バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

38 / 74
38コア「激突のミラーライダーズ、神をも焼き殺す黒い龍」

「行きなさい、ウォーグレイモン!!……ガイアフォースッー!!」

 

 

三王塔の2階でエールの叫びがこだまする。

 

ウォーグレイモンが手の平から高熱の火球を繰り出し、並みいるミラーモンスター達を次々と焼き尽くして行った。

 

しかし、焼き尽くされた直後に、そのモンスター達は何事もなかったかのように元の姿に戻っていく。

 

 

「くっ、きりがない……やっぱりアスラに残ってもらったほうがよかったかも………」

 

 

このミラーモンスターとリアルなバトルスピリッツを繰り広げてからおよそ数十分。ここまでなんとか一人で持ち堪えていたが、何度も再生と輪廻を繰り返すモンスター達に、エールは疲弊していた。途中でアスラがここまで登って来た時に、協力してもらおうとも考えたが、上での戦いが最優先なため、彼女はアスラを先に行かせたのだ。

 

 

「いや……これで良かった……上のイユを助けるのが最優先。アスラ達ならきっと勝つわ……それまで、持ち堪える!!」

 

 

アスラやロン、イユ達のためにも、こんな所で根を上げるわけにはいかない。

 

そう想いを馳せながら、エールは再びBパッドに手を置くが………

 

 

「きゃっ!?……コイツ、離しなさいよ!!」

 

 

その直後に山羊を人型にしたようなモンスターがエールの背後に回り込み、腕を押さえ込んだ。これでは新たにスピリットを召喚する事ができない上に、今召喚されているウォーグレイモンも他のミラーモンスターとの戦闘でエールを助けに行けない………

 

それを気に、蟹、虎を人型にしたようなモンスター2体がエールに近づいて来る。おそらくはエールを殺すか、捕らえるために違いない。

 

 

「くっ……!!」

 

 

エールは諦めていないような強気な眼差しをモンスター達に向けるが、それでモンスター達の足が止まるわけがなく、絶体絶命的なこの状況。数十分と言う長きに渡った戦いも、ミラーモンスター達の勝利で決着がつくかと思われた…………

 

その直後………

 

 

「ライダーキック」

 

 

「え」

 

 

刹那。

 

とある技名が聞こえて来た途端に、赤い何かが凄まじい速度でミラーモンスター達を一匹、また一匹と、次々に爆散させて行った。

 

まるで意味がわからないこの状況だったが、エールはその技名を告げた声色の正体は知っていて…………

 

 

「うそ!?……なんでアンタがここに……!?」

「おい。そこの山羊人間。その手を離してもらうぜ」

「!?」

 

 

男の声が聞こえると、エールの背後を取った山羊を人型にしたようなモンスターはエールの手を離し、凄まじい速度で動き回る赤い何かに向かっていくが、それも無謀だったか、赤い何かが繰り出したパンチになす術なく吹き飛ばされ、爆散してしまった。

 

これにてミラーモンスターは全滅。また復活して来るだろうが、一時的にゆとりのある時間を経た。

 

そして凄まじい速度で動いていた赤い何かは足を止め、エールの方へと顔を向けた………

 

その正体は…………

 

 

「やっぱり……テンドウ!!……なんでこんなとこに!?」

「あぁ?……なんでって、迷子です」

「嘘おっしゃい!!」

 

 

それは赤い仮面ライダーカブトに変身した三王、テンドウ・ヒロミだった。その腰には起動中のBパッドがぶら下がっており、変身のカードで変身しているのが窺える。

 

ミラーワールドには人が1人もいない。故にテンドウがこの世界に存在するわけがないのだが、何故か彼はエールをここまで助けに来ており………

 

 

「調査に向かわせただけなのにオマエらの連絡が余りにもないもんでな。エレンに頼まれてオレが代わりに調査に向かって来たわけよ。そんであの旧領で色々漁ってたらミラーワールドとか言う資料を見つけてな。もしかしたらと思ってここまで来てみました」

「はぁ!?…だからってそんな……えぇ?…ここってそんな簡単に来れる場所なわけ!?」

「まぁ…オレの知り合いにはその手に精通したクソジジイがいるのよ。一歩間違えたら世界を滅ぼしそうだけど」

「なんでアンタの知り合いそんなやばい奴しかいないのよ!?」

 

