鉄屑人形 スクラップドール   作:トクサン

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第31話

 

「戦況情報から分かってはいたが何て数だ、あのFOB防衛戦に負けず劣らずだ……ッ! これ程の敵、何故早期侵攻を予測出来なかった?」

 

 前を走行するセブンがぼやいた。夜空に対空砲の光と誘導弾頭の六翼が尾を引き、その向こう側で無数の爆発を起こしていた。夜空に瞬く破壊の光、ウォーターフロントから放たれる光源なぞ必要ないのではないかと思ってしまう程にその数は多い。区画一つにつき向かう感染体はどれ程か、百や二百では数え足りまい。小隊は外郭甲板を走行しながら海上と空の敵を睨みつける。同時に、甲板に出撃警報が鳴り響いた。

 

『水上部隊、第三から第八迄出撃! 第四、第五水中ゲート付近の部隊は退避して下さい!』

 

 出撃警報と同時に甲板のレッドランプが点灯し、甲高い電子音と共に水中に在る出撃ゲートから次々とASが飛び出してくる。凄まじい勢いで海水を割り、飛び出したASは水上型ASであり、着水と同時に素早く連射砲を構え防衛線を構築する。

 ナインはその様子を眺めながら告げた。

 

「FOB防衛線の時は、既に制空権を取られていました、まだ此方の制空権は奪取されていません、飛行型の脅威が無い分、まだ望みはあります」

「……そう、だよね、高射砲はまだ動いているし、部隊だってウォーターフロントの方が多いもの」

 

 ナインの言葉に天音は同意する。その口調は弱弱しいもので、事実を確認しているというより自分に言い聞かせている響きがあった。

 

「けれど楽観視出来る状況でもない……セブンさん、俺達の担当は?」

「いつも担当している外郭三十四番ブロックだ、しかし規模が規模だからな、必要に応じて足を動かさなければならない……来るぞ!」

 

 先頭を駆けていたセブンが足を止め、海上を滑るように移動する感染体を指差した。海上型ASは先のFOB防衛戦で大分数を削られた。全甲板をカバー出来るような防衛線の構築は不可能である。自然、その穴を突いて感染体は侵入して来る。高射砲やモスキートでカバー出来る量ではない――刑部はそう考え、連射砲を構えた。正面、闇夜に紛れる形で接近する感染体。

 

「シーバードか、厄介な……!」

「っ、十時の方向、ドルフィン! 二時の方向、マーメイド!」

 

 ナインが四方に目を散らし叫んだ。同時に機体が警告音(アラート)を鳴らす。マップを見る、赤いアイコン――敵性反応がどんどん膨れ上がっていた。これは。

 

「混成かッ、兵装自由(ウェポンフリー)、兎に角撃ちまくれ、撃てば当たるッ!」

 

 最早静観できる状況ではなかった、敵は空と海の二面からウォーターフロント目掛けて突っ込んでくる。凄まじい数だ、間髪入れず小隊全員が兵装を構え射撃を敢行した。銃声で耳が痛み、マズルフラッシュが網膜を焼いた。まるで真昼の如き光、ウォーターフロントから放たれる迎撃の光、そして甲板に並ぶASと海上を駆けるAS、それらの放つ砲光が夜を彩り、昼の如き明るさを齎していた。

 夜空を裂いて飛翔する弾頭、それらは目標に命中し次々と吹き飛ぶ感染体。体ごと引き裂かれる個体もいれば、頭や足、胴体を吹き飛ばされる感染体も居る。射撃は、面白い様に当たった。ウォーターフロントの夜間照明が上手く働いているというのもあるが、海上型ASの放った照明弾や砲火が夜戦を感じさせないというのが大きかった。小隊は最初、吹き飛ぶ感染体に優越感を覚えた。弾が面白い様に当たる、集弾性も悪くない、突撃して来る感染体は次々と弾け飛び海の藻屑と消える。空の敵も、海の敵も同じだ――しかし徐々に、歓喜の感情は反転する。

 

「ッ、何だ、こいつら……!」

 

 セブンがまるで、不気味なものを見たと言わんばかりに呟いた。

 弾が当たる、面白い様に当たる――否、【当たり過ぎる】。

 

「せ、セブンさんッ、こいつら、動きおかしくないですか……!?」

 

 天音が連射砲の引き金を引き続けながら叫んだ。射撃が面白い様に当たる、通常ならば喜ぶべき事だろう。しかし天音の表情は引き攣っていた。迫っていたシーバードの胴体に射撃が着弾し、そのまま海上を跳ねて暗い海に沈んで行く。だがもう、喜ぶ事は出来ない。

 

「弾が当たる、それは良い――だがこれは……?」

 

 刑部は呟き、眉間に皺を寄せる。何故、こうも弾が当たるのか? ナインは目を見開き、連射砲のマズルフラッシュに顔の一部を浮かび上がらせながら、隣のセブンに言った。

 

