バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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27コア「龍騎VS王蛇!!……その身に宿すのは」

前回、紫のオメガを取り返し、究極体をも超える凄まじきデジタルスピリット、オメガモンで遂に宿敵オロチを撃破したエール。

 

しかし直後にオロチは不気味な紫色の光に包まれ、人の概念さえをも超越した更なる進化を遂げてしまう。オロチは高らかな気分のまま王蛇を使いエールを殺害しようと試みるも、そこに何故かアスラが現れ、それを阻んだのだった………

 

 

「アスラ………なんで……!?」

 

 

エールがアスラに訊いた。無理もない。そもそもここはオロチ以外は知らない場所だったのだから。

 

アスラはエールの方へ振り向くと………

 

 

「なんでもクソもあるかァァァー!!!…オマエ、何が急にさよならだ!!…オレが頂点王になるまで見届けるんじゃなかったのか!?」

「ッ……べ、別に本気でさよならするつもりはなかったわよ!!…あのヘビヤロウから紫のオメガを取り返したらさっさと帰って来るつもりだったし!!」

「じゃあ先にそう言えよ!?…お兄様心配してたぞ!!」

「おバカなアンタに言ったら絶対にバレるじゃない!!………え?…あのお兄様が私の事心配してたの?」

 

 

再開して早々いつものように軽く言い争いになる2人。しかし、これは心の底から信頼しあっているからこそできるものであり、決して仲が悪いわけではない。

 

そんな時、アスラは「あ、そうそう」と、何かを思い出したように呟くと……

 

 

「このデジタルスピリットスゲェなッ!!…めちゃくちゃカッケェ!!……オマエやっぱり見込んだ通りとんでもないヤツじゃねぇか!!」

「ッ……!!」

「オマエがここまで1人で頑張ってくれたんだ………次はオレが頑張んねーとな………ッ!!」

 

 

アスラにそう言われ、不本意ながら顔を赤くしてしまうエール。

 

何故この少年はここまで誰かに優しくできるのかと思えてしまうが、アスラ自身もエールの成長に背中を押されている事に違いはなくて…………

 

 

「つー事で、後はオレに任せろよ」

「だ、ダメよ!!…アンタじゃ勝てない!!…殺されちゃう……」

 

 

アスラがオロチとバトルすると言う兆候を見せるが、彼がいなくなる事を誰よりも恐れているエールは涙目になりながらも制止させようとする。

 

 

「………オレは頂点王になるまで………ロンやシイナよりも強くなるまで死なねーし、オマエとハナレバナレになったりもしねー」

「ッ…!!」

「だからもう二度とあのヘビヤロウには負けねー……アイツぶっ倒したら何か旨い物でも食べにいこーぜ!!」

「………アスラ………!!」

 

 

エールの想い以上にアスラの決意は固い。止めても無駄だと悟ったエールは、展開していたBパットを閉じ、バトルを行うアスラとの距離を置いた。その際にオメガモンが消滅する。

 

そしてアスラは進化の影響で常に紫色の光を纏っているオロチに視線を向けて…………

 

 

「クソチビ……オマエなんでここがわかった?」

「理由全然わかんねぇけど、オマエが持っていった龍騎を何となく感じたんだよ。そんで病室から抜け出してわざわざぶっ倒しに来てやったんだ」

「へっ……ぶっ倒す?…オマエがオレにか?……そんなボロボロな身体で何ができる」

「うるせぇぇぇ!!……紫色に光ってるからって調子のんじゃねぇぞ!?」

 

 

余り具体的な所はわからないようだが、アスラはオロチが奪っていった龍騎の感覚を辿ってここまで来た。確信がなかったため、彼自身もまさか本当にエール達がここにいた事に内心驚いている。

しかし、結果はオーライと言ったところ。コモンの身分でさらにソウルコアが使えない身体のアスラは、客観的にみたらどう足掻いても勝てないであろう、人外たる力を得ているオロチに対して堂々と啖呵を切って見せた。

 

 

「いいぜ。相手してやる………ほらよ」

「ッ!?」

 

 

オロチはそう言いながら懐より龍騎のカードを手に取り、アスラに投げ渡した。

 

 

「何のマネだ?」

「へっ……そいつがないと面白くないからな……」

「後悔すんじゃねぇぞ」

「どちらにせよこの力を試す丁度良い機会だ。オマエを殺した後はそこのエックスの女を殺す!!」

「………そんな事はさせねぇぇ!!」

 

 

繰り広げられる言い合いの中、2人は己のBパットを展開。デッキをセットし、バトルの準備を行う。

 

そして………

 

 

…………ゲートオープン、界放!!