 

テンドウの言う知り合いとは、ネコガイヌ博士の事だ。テンドウはミラーワールドの資料をネコガイヌ博士に見せ、自分をミラーワールドへ向かわせるよう指示したのだ。

 

 

「今はそんな呑気な事言ってないで、さっさとあいつらをぶっ殺した方が良さそうだぜ。小僧共は上なんだろ?」

「!?」

 

 

テンドウがそう言うと、耳を覆いたくなる程の金切音と共に、ミラーモンスター達全員が復活を果たす。

 

テンドウに負けじと、エールは立ち上がり、再び己のBパッドを手に取る。そして、テンドウとエールはミラーモンスター達と戦っていくのだった………

 

 

******

 

 

「行け、第二の龍騎!!」

 

 

一方ここは三王塔最上階。シスイ・メイキョウが見守る中、イユの体を手に入れたライダースピリット、オーディンとアスラ、ロンのバトルスピリッツが続く。

 

第二の龍騎が柳葉型の剣を手に、オーディンのライフへと駈ける。その際にミラーワールドの効果でアスラは手札を1枚増やす。

 

 

「いいだろう。その攻撃、このオーディンのライフで受けてやる」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉オーディン

 

 

龍騎の剣撃がオーディンのライフバリアを1つ斬り裂く。

 

 

「っしゃぁ!!……残り3つ!!」

「頭が高いぞ人間。余り調子に乗らない事だ……ライフ減少のバースト、仮面ライダー王蛇!!」

 

 

ー!!

 

 

オーディンが伏せていたバーストカードがここで反転。それはアスラとロンも知っているあのカードであり………

 

 

「効果により自身を召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダー王蛇】LV1(1)BP5000

 

 

様々な鏡像が重なり合い、紫の鎧を持つミラーライダー、王蛇がアスラとロンの前に姿を見せる。

 

 

「……これって、あのヘビヤロウのライダースピリット………そっか、ミラーライダーが全部揃ったって事はコイツも手に入れたって事になるのか……」

「そこにいるシスイ・メイキョウとライダーハンターズのちょび髭シルクハットには繋がりがあった。多分それ関係だろ」

「マジ!?……てかロン、なんでオマエヘビヤロウの事まで知ってんの?」

「オマエには関係ない」

「なんだとコノヤロー!!」

 

 

ロンもオロチの事を知っている点に反応を示すアスラ。ロンは一度ライライ町でオロチとバトルを行なっているため、王蛇の事も当然熟知していた。

 

 

「あぁ、我はミラーライダーを手にするためにライダーハンターズのウィルと交渉をし、王蛇を手に入れた」

 

 

王蛇の存在に、シスイが説明を挟む。因みに、オロチ含め、トゥエンティやイバラもこの交渉の事は何も知らない。全てウィルの独断で行った事だ。

 

 

「ほう。王蛇を知っているか。ならこの効果も知ってるな、召喚時、疲労状態のスピリットを破壊し、そのスピリットのLVの数だけコアをボイドに送る……対象は当然第二の龍騎!!」

「ぐっ……!!」

 

 

ソードベントカードを杖型の武器のバイザー部に装填する王蛇。その影響でドリルのような剣をその手に取り、第二の龍騎へと接近。腹部を串刺しにし、破壊。さらに内部に眠っていたコアも1つ砕いた。

 

 

「相変わらずべらぼうにつえー……」

「フッ……どうしたアスラ?…その程度で諦めるのか?」

「へっ……何言ってやがるこのイケメン天才ヤロー……ちょうど面白くなって来たって思った所だ!!……このターンはエンドにしてやる!!」

アスラ手札:3

ロン手札:3

場:【ミラーワールド】LV1

【ミラーワールド】LV2

バースト:【無】

 

 

お互いを煽り合い、鼓舞し合い、そのターンをエンドとするアスラとロン。再び神たるオーディンのターンが幕を開ける。

 

 

[ターン05]オーディン

 

 

「メインステップ、ミラーワールドのLVを下げ、この場に新たなミラーライダー……ライア、ファム、ゾルダを召喚(つかまつ)る」

「!!」

 

 

ー【仮面ライダーライア】LV1

 

ー【仮面ライダーファム】LV1

 

ー【仮面ライダーゾルダ】LV1

 

