「ハァッ……ハァッ……!!」
夜。深い森の中、純白のドレスを来た少女がまるで誰かに追われ、逃げ惑っているかのように息を切らしながら裸足で地を蹴り続けている。
この少女の存在が、アスラとロンの持つライダースピリット、龍騎とナイトの秘密を知る鍵になる事は、まだ誰も知らなくて…………
******
「………ハァ……まだ着かないわけ?」
「むえ〜」
日差しが強い昼間。エールは胸元に抱き寄せているオレンジ色の小動物、ムエをより強く抱き寄せながら、ため息と共にそう言葉を落とした。ムエもずっとエールに抱き抱えられていて、自分で歩いていない割にはめんどくさそうな声を上げた。
そしてそんな彼女の前方にはソウルコアの使えない熱血少年アスラと、その最大のライバルである天才少年ロンがいて…………
「大丈夫だエール!!…多分もうちょいだ!!」
「あんたみたいな体力バカのもうちょいはあまり信用できないんだけど」
「エックスの女。オマエは体力がなさ過ぎる。このバカ程とは言わないが、少しは鍛えたらどうだ」
「うっさいわね!!…あんた達みたいに田舎育ちじゃないのよ私は!!」
「てゆーか誰がバカだロンテメェー!!」
アスラ、エール、ロン。ついでにムエは、テンドウ・ヒロミに依頼され、ライライ町外れにある『メイキョウ旧領』と呼ばれる場所に向かっていた。
「いや〜でもメイキョウ旧領ってどんなとこだろうなぁ!!」
「そんなピクニック気分で向かう場所じゃないと思うけど……メイキョウ旧領、テンドウが言うにはマスターの身分を持っていた『メイキョウ家』の主人が自分の娘、そしてエックスの身分を持つ『アーサー家』の友人と共に姿を晦ました15年前の事件が起きた場所だって。それで今どうなっているかを私達に調査しろって言うのよ……勝手よね、自分で行けばいいのに」
「いやいや、テンドウさんはきっと御多忙を極めてるんだろうよ!!……うおぉぉお!!任せてくださいテンドウさァァァーん!!…このアスラが必ず事件の真相を暴いてみせますよォォォー!!」
「あんた私の話聞いてた?…調査しに行くのよ調査!」
15年前。あまり有力な名前ではなかったが、マスターの身分を持つ「メイキョウ家」とエックスの身分を持つ「アーサー家」が忽然と姿を消してしまった事件があった。消えてしまった人間は合計して4人程いるらしいのだが、その消息は15年と言う長い年月が経過した今でも判明してはいない。
そんな今では旧領という名が相応しくなった土地の調査にアスラ達3人が招集されたのだ。
「………」
ロンはふと足を止めてしまう。今現在通っている並木道にどこか見覚えがあるような気がしたからだ。
不思議だ。自分はこの道は初めて来たと言うのに…………
「おい何してんだよロン。置いてくぞ」
「……あぁ」
ライバルの喧しい声が聞こえて来たところでふと我を取り戻したロン。再び歩みを始める。
そしてそのメイキョウ旧領と呼ばれる場所に到着したのはおよそ15分後の事だったろうか……………
ー………
「うぉぉお!!…カッケェー!!…なんてデッカイお屋敷なんだ!!」
「そう?…別にこれくらいは持ってて普通でしょ」
「おのれエックスーー!!!」
「アスラうるさい」
3人の前に聳え立つのは黒々とした巨大な屋敷。昼頃でなければホラースポットになりかねないような存在だ。
「おいインターホンあるぞ!!…押していいのか!?」
「誰も出るはずないでしょ」
「…………」
喧しいアスラに、それをツッコムエール。そんな彼らを目線に映しながらも、ロンはただ1人デジャヴに浸っていた。
赤ん坊の頃にスーミ村近辺で頂点王シイナに拾われて依頼、15になるまでスーミ村さえ出た事がないと言うのに………こんな場所、来た事もないと言うのに……………
そんな彼が抱く妙な違和感を他所に、アスラとエールは屋敷に入っていく。ロンも置いていかれるわけにはいかないため、致し方なく彼らについていった。
ー……
「なんか意外と中は明るいな………」
「昼間だからね。電気を節約するために構造が工夫されてるのよ」
「ッ……オマエの口から節約なんて言葉が聞ける日が来るとは………」
「何よ、悪いわけ?」
長い年月が経ったがために腐り、柔らかくなった床の上を歩く3人。そんな中ロンはただ1人廊下の側面にある扉に目が入り、少々気になったか、その扉を開け、中に入った。
そこは廊下と違い、暗がりで視界もままならないが、どうやら研究室だったようで、資料やら本やらが辺りに散らばっていた。ロンはその内の一冊を拾い上げて見るが、その表紙のタイトルを目に映すなり鳥肌が立ってしまった…………
そのタイトルとは…………
「…………ミラー………ワールド………」
そう。自分やアスラがライダースピリットに選ばれると共に授かったミラーワールドのカード。この研究室は全く同じ名称のモノを研究対象としていたのだ。ロンはその冊子のページをめくるが、緻密な計算式や意味のわからない専門用語ばかりであまり理解はできない。
「ッ………!!」
今度は頭痛の痛みが迸るロン。思わず頭に掌を置く。これは最近自分がナイトサバイブを召喚する度に現れる記憶の断片のようなモノに似ていた。
彼がそう思う間もなく、頭の中ではまた別の記憶の断片が鮮明に蘇って来た……………
ー…………
ー『凄いぞシスイ!!…遂に行けるんだな、ミラーワールドに!!』
ー『あぁゾン。これでようやく………ようやくだ………』
今から何年も前の話なのか、同じ研究室とは思えない程に明るくて研究室にいる研究者らしき人達は活気に溢れていた。そのうちの1人は分からなかったが、もう1人は最近よくナイトサバイブを召喚した時に見る自分にナイトを託した人物によく似ていた。おそらく同一の人物だろう。
そしてそんな研究室の端にまだ赤ん坊である自分がいた…………
その横には年端もいかない小さな女の子もいた。不思議そうな顔でこちらを見つめている。
ー…………
「ハァ………ハァ………」
痛みが引いていくと共に我に帰るロン。焦りや不安から呼吸が乱れる。
ナイトサバイブを呼び出してもいないのに何故こんな記憶が蘇ったのか不思議でならない。そんな中、まるで冊子のしおりになるように挟まっていた1枚のバトスピカードに目が止まった。
「おいロン。なんかあったのか?」
「……アスラ………いや、なんでもない」
部屋の扉からひょっこりとライバルが顔を覗かせて来た。無駄な心配はかけさせるまいと思い、ロンは咄嗟に嘘をつき、ミラーワールドのタイトルが刻まれた資料はデスクの上へと戻し、しおりになっていたバトスピカードは咄嗟に自分の懐にしまった。
「それにしてももぬけの殻って感じね。何にもないわ………あ、ロン。そこ研究室?…何か見つけた?」
「むえ〜」⬅︎ひょっこりはん
「だから何もないと言っている。さっさとここを出るぞ」
エールとその頭の上に佇むムエもアスラの頭の上からひょっこりと顔を覗かせる。ここにいたら頭痛が止まないと考えたロンは早々にこの場から立ち去りたかいのか、2人を言いくるめようとするが………
直ぐにその必要性はなくなって…………
…………キャァァァァァァァァー!!!
