バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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王蛇篇
22コア「プロローグ"頂点王”生誕」


これは、生まれながらにソウルコアが使えない少年、アスラの物語が始まる約10年前のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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冬の季節、その日は粉雪もパラパラと降り続けていて、肌寒かった。

 

しかしながらこの日は………

 

私にとって運命の出会いとも言える日だったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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季節は冬。粉雪がゆっくりと降っていて、とても肌寒い。

 

旅の途中で隣国に来ていた当時10歳のシイナ・メザはその隅っこにあるとある村にて、籠の中で泣きじゃくる生後間もない2人の赤ん坊を眺めていた。おそらくは捨て子だ。

 

 

「………兄弟??………じゃないか、顔が似てない………それに」

 

 

もう片方の赤ん坊はカードを握っていた。バトスピのカード、それも希少なライダースピリットのカードだ。それだけでこの赤ん坊がどれだけこの世で異端な存在か理解できる。

 

 

「ふむ。名前はアスラにロンか、良い名前だな………オマエ達、このままここにいても凍死するだけだし、いっそ私に育てられてみるか??」

 

 

ライダースピリットのカードを握る赤ん坊の名はロン。そうじゃない方はアスラという名前が籠に記載されていた。

 

10歳とは思えないシイナの言動。彼女は偶然見つけたという成り行きだけでその2人の赤ん坊を育ててみることにした。

 

最初は本当にただの成り行きだった。このまま放っておけば赤ん坊は凍死で絶命してしまうからだ。みすみす見て見ぬふりは出来なかっただろう。

 

しかし、その後にこの赤ん坊達のためだけに自分が隣国の最強の存在になってしまうなど、当時、その赤ん坊達はもちろんの事、彼女さえ知る由がなかった事だろう………

 

 

******

 

 

 

そこから時は流れ、5年後、季節は春。時間帯は早朝。

 

ある古家の一つ部屋に日差しが差し込んで来た。そこで寝ているのは15歳になったシイナ・メザだ。目覚ましを設定したBパッドと言う端末がジリジリと音を立てているにもかかわらず、いびきをかきながらぐうたらと居眠りを続けていた。

 

 

「おぉ〜〜いい!!…おっきろーーー!!」

「ぐへぇっ!?」

 

 

灰色のツンツン頭をした小さな男の子が元気よくシイナの上に飛び乗ってきた。お腹に男の子の体重がのしかかって思わず変な声が出て来る。

 

そしてその元気はつらつな男の子の横ではもう1人大人しそうな男の子も確認できる。

 

 

「いったた……なんだい朝っぱらから喧しいじゃないか、いつもの事だけど………」

「んだよーーー!!…シイナがオレ達にバトスピ教えてくれるって言ったじゃんか!!」

「だからってなーアスラ、アンタもうちょっとロンみたいに落ち着きのある感じになれない?」

「でもシイナ、寝坊はいけない」

「おぉ……相変わらずロンは一言キツイ………」

 

 

5年の月日が流れ、2人の赤ん坊は5歳の男児へと成長していた。

 

元気の有り余ったツンツン頭の男の子はアスラ。

 

クールな性格で黒髪で癖毛の男の子はライダースピリットのカードを握りしめていたロンだ。

 

 

「はいはい。子供より寝坊助で悪かったよ………ふふ、そんじゃ支度して外に出ますか!!」

「おおっ!!…やったーー!!」

 

 

シイナがそう言うと、アスラとロンは嬉しそうに口角を上げた。遂に念願のバトルスピリッツができるのだ。きっと楽しみで仕方がなかったのだろう………

 

 

ー…

 

 

最も身分の低いコモンの人々のみが住う、国の隅っこに存在する村、スーミ。そこに彼らは住んでいた。捨て子であるため、厳密にはどうかはわからないものの、分類上はアスラとロンも最底辺の身分であるコモンと言う扱いになる。

 

そしてその村の広場にてBパッドと呼ばれる端末をバトル台として展開するアスラとロン。

 

2人の初めてのバトルスピリッツが既に幕を開けていたのだった。シイナはその様子を微笑ましく眺めている。

 

 

「召喚……仮面ライダーナイト!!」

 

 

5歳のロンがBパッドにカードを置くと、目の前に紫のライダースピリット、仮面ライダーナイトが姿を見せる。普段は落ち着きのあるロンも今回ばかりはその勇姿に高揚し、感動に胸を打ち鳴らしていた。

 

 

「おっ!!…ライダースピリットの召喚、上手くできたじゃんか!!……普通は選ばれるだけでも大変なのにな〜……ロンはきっと強いバトラーになれるよ」

「………!」

 

 

シイナにそう言われて嬉しそうに頬を緩めるロン。実際に本当に才能はある。出なければ仮面ライダーナイトはロンのBパッドに反応すらしないであろう。

 

しかし、それに比べて片割れのアスラは…………

 

 

「な、なぁシイナ………オレのBパッド壊れてんのかな……ソウルコアが無いんだけど………」

「ん?」

 

 

いつも元気が凄まじいアスラがらしくもなく青ざめた表情でそう告げてきた。

 

基本、通信機器からバトル用の台までこなすBパッドは頑丈にできている。実体化するスピリットの攻撃にだって耐えてしまうのだ。どんな衝撃を受けても故障なんて一生に一度あるか無いか程度であるはずなのに………

 

 

「………ホントだ。無いね、ソウルコア……」

「だろ!?…壊れたんだよ!!」

「うーーーむ……考えづらいけど……まぁしょうがないか、じゃあ今日は私のを使ってみる?」

「マジ!?…サンキュー!!」

 

 

そう言いながら今度はシイナのBパッドを使ってバトルを始めようとするが……………

 

 

「……アレ、ソウルコア………無い」

「……………」

 

 

そのシイナのBパッドからも出てくるはずのソウルコアは無く、通常の青色のコア4つのみであった。

 

流石にコレはシイナも不可解に感じ始める。今度はロンのBパッドで試してみると、やはりアスラが使うとソウルコアは発現しなかった………

 

 

「ど、どう言う事だよォォォー!!!…なんでオレが使うとソウルコアが出ないんだよぉぉぉお!!」

 

 

信じられない現象だった。

 

子供だろうが女性だろうがBパッドさえ使えば息を吸うように出せるはずのソウルコアがこのアスラには使えないのだ。

 

それはこのバトルスピリッツ絶対主義の世の中において、あまりにも大きすぎるハンディだ。身分も最も低いコモンである事から、アスラはおそらくこの世界で最弱のカードバトラーと言えるのかもしれない。

 

 

「………ひょっとしたらアスラは先天的にソウルコアを作り出せないのかもしれない」

「え?」

「本来、人はコアを生み出せる。それを最適化できるようにするのがこのBパッドなんだけど、もしかするとアスラはそのコアを生み出す力が他の人よりも弱いかもしれない」

「………そ、それって、頑張ったらソウルコアを使えるようになるって事だよな!?……そーなんだよなシイナ!?」

「………確証は無い………」

「!?」

 

 

齢5歳と言う年齢には衝撃的過ぎるシイナの言葉。

 

しかしそうとしか言えない。このままウソをついてもアスラのためにならない事を彼女は知っているのだから………

 

 

「お、オレは………オレはそんなの信じねー!!……ソウルコアが使えないなんてバカみたいな話、信じられるかよッ!!」

「ちょっ、アスラ!?」

 

 

突きつけられた現実を受け入れられず、自分のBパッドを抱きしめながらシイナとロンの元を走り去っていくアスラ。

 

その後、まるでアスラの心の中を表しているかのように雨が降り始めた……………

 

この雨の中、走り去って行くアスラの背中を目に映しながらシイナはある事を考えていた…………

 

