むしろスクフェスの曜ちゃんをゲットしないと…
それは、突然の事だった。
【ごめんっ、明日空いてる…!?】
「…えっと、曜ちゃんから電話してくるなんて…珍しいね?」
電話の相手は曜だった。
…大方、千歌から電話番号でも聞いたのだろう。
【じ、実は…困ったことがあって…】
「困ったこと?」
【出来るなら、明日沼津に来て欲しいの…お願い…っ!】
声の様子からすると本当に焦っているようだった。
…曜の頼みなんだ…見過ごす訳にはいかない、よな…。
「わかったよ、何時に行けばいい?」
【ほんとっ!?ありがとう~…!
えっとね、10時とかで大丈夫だよ!】
「わかった、着いたら連絡するね」
【あ、私迎えに行くから大丈夫だよ!】
そのまま通話は終了した。
…電話を切った後に気がついた。
「……あっ…明日ってμ'sとの対決の日だった」
─────────────────
次の日、俺は歩夢に謝って沼津に向かった。
μ'sのメンバーには歩夢の方から伝えておいてくれるそうだ。
……よく出来た幼馴染だ、頭が上がらないよホント。
「あっ、峻くんー!」
「お待たせ、曜ちゃん」
長時間電車に乗ってた体を伸ばすと曜ちゃんが手を振っていた。
「本当にごめんね、急に呼び出したりちゃって…」
「曜ちゃんがそんなに慌てるってことは余程な事態なんだろ?」
「…えっとね、バス乗りながら…説明していいかな?」
「ん、どこか向かうのか?」
「……………それが………」
「……千歌ちゃんと梨子ちゃんが喧嘩してる~?」
「そ、そうなの…昨日から……」
…確かに珍しい…。
元々、Aqoursのメンバーでの喧嘩はそんなに見た事がない。
ましてや、千歌と梨子に限ってそんなこと…。
「喧嘩の内容は?」
「…次のライブ用の曲についての方向性が違うって…
でも、私音楽のことはよく分からないから誰に相談したらいいのかなって…」
なるほど、それで俺に白羽の矢が立ったのか。
確かに、作曲と作詞をする人で意見が食い違うのは問題だし、このままにしておくとグループにも亀裂が入りかねない。
「…おっけ、俺がなんとしてみるよ」
曜の頭にポンと手を置く。
「…あ、ありがとう…でも、峻くん…少し恥ずかしいかも…///」
「…あっ、ごめん…」
少し気まずい雰囲気の中、俺と曜は十千万旅館へと向かった。
────────────────────
十千万に着くと、千歌が出迎えてくれた。
…………が。
「むーーー…いらっしゃい…」
腰に手を当てて明らかに怒ってますムード満載の千歌。
少し新鮮で笑っちゃいそうになったが我慢して平然を装う。
「お邪魔します」
「曜ちゃん~、なんで峻くん呼んだの~…」
「あ、あはは…頼れる人、峻くんしか居ないから…」
…そっか、頼れる人…か。
「まぁ、いいや…上がって?」
「お、おう…」
…む、これは予想以上に只事では無いな?
部屋に案内されると、梨子も座っていた。
……が、そっぽを向いて全然会話にならないような感じだった。
「……よっと…んで、方向性の違いが出てるんだって?」
その言葉に梨子がピクっと体を反応させる。
そして、横顔しか見えないが…物凄くバツが悪そうな顔をしている。
「千歌ちゃん、作詞ノート見せて?」
「……え、ええ…恥ずかしいけど…わかった…」
1冊のノートを受け取る。
付箋をしてあるページを開くと。
【ポップな明るい曲】
【感動的な心に響く曲】
この2つしか書かれて無かった。
「…なるほど、ね」
パタンとノート閉じて机の上に置く。
「んーーーーーーーー…………………………」
長い事考える俺を心配そうに見つめる曜。
しかし、どうしたものかな…虹ヶ咲のメンバーのライブが直近では無いとはいえ…。
Aqoursのライブに俺が加担するのもなぁ…。
「……………なぁ、千歌…ちゃ、ん…ライブまで…あとどれくらい?」
危ねぇ、呼び捨てで言うところだった。
「えっ………1ヶ月…」
…しゃあねぇ、これも悠として戻れる方法…かもしれないしな。
「……''作詞と作曲、俺に任せてもらえないかな''」
「「……えっ…!?」」
その言葉に千歌と梨子が驚いた表情でこちらを見てきた。
そしてお互いの顔を見直した2人が顔を俯かせたり目線を外したりした。
「正直言って今のままじゃどっちの作業も進まない!」
「…………うぅ」
「そ、それは……」
「作詞と作曲は俺が担当するから…2人はちゃんと仲直りする事!!いいね?」
「………うん」
「……はい」
「…えっと、曜ちゃんには衣装のことで色々伝えるかもしれないけど…」
「うん!ルビィちゃんにもすぐ伝えるから安心して!♪」
「じゃあ、一通りのアイデアを俺と曜ちゃんで出すから…2人はまず話す事から始めなよ?」
