「………アレ……どこだここ?」
アスラが目を覚ますと、そこは一寸先どころか永遠に広がっている闇の中だった。光と言う名の温もりの無い場所であるからか、どこか寒気がする場所だった。
しかし、アスラは何故かここに何度か来ているような気がしていて………
「えーーっと……確かオレ、あの金髪ヤロウとバトルしててそれで………あ」
アスラは自分がフリソデとのバトルの中で窮地に陥り、力尽きて倒れてしまった事を思い出した。
そして気を失った直後にこの暗闇の世界に来たのだ…………
ひょっとして………
「え、イヤイヤ、ウソウソ……オレってまさか死んで……!?」
自分が死んでしまっているのではないかと考えるアスラ。無理もない、あれ程のバトルダメージを受けた直後にこんなそれっぽい場所に辿り着いたのだから………
「イヤダァァァァー!!!…オレまだまだ生きていっぱいやりてぇ事あったのに……あんな事やこんな事……それに……」
………『それに、頂点王にもまだなれてない!!』
アスラはそう思考が過ぎった。ライバルであるロンや、目標である頂点王シイナの顔もチラつく。
そして約束を果たせずに死んでたまるかと彼が念じた直後だった………
背後からこの世のモノとは思えない程圧のある図太い囁き声が聞こえて来たのは…………
「よぉ、いらっしゃい……久し振りだな」
「!?」
アスラが声のする方へと身体を向ける。
そこにいたのは…………
「ブワぁぁぁぁぁあ!!!……なんだオマエェェェー!!」
巨大な龍の形を形成している黒い炎だった。まさか本当にこの世のモノではない者の登場に、アスラは驚愕して慌てふためく。
「ゼゼゼ………こっちの姿で会うのは初めてだな」
「いや、何その前も出会ったみたいな言い方!!…オマエみたいな黒くて気持ち悪いヤツは断じて知らん!!」
「つれねぇなーー…これでもオレはオマエを誰よりも近くで見て来たんだぜ?」
アスラは記憶が抜けているようだが、この声に語り掛けられた事が二度ある。一度目はユキカイ町の宿で、二度目はオロチに敗れ、病院で眠っている時だ。
「ゼゼゼ……自己紹介がまだだったな、オレの名前はオニキス。黒の世界にいる『ブラックフォース』の1人」
「ッ……黒の世界!?………それってあのちょび髭シルクハットが言ってた………オマエ、いったい!?」
オニキスと名乗る黒い炎。そして彼の言葉から聞き取れた「黒の世界」と言う単語はアスラにも聞き覚えがあった。それは以前、ライダーハンターズのウィルが口にしていた言葉であり…………
「まぁ、不本意なタイミングだが、オレが現世に出るまたとないチャンスに違いはねぇ……ゼゼゼ、いただくぜ、その身体!!」
「ッーー!!」
突然アスラを襲い始める龍の形を象った黒い炎。尾でアスラを捕らえようとするが、彼は凄まじい反射神経でそれを寸前のところで躱して見せる。
「テメェコノヤロー!!…いきなり何しやがんだ!!」
「なぁに、悪い話じゃねーさ……あの人間に勝ちてーんだろ?」
「!」
「オレに任せとけって、叶えさせてやるからよ」
黒い炎が言う「あの人間」とは、おそらくフリソデの事だろう。どうやらこの黒い炎はアスラに変わってフリソデと戦う気でいるらしい。
確かに、この得体の知れないバケモノなら、デッキを進化させたフリソデにも確実に勝つ事ができるだろう………
しかし………
「うるせぇぇぇ!!…誰がオマエみたいな黒くて気持ち悪いヤツに任せるかァァァー!!…オレは自分自身の力でアイツに勝つんだッーー!!」
アスラのプライドがそれを許そうとはしなかった。意地でも自分だけの力でフリソデに勝利する気でいる。
「おいおい。どんだけ頑固なんだよオマエは……あーだこーだと言ってないで、さっさとオレに意識を委ねろ。それだけでアイツに勝てるんだって……オマエみたいなアリンコじゃ逆立ちしたって勝てやしねーよ」
「!!」
黒い炎がそう言いながら、炎でできた己の体を自在に伸ばし、アスラの体を縛り上げた。不思議と熱くない炎だったが、これで彼にできる事は精々口を動かすことくらいになってしまい…………
「ぐぅッ……アリンコなめんなよッー!!…どこへだってよじ登ってやるぜ!!」
「ゼゼゼ………登れない場所もある。諦めな」
アスラに諦めろと催促する黒い炎。しかしアスラはそれでも曲げずに力を振り絞り、己を縛っている炎を解こうともがく………
「いいや!!…オレは絶対に登る!!……アリンコだろうが、コモンだろうが、ソウルコアが使えなかろーが関係ねぇ!!……オレ自身が決めた事なんだ!!」
「!!」
腹の底から放たれるアスラの咆哮。それは空間を裂くかのように暗闇に亀裂を生じさせていく。そしてその割れ目から眩い光が差し込んできた………
誰に何を言われようが、どう思われようが知ったこっちゃねぇ………
オレは………オレは絶対…………
絶対…………
ー………
絶対に、諦めねぇぇぇーー!!!
