バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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19コア「奇跡の進化!仮面ライダーグランドジオウ!!」

「おいゴゴのじいさん。そっちはどうだ。スピリットを召喚していたバトラーはいたか?」

《いや、それはこっちにもおらんかったぞ……しかもワシの目の前で突然姿を消しおった…ヤツらは何じゃったんだ》

 

 

テンドウとゴゴはお互いにBパッドの通話機能を使用し、連絡を取り合っていた。

 

北ゲートでデストロイア・幼体と呼ばれるスピリットと交戦していたゴゴ。テンドウも同様に西ゲートで戦っていたが、それらのスピリットは忽然と姿を消してしまっていたのだ。

 

考えられる理由はただ1つ………

 

 

「多分、その所有者がバトルを始めたんだろうな」

《ッ!!……そうか、じゃから他のスピリットは消えた……》

 

 

そう。それしか考えられない。

 

バトルを始めるためには一度Bパッドの上にあるカードやコアを全てリセットしなければならないからである。

 

 

「でもって、オレのとこにも、アンタんとこにもそのスピリットの所有者がいなかったって事は………」

《ま、まさかアスラのところに!?》

「あぁ、おそらくな………」

《オマエさん、アスラの電話番号はわかるか!?》

「イヤ知らねぇ。チッ……こんな事なら番号交換しとくんだったぜ……めんどくせぇ、帰って良い?」

《ダメに決まっとるだろ!?…ボケかましとる場合か!?》

 

 

そこまで会話すると、テンドウとゴゴは通話を切り、再び走り出した。今度は真反対の方向にある東ゲートへ………

 

バトルしているであろうアスラの元へ…………

 

 

******

 

 

 

ユキカイ町を「デストロイア」と呼ばれるスピリット達で破壊しに来た「不滅のダスト」と対峙するアスラとトゥエンティ。

 

何の罪もない町の人々を危険に晒したダストを許すまじと果敢にバトルに挑もうとするアスラだったが、トゥエンティはアスラに構う事なく一方的に身勝手なバトルを行なっていく。

 

さらにダストの口からトゥエンティが恋仲であるテンドウ・カナのために仮面ライダージオウを使ってライダースピリットをシルクハットの男に献上しようとしている事実も発覚。遂にテンドウに続いてアスラとエールもそれを知ることとなった。

 

そしてダストは追い討ちを掛けるかの如く、破滅を呼び寄せる魔竜、「デストロイア・完全体」をフィールドに召喚したのだった………

 

 

 

「で、デケェ……これがアイツのエースカード!?」

「あぁそうさ、僕ちゃんが持つ最強デッキの最強カードだ……これさえ出てくれば君らのライダースピリットなんてただのレアカード……意味をなさなくなる!!」

 

 

本当に世界を破滅でもさせようとしているかのような姿をしているデストロイア・完全体。その巨躯たる肉体に慄くアスラ。

 

だが龍騎のカードを守るため、ユキカイ町の人々を守るためにここは意地でも勝たなければならないと再び意志を固め直した。

 

 

「関係無い。このバトルに必ず勝ち、オレは貴様の持つライダースピリットを全てもらう!!」

「ヒッヒッ……愛しのあの娘のためだろ〜〜一途だね君は!!……アタックステップ!!…デストロイア・完全体でアタック!!」

 

 

トゥエンティの一途な想いを侮辱するように笑うダスト。

 

そして遂にデストロイア・完全体が咆哮を張り上げ出陣する。

 

 

「フラッシュでデストロイア・完全体のアタック時効果だ!!…君のジオウⅡを破壊させてもらう!!」

「!!」

 

 

デストロイア・完全体は不気味な口内から霧状の黒いブレスを発射。トゥエンティの場にいるジオウⅡはそれを浴びてしまい、たちまち爆散してしまう。

 

 

「マジかジオウⅡが!?」

 

 

その破壊に戸惑うのはトゥエンティではなくアスラだった。

 

だがその間も束の間、ダストはデストロイア・完全体の更なる効果を発揮させて………

 

 

「この効果発揮後、デストロイア・完全体を破壊する!!」

「え」

「じ、自爆!?」

 

 

ジオウⅡを破壊した途端、唐突に自らも爆散してしまった。その意味のわからない奇行、効果にアスラとエールは目を丸くする。

 

いくら強力なスピリットを破壊したかったとは言え、自身のエースカードと称するカードを自爆させる戦術は流石に拍子抜けだった。

 

 

「なんか勝手に破壊されたぞ………」

「………おそらく何かまだ効果があるはずだ」

「え!?」

 

 

冷静に思考を働かせ、そう呟くトゥエンティ。

 

ダストはその彼の言葉に対し、「御名答!!」と叫びながらデストロイア・完全体の効果を発揮させる………

 

 

「デストロイア・完全体は破壊時、トラッシュにあるデストロイア・幼体をコストを支払わずに好きなだけ召喚する!!」

「幼体!?」

 

「そうそう、つまりは分裂するわけさ!!……カモン、4体のデストロイア・幼体!!」

 

 

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

 

 

完全体のデストロイアが爆散した後の爆煙の中より現れ出でたのはそれよりサイズが遥かに劣るデストロイア達、翼はなく、スピリットとしての才能も劣るが、その数は4体。

 

アスラはその姿を見て、それらのスピリットがユキカイ町を破壊していた事を思い出した。

 

 

「あの時のスピリット………てかなんで4体!?…デッキに入れてもいい同じ名前のカードは3枚までだろ!?」

「ヒッヒッ……デストロイアにバトスピの常識は通用しない、デストロイア・幼体は何枚でもデッキに入れてOKなんだ」

「えぇぇぇぇ!?……ズル!!」

 

 

本来であれば同名カードはデッキに3枚まで、しかしこのデストロイア・幼体は何枚でも投入が可能。

 

故に完全体の効果が最大限に発揮できる。

 

だがダストが勢いに乗りかけたその瞬間、それを静止させるかの如く、トゥエンティは手札からカードを1枚引き抜いて………

 

 

「フラッシュチェンジ……第二の仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォーム!!」

「4種目のライダースピリット!?」

「この効果でBP4000以下のスピリットを全て破壊する!!……散れ、弱者!!」

 

 

トゥエンティの放ったカード効果により赤い竜巻が発生。それは瞬く間にダストのフィールドを飲み込み、デストロイア・幼体を一蹴して見せた。

 

 

「そしてこの効果発揮後にキバと入れ替える」

 

 

ー【仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォーム[2]】LV1(1)BP6000

 

 

キバの身体が粒子に変換され、再び合成すると、その姿は赤と青と白が螺旋状にカラーリングされた仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォームとなっていた。

 

 

