NEXT Rainbow!!   作:A×K

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スクスタとは一味違った世界をお楽しみ下さい…!


第84話

【屋上】

 

彼女は1人、そこからグラウンドを眺めていた。

片手には…携帯電話。

 

栞子「…はい、理事会の要望は把握しています

今回の部活動紹介で新入部希望者を300人…ですね

そちらの方は私の方で何とか致します」

 

神妙な声と表情のまま通話は終了した。

 

栞子「300人…ですか、早急に対策を練らないと…

改革は簡単でないと思ってましたが…こうも難航するなんて…」

 

携帯電話を握る手にも力が入る。

栞子「しかし、諦める訳にはいきません…

虹ヶ咲学園の理念を…そして、皆さんの将来を成功へと導くためにも…ここは妥協は…」

 

その時だった。

「いやぁ~、素晴らしい理念も持ち主だ

拍手しちゃうね、これは」

拍手をしながら…彼はこちらに歩み寄ってきた。

 

栞子「…盗み聞きとは悪趣味ですね」

「別に盗んでもないし聞きたかったわけでもねぇよ

ただ、栞子が先に屋上に来てたってだけだ

…んな事より、俺だから良かったけど…その要望とやら…そんな簡単にいくのか?」

栞子「…そこまで聞いていましたか」

「…ミーティング、難航してたんだって?」

 

栞子「どうして…こうも上手くいかないのでしょうか…」

「…あのさ」

栞子「はい…?」

 

「とりあえず…だけど

自分のやり方はこうなんだ!!絶対合ってるんだ!って思って今までミーティングとかやってきた?」

その言葉に栞子は頷いた。

 

「…んー…栞子って、なんかやってる?部活以外で」

栞子「日本舞踊や…茶華道を…」

「じゃあ、茶華道でいいや

…もし、栞子が茶華道の部活に入りたい…って思ってて入部試験受けてさ

お前は向いてないー!やめろー!って言われたどー思うよ?」

 

栞子「………………………」

「日本舞踊だってそう、別にただ意味もなくやってる訳じゃないだろ?

尊敬するこんな人の表現方法に近づきたい!

見てる人を感動させたい!って何かしらも目的や意思があると思うんだけど」

栞子「それは……………」

 

「全面からその対策や改革を否定はしない…けど、もう少し融通の聞いた方法があるんじゃないか?」

栞子「………なぜ…そこまで…」

「何ででもいいだろ」

 

栞子「…最初の頃から…貴方も…峻さんも変わりましたね…」

「…なんか、俺が丸くなったみたいな言い方だけど…栞子がもっと素直でいい子なら初めからそんな関係性になってなかったんだからな?」

栞子「……………わ、私は素直です…っ!!!」

 

 

コホンと咳払いをし、再び神妙な顔つきに戻る。

栞子「…ただ、楽しいだけだなんて…間違ってると思うんです」

「…と言うと?」

栞子「……………私は…今まで…そんな人を見てきましたから…」

 

「んー…………過去を詮索する悪趣味は無いけど…俺は違うと思うな」

栞子「…では、峻さんの思う理想をお聞かせ願いますか」

 

「…まず初めに…部活動をやるのに上手い下手は関係ないと思う

野球だってサッカーだってバスケットボールだって吹奏楽だってスクールアイドルだって…何でやってるの?って聞かれたら大好きだからに決まってるだろ!って答えるのが正解だと思う

本人がその大好きなものをやり続けた先に何か自分のためになるものが見つかる気がするんだ」

 

栞子「それでは…っ…将来後悔することが…っ!」

「栞子、お前の理想もそれに近いものがあると思うぞ」

栞子「……………えっ……………」

 

「アドバイスして転部させた…所までは良かったが結局元鞘に戻ってしまった…

つまり、その人たちも元の部活への情熱や大好きだからって気持ちを取ってしまってた

そのまま、転部したままだと…俺は縛られたままになってると思う

やりたい事が~…とか、やっぱりあれがやりたい~…って事を

…縛られたままの鳥は急には飛び立てないよ

それは人も同じ」

 

