「色々あったけど、みんな今日は叙勲式お疲れ様〜…さぁさぁ私の奢りだよ〜!!…どんと食べておくれ〜!!」
「うぉぉお!!…ありがとうございまァァァーす!!」
「うるさいぞアスラ」
ここはライライ町。その中にある超高級ホテル。そして時刻は夜。
オウドウ都での叙勲式を終えたアスラ、ロン、エール、シイナ、ムエの4人と1匹は今日をここで一泊する予定だ。もちろん費用は全て頂点王のシイナ持ち。
そしてその翌日には怪我を回復させたアスラが遂に4番目となるカラーリーダー、スピーカー・ヘブンに挑戦する。シイナが長いテーブルに所狭しと並ばせた料理の数々はその景気付けとも言える。
「うぉぉお!!…どれも味が高級過ぎてわからん!!」
「あんたもうちょっと黙って食べれないわけ?…まぁいつもの事なんだけど」
「むえ〜」
「あっはは!!…アスラは昔から喧しいからな〜」
勢い良く食べ物にがっついていたアスラが目をギラギラと輝かせながら味の感想を述べる。おそらくこれらの食べ物は高級過ぎてアスラやロンなどのコモンは普通に生きているだけでは決して味わう事はできないであろう。
「にしても明日はいよいよスピーカーとのバトルか。アスラ、何か作戦はある?」
「おぉ!!…んなもん気合と直感でドカーンよ!!」
「よし!!頑張れよ!!」
「いやいや、『よし!!』じゃないですよシイナ様…ちょっとバカスラ!!…あんた少しは何か考えないよ!!」
明日行われる黄色のカラーリーダー、スピーカー・ヘブンとの対決。アスラはいつもの直感でどうにかくぐり抜けるつもりでいた。非常に彼らしいと言えばそうだが、裏を返して言えば無鉄砲とも言える。
「スピーカーさんのデッキ知らないんだからしょうがねぇだろ。知っても何かずるい気するし、そん時になったら考えるって」
お気楽な考え方でいるアスラ。しかし、カラーリーダーの中でも有数の実力を誇るゴゴ・シラミネに勝利したとは言え、スピーカーにも必ずしも勝てるとは言い切れなくて…………
「んーーー……そうだな。じゃあ一言だけ情報を教えておくと、カラーリーダーは3枚以上のカラーカードを持つ相手には本気のデッキでバトルするんだ」
「…………どう言う事??」
「ッ……そう言えばヘラクレスはエレンお兄様とバトルした時は間違いなく本気のデッキだったわね」
シイナからのちょっとしたアドバイス。カラーリーダー達はカラーカードの所持枚数が3枚未満の挑戦者には本気のデッキではバトルをしない。
今思えばそうだ。エールが思い出したように、最初にバトルした緑のカラーリーダー、ヘラクレスがエレンとバトルした時、彼はアスラ戦では使わなかった究極体、「ヘラクルカブテリモン」を使用していた。おそらくあれが彼の全力だったのだろう。
「まぁ要するに、スピーカーはカラーカードを3枚持ってるアスラには本気の全力で来るって事だね」
「あーはいはい。なるほどなッ!!…どっちにしろオレはカラーリーダー達に全力を出してもらいたいんだ!!…願ったり叶ったりだぜ…………うぉぉお!!でも熱いバトルができると思ったら燃えて来たァァァー!!…ロン、今からバトルの特訓手伝えよ!!」
「嫌だ」
「何で!?」
「暑苦しいから」
翌日がバトルだと言うのに怪我が治った当日、前日の夜に特訓をしようとするアスラ。ロンはそんな彼のノリが嫌なのか、クールな表情を浮かべながらあっさり拒否する。
「じゃあエール頼む!!」
「嫌よ」
「オマエも!?…じゃあシイナは!?」
「アスラ〜頂点王には三王に勝ったヤツだけが挑んでいいんじゃなかったっけ〜?」
「ぐっ……そりゃそうだ。しゃあね〜朝っぱらに1人でやるか」
エールもシイナもアスラとの特訓を拒む。アスラは結局己のデッキを見直す程度の事しかできなかった。
******
「うおぉぉおーー!!!…なんてデッケェお風呂なんだァァァー!!」
「アスラうるさい。頭に響く」
「スーミ村の実家にある風呂が可愛く見えちまうぜ」
夜の食事を終え、お次は入浴タイムだ。アスラとロンの幼馴染み2人は高級ホテルの男湯に来ていたのだが、それが凄かった。金箔がこれでもかと張り巡らされた広大な風呂場は、アスラが驚くには余りにも十分で。
「おい見ろよロン!!…アレってきっとアレだろ。噂で聞いた熱さの我慢比べするヤツ…………えーーーっと………サウザー!!」
「サウナな。そして熱さの我慢比べする場所でもない」
「何だっていいさ!!…っしゃぁロン!!…そうと決まればあそこでどっちが我慢できるか勝負だァァァー!!」
「やらない」
サウナ室を見つけるなりロンとの対決を希望するアスラ。新しい物を見ては興奮する様子は正しく典型的な田舎の少年だ。
「……ほほう。特訓に誘った時も思ったけど、さてはオマエ、オレに負けるのが怖いな?」
「ッ……!!」
アスラがロンを軽く挑発する。ロンの眉毛がピクリと反応した。そしてそれと同時に彼は自分がこのチビでバカなヤツに心底腹を立てている事を理解する。
「いいだろう。蒸発しても悪く思うなよ?」
「サウザーに入ったら蒸発すんの!?」
…………「このバカな幼馴染みにだけは負けるわけにはいかない」そう思いながらロンはアスラと共にサウナ室へと足を運んだのだった。その後は予測できる通り、男達の文字通り暑苦しい対決が幕を開けて…………
******
「ふぁぁぁ〜…いい湯だった〜!!」
時は少しだけ経ち、男湯と女湯の入口の狭間、そこにあるソファで湯上りのエールは気の抜けた声が出てしまった。
さっきまではシイナとムエと入っていたが、未だに走り回って遊んでいたため、自分だけ早々に湯船に漬かり、上がって、こうして待つことにしたのだ。
そしてワンチャン横の男湯からアスラが出て来ないかな……と、思っていたり……
(いや、まぁ一応明日カラー戦だし……応援してやらなくもないわ……べ、別にあんなバカスラの事なんて何とも、何とも思ってないし……!!)