「流石は噂のライダー狩りトゥエンティ……幼体達の波状攻撃が始まる前に手を打ったか………でもまぁそんなボロボロな状態でのバトルはいつまで持つかな??……ヒッヒッ……ターンエンド」

手札:3

場:【偽りの地下帝国】LV2

【妖星ゴラス】LV1

バースト:【無】

 

 

場のスピリットが全て消え去ったダストはそのターンをエンドとした。

 

彼の言う通り、トゥエンティは既にジオウデッキの多用によりボロボロであり、足元もフラついている。

 

 

「オレは勝つ………カナのために………ただそれだけのためにオレは全てを投げ捨てて賭けに出た」

「トゥエンティ………」

 

 

賭けとはおそらくウィルにライダースピリットを20枚献上すればどんな願いでも叶えてもらえると言う事だろう。

 

この言葉でアスラとエールはダストの言っている事が真実であり、トゥエンティがカナのためにライダースピリットを奪っている事を確信した。

 

 

「オレのターン!!」

 

 

自分のターンを始めるトゥエンティ。

 

アスラもそれに釣られてターンシークエンスを進行させて行く。

 

 

[ターン08]アスラ&トゥエンティ

 

 

「メインステップ!!……キバを再召喚!!…効果でドロー!」

 

 

ー【仮面ライダーキバ キバフォーム】LV1(1)BP2000

 

 

またアスラを無視して勝手にターンを進めるトゥエンティ。場にはキバが再召喚される。

 

 

「さらにオレは、仮面ライダービルド ゴリラモンドフォーム!!…仮面ライダーW ヒートメタルを召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダービルド ゴリラモンドフォーム】LV1(1)BP5000

ー【仮面ライダーW ヒートメタル】LV1(1)BP3000

 

 

………ゴリラ、ダイヤモンド…ベストマッチ!!

………ヒート、メタル!!

 

音声と共に、赤と白で螺旋状に構成された仮面ライダービルド ゴリラモンドフォームと、赤と銀で半身を分ける仮面ライダーW ヒートメタルが現れた。

 

 

「おぉ!!……なんかめっちゃライダースピリットいるぅ!?」

 

 

トゥエンティ自身が変身したライダーを含め、フィールドに存在するライダースピリットは全部で5体。その光景にアスラは思わず声を上げた。

 

 

「アタックステップ!!……W ヒートメタルでアタックし、コアを増やす!!……さらにフラッシュでオレの【転神】の効果!!コアを3つボイドに置き、このターンの間、BP3000のスピリットとしてバトルに参加できる!!」

 

 

炎を纏う棒を振り回し戦闘態勢に入るヒートメタル。さらにトゥエンティは追い討ちをかけるように転神の効果を発揮。これで合計5回のアタックを可能とした。

 

だが、それさえをも欺くかの如く、ダストは手札から1枚のカードを引き抜いて………

 

 

「ヒッヒッ!!……デストロイアと数で渡り合おうだなんて100万年早いよ!!……フラッシュマジック、スケープゴート!!」

 

 

ー!!

 

「この効果により、トラッシュにある紫のスピリット1体を蘇生!!……戻って来い、僕ちゃんのデストロイア・完全体!!」

 

 

ー【デストロイア(完全体)】LV1(1)BP8000

 

 

「げぇ!?…また出てきやがった!?」

 

 

紫の煙がダストの場を包み込んだかと思えば、その中より再びデストロイア・完全体が咆哮を張り上げながら姿を見せる。

 

 

「ヒートメタルのアタックはこの完全体でブロック!!」

 

 

BPは圧倒的にデストロイアが上。体格差を活かし、ヒートメタルを鷲掴みにして地面に叩きつけた。ヒートメタルは堪らず爆散してしまう。

 

 

「そしてこのバトル終了時、スケープゴートの効果で召喚されたデストロイア・完全体は破壊される!!」

「ッ……破壊」

 

 

しかし勝利した束の間、デストロイアは塵となって消滅してしまう。だがダストはその様子を見て薄ら笑いを浮かべる。

 

それもそのはずだ。何せまたしてもあの強力な破壊時効果を発揮できるのだから…………

 

 

「破壊時効果ぁ!!…トラッシュからデストロイアを好きなだけ呼ぶ!!…舞い戻れ幼体ども!!」

 

 

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1S)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

 

 

「またうじゃうじゃと……」

「どうすんだよ、これじゃキリがねぇぞ!?」

 

 

破壊による爆発の爆煙の中、再び4体のデストロイア・幼体がフィールドへと呼び出してきた。

 

 

「どうだい。僕ちゃんのデストロイアは決して死ぬ事はない。これこそ「不滅のダスト」の由来さ」

 

 

不滅の名の如く、姿形を変えて何度も蘇ってくるデストロイア。せっかく破壊してもまた目の前に現れると言うのは向かい合っているバトラーにとってかなり大きなプレッシャーを与え、疲弊の元となる。

 

アスラとトゥエンティは極限の中バトルしていると言っても過言では無くて…………

 

 

「名の由来など聞いてない。何度でも蘇るなら何度でも破壊するまでだ!!……変身したオレを含め、全ライダースピリットでアタック!!」

「ヒッヒッ……無駄さ、蘇った4体の幼体でブロック!!」

 

 

一切攻撃を仕掛けるトゥエンティ。そしてそれを阻むデストロイアの幼体。

 

スパークリングフォームはドリル状の武器を振い、

キバは鋭い爪で、

ゴリラモンドフォームは巨大な拳で、

ジオウに変身したトゥエンティは跳び蹴りでそれぞれ1体ずつデストロイアの幼体を対処していった。

 

 

「よし!!これでまた全滅だ!!」

「ターンエンド……」

アスラ手札:4

トゥエンティ手札:2

場:【仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォーム[2]】LV1

【仮面ライダービルド ゴリラモンドフォーム】LV1

【仮面ライダーキバ キバフォーム】LV1

【変身!!仮面ライダージオウ】LV2(3)

【パンドラボックス】LV2

【パンドラボックス】LV2

バースト:【無】

 

 

デストロイアの殲滅を完了させたトゥエンティはアスラの合意も聞かぬままそのターンをエンドとした。

 

次はダストのターン。デストロイアを殲滅させられたにもかかわらず、その表情は未だに余裕があり…………

 

 

[ターン09]ダスト

 

 

「メインステップ……証明してあげるよ、デストロイアをいくら破壊しても無駄だった事をね!!」

 

ー!!