「セブンさん、この感染体群、回避行動を一切取りません」

「―――」

 

 迫り来る感染体は弾丸を避けようとしなかった。ただ、ただ、愚直なまでに突進を繰り返す。ウォーターフロント目掛けて一直線、脇目もふらず曲りもしない。面白い様に当たるのも当然だった、此方に向かって直進する敵に弾を当てる事など、例え夜戦であってもそう難しくはない。

 

「どういう事だ、何故避けない……!?」

 

 疑問の声が漏れる、何故、攻撃を避けないのか。見ればモスキートや高射砲の迎撃弾さえ避けずに突っ込んでいる。海上型ASの防衛戦も、今は機能している。これでは鴨撃ちだ。現状だけ見れば好ましい状況だろう――しかし、それが却って不気味で仕方がない。

 小隊の面々の表情が強張る。何が狙いだ、何をしようとしている、その緊張感が伝搬し、機体から鳴り響いた警告音に皆が肩を跳ねさせた。

 

「っ、セブンさん! 前方、大型反応ッ!」

「大型だと!?」

【警告――第一種危険指定感染体接近】

 

 全員が機体の指し示す熱源反応の先を見た。海に沈んだ数多の感染体、それらの死骸を押し退け浮上する巨影。海水が盛り上がり、その巨躯が赤黒く染まった海を跳ね除け現れた。

 

【エイハブ、出現】

 

 警告音声が無機質に告げた。

 巨大な鯨型感染体――エイハブ。

 

 小隊は一瞬、声を失った。その巨躯に圧倒されたというものある、しかしそれ以上に彼の感染体がこれ程までにウォーターフロントに接近していたという事実に打ちのめされていた。機体の無線で数多の機械人形が悲鳴を上げる。FOBを落とした大型感染体、感染体を内包した移動拠点ともいえるソレ。

 天音は顔を蒼褪めさせ、言った。

 

「エイハブ……例の新種っ、何で、こんな所にッ……!?」

「こんな所だからだろうッ、まさかウォーターフロントに直接乗り込んでくるとは!」

 

 素早く立ち直ったのは、機械人形の二人だった。連射砲の弾倉を取り外し、新しい弾倉を嵌め直す。瞳からは不屈の闘志が伺えた、エイハブをこれ以上侵入させまいという強烈な意志だ。同時に全員の機体にウォーターフロントからの指令が伝えられた。

 

「上層より指令、付近の部隊はエイハブを早急に討滅せよ!」

「無茶を言う……!」

 

 その巨躯に圧倒された刑部が吐き捨てる。改めて対面すると、やはり大きい、否、大きすぎる。全長、凡そ五十メートル――体感は、更に巨大に感じる。まるで小型のFOBが動き出したかのような光景。鯨に似た体格、異なる点は目に該当する部分に三つ、瞳がある事。計六つの瞳がぎょりと蠢き、刑部たちを見た気がした。

 

「無茶だがやらねばならんッ――総員攻撃、目標エイハブ!」

 

 セブンが叫んだ、その叫びに怯え竦んだ腕が条件反射で動く。訓練と云うのは偉大だ、どんな状況でも勝手に体が動く様に出来る。刑部は装填していた弾倉を弾き飛ばし、腰部にあった予備弾倉に換装した。確りと嵌め、自動コッキングが行われる。同時小隊の兵装が火を噴き、ほんの数十メートル先のエイハブ目掛けて弾丸が迸った。

 

「撃て撃て撃てェッ!」

 

 連射砲から吐き出された弾頭、それらがエイハブの外皮を叩く。刑部はエイハブの頭部、その瞳の辺りを狙った。眼球は柔い、何なら衝撃で破裂すらする。弾丸を防ぐ様な強度はないと推測しての事だった。しかし刑部たちが発砲すると同時、エイハブはその瞳を瞼で覆い隠してしまう。そして飛来した弾頭の悉くはエイハブの外皮に弾かれ、明後日の方向に散らばった。まるで花火の様に、集中する砲火は四方に散って行く。

 

「ぅ、か、硬い……!」

 

 引き金を引き続けながら天音が呟く。刑部は次々と弾かれる弾頭を見つめながら、叫んだ。

 

「セブンさんッ、連射砲程度じゃ内側に届かないッ! 貫通しないッ!」

「カテゴリーAの弾倉は!?」

「使っているよ! AP弾が貫通しないッ!」

 

 刑部は連射砲に嵌めた弾倉を掴みながら言った。先ほど換装した弾倉はエイハブ用にと取り付けていたAP弾であった。カテゴリーA、貫通力に優れた徹甲弾ですら外皮に弾かれる。いや、刑部は網膜ディスプレイにてエイハブの映像を拡大し、その外皮に注視した。

