バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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17コア「トゥエンティ再び、仮面ライダージオウ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?……なんだココ?」

 

 

その時、アスラは深くて冷たい、闇の中にいた。360度どこを見渡しても一寸先は暗闇だらけ。自分がなんでこんなところにいるのかも皆目検討がつかなかった………

 

 

「よお……いらっしゃい」

「ッ!!」

 

 

そんな時、暗闇から男の肉声だけがアスラの耳を通過してきた。アスラはその声に反応して再びあたりを見渡してみるが、そこには闇だけで誰もいやしなかった………

 

 

「……誰だよ?…どこにいやがる?」

 

 

アスラが声の主に訊いた。

 

 

「誰だとはつれねーな……オレはいつだってオマエの一番近くにいるのによ」

「……いや、オマエみたいなヤツ断じて知らん!!」

 

 

意味深な言葉を呟く闇からの声。いつもアスラの近くにいるのはエールとかムエとか、強いて言えばテンドウくらいだ。しかし、その声はその中の誰のモノでも無い。

 

 

「ゼゼゼ……まぁ良いだろう。オマエの身体はそのうちオレがもらう……!!」

「………ッ!?…オマエ何なんだよ!?」

 

 

独特な笑い方をしながらまたしても意味深な言葉を呟く闇からの声。まるでアスラを乗っとると言わんばかりの言い草にに、アスラは思わずその声の正体を探ろうと声を荒げてしまう………

 

 

「……オレ?………オレは………」

「ッ!?」

 

 

闇からの声が質問に答えようとするが、それを言いかけたところで深い闇が晴れ上がって行き、光が差し込んで来た。その眩しさにアスラは顔に腕を覆いかぶさった………

 

 

ー…

 

 

「うわッッ!?!」

 

 

時刻は深夜。アスラはまるで悪夢でも見ていたかのように勢い良く布団から飛び上がった。

 

ここは寝泊りしている豪華な旅館だ。横の部屋ではエールとムエが眠っているはずだ。

 

 

「な、何……なんで起きたのオレ??………なんか夢の中で誰かと話してたような………」

 

 

しかし、その悪夢が何なのかをいまいち思い出せないアスラ。体中は多量の発汗をしているため、何か悪い夢でも見ていたのは間違い無いのだが………

 

 

「………ま、いいや!!……もっかい寝よ!!」

 

 

切り替えの早いアスラ。現実になるはずも無い夢を思い出そうとしても無駄だと思い、すぐさままた眠りにつく。

 

この時、机に置いていた自身のデッキケースの中にあった『仮面ライダー龍騎』のカードが黒く輝いていた事は知らず…………

 

 

******

 

 

「うぉぉお!!…スッゲェ、雪とか氷とかで色んなもん作れんだな!」

「むえ〜」⬅︎何となく鳴いてる

「雪像と氷像って言うのよ、そんな事もわからないの?…流石コモンね」

 

 

翌日、季節は夏だと言うにもかかわらず、今日も粉雪が降り積もるユキカイ町。

 

そんなユキカイ町には年に二度、あるイベントが開催される。それが今アスラ達が見ている『ユキカイ雪祭り』だ。多くの匠達により造られた氷像や雪像が所狭しと町の大広間に並んでおり、多くの人たちがそれを一目見ようと足を運んでいた………

 

 

「いや〜オレ始めて他の町の祭り来たからな〜……スーミ村の祭りと比べたらスケールが違うぜ!!」

「コモンしか住んでない村と一緒にしないでよ…オウドウ都の祭りはこんなもんじゃないし」

「おぉ!!そんなスゲェのか!!…だったら今度一緒に行こうな!!」

「ッッ!?……ま、まぁアンタがそこまで言うなら一緒に見て回ってやらなくもないわ……!!」

 

 

オウドウ都には年に一度、このユキカイ雪祭りとは比べものにならない程に大きな祭りがある。単に素直な性格なだけなのは知っているが、それでもアスラに祭りに誘われたエールは顔を赤くしながら「まぁ仕方ないから」的な感じでそれを承諾した。

 

 

「お〜〜〜い!!」

 

ー!!

 

 

上方から耳覚えのある声がアスラ達の耳を通過していく。彼らはその声に反応してあたりを見渡していく………

 

そしてその声の主は………

 

 

「ゴゴのおっちゃん!!……なんすかその雪像!!…こだわりヤッバ!!」

「ほっほっほ!!…5はワシを象徴する数字じゃからな!!」

「……どうやって作ったのよ」

 

 

白のカラーリーダー、ゴゴ・シラミネだった。おそらく自分で作ったであろう5の形をした雪像の上で胡座をかいていた。

 

 

「どうじゃ、ユキカイ雪祭りは凄いじゃろ?」

「ハイィィ!!…雪や氷でこんなスゲェもん作れるなんて、もう感動しましたァァァー!!」

「ふんっ…オウドウ都の祭りの方が凄かったわ」

「ほっほ、まぁオウドウ都と比べられたらのぉ」

 

 

ユキカイ雪祭りの感想をアスラ達に問い掛けるゴゴ。アスラとエールはそれぞれの感想を述べていく。

 

 