ー!!
オンボロな屋敷に響き渡って来たのは女の子の悲鳴。どうやらこの屋敷から少し離れたところが発信源のようだ。3人は言葉要らずで頷き合い、その悲鳴のする方へと走り出した。
******
「ハァッ……ハァッ……!!」
「ちょっとちょっと。逃げても無駄ですよイユ様。貴女はボクに捕まる運命なんだから」
逃げ惑う白いドレスを来た少女。背丈はアスラよりも少し低いくらいか。そしてそれを追うのは赤い一つ目のモビルスピリット。その中で若い男性の声が聞こえて来る。
彼に見つかってしまってから早20分弱。少女は遂に体力の限界を迎え、過呼吸気味になりながら地面に倒れ込んでしまう…………
「ほぅら。言った通りになった。それじゃ大人しく一緒に帰りましょう…………」
「ハァッ……ハァッ……ッ!!」
絶体絶命。赤い一つ目のモビルスピリットが少女を連れ去ろうと手を伸ばしたその瞬間だった………
少女の背後から小さな影が一本の剣を構えて飛び出して来たのは…………
「オラァァァァァァァー!!!!」
ー!!
その小さな影の正体は他でもないアスラ。龍騎のソードベントで得られる柳葉型の剣を手に赤いモビルスピリットの胸部を斬り裂いて見せた…………
赤いモビルスピリットは力尽きたか、堪らず粒子となって消滅していった。
「おいオマエ!!…大丈夫か!?」
「………りゅ……龍騎の使い手………!?」
「?」
白いドレスの少女がアスラに向けて言い放った第一声は「龍騎の使い手」と言う言葉。意味深な発言にアスラは頭にハテナのマークを浮かべる。
「アスラ!!」
「おぉエール、ロン!!…もう終わったぞ!!」
「え………ロン!?」
一足遅れてロンとエールも到着する。だが、白いドレスの少女はアスラの口から「ロン」と言う名前を耳にするなり顔が青ざめてしまい………
「あ、あなた達はここにいちゃダメ!!…お願いだから逃げて!!」
「?」
「うん?…さっきから言ってる意味がわかんないんだけど………」
「言葉の通りよ!!…あなた達があの人に捕まったら全てが終わる!!」
切羽詰まった様子でアスラとロンに訴えて来た少女。なかなか内容が見えて来ないが、必死さだけは異常に伝わって来る。
だが、その必至な訴えを遮るかのように、アスラにやられて粒子となって消滅しきった赤いモビルスピリットの影から若い男性が現れて…………
「全く……低コストとは言え、モビルスピリットを剣一本で斬り裂くってどうよ?…どんな運動神経してるわけ?」
「!!」
現れたのは長い金髪を靡かせる若い男性。どうやら彼がさっきのモビルスピリットを操っていたようだ。
「でもその剣を見てわかったよ。君ら龍騎とナイトの使い手だね?……しかもその身なり、コモンだ」
「……だったらなんだ金髪コノヤロー」
「………後ろのイユ様諸共いただこうか。そのためにボクはいる」
「………オマエもライダーハンターズの一員か何かか?」
「ライダーハンターズ?……あぁ、あのチンケなコソ泥集団。生憎だが、ボク達はあんな連中に興味はない」
アスラとロン。金髪の若い男性が交互に言葉を入れあっていく。全く持って話が見えて来ないが、どうやらこの男性は後ろの「イユ」と言う女の子を欲しがっているらしい。
そして何故か龍騎とナイトも…………
「待って!!…私が囮になるからあなた達は早く逃げて!!」
「ん?…心配いらねぇよ。なんかようわからんけど…あの金髪ヤローをぶっ飛ばせばいいんだろ?」
「!!」
「そう言う事ならわかりやすくて助かる。手を貸せアスラ」
「おうよ!!…言われなくともそのつもりだぜ!!」
目の前の少女やそれを追いかける金髪の若い男性が何者であろうと、それを見過ごすわけにはいかないか、少女を庇うように前へと出るアスラとロン。
「大丈夫、どうせ勝つわよ」
「!!」
今度はエールが少女に寄り添う形で前に出た。
「特にあの小さい方は、ソウルコアが使えないクセにこの世界で一番努力した大バカよ。こんな所で負けたりしないわ」
「……ソウルコアが使えない………?」
イユと呼ばれる少女はエールの口から出たアスラの簡潔な説明に疑問符を浮かべる。
「……じゃあなんであの子は龍騎に選ばれたの?…ライダースピリットはそんな人を主人に選んだりはしないのに」
「………確かにそうね。でもあいつは選ばれた。耳で聞くより先ずは目で見届けなさい、あいつのバトルスピリッツを……!!」
ライダースピリットとはその進化の最終段階までには必ず言って良いほどにソウルコアの力を要求する。生まれながらにソウルコアが使えないと言うこの世の欠陥品のような存在であるアスラに龍騎と言うライダースピリットが宿るのはにわかには信じられない出来事なのだ。
だがそれでもアスラが龍騎に認められたのは事実。エールとイユはこれ以上の会話を交わすことはなく、前に出たアスラとロンに視線を送った…………
「ふーーん。もしかしてこのボクにレイドバトルでもしようっての?……まぁ気持ちはわかるよ。1人じゃ絶対ボクに勝てないものね〜」
「2人で挑むのは早く終わらせたいからだ。貴様程度、倒すだけならオレ1人で十分だ」
「………へぇ。言うね………このボクを『赤い軍師フリソデ』と知っての
「いや、そんな名前知らん!!……てかローゼキって何!?」
ロンの言葉に少々腹を立てるフリソデと言う金髪の若い男性。徐にBパッドを構え、アスラとロンを鋭い視線で睨みつける。常人であればたちまち怯んでしまうであろう視線だったが、かなり場慣れしているアスラとロンは臆する事なく堂々とした態度のまま自分達もBパッドを構え、デッキをセットした。
「やってやるかロン」
「あぁ、ついて来いよ……アスラ!!」
「それはこっちのセリフだぜ!!……行くぞ!!」
………ゲートオープン、界放!!
