「刑部、居るか?」
夜半――他所の人間は寝静まり、夜番の者を除き人気の無くなる時間帯。刑部の私室の扉が小さくノックされ、向こう側から低く、抑えた声が響いた。刑部はベッドに腰かけ、弄っていた端末のウィンドを閉じる。そして小走りで部屋の扉に近付くと扉を開いた。廊下に立っていたのは予想通りの人物。手に下げたビニール袋を揺らし、刑部に向かって笑みを見せる。
「セブンさん」
「遅くなってすまない、今、良いか?」
「えぇ、勿論」
刑部は微笑んで彼女を自室に招く。ちらりと彼女の下げたビニール袋の中身が目に入った。「それは?」と刑部が問いかければ、セブンは「メンテナンス明けだ、少しくらいぱぁっとやりたい」と言って歯を見せる。ビニール袋の中には彼女の好物であるハンバーガーがこれでもかという程に詰め込まれていた。
「刑部の分もある、一緒に食べよう」
「夜食は済ませてあるのですが……まぁひとつくらいなら、でもジャンクフードって健康に悪いですよ?」
「機械人形の私に健康を説くか?」
「機械でも、食べ過ぎは毒でしょう」
「なぁに、最悪胃の部分だけ取り換えてしまえば良いのさ」
そう言って悪びれもせず笑うセブン、刑部は肩を竦めて苦笑を零した。
「折角ですしお茶も淹れましょう」
「あぁ、頼む」
セブンは椅子を移動させ、近場の無骨なデスクに袋の中身を並べる。刑部はスチールの戸棚からカップを取り出すと、沸かしていた湯を注ぎ見慣れない白いパックを湯の中に入れた。セブンはいつもと異なる手順に興味を惹かれ、「それは?」と湯に浸したパックを指差す。
「アールグレイです、依織さんは紅茶が好きなようでこの前手持ちを分けてくれたんですよ、基地内で茶葉は売っていませんから、それに栽培できる場所も……今では内側でも貴重品です」
「ほぉ」
セブンが刑部の隣にカップを覗き込む。薄い琥珀色となった湯、確かに余り見慣れぬ代物だ。貴重品なのだろう、しかし依織に贈られたものというのは気に入らない。
「他の女に贈られた物を、また別な女に差し出すのか」
意地の悪い質問だとは分かっていた。想像通り、刑部は困ったように笑って目を伏せた。
「冗談だ、刑部の淹れてくれたものだ、有難く頂くさ」
そう言って刑部の肩を小突き、二人分のカップを手に取ってデスクに運ぶ。刑部はベッドに、セブンはパイプ椅子に座り茶葉が湯に馴染むのをゆっくりと待った。
「こんな無骨なカップに紅茶というのも、酷い絵ですがね」
「優雅にソーサーを用意して飲みたいか?」
「いえ、別段そういう訳ではないのですけれど」
刑部は装飾も何もない、薄緑のマグカップに入ったそれを見て思う。別段、格式ばったそれが良いとは思わないが雰囲気というものはやはりある。嗜好品であり、余り飲む機会のない紅茶が無骨なマグカップに注がれているというのは何というか、機能的だ。
「香りが強いな、前に飲んだものとは随分違う」
「暖かいものは、それだけでも香りが強くなりがちですから」
「ふむ、これはこれで……」
カップに鼻を近づけ、匂いを確かめるセブンが云う。丁度良い色合いになったところでパックを取り出し、水気を取って塵箱へ。
「砂糖を少し入れると良いですよ」
「頂こう」
刑部が小瓶に入った角砂糖を差し出すと、彼女はそれをひとつ摘まみカップへと溶かした。スプーンで適当に掻き混ぜ、手元で揺らし一口。味わう様にして紅茶を口に含んだ彼女は数秒目を閉じ、それから告げた。
「成程、悪くない」
どうやら合格点らしい。薄い笑みを浮かべるセブン、刑部も小瓶から角砂糖を投入しスプーンで掻き混ぜる。セブンはその間にひと口、二口と紅茶を口にし笑みを零す。どうやら存外気に入ったらしい。刑部もそれを尻目に一口――紅茶の強い香りと絶妙な酸味、砂糖の甘さも丁度良い。上出来だ、内心で呟いた。