 

 

アスラとトゥエンティにそう告げながら、ダストは手札のあるカードを引き抜き、それをBパッドに叩きつけた………

 

 

「このカードは召喚する際、トラッシュにあるデストロイアスピリットを7枚まで手札に戻し、戻したカード1枚につき1コスト減らす!!……僕ちゃんはトラッシュの5枚のデストロイアを手札に戻し、このカードの召喚コストをマイナス5にする!!…ネクサスのシンボルと合わせて1コストでこのカード、完全生命体デストロイアをLV1で召喚!!」

 

 

ー【完全生命体デストロイア】LV2(1)BP8000

 

 

トラッシュからデストロイアのカード達が舞い戻る。それと同時に完全体のデストロイアと全く同じ姿をしたスピリットが翼を広げてフィールドに現れた。

 

 

「そして手札から幼体を4体召喚!!」

 

 

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

 

 

「また復活………」

「トラッシュからカードを5枚回収した挙句大型スピリットを1コストで召喚!?……これじゃ何度破壊してもあのスピリットを倒せないじゃない……」

 

 

またしても全く同じ光景…………アスラとエールは何度倒しても蘇ってくるデストロイアに驚愕する。

 

 

「まだまだ!!…さらに僕ちゃんは幼体の効果発揮!!……4体のデストロイア・幼体を破壊して、完全体を召喚!!」

 

 

ー【デストロイア(完全体)】LV3(5)BP20000

 

 

集合し、密集していくダストの4体のデストロイア・幼体。

 

それらは結集、合成を果たし、再び完全体の姿となった。これにより、「完全体」と「完全生命体」……類似性のある2体がダストの場に並んで………

 

 

「……全く同じスピリットが2体かよ!?」

「ヒッヒッ……そしてトゥエンティ!!…君にはこれをプレゼントだ!!…この一撃を耐えられるかな??……手札からマジック、ゴッドブレイク!!」

「……!?」

「この効果でカードをドロー……さらに相手の創界神ネクサス1つを破壊する!!……君の変身は解除させてもらう!!」

「なんだと!?」

「ヒャァッハッハッハッハッハ!!!……死ねトゥエンティ!!」

 

 

刹那。

 

ジオウに変身したトゥエンティの周囲にいくつもの光球が出現。それらはトゥエンティに吸い付くように直撃して行き、大爆発を引き起こした………

 

 

 

「ぐっ……ぐぁぁぁぁあ!?!」

「トゥエンティーーー!!!」

 

 

バリアが身を守るバトルダメージとは違い、そのまま身体に影響を及ぼす一撃はアスラ達の想像を絶する。

 

余りのダメージによりジオウの変身が解ける。倒れそうになった身体をどうにかして振い立たせるが、足元はフラついており、今まで以上にダメージの影響を受けているのが一目でわかる。

 

 

「創界神を破壊するなんて………」

「トゥエンティ!!!…おい、大丈夫かよ…トゥエンティ!!」

「だ、黙れ………まだオレは負けてない……!!」

「ヒュー…頑張るねーーリスクのあるデッキを使い続けて、変身を強制解除に追い込まれてもまだ立ち上がる。でも良い加減限界でしょ?」

 

 

ゴッドブレイクの効果に驚愕の言葉が漏れるエール。アスラはトゥエンティの事を気にかけるが、トゥエンティはゴッドブレイクの痛みとジオウデッキの多用による痛みを堪えながら彼に悪態をついた。

 

そんな中、ダストはその光景を嘲笑うかのようにBパッドのデストロイアのカードに手を当てて………

 

 

「でもそろそろ引導を渡してあげるよ……そして君のジオウも僕ちゃんの物だ!!……アタックステップ…完全生命体デストロイアでアタック!!…さらにフラッシュタイミングでマジック、フレイムテンペストを使用!!…ソウルコアの力を使い、BP7000以下のスピリット………つまり君のライダースピリットは全滅する!!」

「ッ!!」

 

 

アタックを仕掛ける………

 

完全生命体デストロイアが走り出すと共に炎の竜巻がトゥエンティのライダースピリット達を取り込んでいき、それらをたちまち焼き尽くして見せた。フレイムテンペスト〈R〉はソウルコアさえ使えばBP7000以下のスピリットを壊滅させる強力なマジックカード。

 

 

「アタックは継続中。さらに2体のデストロイアはダブルシンボル!!…残りライフ4つの君らは終わりだぁ!!」

 

 

トゥエンティの場を一掃し、勢いづくダスト。しかし、トゥエンティは極限の状態の中でカウンターとなるカードを手札から引き抜いて………

 

 

「……ッ…フラッシュマジック、ブリザードウォール!!」

「!?」

「この効果によりこのターン、オレのライフはアタックによって1つしか減らされない!!」

 

 

吹雪の壁がトゥエンティとアスラを覆う。これより少なくともこのターンでの敗北は免れなが………

 

 

「だけど1でもダメージは食らう……行け、完全生命体デストロイア!!」

 

「くっ……ライフで受ける………ぐぁぁあ!?!」

「ぐぅっ!!」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉アスラ&トゥエンティ

 

 

完全生命体デストロイアは、吹雪の壁に恐る事なく、頭部の一角を突き出しながら突進して行き、トゥエンティとアスラのライフを1つ貫いて見せた。

 

伝播し合い、互いにダメージを受けるアスラとトゥエンティ。その中でもトゥエンティはジオウの使い過ぎやゴッドブレイクによるダメージが残る中での一撃てあったため、もはや瀕死寸前である………

 

 

「ヒッヒッ…思いの外粘るな……僕ちゃんはこれでターンエンド」

手札:1

場:【デストロイア(完全体)】LV3

【完全生命体デストロイア】LV1

【偽りの地下帝国】LV1

【妖星ゴラス】LV1

【ゴッドブレイク】

バースト:【無】

 

 

そのターンをエンドとしたダスト。この宣言とともにトゥエンティの放ったブリザードウォールの吹雪が静まり返った。

 

次はアスラとトゥエンティのターンだが………

 

 

[ターン10]アスラ&トゥエンティ

 

 

「ドローステップ!!……ドロー!!」

「………ハァッ…ハァッ……ド、ドロー………」

「ッ!?……トゥエンティ!?…おい、トゥエンティ!?」

 

 

ドローステップを行った直後、トゥエンティはこれまでの蓄積されたダメージによって遂に身体が限界を迎え、地面に横たわってしまう………

 

 

「くっ……身体が………!!」

「ヒャァッハッハッハッハッハ!!!!……やっとくたばったか!!…終わりだね!!」

 

 

その光景を目に移しながら、自身の勝利を確信するダスト。

 

だがそんな彼の目の前に立ち塞がるのは、当然トゥエンティでも無く、この世で最も最弱の設定を持つ少年だった………

 

 

「まだだ!!…オレ達はまだ諦めてねェェェー!!」

「あぁ?…何まだいたのおチビちゃん。ソウルコアも使えない君に何ができるって言うのさ」

 