本当はバカで無鉄砲で真っ直ぐでカッコイイアスラが好きで仕方ないが素直になれないエール。
そんな時、男湯の扉が開いた。エールは出てきたのがアスラだと思い、咄嗟に声を上げるが…………
「あ、アス…………なんだあんたか」
「……確か、いつもアスラと一緒にいるエックスの女か。確か究極進化が出来ない」
「フン、そんな事とっくにできるようになったわよ!!……てか私の認知度低くない!?…私はエックスよ!!」
「そうか」
出てきたのはアスラではなくロンだった。エールは内心で「期待して損した」と考えながら肩を落とす。
地味に彼らはこれまで関わった事はあるものの、一度も会話を交わした事がない。今回でようやく初めて言葉を交わす事となった。
「……て言うかロン……だったわね、アスラはどうしたのよ?…一緒にお風呂入ってたんじゃないの?」
「アスラはオレとサウナで我慢比べの勝負をした結果気を失ったから水風呂に放り込んで来た」
「はぁ!?…何やってんのよあんた達!?」
「何って、熱さの我慢比べだけど……?」
「いや、それはわかるけど……」
あのサウナ室での決闘はロンの勝利だったようであり、ロンは敗北したアスラを水風呂に叩き込んできた後にこうしてようやく男湯から脱出を果たしたのだ。
「あんた、意外と負けず嫌いよね………そんなにあのバカスラに負けたくないわけ?」
「まぁな」
エールがロンのアスラに対する対抗心に疑問を抱く。普段は口数の少ないロンだが、今回は初絡みであるエールに意外にもその理由と己の考えを語り出して……………
「オレとアスラは昔から一緒に暮らしていたからか、よく比べられていた……そしてその全ての人達はオレの方が凄い、優れていると言った………生まれた時からライダースピリットに選ばれていたのが理由だろう。けど違う。本当に凄いのはオレじゃない………あいつの方だ」
「ッ!!」
「あいつは初めてバトスピした5歳の頃から自分はソウルコアが使えない事を知った。だが、あいつは曲げずに誰よりも努力をして今の自分を作り上げた。本当に凄いのはあいつだ。だからこそオレはあいつには負けない。あいつをも超えてオレは頂点王に立つ………!!」
生まれた時からアスラを見てきたロンからの言葉。天才と呼ばれていた彼でもそれなりの葛藤があったのだとエールは感じる。そして改めてアスラの凄さを理解した。
ロンは天才だから強いのではなくて、何事も諦めたりしない不屈の魂を持つアスラと言う熱血漢と競い合ったからこそ強いのだと彼女の頭の中にスッと入って来た。
「ーーーーッ!?」
「え………ちょ、ちょっと!?」
アスラの最大の好敵手であるロンの気持ちを少しだけ理解出来たエールだったが、その直後にロンは何故か気を失い、エールにもたれ掛かってしまう。エールはいきなり過ぎて思わず少しだけ顔が赤くなる。
だが、急に倒れた理由は直ぐに判明して…………
「こいつ体熱!?……もしかしてアスラとサウナ室で我慢比べの勝負をした時に結構無理してたとか??……だとしたらどんだけ負けたくなかったのよ………」
アスラとの我慢比べでとっくに限界を迎えていたロン。エールはどうにかして運びたいが、自分の力ではどうしても長身のロンは背負えない。取り敢えず自分が座っているソファに寝かせようとするが…………
そんな時、今度は女湯の扉からオレンジ色の小動物、ムエを頭に乗せている頂点王シイナが現れて…………
「ん?……エールちゃんにロン?」
「あぁシイナ様。ちょうど良かった、こいつを運ぶの手伝ってください」
タイムリーだと思い、エールはシイナに助けを求めるが。シイナはその様子にニヤついて…………
「あらあら〜…エールちゃん〜…まさかアスラからロンに!!……ふふ、いいよ〜…私はアスエーでもロンエーでもどっちでも楽しめちゃうよ〜!!」
「違うわよ!!……て言うかなんですかその略称!!」
エールの好意がアスラ以外の誰かに動くことは無いと思っているシイナだったが、この状況は美味しいと思い、彼女をからかう。
「オウドウ都からロンを連れてきて良かったよ〜まさか3人の修羅場を拝めるなんて」
「どうでも良いですから早く手伝ってください」
自分の息子的な存在であるアスラとロン。妹的な存在であるエールのドラマチックな場面に沢山遭遇できてとてもご満悦な様子である頂点王シイナ。
その後も彼らは楽しく高級ホテルでの一泊を満喫し、明日に控えたアスラの黄色のカラー戦に備えたのだった……………
******
翌日。遂にアスラの挑戦の時が訪れる。一行は昼頃に黄色のカラーリーダー、スピーカー・ヘブンの待つライライ町のスタジアムへと足を向ける。
そしてロンやエール、頭にオレンジの小動物、ムエを乗せた目標である頂点王シイナまでもが見ている状況の中、アスラはクシでトサカのような金髪を整えているスピーカーと対面した。
「HAYミニマムBOY!!…よくオレ様のスタジアムに来たな!!…もう怪我はOKかい?」
「誰がミニマムBOYですかァァァー!!…怪我はこの通りィィィー!!…てゆーか昨日の時点で全然治ってましたァァァー!!」
アスラは昨日まで包帯が軽く巻かれていた腕をスピーカーに見せつけながらそう叫んだ。オロチとの戦いでボロボロになったアスラの身体はここ数週間の休暇で完全に回復を果たしたようだ。
「WOHHHHー!!…そいつは良かったぜBOY……そんじゃ早速、鉄壁の三番手、ゴゴ・シラミネを突破したそのPOWER、見せてもらおうか!!」
「おうっす!!…絶対に勝ってまた一歩、確実に頂点王に近づいて見せまァァァーす!!」
「…………なんかあの2人が揃うと、より一層喧しいわね」
カラー戦のバトル前にテンションが徐々にハイになっていくアスラとスピーカー。大声で叫びながらもコミュニケーションを交わしていく2人にエールは軽くツッコミを入れる。
「さてと……スピーカーの黄デッキはある意味ゴゴのじっちゃんより厄介なんだよな」
「そうですね」
「??……どう言う事ですか?」
「まぁ、エールちゃんも見てたらわかるよ………さぁ息子アスラ。どう攻略して前に進む?」
「むえ〜」
スピーカーのバトルスタイルやプレイングを熟知している頂点王シイナがそう言った。彼とバトルを行ったロンは相槌からして理解しているようだが、エールはわかっていないようで、頭にハテナの疑問符を浮かべていた。
そして彼らでそのような会話が行われていた中、アスラとスピーカーは互いのBパッドを構え合い、己のデッキをセットした。これで準備は万端、いつでもバトルを開始できる。
「へへ、いっちょそんじゃやりますか黄色のカラーリーダー様!!」
「OK!!…カラーカードを3枚持っている以上、オレ様はオマエに容赦はしないぜベイベー!」
「ハナっから容赦してもらう気もねぇ!!……行くぜ!!」
………ゲートオープン、界放!!