「刑部も、こういうものが好きなのか?」
「俺は……どうでしょう、余り頓着しないので」
「好きな飲料の一つや二つ、あるだろう」
セブンはカップを片手に問いかける。好きな飲料、刑部は口の中で呟き考え込む。そんなもの考えた事もなかった。特に飲料と限定すると、どうにもその場にあるものを取り敢えず口にしていたという具合。しかし、強いて言うならば。
「……前に居た場所では、良くココアを作ってくれる人がいました」
ココア、という名前を聞いてセブンは数舜目を閉じた。データベースを探る必要もない、記憶の中に該当するものがある。確か暗い色で、甘味の強い飲料だった。飲んだ事は無いが情報としては知っている。
「あの、甘い飲料か」
「えぇ、そうです、少し濃い目に作ると美味しいんですよ」
「それも貴重だろう」
「勿論です、こういう類のものは贅沢品ですから」
手元のカップを掲げて苦笑いを零す。こういうものは煙草や菓子類に近い、他の国によっては生活必需品になるかもしれないが、この場所では違う。
「本当は、良くないって分かっているのですけれど」
「私達は――いや、刑部は命を張って戦っているのだ、別段、これ位の贅沢は許されても良いだろう」
そうでなければ機械人形の私など、食事すら贅沢になってしまう。肩身が狭くて仕方ない、だから、な? セブンはお道化た様にそう言った。確かにそうだろう、本来機械人形に食事など必要ないのだから。けれど、その必要のないものが時に心を救う事を知っていた。人類には余裕が必要なのだ、様々な意味合いで。
「最近では良く、ナインもサンドイッチを頬張っているじゃないか、良い傾向だ」
「一日一食と、彼女の中では線引きがあるみたいですが」
ナインは一日一食、何かを口にしている。しかしそれは一日に一度までと制限をつけている様だった。まだ、人類に対する遠慮があるのだろう。確かに人類の食糧事情は芳しくないが、だからと言って食糧生産プラットフォームが明日、明後日に無くなる訳ではない。機械人形の一人分程度、大して変わらないと思ってしまうのは少々甘すぎるだろうか。しかし折角見つけた趣味趣向、機会を奪うのは余りに忍びない。
「なぁ刑部」
そんな事を考えていると、ふとセブンが声を上げた。カップから口を離し彼女を見る。セブンは刑部を見ずに天井を仰ぎ、目を細めていた。それは何か、自分の中にある言葉を吟味しているようで、刑部は「はい」と答えながら言葉を待つ。ややあって、彼女は徐に問いかけた。
「これは何というか、仮定の話なのだが」
「えぇ」
やや、躊躇いがちにセブンは云う。
「前世、というものがあったら……刑部は、どう生きていたと思う?」
耳に届いたのは刑部の想像しなかった問いかけであった。少し驚いた様な顔をして、刑部は言葉を繰り返す。
「前世、ですか」
「あぁ、全く以って、その、現実的な話ではない事は理解しているのだが――たとえ話の一つとして考えてみて欲しい」
セブンは天上を見上げていた視線を落とし、刑部の瞳を真っ直ぐ見つめた。どうにも、表情や視線からして面白半分や冗談混じり――という訳でもないらしい。刑部は深く考え込んだ。中途半端に答えるのは駄目だと思った。故に考え、考えて。
「――誰かの為に、生きるのではないのでしょうか」
自分の納得できる、或いは自身のもう一つの可能性を示唆した。
「なんて、俺の願望込みですが」
「……誰かの為、とは」
「その前世とやらでは、人類がこんな状況ではないかもしれませんし、存外、人の役に立ちたいからという理由で今と同じことをしているかもしれません」