 

最後まで勝負を投げないアスラ。ダストの前に立ちはだかって見せる………

 

 

「……や、やめろ……オレがいつオマエに助けろと言った……」

 

 

立ち上がる力を失くしたトゥエンティがかすれた声でアスラにそう言った。おそらく彼にとって誰かの手助けを受ける事は恥同然なのだろう。

 

 

「オマエの合意なんて知らん!!…オレが助けたいから助けるんだ!!…オマエがそれをイヤだって言うなら寝てないで立てよ!!」

「ッ!!……ふざけるな……ッ!!」

 

 

ジオウデッキによるダメージと、ゴッドブレイクによるダメージが蓄積され、立つにも立ち上がれないトゥエンティ。不本意にアスラに助けられると言う苦渋を噛み締める。

 

 

「改めてオレのメインステップ!!」

 

 

アスラはそんなトゥエンティを他所に、再びチーンシークエンスを再開させ、メインステップに入る。ユキカイ町の人々を守るため、そしてさらにはトゥエンティを助けるために溜め込んでいた手札をここらでようやく解消させていく………

 

 

「ドラゴンヘッド2体を連続召喚!!……そして来い、龍騎サバイブッ!!」

 

 

ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000

ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000

ー【龍騎サバイブ】LV3(4)BP13000

 

 

頭部と翼のみの竜と赤きライダースピリット、龍騎が現れる。

 

龍騎はベルトからサバイブのアドベントカードを引き当て、それを変化させた龍の頭部を模したショットガン状の武器に装填………

 

 

………サバイブッ!!

 

 

と言う音声と共に、その姿は一瞬にして一変し、強化形態、龍騎サバイブと化した。

 

 

 

「出た!!アスラの龍騎サバイブ!!」

「っしゃぁ!!…今回も頼むぜサバイブ!!」

「ヒッヒッ……このご時世に通常召喚しかできないスピリットが最強カードだなんてね」

 

 

龍騎サバイブの登場に期待が募るエールとアスラ。だがダストは自身で踏み倒しができないであろう龍騎サバイブを見るなり嘲笑った。

 

アスラはそんな言葉には耳を貸さず、己のターンをさらに進行させる。

 

 

「アタックステップだ!!……行け、龍騎サバイブ!!…効果で完全生命体デストロイアを破壊だ!!」

「!!」

 

 

龍騎サバイブは手に持つ銃から烈火の弾丸を放つ。完全生命体デストロイアはそれに直撃してしまい、爆散してしまう。

 

 

「この時、龍騎サバイブに赤のシンボルが1つ加算され、ダブルシンボルとなる!!」

「だからどうした!!……たかがBP13000!!…BP20000もあるデストロイア・完全体の敵じゃないよね?」

 

 

龍騎サバイブのアタックに対してデストロイア・完全体をぶつけて来たダスト。

 

そのBP差は実に7000。そう安易に超えられるモノでは無い。

 

デストロイアが口内から紫の炎を放出。龍騎サバイブはたちまちその炎に飲み込まれてしまう…………

 

 

「フラッシュマジック、ソードベント発動だ!!」

「なに!?」

「この効果で龍騎サバイブのBPを5000アップさせ、デストロイア・完全体のコア2つをリザーブへ送る!!」

 

 

ー【龍騎サバイブ】BP13000➡︎18000

 

 

「………デストロイア・完全体のLV2BPは15000……」

 

 

ー【デストロイア(完全体)】(5S➡︎3S)LV3➡︎2

 

 

ソードベントの影響で龍騎サバイブの銃口から短剣が伸びる。龍騎サバイブは銃剣と化したそれに烈火の炎を纏わせて横一閃。炎の飛ぶ斬撃を放つ。

 

その斬撃は空と紫の炎を斬り裂き、最終的にはデストロイア・完全体をも真っ二つに斬り裂いて見せた。

 

 

「そして龍騎サバイブがアタックしたバトルの終了時!!…龍騎サバイブのシンボル1つにつき、敵ライフ1つを破壊する!!」

「ッ……貫通効果!?」

「あぁ、龍騎サバイブのシンボルは赤の2つ……よって2点のダメージだ!!…行け龍騎サバイブ……メテオバレットッ!!」

 

 

龍騎サバイブはベルトからアドベントカードを1枚引き抜き、それを武器である龍の頭部を模したショットガンに装填………

 

 

………シュートベント!!

 

 

と無機質な音声が流れると、咆哮と共に赤き武装龍が姿を現し、アスラの前方、龍騎サバイブの背後へと身を置いた。

 

そして龍騎サバイブは銃から深紅のレーザーを、赤き武装龍は口内から爆炎の炎を放出。それらはデストロイアの破壊による爆発の爆煙を抉り取り、瞬く間にダストの元へと飛び行き………

 

 

「ぐっ!?」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉ダスト

 

 

そのライフに傷を付け、一気に2つを粉々に砕け散らせた。

 

 

「っしゃぁ!!…ソウルコア無しの一撃はどうだコノヤロー!!」

 

 

ようやく5からズレてくれたライフ。勢いづくアスラがガッツポーズを見せながらそう叫んだ。

 

しかし、ライフダメージを与えたとは言え、またしてもデストロイア・完全体を破壊した事に変わりはなくて………

 

 

「ヒッヒッ……いいよ、2つくらい必要経費さ!!……デストロイア・完全体の破壊時!!……今一度来い、4体の幼体!!…そして、完全生命体デストロイア!!」

 

 

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【デストロイア(幼体)】LV1(1)BP1000

ー【完全生命体デストロイア】LV2(3)BP12000

 

 

「ッ!?……今度は幼体だけじゃなくてあのデッケェのも復活しやがった!?」

「ヒッヒッ……コイツもデストロイアだからね!!」

 

 

魑魅魍魎、百鬼夜行………

 

そんな物騒な言葉でしか言い表しようが無いデストロイア軍団。復活を果たす事に強化されている節がある。

 

 

「くっ……ターンエンドだ……」

アスラ手札:1

トゥエンティ手札:2

場:【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000(回復)

【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000(回復)

【龍騎サバイブ】LV3(4)BP13000(疲労)

【パンドラボックス】LV1

【パンドラボックス】LV2(1)

バースト:【無】

 

 

「ハァッ……ハァッ……これでわかっただろゴミ以下。オマエじゃヤツには勝てん」

「トゥエンティ……立ち上がったと思ったら何勝手に決めつけてんだ!!…オマエもだろうが!!」

 

 

トゥエンティは息を切らしながらも何とか立ち上がって見せた。

 

しかし、その身体は今にでも朽ち果てそうなくらいボロボロであり、立っているのが不思議なくらいだ。そんなトゥエンティの言葉はアスラからしたらどう見ても強がっているようにしか見えなくて…………

