ハイスクールD×D 雷帝への道程   作:ユキアン

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感想の方でバオウは使えるのかという問い合わせが来ていたのでこちらでも言わせてもらいますとYESです。
この作品においての魔法の定義は以下の様になっています。

『イメージによって魔力は魔法へと変わる』
魔力単体で何かをする事は出来ません。魔力をイメージによって現象にすることによって初めて力を持ちます。よくある純粋な魔力をぶつけるといった事は出来ません。

『ファジー機能に頼る程威力が落ちる』
詳しく設定を行わずに魔法を使うとイメージを元に設定が行われますが、その設定にも魔力を食われるので威力が落ちます。例を出すと、炎を産み出すとしましょう。この炎を産み出す際に漠然と炎を産み出すのではなく、周囲から酸素を集めて大体何度位の熱量にするのかを設定するだけで1割程威力が変わる設定です。
またイメージが揺らぐと問題が無い様に形が作られるのでまたしても威力が下がります。

『設定によって性能が変化する』
指向性を持たせたりすればその分だけ魔力を消費するので威力は下がります。物理現象に逆らう設定を組み込む事によって威力は下がっていきます。例を出すと、手元に岩の塊を作って指向性を持たせて発射するよりも、敵の頭上に岩の塊を作って落とす方が威力は上です。もちろん十分な加速が加えられる位の高さに作る必要はあります。

この三点です。

ゼオンの魔法の威力が高い理由は主に2番が原因です。最初から頭の中で魔法の設計図を作っておき、そこに魔力の量を調整して威力を決めているので魔力を無駄なく使う事が出来ているからです。


ぼっち卒業

 

学園で習う授業が問題無いとテストで分かった時点でオレは人間界で屋台のラーメンを改良するための材料集めをしている。たまには学園に顔を出して多少の情報を収集する必要もあると思い、ラーメンを改良する時間がちょうど良いと判断して材料集めをしているのだ。それから変わり種のラーメンも開発しようと考えている。その為に漁港を中心に人間界を練り歩いている。

 

開発には以前知り合った山奥に住んでいる銀細工師の工房の一つを借りて行っている。というか試食も手伝って貰っている。それから新しく判明したのが銀細工を行う際に、彼は魔力を使って銀を変形させる銀術士(シルバークレイマー)であることが判明した。あれっ?RAVEとクロスしてる?

 

詳しい話を聞いてみたがRAVEとはクロスしていない事が分かった。武器に使える程銀を強固にする事が出来ないから、銀細工を作るので精一杯らしい。シルバーレイなんて戦艦も存在していない。

 

 

 

 

 

「今日はあまり良い物が無かったな」

 

不漁だったらしく冷凍物しかまともな物が無かったので気分転換も兼ねて歩いて帰っている途中に2匹の死にかけの黒と白の子猫を見つけた。特に幼いと思われる白い方は既に自分の力で立てない位に弱っている。そして二匹から微かに感じる妖力が気になり、気付いた時には二匹をバンダナ状に変形させているマントで優しく抱き上げていた。持ち上げた感覚から餓死寸前だと判断する。

 

急いで工房に戻り、魚介スープを冷ましてスプーンを使って飲ませようとする。黒い方の子猫はすぐに飲んでくれたのだが、白い方の子猫の口からは零れるばかりである。

 

「ちっ、本来ならこんな使い方はしたくないが仕方ないか」

 

マントの一部の吸水性が高くなる様に変化させてから炎で炙って消毒を行い、それを小さく切り離してスープに浸す。そしてそのマントの切れ端を口の中に入れる。これで少しは体内に取り込まれるだろう。時間はかかるが、悪魔にとって時間など腐る程ある物だ。

 

黒い方の子猫はしばらくすると自分で皿に入ったスープを舐めれる位に回復はした。白い方の子猫の方も少しずつではあるがマントの切れ端に含ませたスープを飲んでくれている。とりあえずの危機は脱しただろう。詳しくは分からないが、2週間もあれば元気になるはずだ。その後はどうするかね。

 

このままペットとして飼うのか、それとも眷属候補とするか、それとも元気になったらさようならか。まあそこら辺は本人達に任せよう。

 

そんなことを考えていると黒い方の子猫がおかわりを催促してきた。苦笑しながらも白い方の子猫を抱えたまま立ち上がり、台所で小魚をすりおろして食べやすい様に加工してから与える。白い方の子猫もスプーンでスープを与えれる位には元気になってきた。

 

しばらくして満腹になったのかあくびをする二匹の子猫の寝床を新たに切り離したマントで作ってやる。そこに寄り添う様に二匹を寝かせてやり、上から更に切り離したマントを掛けてやる。安心しきっている二匹はすぐに眠りに落ちていった。

 

うむ、久しぶりに癒されたな。ラーメン屋台を引くのは仕事であり、楽しくもあるし充実もしているのだが癒される訳では無い。その点、看病とは言え小動物と触れ合うのは実に癒される。今は軽すぎる上に毛並みも酷いものだが、看病を続ければ大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

 

二匹を拾った翌日の明け方、名残惜しそうに寝床から離れて開いている窓から出て行こうとする二匹に声をかける。

 

「そんな身体で何処に行こうとしているんだ?今回は運が良かったが、次はどうなるか分からんぞ」

 

