ハイスクールD×D 雷帝への道程   作:ユキアン

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産まれてぼっち

 

「なんでこうなったかな」

 

縦1cm横1cm高さ1cmのサイコロ状の材木をマントを使って積み上げて人形サイズの城を築き上げながら、隣で山の様に大きな岩に延々と体当たりを続けて少しずつ押して行く。始めたばかりの頃はどちらか片方、しかもここまで細かいことや大きな岩を動かす事は出来なかったが3年も続ければ慣れた。

 

午前中の日課の訓練を終え、昼食として用意したサンドイッチにかぶりつく。微妙に前世で食べた物と違うが、多少の違和感があるだけでおいしい。

 

前世で神に暇つぶしで殺されて早6年、オレは『金色のガッシュ』に登場するゼオンの才能とマントとブローチを貰って転生したのだが、転生したこの世界では悪魔や天使、堕天使に神話の神々や生き物が普通に居る世界で、オレは悪魔として産まれた。産まれた時にマントとブローチを着たまま産まれて来たのでそれは気味悪がられ、生きるために必要な最低限の世話以外は干渉されることのない生活を送っている。

 

朝に目を覚まし服を着替えて自室に運び込まれる朝食を食べ、同じく用意されている昼食を持って裏庭の奥深くにまで転移し、マントの制御と肉体強化の訓練を行い、午後からは礼儀作法などの勉強を行い、朝食と同じく自室に運ばれた夕食を食べ、両手の間で雷を圧縮してプラズマになるまで魔力を放出して、魔力が空になれば風呂に入って眠りに着く。

 

誰かと話すのは礼儀作法などの勉強を行っている時だけで、そんな生活を3歳から続けている。若干と言うか、かなり寂しい。オレに礼儀作法を教える家庭教師は詳細を伝えられていないのか普通に接してはくれるが、屋敷の者のオレに対する対応を見て若干離れた位置からの接し方だ。オレも彼らに迷惑はかけたくないので自分から歩み寄ろうとはしない。

 

 

 

そんなある日、オレは父親に呼ばれて書斎に出向いた。

 

「人間界ですか?」

 

「そうだ。将来の為にも人間界のことをよく知っておく必要があるだろうから、しばらくの間行ってこい。金は用意してある」

 

机の引き出しから3本の札束を取り出して投げ渡してきたのでマントで回収する。それを見て父上が眉を顰めるが気にしないでおく。

 

「何かあればロンをやる。それまでは人間界に行っていろ」

 

「……分かった。明日の朝一に向かおう」

 

厄介払いか。それもよかろう。ちょうど肉体変化の魔法は覚えたからな。前世と同じく屋台を引いて暮らさせてもらおう。

 

 

 

翌朝、オレは父親に貰った転移の魔法陣で人間界にあるベル領の屋敷(管理をしていないのかボロボロで廃墟同然)に転移し、肉体変化で自分が成長した姿をとり、ホームセンターに駆け込む。屋台に使う材木やタイヤに工具、ラーメンを作る為の鍋などを買い込み、そのまま駐車場の片隅に結界を張ってその場で屋台を組み立てる。前世でも自作して定期的にメンテも行っていた上に、今ではマントもあるので楽に組み立てる事が出来た。

 

「道具はこれで良しっと。あとは材料を買ってきて、試作を作らないとな。とりあえずは6年前の味を取り戻さないと」

 

屋台を一度収納の魔法陣の中に放り込み、スーパーではなく市場を捜しに空を飛ぶ。幸いにも近くに港があった為に魚介類の購入は楽にすんだ。あとは鶏ガラや豚骨、トッピング用のチャーシューなどを用意しなくては。

 

 

 

それから一週間程、人間界の屋敷を拠点にしながら不眠不休でひたすらラーメンを作り続けた。

 

「うむ、これなら行けるな」

 

さすがに6年も前の味を完全に再現する事は不可能だったが、納得のできる味には仕上がった。これから旅をしながら味を改良していけばいいだろう。

 

「さて、ラーメン屋台『雷帝』開店と行くか」

 

屋台を引きながらオレは日本全国を旅する事にした。無論、天界や堕天使の領地、日本神話の領域には入らない様に注意してだ。まったく面倒な種族に産まれてしまったな。

 


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