 

そんな彼らの様子見たダストは「そうじゃなきゃ面白く無い」と不適に呟きながら己のターンを進行させて行った………

 

 

[ターン11]ダスト

 

 

「メインステップ!!……マジック、ツインフレイムを使い、ドラゴンヘッド2体を焼く!!」

「!!」

 

 

放たれた2つの火炎弾が上空で翼を広げて佇む2体のドラゴンヘッドを撃ち抜き、爆発させた。

 

これでまたアスラとトゥエンティの場にはブロッカーと呼べるスピリットは消え失せてしまい………

 

 

「さぁ!!これで本当に終わりだ!!……アタックだ完全生命体デストロイア!!」

 

 

意気揚々と完全生命体デストロイアで攻撃を仕掛けるダスト。もうすぐ自分のコレクションが増えるのが心から嬉しいのだろう。

 

だがアスラはここでも決死のカウンターカードを1枚しか無い手札から引き抜いて見せて…………

 

 

「フラッシュマジック、ファイヤーウォール!!」

「っ!?」

「効果で龍騎サバイブを破壊し、このバトルでアタックステップを終了させる!!」

 

 

龍騎サバイブが地面から吹き出して来た火柱に飲み込まれ強制的に焼却される。

 

 

「そのアタックはライフで受ける!!……ぐっ、ぐうっ!!」

「ぐぁぁぁぁあ!?!」

 

 

〈ライフ3➡︎1〉アスラ&トゥエンティ

 

 

「アスラーー!!!」

 

 

完全生命体デストロイアが豪腕を活かしてアスラとトゥエンティのライフを叩きつけ、破壊した。

 

強烈なダメージを前にアスラは膝を突き、トゥエンティは本当に力尽きたように仰向けで横たわった。アスラの窮地に、エールは思わず声を荒げる。

 

そんな中、アスラは立ち上がりながら待機状態にあったファイヤーウォールの効果を解決させる。

 

 

「ぐっ……ファイヤーウォールの効果でアタックステップは終了!!」

 

 

龍騎サバイブを焼き尽くした火柱がフィールド全体に広がり、壁を形成。これにより、少なくともこのターンでライフがゼロにされる可能性は消え失せた。

 

 

「………ターンエンド………ふざけるなよオマエら!!…さっきから僕ちゃんの攻撃を何度も凌ぎやがって!!……さっさとくたばれよ!!…さっさとオマエ達のカードを僕ちゃんに寄越せよ!!」

手札:1

場:【デストロイア(幼体)】LV1

【デストロイア(幼体)】LV1

【デストロイア(幼体)】LV1

【デストロイア(幼体)】LV1

【完全生命体デストロイア】LV2

【偽りの地下帝国】LV1

【妖星ゴラス】LV1

【ゴッドブレイク】

バースト:【無】

 

 

何度攻撃を仕掛けても倒れないアスラとトゥエンティに激怒するダスト。その口から漏れ出している言葉は彼の歪んだ性格を表しているかのようであった。

 

横たわっているトゥエンティを見る限り、おそらくはアスラの方に強く意味が込められているに違いない。

 

しかし、アスラとて守りきったとは言え絶体絶命の状況には変わりない。彼は切羽詰まった様子で横たわるトゥエンティの方へ顔を向けると………

 

 

「何やってんだよ……立てよトゥエンティ……!!」

 

 

そう告げた。しかし、今度こそ完全に力尽きているのか、トゥエンティはその言葉に対して何一つ言葉を言い返せなかった………

 

その様子を側から見ていたダストは滑稽だと言わんばかりに笑い飛ばす。

 

 

「ヒャァッハッハッハッハッハ!!!……そりゃそうだよな!?…そいつを起こして協力してもらわないと、オマエの大事なライダースピリットが取られるもんな!!…ソウルコアが使えないオマエはそいつが無いとこの世界で生きていけない雑魚だからな!!」

 

 

………違う。

 

ずっとアスラを見て来たエールは思った。アスラはそんな理由で誰かに助けを求めたりしない。

 

 

「ヒッヒッ……でも滑稽だよね〜……君もライダースピリットを持ってるからトゥエンティに狙われてるんだろ??……いわゆる天敵じゃん。そんなヤツにしがみついてまで生きようとする気分ってどんな気分〜〜??」

 

 

意地汚い目つきでアスラを視界に映しながらそう告げて来たダスト。

 

そうだ。基本的にトゥエンティを助けるメリットは、こんな状況で無ければ皆無に等しい。

 

だが、アスラは彼が言うような事は微塵も思ってなくて………

 

 

「オレは……頂点王になる」

「はぁ!?……何言ってんだオマエ!!…だから何!?…そいつを助ける理由にはならないよねーーー!!!……しかもオマエみたいなクソ雑魚が頂点王になれる訳ないだろ??……夢は現実味を持って語ろうぜおチビちゃん!!」

「理由ならある!!!……頂点王になるヤツは誰も見捨てたりしねぇ!!」

「ッ!?……」

 

 

放たれるアスラの振り絞られた怒号、覚悟。

 

その迫力にダストは思わずたじろぎ、半歩後退した。

 

頂点王なら、シイナ・メザならば決して誰も見捨てたりはしないと思い、考えているアスラは、元は善人だったであろうトゥエンティをいずれ必ず救い出そうと自然に思い至っているのだ。

 

 

「……何度も言わせんな、立てよトゥエンティ……オマエオレに言ったよな………『オレはオマエみたいに自分のためだけにバトルしてるんじゃない』って……カナさんのためなんだろ……じゃあオマエが負けたらカナさんはどうなんだよ……」

 

 

この町の人々のためでも、

 

オレのためでも………

 

もちろんオマエ自身のためでもない………

 

カナさんのために………

 

 

 

 

 

 

カナさんのために立てよトゥエンティ!!!

 

 

 

立って戦えよぉぉぉおぉぉぉお!!!

 

 

 

 

渾身とも呼べるアスラの決死の雄叫びが、壊れ切ったユキカイ町東ゲートに響き渡る。

 

そしてその声に反応するかの如く、トゥエンティの意識が微かに蘇り、彼女の名を……愛する者の名を呟いた………

 

 

「………カナ……」

 

 

そうだ。

 

オレは決めたんだ。

 

この身がどうなろうと、例えオレ自身が魔王になろうとも………

 

カナを守り抜くと!!!

 

 

ー!!!