 

王蛇に並ぶのは新たな3体のミラーライダー。

 

1体目は赤のライダーライア。2体目は純白のボディを持つファム。3体目は緑色の重圧な装甲を誇るゾルダ。

 

これでアスラ、ロンの目の前に龍騎やナイトと同等の存在が4体も並んだ事になる。

 

 

「ライアの召喚時効果。デッキから3枚オープンし、その中にあるアドベントカードを全て回収する……この中のアドベントカードは2枚。よって2枚を回収し、残りは破棄。さらにファムの召喚ブロック時効果、ボイドからコア1つをこのスピリットに追加。LV2へ上昇」

 

 

ー【仮面ライダーファム】(1➡︎2)LV1➡︎2

 

 

「さらにゾルダの効果。自分のミラーライダーは敵のスピリット、ネクサスの効果を受けない」

 

 

次々と発揮されるミラーライダー達の効果。アスラ達は少しずつだが確実にカードのパワーの差を感じ始めて来ていた。

 

 

「バーストを伏せ、アタックステップ。ゾルダでアタック」

 

 

オーディンの指示でゾルダが小さめのシャッドガンの銃口をアスラ達に向ける。当然ながら、彼らの残り4つのライフを撃ち抜く気でいるのだろう…………

 

 

「フルアタックは流石にマズイ。ここは止めろアスラ」

「なんでオマエがオレに命令すんだよ!!……フラッシュマジック、ガードベントを使用!!」

「!!」

「これによりこのターンの間、オレ達のライフは1つしか減らされない……そのアタックはライフで受けてやる!!……ッ」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉

 

 

ゾルダの銃弾がアスラとロンのライフに命中。1つ撃ち砕かれるが、アスラが発揮させたマジックカード、ガードベントにより、このターンはどう足掻いてもオーディンは彼らのライフをこれ以上破壊できなくて………

 

 

「………ターンエンドだ」

手札:3

場:【仮面ライダーライア】LV1

【仮面ライダーファム】LV2

【仮面ライダーゾルダ】LV1

【仮面ライダー王蛇】LV1

【ミラーワールド】LV1

バースト:【有】

 

 

ガードベントの効力を消すため、そのターンをエンドとするオーディン。今一度アスラとロンのターンが幕を開ける。

 

 

[ターン06]アスラ&ロン

 

 

「「ドローステップ!!」」

 

 

ターンシークエンスの過程の中、2人はほぼ同時に己のデッキからカードを1枚引き抜く。しかし、その当たりは芳しくなくて………

 

 

(くっ……転醒ナイトをドローできない。初期手札が少ないレイドバトルが仇になったか)

(……クッソ……金髪ヤロウの時みたいに、もう一度あの黒い龍騎の力があったら………)

 

 

2人は直後に前のバトルでの光景を頭に思い浮かべる。強力な効果を持つ転醒ナイトと、直ぐにカードごと消滅してしまった黒い龍騎………今の彼らの中で、神たるオーディンを出し抜き、尚且つ倒すためには、それら以外の方法が思い浮かばなかった……………

 

 

「フッ……アスラ、オマエのその顔、何か良い策でもあるのか?」

「へっ……ロン、オマエだって……でもお互いにそれは引けてないみたいだな。つーかそもそもオレの切札は今はデッキにないんだけど」

 

 

絶体絶命な状況の中、アスラとロンの表情はまるでバトルを心の底で楽しんでいるかのように、どこか余裕があった。

 

お互いがお互いを信用している何よりの証拠だ。その後、2人は同時に手札のカードを引き抜き、同時にBパッドにカードを叩きつけた………

 

 

「来い、オレの相棒……第一の龍騎!!」

「現れろ、第二のナイト!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎】LV2(2)BP4000

 

ー【仮面ライダーナイト[2]】LV2(2S)BP6000

 

 

様々な鏡像が重なり合い、龍騎士たる赤き仮面ライダー龍騎と、紫の闇騎士、仮面ライダーナイトがアスラとロンの場に出現した。この時、第二のナイトの召喚時効果により、スピリットのコアを除去しつつドローを行えるが、オーディンの場に存在するミラーライダー、ゾルダの効果により、それは無効。発揮されなかった。

 

 