3人のコールと共に1VS2のレイドバトルが幕を開ける。
先行はフリソデと言う金髪の若い男性だ。滑らかにカードをドローし、その後のターンシークエンスを進行させていく…………
[ターン01]フリソデ
「メインステップ……ボクは母艦ネクサス、レウルーラをLV2で配置!!」
「!!」
ー【レウルーラ[UC]】LV2(1S)
フリソデの背後より深紅に染まった戦艦が姿を見せる。これはモビルスピリットならではの母艦ネクサスと呼ばれるモノであり、この存在がよりモビルスピリットを強くする。
「ターンエンド……このボクに喧嘩を挑むのは勝手なんだけどさ。早いとこサレンダーして龍騎とナイトを置いて逃げた方が身のためだよ。君らじゃ決してボクには勝てない。そう言う運命……定めなんだよ」
手札:4
場:【レウルーラ[UC]】LV2(1S)
バースト:【無】
「勝手な事言ってんじゃねぇぞコノヤロー!!……上から目線もいい加減にしろよ、龍騎もナイトも後ろの女の子も絶対渡さねぇ!!」
完全にアスラとロンを舐め切った発言をするフリソデ。アスラは激怒しながらも冷静さを失わず、ロンと共にターンシークエンスを行なっていく。
[ターン02]アスラ&ロン
「メインステップ…オレは仮面ライダー龍騎をしょ………」
「仮面ライダーナイトをLV2で召喚」
「え?」
ー【仮面ライダーナイト】LV2(2S)BP4000
ターン開始直後。アスラが自慢のライダースピリット、龍騎を召喚しようと試みるが、その前にロンが自身のライダースピリットであるナイトを召喚して見せた。これではアスラはこのターン龍騎を召喚できない。
「効果で1枚ドロー」
「おいロンテメェー!!…何勝手にコア使ってんだ!!…ここは龍騎だろがァァァー!!」
「龍騎の召喚時効果を使っても確実に手札を増やす事はできないだろう。それにソウルコアが使えないオマエはこのターン中で龍騎をLV2にする事はできない。ならばナイトの出番だ」
「ぐぬぬ………」
「やっぱりあいつら大丈夫かしら………」
ロンに割と正論を言われて言い返せないアスラ。確かに序盤はロンだけで動いた方が効率は良い。アスラはソウルコアが使えないため、レイドバトル時でもそれは動かすことはおろか掴むことさえできない。
つまりコアが1つ少ない状況の中バトルをしなければならないのと同義。
そのためロンのこの判断は英断と言える。
「さらにバーストを伏せ、ターンエンド」
アスラ手札:3
ロン手札:2
場:【仮面ライダーナイト】LV2
バースト:【有】
追加でバーストを伏せ、防御を盤石なものとし、このターンをエンドとするロン。次は再びフリソデのターン。ロンの作り上げた防御を崩すべくターンシークエンスを開始した。
[ターン03]フリソデ
「メインステップ……成る程、それが仮面ライダーナイトか。でもたかが召喚時ドローの効果だけなら恐るるに足らないね!!……ボクはモビルスピリット、ドラッツェを2体、LV2で連続召喚!!」
「!!」
ー【ドラッツェ[袖付き]】LV2(2)BP2000
ー【ドラッツェ[袖付き]】LV2(2)BP2000
少女を追いかけ回していた赤いモビルスピリットが2体出現。0コストのスピリットと言えどもモビルスピリットか、母艦ネクサスと合わせてやはり強大な圧迫感はあって………
「母艦ネクサス、レウルーラの効果!!…ターンに一度袖付きスピリットが召喚された時、1枚ドロー」
母艦ネクサスの効果でドローを決めるフリソデ。その後、余裕のある笑みを浮かべながら徐に「アタックステップ……!」と、宣言して………
「1体目のドラッツェでアタック!!…ドラッツェはLV2の時BPを1000上げる。さらにフラッシュ!!…レウルーラの効果!!」
「!!」
「レウルーラ自身を疲労させる事でBP4000以下のスピリット、つまりナイトを破壊する!!」
ー【レウルーラ[UC]】(回復➡︎疲労)
ドラッツェが動き出すと共に、レウルーラの砲手からレーザーが照射される。ナイトはそれに撃ち抜かれ爆散してしまう。
「おいロン、ナイト負けちまったぞ!!…このあとどうすんだよ!?」
「うるさいぞアスラ!!…言われなくてもその次の防御パターンはある!!…スピリットの破壊によりバースト発動!!…天冥銃アーミラリー・スフィア!!」
「!!」
「効果によりアタックしていないドラッツェのコアを2つリザーブへ、よって消滅!!…オレはカードを1枚ドロー」
ー【ドラッツェ[袖付き]】(2➡︎0)消滅
ロンの伏せたバーストカードが反転すると共に、上空から紫の弾丸がドラッツェにヒット。コアを抜き取られ、堪らず消滅してしまう。
「そしてこの効果の発揮後これを召喚。アタックしているドラッツェをブロックする!!」
ー【天冥銃アーミラリー・スフィア】LV1(1)BP3000
「ドラッツェは自身の効果でBPを1000アップさせ3000!!…相討ちだ」
アスラとロンの場に現れた魔法陣から銃が謎の浮力に従うままドラッツェの方へと飛び行き、激突して互いに爆発。バトルの勝負は引き分けの結果に終わる。
「………ターンエンド。まぁ少しはできるみたいだね。0コストのドラッツェに苦戦してるようじゃお先は見えてるけどね」