 

 

その瞬間だった。

 

トゥエンティが決意を再確認し、極限の力を振り絞って立ち上がると、彼のデッキから赤い光が放出された。

 

その現象は紛れもなく、デッキの進化だ。おそらく彼のカナを守ると言う強い意思とそんな彼を焚きつけたアスラによる奇跡と思われる。

 

 

「オレのターンだ………」

「トゥエンティ!!……へへっ…オレ達のターンだろ?」

「………うざ。何それ……もう茶番はお腹いっぱいだよ………早く、早く僕ちゃんに負けろぉぉぉお!!!」

「あぁ、ただし、貴様の敗北で幕を下ろしてやる」

 

 

そう言いながら、アスラとトゥエンティはターンシークエンスを進行させていく………

 

 

[ターン12]アスラ&トゥエンティ

 

 

「メインステップ……仮面ライダージオウを召喚」

 

 

ー【仮面ライダージオウ】LV2(3)BP7000

 

 

トゥエンティが手始めに召喚したのは、このバトルでは2体目となる仮面ライダージオウ。

 

 

「そんなに協力を望むなら力を貸せ、アスラ!!……トラッシュから龍騎サバイブを回収しろ!!」

「おう任せろ!!……マジック、コールオブロスト!!…オレはこの効果でトラッシュからスピリットカード、龍騎サバイブを手札に戻すぜ!!」

 

 

初めてアスラの事を名前で呼んだトゥエンティ。アスラは彼の言葉に応えるように手札のマジックカードで龍騎サバイブを手札へと回収して見せた。

 

 

「はぁ!?…だから何!?……今更その程度の雑魚共でこの戦況を覆すつもりか!?」

「あぁ、容易だ。コイツを使えばな……いくぞ、煌臨発揮!!対象は仮面ライダージオウ!!」

「ッ…何!?……メインステップ中に煌臨だと!?」

 

 

トゥエンティのメインステップでの煌臨宣言。アスラでは動かすこともできないソウルコアがトラッシュに送られる。

 

フィールドではジオウが大きめのライドウォッチのスイッチを入れ、ベルトのバックル部に装着し、それを時計の針のように回転させる。

 

その直後にジオウの背後から次々と様々なライダースピリットの銅像が立ち並ぶ。その数は実に20体。彼に奪われていないアスラの龍騎さえも何故か確認できる。そしてそれは黄金の箱に収容され、宙へ踊るように飛び交って行った。

 

 

 

アドベント!

 

COMPLETE!

 

ターンアップ!

 

CHANGE BEETLE!

 

ソードフォーム!

 

ウェイクアップ!

 

カメンライド!

 

サイクロン、ジョーカー!

 

タカ・トラ・バッタ!

 

3・2・1!

 

シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

ソイヤッ!

 

ドライブ!

 

カイガン!

 

レベルアップ!

 

ベストマッチ!

 

ライダータイム!

 

 

「煌臨!!」

 

………グランドタイム! !

 

クウガ・アギト・龍騎・ファイズ・ブレイード!

響鬼・カブト・電王!キバ・ディケイード!

ダブル!オーズ!フォーゼ!

ウィザード!鎧武・ドラーイーブ!

ゴースト!エグゼイド!ビ・ル・ドー‼︎!

 

祝え! 仮面ライダー!!グ・ラ・ン・ド!ジオーウ!

 

 

 

ー【仮面ライダーグランドジオウ】LV2(3)BP12000

 

 

 

ライダースピリットの銅像達を収容した20の黄金の箱は縮小され、ジオウに装備されていく。その箱の扉は開き、黄金でできたライダースピリットの仏像のような物体に変化した。

 

そして新たに誕生したのは仮面ライダーグランドジオウ。

 

ライダースピリットを統べると言われている仮面ライダージオウの新たな形態である。そんな凄まじきライダースピリットの登場にエールとアスラは驚愕しており………

 

 

「す、すごい………」

「てか、召喚音声なっが!?……しかもさり気なく龍騎いたし……」

「どうでも良いことだ……オレに力を貸せ」

「ッ……あぁ!!…奪うんじゃなくて貸すんだったらいくらでも貸してやるぜ!!」

 

 

トゥエンティは決してアスラを認めたわけではないし、認めたくもない。いずれ龍騎も奪うつもりだ。

 

しかし、彼のその異常なまでの執着心と諦めの悪さだけは不本意ながら理解したのと同時に、このバトルでは意地でも負けたくはないため、恥を承知の上で彼の力を借りたいのだ。

 

全てはカナのために………

 

 

「……何がグランドだ!!……ただ仏像を引っ付けただけじゃないか!!…僕ちゃんのデストロイアの敵じゃない!!」

「小物が……ライダースピリットの力を侮るな」

「こ、小物だと!?」

 

 

ダストを煽るトゥエンティ。彼は徐々にその余裕がなくなって来ている。

 

そしてトゥエンティはその進化したてのグランドジオウで一気に攻め立てる。

 

 

「アタックステップ……グランドジオウでアタック!!……そのアタック時効果により、オレはアスラの手札にある龍騎サバイブをグランドジオウの煌臨元に追加する!!」

「えっ!?……オレのサバイブを!?」

 

 

発揮されるグランドジオウのアタック時効果。右腕にある龍騎の仏像をタッチすると、光に包まれながら龍騎サバイブの龍を模したショットガン状の武器が現れ、グランドジオウはそれを固く握り締める。

 

 

「龍騎サバイブの武器!?」

「あぁ、グランドジオウは全てのライダースピリットのアタック時効果をコピーできる……ここでは龍騎サバイブのBP15000以下のスピリット1体を破壊し赤のシンボルを1つ追加する効果をコピー……よって完全生命体デストロイアを破壊する!!」

「なにっ!?」

 

 

グランドジオウが龍騎サバイブの武器から同様の烈火の弾丸を放つ。完全生命体デストロイアはまたしてもその弾丸に撃ち抜かれて爆散してしまい、グランドジオウは一撃で2つのライフを破壊できるダブルシンボルと化した。

 

しかし、その一撃を通すにはまだ4体のデストロイア・幼体と言う大きな壁があり…………

 

 

「ヒッヒッ……何だ破壊しても無駄だ!!……デストロイアは不滅!!何度でも蘇る!!