「次はオレが行くぞアスラ!!」

「おう!!」

「第二のナイトでアタック!!……そしてこの瞬間、ミラーワールドのLV2効果!!…デッキ上のアドベントカードを発揮させる!!」

 

 

ロンの指示で剣を構えるナイト。その瞬間にミラーワールドの効果が発揮。オープンされたカードはアドベントカードの一種である「ソードベント」………

 

よって、それの発揮が可能だ…………

 

 

「そのゾルダとか言うミラーライダーはスピリットとネクサスの効果を無効にする。だが、マジック、いや、アドベントカードまでは無効にはできない!!」

「!!」

「ソードベントの効果!!…アスラの龍騎のBPを5000アップさせ、ゾルダのコア2つをリザーブへ送る!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎】BP4000➡︎9000

 

 

ナイトがベルトのカード束からカードを1枚引き抜き、それを剣の取手にあるバイザー部に装填…………

 

………ソードベント!!

 

と言う音声と共に、ナイトは巨大な黒槍を装備。それを全力で振い、飛ぶ黒い斬撃を発生させ、重圧な装甲を誇る仮面ライダーゾルダを引き裂いた見せた………

 

 

「そしてこの瞬間より、オマエのミラーライダー全て付与されていた効果無効能力は消える。よって、第二のナイトのアタック時効果が適用!!」

「!?」

「コア2個以下のスピリット、王蛇を破壊する!!」

 

 

続け様に二撃目の飛ぶ斬撃を放つ第二のナイト。今度は王蛇を斬り裂き、爆散させた。BPの弱い龍騎のBPを高めつつ、最も厄介な敵のスピリット2体を除去したロン。見事なプレイングだと言える………

 

しかし、それでもまだ神には届かなくて…………

 

 

「……スピリットの破壊によりバースト発動、トリックベント!!」

「!!」

「効果により破壊された王蛇をこの場に蘇生させる!!」

 

 

ー【仮面ライダー王蛇】LV1(1)BP5000

 

 

オーディンのバーストカードが反転。再び様々な鏡像が重なり合い、仮面ライダー王蛇が復活を遂げる。

 

 

「その後コストを支払い、フラッシュ効果を適用。コア2個以下の龍騎を破壊!!」

「ぐっ……!!」

 

 

王蛇の再誕と共に龍騎が紫色の靄に包まれていき爆散。2人は攻め手を一つ失ってしまう………

 

そして、オーディンはこのタイミングであるカードを1枚、手札より切る。

 

それはアスラとロンもよく知っているあのカードであり…………

 

 

「フラッシュ【煌臨】を発揮する。対象は仮面ライダー王蛇」

 

 

ー!!

 

 

「現れろ、仮面ライダーナイトサバイブ!!」

 

 

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ】LV1(1)BP8000

 

 

オーディンがソウルコアを支払うと、王蛇の上からさらに様々な鏡像が重なり合い、全く別のミラーライダーであるナイト、そのサバイブ体へと変化を遂げて見せた。

 

ロンは己のエースカードと面と向き合った事になり………

 

 

「……ナイトサバイブ……ッ!!」

「ナイトサバイブの煌臨時効果。貴様らのスピリット1体からコアを2つトラッシュへと送る。消え去れ、第二のナイト!!」

「!!」

 

 

自分のエースが敵として登場した事により、複雑な心境に陥るロン。しかしそれも束の間、ナイトサバイブの疾風の斬撃が第二のナイトに飛びかかる。第二のナイトは己の剣で弾こうと試みるも、それごと体を切断され、爆散してしまう。

 

アスラとロンは返り討ちに遭い、再び場のスピリットを0にされた。

 

 

「おいどうすんだよロン!!…やっぱナイトサバイブめちゃくちゃつえー!!」

「その割には顔が楽しそうだなアスラ……フッ、まぁオレも人のこと言えないが……この程度は想定の範囲内だ。サバイブごとぶっ倒すぞ、アスラ」

「おう!!…オレ達はこれでターンエンド!!」

アスラ手札:2

ロン手札:3

場:【ミラーワールド】LV1

バースト:【無】

 

 

予想していたとは言え、流石にエースの登場は一瞬彼らの動揺を誘ったが、すぐさまそれはエースと対決できる楽しみに変わる。

 

2人はターンをエンドとし、敵であるオーディンのターンとなる。

 