 全てが弾かれている訳ではない、その巨大さ故に注視しなければ分からないが、幾つかの弾頭は外皮に突き刺さっている。しかし、【貫通しない】――出血を強いる程の威力を発揮出来ていないのだ。

 

「……上の予想以上の硬度かッ」

 

 セブンが悔し気に呟き、連射砲のトリガーを離した。

 

「わ、私がやりますッ!」

 

 叫び、天音は肩部の火砲、その砲口をエイハブに向けAP弾を装填した。ひと際強い爆音と風圧、天音の機体が大きく揺れエイハブの脇腹に弾頭が突き刺さった。天音の砲撃はエイハブの外皮を貫き、流血を強いた。その事に僅かな歓喜の念を覚えるも、その被害は余りに軽微。エイハブは変わらず健在、微動だにせず。

 

「わ、私の火砲で辛うじて貫通するレベルですよ、アレ……!」

「どんなハードスキンだ……クソ、手持ちの火器ではどうしようも――」

 

 有効な攻撃手段を持たない小隊を嘲笑う様に、エイハブは行動を開始する。その瞳が再びぎょろりとウォーターフロントに向けられ、彼奴はゆっくりと大口を開いた。そして現れるのは報告にあった管――まるで爬虫類の舌の如く、長く細いそれがウォーターフロント目掛けて撃ち出される。刑部はそれを見て顔を蒼褪めさせた。

 

「ッ、あいつ管を……! ウォーターフロントに感染体を送り込むつもりだ!」

「やらせるなッ、外皮が幾ら堅かろうと内臓は柔い筈だ!」

 

 全員がエイハブへの直接攻撃を断念し、ウォーターフロントへと伸ばした管に射撃を集中させた。幸いその速度自体はまだ目で追えるレベルであり、目視出来ない程素早い訳でもない。小隊の射撃は見事にエイハブの伸ばした管を捉え、無数の穴を穿ちながら引き千切る事に成功した。中ほどから千切れた管は血を撒き散らしながらうねり、海中に消え、根元の方はエイハブの口の中へと戻って行く。

 

「や、やったッ! 管はまだ柔らかい、連射砲の弾丸でも抜けますッ!」

 

 天音が喜びの声を上げた。管は柔らかい、連射砲でも破壊可能。つまりそれは、エイハブの口内に攻撃を集中すれば、或いは。

 そんな事を考えたのが悪かったのだろう。セブンがその言葉を実行に移そうと、口を開きかけた時――エイハブの大口から、百本近い管が飛び出した。それを見た小隊の面々は絶句する。まさか。

 

「こ、コイツ……一本だけじゃなかったのか!?」

 

 セブンが呟き、連射砲を構えた。全員がそれに続き、我武者羅に狙いをつけて引き金を引く。兎に角、一本でも多く破壊しなければと動いたのだ。しかし、余りにも数が多い。幾ら貫通可能とは言え管自体が脆い訳ではない、行動不能まで破壊するには十発やニ十発では足りない。まるで悪夢の様な光景だった。エイハブの管は二、三本引き千切られようと構わず、ウォーターフロントに殺到した。その内の幾つかが他の外郭甲板に突き刺さり、ウォーターフロントに衝撃が奔る。

 

「駄目だ手が足りない、応援を――」

 

 刑部が叫び、オープンチャンネルで応援を請おうと口を開いた。途端。

 

『第二ブロックで火災発生! マーメイドが取り付きましたッ、高射砲が!』

『此方第十六、十七、十九小隊、第十四ブロックに敵が多すぎる、我々だけでは……至急来援を請うッ! このままでは弾がもたないッ!』

『モスキート第六砲塔停止、緊急冷却! 警邏隊は第六ブロックのカバーをお願いします!』

『カテゴリーAが足りないッ、バックスは何をやっている!? コンテナを、早く寄越せッ!』

『第二十一ブロック、高射砲停止! 高射砲停止! 弾込め作業に入る! 飛行型が多数接近中ッ、弾幕こっちに張ってくれッ! 再稼働迄――何やってんだッ、早く取り掛かれッ!』

『報告! 警邏第四飛行AS部隊全滅! 繰り返す、第四飛行隊全滅!』

『第二十外郭甲板海上防衛線壊滅、水没者多数! 救助を――』

『例の大型感染体だッ! 管が外壁を突破したっ、三十二甲板のバックスは退避しろッ! 感染体が侵入したッ、繰り返す、外壁突破ッ、甲板に感染体が侵入したッ!』

 

 阿鼻叫喚の地獄があった。

 刑部は中途半端に口を開いたまま、震えた声で呟く。

 

「無理だ――」

 

 こちらに応援を回す余裕が、どの甲板にもない。

 

「クソ、兎に角撃て! 管を一本でも破壊するんだッ! ナイン、飛行型の対処を……くそ、クソッ! どういう事だ!? 先のFOB防衛線の比ではないぞッ!?」

 

