果林「あら、そんなことしないわよー?
するとしたら…こう…パイプカット?」
彼方「…ガクガクブルブル…」
………遠くで…誰かが…声をかけている。
太陽の光で…顔は見えない…。
声も…口の動きしか、分からない。
…なんて、言ってるんだろう…。
(……待って、る……………?)
近づこうとした矢先…俺の視界は真っ暗闇に覆われた。
「…っ…………ぁ……!!!!!」
目が覚めると…そこは見慣れた…旅館の屋根だった。
「…俺、は…」
花丸「気がついたずら?」
「……花丸…俺は…」
花丸「過換気症候群…過呼吸だと思うずら」
「…過呼吸……っ!曜と果南は!?」
花丸「心配してたけど…ここはまるが任されて悠さんの様子を見てたずら」
「……そっ、か…」
花丸「そっか、じゃないずらよ~
いきなり前の記憶で最後に残ってる場所に行くなんてどういった了見ずら?」
「いや、まさか俺もこうなるなんて…」
花丸「…まぁ、まるもこれ以上はなんとも言えないずら……それに…」
襖に手をかける花丸。
そして、勢いよく開けると……。
まるで雪崩のように数名が部屋に流れ込んできた。
千歌&穂乃果&せつ菜「だあああああっ…!!!」
花丸「盗み聞きはよくないずらよ~」
しまった、聞かれたか…っ!?
千歌「あ、あっはは~…いや、上手く聞き取れなくて…つい、襖に耳を…」
穂乃果「まぁ、聞こえなかったんだけど…」
せつ菜「ともかく峻さんが目覚めて良かったです!」
「あ、あぁ…過呼吸って言われて驚いたけど…大丈夫だよ」
歩夢「あっ…!…峻くんっ、大丈夫!?」
「…歩夢…うん、大丈夫だよ…少し無理しちゃったかもね」
歩夢「…あんまり、心配かけないで…」
「…うん、ごめんね…歩夢」
果南「ふ~…上がった上がった…花丸ちゃん、峻の様子は~?」
絵里「あぁ、ちょっと果南!」
彼方「もう遅いと思う~…」
曜「止めたんだけど聞かなくて…ごめん」
部屋に様子を見に来た果南の格好は…バスタオル1枚だった。
「…ぶっ……」
穂乃果「あああああ!峻くんが卒倒したあああ!?」
曜「…な、何だか笑顔だけどね…」
果南「…あ、あはは…いつもの癖で…」
────────────────
絵里「…さて、具合はどうかしら峻?」
「おかげさまで…クラクラしてましたが大丈夫です」
絵里「ふふっ、災難だったわね♪」
ダイヤ「果南さんには後できつーく叱っておきますわ」
「お、お手柔らかにね…」
絵里「本題に戻すわ…皆でイメージを出し合ったんだけど…峻の意見だけを聞いてなかったわ」
「…俺の…イメージ…」
ダイヤ「抽象的でも構いませんわ、ぜひお聞かせください」
「……………………………」
【輝きたい!】
…なんで…千歌の言葉が…。
絵里「…急だったかしら?…もう少し休んだら聞かせてちょうだい?」
ダイヤ「そうですわね、体が1番ですから…」
そういって席を外そうとする絵里とダイヤ。
「…待って!!」
絵里&ダイヤ「………え?」
…そうだよ。
イメージなんて……言いたいことなんて、1つしかない。
俺にとっては…Aqoursは…スクールアイドルは…。
「……夢」
絵里「夢…?」
ダイヤ「それは、どう言う…」
「…集え、みんなの夢……なんて、どうかな」
絵里「…集え…」
ダイヤ「みんなの夢…」
「スクールアイドルをやろうとしてる人もさ、今やってる人もさ
絶対なにか心に夢や憧れを持ってるはずだと思うだよ
輝きたい…とか…大好きって気持ちだったり」
絵里「…………」
ダイヤ「峻さん…」
「…だから、俺たちは…その夢を…与えたい
みんなに見せてあげたい…μ'sやAqours…虹ヶ咲学園のみんなが…見てくれてるみんなに届ける夢を」
絵里「………ふふっ、決まり、ね」
ダイヤ「ええ、どこかのリーダーによく似てますわ♪」
「……あはは…」
こうして、絵里とダイヤがほかのメンバーに意見を問いかけた所…満場一致でテーマが決まった。
【集え!みんなの夢!】