「………あぁ、確かにな。散々やられて十分身に染みた………だが、スピリットは不滅でも、オマエ自身は不滅ではない!!」

「ッ!?」

 

 

トゥエンティはこのタイミングでグランドジオウの第二の効果を発揮させる………

 

 

「グランドジオウのさらなるアタック時効果!!……フラッシュタイミングで煌臨元にあるカード1枚を1コスト支払って召喚する事で敵ライフ1つを破壊する!!……オレは龍騎サバイブを1コスト支払いLV2で召喚!!…貴様にダメージを与える!!」

 

 

ー【龍騎サバイブ】LV2(2)BP11000

 

 

「ッ!?……煌臨元になったスピリットを再召喚!?………ぐぁっ!?」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉ダスト

 

 

グランドジオウが追加で龍騎の仏像にタッチすると、今度は2002と書かれた黄金の扉が出現し、そこから龍騎サバイブが烈火の弾丸を発射しながら現れる。

 

その烈火の弾丸は幼体達をすり抜け、ダストのライフのみを破壊した。

 

 

「アタックは継続!!」

「ッ……幼体でブロックだ!!」

 

 

グランドジオウの道を阻むのは4体いるデストロイア・幼体のうちの1体。幼体は鎌のような腕でグランドジオウを八つ裂きにしようとするが、グランドジオウには通じず、逆に鎌の方が折れてしまう。

 

グランドジオウはその後、ベルトを回転させ………

 

 

………オールトゥエンティタイムブレーク!!

 

 

の音声が流れると共に飛び上がり、幼体に飛び蹴りを放った。幼体はたちまち爆散してしまう…………

 

 

「ヒッ……ヒヒ……これでアタックは終わり、次のターンで………」

「次のターンはねぇ!!」

「ッ!?」

 

 

ここでダストの言葉を遮るように叫んだのはトゥエンティではなく、アスラだった。

 

そう、次のターンなど無いのだ。トゥエンティがアスラの龍騎サバイブを再召喚した時点で………

 

 

「癪だが……最後はオマエが決めろ」

「おう!!……龍騎サバイブの効果!!……ライダースピリットのバトル終了時、そのスピリットのシンボル分のダメージを与える!!」

「ッッ……そ、そうかこのために……」

 

 

………シュートベント!!

 

 

龍騎サバイブがシュートベントのカードを銃に装填すると、再び赤き武装龍が現れる。

 

 

「……いけ龍騎サバイブ………メテオバレットッッ!!」

「そんなウソだ……何かの間違いだ………この僕ちゃんが……この僕ちゃんが………うぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

〈ライフ2➡︎0〉ダスト

 

 

龍騎サバイブの銃口から放たれるビームが、赤き武装龍から放たれる火炎放射が、それぞれダストの最後のライフを破壊して見せた………

 

これによりレイドバトルは終了、ダストの敗北を告げるように「ピー……」と、Bパッドから無機質な音が流れてくる。

 

アスラとトゥエンティは見事に不滅のダストに勝利して見せた。ダストは最後の凄まじいバトルダメージを受けた事により気を失っている。

 

 

「っしゃぁ!!……どうだコノヤロー!!」

 

 

勝利に呼応するように雄叫びを上げるアスラ。単体での勝利ではなく、大半がトゥエンティのおかげと言っても過言ではない勝負だったが、それでも勝てた事は嬉しかった。

 

そのトゥエンティは敗北したダストに向けて手をかざす。すると、ジオウの力なのか、彼の懐に存在していたライダースピリットのカード達が、まるで強力な磁石に吸い込まれるかのように飛び行き、トゥエンティの手の中に収まった………

 

 

「3枚か……これで12枚………!」

 

 

このバトルのみで一気に3枚のライダースピリットを手に入れ、遂に半分を超えた事に僅かながら頬を緩める。

 

後8枚だ。

 

後8枚あればカナを病気から救い出すことができる。

 

 

「へへ、よかったなトゥエンティ!」

「ちょっとアスラ……よかったって……理由はどうあれ、コイツは人のカードを奪うようなヤツなのよ!?」

 

 

エールに説教じみた事を言われるアスラだが、「まぁ良いじゃん良いじゃん!」と言って聞き流す。

 

 

「……オマエ、オレを助けた事…後悔するなよ………今日は引き返すが、オレはオマエの龍騎を常に狙っている事を忘れるな」

「おう!!…そん時はいつでも相手してやるぜ!!…オマエも、オマエの夢のために頑張れよな!!」

「!?」

 

 

Bパッドを操作し、何も無い空間からワームホールを生み出したトゥエンティは別れ際にアスラに宣戦布告するが、何故か彼に「頑張れ」と言われた事により、若干だが動揺してしまう。

 

ライダーハンターズに入ってからというもの、恋人とは距離を置き、師には見限られたため、他の誰かに応援されるなど一度も無かったからだ。

 

 

「………」

 

 

トゥエンティはその後、無言でワームホールの中を潜って行った。そのワームホールは次第に縮小されて行き、アスラとエールだけがこの場に取り残された……………

 

 

「アスラ……テンドウにもうトゥエンティには関わるなって言われたじゃない……なんであんな応援するような言い方したのよ」

 

 

エールが半ば説教をするかのようにアスラに訊いた。

 

彼女はただ単に、誰これ構わず手を差し伸べようとするアスラが心配なのだ。

 

 

「めっちゃバカな事したっていうのはわかる………でも頂点王は…シイナだったらきっと同じ事やったさ!!……だって困っている人を放って置かないのが頂点王だから!!」

「アスラ………」

「へへ!……オレは結局、トゥエンティと違って自分の事しか考えてないんだよな!」

 

 

アスラはエールに清々しい笑顔を向けながらそう言い返した。

 

自分はトゥエンティみたいに他の誰かのために戦ったんじゃなくて、頂点王になりたい自分のために戦ったのだと………

 

エールには不思議とそのアスラの言葉がどこか重たく感じていて………

 

 

「っしゃぁ!!…暗めの話はこれで終わりだエール!!…今はあのヤローを縛り上げるぞ!!」

「ッ…そ、そうね」

 

 

切り替えの早いアスラ。バトルダメージにより気を失ったダストの方へと首を向けるが…………

 

そこにダストは存在しておらず…………

 

 

「えぇぇぇぇ!?……消えてるぅぅ!?」

「まさか逃げられた!?」

 

 

ダストは彼らのやり取りの中で密かに意識を取り戻し、逃走していたのだった…………

 

 

……ー

 

 

「ハァッ………ハァッ!!」

 

 

ここは東ゲート側、ユキカイ町の外、バトルに敗北したダストは息を切らしながらも全力で走っていた。

 

 

「あんな連中に僕ちゃんが負けるわけがない!!……そうだ、このデストロイアさえあれば何度だってやり直せる!!……ヒッヒッ……トゥエンティやあのクソチビに仕返ししてやる!!」

「むえ〜」

「……そうそう、むえ〜………ってなんだオマエはぁ!?」

「むえっ」⬅︎よっ!

