「そういえばさ、ヒソカが前に『もしも死んだら悲しんでくれるか』って訊いてきたことあったじゃん」
ふとそう言えば、私の頭上から「そうだねぇ」と声がする。
聞こえてきた声が頭上からなのは、購入した大きめのソファーに座っているヒソカの脚──細かく言えば太もも? の間に私が座っているからだ。
……なんか、今更だけど恋人特権って感じがする。
そう考えて少し緩みそうになった頬にハッとして話を続けた。
「訊かれたときに答えたのは間違ってたから、ちゃんと答えようかなって」
「へぇ、気になるなぁ♥️」
話そうとして、少しだけヒソカの方にもたれかかる。密着度が高くて幸せ。あったかい。
「私ヒソカが死んだら悲しいよ」
まぁこれはヒソカが生き返った時も言ったけど、と思いつつも言葉を続ける。
「でもね、ヒソカのことが好きって気づいちゃったから、ヒソカを殺した相手に怒ることになると思う。
ヒソカを殺した相手を柄にもなく憎んで、原型がなくなるくらいまでぐちゃぐちゃにして、たっぷり苦しませて、それから息の根を止めるよ」
たとえ誰であろうとも、どんな手を使っても。
「それから、ヒソカの隣で私も死んじゃう。
……前に一回ヒソカが死んだ時ね、何も考えられなくなったんだ。
感情も感想も出てこなくて、空っぽになった。
それで、今じゃこんなんでしょ?」
ぺしぺしと軽くヒソカの両腿を叩く。
「私ヒソカみたいに器用じゃないからさ、忘れることも出来ずに空っぽのままで生きていかなきゃいけなくなっちゃうと思うんだ。
一番大切なものを失って、その上死んだまま生きるなんておかしな話でしょ?
だからね、ヒソカが死んだら、私はヒソカのそばに行くよ」
あぁ、私狂ってるなぁ。
あ、元からか。
「……まぁ、死後の念で心臓マッサージして生き返るような生命力の持ち主がそう簡単に死ぬとは思えないけどね!」
あははと笑おうとしたところで後ろからヒソカにぎゅっと少し強めに抱き締められる。
「ボクも同じ事をするって言ったら、信じてくれるかい?」
え。
「……うっそだぁ。
だってヒソカだもん、私のことなんてどうせすぐ忘れちゃうよ。
死人に興味もないし、気まぐれで嘘つきだから大事な物が突然ゴミに変わっちゃうこともよくあるヒソカだよ?
信用なんて出来ませーん。普段の行いだね」
「酷いなぁ♠️」
「……でも、でもね、もしそれが本当なら……嬉しいなぁ。
あのヒソカの『大切なもの』になれたってことだもん。『オモチャ』じゃなくて、大切なもの。
それに後を追ってくれるなら、忘れられることもないだろうし」
元から狂ってるってさっき自分で思ったけど、絶対ヒソカのせいで悪化してるなぁ。
……あ、流石に引かれた……わけないか。『狂ってる』っていうカテゴリーで言えばヒソカはトップレベルだし。っていうかキング?
「愛してるよ♥️」
「……嬉しいから少なくともその言葉は信じておいてあげる。
私もヒソカのこと、あ、あい、あー…………好き、だよ」
……絶対真っ赤だ……、恥ずかしい。
ちくしょう、こういうところに経験の差が出るんだよ。『愛してる』なんて誰かに言ったことないんだもん、仕方ないじゃないか……。
「今は言えなくてもいつか必ず言わせてあげるから大丈夫♥️」
「……楽しみにしてマス……」
なんか、何されるのか若干怖い節はあるけど。
あーあ。
今日も幸せ、だなぁ。
甘くて優しい空気が心地よくて、もう一度いい感じの位置でヒソカにもたれかかってヒソカの腕を抱き枕代わりに抱き締めて目を閉じた。
とても殺人鬼とは思えない手つきで頭を撫でてくるヒソカの手があったかくて、心がぽかぽかしてくる。
……明日もどうか、二人が生きていられますように。
祈りながら、眠りに落ちた。
続きます
まだ終わりじゃないです
あったかい、という言葉が好きです。
温かいとか暖かいとかと響きが違って、心がぽかぽかする時にぴったりの言葉だと思うので。