 

 

広大な空間を有する洞窟の中、アスラとオロチの命を賭けたバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先行はアスラだ。オロチを倒すべくそのターンシークエンスを進めていく。

 

 

[ターン01]アスラ

 

 

「メインステップ!!…マジック、アドベントドロー!!…2枚ドローしてエンドだ!!」

手札:6

バースト:【無】

 

 

アスラは汎用のドローマジックで手札を増やし、第一ターンを早々に終える。

 

 

[ターン02]オロチ

 

 

「メインステップ……水銀海に浮かぶ工場島を配置し、エンドだ」

手札:4

場:【水銀海に浮かぶ工場島】LV1

バースト:【無】

 

 

オロチは背後に不気味な工場島を出現させてそのターンを終える。アスラもこのネクサスの手札を破棄させる効果に苦戦したのが記憶に新しい。

 

だが…………

 

 

[ターン03]アスラ

 

 

「メインステップ!!……マジック、バスターランス!!」

「!?」

「効果で水銀海に浮かぶ工場島を破壊し2枚ドローだ!!」

 

 

ターン開始の刹那。

 

炎を纏った巨大な槍がオロチの水銀海に浮かぶ工場島に直撃する。水銀海に浮かぶ工場島はたちまち火祭りにされてしまい、消滅してしまった。バスターランス〈R〉の効果だ。アスラはさらに2枚のカードをドローし、オロチの手札に差をつける。

 

 

「どうだコノヤロォォォー!!!…同じ手は二度もくわねぇぜ!!……ターンエンド!!」

手札:8

バースト:【無】

 

 

昂ったテンションのままそう叫ぶアスラ。どうやらオロチのデッキに対してある程度の対策を練って来ているようである。しかしこのターンもマジックの使用のみにとどまり、結局スピリットを召喚せず終いでエンドとなった。

 

 

「へっ……このくらいはできるようになってなきゃ、わざわざこんな所来ないよな……!!」

 

 

オロチはこの時点で僅かながらにアスラの成長を理解しているのか、殺人鬼らしい不気味な笑みを浮かべながら己のターンを開始した。

 

 

 

[ターン04]オロチ

 

 

「メインステップ……来いバイ・パイソン!!」

 

 

ー【バイ・パイソン〈R〉】LV2(3S)BP3000

 

 

このバトル初となるスピリットはオロチのバイ・パイソン。白い蛇の体に埋め込まれているアメジストが嫌でも目に入ってくる。

 

 

「アタックステップ……言って来いバイ・パイソン。効果でソウルコアを払い2枚ドロー」

 

 

蛇のように地を這いながら突き進むバイ・パイソン。効果でソウルコアがトラッシュへと弾かれ、オロチに新たなカードをドローさせた。

 

スピリットのいないアスラはこの攻撃をライフで受ける他なくて………

 

 

「ライフだ!!……ッ……ぐぁっ!?」

「ッ!?…アスラ!?」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉アスラ

 

 

バイ・パイソンの尾で叩きつける攻撃がアスラのライフをたった1つだけ破壊するが、そのたった1つで今まで以上のダメージを受けてしまう。まるで身体の中が爆発したかのような衝撃だ。

 

オロチが紫色に輝いている事と関係するのだろうが、それ以上にアスラ本人の肉体がとっくに限界を迎えているのが何よりも深刻的であり………

 

 

「どうした?…既にそんなんじゃ話にならねーぜ。もっとオレを楽しませてみろ………ターンエンド」

手札:6

場:【バイ・パイソン】LV2

バースト:【無】

 

 

「うるせぇ!!……こっからだ!!」

 

 

そのターンを終えるオロチ。アスラはボロボロな身体を奮い立たせながら己のターンを再び開始していく。

 

 

[ターン05]アスラ

 

 

「メインステップ、ゴラドンをLV2で召喚。でもってミラーワールドを配置」

 

 

ー【ゴラドン〈R〉】LV2(3)BP5000

 

ー【ミラーワールド】LV1

 

 

アスラの場に小さな怪獣ゴラドンが現れる。そして立て続けに龍騎達が戦うフィールド、ミラーワールドが配置。目に映る全ての光景が鏡像の姿へと切り替わった。

 

 

「オレはこれでターンエンド……!!」

手札:7

場:【ゴラドン〈R〉】LV2

【ミラーワールド】LV1

バースト:【無】

 

 

「あのアスラがまだ攻めないなんて……」

「おいどうした?……オレの事がムカつくならさっさと来いよ」

「最高にムカついてるからこうやってんだ。いいから早くしろよ、オマエのターンだぜヘビヤロウ」

 

 

どういうわけかまたしてもアタックはせずそのターンを終えてしまうアスラ。彼としてはこの戦略は珍しい。エールも違和感を感じて来るが、オロチはそんなアスラをさっさと葬るべく己のターンを進めて行った…………

 

 

[ターン06]オロチ

 

 

「メインステップ。先ずはバーストを伏せ、ボーン・ダイルを召喚し、オレもミラーワールドを配置だ!!」

 

 

ー【ボーン・ダイル】LV1(1)BP2000

 

ー【ミラーワールド】LV1

 

 

オロチの場に骨化したワニ型のスピリット、ボーン・ダイルが召喚されると共に、アスラ同様のネクサス、ミラーワールドが配置される。

 

そしてオロチは「そして………」と言葉を続けながら手札のカードをさらに切って見せると………

 

 

「コイツの声を聞け、月光死龍ルナヘイズ・ストライクヴルムをLV2で召喚!!…不足コストは他のヤツらを殺して確保だ……!!」

 

 