「ところでおっちゃん!!…なんでそんな高いところいんだよ!?」

 

 

アスラが5の形をした雪像の上に座っているゴゴに訊いた。

 

すると、ゴゴはユキカイの名物の溶けないアイスクリーム、メタルアイスクリームをジャンパーの懐から取り出し、舐め始めながら説明した。

 

 

「毎年、2回。このユキカイ雪祭りの日はこうしてのんびりと町を見渡していたいんじゃよ、この町のカラーリーダーとしての」

「……おぉ、なんかよくわからんけど、カッケぇ!!」

「そう?…仕事サボってるだけじゃない?」

 

 

アスラの前でメタルアイスクリームを舐めながら少しだけ格好を付けるゴゴ・シラミネ。アスラの胸には感動という鐘が鳴り響くが、逆にエールには全く響かない。

 

 

「む、むむえ……!?」⬅︎あ、あれは!?

 

 

だがそんな事よりもムエだ。アスラの頭の上に乗っかっているそのもふもふのオレンジ犬は、ゴゴが懐から取り出したメタルアイスクリームを目に移すなり…………

 

 

「むえぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」⬅︎食わせろおっちゃん!!!

「ッ!?…おい、どこ行くんだよムエ!?」

 

 

アスラの頭の上から離れ、降り積もった雪の上をツッテケテーと駆けるムエ。そしてゴゴの造り上げた5の形をした雪像を凄まじい速度で登って行き………

 

 

「うおっ!?……どうした犬ッコロ!?」

「むえぇぇぇぇ!!!」⬅︎それを寄越せ!!!

「ちょちょちょ……暴れるでない…………ッッ……うぉぉぉぉお!!?」

 

 

メタルアイスクリームを寄越せと訴えかけているようにゴゴにまとわりつくムエ。さらに悲劇は続き、バランスを崩れた事により、5の形をした雪像がぽっきり折れてしまう。

 

ゴゴとムエはその上から落下してしまう。

 

 

「むえぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」⬅︎ゲットぉぉおお!!!

 

 

だが、ムエは執念でゴゴの手から離れたメタルアイスクリームを空中で短い前脚後脚をフルに使いキャッチ。その後は綺麗に着地して見せる。反面ゴゴは凄まじい勢いで降り積もった雪に叩きつけられてしまった………

 

 

「ゴゴのおっちゃァァァーん!?」

(……ムエ、可愛い……!!)

「ムエ!!!…オマエ何やってんだァァァー!!」

「むえぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」⬅︎うめぇぇぇぇえ!!!

 

 

相変わらず行動の一つ一つが謎いムエ。そんな変な犬にメロメロなエール。アスラはただ1人雪の上に落っこちたゴゴの身を案じていた…………

 

 

「大丈夫かよおっちゃん!?」

「こ、腰が……」

「おっちゃァァァーん!?」

 

 

衝撃で腰を痛めていたゴゴ。その後アスラは彼を担いで全力で医務施設へと急行して行った………

 

 

******

 

 

ここはユキカイ町の医務施設。オウドウ都程では無いがそれなりに大きな施設である。

 

 

「いや…あのクソ犬何なんだよ、最近ますます意味がわからん」

 

 

そんな医務施設の自動ドアから出て来たアスラ。ゴゴの腰も単なるギックリ腰で特に大事では無かったようであり、取り敢えず一安心。

 

 

「よし、んじゃそろそろエールと合流して次の町に行くかな……待ってろよロン!!…絶対オマエを追い越してやるからなァァァー!!」

 

 

握り拳を固めながら強く意気込むアスラ。未だ雪像や氷像が所狭しと並ぶ広場にて自分を待つエールとムエの元まで合流しようとしたが…………

 

ここでアスラを呼ぶ声が彼の耳を通過した………

 

それは耳覚えのある声色であり………

 

 

「……久し振りだな。ソウルコアが使えないゴミ以下」

 

ー!!!

 

 

その声を聞くなり背筋が凍り付くアスラ。反射的にその声のする方へと体を向けると…………

 

 

「……オマエ……トゥエンティ……!?」

 

 

そこにいたのは銀色の短髪が特徴的な青年、トゥエンティだった。アスラの脳内では今でもコラボダンジョンでの激闘の瞬間が蘇ってくる………

 

彼はライダースピリットを狙っているため、アスラはそれを警戒して身構える。

 

 

「フンッ…やはりヤツからオレの名は聞いていたか」

「……またオレ達のライダースピリットを奪おうってか?」

「あぁそのつもりで来た……が、ここはユキカイ雪祭りを楽しむ者達の目がある。場所を移そう」

「!?」

 

 

トゥエンティの意外な提案に気が緩むアスラ。前会った時は関係無い人まで巻き込む感じだったのに、いったいどういう風の吹き回しなのだろうか………

 

 

ー…

 

 

その後、アスラとトゥエンティは場所を移し、人集りのある場所ではなく、人影の全く無い路地裏へと足を運んだ。

 

路地裏と言ってもかなり横幅が広く、隠れてバトルを行うにはうってつけの場所であり………

 

 

「ここなら誰も来まい」

「……ひょっとしてオマエって良い奴なのか?」

「はぁ?…何を言っている」

「いや、他の人達を気遣ってわざわざこんなところに誘い込むなんてちょっと意外だな〜って思ってさ」

 