最大のライバルロンや、目指すべき目標、頂点王シイナが見守る中、アスラとスピーカーの黄色のカラー戦がコールと共に幕を開けた。
先行はアスラだ。怪我のせいで対面でのバトルができず、ストレスが溜まりっぱなしだったここ最近。その鬱憤を晴らそうとするかの如く気合を入れ、凄まじい勢いでターンシークエンスを進めていった。
[ターン01]アスラ
「へへ、久し振りにオレのターンだぜ!!……来い、ミラーワールド!!」
ー【ミラーワールド】LV1
アスラの配置したネクサスにより、周囲の景色が鏡向きに変更される。
「WOHHHH!!…聞いてた通り!!…オマエもそこのロンと同じタイプのライダースピリットを使うんだな!!」
「おうっす!!…このデッキと共に1番を取って見せまァァァーす!!……ターンエンドッ!!」
手札:4
場:【ミラーワールド】LV1
バースト:【無】
何はともあれ先行の1ターン目はミラーワールドの配置とアスラの1番宣言で終わりを迎える。
次はこの国の黄色のカラーリーダー、スピーカー・ヘブンのターンだ。
[ターン02]スピーカー
「WOHHHHー!!……オレ様のファーストステージ!!…オレ様は黄色の成長期スピリット、第二のプロットモンをサモンするぜHYEAHHー!!!!」
「ッ………デジタルスピリット!!」
「な、何よアレ……か、可愛いじゃない……!!」
ー【プロットモン[2]】LV2(2S)BP2000
注目されるスピーカーの初手はデジタルスピリット、その内の成長期、犬型のスピリットであるプロットモンだ。その愛くるしい表情と仕草でエールは少しばかり胸を打たれる……………
「HAY!!可愛いだけじゃないんだなYEAHHー!!…サモン時効果でデッキの上から3枚をオープンザカード!!…その中の対象カードをゲット!!」
第二のプロットモンに内蔵されている効果は成長期スピリットではよく見かけるサーチ効果。スピーカーはその効果を駆使し、デッキから新たなるカードを加えて見せた。
「さらにバーストを伏せ、ファーストステージはこれにて終了だぜい!」
手札:4
場:【プロットモン[2]】LV2
バースト:【有】
それだけで貴重なそのターンを終えるスピーカー。次は再びアスラの番だ。久しぶりのバトルに腕が鳴っているのか、如何にもいつもより果敢に攻めていきますっと言った表情のまま、そのターンシークエンスを進めていって…………
[ターン03]アスラ
「メインステップ!!……ミラーワールドのLVを2に上げ、ゴラドンと龍騎を召喚!!」
ー【ゴラドン〈R〉】LV1(1)BP2000
ー【仮面ライダー龍騎】LV1(1)BP2000
小さな怪獣ゴラドンと、赤きライダースピリット龍騎がアスラの場に姿を見せる。
「龍騎の召喚時効果、カードを3枚オープンし、その中の対象カードを加える!!」
この効果で捲られたのは「龍騎サバイブ」「仮面ライダー龍騎[2]」「ガードベント」………
アスラはその中の「龍騎サバイブ」と「ガードベント」を手札に加え、残りはトラッシュへと破棄した。
「バーストをセットしてアタックステップ!!…龍騎でアタック、さらにミラーワールドの効果でデッキの上から1枚オープン。それがアドベントカードなら発揮できる!!」
ミラーワールドの効果が発揮される。アスラのデッキからオープンされたカードは「ストライクベント」………よってこの効果を彼は発揮させて………
「っしゃぁ!!…ストライクベントの効果でプロットモンを破壊して1枚ドローだ!!」
「!!」
龍騎はベルトからカードを引き抜き、その1枚を左腕のバイザーに装填。「ストライクベント!!」の音声と共に赤き龍の頭部を模したガントレットが右手に装備される。
そして龍騎はそれを前方に突き出し、火炎放射を放つ。プロットモンは焼き尽くされ、堪らず爆散した。
「よし!!」
「『よし!!』じゃないわよ!?…あんた何であんな可愛いスピリットを破壊したわけ!?」
「バトルだからだよ!?…てゆーかどっちの味方ァァァー!?」
愛くるしかったプロットモンの破壊に少なからずショックを受けるエール。問答無用で倒したアスラに愚痴を零す。
そんな彼らが軽く言い争ってる中でも龍騎は果敢にスピーカーのライフを打つべく走っていて………
「破壊にドロー、GOODなアタックだ!!……いいぜ、それはライフで受けてやる!!……ッ」
〈ライフ5➡︎4〉スピーカー
龍騎の拳がスピーカーのライフを1つ粉砕。ガラスが砕け散るような甲高い音がこだまする。
これにより先制点を与えたのはアスラだ。彼の優勢には間違いなかった。しかし、スピーカーは何故かそんな中でニヤリと口角を上げており………
「HAY!!…エクセレントなアタックをサンキュー!!……だけどバーストを全く警戒してないのはナンセンスだぜ!!」
「!!」
「ライフ減少のバースト、イマジナリーゲート!!……これでオレ様は黄色のスピリットをノーコストでサモンできる!!」
勢い良く反転したスピーカーのバーストカード。アスラとて警戒していなかったわけではない。オロチとの戦いの経験から、序盤でそれを使わせてしまおうと思い至り、覚悟の上で龍騎でのアタックを行った。
しかしその結果としてスピーカーの持つ強力なスピリットの召喚を許してしまうわけだが…………
「手札からノーコストでサモン!!…黄色の完全体スピリット、ホーリーエンジェモン!!」
「!!」
ー【ホーリーエンジェモン】LV3(3S)BP12000
天空より現れし光のゲート。その中より現れたのは白き翼を羽ばたかせる優雅な大天使。右腕に装着された紫色の剣を構え、アスラとそのスピリット達と対峙する。
「……黄色の完全体のスピリット……カッケェなコノヤロー、ターンエンドだ!!」
手札:5
場:【仮面ライダー龍騎】LV1
【ゴラドン〈R〉】LV1
【ミラーワールド】LV2
バースト:【有】
明らかに強力な力を持つであろうホーリーエンジェモンの登場により、確実に劣勢に立たされた事を自覚するアスラだが、それと同時にバトルを楽しんでいるのか、目をギラギラと輝かせながらそのターンを終える。
おそらく強い相手を前にしてその闘志を熱く燃やしているのだろう。
[ターン04]スピーカー
「メインステップ!!…オレ様のセカンドステージ!!…オレ様のデッキで強いのはホーリーエンジェモンだけじゃないぜYEAHHー!!」
どんどんテンションを上げていくスピーカー。その手札から新たなスピリットカードがBパッドに叩きつけられる。
そのスピリットはホーリーエンジェモンと並ぶ彼のデッキの双璧であり………
「ホーリーエンジェモンのLVを3から1に下げ、黄色の完全体スピリット、エンジェウーモンをサモン!!」
「ッ!?……2体目の完全体スピリット!?」
ー【エンジェウーモン】LV1(1S)BP5000
