ハイスクールD×D 雷帝への道程   作:ユキアン

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特訓(拷問)って、いい響きだ

 

なぜ、こうなったんだ?目の前で黒歌とリアスが互いに敵意をむき出しにして睨み合っている。白音は怖いのかオレの後ろに隠れて、ハムリオは離れた所でにやにやして、グレイは首を傾げている。あと、服をちゃんと着ろ。

 

「はじめまして。私はリアス・グレモリー、ゼオンの婚約者よ」

 

リアスが婚約者を強調して自己紹介を行う。

 

「はじめまして。私は塔城黒歌、ゼオンの眷属でランクは僧侶。ゼオンとは昔から一緒に暮らしてるにゃ」

 

今度は黒歌が一緒に暮らしているというのを強調しながら自己紹介を行う。

 

「ふふふ、これはちょっと話し合わないといけないみたいね、黒歌」

 

「そうね、ちょっと詳しくお話しないとね」

 

「こっちよ、ついてきなさい」

 

そのまま二人で何処かに行ってしまう。おいおい、自分の眷属の紹介を忘れるなよ。呆れて溜息をつくとリアスの眷属の二人がビクッと反応する。

 

なぜ、こんなことになったのか説明しよう。リアスが学園に入学して1年。リアスは優秀な成績を収め、一定期間ごとにレポートの提出を行うことで授業の免除と悪魔の駒を得られる権利を得た。オレの時はレポートすらなかったがこれは普通の事らしい。リアスに教えて貰って初めて知ったがな。

 

そして悪魔の駒を貰ったリアスは早々に女王と騎士を眷属にしたと連絡して来たので互いの眷属を紹介する事になったのだ。そしてグレモリーの屋敷に向かい、冒頭に相成った。

 

「はぁ、仕切り直すぞ。初めましてだ、リアスの眷属よ。オレはゼオン・ベル、リアスの婚約者だ。この娘は塔城白音、先程リアスと一緒に出て行った黒歌の妹だ。そっちのシルバーを大量に付けているのが銀術士のハムリオ・ムジカで、服を脱いでいるのが静の氷の造形魔導士グレイ・フルバスターだ。グレイ、お前は服を着ろ」

 

「おっと、いつもの癖で」

 

脱いでいた服を着直しているグレイは放っておく。

 

「それで、君は」

 

「あ、あの、は、はははははじめまして、姫島朱乃です。リ、リアスのクイーンをやってます!!」

 

ガチガチに固まってまともに話せていない姫島を見て苦笑する。

 

「そう緊張するな。普段通りで構わん。グレモリー家に婿入りすれば眷属も家族として扱われる。リアスの眷属なら、オレの家族と言っても構わんだろう。気軽に接してくれて構わんぞ」

 

「いいえ、冥界最強と名高い“雷帝”ゼオン様に気軽になんて出来ませんわ!!」

 

「ふむ、ならば命令だ。普通に接しろ。オレは敬われたりするような者ではない。ただ、自分の持っている力を振るっていたら冥界最強なんて言われ始めただけだ。オレ自身、望んで得た名声ではない」

 

「……分かりました。改めてよろしくお願いいたします」

 

「ああ、リアスを支えてやってくれ。ああ見えて結構寂しがり屋だからな」

 

「ふふ、はい」

 

「それからそっちは」

 

「……木場祐斗です」

 

ふむ、その濁った目、良く知っている目だな。

 

「失礼を承知で聞くが、復讐をするつもりだな?」

 

「っ!?貴方も否定するつもりですか!!」

 

「いや、オレは復讐には賛成だ。誰に対して復讐するのかは知らないが、復讐を遂げないと先に進めないのだろう。ならば復讐を遂げるしかない。復讐は何も生まないなどと綺麗ごとを言えるのは何も失った事がないからだ。そんな薄っぺらい言葉で動かされるのなら最初から復讐をしようなどと思わないさ」

 

「そうですか」

 

「だが、復讐にもそれなりの美学とマナーが存在するとオレは考えている。木場祐斗、お前がオレの考えと同じなら力を貸してやろう。伝手は色々とあるからな、復讐の機会を用意してやる事も出来るぞ」

