指名手配犯ヒーローズ   作:詩亞呂

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Raid

 

 

 

「えっ、彼氏さんをドキドキさせたい!!?」

「何故そうなる!?」

 

 

デモが終わった事、轟くんから助けてもらったこと、オールフォーワンの事……。

ここ数日、色々と衝撃的なことが多すぎて頭が若干パンク気味だった。

ぼーっとする私を心配したのか麗日さんはいつもの公園で最近発売した流行遅れ気味のタピオカ入りドリンクをズルズルしつつ、遠慮がちに「何かあったの?」と聞いてきた。

 

全てぶちまけてしまいたい気持ちが無いわけでは無い。しかし無関係な麗日さんに何もかもを言う訳にもいかず、捻り出した答えが『かっちゃんの僕を女とも思っていないような発言ヤバいよね』というもの。自分で言ってこれは失敗だったなと苦笑した。

 

元々僕は女扱いを望んでいる訳でも無ければ女の子らしさを追求したい訳でも無い。

だからかっちゃんの評価は妥当だとは思うものの、実際突きつけられればイラッとするのは僕の身体が女性だからなのか。

 

「だって女の子じゃない的な発言されてもやっとしたんでしょ?」

「う……でもそれは、別に私が可愛くなりたいとかそう言うんじゃなくて」

「わかるよ海雲ちゃん!

今までおしゃれになんか気を使って来なかったのにいきなりそういう気持ちが芽生えてモヤモヤして気恥しくてでもちょっと興味があるんだよね!!思春期!!」

 

しかもきっかけが彼氏!!と見悶える麗日さん。

何だか盛大な勘違いをされているようだけれど、楽しそうだし黙っておこう。

 

思春期……思春期ねぇ。

彼女の言うこの気持ちは、本当に思春期のそれなんだろうか。

精神年齢的に見ればとうの昔に過ぎ去った若かりし頃。身体年齢に精神も引っ張られつつあるのは自覚があるが、そんな甘酸っぱい経験が前世にあった訳でもなく良くわからない。

……男にも女にもなり損なった、木偶の坊の僕が。そんな普通の女の子みたいな。

 

「……でも、やっぱり僕の全部を女の子らしくすることは出来ない。それは僕じゃないし、嫌だ……」

そう、男の僕が言う。

「それでも、なんかかっちゃんに舐められたままなのも、ムカつくんだ」

と女の僕が言う。

もうぐちゃぐちゃだ。

 

「海雲ちゃんはさ、どうせ大人になったらお化粧はビジネスマナーとして覚えなきゃだよね。抵抗ある?」

「……ちょっと。

でも、おしゃれって意識じゃなくてマナーとしてなら、まだ我慢できる、かも」

「そかそか。じゃあボーイッシュな海雲ちゃんも恋する乙女な海雲ちゃんも両方納得できる綺麗を探してこうよ。それでもなんか文句言ってきたら、そんな彼氏捨ててやれ!」

「だから恋とかじゃ、」

 

違うと言いかけて、一応かっちゃんが彼氏設定なのをすんでのところで思い出す。

……恋してないし乙女でもないけども!!

 

両方が納得できる綺麗。ちょっとだけ気持ちが楽になった。

……そっか、男の僕も女の僕も、両方僕だ。どちらかを抑えつける必要なんか、無いのかもしれない。

物事に絶対的な正答なんて分からないなんてこと、この世界に来て嫌ほど思い知らされたのは他でもないこの僕なんだから。

 

 

「とりあえず買い物だ!ごめんだけど私はあんまり美容に割いてるお金は無いからほんと基本的なアドバイスしかできへんけど」

「ううん、ありがとう」

 

今日は放課後寄り道する旨をかっちゃんに連絡すると、『俺も用事が出来た。別の奴を遠めに護衛に置いておく。気付いても接近はしなくていい』とのお言葉があった。

僕が一人で行動することを何よりも嫌うかっちゃんは、行く先々でおそらく尾行し迎えに来た体でドナドナ連れて帰られる僕の姿はもう友人達の間で有名だ。そんなかっちゃんが、僕を置いて用事。