 

トゥエンティのこの行為から、アスラは彼が完全に悪意の塊を持つ人物では無いと察した。

 

だがトゥエンティは………

 

 

「通報されると面倒なだけだ………それに、オレは魔王に魂を売った身……他の連中がどうなろうと、オレの知った事じゃ無い……」

「!?」

「御託はもう十分だろ……さぁ、ライダースピリットを狩らせてもらう」

 

 

トゥエンティの言った言葉の意味があまり理解できないアスラ。しかしトゥエンティは彼の頭の処理を待たずしてバトルの開始を急かした。

 

両者ほぼ同時にBパッドを展開し、デッキをその上にセット。バトルの準備が完了した。

 

そして………

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

トゥエンティはライダースピリットを奪うため、

 

アスラはそのライダースピリットを護るため、

 

人影の少ない路地裏にてひっそりと、コールと共にバトルスピリッツが開始された。

 

 

先行はアスラ、いつもの「っしゃぁ!!」の掛け声で気合をいれながらターンシークエンスを進行していく。

 

 

[ターン01]アスラ

 

 

「メインステップ……行くぜ、仮面ライダー龍騎をLV1で召喚!!」

 

 

 

ー【仮面ライダー龍騎】LV1(1)BP2000

 

 

 

初手でアスラが呼び出したのは自身の相棒、赤きライダースピリット、仮面ライダー龍騎。その召喚時効果を発揮させ、アスラは新たに2枚のカードを手札へと加えた。

 

 

「あの時はオレ1人じゃ勝てなかったけど、今回こそは今まで培ってきたモノをぶつけて、オマエに勝つ!!……ターンエンドだ」

手札:6

場:【仮面ライダー龍騎】LV1

バースト:【無】

 

 

先行の第一ターン目の事もあり、早々にエンドステップを迎えたアスラ。次はトゥエンティのターンだ。アスラの龍騎を奪うべくターンシークエンスを進行させていく………

 

 

[ターン02]トゥエンティ

 

 

 

「メインステップ……ライダースピリットの本当の使い方を教えてやる」

「ッ!?」

 

 

トゥエンティはアスラにそう告げながら手札にある1枚のカードを引き抜いた。それはおそらくこの世界にいる誰もが驚愕しかねない強力なカードであり………

 

 

「変身!!仮面ライダージオウ……!!」

「変身!?」

 

 

トゥエンティの腰にバックルのようなものがあるベルトが取り付けられる。そして彼の背後に数多もの時計が浮かび上がると、そのバックルを回転させる。

 

 

………カメーーンライダー!!

 

………ジ、オーーウ!!

 

 

 

ー【変身!!仮面ライダージオウ】LV1

 

 

 

その謎の音声と共に、トゥエンティは顔にライダーと描かれているのが特徴的なライダースピリットの一種、仮面ライダージオウと化していた。

 

 

「……オマエがライダースピリットに!?」

「一部の強力なライダースピリットはプレイヤー自身をライダースピリットにする力がある。そしてこのジオウこそ、オレを選んだライダースピリットだ!!」

「ッ!?」

「神託の効果でデッキからカードを3枚トラッシュへ、対象カードは3枚、よってオレ自身にコアを3つ追加する!!」

 

 

ライダースピリットの変身カードはカードカテゴリ上は創界神ネクサス。そのため神託の効果が発揮され、コアが追加された。

 

 

「それがオマエを選んだってどう言う事だよ!!……じゃあ他のライダースピリット達はなんなんだ!!」

「アレは他の者達から奪ったヤツに過ぎん。ジオウはその身にライダースピリットを幾らでも取り入れる力がある!!」

「えぇぇぇえ!?…ドユコトォォォー!?」

 

 

頭の悪いアスラではトゥエンティの言っている事は完全に理解できていないが、要するに、本来ならば同じデッキに入れる事ができないライダースピリットのカード達をトゥエンティが何の問題も無く同じデッキに入れる事ができていたのは、あのジオウと呼ばれるライダースピリットの異能じみた力のお陰であると言う事だ。

 

 

「さらにオレは仮面ライダーW サイクロンジョーカーを召喚…効果でコアブースト」

 

 

ー【仮面ライダーW サイクロンジョーカー】LV1(1)BP2000

 

 

立て続けに動くトゥエンティ。今度は右半身が緑、左半身が黒色のライダースピリット、Wサイクロンジョーカーが現れる。

 

 

「くっ……やっぱ当然のように別のライダースピリットを使って来んのか……」

「ネクサス、パンドラボックスを配置……バーストを伏せ、ターンエンド」

手札:1

場:【仮面ライダーW サイクロンジョーカー】LV1

【変身!!仮面ライダージオウ】LV2(4)

【パンドラボックス】LV1

バースト:【有】

 

 

トゥエンティの横に黒い小箱が、そして場には裏側でバーストカードがセットされた。

 

後攻2ターン目であるにもかかわらず、手札の5枚のうち4枚を使い切り、次のアスラのターンでの防御を盤石のものとして見せた。

 

 

[ターン03]アスラ

 

 