「ッ……!」
舞台は戻り、ミラーワールドのオウドウ都、三王塔の扉前。
進化したフリソデに追い詰められたアスラは、そう叫びながら立ち上がって見せた。そのデッキは彼の心臓の鼓動に呼応するかのように黒く点滅している。
(……な、なんだ、あれ程のダメージを受けてなんでこんな直ぐに立ち上がれた?……ッ!)
直後、フリソデはアスラが立ち上がった直後に、空気が重く変わっている事と、自分の指先が震えている事に気がついた。震えていると言う事は恐怖していると言う事、そしてその恐怖の対象は今のアスラ以外、何もなくて…………
(な、何!?……ビビってるのか?…恐れているのか?……あのコモンでソウルコアが使えないゴミに……いやいや、あり得ないでしょ、ボクは進化して最強になったんだよ!?)
フリソデの目の前にいるのはこの国で最も弱いと言われているコモンで、しかもソウルコアが使えない欠陥品。
しかし、彼から放たれている妙な黒いオーラと殺気がフリソデを密かに恐怖させていたのだ。
「オレのターンだ……ッ!!」
「!!」
立ち上がったアスラが口を開く。その放たれた言葉に凄まじい重圧と威圧を感じたフリソデは、恐怖の対象がアスラであると完全に自覚する。
だが認めたくはなかった。こんなコモンで、しかもソウルコアが使えない惨めな奴に自分が恐れをなしている事を…………
「か、勝てるわけないんだ!!…ここから、この状況から!!…手札もスピリットも、ソウルコアもないオマエ如きが、進化して最強になったボクに勝てるわけがないんだ!!」
手札:2
場:【シナンジュ[ロケット・バズーカ装備]+フル・フロンタル】LV3
【ドラッツェ[UC]】LV1
【ドラッツェ[UC]】LV1
【レウルーラ[UC]】LV1
バースト:【無】
自分の恐怖を誤魔化すためにベラベラと喋りだすフリソデ。
確かに、側から見ればアスラが勝てる見込みなど、ゼロに限りなく近いのかも知れない………
しかし、得体の知れない存在感を放つ今のアスラは、これさえをも容易く覆してしまう事だろう…………
[ターン10]アスラ
ターンシークエンスの過程の中でカードをドローするアスラ。その手札は0から1になるが、その1枚は自分のデッキにはさっきまで存在していなかったカードであった…………
しかし、彼はそれが何なのかを気に留める事はなく、それを堂々と己のBパッドへと叩きつけ、名を叫んだ。
「メインステップ………オレはコイツを召喚する、来い………」
仮面ライダーリュウガ!!
ー【仮面ライダーリュウガ】LV3(5)BP12000
様々な鏡像が重なり合い、一人の戦士がアスラの場に姿を現す。そしてその姿は…………
「………く、黒い龍騎!?…リュウガ!?…なんだ、聞いた事がない。なんだそのミラーライダーは!?」
その見た目は正しく仮面ライダー龍騎だが、色が黒く、目が禍々しく吊り上がっており、通常の姿よりも異端な存在である事が窺える。
得体の知れないカードバトラーが召喚した得体の知れないライダースピリットを前に困惑を覚えるフリソデ。しかし、彼が驚愕する間もなく、アスラはその「リュウガ」と呼ばれるスピリットの効果を発揮させて…………
「召喚時効果ッー!!…スピリット全てのコアを2つずつリザーブに消し飛ばすッ!!」
「なに!?」
リュウガはベルトからカードを引き抜き、それを左腕のバイザーに装填………
……アドベント!!