アスラとロンは最も身分の低いコモンだ。この国で最も軽蔑される存在。しかもライダースピリットを持つロンならともかく、ソウルコアが使えないというアスラは尚更身分の高いマスターやエックスの者達からゴミを見るような目で見られるに違いない………

 

 

しかしながら、このアスラの謎めいた病気が発覚した直後、シイナはある決意を固めた。

 

 

自分はバトルが強い。

 

神に天賦を与えられたのではないかと疑う程、異常に強い。

 

屈強の強者に化物と言われる程に強い………

 

だが、これを表向きな場所でひけらかすのは好まない。

 

しかし………

 

この子達の希望になれると言うのであれば話は別だ…………

 

 

 

 

 

 

 

ー…

 

 

 

雨が降り続く。

 

アスラは村を飛び出し、1人森の中でBパッドをバトルモードで展開していた。

 

当然、その中にソウルコアは無く、この世の終わりのような表情で固まっていた。無理もない。楽しみにしていたバトルスピリッツでソウルコアが使えないと言う奇怪な病が判明したのだから………

 

齢5歳の少年にはあまりにも辛すぎる現実だ。

 

しかしそんな時だ。突然雨が当たらなくなった。シイナがアスラを傘に入れてあげたからだ。そのすぐ横では同じようなボロ傘を持つロンも窺える。彼もまたアスラ同様に寂しそうな表情をしていた。

 

 

「風邪ひいちゃうぞ」

「うるせー……風邪なんかひいたことねーよ」

「バカは風邪をひかないからね。私もないし」

 

 

生まれながらにソウルコアが使えない少年アスラ。幼馴染にして生まれながらに希少なライダースピリットに選ばれていたロンとはえらく差がある。

 

シイナも5年前に拾ったあの2人の赤ん坊にここまで恵まれ方に違いがあるとは思ってもなかっただろう。

 

 

「………泣くなよ。男だろ?」

「泣いで………ねぇよッ!!」

 

 

シイナに抱きしめられるアスラ。その目には大粒の涙がこれでもかと溢れかえっていた…………

 

 

「なぁアスラ、ロン………頂点王って知ってるか?」

 

 

アスラが涙を拭った直後、シイナが幼馴染の2人に聞いた。

 

 

「知ってるよ……この国で一番強いバトラーの事だろ」

「………」

 

 

アスラがそう答えると、ロンも同意するように頷いて見せた。

 

そう、頂点王とはいわゆるこの国のチャンピオン。

 

バトスピの色事に存在する合計6人のカラーリーダーを倒し、

 

『ライダースピリット』『デジタルスピリット』『モビルスピリット』の世界三大スピリットをそれぞれ操る3人の三王を倒してようやく頂点王になる事ができる。

 

 

「あぁ、そうだ。それが頂点王。私が元いた国にもあった………私がこの国で頂点王になってやる!!…アンタ達は頂点王になった私に挑んで来い!!」

 

ー!!

 

 

シイナの突然の発言にアスラとロンは驚いた。

 

子供でもわかる事実。三王が強すぎて誰もこの国で頂点王に輝いた者はいないのだ。

 

 

「む、無理だ!!……なれるわけねぇ!!」

「う、うん……」

 

 

アスラがそう言うと、またロンも頷いて見せる。この国で一番身分の高いエックスの者達が主に三王を務めているのだ。コモンの少年達からすれば勝てると思う方がどうかしている。

 

しかしシイナはそんな様子を目に映しながらも笑って見せると………

 

 

「いいか、アスラ、ロン!!……バトスピってーのは強いカードだけでやるものでも、身分だけでやるものでも、ましてやソウルコアでやるものじゃない………諦めない心でやるもんだ!!」

 

ー!!

 

「強くなりたいなら、諦めるな!!」

 

 

彼女がそう告げると、今度は彼女の心を表すかのように雨が上がって日の光が森の木々を突き抜けて差し込んで来た。

 

そして次の日の朝方、シイナ・メザはスーミ村を発った。全ては最強の頂点王になってアスラとロンの希望になるために………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この年、最年少である15歳で最強の三王の座に着いた者がいた。

 

名はエレン・オメガ

 

最も身分が高いエックスであるオメガ家の長男として生まれ、僅か10歳でその才能を開花。三王になるための試験の数々をクリアしていき、遂に15の歳でモビルスピリット使いの三王としてこの国の上に立った。

 

また、母はデジタルスピリットの三王であり、彼はそんな母を尊敬していた。

 

 

ただ、そんなある日だ。三王として事務作業をこなしている時、自分のBパッドから一件の電話が舞い込んで来た。エレンは何も気にする事なく、その通話に応じる。

 

 

「エレン・オメガだ。用件を早く言え」

 

 

身分が最上位な事もあってえらく尊大な態度で問いかけるエレン。

 

 

〈おっ…出た出た、エレナさんに教えてもらった番号通りだったな〉

「??」

 

 

Bパッド越しに聞こえてきたのは自分とあまり歳が変わらないくらいの少女の声。エレンはエックスで尚且つ三王である自分を前にしているにもかかわらず、その少女はかなり余裕のある声だと感じ、腹を立てつつも、その内容を気に留める………

 

 

「誰だ貴様は、まるで母上から余のBパッドのアドレスを聞いて来たかのような口振りだな」

 

 

そう、その少女の口から出た「エレナ」とは、紛れもなく現オメガ家当主「エレナ・オメガ」の事であり、デジタルスピリットの三王にしてエレンの実の母親だ。

 

そしてエレンのその返答を受けるなり、少女は鼻で「フッ」と笑って見せると………

 

 

〈そりゃまぁ勝ったからね、残る三王はアンタだけだぞ、ストライクガンダムのエレン!!〉

「な、何!?……貴様、他の三王を……母上を倒したと言うのか!?」

 

 

その言葉に驚愕したエレン。

 

無理もない。

 

三王に勝てる者などこの世にほとんどいやしない。それにエレンは他2人の三王の実力を知っている。負けるところなど想像もできないのだ。

 

 

〈まぁね、エレナさんもそうだけど、テンドウとか言う老け顔もまぁまぁ強かったな。それなりに骨は折れたよ〉

「信じられん……貴様みたいな子供が三王を倒すなどと………」

〈残念ながら異邦人の私は三王塔に入れなくてね、て言うか門前払いでね……頑張って裏に呼んで1人ずつボコして来たよ〉

「貴様もテンドウと同じ異邦人か………」

〈あぁ、国は違うけどね〉

 

 

三王塔とはこの国の最大都市オウドウ都の中心にある三王達が挑戦者達を待ち構える塔の事であるが、

 

余程特別ではない限り異邦人は立ち入る事ができない。そのため、少女は事前に知り合っていたテンドウから1人ずつ呼び出して倒して来た。そしてそれもラスト3人目。モビルスピリット使いのエレンだけだ。

 

 

〈今から私が指定する場所に来い。そこでバトルと行こうじゃないか……この国の頂点王の座はいただくよ……〉

「お、おい待て!!」

 

 

エレンがそう言い切る前に通話は途切れてしまい、指定された住所のみがBパッドに記されていた。

 

 

「くっ……異邦人が頂点王だと!?……ふざけるな、そんな馬鹿げた事はこの余が認めん!!」

 

 

ただでさえ異邦人であるテンドウ・ヒロミがこの国のライダースピリットの三王を務めているのだ。初代頂点王までもが異邦人にさせてはなるまいと言う気迫のまま、エレンはだだっ広い三王の間を飛び出して行った………

 

 

******

 

 

「ここか………」

 

 

エレンが少女に呼ばれた場所は、今では使用されていないバトルスタジアム。その当時はここで盛んにバトルスピリッツが行われていたのだが、今となっては単なる古びたスタジアム跡地。

 

エレンはそこの錆び切った扉を強引に開くと、その先から漏れ出した光へと足を踏み入れる。スタジアムの中央にはオレンジ色の長い髪を靡かせる1人の少女がいた。

 