ー【月光死龍ルナヘイズ・ストライクヴルム】LV2(2S)BP10000

 

 

オロチの場にいるバイ・パイソンとボーン・ダイルが消滅する。その後、彼の背後から美しい咆哮が聞こえて来たと思えば、そこから死神の鎌を手に持つ流麗な紫のドラゴンが姿を見せ、新たに場へと現れた。

 

 

「ソイツの声なんかとっくに聞き飽きてんだよ!!」

「へっ、まぁそう言わずに何度でも聞いとけよ!!……アタックステップ……攻撃だルナヘイズ!!……効果で手札1枚を裏向きで手元に置き、オマエのゴラドンをデッキの下に戻す」

「!!」

 

 

背中のブースターで宙を翔るルナヘイズ。そしてその死神の鎌を振い、アスラのゴラドンを斬り裂いて見せる。ゴラドンは堪らず粒子と化してこの場から消え失てしまう。

 

 

「アタックは継続中だぞ!!」

「くっ…ライフだ…………がッ!?!」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉アスラ

 

 

今度はアスラ自身がその死神の鎌の餌食となる。再び多大なバトルダメージが彼を襲った。意識がぶっ飛んでしまいそうになるが、彼はどうにか歯を食い縛り、意識を保った。

 

 

「ターンエンド………もうわかってるだろクソチビ。オマエじゃ逆立ちしたってこのオレには勝てねー」

手札:2

場:【月光死龍ルナヘイズ・ストライクヴルム】LV2

【ミラーワールド】LV1

手元:【裏向き】×1

バースト:【有】

 

 

オロチはターンを終えた直後、狂った殺人鬼らしく物騒な笑顔を向けながら、アスラに対してそう告げて来た。

 

限界を超え、謎めいた進化を果たし、人外じみたオーラをその身に纏うオロチ。もはやこの世の生物とは思えない程の力を発揮できるに違いない。そしてそれに対するはこの国で最も身分が低く、ソウルコアさえも使う事ができないアスラ。

 

確かに、誰がどう見ても彼に勝ち目はないように見える。

 

 

「わかるかよコノヤロー……オレはまだ諦めねー!!」

 

 

しかし、アスラがこの程度で根を上げたりはしない。彼はさらに気合を入れ、己のターンを進めていった………

 

 

[ターン08]アスラ

 

 

「メインステップ!!…シャムシーザー、ドラゴンヘッド、ゴラドンを連続召喚!!」

 

 

ー【シャムシーザー】LV1(1)BP2000

 

ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000

 

ー【ゴラドン〈R〉】LV1(1)BP2000

 

 

アスラは溜め込んでいた多量の手札を切り、龍騎を獲得する以前から彼のデッキを支えて来たメンバーが一堂に集った。

 

 

「さらに!!…オレは龍騎サバイブをLV2で召喚だ……ッ!!」

「!!」

 

 

アスラの場に赤きライダースピリット、龍騎が現れる。

 

その龍騎はベルトにあるカードデッキからカードを引き抜くと、瞬間に烈火の如く炎が燃え上がり、その中で龍を模した銃器にカードを装填………

 

 

………サバイブ!!

 

 

ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2(2)BP11000

 

 

 

龍騎はさらなる強化形態、仮面ライダー龍騎サバイブとなり、アスラの目の前に現れた。

 

 

「コイツでオマエに勝ァァァーツ!!……アタックステップ…行け龍騎サバイブッ!!」

 

 

アスラの声を聞くなり、龍騎サバイブはその鉄仮面の奥に眠る赤き瞳を輝かせると、武器として手に持つ龍の頭部を模した銃を構える。

 

 

「アタック時効果でルナヘイズを破壊!!…でもって赤のシンボルを1つ追加だァァァー!!」

「!!」

 

 

龍騎サバイブの銃から烈火の弾丸が放たれる。ルナヘイズは鎌でガードしようと身を構えるも、烈火の弾丸はそれさえもを容易に焼き尽くし、ルナヘイズを破壊した。

 

オマケに龍騎サバイブはこのバトル中一度のアタックで2つのライフを破壊できるダブルシンボルとなった。そして次はオロチの方へと銃を向けて………

 

 

「いいぞ来い!!…そのアタックはライフで受ける!!……ッ」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉オロチ

 

 

二発目となる龍騎サバイブの烈火の弾丸が今度はオロチのライフを撃ち抜いて見せた。そのライフは一気に2つ砕け散るが………

 

それはオロチのあのバーストカードの発動条件でもあって………

 

 

「ハッハッハァァァー!!!……学習能力無しかよテメェは!!…ライフ減少によりバースト発動!!……仮面ライダー王蛇!!」

「ッ……!!」

「効果によりバースト召喚だ………来い、全てを飲み込む大蛇!!」

 

 

 

ー【仮面ライダー王蛇】LV2(4)BP8000

 

 

 

オロチのバーストカードが勢いよく反転すると共に、邪悪なる鎧をその身に纏う闇のライダースピリット、仮面ライダー王蛇が出現する。

 

その驚異的な効果をアスラが忘れるわけもない。オロチは問答無用でその相棒の効果を発揮させる。

 