「助けてくれたのには礼を言うけど、悪魔の傍に居る訳には行かないにゃ」

 

オレの問いかけに黒い方の子猫が答える。やはり化け猫の類いだったか。

 

「契約に関してなら安心しろ。こんななりだがまだ契約を取れる様な歳じゃないんでな。お前達を拾ったのもただの気まぐれだ。出て行くのも別に構わないが、せめてもう少し元気になってからにしろ。オレが見つけるのが30分も遅れていればお前はともかく白い方は死んでたぞ。今もふらふらだ。最低でも2週間は此所に居ろ。此所にはオレ以外に人が来るとしても一人だし、何かあればオレが守ってもやる」

 

「なぜそこまでしようとするのにゃ?」

 

「言っただろう、気まぐれだ。まあ、もっともらしいことを言わせてもらうのなら暇つぶしに付き合え。ちょっとばかり新しいラーメン開発に躓いていてな、少し時間を置こうと思っていてる。その間の暇つぶしに付き合え。なんなら二人だけで生きていける様に力の使い方も教えてやる。お前ら、かなり幼いんだろう?」

 

「なんでそれを知っているのにゃ?」

 

「ある程度の力が使えれば餓死する程追いつめられるはずが無いからな。詳しい事情を聞き出そうとは思わんが、大体は想像が付く。それでどうするんだ?オレの提案を受けるのか受けないのか」

 

「本当に私達は何もしなくても?」

 

「構わん。これでも貴族の産まれだし自分で稼いだ金も十分にある。たかが猫の二匹や少女の二人程度を養えない程甲斐性が無い訳ではない。ああ、ラーメンの試食には付き合ってもらうかもしれないがそれ位だ」

 

「……おねえちゃん」

 

ここで初めて白い方の子猫が何かを訴える様に黒い方の子猫を見つめる。姉妹だったのか。

 

「う~、お世話になります」

 

少し悩んでから黒い子猫は頭を下げながらそう答えた。

 

「懸命な判断だ。さて、少し早いが食事を用意してくる。白い方も今日はスープ以外でも大丈夫か?」

 

「白い方じゃないです。白音です。おねえちゃんは黒歌です」

 

尻尾を立てて怒っていますとアピールしてくるが、微笑ましいだけである。そんな白音を抱き上げて頭や背中を撫でてやる。黒歌の方は飛び退いてしまったがマントで確保済みだ。

 

「そうか、それはすまなかったな。オレはゼオン・ベル。ゼオンで構わん」

 

二匹を連れて台所にまで行き、白音をマントに預けてから昨日のスープの残りと魚肉団子を用意する。

 

「そう言えば聞き忘れていたのだが食べれない物や苦手な物はあるのか?」

 

「特には無いのにゃ。猫舌だけど熱い物が駄目って訳でもないし」

 

「ほう、そうなのか。ならスープは昨日の物より熱くするぞ。その方がまだ美味いからな」

 

「まだ?」

 

「未完成の試作品八号だからな。オレの中では7割位の出来だ。とても客には出せんよ。一晩寝かせた所為で雑味が増したな」

 

一号から順に改良していったのだがどうしても7割から先に進めない。これは根本的な所から作り直すか、一度ネタに走るべきだろうか。確か良い烏賊が大量にあったから烏賊だけを使った烏賊ラーメンでも作ってみるか?スープはイカスミと内臓で、麺は身をすり潰して整形し直して、具にはゲソを揚げた物でも使って。

 

「これはないな。ボツ」

 

「どうかしたのかにゃ?」

 

「気にするな。馬鹿な考えが浮かんだだけだ」

 

魚肉団子をスープに放り込んで軽く火を通してから掬い上げて別々の皿に盛って二匹の前に置いてやる。

 

「おかわりが欲しければ言え。食材は腐らない様に保存してあるが腐る程あるからな」

 

「「は~い」」

 

「風呂も後で用意するから身体を綺麗にしておけよ。服に関しては適当に作っておいてやる。力のコントロールを覚えるには人の姿の方が楽だからな」

 

「気付いてたの?」

 

黒歌の問いに首を縦に振りながらマントを加工して子供サイズの浴衣を用意する。

 

「昨日、お前達が寝た後に専門家に連絡を取ったんだよ。そいつが言うには猫魈らしいな。間違っていたとしても猫又の内のどれかだろう。なら、人型が基本のはずだろう」

 

「専門家?」

 

「飲んだくれの不良退魔師。腕は良いんだが性格がめちゃくちゃな奴でな、たまたまオレの屋台に来て知り合ったんだ。一度だけ居候している屋敷に招待されたんだが、まさかの妖怪屋敷でな。結構な数の妖怪以外にも人間とのハーフやクォーターが暮らしてたな」

 

本当に不思議な退魔師だ。オレが悪魔だという事にも気付いているくせに何も言わずに美味かったからまた来るわと言って帰っていったからな。しかも金が無い時は術を教えるからそれで勘弁してくれとまで言ってきた。まあ式髪とか結界とか便利な術だったから別に構わないんだがな。悪魔にそんな術を渡しても良かったのか疑問に思う。

 

「まあ暇な時に話してやるよ。それより、今は自分の身体を治す事に専念しろ」

 

黒歌の頭を撫でてやり、風呂を沸かす為に台所を離れる。

 

 


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