「それは、今と変わらないという事か?」
「いえ、全く同じという訳でもないんです、願わくば、真心からの生き方であれば良いと、そう思います」
「真心?」
刑部の言葉に、セブンは疑問の声を上げる。
「空っぽの自分に絶望して、自分より上等な者の為に尽くすのではなく――己の意志ひとつのみで、誰かの為になりたいと、そう心の底から願える人生である事です」
少しだけ笑みを零し、刑部は言う。そうだ、刑部は思った。自身の行動原理は単純にして明快、己に価値を認めていないからこそ、己より上等な人間が、或いは存在が死んで逝くことが許せない。例えその身を盾にしたとしても惜しくはない、欠落した自己愛こそが己を己たらしめる。そんな自分が刑部は嫌いだった、憎悪していた。だからこそ夢を語る、もし己に前世などという上等なものがあるのならば――せめて、その夢の中で位は自分も、なんて。
「刑部は」
どこか夢見がちに、朧げな瞳でそう告げる刑部に対しセブンは口を開いた。刑部の瞳がセブンを捉える。その真っ直ぐな視線にセブンは一度視線を逸らす、しかし一度唇を噛み締め、再びその眼を真っ直ぐ捉えた。
「空っぽなんかじゃ、ないさ」
「――いいえ、セブンさん俺は……空っぽなんですよ」
セブンの言葉に刑部は、緩く首を振って答えた。
優しい人だと、回りをは云う。
少し踏み込んだ人間ならば、それが優しさではなく破滅願望に近いものだと気付くだろう。現にセブンやナイン、天音、源、依織等、近しい人間は皆気付いている。
別段、何か高尚な理由があって人を助ける訳ではない。人類の為なんて微塵も思っていないし、大切な守りたい人――【確固たる誰か】が居る訳でもない。無論、赤の他人より親しき人を優先する程度の情は持ち合わせているが、その赤の他人でさえ、刑部にとっては己より優先すべき人となるだろう。
ただ、この世界には自分より上等な存在が多すぎるだけだ。
皆、一生懸命生きている。誰かの為に、何かの為に、己の為に、命を削って懸命に生きている。藤堂刑部は一生懸命な人間が好きだ、一生懸命な機械人形が好きだ。人であろうと人形であろうと関係ない、精一杯己の生を全うし懸命に日々を謳歌する彼等、彼女等を分け隔てなく尊重し、好いている。刑部の笑顔は、そうやって作られたものなのだ。
そして刑部は知っている。この、皆が必死になって生きている中で唯一、存在する価値のない人間を。
刑部はそいつが大嫌いだ、心底軽蔑していて、嫌悪している。ウォーターフロントに生きる人間・機械人形を尊重し、好いていると言っても良い刑部が唯一信頼せず、嫌っている存在。ソイツにきっと存在価値などないのだ。どれだけ他人にその価値を認められようと、他ならぬ刑部という個人だけは絶対に認めないだろう。きっとソイツが無様に這い蹲って朽ち果てる瞬間を眺めるまで、刑部はその者に価値を認めない。
もし刑部がソイツに価値を感じるとすれば。それは誰かの盾となって死ぬか、誰かの『願望』によって死ぬか。いつか味気ない、無機質な死がやって来るのなら。その手がこの頸を捉える前に、笑って『誰か』に殺されたい。そうすればきっと、ソイツにも価値があったのだと信じられるから。
藤堂刑部は、伽藍洞なのだ。
「――そうだな、お前は、そういう奴だ」
セブンはふっと、表情を崩して言った。それは悲し気な表情で、見ていると妙に胸がざわつく。けれど、どうにもこの性質だけは変えられそうにない。だから刑部は小さく俯いて、「すみません」と言った。セブンは謝るなとだけ口にして席を立つ。安っぽいパイプ椅子が軋みを上げ、セブンの手が刑部の頬に添えられた。