 

[ターン07]オーディン

 

 

「メインステップ……仮面ライダー龍騎サバイブを召喚仕る」

「!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2(2)BP11000

 

 

様々な鏡像が重なり合い、赤きミラーライダー、龍騎の最強形態、龍騎サバイブがオーディンのフィールドに現れる。ライア、ファム、そして同等の存在であるナイトサバイブと並び立つ姿は圧巻の一言。

 

 

「……龍騎サバイブ……正面からでもやっぱカッケェ……!!」

 

 

そんな事を言っている場合ではない事は理解しているアスラだったが、己のエースカードの別アングルからの眺めは最高を極めており、感動を覚えてしまう。

 

 

「この神を前にして、なんと愚かな人間共だ。ナイトサバイブのLVを2へ上げ、アタックステップ。行くのだナイトサバイブ」

 

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ】(1➡︎3S)LV1➡︎2

 

 

ナイトサバイブは剣を手に、アスラとロンのライフへと駆ける。

 

 

「龍騎サバイブの効果……使用していた貴様ならわかるだろう。ライダースピリットのバトル終了時、シンボル分だけライフを破壊する……このターンで終わりだ。涅槃へ沈むがいい」

「ネハンってなんだコノヤロー!!」

「そう簡単にはくたばらん!!……フラッシュマジック、ガードベント!!」

 

 

今度はロンがガードベントを放つ。これにより、このターンも2人のライフは1つしか減らされない。例えそのライフを討とうとしているのが、ライフを貫く効果を持つ龍騎サバイブであっても、決して破壊される事はない………

 

 

「くっ……ナイトサバイブの効果。デッキよりカードを3枚トラッシュへ送り、回復」

 

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ】(疲労➡︎回復)

 

 

「ナイトサバイブのアタックはライフで受ける……ッ」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉アスラ&ロン

 

 

ナイトサバイブは目にもとらえられない速さで剣を振い、2人のライフを1つ破壊するも、ガードベントでこれ以上のライフは破壊できず、そのままオーディンの場へと帰還した。

 

 

「………しぶとい。だが、カードのパワー差は歴然としている。このオーディンの勝利は決して揺るがない……ターンエンドだ」

手札:2

場:【仮面ライダーライア】LV1

【仮面ライダーファム】LV2

【仮面ライダーナイトサバイブ】LV2

【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV2

【ミラーワールド】LV1

バースト:【無】

 

 

アスラとロン、2人の執念としぶとさを感じつつも、勝利は揺るがないと確信しながらそのターンをエンドとするオーディン。

 

劣勢を強いられつつも、2人のターンが始まろうとするが………

 

 

(クッソ〜〜〜〜ー!……黒い龍騎のカードがあれはどうにかできるのに……さっきどうやってアレを出したっけ??)

 

 

アスラは黒い龍騎の事を考える。やはり、圧倒的なカードパワー差を埋めるためには進化したシナンジュをも葬り去った黒い龍騎をおいて他にいなかった…………

 

 

(あん時は確か、めっちゃボコボコにされて、そんで死にかけて、立ち上がって………あっ、そうか、死にかければいいのか!!)

 

 

あの時の事を順序よく思い出しながら黒い龍騎をデッキに呼び覚まそうと考えるアスラ。その過程でもう一度死にかければいいと思いつくが、それは直ぐに選択肢から外れて………

 

 

(ッて!!……そんな事できるかァァァー!!……それは単なる無謀で無策ってヤツだ……ダァァァ!!…チックショォォォー!!…何も思いつかねぇぇー!!……だってオレバカだからァァァ!!)

 

「さっきから何を唸ってるんだアスラ。バカのくせに」

「バカだから唸ってんだよコンチクショォォォー!!」

 

 

何も思いつかないアスラ。それを白々しい目で眺めるロン。アスラは今存在しない、又は扱えない力に頼ってもしょうがないと考え改め、己のデッキへと目を向けるが………

 

その時だった。

 

 

……ゼゼゼ……

 

………さっきの力が欲しいか、アリンコ。

 

 

「ッーー!!」

 

 

 

声がした。まるで体の中から響いてくるような感覚がアスラを襲った。それはこの世のモノとは思えないほどに太く、人を恐怖に震え上がらせるには十分過ぎるものだった。

 

しかし、アスラはこの声をどこかで耳にした覚えがあって………

 

 

「……そうだ。覚えてる、この声……今まで何度もオレに話しかけて来た……確か、黒い……」

「……アスラ?」

 

 

アスラは全てを思い出した。得体の知れない何かが自分の中にいる事を、それしてそれが今まで何度も何度も自分に語りかけて来ていた事を………

 

ロンは明らかなアスラの異変に疑問を抱くが、その声を聞く事ができない彼では何も解決はできない。これはアスラと声の主の問題だ。

 

 

……あぁそうだ。オレは黒の世界……オニキスだ……!!

