ハイスクールD×D 雷帝への道程   作:ユキアン

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戦闘用の使い魔ってなんで少ないんだろうな?

 

 

とうとう始まったリアス達とシュナイダーのレーティングゲームをオレは会場で見守っている。用意した舞台は駒王学園。遮蔽物も多く、場所を選べばシュナイダーに奇襲もかけやすい自分たちの庭だ。本陣はリアス達はオカ研部室、オレとシュナイダーは生徒会室となっている。

 

「シュナイダー、前にも言ったが相手はリアス達だ。術に制限は設けるが、手加減はするな。ここから先、リアス達にも力が必要になる。オレが守っても良いが、リアス達はそれを良しとしないだろう。だからこそ力を得る為に経験しなければならない。本当の戦いの恐怖を。お前が見てきた生と死の狭間を、今度はお前が教えてやるんだ」

 

「メル!?」

 

「辛いだろうが、それでも必要なんだ。オレも機を見て一度リアス達に恐怖を与えるつもりだ。だが、いきなりオレでは危険すぎるからな」

 

レーティングゲームと違い、はぐれの討伐の際には殺気を全開にするのが癖と言うか、戦闘のスイッチを切り替えるとそうなってしまうと言った方が良いか。まあそんな感じでONとOFFしか存在しないのだ。

 

そしてオレの殺気なんだが、殺気だけでA級程度のはぐれなら死ぬことがある。失礼にも程がある。まあ、戦ってもS級以上でなければ蹴りの一撃で終わることが多いが。スライムみたいなタイプだとザケル一発で終了だ。

 

「白音と祐斗は大丈夫だろうな。朱乃は昔のトラウマを引きずり出すかもしれん。アーシアも、無理そうだな。リアスはちょっと不安だな。事前に説明してからなら問題無いだろうが、いきなりだと絶対に取り乱して自爆しそうだ。イッセーは分からんが、たぶん駄目そうだ」

 

少し考えてみて、そう結論を出す。まあ、逆に考えれば耐えられるのが二人も居ると考えよう。美雪も刹那も小太郎も耐えられないんだから良いだろう。

 

「さて、シュナイダー。今回、オレは指示を出さない。傍にも居ない。お前が自分で考えて行動するんだ」

 

「メルメル」

 

「そう、自由に恐怖を振りまけ。これから先、リアス達に降り掛かるであろう恐怖よりも濃い物を。折れぬ心を宿す為に」

 

折れぬ心を持つ魔族など一握りだ。ランキングの100位内の王の半分程とサーゼクス様とアジュカ様位だろう。セラフォルー様は少し弱いし、ファルビウム様はよく分からない。だが、折れぬ心を持つ者は強い、強くなる。それはローウェルが証明している。オレと付き合う様になってからランキングの桁が一つ外れたからな。

 

「頼むぞ、シュナイダー」

 

「メルメルメー!!」

 

シュナイダーを見送り、黒板に近づく。魔力で黒板を限界まで強化して、素の力で全力で殴り抜く。情けない。守れるだけの力があると言うのに、それを振るうことが出来ない自分が。情勢は複雑化し活性化してきている。

 

既に神滅具の所有者13人が揃い、神滅具と思われる神器が二つも見つかり、使い魔の森は別の世界と繋がり、何より大戦期の不満が爆発しかかっている。確実に事が起こってしまう。オレ一人では全ての争乱を潰すことは出来ても、事前に潰しきることが出来ない。確実に事は表面化する。

 

これでリアスが守られるのを良しとする性格なら簡単だった。すぐにでもグレモリー家に婿入りしてリアスも眷属もまとめて傍で守ってやれば良い。だが、リアスはそれを望まない。オレが押さえつけないといけないのかもしれない。だが、オレは自由に生きるリアスの事が好きなのだ。

 

誰かに間違っていると言われればそうかもしれない。これはオレの我が侭なのだ。その自分の我が侭に腹が立つ。なんというジレンマか。ストレス溜まるなぁ。またストレス発散に大規模彫刻でもやるか。ローウェルが新しい映画の舞台を欲しがってたから、それでも作ろう。

 

クリアが最終決戦で用意していた様に術を乱発して作る大規模彫刻はベル家のオレが管理する区域の観光名所だ。他にもマントだけで作った物や、素手だけで作った物などもある。最初は作るだけ作って放置していたのだが、領民から観光名所として宣伝したいと言われ、管理の一切を任せている。

 