と、いつもの音声よりも太いテイストで響き渡ると、リュウガの背後に神をも焼き殺す黒龍が咆哮を上げながら出現。赤い眼光を放ち、フリソデやそのスピリットを睨みつける。
「み、ミラーモンスターまで……黒く………ぐ、ぐぉぉぉぉぉ!!!」
ー【ドラッツェ[UC]】(1➡︎0)消滅
ー【ドラッツェ(UC)】(1➡︎0)消滅
ー【シナンジュ[ロケット・バズーカ装備]】(4S➡︎2S)LV3➡︎1
黒龍の口内から放たれる黒炎がフリソデのモビルスピリット達を襲う。コアの少なかったドラッツェ達はたちまち消滅してしまい、合体してより強力な効果を有するシナンジュでさえもそのLVを大幅にダウンさせてしまった。
「さらに消滅した数だけカードをドロー……2体のドラッツェが消滅した事で、オレは2枚のカードをドローする」
「ッ……て、手札が回復した!?」
2体のドラッツェが消滅した事により、合計2枚のカードをドローするアスラ。たった1枚のカードで一気に形成を逆転させた。
「アタックステップ………」
「だ、だがそいつのシンボルは紫の1つのみ……ボクのライフは……」
「リュウガでアタックッーー!!」
「ボクの2つのライフは決して0にはできないーーー!!!」
アタックステップに移行され、リュウガに攻撃の指示を送るアスラ。
しかしそのシンボルはたったの1つ。残りライフが2つもあるフリソデのライフは0にはできない………
だが、これは第七の属性、黒の力で強化された龍騎の力…………
その程度の常識が罷り通るわけがなくて……………
「リュウガのアタック時効果!!……コア2個以下のスピリット1体を破壊し、ライフ1つをボイドに送るッー!!」
「は、はぁぁっ!?」
「シナンジュを破壊……そして効果とアタックで、オマエの残った2つのライフ全てを破壊するッ!!」
リュウガが再びベルトからカードを引き抜き、それを左腕のバイザーに装填。
………ファイナルベント!!
と、無機質で太い音声が鳴り響くと、黒龍が口内から冷気のブレスをシナンジュに向けて放出……シナンジュの足元はたちまち凍り付き、身動きを奪われてしまう。
そしてリュウガは謎の浮力で軽く浮かび上がり、キックの構えを取ると、黒龍はその背に向かって火炎弾を発射。リュウガは黒い炎の弾丸となって、身動きが取れないシナンジュへと飛び向かう。
「く、来るな……来るな来るな……来るなぁぁぁぁぁあ!!!……このソウルコアが使えないクズが!!……オマエはボクに負ける運命……定めなんだよぉぉぉお!!!」
「勝手にヒトの未来を決めつけんじゃねぇ!!……そんな運命や定め、捻じ曲げてでもオレはオマエに勝って、頂点王になるァァァァァァーー!!!」
「ッ!?」
ブラックドラゴンキックーー!!!
「ぐっ………ぐぁぁぁぁあ!?!」
〈ライフ2➡︎1➡︎0〉フリソデ
刹那………
黒炎を纏ったリュウガの強力なキックがシナンジュを貫き、その勢いのまま、フリソデのライフをも破壊した…………
凄まじいバトルダメージがフリソデを襲う。彼が力尽きて仰向けで倒れると共に、Bパッドからは彼の敗北を告げるかのように「ピー…」と、甲高い機械音が鳴り響き始めた。
これにより、勝者はアスラだ。謎多き黒い力を従え、見事に勝利を収めて見せた。
「……オレの勝ちだ。先に行かせてもらうぜ」
力尽きて倒れたフリソデに、アスラがそう告げた。そしてその直後、最後に場に残った仮面ライダーリュウガが黒い炎に姿を変え、この場から消滅。Bパッドにあるカードも同様の方法で消え去った。
「何だったんだ………でもなんか凄い力だったな。まるで体中の血が燃え盛る炎になったような……ん?…てかオレ気を失ってる時に誰かと喋ってなかったか……?」
消え去るリュウガとそのカードを眺めながらそう呟いたアスラ。どうやら夢の中でオニキスと名乗る黒い炎と戦った事を忘れているようである。
そんな時、力が抜き取られたかの如く力尽きて倒れているフリソデが唯一動ける口を動かした…………
「ず、ずるいだろ……」
「?」
「卑怯だろ!!……自分だけこんな凄い力を使いやがって!!……ふざけんなァァァー!!」
動かすものが口しかないフリソデ。悔しさと歯痒さで大粒の涙を零しながらアスラにいちゃもんをつけた。
はっきり言って惨め極まりなし。この力が何なのか、いつ手に入ったのかもアスラはわからないと言うのに…………
「……自分の運命や定めを捻じ曲げられたくないなら、諦めるなよ……言い訳する前に、努力して、何度でも立ち上がれよ!!」
「!!」
「そうやって来たから、こんなオレでも仲間ができて、ここまで来れた………諦めなけりゃ、前を向いて走れば運命なんていくらでも変えられるんだよ!!」