上空より優雅に舞い降りながらホーリーエンジェモンの横に現れたのは大天使の1人、まるで天女のような姿をした黄色の完全体スピリット、エンジェウーモン。
「思ってたより展開が速いな……アスラにはあの2体が揃う前にさっさとライフを破壊して欲しかったところだったけど………」
「?」
バトルを観ているシイナがそう言葉を落とした。エールはスピーカーと言う人物を知らないため、何が何だかわからなかったが………
その理由はまもなく判明する事になる。
「エンジェウーモンサモン時効果!!…LV1の相手スピリット全てを手札に戻し、その数だけライフを回復する!!」
「なに!?」
〈ライフ4➡︎6〉スピーカー
現れたエンジェウーモンの召喚時効果が炸裂。全身から放たれる黄色い波動にゴラドンと龍騎が粒子となってアスラの手札へと帰還してしまう。
さらに効果はそれだけでは終わらず、スピーカーのライフを一瞬にして2つも回復させた。
「スピーカーの得意戦術はライフの回復。バトルが終わった時にあいつのライフが5を超えるなんてザラにある事さ」
「あぁだからゴゴ・シラミネより厄介………」
「そう言う事。長期戦になればなるほど有利になる。逆に長期戦になるにつれ不利になるアスラの速攻デッキとは水と油みたいな感じだね」
シイナがエールに説明する。
スピーカーのバトルスタイルはライフの回復。アスラは速攻でライフを削り切らなければこのバトルが不利になる事を頂点王シイナは最初から見抜いていた。
「HAYー!!…お待ちかねのアタックステップ!!…言って来いホーリーエンジェモン!!…効果でまたまたライフ1つを回復!!」
「ッ……そいつもライフ回復できんのかよ!?」
〈ライフ6➡︎7〉スピーカー
今度は最初に現れた完全体、ホーリーエンジェモンが攻撃を仕掛けるべく飛翔した。その瞬間にまたしてもスピーカーのライフが1つ回復する。
そしてメインステップの時点でアスラのスピリット全ては手札に戻されてしまったためブロックができなくて…………
「ライフで受ける!!………ッ」
〈ライフ5➡︎4〉アスラ
ホーリーエンジェモンの右腕の剣が一閃。アスラのライフ1つを斬り裂く。しかし、その行為はアスラのバーストの発動条件でもあって………
「今度はオレのバーストだ!!……アドベントドロー!!」
「!!」
「効果でBP7000以下のエンジェウーモンを破壊!!…コストを支払って2枚ドローだ!!」
勢い良く反転されるアスラのバーストカード。隕石のような火炎弾が急降下し、エンジェウーモンを撃墜しようと試みるが………
「甘いぜベイビー!!…エンジェウーモンの効果!!…天霊スピリットが効果でフィールドを離れる時、オレ様のライフをそのスピリットに置く事で場に残す!!」
「!?」
〈ライフ7➡︎6〉スピーカー
ー【エンジェウーモン】(1S➡︎2S)LV1➡︎2
スピーカーのライフが消滅。それはエンジェウーモンの前方に巨大な姿となって再び現れ、火炎弾より彼女を守る。
「WOHHHHー!!!…その程度のカウンターじゃオレ様にこれ以上傷はつけられないぜYEAHHー!!……セカンドステージはこれで終わり、ターンエンド!!」
手札:3
場:【ホーリーエンジェモン】LV1
【エンジェウーモン】LV2
バースト:【無】
強力な効果を持つ完全体を2体並べ優勢に立ったスピーカーはこのターンをエンドとする。
次はアスラのターンだ。反撃するべく、そして全てのライフを破壊すべくそのターンシークエンスを進行させていった…………
[ターン05]アスラ
「メインステップ!!……ゴラドン、龍騎。でもってドラゴンヘッド2体を召喚!!」
ー【ゴラドン〈R〉】LV1(1)BP2000
ー【仮面ライダー龍騎】LV1(1)BP2000
ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000
ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000
アスラは手札に戻ったスピリット達を再召喚。さらにドラゴンの頭部のみで活動するスピリット、ドラゴンヘッドもその小さな姿を見せる。
そしてアスラは龍騎の召喚時効果で新たなカードを手札に加えた後に、立て続けに手札のカードを引き抜いて…………
「さらに!!…オレは龍騎サバイブをLV2で召喚!!…不足コストはミラーワールドとドラゴンヘッド2体から確保、よって消滅!!」
「!!」
アスラの場に赤きライダースピリット、龍騎が現れる。
その龍騎はベルトにあるカードデッキからカードを引き抜くと、瞬間に烈火の如く炎が燃え上がり、その中で龍を模した銃器にカードを装填………
………サバイブ!!
ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2(2)BP11000
龍騎はさらなる強化形態、仮面ライダー龍騎サバイブとなり、アスラの目の前に現れた。その大きなコストの対価に伴い、2体のドラゴンヘッドは消滅してしまう。
「へぇ……アレがアスラのサバイブか……!!」
「そう言えば黄金の翼のカードってシイナ様が見つけたのよね?……どこで見つけたの?」
「ん?……あぁ、コラボダンジョンでねちょろっとね」
アスラの龍騎サバイブを初めて拝める事となったシイナ。自分のあげた黄金の翼のカードがこんな強力なカードになるとは思ってもいなかっただろう。
「アタックステップ!!……ライフが増え続けるならそれ以上にライフを砕くだけだぜ、龍騎サバイブでアタック!!…効果でホーリーエンジェモンを破壊!!」
龍騎サバイブは龍の頭部を模したシャッドガンから烈火の如く弾丸をホーリーエンジェモンに向けて射出するが…………
「破壊されるのはノーサンキュー!!…エンジェウーモンの効果は他のスピリットにも及ぶ!!…ライフを犠牲にホーリーエンジェモンを場に残す!!」
〈ライフ6➡︎5〉スピーカー
ー【ホーリーエンジェモン】(1➡︎2)LV1➡︎2
再びスピーカーのライフのコアが消滅、フィールドに巨大化して現れ、今度はホーリーエンジェモンを烈火の弾丸から守り抜く。
「ッ……でも場に残すだけで破壊はした扱いだ!!…龍騎サバイブに赤のシンボル1つを追加!!」
破壊がダメならダブルシンボルで攻めに出るアスラ。しかし、ダブルシンボルと化した龍騎サバイブの強力な攻撃が炸裂するかと思われたその時、スピーカーは手札にあるカードを1枚引き抜いて………
「フラッシュ【煌臨】発揮!!…対象はエンジェウーモン!!」
「!?」
アスラでは決して使う事ができないソウルコアを支払うスピーカー。そしてその刹那の瞬間、エンジェウーモンが溢れんばかりの聖なる光に包まれていって……………
「HAYー!!……エンジェウーモンを究極体、ホーリードラモンにエボリューション!!」
