バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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28コア「三王たる力!!仮面ライダーカブトハイパーフォーム」

約10年前……

 

コモンの人間として身分が上の者達から虐げられて来た青年オロチは、ライダースピリットである王蛇を手に入れた事により性格が変わった………と言うよりかは歪んだ。又は豹変したと言えばわかりやすいか。

 

最初は単なる復讐心から身分が上の者達を片っ端から倒して来ただけであったが、徐々にその勝利への快感は快楽へと形を変え、今となってはただの殺人鬼と化していた………

 

しかし………

 

 

「何故だ……何故勝てないッ!?……何故ここまで実力に差がある!?…無敵になったオレのデッキだぞ!?」

「………可哀想」

「ッ……なんだよ、なんだその目は………オレを………このオレをそんな見下した目で見るんじゃねぇ!!」

 

 

オウドウ都、その薄暗い路地裏。オロチはそこである人物とバトルを行なっていた。

 

それは当時最強の三王と言われていたオメガ家の当主にしてエールの母親、エレナ・オメガだ。この時の彼女は暴れまわっていたオロチをこの国の三王として退治しようとしていた。

 

その圧倒的な強さを前に、オロチは全く歯が立たず追い詰められていた。

 

 

「……バトスピは1人じゃできないわ。1人ずつ殺してしまったら最終的にバトルができなくなるわよ?」

「黙れ……」

「力は振りかざすモノじゃなくて示すモノよ。だからこそカラーリーダーや三王、頂点王の決まりがある」

「黙れ………」

「本当に可哀想………貴方はきっと、仲間にも恵まれなかったのね………」

「黙れぇぇぇぇえ!!!」

 

 

エレナのオロチを哀れむ声が、遂に彼の怒りを爆発させる。オロチが操る王蛇が彼の指示で大蛇の尾を模した剣を固く握り締め、エレナを殺害すべく走り出した。

 

だが、エレナは身を守ろうとはせず、まるでそれを受け入れるかのように手を広げ、己の身でその攻撃を受けて見せた。その腹には大穴が開き、誰が見ても一目で分かるほどの致命傷だった………

 

 

「な、何でだ……なんでわざと攻撃を受けやがったァァァー!?」

「いつか、いつか分かると良いですね………仲間の大切さ……」

「っ!?」

「きっと、もっと楽しくなれます………少なくとも人を殺す行いなんかよりもずっと………………」

 

 

そこまで言い切ると、血を流し過ぎたエレナはその場で倒れ込んでしまう………この後に頂点王たる女性、シイナ・メザが到着するのだが、彼女はそのシイナに遺言を残して息を引き取る事になる………

 

 

「んだよソレ…結局何なんだよオマエはァァァー!!?」

 

 

結局最後までエレナの考えていた事がわからないオロチはその後、気が狂ったかのように発狂し、本能のままにエレナのBパッドから使用された紫のオメガのデッキを奪い取り、この場から立ち去ってしまう。

 

 

ー…

 

 

それから約数時間が経過したか、息を切らしながら逃げ惑うオロチ。幾ら平気で殺人を重ねる彼と言っても、その行い自体には自分に非がある事を心のどこかで理解しているのだろう………

 

そんな中紳士のようなシルクハットとちょび髭を生やした男性と鉢合わせた。

 

そのシルクハットの男は不思議と立ち止まり、何故か薄い笑いを浮かべながらオロチを見つめて来た。

 

自分を追っているわけではない事を悟ったオロチは自分の胸の奥にある想いを余す事なく伝えた………

 

 

「なんであんな連中に虐げられないと行けない!?……この世界はバトスピが全てなんだろ!?…オレはマスターやエックスよりも強いんだぞ!?」

 

 

この時は誰が相手でも良かった。自分の考えを聞いて欲しかった。

 

自分は強いのに何故マスターやエックスに虐げられなければならない。何故バトルスピリッツが全ての世界で強いヤツが従わないければならない。そう主張したかった。

 

 

「ふふ、だったらこの私………ウィルの元へ来なさい。素晴らしい力の数々を貴方に与えましょう………存分にそれを振るうのです……強さだけでふんぞりかえる高身分者に見せつけてあげなさい」

「ッー!!」

 

 

そのシルクハットの男の正体は当時のウィル。

 

この時はまだトゥエンティやイバラも入団しておらず、彼はライダーハンターズのメンバー集めに勤しんでいた。

 

彼はオロチに目をつけ、最初のライダーハンターズとして雇った………

 

これが10年前の真実。オロチはエレナに勝ったと言っていたが、実際はバトルに勝ったわけではない。しかし本人は嘘を言っているつもりは無い。何せ、殺した時点で勝ったと考えを改めていたからだ。

 

 

******

 

 

時は戻り現在。アスラは満身創痍な状態になりながらも遂に驚異の殺人鬼オロチを倒して見せた………

 

 

「っしゃぁ!!どうだコノヤロー!!」

 

 

テンションがハイになっているのか、アスラは拳を天に掲げ、勝利のファイティングポーズを掲げながら雄叫びを上げる。

 

オロチの体を覆っていた紫のオーラは、彼が気を失うと共に消え失せた。その光景はまるで彼の敗北を告げるかのようで………

 

 

「アスラ……!!」

「うおっ!?」

 

 

嬉しさと感動の余り、アスラを抱きしめるエール。今はとにかくオロチを倒してくれた彼に感謝したい気持ちでいっぱいだった。そんな彼女の気持ちを理解しているアスラは満面の笑みで笑って見せる。

 

 

「へへ……どうだ、ちゃんと勝ったろ?」

「えぇ、凄いわアンタ……本当に………ッ」

「ん?」

 

 

ふと我に帰ったエール。自分の過ちに今更気がつくと、その顔を真っ赤にしてしまい………

 

 

「何変な事考えてんのよォォォー!!!」

「何も考えてないけどォォォー!?……てかオレ怪我人ーーー!?」

 

 

思わずアスラを突き飛ばしてしまう。既にボロボロなアスラは身体を支える力も残っていなかったのか、そのままコロコロ転がって行く。

 

その様子に今回ばかりは非を感じたのか、エールは「あ、ごめん」と、軽く謝罪した。

 

 

「まぁようやくこれで終わりだ!!…約束通り帰って旨いモン買いに行こうぜ!!」

「ッ……えぇ」

「あ、いや待てよ、その前にあのヘビヤロウどうにかしねぇと……テンドウさんあたりに連絡するか?」

 

 

取り敢えずこの不気味な洞窟を出ようと思ってもライダーハンターズの1人であるオロチをそのままにはできない。

 

アスラとエールは体の大きい彼をどうやってライライ町まで運ぶか思考を張り巡らすが…………

 

その時だった…………

 

 

「やれやれ……ようやく見つけたと思ったら、このザマですか……」

 

 

ー!!