腹の底から想いを叫ぶアスラ。コモンで、しかもソウルコアが使えないからこそ言える言葉だった。
「………オマエ達コモンはいつもそうだ……虐げられるだけの存在のくせに自分勝手な偏見だけで偉そうに物を言う!!」
「お、オマエ……それ自分にブーメランだぞ……!?」
「黙れぇぇぇぇえ!!!……何が『諦めるなよ』だ。諦めてないわァァァー!!…てゆーか負けてないし、オマエみたいなコモンでソウルコアが使えないヤツなんかにこのボクが負けるわけない……!!」
アスラの言葉に聞く耳を持たないフリソデ。自分の考え方が間違っていないと信じて止まない。
しかしその時だった………
フリソデの足元から空間を繋ぐワームホールが出現したのは………
「は?…な、何!?………う、うぁぁぁぁ!!?!」
「!!」
重力に従い、そのままワームホールの中へと落下していくフリソデ。彼を吸い込むように現れたワームホールはその後、何事もなかったかのように閉じられた。
「……あの穴って……確かトゥエンティとかが出してる……まさかアイツらも関わってんのか!?」
トゥエンティやウィルなどのライダーハンターズが同じモノを使用していたのを思い出すアスラ。何のためにフリソデを落としたのかは定かではないが、どちらにせよ彼らが関わっている事は間違いなさそうで…………
「くっ……取り敢えず今はロン達のとこに行かねぇと……待ってろよ」
ボロボロになってしまった身体を無理矢理突き動かし、アスラはロン達が入っていった巨大な塔、三王塔へと足を踏み入れた…………
******
一方ここは三王塔内部、その最上階にある頂点王の間。ここがミラーワールドと呼ばれる異世界とは言え、本来であれば6人のカラーリーダーと3人の三王を全て倒した者だけが到達できる場所にロンは辿り着いた。
そこには当然シスイ・メイキョウ、ミラーライダーズのカード達に囲まれ、気を失っているイユ・メイキョウもいた。
ロンはそんなシスイと睨み合いを続けていて…………
「フフ……ロン。まさかサバイブを奪われてもまだ我に挑んで来るとはね……身の程知らずもゾン譲りのようだ」
「………残念だが、その身の程知らずはゾンじゃなくてライバルから譲られたモノだ……そんな事より、さっさと返してもらうぞ……ナイトサバイブとそこの女をな」
「ほぉ。イユもか?…昨日も言ったが、我が娘は我自身の所有物だ。残念ながら渡す事はできないね」
言い合いながら緊迫する状況の中、ロンは己のBパッドを展開してバトル台を形成させる。この行為が意味するのは当然、シスイにたいするバトルスピリッツの要求だ。
そんな彼の様子を見て、シスイは不気味な笑みを浮かべながら、自分のBパッドを取り出した。
「いいだろう……オーディンが蘇るまでまだ時間もある。その余興に君とのバトルスピリッツはもってこいだ……!」
「オーディンは復活させない。そしてオマエ達メイキョウ家は……オレが救う!!」
「……救う?」
ロンから放たれた言葉にシスイは耳を疑った。昨日あれ程父親を殺された事を知って激昂した少年が今日はそん者達を救うと言ったのだ。無理もない………
「……我の耳が腐っているのかな……今君は救うと言ったのか?…この我も」
「………あぁ、そうだ。オレはオマエ達メイキョウ家を救う」
「昨日あれ程までに激昂していた青二才が、いったいどう言う風の吹き回しだい?」
「オレが記憶で見たあんたはゾンと親友だった。心の底からな……だが15年前、あんたはオーディンの力に魅せられ、力に溺れた。だからオレはそんなあんたをオーディンの呪縛から解放する……ゾンもオレがそうする事を望んでナイトを託したんだと、今は思う」
「ッ………!!」
「それに、復讐がどうとか言ったら、オレの最大のライバルにぶん殴られるしな」
ロンの言葉を聞き、シスイは15年前の事を思い出していた。
確かに、ロンの言う通り、ゾンはオーディンの力に溺れたシスイを解放しようとした。彼は本当に心優しい人間だった。最後の最後までシスイを親友だと信じていた………
しかし、それをシスイは裏切った。
親友を裏切ったと言う自覚があるからこそ、シスイはロンのその言葉が、姿がゾンと重なり合った。それは彼にとってとても腹立たしい事であり…………
「本当……イラッと来ますね。せめてもの情けだと思って生かしておきましたが、もう容赦はしない……ゾン・アーサーの息子、ロン・アーサー……目障りな貴様を今ここで我が消す!!」
「……オレの名前はロン・アーサーじゃなくてスーミ村のロンだ。そしてこの名前は未来の頂点王になる名だ!!」
お互いのBパッドにデッキがセットされ、バトルの準備が整う。
そして……
………ゲートオープン、界放!!