一番細かく丁寧に作り上げた建物はホテルとして使われてそれが話題になり、増設した上でカリナの伝手で上級貴族にも対応出来る人員を育て上げた。そして、ローウェルがプロデューサー兼監督を務める映画の撮影現場も用意した事で倍率でドン。更に観光客目当てで色々と冥界の企業が進出してきて開発ラッシュも起こった為に税収が10倍を軽く超えてしまった。オレと元から居た代官だけでは捌けなくなったのでサイアスの方から使える人員を紹介して貰い、人間界の方からも妖怪の大将に種類仕事に使える妖怪を借りて、何とか領地を廻している。

 

『リアス・グレモリー様の僧侶、リタイア』

 

考え事をしていたうちに戦況が動いたようだ。思考を戻して魔力を正確に感じ取る。木場は禁手化をしていて白音と共に盾になりながらリアスと朱乃とイッセーが後退中、シュナイダーはディオ・ギコル・シュドルクを展開中か。

 

木場の炎精傭兵団で炎に属性を固定させようとしたのだろうが、ディオ・ギコル・シュドルクに対抗出来なかった、いや、違うな、奇襲でアーシアを倒して炎精傭兵団からの炎を防ぎつつ、足止めを狙ってのディオ・ギコル・シュドルクか。

 

滑る様に廊下を駆け抜けて壁を粉砕し、空を駆けながらディオ・エムル・シュドルクに変更。校舎自体を炎で炙り始める。大胆で分かりやすい()がリアス達に襲いかかっている事だろう。

 

リアスの魔力が高まり、炎の一部を吹き飛ばして全員が外へと飛び出し、そこへシュナイダーが突撃する。白音と祐斗の二人掛かりでそれを止めようとするも、炎で作られた分身をぶつけられて足が止まる。そして、本体であるシュナイダーが防御の薄い後衛の三人に喰らいかかる。

 

「これで終わ、何!?」

 

イッセーの魔力が高まったと思えば、一瞬にしてシュナイダーのディオ・エムル・シュドルクが強制的に解除された。シュナイダーも動揺したのか、距離を一気に離していく。

 

「何が起こった?」

 

式髪を放ち、様子を確認する。シュナイダーには雷撃で胴体部分が焼けこげている部分がある。朱乃の魔術だろう。白音と祐斗は軽度の火傷、それから朱乃が魔力不足にイッセーが左手を骨折か。リアス達は各自ポーションやエーテルを飲みながら移動している。アーシアが抜けた穴はモグがカバーするのだろうな。聖槍にステルスマントにプロテクリングにリフレクリングか。相変わらずの重武装だな。

 

最初からモグが居ればアーシアもなんとか出来ただろうに。まあ、オレがリアス達の力を見る為にと言っていたからな、仕方ないだろう。

 

生徒会室に戻ってきたシュナイダーをサイフォジオで治療する。それが終わってから何があったのかを確認する。

 

「イッセーに殴られたら強制的に剥がされた?」

 

「メルメル、メ、メルメルメル」

 

「イメージ的には留め具を壊されて解け落ちていった感じか。なるほど、興味深い。術式破壊の魔法か。サイアスが見ていれば色々と解析してくれたんだろうがな」

 

昨日少し話しただけなのにそれを形にして見せたか。思考がかなり柔らかいな。おそらくだが、オレの魔術運用方に最も長けているだろうな。オレが仕込みたいと言う気持ちもあるが、少しの助言で自由に成長していく方がイッセーの為になりそうだな。

 

となると今代の白龍皇、奴は邪魔(・・)だな。

 

治療が終わったシュナイダーは再び生徒会室から飛び出していき、今度は接近せずに遠距離から炎や風を飛ばして攻撃する方向に変えたのだが、それらは白音に贈った手甲と脚甲によって弾かれて決定打にならない。

 

何を考えたのか、シュナイダーは地面へと降り立ち、ディオ・ジキル・シュドルクを展開する。そして全力で駆け始める。それに対するのは白音とイッセーのコンビだ。イッセーがディオ・ジキル・シュドルクを剥がして白音が攻撃を決めるつもりなのだろう。だが、考えが甘いな。経験の差がここに来て出て来たか。

 

イッセーがシュナイダーを殴ると同時にディオ・ジキル・シュドルクが解除され、そのまま二人を強引に跳ね飛ばしながらリアス達に突撃する。驚きながらもリアス達は迎撃を行う。だが、不完全なシュドルクを使ってダメージを抑えつつリアスを集中的に狙う。イッセーに何度もシュドルクを剥がされながら、ダメージを負いながらも執拗にリアスだけを狙い続ける。その気迫にリアス達が精神的に押され始める。

