鬼喰いの針~人間失格になった私は鬼として共食いします~   作:大枝豆もやし

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やっと猗窩座戦ですよ!
彼は一度葉蔵と戦わせたかったんですよね~。


vs猗窩座

 とある日の早朝、蝶屋敷。

 そこに一人の来客が現れた。

 

「は~い、ちょっと待ってください!」

 

 アオイは一旦作業を切り上げ、来客に対応するため玄関へ向かう。

 急な来客、しかもクソ忙しい早朝に、である。

 そのことにアオイは苛つきながらも表に出さまいと笑顔で出迎える。

 しかし、その来客を見て表情を一転させた。

 

「嘘……何で……」

 

 アオイは憔悴した。

 まさか、柱の本拠地である蝶屋敷に鬼が、しかも明らかに雑魚鬼とは格の違う鬼に出会うなんて思っていなかったからである。

 

 アオイは元々鬼殺隊士であったが、鬼と戦うのがどうしても怖くて、鬼狩りを続けることができなかった。だから実力もさして高いとはいえない。

 

 しかし、鬼の強さというものを何となく感じ取れた。

 それによれば、目の前の鬼は巧妙に擬態しているものの、アオイが今まで出会ってきた鬼の中では群を抜いた力を持っている鬼だったのだ。

 

 アオイは両手を痛いほど握り締めた。

 俯いて何度も荒い息を吐き出す。全身が震え、顔色も悪くなった。

 今の自分に勝てるわけがない。当然隊士時代より力も落ちていれば、鬼の頸を切ることができる日輪刀も所持していないのである。

 しかし、ここで脱兎のごとく逃げるという選択肢はなかった。

 

「カナエ様を……返せ!」

「いいよ。……おい」

「「ハッ!」」

 

 震えながら叫ぶアオイに、来客はそっと荷物―――カナエを引き渡した。

 

「……え?」

「あ、無理に動かさないでね。彼女相当ダメージを負っているから。

 特に肺がズタズタだ。末端部分の壊死もひどい。応急処置はしたが、私でも傷そのものを消す事は出来ないからね」

「………」

 

 ポカンと、アオイは呆けた。

 なんだコイツは。なんなんだこの鬼は。

 

 最初、アオイはカナエを網らしきもので包んでいる姿を見た途端、カナエを人質にされているのだと疑った。

 しかし違った。

 人質をいきなり何もなしに返すなんて考えられない。

 一体何だこの鬼は。

 

「あと序でに伝言を頼みたいのだが……いや、君じゃなくて彼女に頼むわ」

「? それってどういう……」

 

 一瞬疑問に思うアオイだが、すぐにその意味を知ることになる。

 

「姉さん! どうしてこんなことに!?」

「し、しのぶ様!?」

 

 廊下の奥から駆け付けたしのぶはアオイを無視してカナエへと向かう。

 余裕のない彼女は傷ついたカナエ以外見えないのだろう。

 

「応急措置はした。後のことは君たちに頼む」

「……上弦の鬼にやられたの?」

「そうだ。上弦の弐、童磨がやった」

 

 怒りに震えるしのぶとは対照的に、淡々と語る葉蔵。

 

「童磨……! ソイツが姉さんを……!!」

「言っておくけど、仇を討つなんて考えはやめておいた方がいい。返り討ちになるぞ」

「何言ってるのよ!? 実の姉をこんな有様にされて……!」

 

 それ以上、しのぶが言葉を続けることはなかった。いや、出来なかった……。

 細胞レベルで体がフリーズした。

 彼女だけではない。アオイも、葉蔵の従者も。

 この場にいる“人間”のみが金縛りにあった。

 

 眼前から―――葉蔵から発せられる濃厚な鬼の気配によって。

 害することはないと分かってていても、本能が反射的に警鐘を鳴らす。

 

「この程度の威圧で委縮するようでは、上弦は遠いね」

 

 ため息を付きながら気配を抑える葉蔵。

 途端、しのぶ達は金縛りから解放された。

 

「これは忠告だ。上弦の鬼は一体一体が柱の戦闘力を凌駕する。最低でも柱程の剣士を三人用意してやっと戦闘が成立するほど」

「……上弦の鬼を、知ってるの?」

「ああ、壱から参までの顔と性格と血鬼術を知っている。何度も戦ってきたからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真夜中のとある廃村。

 そこで二体の異形が相対していた。

 

 額に一角獣のような鋭く赤い角を持つ、美しい青年の姿をした鬼、針鬼こと葉蔵。

 全身に藍色の線状の文様が入った、細身ながらも筋肉質な鬼、拳鬼こと猗窩座。

 

 葉蔵の背後には、瀕死で倒れている鬼殺隊員とソレを抱えて逃げる隠。

 そして二人の周囲には砕け散った赤い欠片。

 この欠片は、猗窩座をけん制しようと葉蔵が放った血針弾だったモノである。

 

「理解に苦しむな。何故弱者を助ける? 何の意味がある?」

「意味なんてないさ。ただ私がしたいからしただけだ」

「妙な事を言う鬼だ。もし俺があの剣士を殺し終わった後でもそんな反応なのか?」

「だろうね」

 