世界の命運を左右するロンとシスイのバトルスピリッツがコールと共に幕を開ける。
先行はシスイだ。腹わたを煮えくり返しているが、それでもロンを葬り去るべく、余裕を持ってそのターンシークエンスを進行させていく。
[ターン01]シスイ
「メインステップ、海底に眠りし古代都市を配置……バーストを伏せ、ターンエンド」
ー【海底に眠りし古代都市】LV1
前のバトルとほとんど同じ光景だ。シスイの背後に深海深くに眠る立派な古代都市が姿を見せる。
[ターン02]ロン
「メインステップ、来い、仮面ライダーナイト!!」
ー【仮面ライダーナイト】LV2(2)BP4000
様々な鏡像が重なり合い、騎士型のライダースピリット、ナイトがロンの場に出現する。
「召喚時効果でドロー」
「フフ、安易な召喚だ……バースト発動、双翼乱舞!!」
「!!」
「我は効果で2枚ドロー!」
ナイトの召喚時で誘発するシスイのバースト。その効果でナイトの効果を上回る2枚のドローをシスイは行った。
「アタックステップ、ナイトで攻撃する!!」
しかし、シスイのバーストなど気に留める事はなく、そのままアタックステップでナイトに攻撃の指示を送るロン。ナイトがレイピア型の剣を構え、シスイのライフ目掛けて走り出した。
この攻撃をシスイはかわせる手段は無くて…………
「ライフで受ける!」
〈ライフ5➡︎4〉シスイ
余裕のライフで受ける宣言。ナイトは彼のライフ1つを斬り裂き、破壊した。
「ターンエンドだ」
手札:5
場:【仮面ライダーナイト】LV2
バースト:【無】
そのターンをエンドとするロン。再びシスイのターンが幕を開ける。
[ターン03]シスイ
「メインステップ、まだ手札が欲しいところですね〜……マジック、ソウルドローを使用。カードを2枚ドローし、コストにソウルコアを使った事により、さらにもう1枚ドロー……最後にもう一度バーストを伏せてターンエンドだ」
手札:7
場:【海底に眠りし古代都市】LV1
バースト:【有】
まだ動かないシスイ。マジックによるドローとバーストのセットのみで余裕のターンエンド宣言を行った。
[ターン04]ロン
「メインステップ、アーマーバットと魔界竜鬼ダークヴルムを召喚!」
ー【アーマーバット】LV1(1)BP1000
ー【魔界竜鬼ダークヴルム】LV1(1)BP3000
鎧を身につけた蝙蝠型のスピリットと、獰猛な紫のドラゴンがロンの場に召喚される。そしてその紫のドラゴンは主人であるロンを睨みつけると………
「ダークヴルム召喚時効果。オレのライフを破壊し、2枚のカードをドロー」
〈ライフ5➡︎4〉ロン
そのライフバリアを噛み砕いた。しかしそれはロンのデッキに力を与え、新たに2枚のカードを新調させた。
「バーストを伏せてアタックステップ。ナイトでアタック!!」
第一のナイトがレイピア型の剣を手に今一度地を駆ける。狙うは当然シスイのライフだ。2ターン連続で手札の増加に努めた彼はこの攻撃をライフで受ける他なくて…………
「ライフでもらおう!!」
〈ライフ4➡︎3〉シスイ
ナイトの剣にライフを斬り裂かれるシスイ。ロンの速攻を受けて間違いなくピンチのはずだが、彼の表情はやけに余裕が窺える。
そしてその理由は伏せていたバーストカードにあって………
「ライフ減少後のバースト、選ばれし探索者アレックス」
「!!」
「効果で自身を召喚。その後コア1つをリザーブに追加し、このターンのアタックステップを終了させる」
ー【選ばれし探索者アレックス】LV2(2)BP8000
シスイのバーストカードが反転すると共に現れたのは、紫色のフードを深く被った人型のスピリット、アレックス。
その効果でこのターンでできるはずのアタックをロンは封じられた。
「………ターンエンド」
手札:5
場:【仮面ライダーナイト】LV2
【アーマーバット】LV1
【魔界竜鬼ダークヴルム】LV1
バースト:【有】
アタックステップを止められてしまっては致し方ないか、ロンはそのターンをエンドとする。
そして次はそんな彼の攻撃を難なく凌いだシスイのターンだ。
[ターン05]シスイ
「メインステップ、ダーク・スクアーロX2体を連続召喚。海底に眠りし古代都市の効果でコアを2つ追加!!」
ー【ダーク・スクアーロX】LV2(2)BP5000