「メインステップッ!!……変身だかなんだか知らねぇけどオレはそんなもんに恐れたりしねぇ!!……シャムシーザーを召喚して、ネクサス、ミラーワールドをLV2で配置だァァァー!!!」

 

 

ー【シャムシーザー】LV1(1)BP2000

ー【ミラーワールド】LV2(2)

 

 

アスラの場に赤い身体に数本のトゲを生やしたトカゲ型のスピリット、シャムシーザーが現れると同時に、周囲の光景が鏡向きに変換された。

 

 

「アタックステップ!!……龍騎でアタック!!…ミラーワールドの効果でカードを1枚オープン!!」

 

 

準備は整ったと言わんばかりにアタックを仕掛けるアスラ。ミラーワールドの効果でカードがオープンされるも、それはアドベントカードではないため、そのまま手札へと送られた。

 

しかし、アタックそのものは継続されているため、龍騎はトゥエンティのライフを破壊すべく走り出す。

 

 

「別に変身に恐れなくても良いが、オレのバーストには警戒すべきだったな!!……ライフで受ける!!」

「ッ……!!」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉トゥエンティ

 

 

まるで今からバーストを発動すると宣言したような言い草を残し、龍騎の拳を受けるトゥエンティ。

 

そして言葉通り、裏側になっていた彼のバーストは勢い良く反転して………

 

 

「ライフ減少のバースト、仮面ライダーキバ キバフォーム!!」

「ッ……また別のライダースピリット……」

「効果により敵スピリットのコア2つをリザーブに置く。消え失せろシャムシーザー!」

「なにっ!?」

「そしてその後召喚される……現れろ!!」

 

 

ー【仮面ライダーキバ キバフォーム】LV1(1)BP2000

 

 

 

上空からシャムシーザーにかかと落としをお見舞いしてみせる黒いライダースピリットが一体。

 

それはロンのナイトと同じく紫のライダースピリット、仮面ライダーキバ。それがアスラのシャムシーザーを消し飛ばすと同時に姿を現した。

 

 

「召喚時効果でドロー……さぁどうする…オマエの攻め手は欠かれたが……」

「ぐっ……つえぇ……ターンエンドだ」

手札:5

場:【仮面ライダー龍騎】LV1

【ミラーワールド】LV2(2)

バースト:【無】

 

 

改めてトゥエンティの底知れない強さを身をもって感じるアスラ。あの時はエールと力を合わせたから勝てたのだと痛感している。

 

そして今の自分が彼に勝つにはもうあの手を使うしか無いと思い至っていて…………

 

 

(龍騎サバイブだ……あの力があればアイツにも勝てるかもしれねぇ……いやかもしれないじゃなくて……勝つんだ!!)

 

 

そのあの手とは先日手に入れた龍騎の強化形態サバイブの事だ。

 

確かにあの攻撃力ならトゥエンティの防衛ラインを突破しつつ一気に勝機を掴み取る事が可能なのかもしれない。アスラはそれを信じ、頭が悪いながら手札のカードで作戦を練って行く。

 

しかし、トゥエンティがその考える時間を作ってくれるわけなくて………

 

 

[ターン04]トゥエンティ

 

 

「メインステップ……オレは再びバーストをセットし、このライダースピリット……仮面ライダージオウを召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダージオウ】LV2(2)BP7000

 

 

「っ!?…変身したのと同じヤツ!?」

 

 

トゥエンティが新たなバーストを伏せると共に召喚したのは自身が変身した仮面ライダージオウそのもの。

 

彼はその強さを遺憾無く発揮させ、アスラを追い詰めて行く………

 

 

「アタックステップ……ジオウでアタック…効果でドローだ」

 

 

アタックを仕掛けるトゥエンティ。そしてさらに畳み掛けるべくその手札から1枚のカードを引き抜いて………

 

 

「フラッシュチェンジ……仮面ライダージオウ ビルドアーマー!!」

「チェンジのカード……!!」

「この効果により、デッキから2枚オープンし、対象となるカードを1枚手札へ加え、残りを破棄」

 

 

トゥエンティはライダースピリット特有の効果であるチェンジの効果を使い、2ターン目で消え去った手札を回復させた。

 

 

「そして通常のジオウと入れ替える!!……この時、通常のジオウの効果でトラッシュのコア全てを自身に追加!!」

「えぇぇぇえ!?…トラッシュのコア全部って使ったコアが戻るのか!?」

 

 

その強力すぎる効果に唖然とするアスラ。

 

この時点でジオウが他のライダースピリットと比べてどれ程強力なライダースピリットであるのかが認識できる………

 

 

「来い、仮面ライダージオウ ビルドアーマー!!」

 

 

ー【仮面ライダージオウ ビルドアーマー】LV2(3)BP7000

 

 

ジオウがベルトのバックルにライドウォッチと呼ばれるアイテムをセットし、再びそれを回転。すると様々なパーツが瞬時に現れ、ジオウに装備されて行く。

 

そしてそれが完全に装着されると、ジオウは新たな姿、ビルドアーマーとなった。

 

 

「ビルドって……あん時使ったライダースピリットじゃねぇか!!」

「ジオウは他のライダースピリットの力を自分のものにできる」

「えぇぇぇえ!?…マジ!?」

 