 セブンは連射砲の引き金を引き続けながら四方に視線を散らし叫んだ。エイハブの対処に注力し過ぎた。海上、空中から迫る感染体。もう目と鼻の先だ。対処しようにも数が――数が多すぎる。ナインは空中の感染体に銃口を向けた、右、左、上、下、どれだ、どれを狙えば良い? 数舜、その銃口が震える。

 

「ッ、上層より報告、内陸より感染体の群れが移動を開始したと!」

「なッ、馬鹿な!?」

「外郭四十番の部隊が迎撃に当たります!」

 

 マップ上の外郭四十番――そのブロックに存在する部隊が無数の赤と交戦を開始した。マップを縮小する。ウォーターフロント全域、それを囲う様にして迫り来る無数の赤、赤、赤。

 この赤い点は全て敵だ、百か、千か、万か。セブンがエイハブを睨みつけ、吐き捨てた。

 

「連中、遂に人類を滅ぼしに来たか……ッ!」

 

 敵も総力戦を挑んできた、そう考えなければ納得できない程の数であった。

 

「管がウォーターフロントにッ!」

「ぐッ……外郭で止めろ、絶対に中に入れるなァッ!」

 

 天音が叫び、セブンが連射砲を含めた全兵装を展開した。

 外郭甲板を抜かれれば基地内部、バックスへの攻撃を許す事になる。そして更にそこを抜かれれば――外側へ通じる障壁が唯一の盾となる。そしてそれを許した時点で、どれ程の人死にが出る事か、考えたくもない。

 是が非でも此処で止める、セブンは唇を噛み締めた。

 

『此方バックス03、外郭二十番から四十番にBOTを投入する、連携して戦え!』

 

 報告と共に、甲板リフトから車両型の機体が顔を出した。車輪に連射砲を乗せただけの無骨な機械。戦力としては数を集めて漸くAS一機に届くかどうか。それでも現状、手があるだけでもマシであった。

 

「焼け石に水だが、無いよりは良い……ッ!」

 

 告げ、セブンはBOTの命令権を行使。エイハブ以外の感染体の迎撃に充て、BOTは一斉に銃声を轟かせる。閃光と銃弾が夜空に煌めき、外敵を屠る。弾幕は張れる、エイハブの外皮を貫く事は叶わないが周辺の感染体を撃ち落とす事は可能。辛うじて敵の侵攻を押し留める。次いで、未だ伸び続けるエイハブの管も撃退していた。

 

「良いぞ、このまま彼奴の中にいる感染体を殲滅して――」

 

 僅かな希望、このまま耐え忍べば――或いは。

 そんな光を見つけた時、空中で迎撃した管の一つが内側から破裂した。血霧を裂いて現れる一際巨大な影。それは真っ直ぐ、小隊目掛けて落下攻勢に入っていた。直前に気付けたのは、本当に偶然だった。セブンは頭上を仰ぎ見るや否や、声も無く小隊に警告音を鳴らした。全員がアラートに反応しその場から素早く後退する。代わりに、轟音と金属音を鳴らして着地する巨影。闇夜に紛れ乍ら、ウォーターフロントの照明に照らされたその存在を見て刑部は茫然とした。

 

「――ドレッドノート」

 

 感染体の至る究極形態。

 アダルトを超える全長、肥大化した筋肉に硬質化した外皮。赤黒く光るそれは外殻と呼ばれるドレッドノートの鎧である。同時に、歪に捩じれた腹には大穴が空いていた。それは丁度、人間一人程度は丸々と呑み込んでしまいそうな――。

 惚けていたのは一瞬だった、しかしその一瞬が命取りだった。腹部に空いた穴が縮小を開始し、蠢いた。それを見た瞬間、セブンは叫び横へと跳んだ。

 

「ッ! 咆哮(ハウリング)――」

 

 砲撃。

 

 それは空気を撃ち出した――というには余りにも凶悪であった。セブンの立っていた場所がごっそりと抉れる。ほんの一瞬、聞いた事もない独特な重低音と共にまるで巨大な怪物に齧られたかのような惨状を晒す甲板。見えない砲撃、防御不可の絶対攻撃――これだ、これによって航空兵器が無用の長物になった。

 通常、ドレッドノートは内陸奥地にひっそりと生息しているものである。その数はアダルトより少なく、東京エリアに限っても十居るかどうかという程。それが、何故こんな場所に。

 

「突貫します――!」

 

 ナインが連射砲を投げ捨て、腰部の近接兵装を引き抜く。成体に勝るスキンを持つドレッドノートに連射砲は効かないと判断、咄嗟に唯一可能性がある兵装に切り替えた。

 

「機体出力、回路変更、兵装出力最大……ッ」

 