彼女が自分を呼び出した張本人だと言う事は見るより明らかな事実であって………

 

 

「よく来たな。私はシイナ。改めてよろしくな、三王エレン」

「貴様みたいな年端も行かない小娘が本当に母上とテンドウを倒したと言うのか?」

「年齢は15、アンタとおんなじだ。何度も言わせんなって。今度聞けよ……本当だからさ」

 

 

15歳と言えばちょうどカラーリーダー達に挑戦できるようになった年齢。

 

信じられない。こんな短期間でカラーリーダーはおろか三王を2人倒したなど。まだ2ヶ月も経っていないはずだ。もしそれが事実であるのであれば彼女は紛う事なき化物だ。

 

 

「そんじゃいっちょやるか……これでようやくラストだと思うと気が楽になるな」

「舐めるなよ小娘如きが。この余を軽んじた罪を思い知るがいい」

 

 

そう言い合い、睨み合いながら、2人はバトル用端末、Bパッドをその場でバトル台として展開。これにより、ここら一帯は限定的なバトルフィールドと化した。

 

そして2人はそのBパッドの端末の上にデッキを置くと、それに合わせてコアが出現。その中にはバトル中にたった一つしか使えない貴重なコア、ソウルコアも確認できる。

 

だが……………

 

 

「さーーてと、アンタはどこまで耐えられるかな?」

「……なに!?」

 

 

エレンは見た。

 

シイナが偉そうな態度で物事を喋ってくると共に大事なコア、ソウルコアを地面に投げ捨てた。Bパッドのコアはデータの塊であるためか、そのソウルコアは落ちた衝撃でたちまち消滅してしまう。そしてその代わりと言わんばかりに彼女のBパッドには4つ目の通常コアが出現した。

 

これにより、シイナは少なくともこのバトル中はソウルコアを使えないことになる………

 

その奇怪な行動にエレンは目を丸くしており…………

 

 

「な、何をしているのだ?」

「何って、見たらわかるだろ。ソウルコアの代わりに普通のコアを用意したんだよ。ちょうど良いハンデだろ?……私の息子が生まれながらにソウルコアが使えなくてさ、これを使わなくても三王に勝てるって事を今のうちに証明しておこうと思って」

 

 

確かに、ルール上は何の問題もない。

 

ソウルコアを放棄する代わりに4つ目の通常コアでバトルを行う事ができる。

 

だがそんな事、基本的に何のメリットもない。寧ろデメリットの塊である。当然だ。バトルにおいて必須とも言える便利なソウルコアが使えなくなるのだから………

 

普通のカードバトラーならば最初から敗北を宣言しているのと同じだ。

 

 

「き、貴様は……エックスであるこの余を……この三王エレンを………」

 

 

シイナにとって、これは証明に過ぎない。ソウルコアが無くても三王にだって勝てる。頂点王になれると、アスラのために勝手に納得したいだけだった。

 

 

「ナメているのかァァァー!!!」

 

 

ー!

 

 

エレンの怒声により、古びたスタジアムが軋む。通常のバトラーならばその迫力で卒倒してしまうだろうが、このシイナは平然とした様子でその場に佇む。

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

そしてそんな中、シイナが頂点王になるための最後の試合がコールと共に幕を開けた。

 

先行は三王エレンだ。シイナに対しての怒りをぶつけるかの如くターンシークエンスを進めていく………

 

 

 

[ターン01]エレン

 

 

「メインステップ、現れろM1アストレイ!!」

 

 

 

ー【M1アストレイ】LV1(1S)BP2000

 

 

 

エレンが呼び出したのは世界三大スピリットであるモビルスピリットの1体。細身のフォルムにビームガン、盾を装備したM1アストレイが姿を見せる。

 

 

「ターンエンド。異邦人の分際でこの三王エレンに立てついた事、後悔するがいい」

手札:4

場:【M1アストレイ】LV1

バースト:【無】

 

 

やれる事を全て終え、そのターンをエンドとしたエレン。次は挑戦者であるシイナのターン。ゆっくりとターンシークエンスを進めて行く。

 

 

[ターン02]シイナ

 

 

「メインステップ……2枚のネクサス、ディーアークとデジヴァイスを配置してターンエンド」

手札:3

場:【ディーアーク】LV1

【デジヴァイス】LV1

バースト:【無】

 

 

刹那、シイナの腰に手のひらサイズの小さな2つの機械が取り付けられる。エレンはそのカードを視認するなり、またしても彼女に対して怒りを募らせていて………

 

 

「……デジタルスピリット専用のネクサスカード……貴様、デジタルスピリットのデッキで母上を………くっ!!オメガ家を愚弄するのもいい加減にしろ!!」

「フッ…アンタのお母さんは強かったよ。この私と張り合えたデジタルスピリット使いなんてそうそういなかったからね」

 

 

シイナはデジタルスピリットの使い手だ。そのデッキでデジタルスピリットを司る三王エレナに勝利したのだと考えて仕舞えば、その息子であるエレンの悔しさは計り知れなくて………

 

 

 

[ターン03]エレン

 

 

「メインステップ!!2体目となるM1アストレイを召喚!!」

 

 

ー【M1アストレイ】LV1(1)BP2000

 

 

 

エレンの場に全く同じ機体が並ぶ。

 

 

 

「最初に召喚したM1アストレイの効果!!…ターンに一度、モビルスピリットが召喚された事により、ボイドからコア1つをこのスピリットに置く!!………余はこれでターンエンド」

手札:4

場:【M1アストレイ】LV1

【M1アストレイ】LV1

バースト:【無】

 

 

「どうした?…私の場はガラ空きだぞ。私の事がムカつくなら攻めて来たらどうだ?」

「黙れ下郎!!…いいから早く己のターンを進めろッ!!」

 

 

エレンとて直ぐにあの小生意気な小娘に攻撃を仕掛けたかったことだろう。

 

だが、今現在、場に存在するM1アストレイは攻める用のカードではない。様子見や手堅くコアと手札を固めるためのスピリットだ。下手にアタックして敵に塩を………いや、コアを送るより、ブロッカーに回す方が先決だ。

 

このアタックを行わない判断は、エレンが怒りを募らせながらも冷静でバトルに当たっている何よりの証拠でもあって…………

 

 

[ターン04]シイナ

 

 

「メインステップ………と、アタックステップは何も無しだ。ターンエンド」

手札:4

場:【ディーアーク】LV1【デジヴァイス】LV1

バースト:【無】

 

 

「………は?」

 

 

そのターンをほとんど何もせずに終えてしまったシイナ。その有様にエレンは思わず呆けてしまう。仮にも他の三王を倒した者が一度のターンを無駄にするようなプレイングをすると思えなかったからだ。

 

 

「あれ?…聞こえなかったか?…ターンエンドだ。ほれ、さっさとシークエンスを進めなーーー」

「貴様………どれだけこの余を小馬鹿にすれば気が済むのだ……ッ!!」

「頂点王からの大事な1ターンだ………有意義に使えよ」

 

 

 

『頂点王』と言う発言から、既に自分が勝った気でいるのが伺えるシイナ。

 

そんな彼女から異端さ、異常さを感じつつも、それよりも先に怒りがどうしても込み上げてくるエレン。彼女を叩き潰すべく、己のターンシークエンスを進めて行く…………

 

 

[ターン05]エレン

 

 

「メインステップ!!……ならば望み通り有意義に使わせてもらおう!!……発進せよストライクガンダム!!」

 

 

ー【ストライクガンダム】LV2(2)BP6000

 

 

 

「おっ、出たかキーカードの1枚」

 

 

エレンがBパッドに向かってカードを叩きつける。そしてその場に現れたのは新たなるモビルスピリット。ストライカーパックと呼ばれるブースターを背中に装備しているストライクガンダムだ。