 

「そうだ、シュナイダー。見せてやれ、お前の中に眠る野生の力を。どんなに傷つこうが、最終的に生き残れば勝ちなんだ。ゲームに勝つには相手の王を倒せば良いんだ。戦場でもそれはあまり変わらない」

 

そして、とうとうシュナイダーの渾身の蹴りがリアスを捉えた。

 

『リアス・グレモリー様、リタイアを確認。このゲーム、ゼオン・ベル様の勝利です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム終了後、治療室に居るリアス達の元に移動する。

 

「ゲームの感想はどうだ?」

 

「……あれが、普通なの?」

 

「ローウェルやサイアスはいつもあんな感じだ。それとオレの対策マニュアルを作っている連中だな。それ以外の奴はオレと戦っても勝つ気がないのか必死になる事はない。どうだ、必死になって襲ってくる者を相手にするのは」

 

「怖かった。今までもはぐれを狩ってきたけど、今日のシュナイダー以上に怖い相手なんて居なかったわ」

 

ベッドの上で震えるリアスを優しく抱きしめてやる。

 

「はぐれのほとんどは変に知能を持つ所為で危機感が薄い奴が多い。シュナイダーもそうだったが、一度過酷なサバイバルをさせて野生を思い出させた。その結果があの最後の猛攻だ。これからリアス達が相手をする中には殆ど居ないだろうが、たまに覚悟を決めて恐ろしく強くなる奴も居るだろう。いきなり出会えば今日の様になっていたかもしれん。それを覚えておいて欲しい」

 

優しく髪を梳きながら語りかける。

 

「ええ」

 

「これからも出来る限りオレも傍には居るが、居ない時もあるからな。だから、耐えると言う事も覚えて欲しい」

 

「耐える?」

 

「色々な物に耐えるんだ。今回の様に敵意に怯える事もあるだろうし、敵が挑発する事もあるだろう。それに耐えて冷静に動かなければならない時が来るはずだ。選択を迫られたとき、そこにはギリギリまで時間を引き延ばすのも一つの選択だ。まあ、悪手の場合もあるがな。そこは経験を積むしかない。もしくはオレの様に力づくでどうとでも出来るだけの力を身につけるかだ」

 

「力づくって」

 

「強大な力は物事をシンプルに運ぶ事も出来る諸刃の剣だ。後の事を考えないのなら全てを壊せば良い。後の事を考えないならな。後の事を考えると中々振るえないのがオレの全力だ。だから、これをリアスに託す」

 

懐に納めているケースからそれを取り出してリアスに握らせる。

 

「えっ?」

 

「戦いに恐怖を覚えた今なら使いこなせるはずだ。オレと言う強力すぎる見せ札。それの使いどころを間違える事はないはずだ」

 

「これって、女王の駒」

 

「オレの女王の駒だ。好きに使うと良い」

 

リアスは少し悩んだ後、オレの女王の駒を自分のケースに収める。それを見て苦笑する。まあ、好きに使えと言ったからな。

 

「これからは色々と若手悪魔との交流も増えてくるだろう。気圧されない様に頑張れ、リアス」

 

最後にリアスの頭をぽんっと叩いてから立ち上がる。

 

「何処に行くの?」

 

「他の連中の様子を見て、今日のゲームの記録を確認してからイッセーとアーシアに贈る物を調達に行ってくる」

 

 

 

 

 

 

 

翌日、アーシアの使い魔にちょうど良い魔獣とイッセー用の魔道具を用意して駒王にある工房にリアス達を招待する。

 

「工房の7割が調理設備ってどうなのかしら」

 

「オレの趣味だからな、仕方ない。残りの3割もハムリオの銀細工工房だ。ちなみに魔術的に隔離されているから衛生面でも完璧だ。2階が居住スペースだが、シャワーを浴びる位しか使っていないな。基本的に厨房で寝てるから」

 

「住宅街から離れてるとは言え大きな庭付きの豪邸を殆ど使わないって、上級悪魔って凄いんですね」

 

イッセーの独り言に答える。

 

「似た様な物なら日本のあちこちにあるぞ。8割程は孤児院を兼ねているがな」

 

「孤児院?」

 

「慈善活動の一環だ。きっかけは白音達との出会いだ。探せば結構な数のハーフの孤児が居てな、それらを種族問わずに保護している。触れ合えば分かるが、種族なんて物はちっぽけな物だ。さて、話を戻そう。まずはイッセーの方だな」

