アズールレーン─トリカゴ基地の日々─   作:大和亀蔵

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ガスコーニュの話の後に書けたのがこれかよぉ!(反省)

すいません、クリスマスなので。


さんたくろぉすさんにお願いを

「うむ? エルドリッジ、なぜ靴下なぞ持っておるのだぞ?」

 

今日もまたエルドリッジとの基地防衛任務にあたっていた北風は、パートナーでもある彼女が、何やらレターセットと靴下を持って食堂にやって来ていた事を指摘した。

 

確かに冷える季節とはなったが、艤装を纏ってしまえば寒さなどは気にならない、しかも両足ならともかく、エルドリッジが持っているのは片足分だけ、ますます疑問の泉が湧き上がる。

 

「サンタクロースさん」

 

「さんたくろぉす? 誰ぞ?」

 

北風にとっては、初めて聞く名前だった。

 

「知らない?」

 

「う、うむ。その様な方の名前は聞かんな。この時期といえば師走、餅をつき始めるものなのだが」

 

「おもち? もちもち、エルドリッジ、あれ好き」

 

「うむ! 餅は確かに美味いな! ......ん? エルドリッジはユニオン生まれなのに、餅を食べたことがあるのか?」

 

「指揮官、ユニオンにいた時、作ってくれた」

 

「な、なんと!?」

 

北風は指揮官がトリカゴを結成するという事情から、赤城と長門が急ピッチで計画を進めたことでこの世に生を受けたKAN-SENだった。

 

故に、指揮官との時間は実の所はそこまで長いものでは無い。なんなら、トリカゴの中では一番浅いまである。

 

故郷は同じとはいえ、思い出の数だけならエルドリッジの方が圧倒的に多いのであった。

 

指揮官の手作りお餅を食べたことも、北風はもちろん無い。

 

「そ、そうか。羨ましいぞ、エルドリッジ」

 

「じゃあ、靴下、はい」

 

「う、うん?」

 

手渡されたが、なぜそこから靴下に繋がるのかが、北風にはよくわからない。

 

それもそのはず、北風はサンタクロースのことを知らないのだから。

 

「サンタクロースさん。手紙をいれた靴下を、ツリーに飾っているとね。良い子にはプレゼントくれるの」

 

靴下にはお菓子が入っていたり、本当に欲しいものはツリーの下に置かれていたり、他にも煙突から入ってきたり、トナカイのソリに乗って空を飛んでやって来たりと、エルドリッジは知っている限りのサンタさんの話を北風に教えてあげた。

 

「な、なんとも凄いのだぞ。食堂に急遽飾られたあの煌びやかな針葉樹は観賞用ではなく、さんたくろぉすさんが来るための目印だったのか!」

 

「針葉樹じゃない、クリスマスツリー......」

 

「一緒ではないか! ともかくだ! 北風も靴下を飾っておくとしよう! 文を書いて、良い子にしていたらくれるのだな!?」

 

「うん、北風にも来ると思う」

 

「そうかそうか、北風は指揮官から良い子だと言われるし大丈夫だな! ところで、エルドリッジはどんな贈呈品をさんたくろぉすさんにお願いするのだぞ?」

 

「............おっぱい」

 

「......」

 

「......」

 

一応、北風は聞き間違いの可能性を考慮し、もう一度エルドリッジに訊ねることにした。

 

「すまん、エルドリッジ。もう一度言ってくれぬか?」

 

「だから、おっぱい」

 

残念ながら、あっていた。

 

「......そ、その何故だ? なぜ乳房を?」

 

エルドリッジの事だし、巫山戯ているわけではないのだろうと、北風はその理由を問いただす事にした。

 

エルドリッジは真剣な表情で口を開く。

 

「ノースカロライナ、ずっと指揮官の護衛に選ばれてる。その理由をエルドリッジ考えてた」

 

「う、うむ」

 

ノースカロライナは指揮官が所用でトリカゴを離れる際、必ず護衛人として選出されている。ぶっちゃけ指揮官とのデートじゃないかと羨むKAN-SENは多いというか、基地に残される全員が思っていた。

 

「ウォースパイトも凄い強いのに、指揮官はノースカロライナを護衛人にしてる」

 

「確かにそうだな。しかし、それがどうして......はっ!?」

 

その瞬間、北風の直感がいらないことを囁いた。

 

ノースカロライナは金髪、ウォースパイトも金髪。

 

ノースカロライナは凄く強い、ウォースパイトも凄く強い。

 

ここまでは一緒。

 

しかし! この二人には決定的な違いがあるではないか!

