趣味はカードゲームを中心に、将棋、RPGの制限攻略などなど・・・で、当サイトへの投稿は初めてです。お手柔らかにお読みいただけると幸いです。
本作品は神崎紫電先生原作の「ブラック・ブレット」の二次創作でございます。
原作・アニメ共に大好きな作品で、Twitterのアイコンでも長らくティナちゃんを使っているのですが、待望の原作8巻がなかなか発売されない。
ある日、ふと7巻「世界変革の銃弾」の続きが気になった時、不意に良からぬ考えが浮かびました。
「原作が暫く出ないのなら、自分で続きを書けばいい」
タイトルに8'と付けたように、本作は原作7巻の続きを勝手に想像して連載します。原作(特に7巻)のネタバレが大量に含まれている点ご注意ください。オススメの方は、
◎原作7巻まで読んでおり、続きが気になる方
〇ブラック・ブレットのことは他の原作やアニメである程度知っており、かつ7巻のネタバレを含んでも問題ない方
です。
今回の序章は、7巻を昔読んだが内容を忘れた方、読んだことのない方向けに、7巻の内容を振り返る形式としています。
勝手に作者の続きを書くという行為は如何なものかと思いつつも、個人的な挑戦として連載していきますので、宜しければお付き合いくださいませ。
「まさか、俺からあいつに会いに行くとはな・・・」
電車に揺られながら、蓮太郎はこれまでの経緯を振り返った。
3日前、東京エリアと仙台エリアの中間点にゾディアックガストレア「疫病王」リブラが出現した。
致死性ウイルスの放出を恐れた仙台エリアの稲生首相は、翌日までにリブラを撤去できなければ東京エリアを攻撃すると言う。
裏ではアンドレイ・リトヴィンツェフ率いるテロリスト一派が意図を引き、「ソロモンの指輪」と「スコーピオンの首」を使ってリブラを操っている。
リトヴィンツェフが脱獄した刑務所で、彼の手掛かりを知りうる人物の情報を聞き、その人物に会うべく蓮太郎は東京エリアの北西部、かつて群馬県と呼ばれた地域の山中に向かっていた。
「後1日、か」
仙台エリアとの緊張感は高まりつつも、まだ日常の喧騒を保つ東京エリア。
リブラを撤去できなければ、明日には戦火の海となることを、民衆は理解していないのか、それとも意図的に思考から除外しているのか。
車窓から普段と変わらぬ光景を眺めていると、蓮太郎自身も実感が湧いてはいない。
しかし、リトヴィンツェフを倒し、リブラを止めねばならない。東京エリアの明日が、蓮太郎の両肩にのしかかっていることは、紛れもない事実なのである。
そう、両肩に、だ。
「すぅ・・・」
右肩に重みを感じ、蓮太郎は目を向ける。色白の美少女の無防備な寝顔。
畏れ多き国家元首が電車の中で寝息を立てていようなど、誰が信じようか。
聖天子が蓮太郎に保護を求めてから早2日。不慣れな外界の中で、東京エリアの未来を案じ、自身も奔走したことで、疲れが溜まっているのだろう。
しかし、本当に連れてきて良かったのだろうか?
「わたくしも同行させてください!」
「ちょ、ちょっと待てよ。相手はテロリストだ。これから会いに行く目撃者だって、どれだけ危ない奴かはアンタだって分かってんだろ!?」
「里見さんにはわたくしの護衛をお願いしたはずです。でしたら、任務を遂行するには里見さんの傍に居るのが宜しいのでは?」
「そうは言ってもなぁ・・・」
「リトヴィンツェフの足取りや目的、裏で糸を引く者の正体など、まだ分からないことが多いです。聖居の情報に通じたわたくしが居れば、少しはお役に立てると思います。こ、これは国家元首命令です!何と言われようと同行させていただきます!」
赤らめた顔できっぱり宣言されると、断れるはずもない。
麗しき国家元首の護衛は、リトヴィンツェフの撃破と同じ位悩みの種となりそうだ。
透き通った色白の肌に半ば見とれつつ、回想に耽っていると、
「れんたろぉ、浮気は許さぬぞ。。。」
慌てて反対側を振り返る。
蓮太郎のイニシエーター、藍原延珠もまた蓮太郎に寄りかかって寝息を立てていた。
どうやら寝言のようだ。
今でこそ落ち着き払って眠っているが、心の奥では痛みを抱えているに違いない。
この戦いは、延珠にとって辛いものになるかもしれない―――
「ユ、ユーリャ、お主が・・・?」
蓮太郎が群馬へ発つことを伝える電話口で、「敵はリトヴィンツェフ・ユーリャペアだ」と何気なく話したところ、延珠からは苦悩の反応が窺えた。
「妾は昨日、学校を抜け出してその刑務所の近くに行ったのだ」
少し口ごもりながらも、延珠は昨日学校を抜け出したこと、ユーリャと名乗る少女と出会い、誘われるがままボートで刑務所の近くに向かったことを話してくれた。恐らく偵察に来ていたのだろう。そしてその夜、ユーリャは刑務所護衛のイニシエーターを殺害し、リトヴィンツェフを脱獄させた。
「妾も向かうぞ!ユーリャを止めねばならぬ」
「待て、相手は元序列77位だ!刑務所の護衛は一撃で仕留められた。それに学校だって・・・」
蓮太郎はハッと気づく。転校2日目で学校を抜け出す位だ。嫌なことがあったに違いない。言葉に悩んでいると、
「たった一日だけだが、妾とユーリャは友達になったのだ。悪いことをしたら注意し合えるのが真の友というものだ。それに蓮太郎、妾の助けなくして元序列77位に勝てると思うのか?」
命知らずだと叱責したくなったが、今となっては感謝している。未知の敵と戦う上で、頼れる味方は多いに越したことはない。それに逆の立場だったとして、死地に赴くペア黙って見送る程辛いことはない。
元序列98位、ティナと戦った時の記憶が蘇る。死を覚悟した刹那、不発の閃光弾が作動したお陰でかろうじて勝利できたが、今回はそれ以上の序列、しかも相手が近接戦闘のモデル・チーターあっては激戦は避けられない。
果たして生きて帰れるのだろうか―――
車内のアナウンスが終点を告げる。まずはリトヴィンツェフの足取りを追わねばならない。気は進まないが、また協力を仰ぐ形となってしまった。
「待ってろよ、蛭子影胤・・・・・・」