 

「……美学と、マナーだと、巫山戯るな!!」

 

木場祐斗の手に何処からとも無く魔剣が現れ、それをオレに向かって振るう。魔力の感じから炎系統の魔剣だろうな。右手の親指と人差し指に氷の魔力を集中させて魔剣を掴み取る。

 

「巫山戯てなどいない。もしオレに復讐の機会が訪れたのなら、オレはその美学とマナーを守った上で復讐を行う。ハムリオもグレイも納得した上で復讐を行おうとしている」

 

「さっきの言葉を返させてもらうよ、そんな薄っぺらい言葉で僕を動かせると思うな!!」

 

「ならば実力行使だ。グラビレイ」

 

5倍程の重力を木場にかけて這いつくばらせる。少し頭を冷やさなければこちらの話を聞かないだろうからな。さて、どうやって頭を冷やさせるか。いや、逆にここは一度完全に頭に血を上らせてから意識を奪って強制的に落ち着かせた方が良いか?いや、このまま怒りをオレに向けさせて鍛えてから少しずつ思考を冷静な方にズラしていった方が良いか?

 

「復讐の相手が誰なのかは知らないが、この程度でどうしようもなくなるのなら力不足だ、諦めろ」

 

「う、る、さい!!僕は、こんな、所で、立ち止まる、訳には」

 

「なら立ち上がれるだけの力を見せてみろ。さあ、怒りを力に変えて、目の前の邪魔者を排除してみろ!!」

 

「うがあああああああああ!!」

 

木場の魔力が高まり、部屋中に広がっていく。おいおい、見境無しか。素早くマントを広げて木場以外の全員を空中に避難させる。次の瞬間、部屋中に魔剣が生成される。これが神器“魔剣創造”か。話には聞いた事があるが、創造魔法の元になった物にしては雑だな。適当に一本引き抜いて調べてみるがグレイが造形魔法で作る氷の剣の方が強力だな。

 

「弱いな。力の振るい方も知らないのか。この程度では雑魚しか殺せんぞ。創造系の基本を抑えられていないようだな。宝の持ち腐れだ。ソルド・ザケルガ!!」

 

グラビレイを解除してソルド・ザケルガを握る。

 

「来い、格の違いを教えてやる」

 

「うわあああああああ!!」

 

グラビレイから解放された木場は魔剣を引き抜き斬り掛かってくる。オレはそれに対してソルド・ザケルガを盾の様に構える。そして魔剣がソルド・ザケルガに触れた瞬間、木場の持つ魔剣が粉々に砕け散る。

 

「なっ!?」

 

「所詮、お前はその程度だ。身の程を弁えろ。ザケル!!」

 

威力を出来るだけ抑えて、身体が麻痺する様に調整したザケルを叩き込んで這いつくばらせる。そして、その頭を踏みつける。

 

「オレの復讐の美学とマナー、それは返り討ちと相討ちは許さん、そして復讐の対象を見誤るな。それだけだ。返り討ちはもっての他なのは分かるな。相討ちを許さないのは結果を最後まで見届けれるか分からんからな。ギリギリの所で助かるかもしれん。確実に仇を取った後で、死にたいと言うのなら止めはしない。最後、復讐の相手を見誤って関係の無い者、薄い者を手にかけるのならただの殺人鬼だ。復讐もクソもない。ただのゴミだ。ゴミはゴミ箱が基本だろう。分かったなら返事をしろ」

 

「黙れ!!」

 

「ふぅ、ザケル!!」

 

今度は少し強めのザケルを食らわせて意識を飛ばす。

 

「ハムリオ、グレイ、お前達の習熟度を見るついでだ。現地に向かってから言う物を作り上げろ」

 

「はいよ。まあ、大体想像はつくけどな」

 

「細かいレイアウトは好きにさせろよ」

 

「それ位は良いだろう。姫島、白音の事を任せても良いか?それから木場を預かるとリアスにも伝えておいてくれ。少し時間がかかるが、戻ってはくる」

 

「はい、分かりました」

 

