね、峻」
「あぁ、すげー腹立ってるよ」
果林「……」
「あの記者の野郎、ぜってぇー許さねー!!」
果林「えぇっ、そ、そっち??」
「当たり前だろ!なんでそんな奴にビクついて過ごさなきゃいけねーんだよ!それに果林を辞めさせるって言わせるまで追い詰めて!絶対許さない!」
果林「…ぷっ…あははっ!相変わらずね、峻は
…でも、少し気が楽になったわ」
「…果林…」
果林「私も、自分が気が付かないくらい色々抱え込んでたみたいね…
らしくないわ…」
「一人で抱え込まんでくれ、俺にも責任はある」
果林「峻らしいわね……でも、今は…その言葉に、甘えようかしら」
気付くか気付かないか分からないくらい…触れた指。
握り締めたい…そう思った時だった。
【…あのー、モデルの朝香果林さん、ですよね?】
果林「…っ…そう、ですが…?」
【例の記事について、詳しく聞かせてもらえませんか?】
手帳とカメラを持った…いかにもな人物が現れた。
果林「…行きましょ、峻…っ」
【また、色々と書かせていただきますよ?】
果林「…っ!」
どうやら、あの記事を書いた張本人のようだった。
果林「…あなっ────────」
「…………」
果林を落ち着かせて、俺が果林の横に並ぶ。
【ちょうど良かった、貴方にもお話を─────】
その瞬間、俺は果林の肩に手を伸ばして抱き寄せた。
【…えっ?】
「悪いけど、果林は俺の女だ、文句あるか?」
果林「…峻…///」
【いや、文句も何もですね、相手はモデルで─────】
「モデルだろうが、スクールアイドルだろうが関係あるか!!!
果林は一人の女だ!女が幸せを求めて何が悪いんだよ!!!!
人の幸せの邪魔をすんじゃねぇよ!!!!」
周りに居た人達にも聞こえるくらいの声で叫んだ。
でも、事実を言ったまでだと自分に言い聞かせた。
【……………………………】
峻「…行くぞ、果林」
果林「…ま、って…っ!」
その場を立ち去ろうとする…その前に。
峻「これ以上、果林の幸せを邪魔するなら…手段は選ばねぇぞ」
【…っ】
峻「…行くよ、果林」
果林「峻…」
────────────────────────
「…やっちまった…」
果林「バカね、あんな啖呵切るなんて…」
「いや、でも…あんな弱った果林見てたら、いても立っても居られなくて…」
果林「…ほんと、優しすぎるわね…」
「…………」
果林「…ねぇ、さっきの言葉…嘘じゃないのよね?///」
「…えっ?」
果林「責任取るって…話…」
「…あ、あぁ…男に二言はないからな…」
果林「…なら、取ってちょうだい…///
私は、貴方の女…なんでしょ?///」
「…か、果林…」
果林「…私、貴方になら…全てを委ねられるわ…///」
「………」
果林「なんてね、帰りましょ?♪」
バツが悪そうな顔をして、果林は歩き始めてしまった。
────────────────────────
【次の日】
かすみ「せ、せせせ、先輩いいぃいぃ~!!!!????」
朝からかすみが後ろから猛スピードで追いかけてきた。
「な、なになになに!?」
かすみ「街中であんなことしたんですかぁ!?」
「…へ?」
かすみ「これですよ、これぇ!!」
携帯を差し出されて、見てみると…昨日の光景が映されていた。
「えっ、これ…!!」
かすみ「モデルの朝香果林の彼氏、付きまとう雑誌の記者に対して真っ直ぐな想いで告白し賞賛の声ってありますよっ!?」
「…は?」
色々と誤植があるようだが、それよりも1番気になった点が…。
「賞賛?なんでだ?」
かすみ「よく分かりませんけど…よく言ったとかかっこいいとか…そんな声が相次いでるみたいです」
果林「……///」
「…げっ、果林!」
果林「…朝イチ、事務所の人から連絡があったわ…///」
「…お、おう…っ」
かすみ(か、かすみんはこの辺りで退散しよーっと…)
果林「記者から謝罪の言葉があったと…
あと…おめでとうって…///」
「…えっ、えっ?????」
果林「…だ、だからっ!公認になったってこと!///
も、もう戻れないわよ…っ?///」
「…そ、そうか…」
果林「…それで、改めての言葉が…欲しいんだけど…///」
「…ん、んん……分かった…
好きだ、果林…モデルとかスクールアイドルとか関係無しで…俺と付き合って欲しい」
果林「…えぇ、喜んで…///」
パチパチと拍手が起こる。
学園の前ということをすっかり忘れていた。
「…あっ…」
果林「…ふふっ、私たちは注目を集めるのが好きなのかしらね…?♪///」
笑いながらも、あの日握れなかった手をしっかりと握りしめてくれた果林。
その表情は安らかだった。
次回:色々あったけれども…。
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