皆さんのご武運をお祈りしています…!
「…さて、と……」
手帳をパタンと綴じ、生徒会室に向かった。
(文芸部…天文部、科学部に演劇部は今の条件で大丈夫…と…まぁ、演劇部はしずくの助力もあったからだけどな…)
各部に話し合いに出向き、何とか条件を変えなくてもいい部活がチラホラと出てきた状況だ。
「営業の仕事かっつの…」
…と、愚痴を言っても始まらないし…何より…。
(あいつのあの顔の真意について知りたいしな)
いつもより、生徒会室に行くスピードが早かったような気がした。
──────────────────
【一方、部室では】
かすみ「う~…たーいーくーつー!」
果林「はいはい、練習するわよ?」
歩夢「…これ、峻くんが書いてくれたんだよね?」
スクールアイドル同好会のメンバーはホワイトボードに目を向けた。
そこにはぎっしりと今日の練習メニューと各自改善するところ、気をつける点が書いてあった。
しずく「本当に峻先輩はよく見てくれてますね…」
エマ「その分、私たちは期待に応えないとねっ♪」
彼方「おぉ~、そう思ったらやる気出てきた~♪」
愛「それじゃあ、練習始めますか!あいあい、おー!」
せつ菜「それいいですね、愛さん!あいあい、おー!」
かすみ「あの2人、いつも以上に暑苦しい…」
璃奈「モタモタしてると、置いてけぼりになっちゃうよ?(ボソリ)」
かすみ「なっ……か、かすみんだっていつも以上に練習出来るもん!!!」
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【生徒会室】
「ふー……戻ったぞ」
栞子「おかえりなさい、それでどうでしたか?」
「…おかえりなさいって言われるのも新鮮でいいなぁ」
栞子「か、帰ってきた人におかえりなさいというのはごく自然のことですっ///」
「あはは、それもそうか
…とりあえず、文芸部と天文部、科学部に演劇部は今の条件で大丈夫と返事を貰ったよ」
栞子「…ほ、本当ですか…っ!?!?」
「こんな状況で嘘はつかないんだけどなぁ…
色々譲歩はしたけど…まぁ、栞子の伝えたいことをしっかり話したらわかってもらえたよ」
栞子「良かった…………」
目を細め、安堵の息を漏らす栞子。
「…んが、バスケ部とソフトボール部はまだ…というか、ラスボスはこの2つなんじゃない?」
栞子「……………………」
「…はぁ、まぁこんな展開になると思ったよ…ほい、これ」
栞子「な、なんですか…手帳なんか見せて…」
「生徒会の頑張りを認めてくれて、向こうから譲歩案を出してくれたんだよ…見てみ?」
栞子「…ありがとうございます…」
「まぁ、今はそれを元に落とし所を見つけるしかないのかなぁ」
栞子「…いえ、大進歩です…今までは話し合いにすらなりませんでしたから…」
「形はどうであれ、みんな学校を良くしたいのは変わりないさ
誠意を持って真摯に付き合えば皆も分かってくれる
…これなら、何とかなりそうかもな、学校説明会」
栞子「…はい、しかし…驚きの連続です…
あなたにこんな調整力が……いえ、会長補佐としての素質があるのは分かっていましたが…私の予想を遥かに上回ってました…
見誤ってしまって、申し訳ありません」
「今更何堅苦しくなってんだよ、それに俺は全然さ」
栞子「いいえ、誇っていい事だと思います」
「褒めても何も出んよ」
栞子「会長補佐の席は…峻さんに取っておきます…だから、いつでもいいので…来て、くださいね…?」
「じゃあ、報酬は栞子がいいなぁ」
栞子「えっ………///」
「うそうそ、もっと白々しい目で見ないと、そこは」
あ、別に軽蔑されるのが快感って訳じゃないからね?