 

 

「この瞬間、2体のM1アストレイの効果!!…ストライクガンダムの召喚によりコアを1つずつ追加!!……さらに上に置かれたコアをストライクガンダムに移動させる!!」

 

 

M1アストレイ2体分の効果も起動され、コアが大きく動き出して行く。

 

 

ストライクガンダム…………

 

それは何の変哲もない普通のモビルスピリットの1枚だが………

 

自分の一族のカード、即ちオメガのカードを持たない彼が唯一見出したカードだ。彼はそのカードと共に強気者が集うエックスの中で恥とも呼べる努力を積み重ねて来た。

 

それ故、彼は強くなれた。恥を忍んで積み重ねて来た努力で15歳と言う若さでこの国の三王たる者にまで登り詰めた。

 

ストライクガンダムとはまさしく彼の魂そのモノであると言える。そしてそのストライクガンダムを軸に、今年だけで多くの挑戦者達を薙ぎ払って来た…………

 

今回も………そう思いながら、エレンはメインステップからアタックステップへと移行した。

 

 

「アタックステップ!!…攻撃せよストライクガンダム!!…効果によりコア1つをこのスピリットに追加!!」

「ほぉ、まだコアを貯めるか、飽きないねーーー」

 

 

ストライカーパックを起動させ、ストライクガンダムが動き出す。低空飛行で翔ける中、余裕の表情を浮かべ続けるシイナに対し、エレンはこのタイミングで手札に存在するあるカードを切った………

 

 

「ストライクガンダムがアタックした時、手札にあるエールストライクガンダムの【換装:ストライカーパック】を発揮!!」

「!?」

「効果により、ストライクガンダムとこのカードを回復状態で入れ替える!!」

 

 

 

ー【エールストライクガンダム】LV3(4)BP8000

 

 

 

ストライクガンダムに赤きシールドと、長めのレーザー銃が装備される。

 

これがストライクガンダム特有の【ストライカーパック】の効果。ライダースピリットの【チェンジ】さながらの効果をアタック時と言う早いタイミングで発揮できるのが強み。

 

 

「へーーー…回復状態でね、つまりこのターン2回殴れるって事か」

「貴様に発言権は無い!!…これで決める!!…フラッシュ煌臨を発揮!!…対象はエールストライクガンダム!!」

「……!!」

 

 

まだまだ続くエレンの怒涛のカード捌き。次なるはゲーム中1つしか所持できない貴重なコア、ソウルコアを払っての効果発揮だ。

 

エールストライクガンダムの頭上から別の機体が光となりてエールストライクガンダムと重なり合う。

 

 

「現れ出でよ!!…フリーダムガンダムッ!!」

 

 

 

ー【フリーダムガンダム】LV3(4)BP13000

 

 

 

 

体中に纏う光の粉を振り払いながらエールストライクガンダムの代わりに姿を現したのは、彼のデッキのエースカード、白のボディに青い機械翼が特徴的なモビルスピリット、フリーダムガンダム。

 

ストライクガンダムと共に彼のデッキを支えている1枚だ。

 

 

「煌臨時効果は貴様の場にスピリットがいない事により不発となるが、アタック時効果は発揮される!!…アタックしたバトルの終了時に追加でライフ1つをトラッシュに置く!!」

「……!!」

 

 

つまりは2点だ。

 

このフリーダムガンダムはブロックさえされなければ、相手に2点のライフダメージを与える事ができる。

 

 

「さらに煌臨スピリットはその煌臨元となったスピリットのすべての情報を引き継ぐ!!…アタック中に回復したフリーダムガンダムはこのターン2度の攻撃が可能!!」

「成る程、フリーダムガンダムの二撃で4点。M1アストレイで殴って1点………全部が通れば私の負けって事か」

「察しが良いな……これで終いだ!!……異邦人の貴様が頂点王になってはならんのだ!!」

 

 

一度のターンでシイナの全てのライフを破壊するプランを事前に練っていたエレン。しかし、シイナはそんな彼のプレイングを嘲笑うかのように手札のカードを1枚引き抜いて見せた………

 

 

「フラッシュマジック、リアクティブバリア」

「何!?」

「白使いだったらわかるよな?…このアタックの終了がこのターンのエンドだ………フリーダムのアタックはライフで受ける……ッ」

 

 

〈ライフ5➡︎4➡︎3〉シイナ

 

 

迫りくるフリーダムガンダム。その手にビーム状のジャベリンを握り、二連撃でシイナのライフを斬り裂いた。

 

しかしその瞬間。あたり一帯はたちまち猛吹雪と化してしまい、2体のM1アストレイはおろかフリーダムガンダムでさえ身動きが取れなくなってしまう………

 

 

「くっ……防御札を握っていたか……ターンエンドだ」

手札:3

場:【フリーダムガンダム】LV3

【M1アストレイ】LV1

【M1アストレイ】LV1

バースト:【無】

 

 

エレンのエンド宣言により、吹雪は晴れ上がり、再びお互いの顔を認識できるようになる。その瞬間に垣間見えたシイナのドヤ顔がまた彼の鼻に付く。

 

 

[ターン06]シイナ

 

 

 

「メインステップ……さてと、そろそろ動き出しますか」

 

 

そう言いながら、シイナは手札のカードをBパッドに置いた。おそらくはスピリットカード………

 

その正体は………

 

 

「私はブイモンを召喚する」

 

 

 

ー【ブイモン】LV2(3)BP4000

 

 

 

彼女の場にようやく現れたスピリットカード。

 

それは小さな青き竜、成長期のデジタルスピリット、ブイモン。

 

 

「……やはりデジタルスピリット……」

「召喚時効果、カードを2枚オープンして対象のカードを手札に加える……よし、成熟期のスティングモン。よってこのカードを手札に加える」

 

 

ブイモンの召喚時効果により、シイナは手札に新たにカードを呼び込むが………

 

 

「だがそこで、M1アストレイの効果発揮!!…貴様が己のターンで手札を増やした時、カードを1枚ドローする」

「!!」

「そして今回はそれが2体分発揮され、計2枚のカードをドロー!!」

 

 

ここに来てM1アストレイの第二の効果が発揮される。エレンはなくなりかけていた手札をここで増加させて見せた。

 

しかしシイナはその効果に対しても「なるほど〜」と余裕の表情で微笑むと、ブイモンの追加効果を発揮させた………

 

 

「ブイモンの追加効果!!…2コスト支払う事で手札にある緑の成熟期スピリットを召喚できる!!…来い、スティングモン!!」

「!!」

 

 

 

ー【スティングモン】LV1(1)BP5000

 

 

 

今度は緑のデジタルスピリットだ。スマートな昆虫戦士、スティングモンが颯爽とブイモンの横に現れる。

 

 

「スティングモンの召喚時効果でコアを増やす。次いでにディーアークの効果で1枚ドロー」

「今度は緑のデジタルスピリットだと!?…くっ……ディーアークの効果に誘発してM1アストレイ2体分の効果、カードを2枚ドロー……」

「さらにバーストをセット」

 

 

シイナの場にいわゆる罠のカードであるバーストカードが裏向きでセットされた。

 

 

「アタックステップ、デジヴァイスの効果、成長期のブイモンがいる事により、自分を疲労させて1枚ドロー」

「M1アストレイの効果で余もカードを2枚ドロー」

「そしてブイモンの【進化:青】発揮!!…現れろ、エクスブイモン!!」

 

 

 

ー【エクスブイモン】LV2(3)BP5000

 

 

 

デジタルスピリット特有の進化の効果が発揮される。ブイモンが青白い光に包まれ、姿形を大きく変化させて行く………

 

そしてその光を解き放ち、現れたのは青き闘竜、成熟期スピリットのエクスブイモンだ。ブイモンと違ってより竜らしい姿となった。

 