ー【ホーリードラモン】LV1(1)BP8000
光の中で大きく姿形を変化させたそれは遂にそれを解き放つと、そこにいたのは桃色の身体。10枚の翼を持つまるで神の使いのような神獣ホーリードラモン。
その気高き咆哮がスタジアム全体を包み込んだ。
「今度は究極体かよ………でもまだオレの龍騎サバイブの方が強い!!」
「YEAHHー!!……バトルはBPだけがオールじゃないぜ!!……ホーリードラモンのエボリューション時効果!!」
ホーリードラモンの存在にも果敢に銃を構える龍騎サバイブだが、カラーリーダーであるスピーカーがこんな意味のない場面で究極進化など行うわけがなく、その効果を遺憾なく発揮させていく………
「煌臨元のエンジェウーモンを手札に戻し、このターンの間、相手スピリット全てのシンボルを0にする!!」
「なに、0!?」
「YEAHHー!!…そうさ。龍騎サバイブのシンボルが増えていようがホーリードラモンはそれを0にしちゃうZE!!」
ホーリードラモンは空間が揺れる程のハイパーボイスを放つ。龍騎サバイブをはじめとするアスラのスピリット達は全てそれに包み込まれてしまい、ライフを破壊するのに必要不可欠なシンボルを失ってしまう。
「龍騎サバイブのアタックはライフで受ける!!」
〈ライフ5➡︎5〉スピーカー
龍騎サバイブがショットガンから烈火の弾丸を放つが、シンボルが無いため、スピーカーのライフはそれをまともに受けても傷一つつかなかった。
「HAYミニマムBOY……龍騎サバイブはバトル終了時、シンボル分だけ追加でライフを破壊するが、0じゃ意味無いよな」
「くっ………ターンエンドだ」
手札:6
場:【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2
【仮面ライダー龍騎】LV1
【ゴラドン〈R〉】LV1
【ミラーワールド】LV1
バースト:【無】
スピーカーの言う通り、龍騎サバイブは強力なアタック時効果を有するが、それはシンボルがあってこその効果。ホーリードラモンでシンボルにされたこのターンでは少なくとも無力。
アスラは悔しさに歯を噛みしめながらこのターンをエンドとした。
「龍騎サバイブでもライフを破壊できないなんて……」
「コモンで、しかもソウルコアが使えないとは言え、3番目のカラーリーダーを倒した時点で、アスラは他のカラーリーダー達からも一目置かれる。カラーリーダー達は初見殺しじゃ絶対に負けないように、必ず、確実に対策を練ってくる」
いつでも、どんな時でもエースとして敵のライフを破壊して来た龍騎サバイブ。その強力な攻撃が意図も容易く防がれてしまうのを見て信じられないように言葉を零すエール。
その横でシイナが言うように、カラーリーダー達は3番目のゴゴ・シラミネを倒した者に一目置く。4番目以降のカラーリーダー達はこれまでの挑戦者の情報を元に彼らの対策を練ってくるのだ。
「どちらにせよこの先一工夫、二工夫でもできるようにならないと上にはいけないぞ。どうするアスラ?」
アスラがここをどう潜り抜けるのかが楽しみなのか、小さく微笑みながらバトルの方へと目を向け直すシイナ。その横でロンも真剣な目つきでライバルであるアスラのバトルを見つめていた。
[ターン06]スピーカー
「メインステップ!!……オレ様のサードステージ!!…ホーリードラモンのLVを2にアップさせ、エンジェウーモンをデュアルサモン!!」
ー【ホーリードラモン】(1➡︎2)LV1➡︎2
ー【エンジェウーモン】LV2(2)BP7000
ホーリードラモンの煌臨時効果によって手札に戻っていたエンジェウーモンが再び天女のように舞い降りて来た。
「サモン時効果!!…LV1のゴラドンと龍騎を手札に戻し、ライフ2つを回復!!」
「くっ……またかよ!?」
〈ライフ5➡︎7〉スピーカー
エンジェウーモンが全身から放つ光の波動が再びアスラのゴラドンと龍騎を粒子化させ、主人であるスピーカーのライフを大きく増やした。
「アタックステップ!!…ホーリーエンジェモンでアタックだYEAHHー!!!……その効果でライフを1つ回復し、相手スピリット1体のBPをマイナス13000、0になったら破壊!!…龍騎サバイブを破壊するZE!!」
「なに……サバイブ!?」
〈ライフ7➡︎8〉スピーカー
ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】BP11000➡︎0(破壊)
ホーリーエンジェモンがスピーカーのライフを回復させると共に、龍騎サバイブへと向けて剣を一閃。一瞬にして龍騎サバイブの腹部にエックスの文字を刻み込む。
龍騎サバイブは流石に堪らず力尽き、爆散してしまう。
「エース討ち取ってやったぜYEAHHー!!……アタックは継続中!!」
「ッ……ライフで受ける……ッ!!」
〈ライフ4➡︎3〉アスラ
今度はアスラのライフを斬り裂くホーリーエンジェモン。さらにスピーカーはブロッカーのいないアスラの場へと一気に攻め込んで…………
「続けてホーリードラモンでアタック!!……さらにフラッシュで効果を発揮!!…オレ様のライフ1つをトラッシュに置く事で回復する!!」
「!?」
〈ライフ8➡︎7〉スピーカー
ー【ホーリードラモン】(疲労➡︎回復)
畳み掛けるスピーカーのスピリット達。ホーリードラモンがスピーカーのライフを糧に動き出した。しかもこの効果はターンに一度ではなく、スピーカーのライフが存在する限りアタックをする事が可能だ。
しかしアスラとて防ぐ事ができないわけではなく、手札からその対処できるカードを切って見せた。
「フラッシュマジック……ガードベント!!」
「!!」
「効果でこのターン間、オレのライフは1つしか減らねぇ!!…アタックはライフで受ける!!……がっ!!」
〈ライフ3➡︎2〉アスラ
神の使いらしい気高き咆哮をあげるホーリードラモンがアスラのライフ1つを噛み砕いた。しかし、アスラの使用したガードベントのカードにより、このターン、彼のライフは1つしか減らない。
スピーカーのライフが多かろうが少なかろうがこのターンはライフを減らす事ができなくて…………
「………WOHHHHー!!!…なかなかデキルじゃねぇか!!…このターンはエンドにしてやるぜYEAHHー!!」
手札:3
場:【ホーリードラモン】LV2
【ホーリーエンジェモン】LV2
【エンジェウーモン】LV2
バースト:【無】
このターンでの勝利は不可能にされたものの、ノリノリな様子でそのターンを終えるスピーカー。
少しずつではあるがアスラは確実に不利な状況に立たされている。しかし、それを一番感じているのは彼自身。このターンでそれを一気に挽回すべく、シークエンスを進めていった。
[ターン07]アスラ
