暫くは虹フィーバーです。
バレーボール部員「お願い、愛さん!助っ人に来て~!」
愛「うぇっ!?……あ~…今日?」
いつもの様に、助っ人のお願いをされる愛。
しかし、今日は直ぐに即決…という訳ではなさそうだった。
愛「……えーっと…ごめんっ!今日はちょっと……」
バレーボール部員「そっかぁ~…
まぁ、唐突だったもん────」
話の途中だったが、愛の目線が横に逸れた。
そして、小走りで移動していった。
愛「しゅ~~んっ!♪」
「おわっ!……愛、相変わらず情熱的だな…」
愛「あっ、相変わらずと愛さんの名前をかけたね~?♪
うんうん、峻もダジャレのセンス上がってきてて愛さん嬉しいよ~♪」
峻の顔を見るなり、顔が明るくなる愛。
そして、思い出したかのようにバレーボール部員の方を見た。
愛「……って事なの、ホントにごめんっ!」
バレーボール部員「あ、う、うん!平気だよ!」
バレーボール部員(愛さん…あんなに女の子の顔することあるんだぁ……初めて見た…)
部員の子がその場を去った後、峻は愛の顔を見た。
「いいのか?」
愛「ん~…ホントは体も動かしたかったけど……ね?」
「俺は助っ人で試合に出て活躍する愛も見たいけどな…今からでも助っ人に行ったら?」
愛「えぇ~っ?……でもでもっ…………む~…っ」
何か言いたげだった愛の顔が少し不貞腐れてるように見えた。
愛「……む~~~…っ!!」
そして、少し怒ったような顔をした。
「……あ、愛?」
愛「べーっだ!りなりーのとこ行ってくるもん!」
「えっ、あっ……愛!?」
スタスタと早歩きで峻の元を離れる愛。
そのまま取り残される峻。
「…………俺、なんか言っちゃったかな…?」
しかし、愛を怒らせてしまった原因は分からないままでいた。
………………………………………………。
【次の日】
「愛、昨日の────」
愛「……………………ぷいっ」
「……………………あちゃ~…」
取り付く島も無さそうだった。
それを見兼ねたかすみと果林が脇を小突いてきた。
かすみ(先輩、何してんですかっ…!)
果林(さっきまで普通だったのに…峻が来た途端これよ?説明しなさい。)
(……えっと……)
果林とかすみを部室の外に連れ出して訳を説明する峻。
話の途中だったが、果林が頭を抱えた。
果林「…薄々…分かってはいたけど、本当に峻って鈍感ね」
「……えぇ……」
かすみ「早いところどうにかしないと、大変なことになりますよ」
「…………う、うぐ…」
ごもっともすぎて何も言い返せない。
見かねた果林が提案をしてきた。
果林「仕方ないわねぇ…愛を呼び出すから、峻は先にそこに行ってなさい
そこでしっかり謝ること、良いわね?」
「……恩に着る」
果林「お返しはモーニングコール1週間分でいいわよ」
かすみ「じゃあじゃあ、かすみんは食堂のスイーツの~…!」
「………わ、分かったから…!」
果林「ふふっ、早く謝りたくてしょうがないって感じね」
「そ、そりゃ……愛にはたくさん笑ってて欲しいし…」
かすみ(そう言う気持ちは人の何倍もあるのに…女心が分からないなんて…アンバランスですねぇ……)
果林(そう思うと、神様って不親切よね)
【部室】
出ていった3人を目で追いかけて、ドアをずっと眺める愛。
愛「……………………峻の……ばか」
プクッと頬を膨らめて小さく呟く愛。
─────────────────────
【食堂】
「………………(まだかな……愛)」
あの話し合いの後…果林に言われた通り、食堂で待っていた。
果林は、ランジュと璃奈と果林と愛の4人で話したい事があるという名目で連れ出すと言っていた。
(それで着いたら俺が居る……って、座らずに帰ったりしたらどうしよう……)
愛「……………………あ……っ」
「……あ、愛……!」
席に着く前にこちらを発見した愛。
俺も思わず立ち上がった。
愛「…………な、なんで峻が居んのさ…」
「えっと……果林が、2人で話す場を作るって言って…」
愛「……あ……はは~…愛さん、まんまと騙されたって事か~…」
「……とりあえず、座って欲しい」
愛「…………うん」
どこかぎこちなく座って向かい合う2人。
口を開いたのは──────
愛「……ごめん」
「…えっ?」
愛「愛さん…ちょっとワガママになってた」
「ワガママ…?」
予想だにしないフレーズに、思わず固まる峻。
何かワガママな事言ってただろうかと思考を巡らせたが…見当たらなかった。
愛「その…彼氏って、初めて出来たから、さ?
色々求めたり…2人だけの時間を増やしたいなって思ってて…
だから、峻が助っ人に行ったらって言われた時…愛さんは2人の時間も欲しいのになって思っちゃって……その、機嫌損ねちゃって…」
「……あ…………い、いや!俺の方こそごめん!気が付かなくて…」
愛「……へへっ、鈍いのはいつもの峻だもんねっ♪」
いつもの様に笑う愛。
それを見て、こちらも肩の力が抜けた。
「ホントにごめ──────」
愛「ん!♪」
言葉の途中で、小指を出す愛。
「……えっと、これ……は?」
愛「約束!
もっと愛さんの事を構ってくれるよねっ?♪」
「……もちろん!」
グッと指切りげんまんをする。
そして、どちらともなく笑い合う。
愛「あーぁ!ホッとしたら何かお腹すいちゃったな~♪」
「何か食べる?飲み物持ってこようか?」
愛「じゃあ、ホッとしたから……ホットの紅茶!なんつって~!♪」
「おっ、だったらホットケーキとかいっとく?」
愛「あっはは!峻さすが~!♪」
いつの間にか、元通りになった2人。
ただ、愛が甘えたりするのは増えた……が、それでいいと思う峻だった。
【数日後】
愛「しゅ~~~~~~~んっ!!♪」
「い、今まで以上……にっ……腕に、抱きつく……ね…!」
愛「これが愛さんの愛情表現!なんつって~!♪」
かすみ「……何だか、前よりイチャイチャしてませんか?」
果林「そうかしら?」
かすみ「いやいや、なんで果林先輩は見慣れたって感じで見てるんですか……」
果林「これが大人の余裕よ、かすみちゃん♪」
かすみ「……あの、クッキー持つ手が震えていますけど…」
果林「…み、見てて恥ずかしいわよ!///」
かすみ「ですよね~……」
愛「もーっ、峻の事もっとメロメロにさせちゃうぞ~!♪」
「もうなってるけどな」
愛「……ぅぐっ……///」
果林「そ、外でやりなさいっ!///」
かすみ「やっぱり神様って不親切ですね……」
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