 唸る機体、網膜ディスプレイに高速のアナウンス。飛び上がり、ナインはドレットノートの顔面目掛けて腕を振り抜いた。

 ――プラズマ・パイル。

 閃光と共に射出される金属杭、ガゴンッ! と音を鳴らし排莢される長い空薬莢。同時に強烈な一撃はドレッドノートの顔面に突き刺さり、内部で金属杭に蓄積されていたエネルギーが放出、炸裂。ドレットノートの顔面は爆ぜ、吹き飛んだ。

 

「やったッ……!」

 

 普段滅多に喜色を見せないナインが口元を緩める。腕を振り抜いたままの姿勢で着地し、ナインは渾身の一撃であった事を確信する。超至近距離に於ける炸裂兵装、パイルバンカーによって金属杭を撃ち出し、その堅い外皮を貫く。同時に敵内部に侵入した金属杭を炸裂させる事によって致命的な出血、負傷を強いる兵装である。その性質上、破壊可能な範囲は狭く連射も利かないが、それを除けばドレッドノートにさえ有効な兵装である事が証明された。成体ならば、これで斃れる。

 しかし顔面を失った体は血を流しながら、悠々と腕を振り上げた。喜色を浮かべ、足を止めたナインを横合いから殴り飛ばす。回避は間に合わなかった、殺したと、そう確信していたが故の隙を突かれた。

 

「あぐッ!」

「ナイン!」

 

 ナインの機体は甲板の上を滑り、火花を散らしながらウォーターフロント外壁に衝突した。

 

『三番機被撃、左肩部装甲破損、メインフレームに損傷』

 

 装甲の厚い肩部に当たったのが良かった。殴られた衝撃で足が離れたのだろう、軽量機である事も幸いし、撃破には至っていない。しかし、衝撃で処理が飛んだのか外壁に叩きつけられたナインは返事を寄越さない。

 

「っ、これ以上ウォーターフロントに乗り込まれて堪るか……!」

 

 セブンは手にしていた連射砲を放棄。両腕の内蔵武装を稼働。拳と拳を打ち鳴らすとスパークし、極光と共に視界を白く塗りつぶす。手持ちの兵装で一撃必殺は狙えない、ならば足を止めるまで。ドレッドノートとは言え『生物』である事に違いはないのだ。

 

「足を止めるッ! 隙を見て撃ち込め、良いな!?」

「りょ、了解!」

 

 セブンの叫びに天音が応え、火砲をリロード。刑部も搭載された火砲を起こし、弾倉を装填した。

 セブンが両腕を顔の前に構えながら踏み込む。スラスターを利用した加速、宵闇を斬り裂く火花を散らしながら間合いを一瞬で詰めた。頭部を失ったドレッドノート――しかしまだ動く。目も耳もないのにどうやって接近を悟ったのか、迫るセブンに向かって無造作に腕を振るった。戦車の正面装甲すら引き裂く怪力、その勢いも相まって喰らえばメインフレームごとへし折られると予感する。セブンは振るわれ、迫るそれを地面限界まで身を屈める事で回避した。頭上を轟音と共に丸太を束ねた様な腕が通過する。

 兵装出力最大、ジェネレータ最大稼働。

 

「焦げ死ね……ッ!」

 

 下から抉る様なボディフック。拳がドレッドノートの左脇腹に着撃、瞬間閃光が瞬き紫電がドレッドノートの体を覆い焼いた。接触は一秒に満たない刹那、閃光は瞬きの間。素早く拳を引いたセブンは間髪入れず連撃を敢行。次は右拳、反対の右脇腹に着撃させ、スパーク。肉の焦げる匂い、着撃と共にドレッドノートの体が大きく跳ねる。筋線維が引き攣って上手く動けない筈だ、事実ドレッドノートは中途半端に腕を振り払った姿勢のまま震えるのみ。

 

「まだだァッ!」

 

 セブンは両手を組みASの駆動系に掛かっていたセイフティを解除、機体が唸りを上げ各関節が弾ける様に稼働。飛び上がり、大きく背を逸らすセブン。そして組んだ両腕をドレットノートの顔面があった場所、その千切れた首元に叩きつけた。

 着撃、閃光、弾ける紫電。上から超重量と共に甲鉄の拳を叩きつけられ、ドレッドノートは前のめりに体勢を崩し体を震わせた。流石に、今の一撃は堪えたか。

 

「セブンさんッ!」

「っ!」

 

 刑部が叫び、セブンが横合いに飛ぶ。そこに合わせる形で天音と刑部が火砲を放つ。轟音と緋色が飛び散り、ドレッドノートの右肩と左脇腹が千切れ飛んだ。確かな手応え、ごっそりと抉れた肉塊、通常ならば――致命傷だ。

 

「やっ――」

 

 やった、そう歓声を上げようとした天音の目前にドレッドノートが迫る。肩を抉られ、頭を失い、腹を抉られて尚――動く。振り被られた足――腕よりも尚太く、槍の様に引き絞られたソレ。真正面から受ければ、重装でもないASがどうなるかなど火を見るより明らか。