「メインステップ!!……何回もごめんな!!…もう一度頼むぜゴラドン、龍騎!!」
ー【ゴラドン〈R〉】LV1(1)BP2000
ー【仮面ライダー龍騎】LV1(1)BP2000
エンジェウーモンで戻されたゴラドンと龍騎が三度目の召喚を果たす。アスラは再び龍騎の召喚時効果を使用し、アドベントカードの一種を手札に加えた。
「さらにマジック、コールオブロスト!!」
「!!」
「トラッシュから龍騎サバイブのカードを手札に戻す!!」
使用される回収マジック。ホーリーエンジェモンにより破壊された仮面ライダー龍騎サバイブのカードを手札へと戻した。
「でもってネクサス、燃えさかる戦場を2枚連続配置!!」
ー【燃えさかる戦場〈R〉】LV1
ー【燃えさかる戦場〈R〉】LV1
フィールド全体が赤々と燃えたぎる炎に包まれる。そしてアスラはここからが本番だと言わんばかりに手札にある回収したエースカードを再びBパッドへと叩きつけた。
「行くぜ、龍騎サバイブを再召喚!!…不足コストはゴラドンを消滅させて確保!!」
……「サバイブ!!」の音声が鳴り響き、燃えさかる戦場より龍騎の強化形態、サバイブが再び姿を見せる。しかしその代償としてゴラドンが消滅した。
ここまで来たら後は前のターンのリベンジを果たすだけだ。アスラはサバイブ再召喚の勢いに乗ったまま「アタックステップ!!」と強く宣言して…………
「龍騎サバイブでアタック!!…効果でホーリードラモンを破壊!!」
「それじゃあまだまだスイートだぜベイビー!!…ホーリードラモンもこう見えて天霊スピリット、エンジェウーモンの効果で守るZE!!」
〈ライフ7➡︎6〉スピーカー
ホーリードラモンに向けて烈火の弾丸を放つ龍騎サバイブだったが、又してもエンジェウーモンの効果によるバリアで阻まれてしまう。
「くっ……だったらダブルシンボルでアタック!!」
破壊できないモノはしょうがない。効果によりダブルシンボルとなった龍騎サバイブで果敢に攻めるアスラだが………
スピーカーにはまだそれを返り討ちにする手段が手札にあって…………
「フラッシュ【煌臨】発揮!!……今度の対象はホーリーエンジェモンだぜYEAHHー!!」
「なッ……二度目の煌臨!?」
アスラでは使う事ができないソウルコアがスピーカーのトラッシュへと再び弾かれる。その刹那に溢れんばかりの光に包み込まれたのは完全体ホーリーエンジェモン。
完全体スピリットが煌臨対象となったと言う事はそれ即ち、究極進化だ。
「最高にCOOLなオレ様の時代到来!!……ホーリーエンジェモンを究極体、セラフィモンにエボリューション!!」
ー【セラフィモン】LV1(2)BP8000
ホーリーエンジェモンは光の中で姿形を変え、新たな姿へと昇華する。やがてその光を弾き飛ばしたかと思えば、そここら青き鎧、10枚もの黄金の翼を束ねる黄色の究極体スピリット、セラフィモンが地上へと降り立った。
「2体目の……究極体……青い鎧カッケェー!!」
「HAY!!…喜んでる場合じゃねぇZE!!…エボリューション時効果!!」
「!!」
「煌臨元となったホーリーエンジェモンを手札に戻す事で、相手スピリット全てのBPをマイナス10000する!!」
「なに!?」
ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】BP17000➡︎7000
ー【仮面ライダー龍騎】BP2000➡︎0(破壊)
ホーリーエンジェモンのカードがスピーカーの手札へ戻ると同時に幾千もの光の礫がアスラの場に降り注ぐ。龍騎サバイブは辛うじて生き残るも、通常の龍騎は堪えきれず、堪らず爆散した。
「WOHHHHー!!…BPが下がった事でホーリードラモンより弱くなったな!!」
「!!」
「ブロックだ!!」
アタック中だった龍騎サバイブのブロックに入るホーリードラモン。圧倒的な体格の差と上空からの攻撃で龍騎サバイブを翻弄する。龍騎サバイブも負けじと烈火の弾丸を放ち応戦するが、その努力も虚しくホーリードラモンの口内から放たれた黄色い光線を諸に受け、又しても爆散してしまった………
「サバイブが二度負けた………」
「……エースの二度目の破壊は……キツイな」
周囲からアスラを見守るエールとシイナがそう呟いた。ただでさえ応えるエースの破壊や敗北。それを一度のバトルで二度も味わってしまうなど、バトラーにとっては確かな心の傷になる。
「シイナの言う通り、確かにエースカードの二度目の負けは精神的に大きな負担になる………が、あの程度でへこたれるくらいならあいつはとっくの昔にオレのライバルなんてやめてますよ」
ロンがアスラに目を向けながらそう言った。エールとシイナもアスラの表情を伺うが、それは負けを確信した目ではなく、挑戦者の勝利を懇願する眼差しそのモノ。
それはサバイブと言う絶対的エースが二度も破れ去った今でも負けを決めつけていない何よりの証拠であった。
「ターンエンド!!……マジでめちゃくちゃ強いなコノヤロー!!…でも負けねー!!…
手札:4
場:【ミラーワールド】LV1
バースト:【無】
「GOODなガッツ!!…見上げたマインド!!…だったら次のオレ様のターンをどうにかしてみるんだな!!」
手堅いカウンターを受け、場がガラ空きとなってしまったが、強気にそのターンをエンドとするアスラ。
スピーカーはアスラのそう言う心が強い面を評価しながらも、このバトルの決着を着けるべくターンシークエンスを進めていった………
[ターン08]スピーカー
「メインステップ!!……いよいよオレ様のファイナルステージだぜYEAHHー!!!…手札に戻ったホーリーエンジェモンをデュアルサモン!!」
ー【ホーリーエンジェモン】LV2(2)BP9000
セラフィモンの煌臨時効果によって手札に戻されていたホーリーエンジェモンが今一度召喚される。スピーカーの場には強力な天霊スピリットが4体。アスラとの差は誰がみても歴然となった。
誰もが諦めても仕方ないと思えるこの状況の中、アスラの表情は曇る事は無く、ただ強い視線で前を睨んでいて…………
「セラフィモンのLVを2に上げ、アタックステップ!!……ホーリーエンジェモンGOー!!…効果でオレ様のライフをまたまた回復!!」
〈ライフ6➡︎7〉スピーカー
再び飛翔するホーリーエンジェモン。狙うは残りたった2つのアスラのライフ。圧倒的な戦力差だが、それでも曲げずに諦めない彼は、渾身の防御札を手札より切って見せて………
「まだだ!!…フラッシュマジック、ガードベント!!」
「what's!?…2枚目!?」
「この効果でオレのライフはこのターン1つしか減らない!!……ホーリーエンジェモンのアタックはライフだ!!……ぐうっ!!」
〈ライフ2➡︎1〉アスラ