気絶している木場を担ぎ上げて姫島と白音をマントから降ろして転移する。場所はグレイが修行を行っている未開地の雪山だ。そこに三人掛かりで強固な牢屋を形成する。壁には装飾に見せかけて監視用の魔法陣と最低限の生命維持を行う魔法陣を隠しておく。そして牢屋の中に木場を放り込んで、毛布と二日分の携帯食料を牢屋の隅において、ハムリオが銀の足枷を、グレイが氷の手枷を嵌める。そして魔法陣とは別に監視用の式髪を牢屋の外に配置して完成だ。所要時間4時間弱にしては十分だろう。

 

「監視は半日交代で補修作業を並行して行う様にするぞ」

 

「抜け出させる気無しかよ」

 

「もう少し聞き分けが良いのなら、ロン・ベルクを紹介するのだがな。今は自前の魔剣だけで鍛えれるだけ鍛えるしかないな。一定ラインの魔剣が精製出来るまで閉じ込めるぞ」

 

「「了解」」

 

さて、出てくるまで何日かかるかな?

 

 

 

 

side 木場祐斗

 

 

目が覚めると、僕は牢屋に入れられていた。記憶を掘り起こして見ると“雷帝”にやられたのを思い出す。腕には氷の、足には銀の枷が嵌められている。牢屋も氷と銀で作られている。

 

「くっ、こんな物」

 

炎の魔剣を床に突き刺さった状態で作り出して、床に刺さる事無く魔剣が倒れる。

 

「なっ!?」

 

炎の魔剣が高熱を放っていると言うのに、周りの氷は溶け出す気配がない。それでも手枷を融かす為に這いつくばりながら転がっている魔剣の傍まで移動する。炎の魔剣を足で挟み、氷の手枷を押し付ける。しかし、床の氷と同じ様に融け出す気配が全く無い。魔剣に魔力を全力で流し込む事でようやく少しずつ融け出していく。だが、その速度は遅く、半分程融かした所で魔力が切れ、意識を失う。

 

再び意識を取り戻したとき、辺りは暗くなっていた。分厚い氷の壁は僅かな月や星の光を遮り完全な闇を形成している。寒さで身体も動かし辛い。炎の魔剣も魔力を失い、冷えついている。魔剣に再び魔力を流し込み、熱を得る。身体を動かせる様になってようやく空腹に気が付く。悪魔は人間と違って色々と頑丈だから数日は持つはずだが、氷の手枷だけでこの状況だ。餓死する可能性が頭を過る。

 

そこまできてやっと牢屋をちゃんと見渡し、毛布と携帯食料を見つけた。携帯食料は二日分だが、無いよりはマシだ。半日分を口にして毛布に包まり魔剣を抱えたまま眠りに着く。意識を失ったのでは魔力の回復が悪い。ちゃんとした休息を取りながら限界を見極めて魔力を魔剣に注がなければならない。

 

休息を終えてから再び炎の魔剣に魔力を流し込み半日かけて氷の手枷から解放される。融かした氷から僅かな水分を取り、再び休息を取る。次は銀の足枷をどうにかしなければならない。

 

再び休息を終えた僕は新たな魔剣を産み出す。この銀の足枷も氷の手枷の様に頑丈だと考えて、何の属性も持たせずに刃がノコギリ状になっている剣を作り出す。予想通り、銀の足枷もかなり頑丈である。それでも微かに削れているので諦めずに削り続ける。剣の方が摩耗すればまた新しく作り直して削り続ける。こちらも一日かかったが何とか壊す事が出来た。携帯食料を半日分を口にして再び休息を取る。ようやく本題に取り掛かれる。

 

牢屋の檻は芯に銀を通し、氷で肉付けされている。僕に施されていた枷よりは脆いようだけど、やはり時間がかかりそうだ。とりあえず壊す部分を決めて氷を融かしていく。慣れてきたのか氷が融ける時間が短くなっている気がする。とりあえず魔力をギリギリまで使って融かせる分だけ融かしておく。魔力が切れれば再び休息を取る。

 

そして、目が覚めると融けていた氷が元に戻っていた。

 