 たった一瞬、されど一瞬、天音は死を覚悟した。

 その目前に、割り込む影。

 

 ――やらせるか。

 

 刑部は天音の機体を横合いに弾き飛ばし連射砲を盾代わりに構え、両腕を胸の前で重ねた。咄嗟の防御行動、同時に着撃。繰り出された蹴撃は盾代わりの連射砲を容易く穿ち、装甲を拉げさせ腕部のフレームを歪めた。堪えれば死ぬ、直感でそう理解し、刑部は脚部の踏ん張りを緩める。思考は刹那、そしてドレッドノートは重装四脚を軽々しく吹き飛ばし、拉げ砕けた連射砲だった残骸が宙を舞う。天音の直ぐ真横を刑部の四脚が吹き飛び、通過した。天音が目を見開き、その残滓を追う。

 

「ッ、ぁ――!」

 

 何かを叫びそうになって、天音は代わりに肩部の火砲を至近距離でドレッドノートに向けた。ガコン! と次弾が装填される。蹴り出した姿勢のまま、ドレッドノートの腕が上がる。

 

「ぁぁ、ぁああアアアアッ!」

 

 砲撃、緋色の十字架が飛び散り、砲弾が着弾、炸裂。

 胸元、近すぎて外しようがなかった。

 装填していたのはAPではなくHE、傷だらけの今ならば内側に爆発が届くとの瞬時の判断であった。爆風で背後に押し込まれる天音、涙を流しそうな表情で前方を睨みつける。同時に、爆炎を裂いて現れるドレッドノート。今の砲撃で辛うじて繋がっていた片腕を失い、片腹を抉られ、爆破で焼かれ――尚、存命。

 血を撒き散らしながら動く怪物、その接近に天音は叫ぶ。

 

「な、何でッ、何で死なないの!?」

 

 理解不能だ、最早生物が生きていける状態ではない。頭部がなく、腕が無く、腹を抉られ、その出血で何故!? アダルトならば、もう三度は死んでいる! 錯乱する天音は再度砲撃を行おうと足掻く、しかしどう見てもドレッドノートが腕を伸ばす方が早い。

 

「天音ッ、退け!」

 

 体勢を整えたセブンが叫び、ドレッドノートの背後から迫る。腹部の穴が震える。それを見てセブンは悟った。背面を向けたまま咆哮(ハウリング)――砲撃だ。

 辛うじて体が動いた。機体を傾け、地面に擦り付けるようにして避ける。左肩部に見えぬ何かが擦過した、重低音が鳴り響き装甲が消失する。兵装ごと装甲を失った、しかし今止まる訳にはいかない。

 接近、距離は十分、腕を振り上げ――セブンは再び収縮する腹部の空洞を見た。

 顔が蒼褪め、空洞がゆっくりと震える。

 砲撃の連射――可能なのか。

 思考が高速で動く、この至近距離、回避の隙間は――ない。

 

「く――そッ」

 

 避けようがない、接近し過ぎた。冷徹な演算機能がそう結論付ける。まさか、こんな場所で果てる事になるとは。

 セブンは避けられぬ死を覚悟し。

 しかし横合いから衝撃。砲撃は真横を飛んで行き、背後の転落防止柵を抉り取る。セブンは地面を転がって素早く立ち上がり、今しがた自身を救った恩人に礼を叫んだ。

 

「ナインっ、助かった!」

「いえ――っ」

 

 セブンの傍に転がる軽量AS、横合いから飛び込み、その命を救ったのはナインだった。その機体は所々が抉れ、凹み、表面には無数の傷。左肩部は内部機構が露出しており、腕部もフレームが曲ったのか装甲が罅割れている。

 

「刑部さんは……っ!?」

 

 しかし、そんな損傷を気にする素振りも無く今しがた吹き飛ばされた刑部の容体を気にするナイン。刑部の吹き飛ばされた方に顔を向けると同時、小隊にアナウンスが届く。

 

『四番機、右腕部、左腕部に被撃、装甲被害甚大』

「っ、大丈、夫!」

 

 ナインと同じようにウォーターフロント外壁に叩きつけられた刑部は、しかし気丈にも立ち上がる。罅割れた装甲、フレームも歪み生身の方にもダメージがある。あの一瞬、まるで生身が殴られたかのような衝撃だった。肺の空気が全て抜け切り、臓物をい抜かれた様な。しかし踏みとどまらず、自分から飛んだのが良かった。衝撃を吸収せず、流れた為に致命傷には至っていない。しかし、あの一撃は装甲とフレームを貫通し、刑部の両腕に致命的な一撃を刻み込んでいた。青黒く変色し、血を流す刑部の両腕。折れたか――その腕を見て天音は沸々と、制御できない感情に胸が支配される。

 ドレッドノートを睨みつけ、涙を流しながら叫ぶ。

 

