気がつくと見覚えのない山の中にいた。
木々の植生から見てみると、そこまで高い山ではないようだった。
俺はアスファルト舗装がなされた道をのんびり歩いていた。
その時だった。急に足元が大きく輝いたのは。あまりの急な出来事に、俺は思わず唖然としてしまった。それが後から考えると大きな大きなミスだった。
魔方陣はかなりの強い光を放ちながら、グルグル回る。回り切って光が収まったあとは何も。影も形も残っていなかった。
「あっちゃあ…!」
しまった。ほんの一瞬だが、手をこまねいてしまった。外殻世界の力が加わっていたとはいえ、現代魔術師としてコレでは。大失態である。
「マジで異世界転移ってあるんだな…」
そうぼやき。気を反らすために空を見上げる。そうすると、
「ここ、地球の空じゃねえか!!」
見覚えのある星の天蓋がそこには広がっていた。
それで少し落ち着く。
…だがいくら山の中とはいえ、こんなに綺麗に星が見えただろうか?こんなに空気が澄んでいただろうか。
「…少し昔に飛ばされたのか?」
その可能性が高い。だったら知り合いも多少いるだろう。
困っていた人を助けてくれるという彼らの心意気を利用するのは心が痛むが、
「そんな事言ってられないな」
そう四の五の言ってられないのも事実であった。
「…きっと助けてくれるさ。きっとな」
とりあえず、良い方に考えるとして、まずは。
「…この山降りねぇとな」
人里に行かないと何も始まらないという厳しい現実があった。
人里に行く途中で独特の気配が動いた。
「あ"ぁぁぁぁぁ…。なんとか人里についた…!」
まぁ山村ではあるが、小さな人里につき、ホッとため息をつく。
「今日はここで宿を貸してもらうか」
ドルも持ってるし、円も持ってる。なんとかなるだろ。…どんだけ昔なのかにもよるが。
「ごめんくださーい」
山村なので、どういうモンなのか理解不能だが。とりあえずいつもの様に声をかけてみる。コレでダメなら野宿決定だな。
…ここまで来て野宿したくねぇな…。
「あ、あんたは!?」
村の中から女性が1人出てきた。いい年齢したお姉さん(婉曲表現)だ。
日本語を喋った。日本人だ。俺は胸中でため息をついた。日本なら安心した。
だが、落ち着いた俺とは反対に、なんか慌てた様子だ。
「俺は八鍵水明。旅の者だ」
顔色1つ変えずに返す。
「…鬼じゃあないね!?」
「鬼にみえるか?」
そう返すと、「そうだね。そうだね」と頷く。
その人の家に入れてもらい、お茶を出してもらう。
…マジでありがたい。
ちょっと事情を聞くと、
「最近、近くの山で鬼が出るって噂が出てね。怖いねってみんなで話していたのさ」
鬼なんて魔術師以外には幻の存在だと思われてるぞ。元の世界では。
テキトーに話をあわせながら鬼とはどんなモンかを聞いていく。
その結果、幾つかわかった事があった。
1.鬼は日の光に弱い。
2.特殊な武器で頸を斬ったら死ぬ。
という事らしい。マジでファンタジー世界なんだな。
それと今は大正時代らしい。俺がいたのは令和だからな…。
…ざっくり百年前に飛ばされたのか。
「それにしてもいい縫製の布だね?陸軍の人かい?」
あぁ。そうか。元々制服だったな。俺は。学ランは陸軍の制服がベースだからそう思ったのか。ちなみにセーラー服は海軍の制服がベースだったり。学ランって、もうすっかり希少価値になりつつあるな。
軽く談笑していたその時。凄まじい破壊音と爆発音が聞こえた。
次に闘います!!
まだ時系列決めてなかったな…。