ー【ダーク・スクアーロX】LV2(2)BP5000
サメ型のスピリット、ダーク・スクアーロXが2体、シスイの場に出現。
「アタックステップ。2体のダーク・スクアーロXでアタック……効果でコアブーストし、君のデッキを4枚破棄させ、2体のシンボルは0となる」
「!!」
2体のダーク・スクアーロXにそれぞれ1つずつのコアが追加されると、さらに微量だがロンのデッキからカードが破棄される。
これによりシンボルがなくなって、ライフを破壊する事ができなくなるが、シスイの狙いは初めからコアブースト。そもそもロンのライフをこのターンで破壊する気はなくて………
「アタックはライフで受ける」
〈ライフ4➡︎4➡︎4〉ロン
2体のダーク・スクアーロXが短剣でロンのライフを斬り裂こうと試みるも、失敗。泳ぐようにシスイの場へと帰還していった。
「我はこのターンでコアを4つも増やしました。さぁ、うかうかしてるとやられてしまうよ?……前のあの惨めなバトルみたいにね!」
手札:6
場:【選ばれし探索者アレックス】LV2
【ダーク・スクアーロX】LV2
【ダーク・スクアーロX】LV2
【海底に眠りし古代都市】LV1
バースト:【無】
「フッ……あぁ、確かに。あのバトルはオレの人生の中で一番恥をかいたバトルだったな」
「……随分と余裕だね。何か秘策でもあるのかな?」
「そんなモノはない。さっきから行き当たりばったりだ……でも関係ない。それでもオレが勝つからな」
コアを大量に増やし、そのターンをエンドとするシスイ。ついでのようにロンを煽るが、ロンはそれで取り乱すような様子はなく、まるでこのバトルを楽しんでいるかのように小さく笑っていた。
そんな彼に、またシスイは密かに腹を立てていて………
[ターン06]ロン
「メインステップ、ナイトとアーマーバットのLVをそれぞれ3と2にアップ!!」
ー【仮面ライダーナイト】(2➡︎4)LV1➡︎2
ー【アーマーバット】(1➡︎2)LV1➡︎2
Bパッド上にあるカードにコアが追加され、スピリットのLVが上昇した。
「アタックステップ、ナイトでアタック!!……さらにフラッシュマジック、ファイナルベント!!」
「!!」
「この効果でアレックスを破壊し、ナイトに赤のシンボルを1つ追加する!」
ナイトがベルトからカードを引き抜き、それを剣のバイザー部に装填………
………ファイナルベント!!
と、無機質な音声が流れると、ナイトの背後に黒き翼を持つ巨大な蝙蝠が出現。ナイトは宙に跳び上がり、それと一体化し、巨大な黒槍となる。
そのままアレックスを貫き、爆散させた。
「これであんたのブロッカーはゼロ。この連続アタックで終わらせる」
「終わらせる?……フッ、見通しの甘さまで父親譲りか!!」
「!?」
このターンで決着をつけようとしていたロンに対抗するかの如く、いや、寧ろそのまま決着をつけると言わんばかりの様子で、シスイは己のBパッドにあるカードを叩きつけた…………
それは己のデッキの中に眠る最強のエースカードであり………
「来なさい。我が最強の僕、アルケーガンダムッ!!…不足コストは2体のダーク・スクアーロXをLV1まで下げて確保し、LV3で召喚する!!」
「……!?」
ー【ダーク・スクアーロX】(3➡︎1)LV2➡︎1
ー【ダーク・スクアーロX】(3➡︎1)LV2➡︎1
ー【アルケーガンダム】LV3(5)BP15000
アレックスの破壊が引き金となり、上空から空気を切り裂くように飛来して来たのはモビルスピリットの一種、アルケーガンダム。
それは登場するなりロンを睨みつけ、大剣を荒々しく構えた。その動きの滑らかさはとてもではないが機械とは思えない程。
つい昨日、ロンはこのアルケーガンダムに敗北を喫したが、この破壊後のタイミングで登場して来た荒々しい機械兵に疑問を浮かべる。
「………そいつ、確か昨日はライフ減少後のタイミングで召喚したはず」
「フフ、そう言えば説明がまだでしたね。我が最強の僕アルケーガンダムは互いのスピリットの破壊、そしてライフの減少時に1コストを支払い召喚できる。今回はアレックスの破壊がトリガーとなったのだよ……そして、続行しているナイトのアタックはこのアルケーガンダムが引き受けますよ!!…敵う事はないがね!!」
「!!」
召喚からブロックまでを流れるように行うシスイ。