 

 

「君にはガッカリしましたよ、オロチ」

「オマエ、確かウィルとか言うちょび髭シルクハット!!」

 

 

バトルのダメージで気を失っているオロチのすぐ横、アスラ達の対面に現れたのは、ライダーハンターズという謎の集団の主任、ウィル。

 

 

「またもう終わりみたいなタイミングで出て来やがって!!…なんなんだオマエは!!」

「せっかく紫のオメガを扱える力を与えてやったと言うのに、結局全て奪われた挙句、負けましたか……やはりコモンの人間は使えませんね〜」

「無視すんな!!」

「……紫のオメガを扱える力を与えた?」

 

 

喧しいアスラの話を無視しながらそう呟くウィル。エールは彼の言動からしてオロチに紫のオメガの力を扱えるようにしたのはウィルである事を何となく察するが、「与えた」と言うのがどうにも引っかかる。

 

 

「それってどう言う事?」

「……これはこれはオメガ家のエールお嬢様……今日もご機嫌麗しゅう」

「えぇ……エールの話は聞くのかよ!!」

「バカスラはちょっと黙ってなさい!!」

「………はい」

 

 

あんなに頑張ったと言うのにだんだん扱われ方が酷くなって来るアスラ。取り敢えず話には入れそうにないため、と言うか理解できそうにないため、お口にチャックをしてみる。

 

 

「さて、質問についてですが。言葉の通り、私が彼に与えたのですよ。紫のオメガをも扱える進化の力をね」

「そのカラクリが聞きたいのよ!!」

「ふふ、そうは言っても、私にはその概念が理解できても、貴女みたいな普通の人間には理解できませんよ」

 

 

ウィルの言う進化の力とは、一般的に人間が持っているもので、デッキやカードに作用し、進化をもたらすものなのだが、それを与えるのは聞いた事がない。

 

エールは別として、話についていけてないアスラはこの時点で頭がパンクしそうだった。

 

 

「私には特別な力がある。トゥエンティのジオウ、アレも私が貸し与えたモノだ」

「………なに!?」

 

 

ウィルからの急な告白。トゥエンティのジオウは元々ウィルの物であった事が判明する。

 

 

「3年前だったかな。一途な男でね、愛する者のために命を賭けている。ふふ、お陰様で今ではあのオロチをも超えてライダーハンターズのトップだよ。言うても私含めてたったの4人だがね」

 

 

どう言う理屈なのかは定かではないが、どうやらあのちょび髭シルクハット、ウィルは他の人物に強大な力を与える事ができるらしい………

 

 

「やっぱ……やっぱそうなのか」

「?」

「オマエがトゥエンティを唆したのか!!…オマエのせいでトゥエンティはライダースピリット狩りなんて非情な事やってんだぞ!!」

「アスラ………」

 

 

激情に駆られるアスラ。トゥエンティは元々心優しい人物であるはずなのに、それをあそこまでめちゃくちゃにさせた張本人が目の前にいるのだ。いてもたってもいられなくなったのだろう………

 

 

「何を言ってる。彼自らがそれを望んだんだ。私は力を与えてやったに過ぎない………それよりも貴様だ」

「!?」

 

 

ウィルはアスラの叫びを適当に流すと、今度は彼がアスラを妬ましい表情で睨みつけた。

 

 

「何故だ。何故貴様みたいな神から見放されたような猿如きが………黒の世界の力を、第7の属性を握る事ができる?」

「あ?…何の事だ」

「本来ならばその力は私の手に有るべきなのだ………やはり今ここで奪っておかないといけないみたいだな」

 

 

ウィルの口から出て来た黒の世界、第7の属性と言う聞き慣れないワードに戸惑うアスラとエール。しかし、それでも思うところはやはりこのウィルと言う人間はライダーハンターズの他の誰よりも危険で有ると言う事………

 

 

「へっ…なんかよくわからんが来るなら来い!!…相手になってやる!!」

「アスラ、今度は私も力を貸すわよ!!」

「マジかエール!!…これで百人力だぜ!!」

「愚かな……そんなボロボロな身体で何ができる」

 

 

アスラの龍騎を奪おうとする姿勢を見せるウィルに戦闘態勢を取るアスラとエール。しかしながらその身体はとっくに限界を迎えており、ライダーハンターズとのバトルスピリッツに耐えられるかが怪しい状態。

 

しかも何となくの感覚ではあるものの、ウィルはあのオロチやトゥエンティさえをも凌ぐ実力があるに違いない………

 

諦めない2人だが、どちらにせよ絶体絶命の状況には変わりなかった…………

 

だが……………

 

 

「おいおい。何だよこの状況、葬式でも始まんの?」

「え?」

「テンドウさん!?」

 

 

タバコを吸いながら歩いているガタイの良い男性が現れる。その正体は他でもない最強の三王の1人であるテンドウ・ヒロミ。わざとらしいリアクションをしながら参上して見せた。

 

 

「ライダースピリットの三王、テンドウ・ヒロミか………」

「テンドウさァァァーん!!!…まさか助けに来てくれたんですかァァァー!!!…メッチャ心強いっす!!」

「黙れ小僧!!…オマエ、何オレが昼寝してる間にトンズラしやがった。あぁ?…出て行くなっつったよなオレは……殺されててぇのか!!」

「ギャァァァァー!!!…すんませんんんんん!!?」

 

 

現れて早々、メチャクチャ怖い顔でアスラを睨みつけるテンドウ。アスラは反射的に凄い勢いで謝った。

 

 

「でもテンドウ、何でここが………」

「あぁ?…エール、オマエも何勝手に拐われたんだ。殺されたいのか?」

「ホントにアンタいつもそれだけよね!!」

 

 

確かに実際何でテンドウがこんな辺境まで来れたのか謎だ。テンドウは吸っていたタバコを地面に落として鎮火させると、その点を軽く説明した。

 

 

「小僧、パーカーの襟はし見てみろ」

「え?…襟はし??…………って、えェェェー何だこれ!?」

「発信器」

「何勝手にそんなモノつけてんすか!?」

「あぁ?…何か文句あんの?」

「いえ、一切ございません!!!」

 

 

どこまでも用意周到なテンドウ。必ずアスラが飛び出して行くことを読んで、事前に彼の服に小さな発信器をつけていたのだ。

 