 よく勘違いされているが、葉蔵は別に人間の味方でも何でもない。

 彼は人を救うために鬼を狩っているだけで、人助けはその序で。

 もし仮に間に合わなくても、同情こそすれど、ソレ以上は何も思わないであろう。

 別に誰かを助けたいって思わないから。

 

「では行くぞ!」

 

 宣言と同時に拳を放つ猗窩座。

 予備動作のない即席の破壊殺(クイックモーション)

 無駄を一切そぎ落とし、速度にのみ焦点を当てた一撃。

 並みの隊士ならば攻撃されたことに気づくことなくあの世に行けるであろう。

 

 

【針の流法 血喰砲(キャノン)

 

 

 咄嗟に撃ち落とす葉蔵。

 こちらも早い。

 猗窩座に“銃口”を向けるどころか、体すら向けてない隙だらけの体勢。

 そんな状態であるにも関わらず、葉蔵は瞬時に、尚且つ強力な血鬼術によって猗窩座の破壊殺を無効化させた。

 

 

【針の流法 血喰砲・三連(トリプルキャノン)

 

 

 今度は葉蔵の番。

 手を猗窩座に向けて針の砲弾を三発連続で吐き出す。

 猗窩座はソレらを彼自身最大の武器である拳で砕く。

 しかし、猗窩座の行動は葉蔵相手には悪手であった。

 

「(な…なんだコレは!?)」

 

 砲弾の一部が猗窩座の腕に刺さり、針の根を拡げる。

 量自体は上弦の鬼を喰らうには到底至らない。

 猗窩座が少し腕に力を籠める程度で針の根は消滅した。

 だが、その行為も葉蔵相手には悪手である。

 

 

【針の流法 血喰砲・散弾(スプラッシュキャノン)

 

【血鬼術 破壊殺 鬼芯八重芯】

 

 

 ばら撒かれる針の散弾。

 迎え撃つの無数の拳。

 クラスター弾のようにばら撒かれるソレらを、猗窩座は全て粉砕した。

 

 

【針の流法 血喰砲・貫通(スパイク・キャノン)

 

【血鬼術 破壊殺・砕式 万葉閃柳】

 

 

 繰り出される砲弾と、ソレを砕く猗窩座の拳。

 火花と衝撃波が飛び散り、地面に傷を残す。

 

 

【血鬼術 破壊殺・空乱式】

 

【血鬼術合成 血針弾・連爆】

 

 

 今度は猗窩座の番。

 葉蔵目掛けて拳の弾丸を乱れ打つ。

 迎撃するのは一瞬で合成された血針弾。

 連射される爆弾が大気の拳を全て迎撃。

 辺り一帯に爆炎と爆音をまき散らした。

 

「……素晴らしい。血鬼術もそうだが、何より術者自身の腕が良い」

 

 突然、構えを解いて無防備な状態を晒す猗窩座。

 彼は笑いながら葉蔵を称賛した。

 

「血鬼術の発動速度、制御、威力、種類。全てにおいて下弦を圧倒している。半天狗を倒したという話は嘘ではないようだ」

「まあね。奴の血鬼術はかなり厄介だったが、相性の問題で勝てたよ」

「なるほど確かに。お前の血鬼術では奴の分身は逆に餌となるか」

 

 馴れ馴れしい猗窩座と微笑みながら答える葉蔵。意外と気が合いそうな二人の(オニ)だ。

 

「俺と一緒に来い、針鬼。鍛えて強くなって、さらなる高みを目指そう」

「断る。私は自分の手で高みを掴む。そして貴様はその踏み台だ」

「……やはりだめか」

 

 腕を組ながらしみじみと頷く猗窩座。

 

 最初から断られることは分かっていた。

 ここで頷くのなら最初から裏切りなんてしない。

 何より戦闘中の葉蔵を見ればすぐに分かる。コイツ誰かの下に付いて動けるような奴じゃねえなと。

 

「残念だよ針鬼。貴様程の鬼が」

「御託はいい。さあ、続きをやろう」

 

 

 

「踏み台は貴様だ針鬼! 俺の高みへと至るための礎になれ!」

「散るのは貴様だ上弦の参。私の快楽のために死んでくれ」

 

 二人の(オニ)は嬉々として血鬼術を発動させた。

 

 




最近ふとコレって鬼である必要あるかって思う時があります。
鬼というより能力バトルのような気がして、もうちょっと鬼成分を出したいんですよね

丁度上弦の鬼との戦闘に入って同格同士の戦いが多くなるので、戦闘の激しさを表すために残虐ファイトをしようと思います。
鬼ならどんな重傷負ってもすぐ再生するので、どうせなら派手に行こうかと考えてるんですよ。
ただ、そうすると引く人もいらっしゃるので……。
やっちゃっていいですかね?

葉蔵に残虐ファイトさせていい?

  • うん、内臓飛び出るまでやれ
  • ダメ、グロいのはNG
  • 鬼の再生力アピールできる程度まではOK
  • 今でも十分残虐です
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