手札:4
場:【レウルーラ[UC]】LV2
バースト:【無】
ここまでの駆け引きはほぼ互角。0コストのドラッツェでさえも強力なアタッカーに仕立て上げるフリソデを前に2人は「ここからだ」と言わんばかりに自分達のターンを開始していった…………
[ターン04]アスラ&ロン
「「ネクサス、ミラーワールドを配置!!」」
ー【ミラーワールド】LV1
ー【ミラーワールド】LV1
2人はほぼ同時にミラーワールドのカードを配置。周囲の風景や全ての物体が鏡向きとなった。
「アスラ。ミラーワールドは2枚配置しても効果は重複しないぞ」
「そっちこそ!!…なんで同じタイミングで同じカード配置すんだよコノヤロー!!」
またふとした事で喧嘩するアスラとロン。どうやらミラーワールドの同時配置は2人で考えた作戦ではなく、単なる偶然であったようだ。エールはそんな彼らを見て「息がぴったりなんだか最悪なんだか……」と言葉を落とす。
「ったく、仕方ねぇ。使えるコアねぇし、このターンは取り敢えずエンドだ」
アスラ手札:3
ロン手札:3
場:【ミラーワールド】LV1
【ミラーワールド】LV1
バースト:【無】
勝手に自分達のターンをエンドとするアスラ。次は今一度フリソデのターン。コモンのくせに何故か未だに余裕で呑気な2人を叩きのめすべく己のターンを進行させていった。
[ターン05]フリソデ
「メインステップ、ボクはクシャトリヤ・ベッセルングを召喚!!」
「!!」
ー【クシャトリヤ・ベッセルング】LV1(1)BP3000
緑色のボディを持つ2体目のモビルスピリット。輝く一つ目がアスラとロンを睨みつける。
「レウルーラの効果でドロー。さらにベッセルングの召喚時効果でトラッシュよりドラッツェを1枚手札に戻す!!」
フリソデは母艦ネクサスと強力な召喚時効果により手札を一気に増やした。
「さらに2枚目のレウルーラをLV2で配置!!」
ー【レウルーラ[UC]】LV2(1)
フリソデの背後に又しても赤き母艦が飛来。そして彼はミラーワールド以外何もないアスラとロンを睨みつけ…………
「アタックステップ!!……ベッセルングでアタック!!」
ベッセルングでアタックを仕掛ける。その胸部から極太のミサイルが彼らのライフへ向けて発射される。2人は当然このアタックは是が非でもライフで受ける他がなくて…………
「ライフだ!!………ッ」
「ッ………!!」
〈ライフ5➡︎4〉アスラ&ロン
被弾したミサイルがアスラとロンのライフを1つ砕く。2人分でダメージがある程度分散されているものの、それでも中々のバトルダメージが2人を襲う。
「……ターンエンド。さぁ、来なよ。返り討ちにしてあげる」
手札:5
場:【クシャトリヤ・ベッセルング】LV1
【レウルーラ[UC]】LV2
【レウルーラ[UC]】LV2
バースト:【無】
そのターンを終えるフリソデ。まるで2人を挑発するように手首を上に曲げる。
「このターンはオレの好きにさせてもらうぜロン!!」
「あぁ、暴れて来い一点突破バカ」
「バカは余計だ、行くぞ金髪ヤロー!!」
どうやら今度はアスラがメインでターンを進めていくようだ。2人の中でもアスラの方が特に強い勢いのままにターンシークエンスを進めていった。
[ターン06]アスラ&ロン
「メインステップ!!…オレのミラーワールドをLV2へアップさせ、仮面ライダー龍騎を召喚!!」
ー【仮面ライダー龍騎】LV2(2)BP4000
様々な鏡像が重なり合い、赤きライダースピリット、龍騎がアスラの場に姿を見せる。
「これが仮面ライダー龍騎。聞いてた通り、赤いんだね」
「召喚時効果!!…対象のカードを加える!!」
龍騎の効果を発揮させるアスラ。その中の対象カードを2枚手札に加え、残りを破棄した。
「バーストを伏せてアタックステップ!!…言って来い龍騎!!」
龍騎で颯爽とアタックを仕掛けるアスラ。その際に彼のミラーワールドのカードが光り、その効果が発揮される。
「ミラーワールドの効果!!…デッキの上から1枚をオープンし、それがアドベントカードならノーコストで発揮させる!!」
アスラのデッキからオープンされた1枚のカードは「ストライクベント」………
アドベントカードなので、発揮が可能だ。アスラは当然それを手に取り発揮させる。
「ストライクベント発揮だ!!…BP8000以下のクシャトリヤ・ベッセルングを破壊して1枚ドロー!!」
「!!」
龍騎はベルトからカードを引き抜き、その1枚を左腕のバイザーに装填。「ストライクベント!!」の音声と共に赤き龍の頭部を模したガントレットが右手に装備される。
そして龍騎はそれを前方に突き出し、火炎放射を放つ。クシャトリヤ・ベッセルングは焼き尽くされ、堪らず爆散した。
「よし!!」
腕を曲げ、ガッツポーズを見せるアスラ。
しかし………
爆散による爆煙の中より、破壊されたはずのクシャトリヤが更なる装備を重ね、アスラの龍騎を一つ目の眼光で睨んでいて…………
ー【クシャトリヤ・リペアード】LV1(1)BP5000
「なに!?……破壊されてない!?」
「いや……破壊はされたさ。クシャトリヤ・ベッセルングの効果【零転醒】……相手によってフィールドを離れる時代わりに転醒できるのさ」