だが結果的にオーライ。今こうして最大のピンチに駆けつける事ができたのだから…………

 

 

「で、そこでぶっ倒れてるゴリゴリマッチョがオロチで、そこのちょび髭シルクハットがライダーハンターズの親玉的なヤツ?」

「ハイィィィー!!…そうなんです!!…一緒にぶっ飛ばしてやりましょォォォー!!!」

「はい熱苦しい〜ちょっと黙っててーーー」

「えぇぇぇぇ!?」

 

 

偉そうな態度でこちらを見つめてきているウィルをさらに上から目線で睨みつけるテンドウ。今にも決闘が始まりそうな雰囲気だ………

 

 

「成る程、その威圧感と堂々とした態度。貴方が三王のテンドウ・ヒロミで間違いなさそうだね」

「どーも。元弟子が世話になってるな」

「トゥエンティの事かな?……ふふ、彼は実に良い人材だよ」

 

 

この会話の最中で、2人は互いを「食えない奴」だと認識する。ライダーハンターズの一員であるトゥエンティは恋人であるカナの病気を治してもらうためにライダーハンターズにいるのだが、そのカナがテンドウの妹。

 

そう言う事もあり、テンドウとウィルには少なからず何かしらの妙な関連性があった…………

 

 

「ふーーん。まぁあの馬鹿弟子の事はどうでも良いんだけどよ。今回はウチの小僧とエールが世話になったみたいだし。オレが何もしないわけにはいかないよな………」

 

 

そう言いながらテンドウは展開しっ放しだったアスラのBパッドを手に取り、展開し直した。自分のBパッドは今、絶賛迷走中であるエールの兄エレンが所有しているからである。

 

そしてこの行為が意味しているのは、バトルスピリッツの申し出。バトルに負けたら大人しくしろと言う意味合いが特に強い。

 

 

「バトルですか………成る程これは光栄だ。いいでしょう三王テンドウ・ヒロミ。お手合わせいたします」

「あぁ?…テメェ丁寧語使うならもうちと謹んだ言い方しろや!!」

「おぉ、野蛮な事」

 

 

ウィルもカードバトラーの端くれとして、これを断るわけにはいかないか、自分もまた己のBパッドを展開して見せた。

 

その表情はとてもではないが最強の三王を相手にする者とは思えないほど飄々としていて…………

 

 

「テンドウ!!…私も戦うわ!!…もうダメージも軽くなって来たし」

「そうっすよ水臭いっす!!…オレも戦いまァァァーす!!」

「アンタは休んでなさいよ!!…ボロボロじゃない!!」

 

 

皆ウィルに対する怒りは同じ。アスラとエールもこのバトルに参戦しようとするが…………

 

 

「引っ込んでろ。ここはオレが美味しいとこ持っていく展開だろが、殺すぞ!!」

「えぇぇぇぇ!?」

 

 

凄く自分勝手な理由で一蹴してしまう。だがテンドウ・ヒロミとはそう言う男。どこまでも自分勝手で、どこまで本気なのかわからない。

 

しかし………

 

 

「だけど、まぁオマエ達にしちゃ良くやったよ…………」

 

 

ー!!!

 

 

「後は任せな」

 

 

 

漢らしい背中を見せつけ、そう言いながらアスラとエールを黙らせるテンドウ。いつもどこまでが本気なのかよくわからない人物ではあったものの、これだけは本気で言っているのが伝わって来ていて…………

 

 

「ふふ、それじゃ貴方だけでいいのかな?……私は強いよ」

「元からそのつもりだ。さーーーて、久し振りに暴れてやるかな」

「良いでしょう。私の持つこの世界の理から離れた力を思い知らせてあげます」

「理ねぇ……別にソウルコアが使えないヤツもいるんだ。今更何やられても驚きやしねぇよ………んじゃ、行くか」

 

 

…………ゲートオープン、界放!!

 

 

ライダーハンターズの主任、ウィル………

そしてこの国の最強である三王の1人テンドウ・ヒロミのバトルスピリッツがコールと共に幕を開けた。

 

先行はテンドウ。ターンシークエンスを進めて行く………

 

 

 

[ターン01]テンドウ

 

 

「メインステップ………変身!!…仮面ライダーカブト……!!」

 

 

ー【変身!!仮面ライダーカブト】LV1

 

 

「て、テンドウさんがライダースピリットに!?…これってトゥエンティの時と同じ……!?」

 

 

ターンが開始して早々。テンドウは赤き光をその身に纏い、赤い鎧と頭部の一角が特徴的なライダースピリット、カブトへと変身を遂げていた。

 

その光景を目の当たりにしたアスラは咄嗟にトゥエンティのジオウの事を思い出した。

 

 

「配置時の神託……今回は3つ追加。ターンエンド」

手札:4

場:【変身!!仮面ライダーカブト】LV2(3)

バースト:【無】

 

 

「これが三王たるテンドウ・ヒロミの仮面ライダーカブト……お初にお目にかかるね。噂ではその性質も一級品だとか」

「そりゃまた御立派な噂だな」

 

 

使用者自らがライダースピリットとなる変身のカードはカテゴリ上強力な創界神ネクサスだ。かなり幸先の良いスタートを切れたことには間違いない。

 

このターンでアスラはよりこのバトルに目が離せなくなってしまう。『三王のテンドウがバトルしていることを自覚したからだ』……頂点王になるために何か1つでも己のためになる事はないか、盗めるものがないかと向上心を高めていたのだ。

 

そして次はウィルのターン。果たしてライダーハンターズの主任の実力はいかがなものなのか………

 

 

[ターン02]ウィル

 

 

「先ずはドローステップ時……私は手札にあるライダースピリット、仮面ライダーウォズの効果を発揮」

「ッ……あのちょび髭シルクハットもライダースピリットを!?」

「自身を手元に置く事でドロー枚数を1枚増やし、その後1枚破棄する」

「ま、ライダーハンターズの親玉だって言うなら1枚くらい持っててもおかしくないよな」

 

 

ウィルがターン開始のドローステップで使用したのはライダースピリットの効果。そのドロー枚数を1枚増やし、その後1枚捨てた。

 

アスラとエールが驚愕する間もなく、ウィルはメインステップを開始して………

 

 

「さぁメインステップだ。最初はこのエイプウィップをソウルコアを使用して召喚」

 

 

ー【エイプウィップ〈R〉】LV1(1)BP1000

 

 