 

 

トゥエンティとアスラに復讐を誓うダストだったが、その直後にいつのまにか自分の肩に乗っかっているオレンジ色の犬みたいな小動物一匹を認識してしまう………

 

それは紛う事なきムエだ。

 

 

………ー

 

 

「あのヤロー……どこ行きやがった!?」

 

 

一方アスラはエールと手分けして逃走したダストを捜索していた。残る体力も僅かであるため、正直しんどかったが、トゥエンティだけじゃなくダストまで流したとなるとテンドウになんと言われるかわからないため、こうして極限まで振り絞って頑張っていた。

 

そんな彼は今、若干雪が積もっている風原の中を歩いているのだが………

 

 

…………むえぇぇぇぇえ!!!

 

 

「っ!!……この鳴き声………」

 

 

突如として耳覚えのある鳴き声がアスラの耳の中に入って来た。

 

アスラはムエに何かあったのだと思い、その声のする方へ全力で走った。

 

そんなに遠く離れてはおらず、意外にも4、50メートル程で到着した。そしてその先でアスラが目にした光景は…………

 

 

「ムエ!!…………」

「むえ♫…むえ♪…むえ♬…むえ♩……むえ♫…むえ♪……むええぇぇぇぇ!!」⬅︎勝利の雄叫び

「え………ナニコレ」

 

 

アスラの目に映ったのは再び気を失って横たわったダストの姿に、まるでそれを自分が討伐したのだと自慢するかのように勝利の雄叫び??をあげるムエの姿だった………

 

その意味深な光景に、アスラは言葉を失った………

 

 

「まさかムエがやったのか??………いや、まさかな………」

「むえ!?」⬅︎なんだ信じないのか!?…見たいな顔してる

 

 

流石にどうやって倒したのか見当がつかないので、アスラはきっと他の誰かが倒したか、ダストが逃走中に力尽きたのだと何となく推測した。

 

 

「おい小僧!!」

「あっ…テンドウさん!!……コイツっす!!…コイツがスピリット召喚して暴れてたヤツ……」

 

 

ここでようやくテンドウが到着。彼はアスラを見つけるなり全速力で詰め寄って行き………

 

 

「エールから聞いたぞ、トゥエンティには関わるなってあれ程忠告したよな〜??」

「ギャァァァーー!!!……頭がァァァー!!?」

「何だ、言うこと聞かないのはこの頭か??…よし潰そう」

「イヤァァァーー!!!」

 

 

お仕置きと言わんばかりにアスラの頭を鷲掴みにして来た。怒りの化身と化したテンドウは凄まじい握力は凄まじく、アスラの頭はみしみしと音を立てる…………

 

 

「……それと、全部知ったんだってな……アイツの事情」

「ッ!?」

 

 

今度は鷲掴みにした頭を離しながら、そう言葉を漏らしたテンドウ。

 

彼としても複雑ではあるだろう。妹の病気を治すために悪事を働く弟子をこの手で捕らえなければならないのだから………

 

 

「アイツの裏にいるウィルとか言うちょび髭シルクハットには何かある。トゥエンティに関わるっつー事はそれと関わるのと同じだ」

「………でもオレ……アイツは放って置くことなんてできないです!!……いつか必ず救ってやりたい!!」

「……何オマエ、オレに逆らうの?……殺して良い??」

「えぇぇぇぇ!?」

 

 

テンドウの前で堂々と宣言するアスラ。トゥエンティの事情を知った今、立ち止まるわけにはいかないのだろう。

 

その決意を聞いたテンドウは再びアスラの頭を再び握りしめようと見せかけて手を「ポンッ」とその上に置くと………

 

 

「………オマエはオマエの夢だけ見てりゃいい……バカだからな」

「……??」

 

 

テンドウがアスラに掛けた一言は励まし、激励にも聞こえなくもないが、彼をトゥエンティ含めたライダーハンターズと関わらせたくない気持ちが窺える一言だった。

 

こうして、様々な感情が複雑に絡み合ってしまったこのユキカイ町襲撃事件は、多くの謎を残して行きながらも、ダストの逮捕に成功し、形としては解決したのだった…………

 

 

******

 

 

「あ〜〜あ……ダストちゃん捕まっちゃった!!……これでもう刑務所行きでおわおわのおわじゃない。結構気に入ってたんだけどな〜…お粗末様」

 

 

今までの一連の騒動の引き金でもあり、尚且つそれらを遠くから視認していた2人のうちの1人、ライダーハンターズの絶世の美女が黒くて長い髪を指でくるくると回しながらそう呟いた。

 

言動が適当である事から察するに、ダストは捨て駒としてしか見ていたのがわかる。

 

 

「結果的にトゥエンティを強くしちゃった気がするけど………まっそれはよしよしのよしって事で!!……そんじゃ帰るわよオロチ」

「あぁ……へっ…ソウルコアが使えないガキにオメガの片割れ、やっぱ面白れぇラインナップじゃねぇか」

 

 

もう1人の茶髪で筋肉質な男性、オロチがそう呟いた。

 

 

「………いずれ殺して……奪ってやるよ、その力をな……」

「別に殺すのは勝手だけどさ〜あ……奪ったライダースピリットは私にプレゼントしてよね!!……アンタはライダースピリット使えないし、ウィルに願いを叶えてもらう事にも興味無いんだからさ!」

「あぁ…構やしない、オレは戦えればそれで良いからな……ところでイバラ、オマエあの主任に何を叶えてもらうんだ……?」

「あら何??……私に興味があるのかしらオロチ」

 

 

ライダーハンターズの絶世の美女の名は『イバラ』……

 

オロチはトゥエンティの願いは知っていたが、彼女の願いは知らなかったので、興味本心でさり気なく聞いてみた。

 

 

「割と言ってたとは思うんだけどね〜……私の願いは永遠の若さ……ただそれだけよ♡」

 

 

ライダーハンターズはオロチが願いを叶える事に興味がないため、実質トゥエンティとイバラの1on1である。

 

トゥエンティはカナのため、イバラは自分自身のため、今日も誰かの大切なライダースピリットを力づくで奪い去っていく………

 

 

 

 

 




《キャラクタープロフィール》
【トゥエンティ】
性別:男
年齢:22歳
身長:168cm
身分:レア
使用デッキ:【仮面ライダージオウ】
好きなモノ:カナ
概要:ライダーハンターズの1人で、最も多くのライダースピリットを得ている強者。圧倒的な実力とデッキの戦力差でアスラとロンを叩きのめした事もある。非情なライダースピリット狩りをやっているのも、すべては恋人であるテンドウ・カナのため。


《用語設定》
【仮面ライダージオウ】
トゥエンティの所有するライダースピリット。彼がライダーハンターズ加入当時にウィルから手渡された。通常ではあり得ない複数のライダースピリットをデッキに入れられるなど、強力な力を持つが、使い過ぎると身体に影響を及ぼす。


******


最後までお読みくださり、ありがとうございました!!

前回告げました『コラスト人気投票』は次回の更新から受け付けます。(その時に説明もします)

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