「多分、何度この口で言葉を紡いだところで刑部には届くまい、もっと自分を大切にしろだとか、お前の事が好きだと言っても、お前は変わらない、いつも通り平然と身を削って、私達を不安にさせるのだ、きっと、これからずっと」
「……そうかもしれません」
「否定はしないのだな」
「謝るなと、言われましたから」
「なら良い――口で駄目なら、体に教え込むだけだ」
そう言ってセブンは刑部の唇を指先で拭い、微笑んだ。
■
それは唐突だった。朝というには早すぎ、夜と言うには更け過ぎた時間帯。刑部とセブンは互いの手を握り締め、足を絡ませ眠っていた。刑部にとっては機械人形の温い肌が、セブンにとっては人の暖かい肌が丁度良く、互いに深い眠りに落ちていた。
そんな眠りを妨げるように、ウォーターフロント全域に警報が鳴り響く。それはす凄まじい音量で、刑部は聴覚による異常から、セブンは直接送られた非常事態プログラムによって叩き起こされた。起き上がるのに数秒も要さなかった、半裸の状態で文字通り飛び起き、刑部は突然の警告音に早鐘を打つ心臓を抑えながら呟く。
「っ、な、何が――」
「刑部、感染体襲来の緊急警報だッ!」
服を着込みながらセブンは叫んだ。プログラムで叩き起こされた分、セブンはこのアラートの意味するところを良く理解していた。椅子に掛かった刑部の衣服を彼に投げ渡し、手早く用意を済ませて扉に手を駆ける。
「ハンガーに向かうぞ! 急げッ」
「は、はい!」
刑部は手渡された衣服を乱雑に着込み、セブンに続いて部屋を飛び出す。廊下はアラートで騒然とし、非常灯が爛々と赤く点灯している。警告音が長い廊下を木霊していた。刑部とセブンはそんな廊下を風の様に駆ける。駆けながら刑部は思った。
――速すぎる、委員会の予想では侵攻はもう少し後だった。
ならこれは前哨戦なのか? 本命の前のひと当て、可能性がない訳ではない。しかし、非常警報を鳴らす程の侵攻が果たして前哨と呼べる程の規模なのか疑問が残る。刑部は堪らず、目前を駆けるセブンに問うた。
「ウォーターフロントに感染体が!?」
「分からん、だが警報が鳴ったという事は夜間警備隊だけでは捌き切れないと判断されたのだろう! モスキートも抜かれる筈だッ、もう取り付いている可能性は考えたくないな!」
宿舎を走り抜けると、徐々に喧騒が耳に届くようになった。就寝していたAS乗り達がハンガーへと走っている。刑部とセブンもその中に混じり駆けた。途中、見慣れた人物が刑部とセブンの横へと駆け寄って来る。
「セブンさん! 刑部君!」
「! 天音ッ」
寝癖をつけた髪をそのままに、天音は微妙に着崩れた衣服を引っ張りながら走る。
「これ、この警報って、若しかして……!」
「あぁ、感染体だ! 直ぐに戦闘になる、心の準備は良いな!?」
「っ、は……はい!」
やや蒼褪めた表情で天音は頷いた。ハンガーに飛び込むと彼方此方から怒鳴り声、悲鳴、稼働音、機械音が聞こえてくる。壁は警告灯の赤色に染まり、待機状態にあったASが次々と起動し出撃して行く。セブン達は自分達の小隊に割り当てられたブロックに急いだ。
「! 皆さん」
「ナイン、来ていたか!」
既にナインはキャットウォークに登り、自身のASに手を掛けていた。
「はい、つい先ほど」
「良し、小隊が揃ったのなら出撃だ、各員自身のASを装着しろ!」
刑部達は了解と返し、自身のASの元へと駆ける。刑部の機体は丁度バックスの一人が整備を行っている途中だった。刑部はキャットウォークに足を掛けながら声を掛ける。
「あっ、刑部さん……!」
「俺の機体、使えますか!?」