4本もの腕をはやしている緑色の猿型スピリット、エイプウィップが彼の場へと出現した。このスピリットはソウルコアをコストとして召喚した際に強力な効果が発揮できて……

 

 

「召喚時効果。ボイドからコア1つをリザーブへ、さらにソウルコアを支払っての召喚だった場合、さらにボイドからコア2つをトラッシュに追加」

「め、めっちゃコア増えたぁ!?」

 

 

瞬間。ウィルのBパッドに合計3つのコアが追加された。最初のターンでいきなりコアの総数に大きく差をつけられた事はテンドウとしても大きな痛手である事は間違いなくて…………

 

 

「ワッハッハッハ!!!……なんだその猿はぁ!!…変な顔〜」

「えぇぇぇぇ!?…何で笑ってるんすかァァァー!?」

「相変わらず緊張感無いわね」

 

 

エイプウィップの間抜けな顔を見るなり腹を抱えて大きく笑っていたテンドウ。エールの言う通り確かに緊張感が感じられなくて………

 

 

「フフ、ターンエンド。確かにエイプウィップの顔はちょっとおかしいね。野蛮な君によく似ているよ」

手札:3

場:【エイプウィップ〈R〉】LV1

手元:【仮面ライダーウォズ】

バースト:【無】

 

 

「あぁ!?…んだとテメェ!!…その綺麗なちょび髭ぶち切ってやろうか!?」

「ハッハッハ…やっぱり野蛮だ」

 

 

そんなテンドウを煽るウィル。テンドウはマフィアのボス顔負けの表情で彼を睨みつける。

 

何はともあれ、次は再びテンドウのターンだ。ターンシークエンスを進行して行く。

 

 

[ターン03]テンドウ

 

 

「メインステップ……仮面ライダーカブト マスクドフォームを召喚」

 

 

ー【仮面ライダーカブト マスクドフォーム】LV2(3S)BP6000

 

 

自身がライダースピリットと化したテンドウの場に重厚な鎧を着たライダースピリットが現れる。テンドウはそのスピリットの持つ召喚時効果により、2枚のカードを新たに手札へと加えた。

 

 

「ついでにバーストを伏せて……アタックステップ。マスクドフォームでアタック…さらに効果【キャストオフ】を発揮」

「!?」

「この効果により、手札から仮面ライダーカブト ライダーフォームを召喚!!…弾け飛ぶ鎧が変顔猿を破壊する……!!」

 

 

マスクドフォームがベルトのレバーを横に倒すと、その重厚な鎧が弾け飛び、テンドウが変身したライダースピリットと全く同じ姿をした存在が現れる。さらに弾け飛んだ鎧がウィルの場に存在するエイプウィップを直撃し、爆散させた。

 

 

ー【仮面ライダーカブト ライダーフォーム】LV2(3S)BP6000

 

 

これは仮面ライダーカブト特有の【キャストオフ】の効果だ。効果発揮時に相手BP5000以下のスピリットを壊滅できる。

 

その躍動感ある変化に、アスラは目をギラギラと輝かせていて……

 

 

「うぉぉお!!…カッケェェェー!!」

「そんじゃ、いっちょ攻めときますか……言って来いやライダーフォーム!!」

 

 

テンドウの指示を聞くなり綺麗な姿勢で走り出す仮面ライダーカブトのライダーフォーム。場のスピリット、エイプウィップを失ったウィルはこれをライフで受ける他なくて…………

 

 

「良いでしょう。そのアタックはライフで受けます………ッ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉ウィル

 

 

ライダーフォームのカブトが勢い良く拳を叩きつけ、ウィルのライフ1つを木っ端微塵に粉砕して見せる。

 

 

「よし!!…先制点はテンドウが取った……!!」

「うぉぉお!!…この調子で頑張ってくださいィィィー!!」

 

 

一見テンドウが先制点を与えて有利になったかのように見える状況。アスラとエールはより彼の応援に熱が入るが………

 

ウィルの実力がここからより鮮明に浮き出て来て…………

 

 

「フフ…御気楽な攻撃だね、三王のライダースピリットは………お陰様でこのカードを呼び出せる」

「?」

 

 

ウィルはそう言いながら己のトラッシュへと目を向けると、そこにある1枚のカードを引っ張り出した…………

 

そのカードの正体は…………

 

 

「私のライフが減った時、トラッシュにあるこのスピリットは2コストを支払い召喚できる!!……現れよ、ゴジラ!!」

「ッ……!!」

 

 

ー【ゴジラ(2004)】LV1(1)BP10000

 

 

蠢く地の底より、咆哮を張り上げながら現れたのは黒い体に大きな尾を持つシンプルな怪獣と言った見た目のスピリット、ゴジラ。

 

だが、そこから感じられる迫力やオーラは美しくも凄まじく、神にも匹敵すると言って過言ではない程だ。

 

 

「ご、ゴジラって……確かゴゴのおっちゃんが使ってたヤツか!?」

「いや、メカゴジラはコイツをモチーフに作られた単なる模造品だな。本物のゴジラは比較にならん程強いって確かどっかにの本に乗ってたよーな………あれ、ゴゴのジイさんから聞いたんだったっけな?…どっちだったけエール?」

「知らないわよ!!」

「呑気な事言ってる場合っすかァァァー!?」

 

 

圧倒的なサイズを持つ強力なスピリット、ゴジラを前にしてもいつものマイペースぶりを崩すそぶりさえ見せないテンドウ。寧ろ観戦しているだけのアスラとエールの方が慌てている。

 

 

「まぁ良いや。今度Bパッドで検索してみよ。ターンエンドだ」

手札:5

場:【仮面ライダーカブト ライダーフォーム】LV2

【変身!!仮面ライダーカブト】LV2(5)

バースト:【有】

 

 

「そうやって余裕でいられるのも時間の問題ですよ?…何せ既に私の実力はこの国の三王を容易く超えているのだからね」

「テメェ!!…テンドウさんがオマエみたいなヤツに負けるわけねぇだろー!!」

「まぁ、そりゃ伝説のレアカードたるゴジラがあるんだから、少なくともデッキのカードの質はオレのよりも上だろな」

「えぇぇぇぇ!?…認めるんですか!?」

 

 

自分は三王よりも強い事を豪語するウィル。アスラはそんな事あるわけないと反発するが、当の本人たるテンドウはタバコを片手に少なくともデッキは自分の方が下だと言うような発言を行った。

 

 

