NEXT Rainbow!!   作:A×K

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皆さん、体調はいかがでしょうか。
こんな世の中ですが少しでも楽しくなって貰えるよう投稿、頑張っていきます。

※作者は接客業をやってる為、こんな状況かでなかなかリアルが厳しいのでなるべく頑張るのでご理解ご協力よろしくお願いします。


第42話

「………また、千歌の夢を見た…」

 

どんよりとした雲がかかった朝、俺は目が覚めた。

見た夢は病室で千歌が何度も俺の名前を呼び、涙する夢だった。

 

「…くそっ、妙にリアルな夢を見させやがって…」

しかし、これが夢なのか…それとも本当の悠としての意識の中で起こってることなのかは…俺には分からなかった。

 

「…俺…泣いてる…?」

ふと、自分の目頭を抑えるとツーーと涙が流れた。

 

「…くそっ、忘れよう…今は…忘れよう…!」

 

半ば逃げるように制服に袖を通した。

…外はどんよりとした雲から雨が降り始めていた。

 

 

──────────────────

 

 

「天気予報、外れちゃったね」

傘を差しながら歩夢が苦笑いする。

 

「だな…雨は………俺も嫌いだな」

「……峻くん?」

 

天を見上げ、傘を何度も打ち付ける雨を見て思い詰める俺を見て…歩夢は少し心配そうな顔をした。

 

「…ん、ごめん…変な顔してたか?」

「ううん!違うの!…ただ、少し怖い顔…だったから」

 

「…ごめんな、歩夢…でも俺は大丈夫だから」

手を差し伸べ、ポンと歩夢の頭を撫でる。

袖口が濡れたがそんなことはどうでも良かった。

 

 

(…俺は…今はあくまでも宮之原 峻だ。

目的を…見失うな…)

いつか、千歌とまた笑って……会えるように…。

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

【昼休み】

 

 

「うーん…前世の記憶がある少女…か」

昼休み、俺は自分の置かれてる状況について調べていた。

しかも、調べてる場所は…。

 

「何か真剣な顔をしていますが…調べ物ですか?」

────生徒会室で調べていた。

 

昼休みは菜々会長しかいないからだ。

ここなら気兼ねなく調べ物に没頭できる。

 

「…ん、ああ、少しね」

「あ!もしかして、お昼から始まったゲームのイベントの事ですか!?」

 

「違う違う……あのさ、変なこと聞くけど…」

「……………?」

 

「もしも…さ、もしもだよ?…自分が死んだと思ったら…別の世界で生きてたら…どうする?」

「…そ、それは……!!!」

 

 

 

あぁ、やっぱり動揺するよな…こんな話されたら…。

「異世界転生ってやつですか!?それはもうむねあつですよ!!」

 

「…うん、やっぱり菜々は菜々のままでいいよ」

しまった、この子はこういう類は食いつくんだった…。

 

「…でも、やっぱり少し…怖い気もします…

自分が…自分じゃないような気がした…」

「………あっ……………………」

 

──────自分が……自分じゃないような気がする…。

(……ぐうの音も出ないな…)

 

「ふふっ、急にどうしたんですか?♪」

「好きな人に趣味が似たのかもな」

 

「えっ……そ、それって…///」

「…さっ、教室に戻ろうかな」

 

「あっ……………」

「……あ、そうそう……また後で会おう、な?」

 

「…はいっ!///」

嬉しそう笑顔を浮かべる菜々会長だった。

 

 

────────────────────

 

 

【放課後】

 

 

「かーすみっ、何聞いてるの?」

 

部室に行くとかすみがイヤホンをしていた。

「あっ、峻先輩!♪

えへへ、今好きなスクールアイドルの新曲を聞いています!♪

峻先輩も聞きますか?」

 

「お、いいのか?…じゃあ…」

差し出されたイヤホンを耳に装着をすると……。

 

「…これ……Saint Snow…」

「あっ、知ってますか!?

さすがですねっ♪」

 

「……………………ああ…」

流れていたのは…Saint Snowの…歌だった。

……聖良の声が…いつになく、心に刺さった。

 

「…あれ、峻先輩、もういいんですか?」

「…うん、ありがとう…ごめんな…」

 

イヤホンを返して…俺は自分の作業に集中した。

(……くそっ、聖良の声が聞きたくなってきた……)

 

そんな中で集中できる訳もなく…ミスが続いた。

「…あっ、ここ改行してねぇ…スペルも間違ってる…」

 

ため息が何度も出る。

……ダメだな、これは…。

 

「峻さん、大丈夫ですか?」

マグカップにコーヒーを入れたしずくが歩み寄ってきた。

 

「…ん、ああ、ごめんな…」

「いえ、時には休養も必要ですよ♪」

 

…確かに…少し肩に力が入ってたかもな。

ぐるぐると、肩を回す仕草を見て、しずくが俺の肩に手を置いた。

 

「…しずく?」

「肩…揉んであげますね♪」

「え、いや…大丈…………」

 

と言おうとしたがしずくは俺が言い切る前に肩を揉み始めた。

 

「…ん、意外と…上手いんだな」

「本当ですか?ありがとうございます♪」

上機嫌になったのかしずくのマッサージが、更にエスカレートする。

 

「…し、しずく?」

「峻さんの…っ、背中…大きいですね…///」

 

「あ、あの………」

「あーーー!しず子ずるいー!!」

 

「峻くん……」

「2人とも…そんな目で見るな…」

 

「なになに、なんの騒ぎ~?」

「いつもの…峻さん争奪戦…?

璃奈ちゃんボート…''やれやれ''」

 

「ま~ま~…彼方ちゃんは峻くんの膝で寝かせてもらうね~…♪」

「…えっ、何この状況…」

 

膝枕で寝ている彼方に、マッサージをしてくれるしずく。

そしてその様子を呆れた顔で見る璃奈ちゃんと歩夢だった。

 

 

 

─────────────────

 

 

【その日の夜】

 

「………………………」

1人、部屋で携帯とにらめっこ。

 

そこには11桁の電話番号。

………よし…かけよう……。

 

少し震える手で電話ボタンを押す。

 

 

数コールの後、少し不信そうな声が電話口から聞こえてきた。

 

【…はーい?もしもし…?】

「…あ…千歌…ちゃん?…俺、峻」

【あっ、峻くん?!…えっと、どうして電話を?

それに電話番号も…】

 

…あ、いけね…言い訳考えなかった…。

「ほ、穂乃果から聞いた!」

【あ、そうなんだね!…それで…何かあったの?】

 

 

「…凄く、変なこと言うけど…千歌ちゃんの声が聞きたくなって…って言ったら…変かな」

【…………………………ぁ………】

 

さすがに黙り込む千歌ちゃん。

そりゃいきなり電話かかってきて声が聞きたいとかおかしいよな…。

 

【…い、今ね…あなたに会いたいなって…私も思ってたの…///】

「千歌ちゃん…」

【ご、ごめんね!変だよね!あ、あはは!】

 

【……ねぇ、今度…また沼津に来て…ね?】

「うん、約束するよ」

 

【うんっ!みんな待ってるよ!】

…今は……今はこの距離感を…大切にしなきゃ…。

 

【…あ、そうだ…ねぇ、質問していい?】

「…ん?」

 

【昨日の夜ね、変な夢を見たの……私が…病院の病室で泣いてる夢…】

「………っ!!!!」

 

【えへへ、変な夢だよねっ、忘れてね!】

そう言うと通話終了のボタンが押されていた。

 

天井を見上げる。

途方もない焦燥感に苛まれる。

 

 

気がつくと俺は…そのまま眠りについていた。




次はμ'sとの対決!

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