 

「進化の効果は手札増加の効果に値する。よってM1アストレイの効果で2枚ドロー!!」

「お好きにどうぞ〜…私もエクスブイモンの召喚時効果を使わせてもらう。デッキから2枚ドローして1枚捨てる」

「っ!?……M1アストレイの効果で再びカードを2枚ドロー………」

 

 

いわゆる便乗ドロー効果を持つM1アストレイの効果を恐れる事なく発揮させて行くシイナ。そのあまりの躊躇や戸惑いの無さにエレンも僅かばかりだが困惑を覚えて行く………

 

 

「そしてスティングモンでアタック!!…効果でさらにコアを追加!!」

 

 

スティングモンにアタックを命ずるシイナ。さり気なくコアが増えていく。

 

そしてここだ。

 

このタイミングでシイナはあるカードを手札から切って見せた………

 

 

「フラッシュ【ジョグレス進化】発揮!!…対象はエクスブイモンとスティングモン!!」

「!?」

 

 

三王エレンでさえも聴き慣れないその効果名。シイナにそんな彼に構う事なくプレイを続行する………

 

 

「2体の成熟期スピリットを糧に、現れろ完全体、パイルドラモン!!」

 

 

 

ー【パイルドラモン】LV3(5)BP13000

 

 

 

青き闘竜と勇猛なる昆虫戦士が0と1のコードに分解、及び結合していき、新たな姿へと昇華していく………

 

そして新たに現れたのは赤い頭部、甲殻を纏う竜のボデイ、腰に備え付けられた2つの機関銃が特徴的なデジタルスピリット、パイルドラモンだ。

 

 

「ジョグレス進化……だと!?……なんだその進化方法は!?」

「結構珍しい効果だからね〜…驚いた?」

 

 

デジタルスピリットの効果は単体が進化していくもの。

 

しかしこのパイルドラモンの【ジョグレス進化】は違う。2体のデジタルスピリットが融合してより強大な姿となって誕生している。

 

デジタルスピリットの中でもそんな異端な存在に、エレンは流石に驚きを隠さなくて………

 

 

「…だか進化には変わりはない。M1アストレイの効果で2枚ドロー!!」

 

 

そう。

 

デジタルスピリットの【進化】の効果は手札増加にあたる効果。パイルドラモンの【ジョグレス進化】も例外ではない。

 

エレンは冷静さを取り戻しながら効果により2枚のカードをドローした。散々効果を使わされたのもあり、今現在その手札の枚数は15枚。正直言って負ける気がしない………

 

だが…………

 

 

「待ってたよ。相手の手札増加によるバースト!!…グリードサンダー!!」

「!?」

「効果により、その手札を全て破棄し、強制的に2枚ドローさせる!!」

「何だと!?……ッ」

 

 

伏せられていたシイナのバーストが反転する。

 

そしてその瞬間に青い稲妻がエレンの周囲に迸り、大量にあったその手札を全てトラッシュへと破棄させてしまう。彼はその後、効果により新たに2枚のカードをドローするも、手札15枚から2枚にさせられたのは誰がどう見てもかなり危険な状況であると言えて………

 

 

「貴様……この瞬間を狙ってたのか、だからM1アストレイの効果を躊躇なく使わせて来たのか……!!」

「御名答だ三王エレン。だけど気づくの遅すぎ………パイルドラモンの召喚時効果!!…【ジョグレス進化】で召喚していたらコスト7以下の敵スピリット全てを破壊する!!」

「!?」

「行け……デスペラードブラスター!!」

 

 

今度は待機状態にあったパイルドラモンの召喚時効果がエレンに襲いかかる。

 

パイルドラモンは腰に備え付けられた機関銃を両手で持ち上げ、これでもかと言わんばかりに連射する。エレンの場にいる2体のM1アストレイは堪らず爆散してしまうが…………

 

 

「フリーダムガンダムには【PS装甲:コスト7以下】がある!!…コスト7のパイルドラモンの効果では破壊されぬ!!」

 

 

フリーダムガンダムはそのパイルドラモンの弾丸を受けても装甲を貫かれる事はなく、難無く耐え凌いで見せる。

 

 

「だったらこんなのはどうだ?…アタックステップ続行!!…パイルドラモンでアタック!!…効果によりコアを2つパイルドラモンに追加する事で、ターンに一度回復!!」

「!?」

 

 

 

ー【パイルドラモン】(疲労➡︎回復)

 

 

 

パイルドラモンで攻撃を仕掛けるシイナ。その効果でコアが追加されると共に回復状態となる。

 

 

「パイルドラモンとフリーダムガンダムのBPは同じ13000!!…ブロックしたら相討ち!!…PS装甲は効果による破壊は守れてもバトルによる破壊からは守る事はできない!!」

「くっ……ライフで受ける……ッ」

 

 

 

〈ライフ5➡︎4〉エレン

 

 

甲殻で強化されているパイルドラモンの拳がエレンのライフ1つを粉々に打ち砕いた。

 

パイルドラモンが厄介なのは百も承知なのだが、フリーダムガンダムを失ってまで破壊する程でもないと思っての判断だろう。手札の枚数は残り2枚であるため、英断と言える。

 

 

「もう一度だ。言って来いパイルドラモン!!」

 

 

再び拳を固めるパイルドラモン。この際にさらに追加でコア2つがスピリット上に置かれた。

 

 

「それもライフで受ける!!……ッ」

 

 

 

〈ライフ4➡︎3〉エレン

 

 

 

固められたパイルドラモンの拳が今一度エレンのライフ1つを砕いて見せた。

 

 

「ターンエンド。さぁ、次の私のターンで終わりだ。せいぜい最後のターンを楽しむ事だ」

手札:6

場:【パイルドラモン】LV3

【ディーアーク】LV1

【デジヴァイス】LV1

バースト:【無】

 

 

たった1ターン。

 

たった1ターンの出来事だった。自分が並べていたモビルスピリットはエースを残して一掃。増えていた手札も残りわずかにされ、強力なデジタルスピリットも場に立たされた。それがたった1ターンでの出来事だった。

 

エレンはこの時から認めたくもないというのに、不本意ながらシイナの底が知れない実力を認めてしまっていた。

 

はっきり言って化物だ。これでさらにソウルコアを使っていたらと思うと背筋が凍りつく。

 

 

「フッ……最後のターン?…笑わせるな。それはこっちのセリフだ」

「?」

 

 

だが、相手がいくら怪物、化物と言われても仕方がないほどの実力者だとしても、異邦人だ。奴が頂点王になる事を許してはいけない。

 

エレンは最高峰の身分エックスの、オメガ家の、三王としての誇りを掛け、ターンシークエンスを進行させていった………

 

 

[ターン07]エレン

 

 

「メインステップ、フリーダムガンダムを召喚!!」

 

 

 

ー【フリーダムガンダム】LV2(2)BP9000

 

 

 

「召喚時効果でコア2つをフリーダムガンダムに追加!!」

「ん?……最初のフリーダムガンダムと効果が違う……?」

 

 

エレンの場に新たに現れたのは2体目となるフリーダムガンダム。しかし、その効果は最初に煌臨したフリーダムガンダムとは全くの別物。

 

その点でシイナは若干の違和感を感じていて………

 

 

「アタックステップ!!…2体目のフリーダムガンダムでアタック!!……さらにこのフラッシュタイミングで1コストを支払い、転醒を発揮!!」

「ッ……転醒か!!」

 

 

2体目のフリーダムガンダムのカードの裏面に新たな記述が加えられる。そしてエレンはそのカードを手に取り、新たにその面が表になるようにBパッドに叩きつけた………

 

転醒………

 

【進化】や【チェンジ】【煌臨】に並ぶスピリットの強化方法だ。今現在で確認されている母数も少ないレア効果でもある。

 