 

アスラはもはやどこで驚けば良いか分からなくなってきて、落ち着きがなくなる。

 

 

「チェンジの効果によりアタックは継続中!!」

「ッ……ライフだ……ぐっ!?」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉アスラ

 

 

回復状態のままアタックが続行するチェンジ特有の効果。ビルドアーマーはその手に装着されたドリルの一撃でアスラのライフを1つ破壊した。

 

 

「手は抜かない……一気に仕留める!!…ビルドアーマーで再度アタックし、その効果で龍騎を破壊!!」

「なにっ!?……龍騎!!」

 

 

畳み掛けるトゥエンティ。ビルドアーマーは手のドリルで龍騎の腹部を貫通。龍騎は堪らず爆散してしまった………

 

 

「さらにオレ自身の効果、【転神】……コア3つをボイドに置く事でこのターン、オレはBP3000のスピリットとしてアタックする事ができる!!」

「ネクサスでアタック!?」

 

 

ー【変身!!仮面ライダージオウ】LV2(6➡︎3)BP3000

 

 

 

別次元の効果を発揮し続けるトゥエンティのデッキのカード達。

 

だが、驚きっぱなしではいられないか、アスラも反撃すべく手札から1枚のカウンターを引き抜いて見せて………

 

 

「負けねぇ!!…フラッシュマジック、ガードベント!!……トラッシュに龍騎が2枚の時、このターン、オレのライフは後1つしか減らねぇ!!」

「!!」

「そのアタックは当然ライフだ!!……っ!!」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉アスラ

 

 

再び猛威を振るうビルドアーマーのドリルの一撃。だが少なくともこのターンはアスラのライフはガードベントの効果により守られる事になる。その証拠に、ライフが減った今現在、アスラの手には龍騎の龍の胴体を模して作られた赤い盾が握られていた。

 

どんなアタックが飛んでこようがこれで跳ね返せる。

 

因みに発揮するのに必要な2枚目の龍騎は龍騎の召喚時効果でトラッシュに破棄されていた。

 

 

「……ターンエンドだ」

手札:3

場:【仮面ライダージオウ ビルドアーマー】LV2

【仮面ライダーキバ キバフォーム】LV1

【仮面ライダーW サイクロンジョーカー】LV1

【変身!!仮面ライダージオウ】LV2(3)

【パンドラボックス】LV1

バースト:【有】

 

 

せっかくの転神の効果も実質無効となり、そのターンをエンドとしたトゥエンティ。しかし特に慌てふためく様子もなく、冷静な表情を浮かべていた。

 

次はアスラのターンだ。

 

 

「行くぜトゥエンティ……このターン、オレの全身全霊の攻撃でオマエを超える!!」

「……やれるものならやってみろ……叩き潰してくれる……!!」

 

 

トゥエンティを超えるべく、アスラの渾身のターンが幕を開ける………

 

 

[ターン05]アスラ

 

 

「メインステップッ!!……ドラゴンヘッド2体を連続召喚!!」

 

 

ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000

ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000

 

 

アスラの場に龍の頭部と翼のみで活動を続ける小さな龍が2体現れる。だがこれらのスピリットは前座に過ぎない。

 

アスラは本命となる切り札を手札から引き抜いた………

 

 

「コイツで勝つ……来い、仮面ライダー龍騎サバイブッ!!」

 

 

アスラの場に龍騎が現れ、ベルトにあるカードデッキからカードを1枚引き抜いた。さらにその体中から烈火の如く炎が吹き荒れる。

 

龍騎は左腕にあるバイザーを龍の頭部を象ったショットガンのような武器に変換させ、そのカードをそこに装填………

 

 

………『サバイブ!!』

 

 

と、無機質な音声が流れ出た瞬間、龍騎は瞬く間に強化形態である龍騎サバイブに昇華してみせた………

 

 

ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2(2)BP11000

 

 

「……その姿、龍騎が強化されたものか」

「あぁそうだ!!……オマエを超えるための切り札だ!!」

 

 

アスラは続け様に「アタックステップッ!!」と声を上げ、一気に攻勢に転ずる。

 

 

「龍騎サバイブでアタック!!…効果でBP15000以下のスピリット1体を破壊して赤のシンボルを1つ追加する!!…Wを破壊だァァァー!!」

「!!」

 

 

龍騎サバイブの手に持つショットガンから放たれた烈火の弾丸がトゥエンティの場にいるW サイクロンジョーカーに被弾、それは呆気なく爆発してしまう。

 

 

「ダブルシンボルのアタック!!…これはどう受ける!!」

「……キバでブロック」

 

 

ダブルシンボルのアタックは冷静にブロックするトゥエンティ。キバフォームが低姿勢で構えながら龍騎サバイブの行手を阻む。

 

だがBPの差は圧倒的。龍騎サバイブは再び烈火の弾丸を放ち、キバフォームを撃ち抜いて見せた。

 

しかもこの瞬間、龍騎サバイブのさらなる効果が起動して………

 

 

「龍騎サバイブの効果!!…バトル終了時、龍騎サバイブのシンボルの数だけ敵のライフを破壊する!!」

「!!」

「行け龍騎サバイブ……メテオバレットッ!!」

 