 

「召喚時効果ぁぁ!!……疲労状態の龍騎サバイブを破壊し、そのLVの数だけ上に乗っているソウルコア以外のコアをボイドに置く!!」

「ぐっ………!!」

 

 

王蛇が鉄仮面の中に眠る紫の瞳を開眼させると、龍騎サバイブの足元から紫炎が立ち昇り、それを中に存在するコア事一瞬にして焼き尽くして見せる。

 

 

「そんな……龍騎サバイブが一瞬で……」

「ハッハッハァァァー!!…言っただろう!!…オマエじゃオレには勝てねー!!…オマエはソウルコアも使えねークソザコだからなァァァー!!!」

 

 

アスラの勢いを止めたオロチが、高らかに叫んで見せる。その狂気はこの空間に滞りなく伝播したが………

 

アスラは何故かこの光景を目の前にしていても笑みを浮かべていて………

 

 

「ソウルコアが使えなかろぉーがクソザコだろうが関係ねぇ!!……オレもオマエに勝つって言ったはすだ!!……シャムシーザーでアタック!!」

「!!」

 

 

龍騎サバイブを失って尚、希望の光を捨てないアスラは場に残った小型の一体、シャムシーザーでアタックを行う。

 

そして、このタイミングで手札にあるカードを引き抜いて………

 

 

「フラッシュマジック……ストライクベント!!」

「!?」

「不足コストはゴラドンから確保、よって消滅するけど………効果でBP8000以下のスピリット、王蛇を破壊だァァァー!!」

「……なにッ……!?」

 

 

ゴラドンが消滅してしまうが、アスラの場に胴の長い赤き龍が出現する。そしてその赤き龍は口内から豪炎の炎を放ち、オロチの場に存在していた王蛇を跡形もなく焼き尽くして見せた。

 

 

「馬鹿な……オマエ如きがオレの王蛇を破壊するだと!?」

「同じ手は二度もくわねぇって、これもさっきも言ったろ!!…アタックは継続中だ!!」

「ッ……フラッシュマジック、絶甲氷盾!!」

「!?」

「効果でそのアタックでアタックステップを終了させる!!……そのアタックはライフで受ける!!」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉オロチ

 

 

勢いに乗ったシャムシーザーの体当たりがオロチのライフを1つ砕いて見せるものの、彼が咄嗟に引き抜いたカウンターにより、直後猛吹雪が発生。アスラのその後の追撃を食い止めた。

 

 

「っしゃぁ!!…手応えあり!!……ターンエンド!!」

手札:3

場:【シャムシーザー】LV1

【ドラゴンヘッド】LV1

【ミラーワールド】LV1

バースト:【無】

 

 

アタック自体は止められたものの、王蛇にやられた事を反省し、対策を練って来ていたのがわかる良いターンだったのは確かな事。確かな手応えを実感しながらそのターンを終える。

 

 

「アスラ……やっぱアイツ、戦うたびに強くなってる……?」

 

 

そんな中、いつも彼を近くで見ているエールはアスラが徐々に強くなっている事を彼以上に感じている。

 

 

「クックック……ハッハッハァァァァァー!!!」

「!?」

 

 

ピンチに陥ってしまったというのに何がおかしいのか、狂った笑い声を上げるオロチ。

 

 

「良い!!良いぞクソチビ!!……オレのこの覚醒した力がオマエをぶっ殺せと囁いているぞ!!」

「!!」

「少しでも勝機を見出したと思ったヤツをぶっ倒すのが、オレは一番好きなんだよォォォー!!!」

 

 

今だに消えない紫色のオーラをその身に纏いながら、殺人鬼オロチは己のターンを進めていった。全ては目の前のモノ全てを殺すために………

 

 

[ターン09]オロチ

 

 

「メインステップ!!…手札より2枚、手元より1枚ずつ旅団の摩天楼を配置する!!……効果で3枚ドローだ!!」

 

 

ー【旅団の摩天楼】LV1

 

ー【旅団の摩天楼】LV1

 

ー【旅団の摩天楼】LV1

 

 

メインステップ開始の刹那。オロチの背後に巨大な摩天楼が聳え立った。オロチの殺気と狂気も相まって、その存在はより不気味なモノとして目に映る。

 

 

「さらにネクサス、アイランドルート!!…追加で1枚ドローし、バーストをセット!!……これでエンドだ!!」

手札:2

場:【旅団の摩天楼】LV1

【旅団の摩天楼】LV1

【旅団の摩天楼】LV1

【No.32アイランドルート】LV1

【ミラーワールド】LV1

バースト:【有】

 

 

さらにネクサスカードとバーストを配置してそのターンを終えるオロチ。多量のネクサスに多量のドロー………アスラとエールは彼が何かしらの下準備をしているように見えていて………

 

 

「なに企んでんのかしんねーけど、このターンで決めてやる!!」

 

 

アスラはオロチの残り2つのライフを破壊すべく、己のターンを開始した。

 

 

[ターン10]アスラ

 

 

「メインステップ!!…来い、仮面ライダー龍騎!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎】LV2

 

 