「は、はい、整備は済んでいます」
「良かった、ありがとう!」
駆け上り、刑部は滑り込むようにして機体着装部に体を捻じ込む。開いた装甲板を避け、垂れ下がった脊椎接続ケーブルを素早く首筋に差し込んだ。瞬間、グンッとケーブルが唸り刑部の背筋が弓なりに逸れる。脳が何かと繋がる感覚、網膜ディスプレイが機能し、耳に機体アナウンスが届く。
『脊椎接続確認、BTリンク起動、接続者確認――照合完了、OS起動』
接続者である刑部の生体情報を読み取ると同時機体の動力炉に火が入り、各部が稼働を開始する。
『BTリンク、ニューロナノマシン間通信確認、ジェネレータ、アクチュエータ、FCS、ブースタ、ラジエータ、インサイド、エクステンション、稼働確認――AS起動』
「フック、外します!」
ASの機動を確認したバックスが刑部のASを吊り下げていたフックを解除した。瞬間、ガコン! と音を鳴らし四脚ASは自由の身となる。固定ボルトを開放し、左右にぶら下げられた兵装を掴むと同時、刑部は叫ぶ。
「四番機、藤堂刑部、AS起動しました!」
『此方セブン、四番機の起動を確認した、二番機、三番機の起動も確認、各機聞こえるか?』
『はい、二番機起動済です』
『大丈夫です、三番機も起動完了』
『夜間警備隊と戦術リンクを行え、現在の戦況が一発で分かる』
刑部は網膜ディスプレイにマップを表示し、夜間警備隊とデータリンクを行った。数秒後、戦況情報がダウンロートされマップに反映される。
「これは……」
リアルタイムで更新される戦況。ウォーターフロントを中心として、赤い点――敵性反応が続々と増えている。ウォーターフロントに向かって感染体が押し寄せているのだ。その数は十や二十ではない、百や二百でも利かない。これは。
『この方角、FOB1の方面ですね、盾を失った弊害、いえ、それにしてもこの数は――』
『あぁ、海上防衛線を抜かれたのも当然だ、モスキートでの迎撃では到底手が足りん……これより私達はこの感染体の津波を撃退しなければならない――各員、弾倉は十二分に用意しておけ、退く場所のない文字通り背水の陣だ、私達が敗北すればウォーターフロントが堕ちる』
『文字通り総力戦、って事ですか』
『そうなるな』
総力戦――すべてを掛けた背水の陣。ウォーターフロント、人類最後の砦に感染体が押し寄せている、その事実に刑部の表情が歪む。勝てるのか? 刑部の胸の内からそんな疑問の声が上がった。マップを見る限り赤い敵性反応は増え続けている、仮にこのまま増え続ければ明らかに人類側の持つ迎撃限界ラインを超える、そうなれば外郭甲板への侵入どころか『内側』への侵入さえ許す事になるだろう。一匹でも通せば、終わりだ。屍が感染体へと変異し、嘗ての第八区の二の舞となる。
もしそうなるのならば――自分が、何としてでも。
『刑部』
「っ、はい」
不意に声を掛けられ、顔を上げる。見れば網膜ディスプレイに映る小隊の仲間全員が自身を注視していた。ぎくりと、刑部は体が固まるのを自覚する。
『あの兵装は、使うなよ』
口を開いたのはセブン、断固とした口調だった。その瞳は真剣で、深く刑部の瞳を穿つ。視線をそらすことは出来なかった、そもそも網膜ディスプレイに逸らすという行為は不可能だ。だからこそ真っ直ぐその瞳を見返し、小さく頷く事しか出来ない。
「……善処は、します」
『あぁ、それで良い』
満足できる答えではなかった筈だ。けれど彼女は少しだけ安堵したような声を出し、口元を緩めた。
四名はそれぞれASを動かしハンガーから身を乗り出す。武装を手に持ち、弾倉を積み込むと四人は出撃門へと足を進めた。
『小隊、出るぞ!』
「了解!」