まさかまさかの2枚目のガードベント。ホーリーエンジェモンが右腕に装着された紫の剣でアスラのライフを斬り裂くも、このターンはそれ以上のライフの破壊は行えなくて…………
「ファイナルステージはお預けかよ………まぁ良いZE。ライライ町、黄色のカラーリーダーのこの最強の布陣。突破できるモノなら突破してみろYEAHHー!!」
手札:3
場:【ホーリーエンジェモン】LV2
【エンジェウーモン】LV1
【セラフィモン】LV2
【ホーリードラモン】LV2
バースト:【無】
「うおぉぉお!!……オレはこのバトルに勝って絶対ロンに追いつく!!」
致し方なくそのターンをエンドとしたスピーカー・ヘブン。次は絶賛崖っぷちのスーミのアスラ。このターンでどうにかしなければ敗北は必至。
しかし、そんな事、一番理解しているのは彼自身。最後まで諦めない心を胸に、ソウルコア無しのその身体を突き動かす。
[ターン09]アスラ
「メインステップ!!…マジック、フェイタルドロー!!…効果でカードを3枚ドロー!!」
勝つか負けるかの運命を見定めるドローマジック。アスラは何の迷いもなく、デッキから勢いよくドローを行った。
そしてそのカード達を目に映した途端。口角がニヤリと上がって………
「シャムシーザー2体を連続召喚!!」
ー【シャムシーザー】LV1(1)BP2000
ー【シャムシーザー】LV1(1)BP2000
背中に白いトゲを生やす赤いトカゲ型のスピリット、シャムシーザーがアスラの場に現れる。弱小スピリットだけではどうしようもないが、狙いはそこではないと言わんばかりにアスラは手札のカードをさらに引き抜いて…………
「でもってマジック……2枚目のコールオブロスト!!」
「!?」
「この効果で龍騎サバイブをもう一度オレの手札に戻す!!……そしてフル軽減、LV3で再々召喚だァァー!!」
ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV3(4)BP13000
二度目の復活。何度でも蘇る熱き不屈の闘志を胸に刻み現れたのはアスラの最強エースカード、龍騎サバイブ。
その奥に眠る赤き眼光がスピーカーの場に存在する4体の大天使達を睨みつける…………
「オレと龍騎サバイブは何回何十回何百回何千回と負けようが何度でも立ち上がって見せる!!……シャムシーザーの力を使い、ミラーワールドをLV2にアップ!!」
シャムシーザーは消滅してしまうものの、ミラーワールドのLVが今一度2へと上昇。これで準備は万端か、アスラは再び「アタックステップ!!」と強く宣言して…………
「龍騎サバイブでアタック!!…効果でエンジェウーモンを破壊だ!!」
「ッ……エンジェウーモンの効果でそれを防ぐ!!」
〈ライフ7➡︎6〉スピーカー
龍騎サバイブのショットガンから烈火の弾丸が放たれるが、またエンジェウーモンのコアバリアに凌がれる。だが、アスラはそんな事は最早百も承知。狙いはそこではない………
「でも龍騎サバイブに赤のシンボルが1つ追加!!……さらにミラーワールドの効果!!……カードを1枚オープン、それがアドベントカードなら発揮できる!!」
「!!」
ミラーワールドによりオープンされるカード。非常に運頼みな効果ではあるが、まるでアスラとそのデッキの絆を見せつけるかの如く、最善最高のカードを彼は引き当てる…………
「っしゃぁ!!……ファイナルベント発動!!……BP15000以下のスピリット1体を破壊して赤のシンボルをまたまた追加!!」
「ッ………なんつークレイジーな引きの強さだYEAHHー!!」
アスラの見事としか言えないドロー力に思わず己もテンションを上げてしまうスピーカー。
龍騎サバイブはベルトからファイナルベントのカードを引き抜き、それを龍の頭部を模したショットガンに装填。
………ファイナルベント!!
の音声と共に赤き龍が現れ、一瞬にしてその姿を赤き武装龍へと変換。龍騎サバイブはその赤き武装龍の背へと飛び乗った。
「ファイナルベントの効果でエンジェウーモンを破壊だ!!」
「しかしそれでもまだまだスイート!!……エンジェウーモンの効果でその破壊から守る!!」
〈ライフ6➡︎5〉スピーカー
ファイナルベントの効力により放たれる赤き武装龍の赤々と燃え滾る火炎弾。しかしそれさえもエンジェウーモンの展開したコアバリアで防がれてしまう。
「龍騎サバイブをトリプルシンボルにした所で関係ない!!……オレ様の勝ちだぜベイビー!!」
「いやまだだ!!…1枚じゃダメならこうするまでだァァァー!!!……フラッシュマジック、2枚目のファイナルベント!!」
「!?」
ここに来てアスラがフラッシュタイミングで使用したマジックはまさかの2枚目となるファイナルベントのカード。
「効果でもう一度エンジェウーモンを破壊し、龍騎サバイブの4つ目のシンボルを与える!!」
「だ、だがまだオレ様のライフは……………いやこれは………」
再びエンジェウーモンに向けて放たれる赤き武装龍の火炎弾。スピーカーはこれをいつものようにライフを犠牲にして防ぎたいところであったが…………
「………エンジェウーモンの効果は使わないぜYEAHH………」
「え?…使わないの!?」
スピーカーの選択にエールが意外だと言うように言葉を落とした。そしてフィールドでは遂に傷一つつけられなかったエンジェウーモンに赤き武装龍の火炎弾がヒット。エンジェウーモンは焼き尽くされ、堪らず爆散してしまう。
「ここでエンジェウーモンの効果を使って仕舞えば、スピーカーのライフは4。シンボルが4つになる龍騎サバイブのアタックが通ればお終いだ。だからスピーカーは敢えてエンジェウーモンの効果を使用せず、破壊させたんだ」
「ッ………成る程……!!」
「そして多分、アスラはその隙を逃さない……!!」
エールに説明するシイナ。
そうだ。彼女の言う通り、これでスピーカーのライフは5を維持。シンボル4つ。いわゆるクアドラプルシンボルと化した龍騎サバイブの貫通効果でもギリギリではあるが勝つ事ができない…………
だからこそ………
アスラはフラッシュで使える最後のカードをすかさず手札から引き抜いた…………
「へへ………そう来ると思ったぜ………フラッシュマジック……3枚目のファイナルベント!!」
「は……………はぁぁっ!?」
アスラがBパッドに叩きつけた3枚目のファイナルベントのカード。これまで余裕だったスピーカーは一気に焦り始める。
「効果でホーリードラモンを破壊だ!!」
「what's!?」
赤き武装龍の火炎弾が今度はホーリードラモンを襲う。破壊から守っていたエンジェウーモンはもうどこにも存在しないため、ホーリードラモンはそれを諸に被弾してしまい、撃墜され爆散してしまった。
「そして、オレの龍騎サバイブに5つ目のシンボルを与える……!!」
「………it'sクインテッドシンボル……!?」