「馬鹿な!?誰も傍には来ていないのに。遠距離からでも氷を操れるのか!?」

 

あの雷帝が眷属にするだけの事はある。そして僕を力不足だと言う理由も。僕にはここまでの精度も強度も出す事は出来ない。だけど、諦めるわけにはいかないんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

枷を外してから何日経ったのだろうか?少なくとも一週間は経ったはずだ。携帯食料はとっくの昔に食べ尽くしていたけど、ぎりぎり死なない程度の活力が漲っている。だけど、精神的にも肉体的にも限界の僕は僅かしか回復しない魔力を暖を取るためにしか使う事が出来ない。

 

牢屋の檻は氷も銀も壊しても速ければ壊した目の前で、遅くとも半日程で元に戻ってしまう。日が経つにつれて氷を融かす速度も、銀を削る速度も上がってはいったけど、丸一日使っても僕が出れるだけの穴を開けるのは不可能だった。

 

僕は、ここで終わるのだろうか?仇も討てず、上から力づくで押さえつけられて。

嫌だ。

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!

 

まだ死にたくない。折角皆が助けてくれたのに。皆がくれた命なのに。こんな所で死ねない。死にたくない。生きたい!!

 

僕の中で、ズレていた歯車ががっちりと挟まった気がした。それと同時に僕の周囲に炎でその身体を構成した人の様な者達が同じく炎で出来た剣やノコギリの様な物を持って現れる。ああ、なるほど、これが

 

「禁手化か」

 

理解すると同時にその炎に命令を下す。

 

「やれ!!」

 

命令と同時に炎が牢屋の檻を少しの時間をかけて焼き切る。牢屋から通路に出た時に、銀色の何かを見た気がするけど気のせいだろう。そのまま通路を歩いた先には一面を覆う雪の白と空の蒼しか存在していなかった。

 

「ここは」

 

「ここは冥界で開発されている最南端の街から更に500km程離れた麓から山頂までが永久凍土に覆われた山で、オレが育った山だ」

 

声が聞こえた方に振り返るとパンツ一枚の姿のグレイ・フルバスターが居た。

 

「とりあえず、牢から出られた事を祝福しよう。少しは強くなれたようだ。だが、ゼオンはそれだけでは敵討ちを許しはしない」

 

「……関係ない」

 

炎の戦士達がグレイに襲いかかる。それを見てグレイは両手を合わせながら魔力を練り上げる。

 

「アイスメイク、氷欠泉(アイスゲイザー)!!」

 

炎の戦士達の足下から氷が間欠泉の様に吹き出して炎の戦士達を氷像にしてしまう。

 

「くっ、まだだ、ここで立ち止まる訳にはいかない!!」

 

魔剣想像(ソード・バース)の禁手に魔力を注ぎ込み、新たな戦士達を産み出す。

 

「止めておけ。今のお前の体力と魔力じゃあ、結果は変わらない。それよりもすぐに牢に戻れ。このままだと死ぬ事になるぞ。あそこには生きるのに必要な最低限の力を与える結界が張ってある。3週間も飲み食いせずに生きていられたのはそのおかげだ。だが、今激しく動けばたちまち力尽きる事になる。だから」

 

「その必要は無い」

 

山頂方面から全身に炎と鎧を纏った角の生えた馬に跨がったゼオンがやってくる。

 

「受け取れ」

 

ゼオンが投げ渡してきた小ビンを受け取る。

 

「フェニックスの涙だ。飲むなり浴びるなりすれば体力も魔力も完全に回復させれる物だ。この3週間の間に色々と調べ回る時間はあったからな。お前が復讐を完遂出来るのか、採点してやろう」

 

「その上から目線が気に食わないんだよおおおおおお!!!!」

 

フェニックスの涙を飲み干して炎の戦士達を大量に産み出し、僕自身も魔剣を手にゼオンに突撃する。ゼオンはそんな僕らを見もせずに山頂方面に手を向ける。

 

「テオラドム」

 

ゼオンが放った魔法は山頂付近で大規模な爆発を起こし、雪崩が起きる。

 

「馬鹿野郎!!最初にやるって言えよ!!」

 