様々な鏡像が重なり合い、赤きライダー、仮面ライダー龍騎の姿となって場へ現れる。

 

 

「全てのカードのLVを2にアップ!!…そしてバーストを伏せてアタックステップだ!!…言って来い龍騎!!」

 

 

オロチのライフ目掛け果敢に走り出す龍騎。スピリットがいないため、彼はこの攻撃を諸に受ける事になるのだが………

 

 

「ライフで受ける!!」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉オロチ

 

 

涼しい表情でその攻撃を受けるオロチ。龍騎の渾身の拳が彼のライフ1つを打ち砕いた。

 

しかし、オロチは事前に伏せていたバーストカードに目を向けると………

 

 

「ライフ減少によりバースト、絶甲氷盾!!」

「!?」

「ライフ1つを回復させ、コストを支払いこのターンをエンドとする!!」

 

 

〈ライフ1➡︎2〉オロチ

 

 

又しても絶甲氷盾に阻まれる。猛吹雪がアスラのスピリット達の足を止めてしまった。

 

 

「………ターンエンドだ……」

手札:2

場:【仮面ライダー龍騎】LV2

【ドラゴンヘッド】LV2

【シャムシーザー】LV2

【ミラーワールド】LV1

バースト:【無】

 

 

致し方なくそのターンをエンドとしたアスラ。オロチのターンが再び幕を開ける。

 

 

「いや実際。弱いって虚しいよな、悲しいよな〜…オレはオマエの気持ちがよくわかるぜクソチビ〜」

「?」

「……だってオレも……コモンだからな〜」

「っ!?」

 

 

ターンが開始される前、オロチは突然己の身分を告白した………

 

そう、彼はアスラやロンと同じ、この国において最も身分が低く、最も進化の力が弱く、最もバトスピのレベルが低いコモンだ。

 

その事実にアスラとエールに衝撃が迸る。

 

 

「オマエもコモン……!?」

「あぁ、昔はなーー…よくマスターやエックスの連中にビクビクしていた〜………けどな、ライダースピリットの王蛇を手に入れてから全てが変わった……仕返しのつもりで連中をぶっ殺して来た。そしたらだんだん、少しずつ戦うのが好きになってな!!……もう次から次へと殺したくなって止まんねーんだよ!!」

 

 

オロチはコモン。

 

アスラやロンと同じく身分が上の者達から理由も無く蔑まれながら生きてきた。だが、彼の言う通り、ライダースピリットの王蛇を手に入れてから全てが変わった。

 

最初はただの復讐心からの殺害。しかし、それが今では快楽と化し、今の狂気に満ち溢れた彼がいる。

 

 

「オレとオマエは似ている!!…同型のライダースピリットに選ばれたのも納得だ!!」

 

 

最も身分が低いコモンで、同じようにレア含め、マスターやエックスの身分の者達から蔑まれてきたアスラと自分は似ていると主張するオロチ。

 

しかし………

 

 

「………似てねぇよ」

「あぁ?」

 

 

アスラは拳と固め、唇を噛みしめながら高らかに咆哮を上げる………

 

 

「似てねぇよ!!…一緒にすんな!!……オマエ、なんでそんなに強いのにまともなやり方で見返そうとしなかったんだ!!…なんでそんなスゲェカードに選ばれたのにそんな這い上がり方しかできなかった!!」

「なッ!?」

「オレはオマエとはチゲェ!!…何がなんでも頂点王になって、必ずコモンでも、ソウルコアが使えなくても強くなれるって証明してやる!!」

「黙れェェェー!!!…それはこの世界の主観が生んだ愚かな考え方だ!!…そして、そんな淡い希望を抱く者をぶっ殺す事ほど楽しい事はないッ!!」

 

 

アスラはオロチと自分は違うと反論する。その強い叫びの内容は正しく正論なのもあり、切羽詰まった様子で激しく怒りを露わにするオロチ。

 

怒りと狂気、進化の力である紫のオーラをその身に纏い、再び己のターンを進めていった…………

 

 

[ターン11]オロチ

 

 

「メインステップ!!……マジック、コールオブロスト!!…トラッシュより仮面ライダー王蛇を手札に戻し、これをバーストセット!!」

「!?」

 

 

ターン開始早々。オロチは回収マジックで破壊された王蛇のカードを手札に戻し、どう言う訳か、その名を宣言しながらバーストゾーンへとセットした。

 

そして、オロチは不気味に笑いながらまた別のカードを切った………

 

それは、彼のデッキが進化した事により生まれた狂気の象徴…………

 

 

「さらにブレイヴカード………蛇帝星鎧ブレイヴピオーズ!!……召喚だァァァー!!!」

「!!」

 

 

闇が空間を覆う。その中より雷鳴が轟いたかと思えば、黄金の鎧をその身に纏う巨大な蛇帝が姿を現した………

 

その圧巻の存在感は洞窟全体を揺らしており………

 

 

ー【蛇帝星鎧ブレイヴピオーズ】LV1(1)BP5000

 

 

「な、なんだコイツ………!?」

「なんて禍々しい気配……存在してるだけで息苦しい……」

 

 