これが…スクールアイドルフェスティバルのテーマ…。
───────────────────────
【虹ヶ咲学園 部室】
「…ということで合宿の報告は以上」
愛「集え!みんなの夢!かぁ~、鶴の一声でテーマを決めるなんて…流石、我らが部長さんだなぁ~」
かすみ「それも凄いですけど…倒れたって大丈夫なんですか?」
「うん、過呼吸だって…あはは、Aqoursの練習に着いて行ったらそうなるよね~…」
…あの後、曜が申し訳なさそうな顔をしてたが…俺は頭を撫でた。
倒れたことよりも、Aqoursとしての日常を少しでも感じれたからだ。
しずく「…あのっ、峻先輩…」
「…ん、どうした?」
しずく「いえっ、まず…合宿お疲れ様です…それで…少し耳に入れておきたい事が…」
「…ん?」
少し話すのを戸惑ってるしずくの姿に俺たち合宿組はただならぬことだと感じた。
しずく「実は────────」
「……三船栞子が…そんなことを?」
しずくから言われたのが…三船栞子が子供と遊んでてその間すごく笑っていたということ。
この学園ではまるで見せないような…笑顔を。
果林「意外ね…そんな一面があるなんて」
「…少し、裏がありそうな気もするが…
まぁ、本人から聞こうにも口は割らないと思うけど」
しずく「やはり、悪い人ではないと思うんですが…」
「…明らかにスクールアイドル同好会を目の敵にしてる部分に対して、か…」
しずく「正直、スクールアイドル同好会にだけ、なのかは分かりませんが…」
「…もう少し、三船栞子について知りたいな
スクールアイドル同好会が無駄という理由も知りたいし…」
璃奈「私…リサーチしておく?」
「すまない、少し裏を取っておいてくれないか?」
果林(…本気ね、峻…)
せつ菜(…やっぱり…真っ向から対立する気、ですかね…)
歩夢(…峻くん………)
────────────────────
【その日の放課後 一年生の教室】
「これから生徒会か?」
栞子「…また貴方ですか」
顔色を変えないで栞子が横を通り過ぎようとした。
「しずくから聞いたぞ」
栞子「…………………………………………」
栞子の歩く足が…止まった。
「ボランティアに参加するのは大いに結構…実に素晴らしい事が
…んだが、俺が言いたいのはそこじゃない」
栞子「スクールアイドル同好会を廃部にしたい…という点ですか?」
「ニュアンスが違うな
…どうして無駄だと言う?…いや、言いきれる?」
栞子「簡単な事です…特に、貴方…宮之原 峻さんの場合」
「…どういうことか、御教授願おうか?」
そう言うと栞子は俺の目の前まで近づいて顔を近づけてきた。
栞子「…私の生徒会長補佐になれば…もっと自分の可能性が見い出せますよ」
「…またそれか」
栞子「事実、貴方には人を引きつける力があります
…カリスマ性、というものでしょうか。
私が生徒会長ではなく…あなたがなればもっと学園はいいものに──────」
「……ふっ…買いかぶりだな
…それに、自分の可能性は…自分で決めるさ
俺のその力とやらは…スクールアイドル同好会の為に使わせてもらう…俺の夢、だからな」
栞子「…夢…ですか」
「そのうち分かるさ……頭の固いアンタでも分かるくらいにな」
栞子「…何故そこまで…スクールアイドル同好会に固執するのですか?」
「スクールアイドルには…アイツらには人に夢を与えられる存在になる、俺はそう信じてる
アイツらのやってる事は…なんにも無駄じゃないってな
…ま、今の言葉そのまま返したいけどな」
そう言って俺はその場をあとにしようとした。
「…あ、そうそう」
栞子「…………………………………」
「余計なお世話かもしれんが…調子乗って爪伸ばしすぎたら…いつか剥がされるぞ?」
栞子「…ご忠告、どうも…」
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千歌ちゃんのお誕生日編も、書くよ!!