「!!」
「これによりベッセルングはリペアードに強化。さらに転醒時効果でトラッシュのコアを好きなだけ戻す!!」
ー【クシャトリヤ・リペアード】(1➡︎4)LV1➡︎2
使えないトラッシュのコアが全てクシャトリヤ・リペアードのカードに吸い込まれる。そのLVは1から2へと強化された。さらにフリソデはアスラの龍騎を迎撃すべく母艦ネクサスのカード効果を発揮させて………
「やっぱりコモンのカードバトラーはこの程度みたいだね!!…母艦ネクサス、レウルーラの効果!!…疲労させてBP4000以下の龍騎を破壊!!」
「ッ……オレ達のターン中でも使えたのか!?」
レウルーラの砲手が今度はアスラの龍騎に牙を剥く。強力なレーザーが照射され、龍騎はそれに撃ち抜かれ、爆散してしまう。
「フン………他愛もないね。やっぱりコモン如き、ボクに負ける運命みたいだ」
転醒を決め、龍騎を返り討ちにしたフリソデ。龍騎の爆発による爆煙を眺め、軽く微笑みながらコモンであるアスラを見下す発言をした。
だが、その爆煙が晴れた頃、ピンチであるにもかかわらず、口角を上げているアスラが彼の目に映って…………
「へっ……やっぱ破壊して来たな!!」
「?」
「その破壊を待ってた!!……バースト発動、第二の龍騎!!」
「何!?…バーストの龍騎だと!?」
アスラが勢い良く反転させたのは他でもないコラボダンジョンで入手した第二の龍騎のカード。強力なバースト効果を遺憾なく発揮させる。
「効果でもう一度クシャトリヤを破壊だ!!…バーニングセイバー!!」
「!?」
アスラの背後から飛び出して来たのは破壊されたはずの仮面ライダー龍騎。右手に構える柳葉型の剣に炎を灯し、それを振るって炎の斬撃を放つ。クシャトリヤはその炎の斬撃に胸部を斬り裂かれ、今度こそ力尽き爆散してしまった。
ー【仮面ライダー龍騎[2]】LV2(3)BP7000
「クシャトリヤ!!……くっ」
「さらに第二の龍騎でアタック!!…ミラーワールドの効果でオープンカードを手札に加えるぜ!!」
ようやくガラ空きとなったフリソデの場に再度攻撃を仕掛けるアスラ。ミラーワールドの効果で手札が増える。
第二の龍騎が剣を構え直して彼のライフへと突撃する。そして最早このアタックを防ぐ手段は無い。彼は苦渋に顔を歪ませながら致し方なく宣言を行う…………
「ら、ライフで受ける…………ッ」
〈ライフ5➡︎4〉フリソデ
第二の龍騎の豪快な剣技が横一閃に放たれ、フリソデのライフがここに来てようやく斬り裂かれる。
「っしゃぁ!!…どうだ金髪コノヤロー!!…ターンエンドだ!!」
アスラ手札:5
ロン手札:4
場:【仮面ライダー龍騎[2]】LV2
【ミラーワールド】LV2
【ミラーワールド】LV1
バースト:【無】
「…………図に乗るなよ……コモン如きがよくもボクのライフを砕いてくれたな!!」
「!!」
このターン。アスラはフリソデから確かな憎しみが向けられた。フリソデは比較的温厚そうだったさっきまでの印象とは打って変わって豪快にターンを進めていく。
全てはコモンと言う最弱の存在のくせに自分を傷つけたアスラを叩きのめすためだ。
[ターン07]フリソデ
「もう容赦はしない、メインステップ!!…ドラッツェ2体を召喚!!…レウルーラの効果でドロー!」
ー【ドラッツェ[袖付き]】LV1(1)BP1000
ー【ドラッツェ[袖付き]】LV1(1)BP1000
赤いモビルスピリット、ドラッツェが再び2体彼の場に現れる。さらにこの際に行われたレウルーラの効果によるドローカードを見るなり、フリソデは目の色を変え、口角を上げた。
ちょっとおバカなアスラが見ても「彼のエースカードが来た」と言うのがわかる。
そして誰もが予想してた通り、フリソデは手札のカードのそれを引き抜き、己のBパッドへと叩きつけた。
「さらに赤き彗星の再来……シナンジュをLV2で召喚だ!!」
「!!」
ー【シナンジュ】LV2(3)BP13000
上空より飛来して来たのは正しく赤き彗星。
ドラッツェとは比較できない程、透き通るように澄んだ深紅のボディ。長いレーザービーム砲とボディと同じ色をした盾を所持する強力なモビルスピリット、シナンジュがここに顕現したのだ。緑色をした一つ目の眼光がアスラとロンを威嚇するように睨みつける。
「どうだい?…これがボクのエースカード、シナンジュさ。召喚時効果でこのターンの間、袖付きスピリットは相手の効果を受けない……当然このシナンジュも袖付きを持っているため、自身にも適用される」
「ッ……効果を」
「でもその真っ赤でイカしたモビルスピリットとドラッツェだけじゃオレとロンのライフは全て破壊できないぜ!!」
アスラがフリソデに言い返す。彼らのライフは4。確かに効果を受けないとは言え、このターン中にフルアタックをされたとしても0にする事はできないが…………
「君バカだね〜……このボクがそれだけで終わると本当に思ってるの?」
「!!」
「マジック、大人の特権。これによりパイロットブレイヴをシナンジュに直接合体するように召喚………搭乗させるのはフル・フロンタルだ!!」
「………パイロットブレイヴ!?」