「「…分かった」」
そのまま俺と曜は十千万旅館を出た。
…後はあの2人ならすぐにでも仲直りするだろう。
「…ありがとう、峻くん…やっぱり峻くんに頼んでよかった」
「あのAqoursが喧嘩なんか似合わないからな」
「へへっ、そうだよねっ!♪
…それで、どこに行くの?」
「とりあえず喫茶店で少しイメージをかきこんでおこうかなぁ」
「曜もお供するであります!♪」
「元からそのつもりだったよ」
2人で笑い合いながらまた沼津にとんぼ返りするのであった。
─────────────────
「それで、どんな感じの曲にするの?♪」
向かい合った曜が紅茶片手にこちらを見てくる。
…なんか、恋人同士みたいだな…。
って、違う違う…。
「んー、笑顔で歌えて…尚且つ感動的なフレーズをメインにしたいなぁって…い、言いたいこと…伝わってるかな?」
「いいね、それ!♪」
「お、おうっ、伝わってよかった…」
「じゃあまずは曲のタイトルかな?」
「…うーん…」
携帯のメモ帳機能に…カタカタと打ち込む。
「…どれどれ…」
身を乗り出して携帯を覗き込む曜。
その行動に俺が動揺をする。
「よ、曜ちゃん!近い!!」
「えっ?…あ、あぁ…っ…ご、ごめん!!///」
胸元とか強調強いんだから刺激が…強めなんだよ…。
「なんか英語のタイトルだったけど…」
「か、完成までのお楽しみだから!」
────────────────────
【時同じくして】
にこ「あれ、峻は居ないのね?」
にこに指定された場所に来たμ'sと虹ヶ咲のメンバー。
…と言うか指定された場所は…。
せつ菜「ここは…牧場、ですか?」
キョロキョロと辺りを見回すせつ菜。
辺り一面緑が生い茂る、紛れもない草原だ。
璃奈「今回の対決は…カリスマ性、だよね…?」
果林「ええ、でも想像がつかないわね…」
うーんと、考える璃奈と果林。
そんな時、不敵な笑みを浮かべるにこ。
にこ「ふっふっふ…カリスマ性とは生きとし生けるものを魅了する大事な要素よ!」
しずく「生きとし…」
彼方「生けるもの~…?」
首を傾げるしずくと彼方の横でポンと手を叩く愛。
何か閃いたようだ。
愛「動物に懐かれてるかって事か!」
にこ「その通り!人だけじゃなくて動物に懐かれて初めて真のスクールアイドルよ!」
ことり「…そ、そうなのかな?」
絵里「…さ、さぁ…初めて聞いたわ」
絵里に耳打ちすることり。
流石の音ノ木坂学院生徒会長でも苦笑いを浮かべるしか無かった。
にこ「さ、そっちは…歩夢とかすみのどっちが出るのかしら?」
かすみ「歩夢先輩~!お願いします~!(ど、動物触れないとか…言えない…!)」
歩夢「わ、分かった…私、やってみるね!」
にこ「まぁ、無難なところね…ウチからは、穂乃果!頼むわよ!」
穂乃果「はーい、頑張りまーす!♪」
制限時間は1時間、歩夢はと言うと…。
歩夢「ヤギさん、こっちにおいで♪」
せつ菜「さすが、歩夢さんです!」
果林「動物たちも警戒心なく近づいているわね」
エマ「なんかスイスの牧場思い出しちゃうな~♪」
絵里「それに比べて…」
海未「穂乃果はどこに……」
穂乃果「だあああああれかあああああ!!」
小高い山の上から穂乃果が猛然とダッシュしてくる。
────その後ろには…。
真姫「な、なにあれっ…ヒツジの…郡!?」
凛「いっぱい居るにゃー!♪」
せつ菜「って、こっちに向かってきてますよ!?」
かすみ「ぎゃー!しず子どうにかして~!!」
しずく「ど、どうにかって…!!」
歩夢「あ、あれっ!?ヤギさん達もあっちに行っちゃった…!」
ことり「あれって……」
海未「ええ、追いかけられてますね…」
穂乃果「ぎぃやあああああ…!!」
そのままポカンとするメンバーの前を猛ダッシュで通り過ぎる穂乃果だった…。
────────────────────
穂乃果「はぁ…はぁ…疲れた…」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん…お疲れ様…」
希「餌やりをするつもりが…どうなったらあんな風になるん…?」
にこ「…えっと、虹ヶ咲のみんな穂乃果の勝ちで異論は無いわね?」
その質問にみんな苦笑いで頷くしか無かった。
かすみ「ま、まぁ!かすみんは最後まで勝負が縺れるって分かってましたけどね~!♪」
にこ「もっちろん、にこへのお膳立てよね~♪」
かすみ「なにを~!」
にこ「なによ~!」
バチバチと火花を散らす2人。
因みにこの対決の事をその日の夜に峻に伝えた歩夢。
彼からの【牧羊犬じゃん…】という言葉に歩夢が大爆笑していた。
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