 

 

「現れ出でよ!!…フリーダムガンダム・ミーティア装備!!」

 

 

 

ー【フリーダムガンダム[ミーティア装備]】LV2(3)BP15000

 

 

 

戦艦のような何かがフリーダムガンダムの背中に装着される。その数多くの砲手がフリーダムガンダムの新たな武器と化した。

 

 

「転醒時効果!!…コスト7のスピリット全てをデッキの下へ戻す!!……消え去れパイルドラモン!!」

「!!」

 

 

ありったけの粒子砲を発射するフリーダムガンダム・ミーティア装備。パイルドラモンはひとたまりもなくそれに飲み込まれ、塵となって消滅してしまう…………

 

 

「アタックは続行!!…このアタックはブロックできん!!」

「ライフで受ける………ッ」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉シイナ

 

 

ブロックしようにもスピリットがいない。シイナはそのアタックをライフで受ける宣言をし、フリーダムガンダム・ミーティア装備の粒子砲をライフで受け止めた。

 

 

「これで貴様のライフは残り2つ!!……フリーダムガンダムの攻撃で終いだ!!」

 

 

エレンはそう言いながら残った最初のフリーダムガンダムを発進させる。この攻撃が通れば2点のダメージが入り、シイナの負けが確定となる………

 

だが…………

 

 

彼の目の前に存在していたこのシイナと言う化物はこの程度ではくたばらなくて…………

 

 

「フラッシュマジック、デルタバリア!!」

「!?」

「アタックはライフで受ける………ッ」

 

 

 

〈ライフ2➡︎1➡︎1〉シイナ

 

 

 

何度も何度もビームサーベルでシイナのライフを斬り裂こうとするフリーダムガンダム。しかし、シイナのライフはいつまで経っても1より少なくならなくて…………

 

 

「無駄だフリーダムガンダム。デルタバリアの効果により、このターンの間、コスト4以上のオマエのアタックと効果じゃ私のライフを1より少なくできない」

「くっ……まだそんな防御マジックを………」

 

 

フリーダムガンダムに語りかけるようにデルタバリアの効果説明を行ったシイナ。それを聞くなり、フリーダムガンダムは大人しくエレンの場に帰還する。

 

 

「……ターンエンドだ……」

手札:2

場:【フリーダムガンダム】LV3

【フリーダムガンダム[ミーティア装備]】LV2

バースト:【無】

 

 

 

致し方なくそのターンをエンドとしてしまうエレン。そして次はシイナが勝利宣言を行ったターンが幕を開ける。

 

シイナは薄い笑いを浮かべながら己のターンシークエンスを進行させていった…………

 

 

[ターン08]シイナ

 

 

 

「メインステップ……ギルモンを召喚」

 

 

 

ー【ギルモン】LV1(1)BP3000

 

 

 

「ッ……今度は赤のデジタルスピリットだと!?…コイツ、いったい何色のカードを使うと言うのだ………」

 

 

シイナが新たに召喚したのは小さい肉食恐竜のような姿をした赤の成長期デジタルスピリット、ギルモン。

 

青、緑、白に加えて極め付けは赤。全く噛み合わないカード達を重ね合わせ、それを容易く扱うシイナは正に強者だと言えて………

 

 

「ディーアークの効果で1枚ドロー……さらにマジック、ブルーカード」

「!!」

「効果によりカードを4枚オープン。その中にギルモンと同じ赤一色のデジタルスピリットが有ればギルモンをデッキ下に戻し、1コスト支払い召喚できる」

 

 

マジックによりシイナのデッキから計4枚のカードがオープンされる。

 

そしてその中には確かに赤一色のカードが確認できた。

 

 

「フッ……効果は成功。私は私のエースカードを召喚する!!」

「なにっ!?…貴様のエースはパイルドラモンではないのか!?」

「誰もそんな事は言ってないぞ………来い、赤の究極体、デュークモンッ!!」

 

 

 

ー【デュークモン】LV3(6)BP18000

 

 

 

青いカードがギルモンの身体を潜り抜けていく。ギルモンはその中で進化に進化の姿を重ね合わせていき、白い鎧、槍、盾を装備し、赤いマントを靡かせる赤属性の究極体スピリット、デュークモンと姿を変えた………

 

このデュークモンこそがシイナのデッキの最強カード。エースなのだ。

 

 

「そしてブレイヴカード、裁きの神剣リ・ジェネシスを召喚し、デュークモンに直接合体!!…召喚の際、コストとしてエクスブイモンのカードを除外」

 

 

 

ー【デュークモン+裁きの神剣リ・ジェネシス〈R〉】LV3(6)BP28000

 

 

 

「ッ……び、BP28000だと!?」

 

 

立ち籠める雷雲。鳴り響く雷音より、巨大な神剣、リ・ジェネシスがシイナの場に投下される。

 

デュークモンは槍と盾を消滅させ、両手を露わにすると、その身の丈程もある神剣をその手に取ってみせ、合体スピリットとなる。

 

エレンはこの時、初めてシイナを恐れていた事がわかった。自分は最初からこの化物に至極怯えていたのだとようやく自覚してしまう………

 

 

「仕上げだ……アタックステップ!!…やれデュークモン!!…効果でフリーダムガンダム・ミーティア装備を破壊!!」

「!!」

 

 

正しく裁きの一撃。デュークモンはリ・ジェネシスを振るう斬撃だけでエレンのフリーダムガンダムをミーティア事斬り裂いてしまう。

 

もはやPS装甲など無意味。

 

終わりだ………

 

そう自覚してしまっていても、エックスのオメガ家として、三王として、最後まで手札のカードを切って………

 

 

「ッ……フラッシュマジック、光翼之太刀!!」

「!!」

「これによりこのターン、フリーダムガンダムのBPを3000上げ、疲労状態でのブロックを可能にする!!…ブロックだフリーダムガンダム!!」

 

 

最後の頼み綱フリーダムガンダムが裁きの神剣を手にするデュークモンに果敢に挑む。

 

ビーム状のジャベリンでデュークモンを斬り裂こうとするも、デュークモンの強者が放つ鋭い眼力とオーラにより吹き飛ばされてしまう。

 

そしてさらにシイナは追い討ちをかけるようにデュークモンのもう1つの効果を発揮させて…………

 

 

「デュークモンの効果。ターンに一度、トラッシュにある滅龍スピリットを手札に戻す事で回復する」

「なにっ!?」

「トラッシュにあるギルモンを手札に戻して回復しろ、デュークモン!!」

 

 

 

ー【デュークモン+裁きの神剣リ・ジェネシス〈R〉】(疲労➡︎回復)

 

 

 

ブイモンの召喚時効果の際にトラッシュに送られていたギルモンのカードがシイナの手札に回収されると共に、デュークモンは回復状態となってみせる。

 

これにより、このターン中は2度目のアタックが行える。エレンにとっては絶望的な状況だ………

 

 

「先ずはフリーダムガンダムを破壊!!」

 

 

シイナの言葉にデュークモンはゆっくりと頷いて見せると、裁きの神剣を全力で振り下ろしてみせる。フリーダムガンダムはそこから発生した激しい衝撃波に飲み込まれ、爆発四散してしまう………

 

 

「フリーダムガンダム………馬鹿な……こんな事が………」

 

 

圧倒的な実力の差。痛感したくなくとも嫌でも痛感してしまう。

 

自分が今までやっていた血反吐を吐くような努力も………

 

まるで全てはこの化物が頂点王になるための布石だったのではと感じてしまう程……………

 

 

 

「デュークモンでアタック!!……合体によりトリプルシンボル!!」

「ッ!!」

 

 

気がつけば自分の場には自分を守る者は誰1人としておらず、化物に使役された聖騎士だけが目の前に存在していて…………

 