 

龍騎サバイブはベルトからアドベントカードを1枚引き抜き、それを武器である龍の頭部を模したショットガンに装填………

 

 

………『シュートベント!!』

 

 

と無機質な音声が流れると、咆哮と共に赤き武装龍が姿を現し、アスラの前方、龍騎サバイブの背後へと身を置いた。

 

そして龍騎サバイブは銃から深紅のレーザーを、赤き武装龍は口内から爆炎の炎を放出。それらは瞬く間にトゥエンティの元へと飛び行き………

 

 

「………ぐぅっ!!?」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉トゥエンティ

 

 

そのライフを一気に2つ焼き尽くして見せた。そのあまりの攻撃力に流石のトゥエンティも半歩足を後退させてしまう。

 

 

「っしゃぁ!!……大ダメージだぜ!!…このまま一気に………」

 

 

……『一気に仕留める』

 

そう言いかけ、トドメを刺すべく残ったドラゴンヘッド2体でアタックを仕掛けようとしたアスラ。

 

だがそれも束の間、トゥエンティが伏せていたバーストカードを裏から表へと反転させて…………

 

 

「ライフ減少によりバースト発動!!…絶甲氷盾!!」

「なに!?」

「効果でライフ1つを回復し、さらにコストを支払いこのターンのアタックステップを終了させる!!」

 

 

〈ライフ2➡︎3〉トゥエンティ

 

 

発動されたのは汎用的な防御カード。ライフを回復された挙句、アタックステップまでもが強制的に終了させられてしまった………

 

 

「どうした?……オレを超えるんじゃなかったのか……?」

「くっ……ターンエンドだ……!!」

手札:2

場:【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2(2)BP11000(疲労)

【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000(回復)

【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP2000(回復)

【ミラーワールド】LV1

バースト:【無】

 

 

アスラとて別にトゥエンティのバーストを完全に警戒していなかったわけではない。バーストがあろうがなかろうがあの場は攻めるべき時だった。

 

だが自分の龍騎サバイブの強さを過信していたのも事実であるのを理解しているからこそ、このターンの強制終了は相当に応えていて………

 

 

「不相応なモノを与えられてはしゃぐなよゴミ以下。オマエはこのオレのターンで終わる……!!」

「!?」

 

 

このバトルのファイナルターンを宣言し、トゥエンティのターンが再び幕を開ける………

 

 

[ターン06]トゥエンティ

 

 

「メインステップ……再度仮面ライダージオウを召喚する」

 

 

 

ー【仮面ライダージオウ】LV2(3)BP7000

 

 

 

トゥエンティは今一度自身のライダースピリットであるジオウを呼び寄せた。

 

 

「アタックステップ!!…ジオウでアタック!!…効果でドロー!!」

 

 

召喚からアタック、ドローまでを流れるように行うトゥエンティ。だがアスラも黙って止まれたりはしない、手札からカウンターカードを1枚引き抜こうとするが…………

 

 

「あまいぜ!!…フラッシュマジック、ファイヤーウォール!!…ドラゴンヘッドを破壊し、このアタックでアタックステップを終了させる!!」

 

 

アスラの防御マジック、ファイヤーウォール。前のターンでトゥエンティが使用した絶甲氷盾と同じ効果を発揮できる………

 

しかし………

 

 

「ッ!?……なに……!?」

 

 

自分のフラッシュタイミングあったにもかかわらず、そのファイヤーウォールのカードや支払ったコアが戻って行く。

 

この光景を理解できていないアスラにトゥエンティが口を挟む。

 

 

「仮面ライダージオウは時を操る……ジオウがアタックする時、フラッシュタイミングの順序はオレ自身が決める!!」

「なに!?」

 

 

通常、フラッシュタイミングは……

 

防御側➡︎攻撃側

 

にて行われるため、本来であればアスラがトゥエンティよりも先にフラッシュタイミングを行う権利があった。

 

しかし、仮面ライダージオウがいればそのルールなど無意味。トゥエンティは自分から先にフラッシュタイミングでカードの効果を使う事が許されるのだ。

 

 

「そしてオレのフラッシュ……煌臨発揮!!…対象は仮面ライダージオウ!!」

「……煌臨……!!」

 

 

アスラより先にフラッシュタイミングを行うトゥエンティ。ソウルコアを支払い、進化に等しい煌臨を行う。

 

ジオウのベルトのバックル部にさらにもう一つ別のライドウォッチが装着され、ジオウはそれをバックルごと回転させ………

 

 

……ジオウ!!ジオウ!!ジオウ!!

 

Ⅱーー!!