 

用意しておいたケースを開けて拳大の宝石を使ったペンダントを取り出す。

 

「強制禁手化の代価に使える様に細工した宝石だ。2、3回ならドライグの補助を受けながらなら禁手化を使えるはずだ」

 

「ドライグ?」

 

『可能だな。これだけの物を簡単に用意するとは』

 

「元々はとある保険の為に用意した物を流用しただけだ。自力で使える様になれば、魔力タンクとして使えば良いだろう」

 

「ありがとうございます」

 

「次はアーシアだが、使い魔の魔獣を連れてきている。庭の方に出よう」

 

全員を連れて庭に出た後、アーシアの為に用意した魔獣、いや、魔鳥を召還する。

 

「来い」

 

目の前に現れた魔法陣から全長2m程の黄色い鳥が現れる。

 

「クエエエッ!!」

 

「大きいですぅ」

 

目の前に現れたチョコボにアーシアが驚いている。

 

「使い魔の森の奥で見つけた魔鳥だ。新種の為にオレが「チョコボクポ!!」モグ、知っているのか?」

 

まあ、オレも知っているんだがな。ちなみにFFT仕様のチョコボだ。

 

「チョコボって名前の鳥クポ。僕達も良く背中に乗せてもらってたクポ」

 

「ほう、そんな名前なのか。後で登録し直すとして、アーシア」

 

「はい」

 

「君は運動がそれほど得意ではないな」

 

「はぅぅ、そうです」

 

「このチョコボは飛べない代わりに、かなりの健脚を持っている。戦闘もそこそここなせて軽い治癒魔法も使える。頭も良いからこちらの言うことを理解してくれる。君にぴったりの使い魔になるだろう」

 

「ありがとうございます。でも、お世話の方はどうしましょう?」

 

「基本は冥界の方に居るから問題無いが、騎乗の練習も必要だったな。なら、ここを好きに使ってくれてかまわない。結界も敷いてあるからチョコボを見られる事もない。あとは、モグが詳しそうだから手伝って貰うと良い。それからこれが鞍と鐙と手綱だ。一人でも騎乗出来る様にならないとな。しばらくはオレも練習を手伝おう」

 

「はい、がんばります!!」

 

アーシアに指示を出しながら一緒に鞍などをチョコボに装着していく。準備ができればいよいよ騎乗だ。

 

「まずはチョコボに伏せてもらおうか」

 

「はい、お願いします」

 

「クエッ」

 

アーシアがお願いをするとチョコボが伏せてくれる。それでもチョコボの背はまだ高い。

 

「次は鐙に足を掛けて手綱を持つ。そのままゆっくりと跨がればいいが、無理そうなら一度背中に足を置けば良い。その際は声をかけてやれ」

 

「はい。すみません、乗りますね」

 

アーシアはゆっくりと声をかけてからチョコボに跨がる。アーシアが乗ったのを確認するとチョコボはひとりでに立ち上がる。

 

「鐙をしっかりと踏んで体勢を整えろ。その状態で外側から内に向かって軽く蹴れば走り出す。今日は乗る事と歩かせる事に慣れる所からだな。軽く蹴って、手綱も軽く引けば速度を落としてくれる。言葉で伝えるのは最後の手段だ。いずれは足だけで自由自在に走らせれる様になる」

 

チョコボの横に立ち、歩く様に促す。そのまましばらくの間、アーシアに付き合って30分程歩いた所で本日の練習は終了だ。騎乗は意外と体力と筋肉を使うからな。慣れてないだろうから余計に変な所の筋肉を使って筋肉痛になるだろう。

 

「これからもこまめに練習に来る様に。リアス、夏休みには冥界に帰るんだろう?」

 

「ええ、そのつもりよ」

 

「なら、走るのは夏休みの時でいいだろう。今はチョコボの騎乗になれる事を優先だな。それから最後に」

 

魔力で陣を形成してアーシアとチョコボの間にラインを形成する。

 

「これで使い魔の契約は完了だ」

 

「えっ、今まで契約無しで乗ってたの?」

 

「ああ、言っただろう。頭が良いって」

 

契約も無しに魔獣が素直に言う事を聞いているのにリアスが驚いているが、魔獣と言っても動物と変わらないんだ。ちゃんとした調教を施せば契約など必要無いのだ。

 

「さて、今日は良い魚を仕入れている。食べていくだろう?」

 

 

 


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