アスラとエールがそう言葉を漏らすが、このブレイヴの真骨頂はここからだ。オロチはブレイヴピオーズの効果を発揮させる………

 

 

「召喚時効果ァァァー!!…オレのライフ1つをトラッシュへ置き、スピリット1体を破壊する!!」

「なに!?」

「ライフを砕き、シャムシーザーを破壊!!」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉オロチ

 

 

オロチのライフのコアがトラッシュへと送られ、残り1となってしまうが、これでブレイヴピオーズの効果コストは満たした。

 

ブレイヴピオーズから放たれた闇の光線がアスラのシャムシーザーを一瞬にして貫く。

 

そしてさらに、オロチの真の狙いはそこではなくて…………

 

 

「さらにライフ減少によりバースト発動!!…仮面ライダー王蛇ッー!!」

「ッー!?」

 

 

ー【仮面ライダー王蛇】LV2(5)BP8000

 

 

ライフ減少の条件を満たした事により、伏せたバーストカード、即ち王蛇のカードが反転する。

 

様々な鏡像が重なり合い、再び邪悪なるライダースピリット、仮面ライダー王蛇がオロチの場へと現れた。

 

 

「召喚時ぃ!!…疲労している龍騎を破壊し、そのLVの数分、2個のコアをボイドに置く!!」

「っ!!」

 

 

姿を見せるなり、紫の眼光を龍騎へと放つ王蛇。龍騎の身体からたちまち紫炎が立ち昇り、それをコアごと焼き尽くしてしまう。

 

だがやられっぱなしではいられない。アスラも伏せていたバーストカードへと目を向ける。

 

 

「だけど召喚時のバーストはもらった!!…ネオ・コールオブロスト!!」

「!!」

「カードを2枚ドロー、さらにコストを支払いトラッシュから仮面ライダー龍騎サバイブを手札に戻す!!」

 

 

反転されたバースト効果により、アスラは減っていた手札をある程度回復させる。

 

だが、オロチはそんな事気にも留めず、己のターンを再び進行させて………

 

 

「そんな事にもう意味はねー…ここからが本番だ………王蛇、ブレイヴピオーズ!!…闇を重ね合わせ、今こそ1つとなれッー!!」

「………!!」

 

 

オロチの合体宣言と共に、ブレイヴピオーズの身体からは放たれる邪悪な黒い鞭が王蛇を強引に取り込んでいく。

 

 

ー【仮面ライダー王蛇+蛇帝星鎧ブレイヴピオーズ】LV3(6)BP18000

 

 

そして現れたのはブレイヴピオーズの禍々しい鎧をその身に纏った王蛇。身体から吹き荒れる黒いオーラはアスラのスピリット達により深い恐怖の感情を刻ませるには余りにも十分で…………

 

 

「…この力だ!!…この力さえあればもうオレは誰にも負けねぇ!!…あぁ、早く色んなヤツを殺してやりてぇ!!!」

「うっせぇってんだよ!!…その黒くて気持ち悪い鎧ごとオレがぶっ倒してやるッ!!」

「強がるのもその辺にしとけ!!…オマエが幾ら努力しようともオレには勝てないんだよぉぉぉお!!」

 

 

直後、オロチは「アタックステップ……!!」と、徐に宣言すると、遂にブレイヴピオーズと合体し、より禍々しい姿となった王蛇の力が発揮される………

 

 

「王蛇でアタック!!…効果でドラゴンヘッドのコアをリザーブへ置き、消滅!!」

「!!」

 

 

右腕から黒い闇の槍を放ち、アスラの場に存在するドラゴンヘッドを貫く王蛇。ドラゴンヘッドはたちまち消滅してしまう。

 

 

「さらにブレイヴピオーズの効果!!…貴様の手札を1枚破棄!!」

「!?」

 

 

黒い闇が今度はアスラの手札を覆い尽くし、それを1枚を消し済みにしてしまう。

 

 

「アタックは継続中!!…そしてダブルシンボル、ライフ2つを破壊する!!」

「ッ……ライフだ……!!」

 

 

迫りくる合体スピリットの王蛇。その纏うオーラから考えて、おそらくこれまで以上のバトルダメージが身体に与えられるのは明白だが、

 

スピリットも全て破壊され、カウンターも打てないアスラは、この攻撃をまともに受けるしかない。

 

そして、王蛇は無残にも、拳に纏った闇をアスラのライフに叩きつけた………

 

 

「う、ぁぁぁぁぁあ!!?」

 

 

〈ライフ3➡︎1〉アスラ

 

 

これまでにもないくらいの多大なバトルダメージに襲われ、身体が引き裂かれる程の痛みに苦しみもがくアスラ。

 

そしてとうとう限界を迎えてしまったか………

 

彼は白眼を剥きながら身体がふらついてしまい………

 

 

「アスラ……そんな……!?」

「ハッハッハァァァー!!……諦めろ!!…諦めろクソチビィィィー!!…この世にはなぁ、どう足掻いても届かないモノもあるんだよォォォー!!」

 

 

勝ち誇ったように叫ぶオロチ。エールにとってそれは絶望の咆哮。アスラは殺され、自分も殺されてしまい、今日この日、この誰も知らぬ洞窟で終わりを迎えてしまう………

 

だが…………

 

 

………まだだ!!!