そんな彼の指示に従い、豪快な剣技でナイトを振り払うアルケーガンダム。さらにこの時発揮できる効果が発揮されて………
「さらにフラッシュ、アルケーガンダムのアタックブロック時効果。2コストを支払い、コスト7以下のスピリット、ダークヴルムを破壊して回復!」
「!!」
ー【アルケーガンダム】(疲労⬅︎回復)
アルケーガンダムは取り出した短剣をダークヴルムへと投げつける。ダークヴルムはそれに腹部を貫かれ、力付き爆散してしまう。
しかもアルケーガンダムは回復状態となり、この後のブロックも可能となった。
「いくら心に余裕を覚えたとは言え、サバイブを無くした貴様如きがこのアルケーガンダムに勝てる事はない!!」
アルケーガンダムとナイトの剣の打ち合い。金切り音がそこら中でこだまする中、それを制したのはアルケーガンダム。ナイトは首から腰を袈裟斬りにされ、爆発四散した。
「………ターンエンド」
手札:5
場:【アーマーバット】LV2(2)BP2000
バースト:【有】
アーマーバットだけではアルケーガンダムに太刀打ちできない。ロンは致し方なくこのターンをエンドとした。
[ターン07]シスイ
「メインステップ、3体目のダーク・スクアーロXを召喚。海底に眠りし古代都市の効果でコアを増やし、2枚のストロングドローを使用、デッキの上からカードを3枚ドロー、その後破棄するを二度行う」
ー【ダーク・スクアーロX】LV1(1)BP3000
今回で3体目となるダーク・スクアーロX。シスイはその後、青属性の汎用マジック、ストロングドローで手札の回転率を向上させた。
そして準備は万端だと言わんばかりに手札からバーストを伏せると………
「バーストを伏せてアタックステップ!!…我が最強の僕、アルケーガンダムよ、飛べ!!」
アルケーガンダムがシスイの指示で飛び上がる。狙いは当然ロンの残り4つのライフだ。
アタックすればシンボルがなくなるため、実質アタッカー向きではないダーク・スクアーロXだが、このアルケーガンダムさえいればロンの残りライフ全てを破壊できて…………
「フラッシュ、アルケーガンダムのアタックブロック時効果!!…今度は3コストを支払う!!…アーマーバットを破壊し、アルケーガンダムを回復!!」
「!!」
ー【アルケーガンダム】(疲労➡︎回復)
アルケーガンダムが大剣を振い、その風圧だけでロンのアーマーバットを吹き飛ばして爆散させた。さらに回復状態となり、このターンだけで少なくとも二度のアタックが可能となった。
さらに3コア目を支払った際の効果もまだ残っていて………
「さらに自分のアタックステップであれば、相手の手札1枚、ライフ1つ。デッキのカード6枚を破壊するッ!!」
「ぐっ……!!」
〈ライフ4➡︎3〉ロン
一気にロンとの間合いを詰めたアルケーガンダム。その手に持つ大剣を再び豪快に振い、彼のライフだけでなく、手札とデッキまでもを破壊して見せる。
「フッ、他愛もないね。やはり君は水面に映る月面だよ……そもそもサバイブ有りでも我には敵わなかったのだ。もう諦めろ」
まだロンのライフは3つも残っているが、このターンでの勝ちを確信するシスイ。
確かにロンがいくは天才と言われるほどのカードバトラーであっても、強力なモビルスピリット、アルケーガンダムを所持しているシスイのデッキに対してサバイブの無いナイトだけでは太刀打ちする事もできないだろう………
しかし飽くまでも無かったらの話ではあるのだが…………
「滑稽だな、シスイ・メイキョウ」
「?」
「そう言うセリフはこのオレに勝ってから言え、小物臭いぞ」
「なに!?……貴様は、貴様はこの我を小物だと称するのか!?…この神たる我を!!」
「神だからとかは関係ない。小物は小物だ」
唐突に口を開き煽りまくるロン。シスイは自分より下だと思っていた者に煽られ、怒りを露わにする。
「ぐうっ!!…貴様の方がよっぽど小物だろうが、この落ちぶれエックスめ!!……いいからさっさと諦めろ!!…諦めて死ねーー!!」
「フッ……残念だがそれはできない。オレもあのソウルコアが出せないクソチビと同じで、諦めないのがオレのバトルスピリッツだからな!!」
「!!」
「一度でも諦めたら、オレはアイツを超えて頂点王にはなれない!!」
………バースト発動!!