栞子「…そ、その時が…来ましたら…///」
「…え?」
そんな会話の後、なんとも言えない空気の中、2人で部室に向かった。
栞子「お待たせしました」
…当の本人はケロッとしてるし…さっきまでの表情はどこへやら…
「ごめんごめん、遅くなっちゃった」
エマ「おかえり~♪
ちょうど一区切り着いたところだよ♪」
彼方「まだまだ頑張るよ~♪」
「…えっと、その事なんだけどね?」
璃奈「うぅ…嫌な予感…璃奈ちゃんボード…ブルブル…」
「あ、そこまで大事じゃ……いや、大事か?」
栞子「…残念ですが、時間の関係上披露する曲は1曲しか…」
あ、言われた…まぁ、うだこだしてた俺が悪いわな、今のは。
「「「えっ………えぇ~!!!!????」」」
…うん、まぁこういう反応になるよね。
「こちらも何とかしたかったんだけど…学校説明会は出る部も多いし…5分が限界だった」
璃奈「5分…璃奈ちゃんボード…ガーン…」
「…すまない!!!」
頭を下げる、俺にはこれしか出来なかった。
しずく「か、顔を上げてください!…どうにかならないんですか?」
栞子「峻さんの大きな尽力もあったので…それに伴った利益を還元したいところですが…不公平は出来ないので…」
かすみ「せーーっかく、かすみんのパーフェクトでプリティーなライブができると思ってたのにぃ~!」
愛「なーに、自分が歌う前提で話してるのさー?」
かすみ「だってだって~代表で歌うのはやっぱり一番可愛いかすみんに決まってますよ~、ねっ先輩♪」
せつ菜「いえっ、ここは私のスクールアイドル愛を入部希望者に惜しげも無く披露したいと思います!」
果林「やっぱり、セクシーなダンスで魅了した方が映えると思うのよねぇ…どう思う、峻?」
彼方「何を~っ???彼方ちゃんだってやる気にみなぎってるんだぞ~っ??」
愛「注目度で言ったら愛さんでしょー♪
MCもダジャレ大会もなんでもござれっ!♪」
しずく「そ、それならっ私だって朗読をしますよ!
癒されたって評判なんですから!…あっ、今度、峻先輩にもしてあげますからねっ!♪」
彼方「あ~っ、彼方ちゃんにも~♪」
愛「かなちゃんが聞いてどーするのさ!」
エマ「あーっ!私の日本の童謡100曲チャレンジやってたんだった…!
100曲目は説明会で披露したいなぁ~…?」
璃奈「なら、私はライブと一緒にホログラムやプロジェクションマッピングを使った近未来ライブを…」
「………うーん、どうするべきかねぇ…」
歩夢「…………………あのっ…」
1人、口を閉ざしていた歩夢が話し始めた。
「…歩夢?」
歩夢「今回は……私にやらせてほしい!
私に譲ってほしいの!!!!」
かすみ「…ぁ…歩夢…先、輩…?」
突然の大声に呆気に取られるかすみ。
無理もないだろう、俺も驚いている。
果林「歩夢が自己主張するなんて珍しいわね…」
せつ菜「は、はい…驚きました…」
栞子「私も上原さんが適任かと思われます」
「…と、言うと?」
栞子「学校説明会はまだ見ぬ部活へのイメージが大事です
長くスクールアイドルをやっていたり、演劇で培った技術を披露するのもいいですが…まだ日が浅くひたむきに一歩一歩頑張ってる上原さんのステージが1番伝わるかと」
愛「むーーーん……言わんとしてる事は理解できる…」
エマ「たしかに…自分に近い人を見せてあげるのがいいのかも…」
「…決まり、だな…歩夢、今回のライブは君に決めた!
…みんなも、それでいいよな?」
彼方「賛成~っ♪」
かすみ「仕方ないですね~…埋め合わせはきちんとしてくださいねっ、峻先輩♪」
「俺がするのかよっ」
果林「歩夢がやる気になってる以上応援しない手はないわよ?♪」
歩夢「みんな…ありがとう!!」
こうして、ライブは歩夢のソロステージになることが決定した。
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