 

 

「なっ!?」

 

 

咄嗟に目の色を戻したアスラが雄叫びを上げる。

 

残った気力を振り絞り、ふらついていた足に力を入れ踏みとどまったのだ。その気迫と覇気から、微塵も諦めていない事が見て取れる。

 

 

「なんだ。何なんだオマエは……何故諦めない!!…力の差は歴然としているだろうが!!…何も面白くねぇ…さっさとオレに殺されろよ!!」

「何度もうるせぇって言わせんなよヘビヤロウ!!」

 

 

諦めるヤツが………

 

頂点王になれるわけねぇだろうがァァァー!!!

 

 

「アスラ………そうよ、アンタなら勝てる!!…勝ってさっさとこんなとこ出るわよ!!」

「おう!!……当然だァァァー!!」

 

 

場の状況は絶望的。実力の圧倒的な差。何よりもソウルコアが無い。

 

だがアスラはそれでもめげず、諦めず、仲間であるエールと共に、デッキのカードと共に、これまで培ってきた力の全てを出し切り、オロチにぶつかっていく………

 

 

[ターン12]アスラ

 

 

「メインステップ!!…バーストを伏せ、仮面ライダー龍騎サバイブを再召喚だァァァー!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV3(4)BP13000

 

 

再び真っ赤に燃える装甲を見に纏った龍騎士、仮面ライダー龍騎サバイブがアスラの場へと姿を見せ、復活を果たす。

 

 

「アタックステップッ!!……このターンで終わらせる……アタックだ龍騎サバイブ!!」

「!!」

 

 

アスラの指示を聞くなり、龍騎サバイブは龍の頭部を模した銃を構え、その銃口から烈火の弾丸を放つ。

 

その弾道の行先は当然の如くオロチの残り1つのライフだが、守ろうにも肝心の合体している王蛇が疲労状態であるため、それが不可能。

 

しかし、オロチはそれを可能にすべく、気でも狂ったかのように不適に笑いながら最後の手札を切って見せて………

 

 

「諦めが悪いだけじゃオレには勝てんッ!!…オマエのそれはただの無謀と言うモノだァァァー!!!…フラッシュマジック、光翼之太刀!!」

「!?」

「不足コストは王蛇のLVを下げて確保する!!…よってこのターン、王蛇のBPを3000上げ、疲労状態でのブロックを可能にする!!……蹴散らせぇぇぇぇえ!!!」

 

 

ー【仮面ライダー王蛇+蛇帝星鎧ブレイヴピオーズ】BP13000➡︎16000

 

 

鉄仮面の奥に眠る不気味な紫の眼光を輝かせ、再び活動を可能を開始する王蛇。オロチに向かって放った龍騎サバイブが放った烈火の弾丸をまるで石ころでも蹴散らすかのように跳ね返す。

 

 

「ほんの一瞬でも、オマエがオレに勝てると思ったのか?…なぁ、思ったのかァァァー!!」

「!!」

 

 

王蛇と龍騎サバイブのバトルが続く。龍騎サバイブが標的を変え、烈火の弾丸を数十発王蛇へと放つものの、王蛇はブレイヴピオーズによって手に入れた闇の力、そのオーラを使い、それら全てを難なく吸収して見せる。

 

遠距離は不利とみた龍騎サバイブは銃口から短剣を伸ばし、果敢に王蛇に近接戦闘を挑む。だが、王蛇は龍騎サバイブの渾身の剣撃を何度もかわし、闇のオーラを槍へと具現化させ、それを振い龍騎サバイブの武器を粉々に粉砕する。

 

龍騎サバイブはそれに驚愕する間もなく王蛇の闇の槍に腹部を貫かれてしまい、力及ばず爆散してしまう…………その爆発の爆炎の中、王蛇は勝ち誇ったように高らかと雄叫びを上げる………

 

 

「どうだァァァー!!!!……オレの勝ちだぁぁぁぁぁあ!!!…今度こそ、今度こそ次のターンで仕留め…………ッ!?!」

 

 

……『仕留めてやる…!!』

 

最高潮までテンションが昂ったオロチがそう告げようとした直後、目の前にいたソレを目にした途端に言葉が詰まった。

 

 

 

……まだだ

 

………まだオレは諦めねぇッ!!