ー【シナンジュ+フル・フロンタル】LV3(3)BP19000
フリソデのBパッドに変な仮面をつけた金髪の男性のカードがシナンジュに重ね合わされる。場にはこれと言った変化は無いが、エースカードであるシナンジュは確実に強くなっていて…………
「母艦ネクサスにパイロットブレイヴ。モビルスピリットを強くする上では欠かせない存在。そして相手にする際は必ず警戒しなければならない存在だよ。そんな事も分からないのかい?……フル・フロンタルの召喚時効果。相手はスピリットを破壊しなければボクは2枚ドローする」
「ッ………第二の龍騎は破壊させねぇ!!」
「フフ……その選択を後悔しない事だ。ボクは新たに2枚のカードをドロー」
パイロットブレイヴであるフル・フロンタルの召喚時効果が炸裂。アスラは咄嗟にスピリットを守る事を優先するが、その判断にフリソデは笑みを浮かべながらカードをドローしていて…………
「バーストをセットしてアタックステップ!!…フル・フロンタルの効果。袖付きスピリットのBPを5000上昇!!さらにシナンジュは赤のトリプルシンボルとなる!!」
「ッ……トリプルシンボル!?」
ー【ドラッツェ[袖付き]】BP1000➡︎6000
ー【ドラッツェ[袖付き]】BP1000➡︎6000
ー【シナンジュ+フル・フロンタル】BP19000➡︎24000
シナンジュと合体したパイロットブレイヴ、フル・フロンタルの効果で全体の士気が高まるモビルスピリット達。さらにシナンジュは一撃で相手のライフ3つを破壊できるトリプルシンボルとなった。
「さぁ行けシナンジュ!!…合体したフル・フロンタルの効果で第二の龍騎に指定アタック!!…さらにシナンジュ自身の効果でブロックされた事により回復!!」
「なに!?…指定アタックと回復!?」
ー【シナンジュ+フル・フロンタル】(疲労➡︎回復)
かなり手強いコンボを発揮される。第二の龍騎に向けて銃からレーザーを発射するシナンジュ。第二の龍騎は剣を振い、それを弾き返す。
「第二の龍騎は所詮BP7000。対するシナンジュのBPは24000!!……敵うわけがないよね!!」
「くっ……!!」
やられっぱなしではいられないと考えた第二の龍騎が剣を握り、果敢にシナンジュに挑みに行くが、縦一閃に振るった剣はシナンジュの深紅の盾に完封されるどころか完全に当たり負けして砕け散ってしまう。
その後ゼロ距離でレーザー光線を発射され、胸部を撃ち抜かれる。第二の龍騎は流石に力尽きて爆散してしまう…………
「ほぅら。やっぱり君たちはボクに負ける!!……ドラッツェ1体でアタック!!」
再び表情に余裕が帰ってきたフリソデ。今度はドラッツェでアタックを行わせる。最初に1点のみを破壊し、残りライフが3つになったところで最後にシナンジュのトリプルシンボルでのアタックを行う気なのだろう…………
だが…………
「おいロン!!…まだ生き残れるよな!!」
「あぁ、当然だ。フラッシュマジック……リアクティブバリア!!」
「!?」
「この効果によりこのバトルでこのターンは終わる………ドラッツェのアタックはライフで受けてやろう!!」
〈ライフ4➡︎3〉アスラ&ロン
「………これでオレ達のライフは残り3つだが………アタックステップは終わる。いくら効果を受けないとは言え、この手の効果までは無効にできないだろう」
「くっ………」
ドラッツェの装備しているガトリングガンの連射がアスラとロンのライフを1つ破壊するも、ロンの発揮したマジック、リアクティブバリアの効果によってフリソデはこれ以上のアタックを禁じられた。
また自分より下の存在に一杯食わされたと思うと凄まじく腹立たしいが、このターンはどうしようもなくエンドとするしかなくて…………
「まぁ良い。次のターンで確実にシナンジュのレーザー砲が君らの喉元を貫くだろう………ターンエンドだ」
手札:5
場:【ドラッツェ[袖付き]】LV1
【ドラッツェ[袖付き]】LV1
【シナンジュ+フル・フロンタル】LV2
【レウルーラ[UC]】LV1
【レウルーラ[UC]】LV1
バースト:【有】
結果としてドラッツェ1体と、強力極まりないモビルスピリット、シナンジュをブロッカーとして残す事になったフリソデ。絶対的な優勢は変わらずであるため、その表情にはまだ確かな余裕が存在するが…………
「次はオレの番だな……アスラ、オマエは休んでろ」
「!!」
ロンにそう言われるアスラ。すると、何がおかしいのか、彼は大きく、高らかに笑い出して………
「ふっふっふっ……ワハハハハハー!!!……せっかくあんなスゲェスピリットが相手なんだ!!…ロン、オマエ1人にはやらせないぞコノヤロー!!」
「フッ……だったら勝手について来い……どっちが先にあの金髪頭を倒せるか勝負だ。オマエには負けん!!」
「おう!!…上等だ!!」
お互いを鼓舞し合い、バトルに対する士気を、モチベーションを高めていくライバル2人。「絶対にコイツにだけは負けたくない」と言う共通の思いを胸に、彼らは勢いよくターンシークエンスを進めていった…………
[ターン08]アスラ&ロン
「メインステップ!!……シャムシーザー2体を……」
「仮面ライダーナイトを……」
……連続召喚!!