珍しい事もあるものだとカラになったボトルをゴミ箱へ投げ入れ、麗日さんと一緒に市街地へと向かった。

 

 

着いた先のドラッグストアはかなりの敷地面積で、いつも栄養ドリンクや日用品しか買わない僕にとって独特の匂いのする化粧品コーナーは未知の領域だ。ちょっと緊張する。

「とりあえず海雲ちゃん、洗顔とスキンケアとムダ毛のお手入れから始めよ」

「せんがんとすきんけあとむだげのおていれ……」

復唱するものの洗顔までしか頭に入ってこなかった。

 

「お化粧はとりあえず置いておこ。まだ抵抗あるだろうし、高校生でそれが必要な場面って限られてくるし。デートとか」

「しません」

「即答ってそれはそれでやばない……?」

 

だって本当にしないんだもん。

荷物持ちしろやオラァ!と首根っこ掴まれて行ったショッピングセンターや私服が壊滅的にダセェ!!と首根っこ掴まれて出かけた先でオールマイトグッズの闇市を見つけ二人で思わず散財したりしたのがデートと言えるなら別だけども。

なんか違うなと言うのは経験が湯葉のように薄く浅い僕にすらわかるぞ。

 

そんなこんなで洗顔用石鹸から始まりありとあらゆる基礎化粧品を買っていった。

肌のキメと眉毛を整えるだけで印象ガラッと変わるから!というのは麗日さんからのみことのり言葉だ。

今まで意識していなかったけれど、本当に女子って男子が思いもよらなかった所まで努力をしているなと驚かされる。知識の無い僕には眉毛を剃って抜いて化粧で書き足す意味がわからない。え、形が違う?平行、アーチ……何語?

 

「あとは可愛い髪ゴムとか欲しいんだけど……さすがにドラッグストアには無さそうだね。残念」

「も、もうお腹いっぱいです……」

 

そんなこんなで麗日さんとのショッピングは幕を閉じた。色々言われはしたものの、いつもの洗顔と保湿に加えムダ毛のお手入れをする項目が追加されただけだ。これでまだ化粧の前段階。まだまだ道のりは長い。

頑張ろうね!と無駄にキラキラしている麗日さんに否定的なことは言えなかったけれど。

 

かっちゃんのせいで色々大変なことになってきたのだと一言文句でも言ってやりたい所ではあった。

 

しかしその日かっちゃんが帰宅することは終ぞ無かったのだ。

 

 

 

 

 

週末、また相澤さんから事務所の番を頼まれた僕は久しぶりにかっちゃんと対面した。

あれからかっちゃんは週末までほぼ家に帰らず、帰ったとしても僕が学校に居る間だったり夜中だったりですれ違いの生活が続いていた。

心なしかかっちゃんがやつれて見える。

 

「……大丈夫?大学、忙しいの?レポートとか?」

「あ?……これはちげえ。仕事だ」

「仕事……って、UAのヒーロー活動再開したのっ!?」

 

聞いてないんだけどと思わず立ち上がれば、

「それもちげえ」

と制止させられた。

 

「じゃあ何さ。夜もほとんど寝てないじゃないか。いつか倒れるよ」

「うっせーな、今は仕方が無えんだよ」

いくら聞いても『うるせえ』しか言わないかっちゃんに全くとため息をつく。

仕事……かっちゃんは今バイト等は何もしていない筈だ。UAの活動再開がいつになるか分からない今、新しく仕事を探すとは考えにくい。

ならば、やはりUA関連の任務中だと見て良いだろう。僕に何も話してくれないのは激しく不満だが。

 

 

それから暫くすると、蛙吹さんと万偶数さんがやってきた。

元々契約終了のために一度顔合わせをしようと言っていたため、この訪問はこちらも把握済みだ。

「今回はありがとうございました。結果は残念だったけれど、ここを頼った甲斐はあったわ」

あれからデモ隊は逮捕者を出し、マイナスの印象がどうしても拭えない結果となった。しかし轟くんのおかげで被害は最小限に留められ、蛙吹さん達の経歴に傷が付くことにもならなかった。そこだけは幸いだ。