 

 

ハイテンションな音声が流れると共に、仮面ライダージオウはその姿をさらに一段階強化した。

 

 

「………煌臨、仮面ライダージオウⅡ……!!」

 

 

 

ー【仮面ライダージオウⅡ】LV2(3)BP10000

 

 

 

「……オレの龍騎やロンのナイトのサバイブと同じ………さらなる強化……!?」

「その程度のライダースピリットと一緒にするな。オレのジオウは他のライダースピリットとは格が違う……!!」

 

 

トゥエンティはそう強く言い放ちながら、ジオウⅡの煌臨時効果を遺憾無く発揮させていく………

 

 

「ジオウⅡの煌臨時効果!!……手札かトラッシュにあるライダースピリットを20枚までデッキ下に戻す事で、戻した枚数2枚につき1体、BP15000以下のスピリットを破壊する!!」

「……ッ!?」

「オレはトラッシュにある6枚のライダースピリットのカードをデッキの下に戻し、オマエの3体のスピリットを破壊する!!」

 

 

様々な方法でトゥエンティのトラッシュに送られていたライダースピリットのカードが合計6枚、デッキ下へと移動する。

 

それに合わせ、ジオウⅡは自分と同じ顔が持ち手に着いていて刀身に「ジオウサイキョウ」と書かれた剣を発言させる。

 

そしてその剣を巨大化させ、アスラの場のスピリット達に時計の針を描くように一閃。その剣技に避ける術なく、ドラゴンヘッド2体と、龍騎サバイブはなすすべなくまともに受けてしまい、力尽きて爆発してしまう…………

 

 

「くっ……ドラゴンヘッド……龍騎サバイブッ!!」

 

 

アスラのマジック、ファイヤーウォールを発揮させるには自分のスピリットを1体破壊する必要がある。だがその前にスピリットを全滅させられたため、今回に限ってそのコストを払う事は不可能。

 

 

「……もうオマエに勝ち目は無い。諦めて龍騎のカードを渡せ……!!」

 

 

勝利を確信したトゥエンティがアスラに言った。

 

 

「諦めねぇ………オレはこの国で一番強い頂点王になるまで………諦めねぇぇぇえ!!!」

 

 

だがアスラは敗北がほぼ確定となった今でも勝負を捨てたりはしない。己の力を証明するため、そして師との約束を果たすため、頂点王を目指し続ける。

 

 

「頂点王……そんなに富や栄誉、名声が欲しいか!!……オレはオマエみたいに自分のためだけにバトルしてるんじゃ無い!!」

「ッ!!?」

 

 

アスラの言葉で着火させたように突然怒号を放つトゥエンティ。その想いがひしひしと伝わって来た。

 

そして確信する。トゥエンティは本当は善人で、誰かのために仕方なくライダースピリット狩りなんて非情な事を行っているのであると………

 

 

「煌臨スピリットはその煌臨元となったスピリットの全ての情報を引き継ぐ、故にジオウⅡはアタック中!!…そしてそのアタック時効果!!……デッキの枚数10枚につき1つ、赤のシンボルを追加する!!」

「ッ!?」

「オレのデッキは現在31枚、よってそのシンボルを3つ追加し、クアドラプルシンボルとなる!!」

 

 

ここに来てジオウⅡのさらなる効果が発揮され、怒涛の4シンボルとなる。

 

ブロックしたいところだが、さっきの効果でスピリットを破壊されてしまったアスラにその術は無くて…………

 

 

「………ライフだ………ッ!!」

 

 

ライフで受ける他無かった………

 

ジオウⅡはベルトのバックル部を回転させ、エネルギーを足に溜める。

 

 

………トゥワイスタイムブレーク!!!

 

 

またハイテンションな音声が流れ、その状態で跳び上がり、アスラのライフ目掛けて急降下した………

 

 

 

「………ぐぁぁ!!」

 

 

〈ライフ3➡︎0〉アスラ

 

 

3つのライフをキック一撃で全て葬り去るジオウⅡ。アスラはその衝撃と爆風により、Bパットとデッキごと吹き飛ばされ、地面に転がり込んでしまう………

 

これにより、このバトルの勝者は多くのライダースピリットを扱い、圧倒的な力の差を見せつけたトゥエンティとなった。彼はジオウの変身を解き、アスラのライダースピリット、龍騎のカードを奪うべく、地面に這いつくばっている彼の元までゆっくりと歩みを進めて行く………

 

 

「オレの勝ちだ……オマエのライダースピリットは狩らせてもらう……」

「トゥエンティ……オマエ、他の誰かのためにバトルしてんだろ!?…その誰かのためだけにライダースピリット狩りなんて馬鹿みたいな事してんだろ!?」

「オマエなどに教えてやる義理は無い……!!」

 

 

アスラはこのバトルの中で、トゥエンティの心の断片を聞いて、ライダースピリットを狙う敵であるのは承知の上で、彼自身をどうにか救い出してあげたいと考えてしまっていた………

 

先ずはなんでこんな事してるのかをちゃんと説明して欲しかった。絶対に理解し合えると思ったからだ。

 

だがトゥエンティにそんなアスラの想いは届かず、一歩、また一歩も彼の元まで近づいて行く………

 

しかし、辿り着く前にアスラを守るように現れ、トゥエンティの行手を阻もうとする人物が1人………

 

 

「待ちなさいよ顔色悪いの……ここから先は一歩も通さないわ!!」

「ッ………エール………」

「あの時のエックスの小娘か………」

 

 

その正体は他でも無い、エール・オメガだった。態度は大きいが、手足の先が細かに震えており、今にも逃げ出したい様子が伝わって来る………

 

 