ー【シャムシーザー】LV1(1)BP2000
ー【シャムシーザー】LV1(1)BP2000
ー【仮面ライダーナイト】LV2(3)BP4000
背中に幾千ものトゲを生やした赤いトカゲ型のスピリット、シャムシーザー2体と、仮面ライダーナイトが2人の場に現れる。
「さらにオレは、シャムシーザー2体から不足コストを確保し、仮面ライダー龍騎サバイブを召喚!!」
「アタックステップ!!…ナイトでアタック!!…さらにフラッシュ【煌臨】を発揮。仮面ライダーナイトを仮面ライダーナイトサバイブへと昇華させる!!」
「………何……サバイブだと!?」
アスラの場に龍騎が復活。ナイトと背中合わせになり、互いにサバイブのカードを銃に、剣に装填………
龍騎は烈火の炎、ナイトは疾風の風に包まれながら、強化形態である龍騎サバイブ、ナイトサバイブへと昇華して見せた。
ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2(2)BP11000
ー【仮面ライダーナイトサバイブ】LV2(3)BP11000
そしてそんな折、彼らの背後でそのバトルを見届けていた白いドレスの少女イユはそのライダースピリット2体を目に映すなり怯えるように唇を震わせていて…………
「お、黄金の翼のカードまで持ってるなんて……」
「?」
彼女のすぐそばにいるエールはイユのその発言に疑問を抱いた。「何故この子はサバイブが黄金の翼のカードによる強化だと知っているのだろう?」と…………
総合してもやはり意味深な発言が目立つイユとフリソデ。もしかして自分達はまた何か相当厄介な事件に首を突っ込んでいるのではないかと勘ぐってしまう。
「サバイブのカード………フフフ……アハハハハッハッハッハ!!!…こりゃ凄いや!!さぞかしあの方も喜ばれる事だろう!!…必ずいただくぞそのカード!!」
「テメェにあげるモノなんて1つもねぇ!!」
「ナイトサバイブの煌臨アタック時効果!!…シナンジュのコア2つをトラッシュに送る!!」
「!!」
ー【シナンジュ+フル・フロンタル】(3➡︎1)LV2➡︎1
ナイトサバイブの疾風の風を纏った剣撃がシナンジュを襲う。その内部にあるコアが2つトラッシュへと弾き飛ばされ、LVを大幅にダウンさせてしまい、BPも19000から14000へとダウンした。
「しかし、その程度のコアシュートでシナンジュは倒せない!!…BPもまだこちらが上!!…ブロックしろ!!」
「いや、その前にもう一度フラッシュタイミングだ!!」
「!?」
アスラとロンは「ここだ」と言わんばかりにカードをBパッドに叩きつける。それは正しく必殺技とも呼べる最強のアドベントカードであり…………
「「ファイナルベント発揮!!」」
「なに!?」
「ファイナルベント2枚分の効果。BP15000以下のスピリット2体を破壊し、アタック中のナイトサバイブに赤のシンボルを2つ追加する」
「!?」
龍騎サバイブとナイトサバイブはベルトからカードを同時に引き抜き、それをそれぞれのバイザー部へと装填………
……ファイナルベント!!
の機械音声と共に、龍騎サバイブの背後には赤き武装龍。ナイトサバイブの背後には疾風の翼を持つ蝙蝠がそれぞれ姿を表す。2体のライダースピリットはその背中へと飛び乗り、上空へと飛び立った。
「破壊対象は回復状態のドラッツェとBPの下がったシナンジュ!!」
「くっ………!!」
アスラがそう言うと、赤き武装龍は口内からこれでもかと火炎弾を発射。ドラッツェはそれに被弾してしまい、焼き尽くされ爆散してしまう。さらに疾風の翼が高速の翼撃をシナンジュに与え、それを腹部から一刀両断してみせる。シナンジュは堪らず爆散した。
この際、合体していたフル・フロンタルはカードとしては場に残る。しかし、パイロットブレイヴは単体では反映されないカードであるため、視認する事はできなかった。
「バトルは継続中!!…パイロットブレイヴはアタックとブロックができない。これでオマエを守るスピリットは全て消えた」
「ら、ライフで受ける……」
ブロックできるスピリットが消え失せ、2枚分のファイナルベントの効果によりトリプルシンボルと化したナイトサバイブのアタックを受ける事しかできなくなったフリソデ。
疾風の翼がバイク型のマシーンへと変形し、彼のライフへ向けて走り出した。
「疾風断!!」
ロンが技名を言い放つと、ナイトサバイブのなびく黒いマントがバイクごと包み込み、一本の巨大な黒槍を形成。そのまま突進していき、フリソデのライフへと激突。まるで紙切れのように難なく貫いて見せた………
「ぐっ……!!」
〈ライフ4➡︎1〉フリソデ
大量にあったライフも風前の灯となってしまったフリソデ。多大なバトルダメージにより身体がふらつく。だが、まだ勝負を捨ててはいないか、伏せていたバーストカードの方へと目を向けると…………
「ライフ減少によりバースト発動!!…絶甲氷盾!!」
「!!」
「効果でライフ1つを回復!!……どうだ、これで龍騎サバイブだけではライフを全て破壊できない!!……やはり君たちはボクに敗北する運命……定めにあるんだ!!」
〈ライフ1➡︎2〉フリソデ
勢い良く反転されたバーストカード。その効果でライフ1つが蘇る。既に勝ち誇っているフリソデだが………
本当はもう既に彼らに敗北していて…………
「運命とか定めとかうっせぇんだよ。龍騎サバイブの効果……ライダースピリットがアタックしたバトル終了時、そのスピリットのシンボル分だけライフを追加で破壊する……!!」
「…………は?」
「直前のナイトサバイブのシンボルは3つ!!…よって3つのライフを追加で破壊する!!」
アスラの言っている意味がわからず、あっけらかんとした様子をみせるフリソデ。しかしもはや時既に遅し、今度は龍騎サバイブを乗せた赤き武装龍がバイク型マシーンへと変形。フリソデのライフへ向けて走り出した。
「な、何だと………こんな事が……こんな事があってたまるものかァァァー!!!」
「オレはロンにだけは絶対負けねぇー!!!……行け龍騎サバイブ……ドラゴンファイヤーストーム!!」
「………ぐっがっ……ぐぉぁぁー!!!」
〈ライフ2➡︎0〉フリソデ
アスラが力強く技名を叫ぶと、バイク型マシーンは烈火の如く炎を纏い、フリソデのライフへと突撃……そして激突。そのライフを1つ残らず全て焼き尽くし、貫いて見せた…………