 

「いや……デモ隊を抑えられなかったこっちの不手際だ。悪かった」

珍しく素直に謝罪するかっちゃんに、とんでもないと蛙吹さんらは首を横に振った。

 

「私達、デモ隊の警備を頼んだ覚えは無いわ。あくまで私達の身の安全のためにお願いしたのよ」

「……」

「だから赤谷ちゃんが助けに来てくれたこと、凄く嬉しかったの」

「そんな……僕何も出来なかったし」

「それでもよ。

赤谷ちゃんは本来事務員なのでしょう?なのに身体を張って私達を守ろうとしてくれた。まるでヒーローみたいだったわ」

 

だからありがとうと、僕の考え無しの短絡的な行動に意味をくれる蛙吹さんの一言にじんときた。

「……とにかく警察がうまく誤解してくれて良かった。今後何か調査が入った場合は下手に反抗せずこちらの連絡先を伝えて欲しい。相澤からそれくらいのことはさせて欲しいとの言伝だ」

「ぜひそうさせて貰うわ」

 

轟くんの睨みが効いている今そんな事にはなり得ないと分かってはいるものの、これは依頼者は知らなくて良い情報だ。当たり障りの無い事務連絡を告げ報告を終える。

 

「また何か困ったことがあったら相談乗るからね」

「ありがとう……あのね、」

「ん?」

「私達、赤谷ちゃんとお友達になりたいの。ダメかしら?」

「!!!!ダメじゃないよ……!!」

 

梅雨ちゃんと呼んでとケロケロ笑う梅雨ちゃんに嬉しくなる。早速メアドを交換し、連絡先に新たに加わった名前に頬を緩ませた。

見て!とかっちゃんにスマホ画面を印籠のように差し出せば、ふんと目をそらされてしまった。

 

「……ま、積もる話はあるだろうがそれはまた今度だ。下まで送る」

いつもの如く冷たいかっちゃんにも、機嫌の良かった僕はスルーすることが出来たのだ。

そう、このあとにやってきた一人の訪問客に会うまでは。

 

 

 

 

「失礼!」

頼まれていた事務所の番の時間にも終わりが近付いていたため、そろそろ帰り支度をと思っていた所だった。

無駄に威勢のいい声と共にドアが大きく開閉する。

そこにいたのは、近くの名門高校の制服を身にまとったガタイのいい男の子……そして僕にとっては見覚えのあり過ぎる男の子だった。

 

「君たちはUAのヒーローなのでしょうかっ!!?」

「ッ!?」

唐突にそう言い放った彼に殺気を隠しもせず

「……なんだてめぇ」

と呟くかっちゃん。

一般人に向かってその目つきはヤバいよと思いつつも、警察にすら一切漏れていないはずの事務所の正体を当てた男の子に僕も思わず身構えた。

一瞬彼もUAヒーローなのではと思ったが、かっちゃんの顔を見ればそれも違うことが伺える。

 

「申し訳ない。そうだな、警戒されるのも当たり前だ。俺の名前は飯田天哉。

……UAヒーロー、インゲニウムの弟だ」

 

学生証を礼儀正しく提示してくる飯田くんに毒気を抜かれる。

……UAヒーローの、家族。

 

そういえば、ヒーローインゲニウムは今世でもかなりネームバリューのあるヒーローの1人だ。

その弟である飯田くんが、この事務所に一体……?ヒーローの活動は、それこそインゲニウムのように名の知れたヒーローは身を隠しているはず。

学生証とお兄さんそっくりな顔を見て、警戒心は解いていないものの納得はした様子のかっちゃんは顎でソファをさした。

 

「……それで、ヒーローのご家族サマが一体なんの用件で」

自らをヒーローだと言質を取られないようにはしているが、一応話を聞く気になったらしい。向かいのソファへと飯田くんを案内した。

 