「っ、この、よくもォッ!」

「天音ッ、よせ!」

 

 守らなければならない人に守られた、その事実は天音が突貫を敢行するに十分な理由であった。踏み込み、至近距離で連射砲をトリガー、しかしドレッドノートは自身の体を庇う様に腕を閉じた。故に弾頭は傷に届かず、悉くが外殻に弾かれる。舌打ちし、再び火砲を向けるトリガー、しかしそれが脅威である事を学習したのか寸前で身を逸らしたドレッドノートに避けられてしまう。

 

「く、っ……!」

 

 下から抉る様な砲撃は身を逸らしたドレッドノートの外殻を擦り、宙の彼方へと飛び去った。残った腕を振り被るドレッドノート。凄まじい剛腕、絶対に受けてはならない。天音は体を傾けて一撃を躱す、しかし天音は至近距離での格闘戦の経験が殆どない。その経験不足から間合いを見誤り拳が火砲に掠めた。瞬間、砲塔が拉げ装甲ごと剥がされる。掠めただけでこれか、天音は顔を顰め連射砲を握り締めた。

 

『二番機、左肩部装甲破損、左肩部兵装喪失』

「ナイン、合わせろ!」

「はいッ!」

 

 天音の突貫を見ていた機械人形の両名は空かさず兵装を構え、背後から強襲を決断。

 しかしそれを予期していたかのようにぐりん、とドレッドノートの体が捩じれる。

 

「ッ!?」

 

 同時に跳躍、その巨体で何という動きを――そう口にするより早く、空気が震え頭上より重低音が鳴り響いた。砲撃だ、見ずとも分かった。

 二人は弾かれたように左右に分かれ、見えない砲撃を躱す。砲撃は甲板を抉り、戦車砲の直撃にも耐えるウォーターフロントの床を文字通り抉った。

 着地し空を仰ぐ、落下し迫るドレッドノートの蹴撃。狙いはナイン、弱っている方を狙ったか。咄嗟に回避行動をとろうとして――網膜ディスプレイに文字、『右脚部アクチュエータ破損』の項目。自動姿勢制御、破損部位の補填。

 ナインは迫るドレッドノートの巨大な足裏を眺める。駄目だ、これは、避けられ――。

 

「あぁァアアッ!」

 

 天音がドレッドノートに突進した、横合いから機体をぶつける事で攻撃の軌道をずらす。襲撃はナインの直ぐ横に突き刺さり、天音は無理な姿勢で突貫したが為に着地も出来ず、甲板の上を転がる。ナインは素早く機体制御を取り戻し、後退した。

 

「天音ェッ!」

 

 叫び声、天音は咄嗟に背後を見る。このままもう一度突っ込んで、それで――そう考えていた彼女はしかし、飛来する影を見て泣き笑いを浮かべながらその場を飛び去った。入れ違う形で現れたのは刑部。スラスターを噴かせドレッドノートに接近、甲板を蹴り穿ち、今立ち上がろうとする彼奴に強襲を仕掛ける。

 

「くたばれェッ!」

 

 叫び、着撃。

 四脚に内蔵されている接地用パイルを飛び掛かると同時に射出、計四本のパイルバンカー、それが全弾直撃。正に四脚の飛び蹴りというに相応しい。ドレッドノートの体が後方へと吹き飛ぶ。凄まじい衝撃だった、さしものドレッドノートでさえ後退させられる程に。刑部の四脚が着地――自動姿勢制御、強制停止(キャンセル)――追撃。

 パイルを出したまま火花を散らして地面に着地、急停止、同時にスラスターにて加速。ドレッドノートに肉薄し、機体を回転させ脚部を撃ち出す。着撃と同時にパイルをトリガー、宛ら竜巻の如く打ち込む。回転し四本の足を器用に操り二撃、三撃、四撃と撃ち込む。四脚の接地用パイル、それ自体は兵装でない為プラズマ・パイルの様に炸裂させる事は出来ない。しかしその硬度はドレッドノートの外殻を穿ち、確実に出血を強いる。防ごうと両腕で体を守るも、その外殻ごと四脚の蹴撃は穿つ。超稼働の脚部が火花を散らし、関節部位が赤熱を始めた。警告音が耳元で喚く。

 

『四番機、脚部負荷甚大、関節部過熱、強制冷却まで十秒』

「ぶっ、とべぇェエエッ!」

 

 飛び上がり、再び同時四撃。凄まじい衝撃音と共に、重機同士が衝突したような金属音が鳴り響いた。穴だらけとなったドレッドノートの体が後方へと流れる。血塗れの刑部が笑う、流れたドレッドノートの体にセブンが合わせた。背後から音も無く接近し、腕を振り上げ。

 

「最大出力で叩きこむ……ッ!」

 

 スパーク。

 両腕をドレッドノートの背中目掛けて振り下ろし、紫電が迸りその動きを止めた。凄まじい閃光、同時にセブンが叫ぶ。

 