 

「そう、ウォースパイトには、おっぱいないけど、ノースカロライナには、ある!」

 

バーンと、エルドリッジにしては珍しいくらい迫力のある主張だった。

 

「いやっ、しかし! な、なら大鳳さんでもっ!」

 

大鳳もかなり、いやトリカゴ随一のカラダの持ち主だ。エルドリッジの理論が正しいのなら大鳳のことも、指揮官は護衛人として採用しているはずだ。

 

「大鳳、護衛できる?」

 

「......いや、あの方は専ら剣術や格闘術よりは術式や調略方面だな。な、ならば指揮官が北風を護衛として頼らないのも!?」

 

北風はウォースパイトやノースカロライナ程ではないが、基地防衛を任されるくらいには腕っ節には自信があった。

 

そんな北風を、指揮官が護衛人として指名しないのは......そう!

 

「おっぱい!」

 

「ぐはっ!?」

 

エルドリッジが手伝ったわけではないが、北風の中で雷が落ちた。

 

そのまま力尽き、床の上で四つん這いになり項垂れる。

 

四つん這いになったことで、自分の胸が平らな事により太ももがはっきりと見えてしまうことで、更に北風はダメージを負った。

 

「あら、エルドリッジさん......と、北風さん。おはようございます。どうなされました?」

 

そんなしょうもない一劇をやっている最中、声をかけてきたのは夜間任務から帰ってきたトリオンファンだった。

 

「トリオンファン、おはー」

 

「おはようございます。あの、大丈夫ですか北風さん?」

 

トリオンファンが心配の声をかけるも、北風はそのまま項垂れ続けていた。

 

「うっ......うっ......トリオンファン。北風は、北風はこの世の真理がわかってしまったぞ......」

 

「は、はあ?」

 

何が言いたいのかトリオンファンには一切わからなかったが、机の上にあるレターセットと靴下が目に入り、二人が何をしていたのかを推理はできた。

 

「あら、エルドリッジさん。聖ニコラウス様へお手紙ですか?」

 

「ニコラス? ニコラスの手紙じゃない」

 

「えっと? ......ああっ! ユニオンのKAN-SENのニコラスさんの事ではないですわ。聖ニコラウス様はサンタクロースさんの真名です」

 

「へえー、トリオンファンも書く?」

 

「そうさせて頂きたいのですけど、先に休息に入らせていただきますわ。エルドリッジさんはニコラウス様に何をお願いなさるのですか?」

 

「おっぱい」

 

「......え?」

 

素っ頓狂テイクツー。

 

「トリオンファン、ノースカロライナにあって、ウォースパイトにないもの、なーに?」

 

突如始まったのは、なぞなぞでもない答えが失礼すぎるクイズ。

 

ポクポクポク、チーん。

 

「おっぱいですわね」

 

「よし」

 

何がよしなのかはともかく、恋心と夜勤明けは、正常な判断を鈍らせるのが世の常であった。

 

「ああ、それで北風さんが、このように?」

 

目線が注がれた北風は椅子に座るまでは何とか復活したようだが、机に涙の水たまりができあがっていた。

 

「うう、トリオンファン。お前も思わぬか? 乳房さえあれば、指揮官は護衛人に北風達を選んでくれたのかもしれぬのだぞ?」

 

このままトリオンファンも北風のように容易に懐柔されるのかと思われたが、騎士姫はそう簡単には屈しない。

 

「......でも、ウォースパイト様を指揮官が選ばないのは、ウォースパイト様の立場を考えてのことではなくて?」

 

「うん?」

 

「どういう意味ぞ?」

 

「ですから、ウォースパイト様はエリザベス陛下の近衛でもありますけど、妹君でしょう? そんなウォースパイト様を引き連れ回していたら、ロイヤルの私物化だとか、騒ぎ立てる人が出てくるのではなくて? すでにKAN-SENを一人の人間に任せていいのかだとか言われておりますのに......まあ、目のこともあって認められているみたいですけど」

 

「......エルドリッジ、トリオンファンが何を言っているかわかる?」

 

「ちんぷんかんぷん」

 

難しい話は得意じゃない二人だった。

 

「......はあ。えっと、ウォースパイト様は第二王女、お姫様なんです。お姫様を連れ回すのはあまり良いことではないでしょう?」

 

なるべくわかり易く噛み砕いて、トリオンファンはもう一度説明すると、さすがの二人とも理解を示したようで。

 

「なぬっ!? 高貴な方だとは思っていたが、ウォースパイトさんは陸奥様と同じ立場の方だったのか!? き、北風は今までなんて無礼なことを!?」

 

「きらきら、お姫様?」

 

「ご本人が、あまり立場を気になさる方ではありませんからね。今まで通りに接するのがいいと思いますわよ。あと、私から二言」

 

「「......?」」

 

おっほんと、咳を払い。いい加減に眠たくなってきたトリオンファンはおっぱい談義に結論を付けた。

 

「そのような事をお願いするのは、イイ子ではなくワルイ子なのではなくて? サンタさんもそっぽを向いてしまいますわよ?」

 

「「......」」

 

そもそもサンタさんがおっぱいをくれるのかはともかく、ごもっともすぎる二言なのだった。

 




反省はしてるが後悔はしてない......(

追記:ル・マランCW参戦ありがとう......
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