「……兄さんが行方不明なんだ。連絡も取れずに心配している。兄さんはヒーローであることを隠していたようだけれど、あんなに目立つターボエンジンを搭載したヒーロー、家族ならすぐにピンときた。

だから警察に捜索届を出すことも出来ず……。自分になにかあった時にとここの住所だけ記載された兄さんの手帳を見つけたから、何か知らないかと訪ねさせて貰ったんだ。だから、君らが兄さんの仲間なのかと」

「……インゲニウムか」

 

呟きつつ黙り込んでしまうかっちゃん。

どうやらここがUAの事務所だと確信があって訪れたと言うよりも、手がかりを求めて書いてあった住所を頼りにきたようなものだったらしい。

事務所の場所が露呈した訳では無い事に少なからずホッとするが、インゲニウムが行方不明というのに引っかかった。

 

「心配ですね……」

「あぁ……。どうしても安否が知りたくて、アポイントも取らず不躾にこちらを訪ねてきてしまった。どうやら会社のようだが……仕事中に申し訳ない」

「いえ、気にしないで下さい」

 

眼鏡の奥にはうっすらと隈が見え、憔悴している様がありありと伝わってくる。

どうしよう。力になりたいけど、こっちには情報も戦力も……。

 

 

「……最近、ヒーローばかりを襲う敵があちこちで発生してやがる。インゲニウムはうちのツテがある病院で療養中だ。病院には指名手配犯がゴロゴロいるせいで、今連絡は一切遮断してる」

 

 

かっちゃんは静かにそう言った。

……ヒーローを襲う、敵……?

そんなの、僕、知らない。

 

聞いてないん、だけど。

 

 

 

「そうか……生きて、いるのか」

と小さく呟いた飯田くん。

 

「……襲った犯人については、まだ捜索中だ。全く足取りは掴めていない。

……インゲニウムは隠していたんだろ、ヒーローだってこと。反対しないのか」

「もちろん、危ないことはして欲しくない。けれど兄さんは昔から正義感の強いひとだった。兄さんのやろうとしていることは……反社会的かもしれないが俺は立派だと思うし、尊敬しているよ」

 

とりあえず、とすくりと席を立つ飯田くん。

目に覇気が戻り、口元にはうすく笑みを浮かべていた。

「教えてくれてありがとう。恩に着ます。このお礼は必ず」

「こっちは事実を伝えたまでだ、もう来んな」

 

しかしニコ、と無言で拒否の意をしめし飯田くんは礼儀正しく礼をし帰っていった。

 

 

 

 

 

「……かっちゃん、どうしてヒーローが襲われてること、僕に言ってくれなかったの」

 

飯田くんの手前怒りを抑えていた。静かに問う。

知らない情報だ。回答を一瞬渋ったのは僕に知られたくなかったことだからだろう。何故、何故隠すんだ。

 

「最近帰りが遅いのって、ヒーロー襲撃事件の調査に駆り出されてたから?害されたのがヒーローだから、警察組織の捜査能力には頼れない。

それ、UAにとって一大事だよね。なんで言ってくれなかったの」

 

「必要無いからだ」

「はぁ!?あるだろッ!!僕は言われたんだ、オールマイトにUAを頼むって!!」

「無個性で何も出来ないお前が?」

「っ……!」

 

冷たい瞳でかっちゃんは睨みつけてきた。

「俺が護衛に付かなきゃ自己防衛すら出来ないお前が、勘違いすんなよ。

お前はUAヒーローじゃねぇしオールマイトの後継者でもねぇ。ただの守られるだけの、弱っちい一般市民の1人だ」

「そんな言い方っ……!」

「そうだろうが。正義感だけ一丁前で、なんの力も無い。お前が今ここにいる理由はその脳ミソん中の重要機密とそのペンダント。それだけだ」

 

 