「バカ言え小僧、オレは自分が負けるとは一言も言ってねぇ………ただ、相手にとって不足は無しだと思っただけだ……まぁ見てな」

「ッ……!!」

「このゴジラを前にまだそんな強気な発言をしますか……これ以上喋ると、貴方の三王としての尊厳に関わりますよ」

「そいつはお互い様だと思うぜ、ちょび髭シルクハット」

 

 

お互いがお互いを煽り合う中、次は強力無比なスピリット、ゴジラ・2004の召喚を見事成功させたウィルのターン。

 

三王たるテンドウ・ヒロミを倒すべく、己のターンシークエンスを始めて行った…………

 

 

[ターン04]ウィル

 

 

「メインステップ、ゴジラをLV2に上げ、バーストをセット」

 

 

ー【ゴジラ(2004)】(1➡︎2)LV1➡︎2

 

 

ゴジラのLVが上昇し、そのBPが15000となる。ゴジラはその事を示すかの如く爆音のような咆哮を上げた。

 

 

「さらにアタックステップ。その開始時、手元にある仮面ライダーウォズの効果発揮……!!」

「!!」

「コスト6以上のスピリットがいる時、ノーコストで召喚できる……LV3で現れなさい!!」

 

 

ー【仮面ライダーウォズ】LV3(6)BP12000

 

 

黒い一反木綿が球体を形成すると、その中より、緑色が特徴の赤属性のライダースピリット、ウォズが現れた。

 

これがおそらくウィルを選んだライダースピリットなのだろう…………

 

 

「4ターン目でBP15000と12000の2体を召喚するなんて………」

 

 

この光景にエールがそう言葉を漏らした。認めたくはないが、やはりライダーハンターズの親玉なだけあって、ウィルが相当な実力者だと言う事は確かなようであって………

 

 

「アタックステップは継続。ゴジラでカブト ライダーフォームを攻撃」

「ッ……指定アタックか」

「その通り、さらにこの時、ボイドからコアが1つ増え、ゴジラは回復。さらに勝利した時赤のシンボル1つが追加される」

 

 

ー【ゴジラ(2004)】(疲労➡︎回復)

 

 

ゴジラの強力なアタック時効果が発揮される。テンドウの唯一のスピリットであるカブトのライダーフォームが標的にされるが、この時ウィルにはさらに発揮できる効果があって………

 

 

「ついでに仮面ライダーウォズの効果を発揮。自身を疲労させる事により、ゴジラのBPを+10000。そして相手ライフ1つを破壊する」

「!!…………ッ」

「テンドウさん!?」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉テンドウ

 

 

仮面ライダーウォズが片膝をつく。その様子はまるでゴジラに忠誠を誓っているようにも見え、ゴジラのBPはさらにパンプアップされ25000となる。

 

そしてどう言う原理か定かではないが、テンドウのライフ1つが瞬間に的に破壊される。

 

 

「バトルは続いてますよ……やりなさいゴジラ!!」

 

 

ゴジラはカブトのライダーフォームを上から睨みつけると、身体を大きく回転させながら尻尾の一撃をお見舞いして見せる。カブトのライダーフォームはたまらず爆散してしまった。

 

さらにまだウィルの攻撃は終わらなくて…………

 

 

「今度は回復したゴジラで貴方に直接攻撃!!…2点分のダメージをくらいなさい!!」

「ッ………!!」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉テンドウ

 

 

口内から放たれる、ゴジラの強烈な熱線がテンドウのライフを襲い、それを一気に2つ破壊した。だがテンドウはこの攻撃を受けても涼しい顔を貫いており、切り替えるように伏せていたバーストへと目を向けると………

 

 

「ライフ減少のバースト……第二の仮面ライダーカブト ライダーフォーム」

「!?」

「よってコイツをノーコスト召喚」

 

 

ー【仮面ライダーカブト ライダーフォーム】LV2(3S)BP7000

 

 

バーストが反転した途端に場に現れたのは第二のカブト ライダーフォーム。既に疲労してしまったゴジラはこのスピリットを指定アタックできない。

 

ウィルはテンドウの場にこのスピリットを残してのエンドを選択するしかなくて…………

 

 

「そうか。ならターンエンドです」

手札:3

場:【ゴジラ(2004)】LV2

【仮面ライダーウォズ】LV3

バースト:【有】

 

 

「ライフが3つも減らされたのに、なんて切り替えの早さ……しかもゴジラがアタックした後だから第二のカブトは指定アタックされない……」

「うぉぉお!!…流石テンドウさんだぜ!!」

 

 

アスラとエールも次のターンでのテンドウの大逆転劇に期待が高まる。そんな中カブトを成功したテンドウのターンが幕を開けて………

 

 

[ターン05]テンドウ

 

 

「メインステップ……まぁ取り敢えずもう一度マスクドフォームを召喚して、ネクサスのカブトエクステンダーを配置して置くか」

 

 

ー【仮面ライダーカブト マスクドフォーム】LV1(1)BP3000

 

ー【カブトエクステンダー】LV2(1)

 

 

テンドウの場に再びマスクドフォームが姿を表すと共に、横へと赤いバイク型マシーンが配備される。

 

当然ながらバイクは乗る物だが、バトル中であるため彼はそれに跨ったりはしない。

 

 

「うぉぉお!!…バイクカッケェェー!!」

「男って大体あぁ言うの好きよね」

 

 

そんな中、アスラはテンドウのカブトエクステンダーに目をギラギラと輝かせながら興奮するが、逆にエールは興味なさそうに言葉を吐いた。

 

 

「アタックステップ。開始時にエクステンダーの効果でトラッシュのコア2つをマスクドフォームに戻し、そのLVを2までアップ」

 

 

ー【仮面ライダーカブト マスクドフォーム】(1➡︎3)LV1➡︎2

 

 

カブトエクステンダーの効果だ。使用されたトラッシュのコアがマスクドフォームに置かれ、そのLVを上昇させる。

 

そしてテンドウがコアの回収だけでターンを終了させるわけがなくて………

 

 

「アタックステップは続行、行って来い第二のライダーフォーム……効果発揮、【クロックアップ】」

「ッ!?」

「このスピリットのソウルコアをリザーブへ置くとで、このスピリットはブロックされなくなる」

 

 

カブト独自の効果……その名も【クロックアップ】

 

その内容は特別なコアソウルコアを支払う事により赤属性らしかぬブロックされない効果を発揮すると言うもの。何より三王であるテンドウ・ヒロミの十八番の技でもある。

 

しかし、それが何だと言わんばかりにウィルは伏せていたバーストカードへと目をやると、それを反転させた。

 

 

