────────エマに想いを伝えるんだ。
そう決めてから数日が経った。
エマの姿を見てないが気がかりだが…。
(…ん、携帯が鳴ってる…)
授業中に見るのは宜しくはないが…俺はチラッと携帯を開いた。
メッセージの送り主は…果林からだった。
果林【峻、大変よ…エマが…予定が早まってもう国に帰るって…!】
(………は?)
果林【峻には言えないけど、せめてみんなにはって…!】
「………っ!」
ガタッ!
先生「み、宮之原さん…どうしたんですか…っ?」
「…………………すいません、ちょっと…っ!!」
先生「あっ、ちょっと…!!!」
いきなり席を立ち、視線が集まったが俺は気にすることなく…急ぐように教室を出た。
先生も他の生徒も呆然とその姿を眺めていた。
歩夢(…峻くん、怖そうな顔…でも、すごく寂しそうな顔してた…)
菜々(…峻さん…)
────────────────────────
【空港に向かう途中】
エマ(……………これで良かったんだよね…。
峻くんに…申し訳ない事…しちゃったかなぁ…)
…でも、峻くんに相談したら…。
峻くんの優しさに甘えちゃう…。
エマ(……でも、まさか……ね…)
空港に向かう途中…何度も後ろを振り返る…。
彼なら…きっと…と。
「はぁ、はぁ…電車乗って向かうとか…間に合うのか…っ!?」
走って向かうにも限度がある、最短距離で俺は空港へと急いだ。
「あいつらも…向かってきてくれるだろうか…
いや、授業がある…俺が、連れて帰るんだ…」
決意を新たに…開いたドアを勢いよく飛び出した。
────────────────────────
【空港】
エマ「……あと30分…かぁ」
腰掛けて景色を眺めるエマ。
携帯に通知が入ってるけど…今は見る気はしない…かな…。
エマ「…やっぱり急だったよね…」
学校側には必要書類出した…けど…。
エマ(果林ちゃんと峻くん以外のメンバーには言えなかった…な)
きっとみんなに怒られちゃうな…。
「エマぁ!!!!!!!」
その時、空港内に聞き慣れたこえが響いた。
エマ「…えっ………………」
「…はぁ…はぁ…間に合っ……たぁ…」
エマ「…な、なんで…っ…」
「…決まってんだろ…帰るぞ、エマ」
エマ「…言ったよね、私は…国に帰るって…」
「それでもっ!!!!俺はエマに居て欲しい!!!」
エマ「…どうして…そこまでするの…?」
「…最初は、同じ同好会のメンバーだから……仲間だからって思ってた
でも、違ったんだ
…俺は男として、エマに惚れた
そんな惚れた女を何もせずに帰すことなんて出来ない!」
エマ「…峻…くん」
「…だから、それだけを伝えに来た
好きだ、エマ」
エマ「………………」
「何日でも、何年でも何十年でも待つ…だから…!」
エマ「…そっか」
そう言うと、携帯を取りだし、電話をするエマ。
エマ「──────Hallo, Mama?」
会話の内容は分からなかったが…話すエマの顔は笑っていた。
エマ「……ごめんね、峻くん…実は………」
─────────────────────────
【部室】
かすみ「ええええぇ~っ!!?!?!?辞めるんじゃなくて一時帰国ぅ~!?!?!?!?」
「…入院したお母さんの世話と下の子達の面倒を見るために…だそうだ」
机に突っ伏しながら俺は力なく答えた。
授業を抜け出した件で、こっぴどく怒られたのもあるが。
果林「それじゃあ、書類を出したとか私たちに帰るって言ったのは…」
「一部嘘…一部本当ってところだ」
しずく「な、なぜそんなことを…」
「…エマ曰く……」
エマ【…みんなを、びっくりさせたかった…から…♪】
【笑えない冗談を言うやつにはこうだ~っ!!!】
エマ【いひゃい~っ、ひゅんくんっ、いひゃいよ~っ!】
彼方「エマちゃんらしいね」
歩夢「でも、帰ってくるんだし良かったっ」
ミア「それで?Answerは?」
「…Nothing…」
ミア「…え''っ」
「YESともNoとも答えてくれなかった…」
かすみ「…先輩、それ振られてますよ」
「違う!!断じて俺は認めん!!」
ランジュ「しょーがないわね~っ、代わりにランジュが~……」
せつ菜「そ、それはダメです!」
愛「そーだそーだ!」
ランジュ「なぁっ!反乱軍めっ…!」
ワイワイ騒ぐ姿を見て、俺はやれやれと笑いながら眺めていた。
璃奈「峻さん」
「ん?どうした?」
璃奈「…多分、エマさんの事だから…」
「うん、俺もわかってるよ」
栞子「…では、峻さんも…」
「約束したからね、待つって」
────────────────────────
【1ヶ月後】
俺は部室に一足先に出向いた。
と言うのも、部長の仕事が溜まっていたからだ。
「…ぐぬぬ、書類にハンコ…あっ、これ間違えてるし!…はぁ~…」
他のメンバーが手伝おうか?と言ってくれたが…部長のメンツが無くなるわよと言うランジュの一声で手伝いは却下となった。
「…ランジュめ~…」
ガラガラっ。
その時、部室のドアが開く音がした。
「ランジュか?誰かさんのせいで手が離せないから、練習は────」
???「…だーれだっ♪」
「……えっ」
持っていた書類が机に落ちる音がした。
この声…この暖かさ…。
???「…帰ってきたよ、峻くんっ♪」
「…え、エマ…っ!!」
驚いた様子で手を離すと…そこには、私服姿のエマがいた。
エマ「予定よりも少し早く帰って来れるようになったのっ♪」
「…い、言ってくれれば迎えに行ったのに!」
エマ「もー、言ったでしょ?驚かせたかったって」
クスッと笑うエマ。
その様子を見て俺も心の底から安心した。
エマ「お母さんと弟たちにね、峻くんの話をしたの
そしたら、早く顔を見せてあげなって…弟たちも任せておいてって…立派になってたなぁ~…」
「…エマ」
エマ「…落ち着いたらでいいから、スイスに遊びにおいでって、言ってたよ?」
「…あぁ、そうだな…ちゃんと行かないとな…その、彼氏…なんだし、な?」
エマ「…ふふっ、まだ気にしてたの~?♪」
「そりゃYESかNoかも言われなかったら気になるよ!」
エマ「…答えなんて…決まってるのにっ」
「うわっ…!!!」
抱きつくエマを慌ててキャッチした。
エマ「私も、峻くんの事、大大だーいすきだよっ!♪」
「…あ、う、うん…ありが、とう」
エマ「…あっ、照れてる?♪」
「う、うるせー!!」
かすみ「あぁーー!!エマ先輩帰ってきてる~!!」
しずく「お帰りなさい、エマさん!」
せつ菜「会いたかったですよぉぉ~っ!!」
エマ「わわっ、みんな落ち着いて~…っ!!」
果林「…知ってたんでしょ、エマが今日帰ってくるの」
ランジュ「さぁ、なんの事かしら?」
果林「ランジュ、演技する時って目線泳ぐから分かりやすいのよね
あんなこと峻に普段言わないなら余計に、ね?」
ランジュ「…ま、もう良いでしょ?…あんなに素敵な光景が見れたんだから」
次回:分岐ルート 宮下愛編
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