そしてその聖騎士は裁きの神剣を彼のライフに向けて振り下ろした…………

 

 

「認めん………余はオマエを……認めんぞォォォーー!!!」

 

 

 

〈ライフ3➡︎0〉エレン

 

 

 

ピー………

 

エレンの最後のライフが砕け散ると共に、彼のBパッドから彼の敗北を告げるような無機質な機械音が鳴り響く。

 

即ちシイナの勝利だ。あの三王エレンを相手に実力差を見せつけての完勝だ。

 

 

「………私が………頂点王だ」

「くっ………!!」

 

 

今この瞬間。

 

三王が余りにも強過ぎたせいで誰1人として存在していなかったこの国に、初代頂点王が誕生した。歴史が動いた快挙である。

 

その名もシイナ・メザ。彼女はそれを証明するかのように右拳を天に突き上げる。それを目にしていたエレンは言い返せる言葉が無く、ただただ平伏していた。

 

 

「じゃあな。それなりに楽しかったよ」

 

 

シイナはそのままエレンを素通りし、スタジアムを後にする。

 

この時のエレンの悔しさは尋常では無かった事だろう。何せ、相手はこの国出身ではない異邦人。自分の母と同じデジタルスピリットの使い手で、己の魂とも言えるモビルスピリットを全て薙ぎ払われての完敗。

 

極め付けはソウルコア無しでそれをやってのけられた事だ。

 

発言からして何か理由があっての事なのは理解していたが、こんな奴が頂点王になってはダメだと心から思っていた…………

 

 

ー…

 

 

 

 

「よぉ、おめでとさん」

「あっ…テンドウ……」

 

 

日の光が一切通らない真夜中。

 

ライダースピリットを司るこの国の三王、テンドウ・ヒロミは、廃墟と化したスタジアムの門前でタバコを吸いながらシイナを待っていた。言動からしてどうやらバトルの結果も知っているようである。

 

いや、一度彼女とバトルして負けたテンドウならばこの結果は既に知っていたのかもしれない。

 

 

「どうだった…手応えは?」

「ん…まぁまぁかな。もうちょいやるかと思ったね」

「フン…流石だな」

 

 

おそらくこの世界で最強の三王の実力を「まぁまぁ」だと評価するのはこのシイナくらいなモノだろう。しかし悔しい事に彼女にはそれだけの実力と実績がある。

 

 

「スーミとか言うボロ村に帰んのか?…頂点王となったからにはオマエさんはこのオウドウ都の人間になっちまったぜ」

「知ってる……でもいいよ、あの子達は自力で勝ち上がって来るさ。なんてったって私の息子なんだから」

「………親バカだな」

 

 

シイナはこの時こそそうは言っていたが、偶にはスーミ村に帰るつもりではあった。

 

もちろんアスラとロンは自力でも必ずこのオウドウ都に訪れ、並みいるカラーリーダーや三王を撃破するだろうと信じて止まなかったが、とある理由ができてしまったのである…………

 

 

******

 

 

「おい!!…おいしっかりしろエレナさん!!…死んじゃダメだ!!」

 

 

とある日、シイナが頂点王になってまだ間も無い日だった。

 

オウドウ都の誰もいない街の裏路地、その片隅にてシイナの悲痛な叫び声が木霊する。

 

シイナに抱えられた女性はエレンの母親であり、この国のデジタルスピリットの三王でもあるエレナ・オメガ。腹部を刃物か何かで刺されたのか、辺りは血だらけである。シイナが到着した時点ではもうこの有様であり、正直言って、誰がどう見てももう彼女は助からないと思ってしまう事だろう………

 

 

「し、シイナ……さん……お、おね、お願いが……」

「喋んな!!…傷口が開いちまう!!…早く病院に……」

 

 

エレナは今にも消えかけている掠れた声色でシイナに語りかける………

 

 

「私が死んだら……エレンは…今以上に多忙に……な、なるでしょう………いや、自らその道を進むに違いありません………あの子は……そういう、子です……」

「だから喋んなって……」

「娘を……エールのお世話を貴女に……お願いしたい……人一倍繊細なあの子はきっと多くの涙を流してしまうでしょう………あの子をどうか……どうか………」

「わかった………わかったから………」

 

 

シイナにもう何も出来なかった。手の施しようがなかった。ただできたことと言えば、ただ彼女の遺言を聞き入れることしかやるべき事だけだ。

 

 

「こ、このカード達を……エールの元に……」

「ッ……オメガの赤のカード達!?」

 

 

エレナが震える手でシイナに渡したのは、今まで自分が使用してきたオメガ家のカード。その片割れ。継承者だった彼女が逝ってしまう今、次の使用者を探し求めているのか、赤く点滅している。

 

エレナにはわかっていた。次の持ち主が娘のエール・オメガになる事を………

 

しかし、弱い5歳の少女がこのカードの継承者になる事はどれだけの重圧がのしかかってしまうのか計り知れないものがある。

 

 

「……ごめんねエール……ごめんねぇぇ……弱いママで……あなたを…あなたとエレンの成長を見守ってあげられなくて……ごめんね……」

「エレナさん………」

 

 

涙を流しながら後悔の言葉が次々と溢れ出して来るエレナ。

 

自分が亡くなった後の家族の状況を想像するとどうしても悲しくなり、己の弱さを心の底から憎んでしまう。

 

 

「ッ………あぁ………任せろ………任せろエレナさん!!…娘さんは必ず、この頂点王が立派に育てます!!…だから………だからどうか笑ってくれ………未来に怯えず、2人の幸せを願って……笑ってくれよ!!」

「………えぇ……あ、ありがと………シイナ………さん………」

 

 

エレナはシイナの言葉を聞いて、最後は家族の幸運を信じ、笑顔を見せて息を引き取った…………

 

その直後だ。曇りだった天気が、まるで世界が彼女の死を嘆き悲しんでいるかの如く豪雨に様変わりしたのは…………

 

シイナはその雨に打たれながら、ある決心をした。いや、そんな程度の決心、豪雨になるから決めていた………

 

あの子を………エレナの娘、エールのお世話をすると………

 

 

******

 

 

 

「ここ……だよね?」

 

 

そこからさらに時は流れ、1週間は経過したか、エレナの葬式や儀礼なども全て解決し、ようやく多くの者達がその悲しみを克服した時だった………

 

シイナはオウドウ都にあるオメガ家の住う巨大な敷地に足を踏み入れていた。本来ならば門前払いであるが、頂点王になった今は出入り自由だ。

 

そして今はオメガ家の城にあるとある一室の扉の前にいる。そこは、そここそが、エレナの言っていた娘のエールの部屋だった………

 

シイナはちょっとばかしの勇気を振り絞ると、その扉を開け、部屋の中へとお邪魔した。

 

 

「やぁ、君がエールちゃんだね?」

「…………誰?」

 

 

その中にいたのはまるでお人形さんのように可愛らしい女の子。この子が当時5歳のエール・オメガだ。

 

突然入居して来たシイナに若干の戸惑いや困惑を感じているようだ。

 

 

「君にこれを渡そうと思ってね………ほい」

「?」

 

 

シイナはそう言いながら、エールと目線を合わせるために腰を下ろし、エレナから授かっていたオメガ家のデジタルスピリットの片割れを渡した。

 

終始赤く点滅していたカードだったが、エールの手に渡った途端、それは静まりかえった。どうやら本当にエールを次の持ち主と認めたようだ………

 

 

「これ……ママの…………ッ」

 

 

そのカード達を見て、亡き母の事を思い出したか、思わずして涙が込み上げてくるがどうにか堪えるエール。

 

シイナはそんなエールの様子を見るなり、その頭の上にポンッと手を置くと………

 

 