「……エックスの小娘、そこに転がっているのはコモンでソウルコアも使えないゴミ以下同然の男だ。この国で最も高貴な存在であるオマエがこの世界で最も価値の無い人間を助けてなんのメリットがある?」

 

 

立ち止まったトゥエンティがエールに訊いた。

 

トゥエンティの言う通り、この国の常識的にはエックスの人間が薄汚いコモンを護る事などあって良いわけないし、それだけで処罰を下される事だって有り得るのだ。

 

わざわざ怖い思いまでしてする意味やメリットが彼としては理解できなくて…………

 

 

「確かにアスラはコモンだし、ソウルコアは使えないし、うるさいし、バカだけど………関係無い!!……コイツはこんな落ちこぼれだった私を仲間として認めてくれた、大事な存在………今まで何度もコイツの声や行動に助けられた………」

 

 

エールは恐怖で震える拳を固め、アスラとの思い出を頭に浮かべながらトゥエンティに語る。

 

最初は単なるバカだと思ってたし、頂点王なんて絶対なれないと思っていたが、一緒に旅をしていくうちに、「コイツなら絶対なる!」と確信してしまった。アスラの行動や言葉にはここまで人を動かす力があったのだ………

 

 

「だから今度は私が助ける番!!……アスラが頂点王になる日まで、私は一緒に旅を続ける!!」

「……エール……ッ」

 

 

エールの心からの叫び、想いがアスラの心にも響く。彼女は既にコモンやエックスの身分などの概念に囚われてはいない。

 

 

「助ける………そう、オレもあの子を助けるために戦っている……あの子を救い出すためならオマエらなどどうなっても構わん!!」

「ッ!!」

 

 

トゥエンティの邪魔立てするならば容赦しないと言わんばかりの言動に、デッキとBパットを構えるエール。

 

しかし、

 

トゥエンティとエールのバトルが開始されるのかと思われた次の瞬間…………

 

またしても別の誰かの声が彼ら3人の耳を通過して来た………

 

 

「よく戦った小僧………よく言ったエール………」

 

 

その男はタバコを咥えており、表情からは溢れんばかりの怒りを感じさせられた…………

 

 

「そしてオマエは何言ってんだ………馬鹿弟子!!!」

「テンドウさん!?」

「テンドウ!!」

 

 

その正体はこの国の三王の1人、テンドウ・ヒロミだった。彼にしては珍しく本気で怒りを露わにしており、その事もあってアスラもエールも驚きが隠せなかった………

 

 

「またオレの邪魔をする気か………三王、テンドウ・ヒロミ!!」

 

 

トゥエンティもまたテンドウの顔を目に映すなり怒りを露わにした。

 

力の渦が次々に交差していくユキカイ町の路地裏。

 

アスラやエールの命運や如何に…………

 

 

ー…

 

 

 

 

 

 

「んん〜〜??……アレって三王のテンドウじゃない??…むさ苦しくてタイプの男じゃないのよね〜」

「………あの顔、やはりそうか……ヤツはオメガの片割れを所持している……!!」

 

 

時同じくして路地裏が見渡せる程の大きさの建物の上にて、茶髪で筋肉質な男、オロチと、絶世の美女と言える女性が1人………

 

いずれもトゥエンティと同じライダーハンターズの1人だ。

 

 

「て言うかガッカリ〜…あのアスラって坊や全然好みの顔じゃなかった。横にいるエックスの女の子も腹立つくらい可愛いし…何アレ、化粧要らずでアレなの??」

 

 

女性の方は期待していたアスラが自分の好みの顔とはかけ離れていた事にショックを隠しきれなかった。エールの事に関しては綺麗な顔に嫉妬までしている。

 

 

「もう我慢ならねー……ちょっくら祭りを始めて来るぜ」

「ちょっと待ちなさいよオロチ!?……アンタの言う祭りは血祭りでしょうが!!…三王だっているのよ!?」

「あぁ!?…関係あるか!!」

「いや絶対関係ある!!…もうありありのあり!!って感じ」

 

 

オロチはエールの顔を認識するなり、思わずその場に行こうとするが、それを女性が食い止める。

 

 

「全く、ウィルに今回はトゥエンティに任せろって言われたわよね?…どいつもこいつも血の気が盛んのテンコ盛りの太郎なんだから……」

「……テメェの語彙はなんだ」

「まぁでも正直、トゥエンティが先にライダースピリットを集めまくるのも嫌々の嫌なのよね〜」

 

 

ライダーハンターズは誰が先にライダースピリットカードを20枚集めるかを競い合っている。

 

その中でもオロチは別に誰かを殺して、強いカードが手に入ればそれで構わないため、特にそのレースを意識してはいない。

 

しかし女性は違う。トゥエンティやオロチよりも先にライダースピリットを20枚集めて自分の願いをウィルに叶えてもらいたい。

 

 

「………ちょっとくらい邪魔してもいいわよね〜……ふふ」

 

 

彼女はそう不気味な笑みを浮かべながらBパッドを通話モードに切り替えた…………

 

 

 

 




最後までお読みくださり、ありがとうございました!!

本編のネタが尽きる事は先ずあり得ませんが、オマケのネタが尽きてきました。今後は思いつき次第やるって感じになりそうです。

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