グレイは魔法で氷の板を産み出して、それに乗って滑り出す。

 

「駆けろ、シュナイダー!!」

 

「メルメルメー!!」

 

ゼオンも跨がっている馬に命じて斜面を駆け下りていく。そして僕と戦士達はあっけなく雪崩に飲み込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、豪華な部屋にある天蓋付きのベッドに寝かされていた。

 

「目が覚めたようだな」

 

ベッドの隣には人形の様な何かが立ち、良く知る声で話しかけてきた。

 

「ゼオン」

 

「お前の事は調べさせてもらった。そしてお前の復讐に関わってきそうな聖剣の事もだ。あれは悪魔にとって天災の様な物だ。傍にいるだけで身を削られる。まともに食らえば即死だ。それを理解しろ。お前はもう悪魔なのだからな」

 

「天災だから諦めろと言うのか?巫山戯るな!!僕は絶対に諦めない」

 

「ああ、それで良い。むしろ本物の天災ならともかく、聖剣程度で諦めるな」

 

復讐を諦めさせられると思っていた僕はその言葉に唖然とした。

 

「もう一度言おう。聖剣程度で諦めるな。本物の天災なら復讐の対象は居ないが聖剣は人為的な天災だ。聖剣は恐ろしいが、打ち勝てない訳では無い。実際に粉々に壊されているしな。だが、今のお前では無理だ。この3週間で十分強くはなったが、まだ足りない。お前はまだまだ強くなれる。その為の師を紹介してやらない事もない。さあ、どうする?」

 

「強く、なれるのかい?」

 

「ああ、もちろんだ。お前はまだ原石の状態だ。磨けば、聖剣以上の輝きを放つだろう。だが対価は必要だ」

 

「僕に出来る事なら、命以外なら何でも払う」

 

「安心しろ。オレはそれほど対価を求めはしない。対価は簡単だ。復讐はオレが認めるまで許可しない。それと復讐が終わっても自分の命を粗末に扱おうとするな。リアスが悲しむからな」

 

「それは、大丈夫。僕だけが助かって皆には悪いとは思う。だけど、生きていたいって思ったから」

 

「そうか。なら、復讐の相手だけはしっかりと見据えていろ。オレからは以上だ。1週間後、お前の師となる男の元に連れて行ってやる。それまではゆっくりと身体を休めていろ」

 

「一つだけ聞かせて、なんでグレイとハムリオの氷と銀はあんなに硬いんだ?」

 

「簡単だ。オレもグレイもハムリオも、己の武器である物を深く理解しているからだ。雷とは、氷とは、銀とは、一体どう言う物なのかを理論的に感覚的にしっかりと理解しているからだ。鳥が親に教えられずとも翼を使って空を飛べる様に、オレ達は己の武器を身体の一部同然に扱う事が出来る。創造系の魔導士の基本だな。お前の魔剣創造も炎に特化してしまったようだが、以前よりも強力になっている。お前が炎とはどんな物なのかを感覚的に理解を深めたからだ」

 

まあ、ずっと傍にあったからね。理解は深まるよ、絶対に。

 

「だからお前の師には冥界一の刀匠ロン・ベルクを紹介する。奴は超一流の剣士であったが、己の力を全力で振るえる武器に恵まれず、自分で作る事を決めた男だ。その男の元で剣とは何なのかを理解すると良い。ついでに多少の剣技も教われば良い」

 

「ついでって」

 

「剣技なんて物は自分で磨く物だ。何処かの誰かに弟子入りしてどうする。同じ流派であろうと似ているだけで個人ごとに差は出る。それに最終的には同じ目的に達する。すなわち、斬りたいものを斬る。それだけだ。戦士とはそう言う物だ」

 

極論過ぎると思うんだけど今は気にしないでおこう。なにより、身体が休息を求めてる。

 

「ふむ、疲れているようだな。今日の所はここまでにしておこう。本体もこちらに意識を割き辛くなっている様なのでな」

 

そう言うと同時に目の前の人形らしき物が消え去る。そして僕の意識はまた闇に飲まれる。

 

 

side out

 

 


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