「アタック後のバースト発動!!……ケルビモン・悪!!」

「ッ!!」

「効果によりコレを召喚!!……闇より現れ出でよ、究極体のデジタルスピリット……ケルビモン・悪!!」

 

 

ー【ケルビモン(悪)】LV3(7)BP20000

 

 

バーストが反転すると共に闇の塊で密閉された球体がウィルの場に現れたかと思えば、そこからこの世のモノとは思えない程残忍な顔つきをしたデジタルスピリット、ケルビモン・悪が姿を見せる。

 

 

「こ、今度はデジタルスピリット……!?」

「ゴジラに加えてライダーとデジタルまで……アイツのデッキは一体どうなってんのよ!?」

「フフ、だから言ったでしょう。この世界の理では私を測る事などできないと」

 

 

驚きを隠せないアスラとエール。無理もない、何せウィルのデッキは普通では先ず組むことができないカード達で構成されているのだから…………

 

 

「ケルビモン・悪の召喚時効果!!…敵スピリット1体をBPマイナス10000し、0になれば破壊する!!…マスクドフォームを貫け!!」

「!!」

 

 

その手に雷の槍を握り、全力でマスクドフォームへと投擲するケルビモン。それは見事にマスクドフォームの肩部を貫き、爆散させて見せた………

 

しかし肝心のライダーフォームのアタックは継続しており………

 

 

「どんなに強いブロッカーを並べても無駄だ。クロックアップは全てをすり抜ける」

「!!」

 

 

……クロックアップ!!

 

第二のライダーフォームが腰にあるクロックアップの装置を叩くと、無機質な音声が流れ、時間の流れが信じられないくらい遅くなる。カブトはその中を凄まじい速度で走り出す。普通ならば誰しもその速さについていく事は不可能だが…………

 

ウィルのケルビモンだけは違った………

 

 

「フフ、ブロックしなさいケルビモン……!!」

「ん?」

 

 

時の流れが遅くなってしまったにもかかわらず俊敏な動きを見せるケルビモン。その巨大な体躯を活かし、両腕で第二のライダーフォームを捕らえると、それを地面に勢いよく叩きつけ、爆散させた…………

 

突然の事にアスラやエール、涼しい表情だがあのテンドウまでもが理解できなくて………

 

 

「わかっていないみたいだから説明させてもらおうか。ケルビモンはLV2か3の時、相手のアタック時効果を発揮できなくする」

「ふーーん。それでクロックアップを無効にしたわけか……説明どーも……なら仕方ねー、エンドだ」

手札:4

場:【変身!!仮面ライダーカブト】LV2(7)

【カブトエクステンダー】LV2(1)

バースト:【無】

 

 

大抵の強力なスピリットが持ち得るアタック時効果を無効にできるケルビモン。その存在はまさしく【クロックアップ】の天敵と言える。

 

結果的にまんまと返り討ちに合い、場のスピリットを全て失ったテンドウ。致し方なくそのターンをエンドとする。しかしその表情にはまだ余裕があり…………

 

 

[ターン06]ウィル

 

 

「メインステップ……もうこの戦いに新しいスピリットはいらないようだ。ウォズのLVを2へ上げてアタックステップ」

 

 

ー【仮面ライダーウォズ】(1➡︎3)LV1➡︎2

 

 

既に勝ちを確信しているウィル。スピリットのLVを上昇させるのみでメインステップを終了させ、アタックステップへと移行した。

 

 

「行きなさいゴジラ!!…さらにフラッシュ。ウォズの効果で自身を疲労させ、ゴジラのBPをプラス10000。貴方のライフ1つを破壊」

 

 

ー【ゴジラ(2004)】BP15000➡︎25000

 

 

「ッ………!」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉テンドウ

 

 

ウォズが片膝を付き、再び効果が発揮される。ゴジラはパワーアップを果たし、テンドウのライフが又しても1つ砕け散った。

 

これで残り1つ。ウィルのどのスピリットの攻撃を受けても彼の敗北と言う状況まで追い込まれてしまう。

 

 

「残念だよテンドウ・ヒロミ。この国最強の三王がこの程度の実力とはね」

「ウチのばあちゃんが言っていた」

「?」

「そう言う事をほざくヤツは大体負ける。フラグって言葉知ってる?」

 

 

大ピンチに陥っていると言うのにもかかわらず、余裕のある表情を見せるテンドウは、その手札からカードを1枚引き抜いて…………

 

 

「フラッシュマジック、リミテッドバリア」

「!?」

「このターンの間コスト4以上のスピリットのアタックじゃオレのライフは減らない」

 

 

放たれたマジックによりテンドウの前方にライフバリアとは別のバリアが出現。ゴジラはそれ事テンドウのライフを噛み砕こうとするが、結果的に傷一つつけられず…………

 

 

「成る程、防御マジックを持っていたか。ターンエンド………しかし次のターン、どちらにせよウォズの効果で貴方のライフはゼロになる…フフ、私の勝利は揺るぎませんね」

手札:4

場:【ゴジラ(2004)】LV2

【仮面ライダーウォズ】LV2

【ケルビモン(悪)】LV3

バースト:【無】

 

 

流石に致し方ないと見たウィルはそのターンをエンドとする。だが、デジタルスピリットやライダースピリット、終いにはゴジラを使役する自分の圧倒的に有利なこの状況、余裕のある笑みを浮かべずにはいられなかった………

 

 

「オマエそう言えばさっき三王を既に超えてるとか言ってたよな?」

「ん?…それがどうしたと言うんだい」

「本当に超えてるっつーならよ。次のオレの攻撃を凌いで証明して見せろや……!!」

「ッ……!?」

 

 

テンドウから放たれる異様な殺気と気迫。その凄まじい威圧にウィルは不覚ながら一瞬怯え、次のターンで彼の、三王たる者の本気の攻撃が来ると身構える…………

 

そして予想通り、次のターンからがテンドウの本気だ。

 

 

[ターン07]テンドウ

 

 

「メインステップ……第三の仮面ライダーカブト ライダーフォームを召喚」

 

 

ー【仮面ライダーカブト ライダーフォーム[3]】LV2(6)BP5000

 

 

テンドウの場に新しく現れたのは第三のナンバーを持つ仮面ライダーカブトのライダーフォーム。

 

 

「先ずはオレに神託……召喚時。5枚見てその中のカブトと名のあるカードを1枚加える」

 

 

召喚時効果も成功。テンドウは新たなカブトを手札へと加えた。

 

 

「さーーてと、コイツを使うのは結構久し振りだな………ちょび髭シルクハット。オレの本気、受け止めてみろや!!」

「ッー!!?」

「煌臨発揮!!…対象は第三のライダーフォーム!!…その際に効果でコストが6となる」

 

 

テンドウがソウルコアを支払い、スピリットを進化させる効果、煌臨を発揮させる。

 

カブトの左腰にカブトムシ型のマシーンが新たに装着。カブトはそれに備わっているレバー式の角を下に倒すと…………

 

 

………ハイパーキャストオフ!!