ファイナルベント3枚分の効果が上乗せされた龍騎サバイブ。そのシンボルの数は前代未聞のクインテッドシンボル。一撃で5つものライフを砕く事ができる。残り丁度5つのライフであるスピーカーとしてはこのアタックだけは絶対にブロックしなければならない。
「くっ……セラフィモンでブロック!!」
「ネクサス、燃えさかる戦場2枚分の効果でアタックしている龍騎サバイブのBPは19000!!………もらったァァァー!!!」
赤き武装龍から放たれる火炎弾がセラフィモンの黄金の翼に被弾。セラフィモンは撃墜させられ、地べたに這いつくばってしまう。そしてすぐさま主人を守るべく立ち上がるも、そこには既に赤き武装龍が変形したバイク型マシーンに搭乗した龍騎サバイブが眼前に迫っていて……………
「ドラゴンファイヤーストームッッー!!!」
アスラが技名を叫ぶと共に、龍騎サバイブが搭乗したバイク型マシーンがセラフィモンを貫いて見せる。セラフィモンは耐え切れず爆散する。そしてその背後にいるスピーカーもそれに轢かれ……………
「う………ノ、ノォォォォォォーーー!!!」
〈ライフ5➡︎0〉スピーカー
残ったライフ全てを轢き切り、破壊し尽くした。スピーカーのBパッドからは敗北を告げる「ピー…」と言う無機質な機械音声が流れる。そしてそれは同時にアスラの勝利を告げる音でもあって…………
勝ったのだ。勝って見せたのだ。コモンの身で、ソウルコアが使えない身で、4番目のカラーリーダーに。
「………いよっしゃァァァー!!!」
勝利の雄叫びを上げるアスラ。それに合わせるように龍騎サバイブは誇らしげに銃を構え、赤き武装龍は轟音のような咆哮を上げて見せた。
「や、やった………シイナ様!!…アスラが勝ちました…………ってあれ?」
「シイナならとっくにここを出たぞ」
「えぇ!?…いつの間に!?」
「むえ〜」
アスラの勝利を喜ぶエールだったが、いったいいつから消えていたのか、シイナはその行方を晦ましていた。彼女がいたところには頭に乗せていたオレンジ色の小動物、ムエしかいなくて…………
ー……
時同じくしてここはアスラがバトルしていたライライ町スタジアムの前。そこには知らずのうちに姿を晦ましていたシイナがいた。
「ホントにもう2人とも立派になっちゃって〜……久し振りに家族揃ってそれっぽい事ができたから楽しかったよ…………じゃあね。私は頂点で待ってるぞ」
スタジアムにいる息子2人の事を想い、頂点王シイナは少しだけ名残惜しさを感じつつも、その笑顔を絶やす事なく離れて行った。
ー……
「ほい。約束のカラーカード……4番目のイエローカードだ。おめでとうYEAHHー!!」
「ありがとうございまァァァーすYEAHHー!!」
「言葉が移ってる………」
場所は戻りスタジアムの中。黄色のカラーリーダースピーカー・ヘブンに勝利したアスラは4番目となるカラーカード、イエローカードを彼から授与された。
「まさかファイナルベントのカードをあそこまで溜め込んでるなんてな!!……驚いたZE!!」
「いやーーーそれ程でも〜」
「絶対偶然でしょ。何も考えてなかったわよね?」
「何言ってんだエール!!…ちゃんと考えてたさ!!」
「あっそ………でも……まぁその………おめでとう……」
「おう!!……ありがとな!!」
照れ臭そうに祝福するエールに礼を告げたアスラが次に向かった先はライバルであるロンだ。自慢するように授与されたイエローカードを見せつける。
「どうだロン!!……ちゃんと勝ったぜ!!」
「フッ……当たり前だ。オマエを倒せるのはこのオレだけだからな」
言葉を交わし合うライバル。上に行くのはこのオレだと言わんばかりの物言いで互いに強い視線を送り合う。
「HAY!!…水刺すようで悪いが、残り2人のカラーリーダーはソートーストロングだZE!!」
「!!」
「5番目の紫のカラーリーダーは2番目。そして最後の赤のカラーリーダーはオレ様達の中で最も強い!!…オレ様ごときに手こずってるようじゃかなりヘビーなバトルが待ち受けると思うZE?」
スピーカーがアスラに助言するようにそう口にした。
実際彼の言う通りであり、アスラをこの先待ち受けるのはこの国で双璧と呼ばれる最強のカラーリーダー2人。アスラはこの2人を突破しなければ三王にさえ挑む事はできない。
「ヘビーなバトル上等!!……何度倒されたってかまいやしない!!……オレは、オレとオレのデッキは倒されても何度だって立ち上がってやるぜ!!……そしていつか必ず頂点王になってやるぞコノヤロー!!」
「おぉ!!……その息だぜベイビー!!……よし、今日はGOODなバトルをしてくれたお礼だ。オレ様のライブチケットをプレゼントしてやる!!」
「うぉぉお!!……なんかようわからんけどありがとうございまァァァーす!!」
「いや、バカスラ。それ絶対この世で一番要らないヤツでしょ」
何度倒されても必ずそこから這い上がってみせる。
そう気合を入れるアスラ。集めなければならないカラーカードは残すところ後2枚……………
******
ここはどこかの世界、どこかの場所。どこかの空間。そこには王を示すかのような玉座が設けられており、渋い容姿からおそらく40歳前後だろうか、とある1人の男性が堂々と歩みを進め、まるで自分はこの世界の王、いや神なのだと言わんばかりにその玉座に腰を下ろした。
「ふっふっふっふ…………はっはっはっはっは!!」
腰を下ろしたその男性は何がおかしいのか、口角を上げ、高らかに笑い声を上げた。
「ここにいてもわかる。残り2枚は確実に我の元に近づいて来ている!!……15年だ。15年待ち侘びたぞ………遂に、遂に我の元に集う時が来たのだ………12枚の『ミラーライダーズ』が!!」
「………ボクもこの時を待ち侘びました。どうか御武運を………シスイ様……!!」
まるで彼に忠誠を誓っているかのように、玉座の横にはもう1人若い男性が存在していた。その若い男性が言うには玉座に座る男の名は「シスイ」………
………それは約15年もの間、この世界の玉座に居座る神だ。
そして彼の手には複数枚のカードが握られており、その中にはオロチの元を去って行った「仮面ライダー王蛇」のカードも存在していて……………
******
《キャラクタープロフィール》
【スピーカー・ヘブン】
性別:男
年齢:24歳
身長:175cm
身分:マスター(ヘブン家)
使用デッキ:【黄デジモン】
概要:黄色のカラーリーダー。常にハイテンションなグラサンの男。彼のライブや動画配信は意外と人気。
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最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
次回からミラーワールド編本格始動です!!