【完結】例えばボクが死んだとして   作:とくめ一

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第5話

 彼女と二人の時だけは穏やかな空間に退屈さを感じなくなったのはいつからだっただろうか。

 

 彼女に近付く相手を見ると不愉快だと感じるようになったのはいつからだっただろうか。

 

 彼女を好きだと自覚したのは、いつだっただろうか。

 

 

 自分らしくもない感情の筈なのに、気付いてしまえば不思議と『あぁなるほど』とすぐにそれを受け入れられた。

 それからはそれまで以上に彼女が他人には見せないような顔を見る度脳が痺れるような興奮を抱いたし、ボク以外に近付く度に男女関係なくその相手を殺したくもなった。

 

 キミがボクだけ見てくれればいいのに♠️

 

 滲む感情は、欲望は、願望は、しかし恋ではなかった。

 そんな美しい物では、なかった。

 

 

 そんなある日、ふと彼女がボクを見る目に籠った感情を見つけた。勘違いかとも思ったけれど、意識して見てみれば彼女の行動は割とわかりやすいもので。

 

 それに気が付いた時の悦びといったらもう、トランプタワーを壊す時とは全く比べ物にならなくて、鎮めるために何人殺したかも覚えていない程だ(まぁ元々殺した人間なんて覚える気もないケド)。

 

 あぁ、早くキミを堕としてしまいたい。

 

 そう心は急くけれど、まだその時ではないと頭では理解していた。

 

 だってまだ、彼女は自分の気持ちを自覚していないだろうから。

 自覚する前ではいけない。彼女が自分から求めてくる前でもいけない。

 彼女なら『ヒソカの気持ちに引きずられて好きだと思った』なんて思いかねないからね。

 

 じっくりじっくり引きずり込んで、気付かれないようにボクの愛に浸して、逃げられないようにしないと。

 

 これはきっと恋とは呼ばれないけれど、そんな可愛らしいものでも美しいものでもないけれど、醜悪ですらあるけれど、それでもボクはこれを愛と呼ぼう。

 

 これは、確かに嘘つき(ボク)にとっての真実()なのだから。

 

 例えばボクが死んだとして、それで生きていられるようなキミなら足りない。

 

 もっと、もっと依存すればいい。

 もっと深く(ボクのところ)まで堕ちてくればいい。

 キミがボク無しでは生きていけなくなればいい。

 

 そう思うのは、何も死後の世界なんてモノを信じているからじゃない。

 

 だってボクが死んだとしても、その後キミが生きてさえいなけれは、キミはボクを忘れることも、ボク以外と添い遂げることもなくなるだろう? 

 

 これを彼女に言ったら狂っていると言われるだろうか。いや、きっと何も言わずに幸せそうに笑うのだろう。

 

 だって彼女も、充分な程に狂っているのだから。

 

 ■

 

 ボクにもたれかかって眠るキミを見て、ボクは抑えきれずに口角を上げた。

 

「やっとボクの所(ここ)まで堕ちて(来て)くれたね♥️」

 

 愛しているさ。誰よりも、ね。

 

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