 

 

 

龍騎サバイブの爆発による爆煙。それに伴う土煙………

 

それが晴れようとしていたその時、その瞬間…………

 

諦めず、己が勝利への道を信じるアスラが驚異とも呼べる覇気、気迫をビンビンに飛ばしていた。

 

そしてオロチはこの時、生まれて初めて恐怖という名の悪寒を感じ取る。不覚ながらも心の底から震え上がった。

 

目の前に存在するのはただのコモンで、ライフも残りたったの1つで………しかもソウルコアが使えないクソザコで、クソチビであると言うのに…………

 

だが、オロチを恐怖に震え上がらせていた正体はアスラ本人ではなくて、その背後で眼光を輝かせるまた別の何かだった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライダースピリット…………

 

それは使い手をカード自ら選ぶと言う奇怪なスピリットの総称。それを得たものには絶対的な力が与えられると言われている。

 

……が、必ずと言っていいほどに、『何か別の力を宿している』

 

 

 

 

 

……その力は『神』『悪魔』『怪物』などと幅広く存在し、ライダースピリットによってそれぞれ異なるが………

 

 

アスラを選んだライダースピリットに宿っていたのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コイツに宿っているのは……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤き龍でも………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てを飲み込む大蛇でもねぇ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大蛇をも焼き殺す、黒き龍……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、その正体は龍を象った黒い炎。アスラの背後で鳥栖を巻き、咆哮を上げるその得体の知れない存在は、殺人鬼で怖い者知らずだったオロチに生まれて初めての恐怖を植え付けていた。

 

その後、その龍を象った黒い炎は消え失せ、アスラは自身のBパッドを勢い良く叩きつけると、事前に伏せていたバーストカードを反転させる…………

 

 

「バースト発動ォォォー!!!!」

「ッー!!」

 

 

 

第二の龍騎!!

 

 

 

ー【仮面ライダー龍騎[2]】LV2(3)BP7000

 

 

 

吹き上がるのは赤々と燃え滾る炎の柱。それを斬り刻み、吹き飛ばしながら現れたのは、コラボダンジョンにてアスラが入手した第二の仮面ライダー龍騎。

 

 

「バースト効果ぁ!!…最もBPの低い敵スピリット、オマエの王蛇を破壊するッ!!」

「なに!?」

 

 

 

 

 

バァァァニングッ………

 

セイッバァァァー!!!

 

 

 

 

赤き龍も宿す烈火の炎を柳葉型の剣に灯した龍騎はそれを合体している王蛇へと向けて縦一線に振り下ろして見せる。

 

王蛇は闇のオーラを盾にし対抗するが、燃え上がる炎の斬撃はそれさえをも焼き尽くし、遂に王蛇へと命中。これまで無敵を誇っていた王蛇だったが、流石にこれには耐えられず、力尽きて爆散してしまう。

 

その際に合体していたブレイヴピオーズが爆発による爆風から逃げ出すように飛び出して行った。

 

 

「諦めてる暇なんかどこにもねぇんだよッ!!……オレの……オレとロンの辿る道筋に、オマエは邪魔だァァァー!!!……第二の龍騎でアタックッ!!!…効果で残ったブレイヴピオーズを破壊!!」

「!?」

 

 

止まらぬソウルコア無き者の怒涛の快進撃。第二の龍騎が再び剣を猛々しく構え直す。

 

逃げる事に成功したかと思えたブレイヴピオーズ。しかしその束の間、今度は横一線に放たれた第二の龍騎の炎の斬撃が飛び行き、命中。焼き尽くされてしまい、王蛇同様爆散する。

 

そしてこの自分がどんどん追い詰められている光景を信じられないと言わんばかりにオロチは声を荒げて………

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!……何故だ、何故だァァァー!!!!…オレは強くなったんだ……他のヤツらから強力なカードを奪い、強くなったんだァァァァァァー!!!」

「じゃあ聞くけどよ、オマエの場に最後残っていたのはなんだった?……オマエを選んでくれたライダースピリットだけだったろうよ!!」

「ッ!?」

 

 

熾烈極める闘いの中、アスラにそう言われ、気付いたオロチ。

 

思えばそうだ。ルナヘイズもメタルガルルモンも最後には取り返され、消え失せ、結局残っていたのは己の魂のカードである王蛇のみ…………

 

 

「オマエは強くなんてなっちゃいねぇッーー!!!……オマエが今まで強引に奪って来た力なんて……全部まやかしなんだよぉぉぉお!!!!」

「黙れぇぇぇぇえ!!!」

 

 

 

 

 

テメェよりも、切磋琢磨し合って来たオレ達の方が強いッ!!!!

 

 

 

 

 

 

「ッーーー!!!?!」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉オロチ

 

 

 

刹那。

 

第二の龍騎の三度目の炎の斬撃がオロチの最後のライフを斬り裂き、焼き尽くした。その瞬間に、敗北した事を示すかの如く、オロチに纏わりついていた紫の進化の力は消えてなくなり…………

 

気持ちの昂ったアスラは己の拳を固く握りしめ、勝利を告げるような雄叫びを上げた……………

 

勝ったのだ。勝って見せたのだ。コモンで、しかもソウルコアが無い身体で………

 

 

 

「っしゃぁァァァァァァー!!!!!」

 

 

「アスラ………アンタ、アンタ本当にいつもめちゃくちゃ………本当に………ッ!!」

 

 

様々な辛い想いが交差していたエールはその光景を涙ぐみながら眺めていた…………

 

遂に、本当に………アスラ達は強敵、オロチを倒して見せたのだった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後までお読みくださり、ありがとうございました!!


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昨日、ブラストさんにこの小説の推薦を書いていただきました!!
この場をお借りして改めてお礼させてください!!
ご多忙極まる中、推薦を書いてくださり、ありがとうございました!!

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