 

 

と、音声が流れ、カブトはライダーフォームの姿でさらにキャストオフを行う。

 

そして仮面ライダーカブトは最終形態である最強の姿、仮面ライダーカブト ハイパーフォームへと進化を遂げた………

 

 

ー【仮面ライダーカブト ハイパーフォーム[2]】LV3(6)BP14000

 

 

「これがオレのエース、ハイパーフォームだ。よく覚えときな」

「フフ、確かに如何にも強そうな見た目だ。だがまさかたった1体のライダースピリットで残りライフ4つの、しかも強力なスピリットを複数従えている私に勝とうと言うのですか?」

「あぁまぁな。煌臨時効果……BP20000以下のスピリット1体を破壊する。ケルビモンを消し飛ばす!!」

「!!」

 

 

カブトの最強の姿であるハイパーフォームは登場するなりベルトのレバーを横に倒す。するとそこから赤い電流が迸り………

 

 

「ハイパーキック……!!」

 

……ライダーキック!!

 

 

テンドウはその技をハイパーキックと称するが、当のハイパーフォームのベルトの音声からはライダーキックと称され、何故か一致しなかった。

 

だが技自体は有効。ハイパーフォームは跳び上がり、強烈なキックをケルビモンへとお見舞いして見せ、それを見事に爆散させた。

 

 

「えぇぇぇぇ!?…結局どっちが技名!?」

「うるせぇぞ小僧!!…んなもんどっちでも良いだろうが!!」

 

 

そう。結果的にアタック時を発揮させないと言う強力な効果を使うケルビモンを破壊できたのだ、技名なんて別にどちらでも構やしない。

 

 

「さていっちょ決めますか……アタックステップ。ハイパーフォームでアタックだ……!!」

 

 

ハイパーフォームの青い複眼に睨み付けられるウィル。ハイパーフォームはそのライフ目掛けてゆっくりと歩みを進める。

 

さらにこの瞬間、テンドウは徐に「フラッシュ……!!」と効果の発揮を宣言すると………

 

 

「オレの効果!!…コア3つを取り除き、このバトル中ハイパーフォームのシンボルを赤の2つにする」

「!!」

 

 

ー【変身!!仮面ライダーカブト】(9➡︎6)

 

 

創界神ネクサスであるカブトの効果だ。これによりハイパーフォームは一時的に一撃で2つのライフを破壊可能なダブルシンボルスピリットとなる。

 

この効果の使用により、ウィルは彼の考えている事をある程度予想して………

 

 

「成る程。この後さらに変身のカードの【転神】の効果を使用。スピリット扱いとなった自身にもダブルシンボルとなる効果を与え、2点と2点で合計4点のダメージを与えるつもりなのですね?」

「……正解!!」

「えぇぇぇぇ!?…教えちゃったァァァー!?」

 

 

本当に当たりなのかは定かではないものの、テンドウはウィルを指を刺しながらそう告げた。まさかの行為にアスラは思わずツッコンでしまう。

 

 

「フフ、本当にそうだとしたら貴方は私には勝てない!!…フラッシュマジック、光翼之太刀!!」

「!!」

「これによりこのターンの間、ゴジラのBPをプラス3000。さらに疲労ブロッカーの力を与える」

 

 

ー【ゴジラ(2004)】BP15000➡︎18000

 

 

ウィルが引き抜いたマジックカードにより、疲労していたゴジラが白いオーラをその身に纏い、事実上の活動状態となった。自力で【クロックアップ】を持たないハイパーフォームではブロックされてしまい、ひとたまりもないだろう………

 

ただ、それは飽くまでテンドウと言うカードバトラーが普通からの話ではあるが…………

 

 

「甘いな。フラッシュチェンジ、第一の仮面ライダーカブト ハイパーフォーム……!!」

「なに!?」

「効果でウォズを破壊!!…そして攻撃中の第二のハイパーフォームと入れ替え、バトルを続行させる!!」

 

 

天よりハイパーフォームの手元へと飛来して来たのは巨大なエネルギー纏う剣。ハイパーフォームはそれを振るうと、衝撃波が空を斬り裂きながら突き進み、ウィルのライダースピリット、ウォズを一刀両断にして見せた。ウォズはたまらず爆散してしまう。

 

 

ー【仮面ライダーカブト ハイパーフォーム】LV3(5)BP18000

 

 

「さらに第一のハイパーフォームのアタック時効果。クロックアップを超えた【ハイパークロックアップ】を発揮……!!」

「!!?」

「これによりオマエはハイパーフォームをブロックできず、フラッシュ効果を使う際に3コストを払わないといけない」

「何だと……!?」

 

 

遂に発揮されるカブトの最強奥義【ハイパークロックアップ】

 

これではゴジラに対して使用した光翼之太刀は無意味に等しい効果となった。

 

場の時がほぼ止まっている中、ハイパーフォームが剣を手にジリジリとウィルの元まで歩み寄る…………

 

 

だが…………

 

 

「その程度、要は3コストを余分に支払えと言う事でしょう?」

「!!」

「フラッシュマジック、3コストを余計に払い合計7コストでリアクティブバリアを使用します!!」

 

 

ウィルはリザーブの残ったコア全てを支払い新たな防御マジックを使用する。それは白属性を代表する「アタックステップ終了系マジック」の効果を有するカードであり…………

 

 

「そのアタックはライフで受ける!!………ッ」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉ウィル

 

 

ハイパーフォームの剣の一振りがウィルのライフを一気に2つ破壊する。残り2つまで追い詰めて見せるが…………

 

 

「リアクティブバリアの効果。このアタックの終了が貴方のターンのエンドとなる!!」

「!!」

 

 

マジックカードの影響により、突如として猛吹雪が発生する。それはハイパーフォームさえをも吹き飛ばし、テンドウの攻め手を削いで見せた………

 

 

「貴方の負けですよ。三王テンドウ・ヒロミ……さぁ、ターンをエンドとするのです」

「そんな……テンドウ……!!」

「テンドウさん………!?」

「ま、仕方ねーか。ターンエンドだ」

手札:4

場:【仮面ライダーカブト ハイパーフォーム】LV3

【変身!!仮面ライダーカブト】LV2

【カブトエクステンダー】LV2(1)