……仕方が無い。正義感だけで突っ走る僕は、かっちゃん達にとって危なっかしいだけの存在なんだろう。

今の僕には、どうしようもなく力が無い。こんな僕がなにを言っても、かっちゃんには響かない。

 

「……ごめん。頭、冷やしてくるね」

「あ、だから1人で……っ!」

 

僕は、無力だ。

 

 

 

 

 

 

出ていく出久とすれ違いに、事務所へと戻ってきた相澤。懐には登山用の寝袋があり、今日も事務所に素泊まりする気満々の様子だ。

1人むっつりと黙り込む爆豪に、面倒くさそうに声をかけた。

 

「なんだ、喧嘩か」

「……ちげーよ。アイツがヒーロー気取りでなんでも口出してくんのが悪ぃんだ」

 

それを喧嘩って言うんだろうが、とため息をつく相澤。2人の言い争いは廊下にまで聞こえていた。

 

今回のヒーロー襲撃事件の調査員を勝己に頼んだのは、出久という最重要の仕事相手が傍にいることでストッパーになると踏んだからだ。

 

元々襲撃されたヒーローは捕まる前にこちらが保護と治癒に乗り出せているため、幸い表沙汰にはなっていない。しかしただでさえ前に進まないオールマイト逮捕の件と合わさりヒーロー自体の命が脅かされる状況下では、勝己のストレスも相当だろう。

名の割れていない彼なら、出久というストッパーがいる彼ならと気を紛らわす意味で頼んだ仕事だったが、勝己の焦燥は予想以上だったようだ。

 

まさか、一番近くにいる出久に相談どころか仕事内容すら一切口に出していなかったとは。

拗れに拗れている。

 

「……緑谷は良く我慢してる。あんなに猪突猛進なのにヒーロー活動をしないのは、ひとえにオールマイトのためだ」

「……オールマイト……?」

 

そういえば言っていなかったな、と自分の迂闊さを恨む相澤。重要な話をしている最中はずっと勝己には席を外させていたのだった。事後説明も無く。

「緑谷はオールマイトさんからUAを託されている。ヒーローとして、後継者としてやっていくための手段も実はもう整っている。

けれど緑谷の活躍が公になれば、旧平和の象徴はもういらないと生きる気力を無くしかねない」

「!!?オールマイトがそう言ってたのかッ!」

 

ガタンと大きな音を立て立ち上がる勝己。

初耳だろうその情報に、目を大きく見開き脂汗を浮かべている。

 

「そう取られてもなんら不思議は無いくらいの言葉は零していた。

だから俺はオールマイトさんの気力が尽きる前にどうにか釈放出来るような証拠を秘密裏に集めている。

だから緑谷は、個性を使う以外の方法でオールマイトさんの救出を目論んでいる、らしい。

言動はまだまだ幼稚で危なっかしくて仕方が無いが、それはオールマイトさんの件でまだ大した貢献も出来てない俺達がどうこう言えるもんでも無いしな。まぁ、警察の前に突っ込んでいくような無茶は金輪際して欲しくは無いが。

お前のその発言は、それを知った上でのものか?……なんて、愚問だったな。

事前に教えてなかったことは悪かったが、俺の予想以上にお前らは対話をしないらしい」

 

 

拳を握って俯く勝己。

出久のこと、事件のこと、そしてオールマイトのこと。

 

どれも出口の無い大きな問題だが、そのタフネスさに甘えてしまっていた面もあったのかもしれない。

まだ成人すらしてない、社会経験も無いヒヨッコだ。

考え込むようにして立ち竦む勝己の肩をポンと軽く叩き、寝袋をずるずると席の横にある定位置に置きに行く。

 

「早いとこ仲直りしろよ」

「……るせぇよ」

 

 

 

 

頭を冷やすと事務所から出ていった出久は、とあるところに電話をかけていた。

「もしもし、初めまして。緑谷出久です」

『〜〜……』

「そうです、はい……う。反省してます……。それで、ちょっとお願いしたいことがありまして」

『〜〜……』

「ありがとうございます、塚内さん」

 

 

 

 

*

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