「ナインッ!」

「はぁぁあアアアアアアアッ!」

 

 ナインは搭載されていた兵装を装着、元は工兵用電動鋸(チェーンソー)。しかし、使えるのであれば何でも良い。飛び上がり、それを首元から斬り込む。軽量とは言えAS、その重量と勢いを加味すれば十二分に通用する。事実、盛大に火花を散らし金切り声を上げながらドレッドノートの体を半ばまで電動鋸は両断せしめた。ナインは素早くチェーンソーから手を離し、両腰部からケトルボムを引っ張り出すと電動鋸で露出した断面に張り付けた。トリガーを引き絞ると内側から固定ボルトが飛び出し、グリーンランプが点灯する。

 

「セブンさんッ!」

「あぁッ!」

 

 セブンはナインの声に応え、近接兵装を解除しドレッドノートの体を掴む。

 

「刑部ッ、天音!」

「――!」

『一番機、機体出力制限解除(ハイパワーモード)、制限五秒間』

 

 意図を察し駆け出す双方。そしてセブンがドレッドノートを全力で押し出し、その巨体が一歩よろめく。その瞬間に天音と刑部の両名は更に加速。バーニアを全開にし、ドレッドノートに肉薄。

 そして、全力の蹴撃。

 天音と刑部、両名の機体が放った蹴撃がドレッドノートを、その巨躯を吹き飛ばした。柵を突き破り、海へと放り出されるドレッドノート。しかしまだ動く腕を伸ばそうと足掻き。

 

「やれナインッ!」

「っ!」

 

 カチッ、という軽い音が鳴った。

 瞬間、刑部と天音の目前、今にも海に落ちて行くドレッドノートが――弾け飛ぶ。

 凄まじい爆炎と衝撃波が二人を襲い、下から噴き上げるようなそれに両名は逆らう事無く後方へと跳ぶ。緋色の尾を引いて落下するドレッドノート、ややあって大きな落水音が響き、小隊の面々は一瞬の光に目を焼かれながらも生を実感した。

 

「や、やった……!」

 

 虚空で燃えながら海に落ちて行く肉片、それらを見つめながら天音は歓喜の声を上げる。セブンとナインの両名は最後まで兵装を構え、燃え落ちて行くドレッドノートの破片を見送った。

 

「内側に張り付けて起爆しました、流石にもう動けない筈です」

 

 天音はその言葉に、思わずその場に座り込む。しかし、状況はまだ終了していない。刑部は拉げた両腕の痛みを噛み殺しながら叫んだ。

 

「エイハブは――!?」

 

 周囲を見渡す――あの巨躯の影さえ存在しない。

 ナインは冷静に周辺探知を行い、一体にエイハブ級の巨大反応が無いことを確認した。

 

「……反応なし、ドレッドノートを送り出した後に潜りましたか」

「くそッ」

 

 あれは、此処で沈めるべき対象であった。優先目標を逃したという事実に刑部は悪態を吐く。

 

「でも、どうしてドレッドノートが……内地の奥にしか居ないって話じゃあ」

「エイハブの体内でドレッドノートすら生産可能という事だろう、今は生き残れた事を喜ぶべきだろうな、兎角、まだ戦闘は終了していない、奴を退けられたのは僥倖だが、我々も他の感染体の迎撃に――」

 

 優先目標は逃した、しかし撃退に成功したというのも事実である。兎も角、あの巨躯から再び感染体が送り込まれる事は無い。今は波の如く迫り来る残党を迎撃しなければならない、そう動き出そうとして――小隊全員の機体がアラートを掻き鳴らした。

 

「ッ――!?」

 

 総員が、尋常ではない寒気を覚えた。

 それは予感であった――『来てはならないものが来る』、そう、悍ましい予感だ。

 

【警告 警告 警告】

 

 機体が警告を繰り返す。耳を劈く騒音、しかしそれに見合うだけの脅威が接近していると本能が警鐘を鳴らす。遅れて、ウォーターフロントに設置されていた外郭レッドランプが点灯、甲高い警告音が夜空に響き渡った。周囲の色彩に赤が混じる。赤い照明灯(レッドランプ)――それは本来、たった一体の感染体の到来を知らせる為に設置された警戒灯。

 

【搭乗者保護優先、内蔵ボンベ稼働、全装甲化による隔離処理を実行、搭乗者は直ちに最寄りの隔離施設へ避難して下さい】

 

 天音と刑部、その顔面を覆う様にして展開装甲が張り付いた。防御性能は最低限、ただ空気中の粉塵を隔てるだけの代物。口元にマスクが装填され、機体内部の緊急用ボンベより酸素が供給される。それを吸い込みながら、刑部は遥か遠くの夜空を見上げた。

 

【第一種危険指定感染体――感染蝶(バタフリー)、出現】

 

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