バースト:【無】

 

 

絶望的なエンドコール。その際にようやく猛吹雪が晴れるが、既にテンドウに攻撃する権利は残っていない…………

 

だが何故か今だに追い詰められているはずのテンドウはタバコを咥えながら余裕のある表情を浮かべていて…………

 

 

「私のターン………ん?」

 

 

ウィルは己の第8ターンをスタートしようと試みるが、何故かBパッドが動かなかった。いつもならば自動的にコアが増え、疲労しているスピリットも起き上がると言うのに…………

 

彼は一瞬頭の中にBパッドの故障が頭を過った。

 

だがそれは全くの見当違い………

 

その真の理由は…………

 

 

「おいおいどうしたちょび髭紳士野郎。まるで自分のターンが始められないみたいな顔してるな〜」

「ッ………まさか………!?」

 

 

テンドウがウィルを揶揄うように話し出してきた。この瞬間。ウィルは咄嗟に自分のターンが始められない理由が脳裏に過った。

 

それは紛う事なきテンドウ・ヒロミのせいなのではないかと………

 

そしてそのヒラメキと直感は的中していて…………

 

 

「さっきオレはオマエに『オレの攻撃を凌いでみろ』とは言ったが『オレの次のターンを凌いでみろ』とは言ってないぞ」

「…………どう言う事だ」

「フッ………第二の仮面ライダーカブト ハイパーフォームのアタック時効果。このターンのエンドステップ時、もう一度オレのターンを行う!!」

「ッ!?……な、なんだと!?」

 

 

その度肝を抜かれる強烈な効果に、流石のウィルも冷や汗を感じてしまう。

 

テンドウを選んだ仮面ライダーカブトは時をも超越した効果を持つ稀有な存在。つまり、もう一度彼のターンが行われる。前のターンで使用された光翼之太刀やリアクティブバリアも効力を失い、もはや意味が無くなり…………

 

 

「ウチのばあちゃんが言ってたぜ。天の道を行くヤツはこう言う効果は最後の最後まで口にしない」

「す、スゲェ!!」

「確かに凄いけど………何かもうちょっとカッコいい事言えないのかしら」

「何はともあれ、もう一度オレはオレのターンを行う!!」

 

 

己の言い回しをエールにツッコミを入れられながらも、ウィルの計算を狂いに狂わせたテンドウのエクストラターンが幕を開ける………

 

 

[ターン08]テンドウ

 

 

「アタックステップ!!……これで終わりだぜ………行け、仮面ライダーカブト ハイパーフォームッ!!……【神技】のフラッシュ効果でダブルシンボルとなるぜ!!」

(新たな防御マジックを打とうにももう使えるコアが足りない………!?)

 

 

ハイパーフォームの剣にトンボ、サソリ、ハチ型のマシーンが次々に装着されていく。そしてハイパーフォームはその剣をまるでエネルギー砲でも放つかのような構に切り替えると……………

 

 

「オレぁ正直、オマエがどこで何しようがどうでもいいのよ、髭紳士野郎」

「!!」

「でもな。この先も身内に手ェ出そうってんなら、オレは容赦なくテメェをぶちのめす!!……もちろん今、この瞬間もなぁ!!」

「くっ………ここまでか………」

「くらいやがれ!!」

 

 

……マキシマムハイパーサイクロンッ!!

 

 

テンドウが技名を叫ぶと共に、ハイパーフォームはガンモードとなった剣から巨大エネルギー砲を発射。

 

地面を抉り抜きながら突き進むその先には当然ながらウィルのライフがあって……………

 

 

「これが三王の力か………成る程、貴方の強さは理解できました。トゥエンティが強いわけだ………」

「!!」

「……ライフで受ける」

 

 

〈ライフ2➡︎0〉ウィル

 

 

その言葉を残すと、その凄まじいハイパーフォームの銃撃をライフで受けるウィル。

 

とんでもない破壊力の巨大エネルギー砲が彼のライフへと直撃し、それら全てを難なく破壊し尽くした。風圧により生まれた土煙の中、勝利を確信したテンドウ…………

 

しかし、不思議と倒したと言う手応えが無く、その土煙の中にはもうウィルはおろか気絶していたオロチさえも姿をくらましていて……………

 

 

「チッ……逃げやがったか……」

 

 

勝利こそしたものの、捕らえられな勝ったことにはらわたを煮えくり返すテンドウ。舌打ちが止まらない。

 

そして徐にBパッドを閉じると、自身にかけていた変身が強制解除され、場に残っていたハイパーフォームは姿を消滅させていった………

 

 

「うぉぉお!!…テンドォォォーさァァァん!!」

「!!」

「めっちゃカッコ良かったっす!!…スゲェっす!!…強かったっす!!」

「はいはい。ありがとよー」

 

 

アスラが目をギラギラと輝かせながらテンドウを労って来た。そのすぐ近くにはエールも確認できる。

 

ライダーハンターズの親玉は捕らえられなかったものの、テンドウは一先ずこの2人を守り抜く事ができた事にとりあえず満足して…………

 

 

「フン……べ、別に助けてなんて言ってないんだからね!!」

「なんで上から目線?………ま、いっか………よし帰るぞテメェら!!」

「おっす!!………って、アレ…なんか力が入らね………」

「ちょっ……アスラ!?」

 

 

さっきまではアドレナリンがドバドバと出ていたのか、安堵感で心を満たしたアスラは途端に倒れ込んでしまう。余程限界まで力を使っていたのが見て取れる。

 

その後、アスラはテンドウの背中で眠りにつきながら洞窟を出、黄色の町ライライ町へと帰っていった………

 

これにて長くなったライダーハンターズとの小競り合いも、一旦熱りが冷める事になる。再びアスラが最強カードバトラーの称号"頂点王“を目指す物語が動き出すのだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 




〈オマケストーリーズ!!〉

【NGしーん】



テンドウ「もちろん今、この瞬間もなぁ!!……くらいやがれ!!」


………ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲!!!


アスラ「なんかちょっと違う気がするぅ!?」
エール「アームストロング2回言ってるし」


******


最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

最初は本気で「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲(銀魂ネタ)」を技名にしようと思っていたのですが、これを入れるとネタシーンが多くなり過ぎる上に何か言われる気がしたのでオマケストーリーズに持ってきました笑
ちょっと似てますね。

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