栞子「…私は…ただ、わかりやすい判断材料を提示しただけです…っ」

「わかりやすい部活動紹介にしたいって気持ちは…部活のみんなが1番わかってるのでは?」

 

栞子「…では、どうして…受け入れてくれないんでしょうか…このままでは…部活動紹介を中止せざるを…」

「おいおい…中止って大丈夫なのか?前代未聞じゃ…」

栞子「…そう、ですが…このまま不完全なままでやっても…結果なんて分かりきっています…むしろ新入生達に不信感を与えてしまう恐れも…」

 

「(中止にする方が不信感を与えそうだけどな…)それは断固として阻止してぇなぁ…同好会のライブもある事だし」

栞子「私だって困ってます…貴方たちとは違い学園の運営に関わることですから…」

「まぁ、まだ決まったわけじゃないしな」

栞子「ですが、このままだと中止になる可能性が徐々に高くなっていくのが現実です」

 

「…どうにかしないと…更に他の部活から反感を買うぞ」

栞子「どうにかできるならとっくにしています

中止だなんて不本意極まりない…ですが、私にも譲れない物があります……」

 

「おっ、弱気な栞子…珍しい~」

栞子「別にっ…弱気になんて…」

 

 

「………しょーがねぇーなぁー…手伝ってやるよ、とことんな」

栞子「…ですが、貴方はっ…貴方たちは私の事を目の敵にしてるのでは…っ」

「うるせぇ、先輩の言うことくらい素直に聞き入れろや」

 

栞子「せ、先輩なのは確かですが…っ…私は生徒会長ですっ」

「生徒会長補佐としても先輩なんだから俺の方が上!

…いいか?ギブアンドテイクだ、これは

あくまで、スクールアイドルフェスティバルに向けたライブを俺たちは部活動紹介でしたい、それだけだ」

栞子「…別に、聞いてもらっただけで結構です

手伝って欲しいなど…誰も…」

 

「嘘だ!!!!!…っと、まぁそれは良いとして…困ってんのは事実なんだろ?」

栞子「………」

「はーい、素直になる~」

栞子「………はい」

「なら、協力しあおうよ、な?

まずは視野を広く持とうぜ、そうすれば対策案なりなんなり浮かんで来ると思うぜ」

 

栞子「…本当、ですか?」

「ああ、そのためには…まず…」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【部室】

 

かすみ「峻先輩、遅いですね?」

璃奈「なんか…最強のグラップラーになって帰ってくるって言って部室飛び出したけど…」

 

せつ菜「競うな…持ち味をイカセ…!!!!」

 

 

「おっすー…あれ、せつ菜?なんでファイティングポーズを?」

彼方「おかえり~峻くん~♪」

果林「あら、お客さん?誰かし………」

 

栞子「………………っ」

かすみ「あぁーーー!!三船栞子!!」

しずく「きょ、今日は何の御用でしょうか…っ!?」

 

栞子「…………っ……………」

何故か峻を睨む栞子。

 

「んっ…ほーら!!」

しかし、その睨みをものともせず顎をクイクイさせて何を催促する峻。

 

栞子「…そ、その……その節は…嫌な対応をして…申し訳ございませんでした…」

かすみ「…えっ……えっ!?!?」

身構えるかすみ。

 

 

璃奈「こ、怖い…」

璃奈ちゃんボードを震わせる璃奈。

 

歩夢「…峻くん、どういうこと?」

「ミーティング、行き詰まってたんだろ?

…まぁ、ギブアンドテイクってことで助け舟を出した」

せつ菜「それは…何となく予想がついてましたが…

三船さんが部室に来るのは…いったい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ~れ~は~………………''体験入部''だ!!!!」

「「……………………………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「えええぇえぇぇぇえぇえ~!!!???」」

栞子「……………………………………は?」




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次回:栞子、同好会の地に立つ!

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