彼のBパッドからは敗北を告げる甲高い機械音声が流れる。そしてそれは同時にアスラとロンの勝利を表す音でもあって…………
「っしゃぁ!!」
「………!!」
「……凄い……あの2人、まさか組んだら無敵……?」
バトルに勝利したことによる高揚感から、叫びながらガッツポーズをするアスラと黙って拳を固く握りしめるロン。そんな2人を見ながらそう感想を口にするエール。
最初は全く息が合わなかったのに、シナンジュと言う強敵を前にした途端急に呼吸が合い、一瞬にして決着がついた様は正に「無敵の最強タッグ」とも呼べる光景だったのだ。
「ぐっ………ぼ、ボクが負けただと………このボクが……コモンなんかに…………ッ」
Bパッドの効果が消え、スピリットやネクサスなどがゆっくりと消滅していく中、ライフが砕け散る衝撃で地面に叩き伏せられたフリソデは悔しさと歯痒さに顔を歪ませながらそう言葉を口にしたのちに気を失ってしまう。
彼がどれだけ身分の高い人間なのかはわかったものではないが、相当格下に負けたのが悔しいらしい…………
「どうだロン!!…オレの龍騎サバイブがトドメを刺したぜ!!…この勝負はオレの勝ちだな!!」
「いや、ナイトサバイブの煌臨時効果が無ければファイナルベントであのモビルスピリットは倒せなかったし、何よりナイトサバイブのアタックあってこそ龍騎サバイブの効果が使えた……つまりオレの勝ちだ」
「なんだとコノヤロー!!…結局龍騎サバイブがトドメ刺したのは変わりねぇじゃねぇかァァァー!!…オマエ昔からそう言う所あるよね!!」
バトルが終了した直後にまた喧嘩する2人。しかしこのワチャワチャを永遠と繰り返すわけにはいかない。アスラとロンは視線を倒れているフリソデの方へと向けると………
「てか、コイツどうする?」
「取り敢えずライライ町の自警団にでも突き出しておくか………一応そこの女もな………聞きたい事もあるし」
「………」
ロンがそう言いながらイユの方へと振り向いた。彼が彼女に向けたその視線は疑念に満ち溢れていて…………
「おいおい!!…何疑ってんだよロン!!…この子あの金髪ヤローに追いかけられてたんだぞ!?…そんな事する必要無いって!!」
「だがどちらにせよ事情は聞く必要がある……あの金髪とも知り合いなんだろ?…オマエ達はナイトと龍騎の何を知っている?」
「………」
ロンに問い詰められ、困惑した様子をみせるイユ。確かに龍騎やナイトに関する何かを知っているのだろう。しかし、彼女とて説明したいのは山々なのだが、いったいどこからどう説明すればいいかわからないため、言葉が出てこないのだ。
そんな時だ。熟成されたような渋い男性の声が聞こえて来たのは…………
「やぁ、ご機嫌よう。我の助手がお世話になったようだね」
ー!!
咄嗟に声のする方へと振り向く一同。そこには薄い青色のローブを被った男性がいた。顔からして年齢はおよそ40代くらいである事が窺える。彼が明言している「助手」とは、そこで気を失っているフリソデの事で間違いないだろう。
音もなく、誰にも気づかれずに接近して来た事から、彼がただ者ではない事は全員が察しており、限界まで警戒心を強めていた。そんな中、イユはその存在を知っているのか、見るなり身体が恐怖で小刻みに震えていて…………
「やぁイユ。どうしたんだい急に家出なんて……君はもうすぐ神になるんだ。こんな所で居なくなってもらっては困る」
「………!!」
イユを神と称するローブの男性。全く会話の内容が理解できないアスラ達だったが、恐怖に身体が支配されているイユを放って置くわけにはいかなくて…………
「おいローブのおっちゃん!!…何が何だかようわからんけど……この子、めっちゃ怖がってるぞ……さっさとどっか行きやがれコノヤロー」
「スーミ村のアスラか。生憎、我は貴様みたいな突然変異の欠陥品には興味が無い。あるのはイユと…………」
「?」
そう言いながらローブの男性はロンの方へと視線を送る。どうやら彼の興味があるのはイユとロンらしい。その意味も意図も理解できないロンは疑問符を頭に浮かべる。
「やぁロン。覚えているかい?……いや、覚えていないだろうね。あの時の君はまだ生後間もない赤ん坊だったのだから」
「ッ………オマエ、オレの何を知っている?」
「君の出生から生い立ちから何やら何まで全て知っているとも。何せ我は君の実の父である『ゾン・アーサー』の親友……『シスイ・メイキョウ』なのだから」
ー!!
イユ以外の全ての人物に衝撃が走る。シスイ・メイキョウと言えば15年前に行方不明になったメイキョウ家の者だからだ。そしてロンは彼の言葉を耳にし、額に冷や汗をかきながらもメイキョウ旧領で断片的に蘇った記憶の事を思い出していた………
ー『凄いぞシスイ!!…遂に行けるんだな、ミラーワールドに!!』
ー『あぁゾン。これでようやく………ようやくだ………』
研究室にいたこの2人のうち、今思い返せば1人は目の前にいるシスイ・メイキョウで間違いないだろう。つまり………もう1人の男性は…………
「あれは………オレの本当の父親……!?」
そう。ナイトサバイブを召喚する度に見ていたあの記憶の中で赤ん坊の自分にナイトを託した今にも死に絶えそうな男。メイキョウ旧領で見た記憶の中の「ゾン」と呼ばれていた男はロンの実の父親…………
「君の本当の名前はロン・アーサー……この国の数少ないエックスの一族の1人だ」
ー!!
「……ロンがエックス……!?」
とんでもない真実が明らかになる。ロンはコモンしか住まない村であるスーミ村にて育ったため、その身分はコモンとされていたが、その壮絶な過去を辿れば本当は最高の身分である「エックス」であると言う………
急には受け入れ難い衝撃の事実に、ロンをはじめ、アスラやエールは驚愕と困惑する事しかできなくて…………
「まぁいい。どちらにせよ全てのミラーライダーズは手に入れなければならない。この場にいる全員を招待してあげよう………神の生まれし世界へと……!!」
ー!!
イユが全員に鬼気迫る様子で「逃げて!!」と叫ぶ前にローブの男性の身体が眩い光に包まれていく。それは一瞬にしてこの場全域に広がり、アスラ達はその中へと包み込まれて消え去ってしまった…………
最後までお読みくださりありがとうございました!!
今回の描写にあった、ナイトサバイブを召喚した時に見る記憶。と言うのは31コア「ナイトサバイブVSキングギドラ」をご覧ください〜