ロンはそこまで言い切ると、己のBパッドを勢い良く叩きつけ、事前に伏せていたそのバーストカードを反転、発動させる。
そしてそのカードは…………
「騎士の覇王ソーディアス・アーサー!!」
「ッ!?……な、何だと、そのカードは……!」
「効果により3体のダーク・スクアーロXよりコアを1つずつトラッシュへ送る!!…よって全滅!!」
「ぐっ!!」
ー【ダーク・スクアーロX】(1➡︎0)消滅
ー【ダーク・スクアーロX】(1➡︎0)消滅
ー【ダーク・スクアーロX】(1➡︎0)消滅
バースト反転と共に、フィールド全体に紫の波動が散らばる。それらはシスイのダーク・スクアーロX達へと纏わり付き、その内部に眠るコアを弾き飛ばした。3体は立ち所に消滅してしまった。
そんな中、シスイはロンの発動したバーストカードの名前と効果に衝撃を受ける。
無理もない、何せそのカードは…………
「何故だ。何故ゾンのカードをオマエが持っている、スーミのロン!!」
そう。このソーディアス・アーサーのカードは紛れもないゾン・アーサーのカード。エックスの身分を持つアーサー家の家宝とも呼べるカードだったのだ。
「表の世界。そこでオマエとゾンの研究室を覗いた時に見つけた……やはりこれはゾンのカードをだったんだな」
「研究室だと……何故そんな所に己のカードを………まさか奴は息子が見つけてくれると思っていたのか……!?」
「そんな事はどうでも良い。事実なのは、これがオマエを追い詰める秘策だと言う事だ!!」
「!!」
表の世界、メイキョウ旧領にてロンが本の栞として挟まっていた………いや、今思えば栞ではなく、隠されていたカード………
それがこの騎士の覇王ソーディアス・アーサー。
今となっては何故ゾンがそこに置いていたのかは定かではないが、今、確実にそれはロンの力になっていて…………
「騎士の覇王ソーディアス・アーサーの更なる効果!!…バースト効果発揮後、このスピリットをノーコストで召喚する!!」
「………」
「永き時を眠った聖剣に選ばれし覇王、今こそ目覚めの時だ!!……現れろ、騎士の覇王ソーディアス・アーサー!!」
ー【騎士の覇王ソーディアス・アーサー〈R〉】LV3(4S)BP21000
巨大な紫のシンボルがロンの場に現れる。さらにそこに亀裂が生じ、砕け散ると、その中より巨大な聖剣を構え、誇り高き騎士の覇王の姿があった。
その名はソーディアス・アーサー……
ロンの血の繋がった父親、ゾン・アーサーの切札で、今はロンを守る強靭たるスピリット…………
「ソーディアス・アーサー、アルケーガンダムをブロックだ……!!」
「くっ……!!」
登場したソーディアス・アーサーに決闘を挑むかの如く襲いかかるアルケーガンダム。その手に持つ大剣をソーディアス・アーサーへと振るうが、ソーディアス・アーサーも対抗してその聖剣を振るう。
その力は拮抗しているかに見えたが、直ぐにそれは破られる。ソーディアス・アーサーが気高き眼光を放つと、アルケーガンダムを振り払う。
吹き飛ばされたアルケーガンダムはその後地に足をつけ、体勢を整えようとするが、ソーディアス・アーサーはその隙を逃さない。アルケーガンダムとの間合いを一瞬にして詰め、強力な一閃をアルケーガンダムに浴びせる。
流石のアルケーガンダムもこの一撃は耐える事が出来なかったか、堪らず爆発四散してしまった。
「貴様。確かさっき我に秘策は無いと言ってなかったか?」
「フッ……オマエ馬鹿だろ。秘策って言うのは「秘密」の「策」と書いて秘策なんだ。敵に教えるわけないだろ?」
「………ここまでコケにされたのは何十年振りだろうか……良いだろうスーミのロン。我の本気で貴様に引導を渡してくれる!!」
「だろうな。これで本気なわけがない」
アルケーガンダムの爆発による爆炎も爆煙の中、鋭い視線で睨み合う2人………
そして、最強のミラーライダーで、ミラーワールドの神、オーディンの復活が刻一刻と迫る中、因縁の対決は遂に終盤を迎えていくのだった…………
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最後までお読みくださり、ありがとうございました!!