「よ〜し!!…これからは私がエールちゃんのお姉ちゃんだ!!…遠慮せずに『お姉ちゃん』と呼んでくれたまえ!!」

 

 

シイナは胸を張りながら堂々とエールの前で宣言して見せるが………

 

 

「………いやよ」

「えぇぇぇぇ!?」

 

 

エールは涙を拭いながらそれを真っ向から否定して見せた。

 

 

「なんでぇ!?…完全に笑いながら「お姉ちゃんッ!!」って言う流れだったじゃん!!…感動の1ページになる瞬間だったじゃん!!」

「知らないわよ、私はエックスよ」

「私は頂点王だ!!…偉いんだぞ〜」

 

 

なんだかんだで一瞬にして仲良くなるシイナとエール。その様子は本当の姉妹さながら。

 

口ではあまり言えてはいないが、10年経った今でも、エールはシイナを本当の姉のように思っていた。それ程までに彼女はエールの中で大きな存在となっていたのだ。

 

そしてシイナは頂点王故の多忙さと、エールを大きくなるまで見届けるよう言われたエレナの遺言から、このオウドウ都を簡単には離れられなくなってしまった………

 

それがアスラとロンのいるスーミ村に帰る事ができなくなった大きな要因だ。しかし、何度も言っているように、シイナは彼らを信じている。

 

いつか大きくなって自分を倒しに来ることを………

 

それが楽しみでしょうがなかった……………

 

 

******

 

 

 

 

 

「っ……なんだ、なんなんだオマエは!?……なんなんだその『赤い龍』は!?」

 

 

そして時は経ち、さらに10年もの月日が流れた。

 

国の片隅に存在するコモンの人々が住う小さな村、スーミにて、盗賊「舞蛾のクサリ」はバトルしている敵に戦慄し、恐怖に慄いていた………

 

目の前にいるのはクソチビでクソガキで、最も身分の低いコモンで……しかも生まれつきバトルに欠かせない『ソウルコア』が使えないこの世界の欠陥品のような存在で、残りライフはたったの1つであるというのに………

 

その少年と、その背後で鳴動する赤き龍にただただ怯える事しかできなくて…………

 

 

「オレは………諦めねぇ………ッ!!」

 

 

15歳になった少年、アスラは鋭い眼力でクサリを睨みつける。そして最後まで諦めなかったからこそ握る事のできたその『赤いライダースピリット』を手に、

 

今………最大の友であり、ライバルでもあるロンと共に、頂点王になったシイナの背中を追いかける…………

 

 

これは、バトルスピリッツの勝敗、優劣が全てのとある世界で、生まれながらに『ソウルコア』が使えない少年アスラが………

 

己の力を証明するため………

 

そして師であるシイナとの約束を守るため…………

 

最強のカードバトラーの称号"頂点王”を目指す物語…………

 

 

 

 

 

 

 

 




******




《コラスト人気投票!!》

長らくお待たせしました結果発表でございます!!

18人の方々に3票ずつ入れてもらい、合計54票集まりました!!
ありがとうございます!!

それでは以下が結果となります!!
どうぞご覧ください!!


ー…


第7位

合計1票

『シイナ:メザ&ムエ』


作者:ありがとうございます!!前作ではぶっちぎりの人気を誇っていたシイナですが、今回でも意地を見せてくれました!!……ムエは1票入っただけでも奇跡だと思ってます。でももふもふは正義。


ー…


第6位

合計2票

『トゥエンティ』


作者:6位トゥエンティです!!…これと言った理由は聞いてませんが、おそらく彼のカナを護るために戦う姿勢や、唯一のチートデッキの使い手である事から票が集まったのだと思います!!
8話と19話でのアスラとの関係性は本当に面白いです。



ー…


第5位

合計5票

『ロン』


作者:ご存知アスラ最大の友にして最大のライバル。ここから票が増えて来ましたね。アスラと話す時以外口数が少ない事や、クールに見えて意外と熱い性格をしている等で評価をいただきました!!
確かにアスラ以外とは全く喋らないですね笑
ヒロインのエールとでさえも一度だって喋ってなかったかな?



ー…


第4位

合計6票

『テンドウ・ヒロミ』


作者:理不尽極まりない性格をしているダンディな男。アスラとの出会いやその後の関係性。なんやかんやで優しい。使用デッキであるカブトに思い出がある等で票が入りました!!
言われてみると2話で初登場した時の彼は凄かったですね……今でも何であれを描写できたのかわかりません。



ー…


第3位

合計8票

『エレン・オメガ』


作者:いよいよベスト3ですね。3位は予想以上に人気だった究極のシスコンお兄様。初登場の10話では冷たい兄貴のような感じだったけど、その後の11話で実は妹が好きすぎて敢えてキツく当たっていたという、どんでん返しのギャップで人気を得たようです………
忘れてはいけないのは作品初のモビルスピリット使いであると言う事。こっちが忘れられていないかちょっとだけ心配です笑


ー…


第2位

合計11票

『アスラ』


作者:ここで来ました主人公。票も遂に二桁超えです。
彼に票が集まったのは非常にシンプルなものが多く、熱い優しいカッコいいなどがほとんどでした。the・主人公にしようと当初から考えていたので、そのシンプルな理由はとても嬉しいですね!
これからも私と共にどんどん成長していくに違いありません。


ー…


第1位

合計20票

『エール・オメガ』


作者:アスラとダブルスコアに近い数値を叩き出し、メインヒロインのエールが堂々1位に輝きました!!
2話の最後や、3話での登場シーンから、最初は悪役令嬢のような印象を受けた方々も多かったようで、その後一瞬にしてツンデレキャラになる様が良き。とお言葉をいくつかもらいました。他にもエックスの落ちこぼれというレッテルを覆すために恥を忍んで努力をするなど、その諦めない姿勢も評価されたりもしました。
彼女のウォーグレイモンが初登場する11話は作中トップクラスの人気を誇っています!!


ー…


the・人気投票裏側…………


「私が1位………フ、フン、当然の結果ね!!……(やったーーー!!…嬉しい!!)」
「うおぉぉぉお!!スゲェぞエールゥゥゥー!!」


「何故だ……何故余とエールの間に…憎きコモンのドブネズミがいるのだ………何故だ、何故なんだァァァー!!!」
「それよりなんでオレが1位じゃねーんだ??…あぁ?」
「テンドウさァァァーん…そう言う事言うのやめましょうォォォー!!…4位でもスゲェじゃねぇですかッ!!」
「なんだ小僧。2位になったからって調子なってんじゃないだろうな??…オレに喧嘩売ってんの?」
「違いますゥゥゥー!!…断じてー!!…断じてそんな事考えてませェェェーん!!」
「………どいつもこいつもうるさい………」


「むえぇぇぇぇぇぇええ!!」
「……沢山のご参加、ありがとうって言ってるぞ!!」



******



最後までお読みくださり、ありがとうございます!!
そして人気投票へのご参加ありがとうございます!!
参加された方々には本当に感謝しても仕切れません!!ここまでありがたい事はなかったですよ!!
お祭りみたいで楽しかったです!!また機会あればお願いします!!今回参加しなかったという方々も是非!!

因みに最後のセリフはムエを抱き抱えているシイナの一言です。

前々から1話に繋がるエピソードが必要だと思ってたので、書かせてもらいました!!
因みに今回からバトル描写を変えてみました。読み易くなってくれましたら幸いです。
時が経てば一番上に移動すると思います。



※感想をお書きになる際はニコ動で流れるような10文字程度の短文は極力避けましょう。来ても返信しない可能性大です。また、小説の内容とは無関係な事を書いてはいけません。(謎のパック開封報告等)

最近以上の事がバトスピ小説作者内で話題になりました。もちろん全ての読者様がこうしていたわけではありませんし、当然作者として感想は望んでいますが、何卒よろしくお願いします。

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