 

……もう一度あの力を使うか?

 

……オマエ自身は単なる人間だ。アレを連続で使うと、代償が付き纏うぜ……!!

 

 

アスラに囁き続ける黒き声。

 

どうやら、あの黒き力にはアスラにも相当な負担や代償が伴うようだ。メリットとデメリットを天秤に掛け、考えなければならない………

 

だがアスラは………

 

 

「構わねえ……頼む!!」

 

 

即答だった。

 

力の代償というデメリットをモノともせず、黒き声にあの時の力を求める。

 

 

「たとえその代償とやらで腕や足が消し飛ぼうが、オレは今ここでアイツに勝たねーと行けねーんだ……いつか絶対に頂点王になる……でもその前に、イユを助けられる男になりたいんだ……ッ!!」

「……スーミ村のアスラ……!」

 

 

周囲にはアスラが突然独り言をしているようにしか見えない。しかし、それでも本気度は伝わってくる。シスイ・メイキョウはアスラのイユに対する気持ちに心を震わされる。

 

 

………ゼゼゼ……

 

……いいだろう与えてやる。これは神をも焼き殺す、黒い炎だ。

 

……先に言っとくが、どうなっても知らねーぜ?

 

 

交渉は成立した。その言葉を最後に、黒い声は途絶える。そしてその直後、アスラのデッキから異様な程に黒い炎が立ち昇って…………

 

 

ー!!

 

 

アスラを除き、神たるオーディンさえもそのデッキから吹き荒れる黒炎に驚愕する。明らかに異常なのを本能的に理解したのだ。

 

 

「アスラ……オマエ……」

「悪いロン、待たせたな。このターンはオレが仕切る……でもって、一気に決めるぞ!!」

「ッ……あぁ。オマエに仕切られるのは癪だがな」

「なんでぇ!?」

 

 

ロンはアスラに何があったのかがわからない。しかし、そのライバルのいつもの前向きな姿勢と表情を見るなり、いつものアイツだと、大丈夫だと認識。

 

そうだ。どちらにせよやる事は変わらない。神を倒して自分達の実力を示すだけ………

 

 

[ターン08]アスラ&ロン

 

 

アスラはターンシークエンスの過程の中で吹き荒れる黒炎よりカードをドロー………

 

そしてそれを召喚する………

 

 

「メインステップ……来い、仮面ライダーリュウガ!!」

 

 

ー【仮面ライダーリュウガ】LV2(3)BP10000

 

 

様々な鏡像が重なり合い、赤ではなく、黒い仮面ライダー龍騎、仮面ライダーリュウガがその姿を露わにする。

 

 

「……黒い龍騎……!?」

「……なんだその龍騎の姿は……知らぬ。知らぬぞ、この神たるオーディンでも……」

 

 

仮面ライダーリュウガの存在は、ミラーライダーを統べるオーディンでさえも認知していないようだ。

 

だとすれば………

 

この仮面ライダーリュウガは………

 

アスラ達が神に勝つための唯一無二の切札となり得る事になる。アスラは手を前方に翳し、その効果を問答無用で発揮させる。

 

 

「リュウガの召喚時効果……敵スピリット全てのコアを2つずつリザーブに叩きつけるッ!!」

「!!」

「やれッーー!!」

 

 

リュウガはベルトからカードを引き抜き、それを左腕のバイザーに装填………

 

……アドベント!!

 

と、いつもの音声よりも太いテイストで響き渡ると、リュウガの背後に神をも焼き殺す黒龍が咆哮を上げながら出現。赤い眼光を放ち、オーディンの場のミラーライダーズへと黒炎を口内より放出。

 

 

ー【仮面ライダーライア】(1➡︎0)消滅

 

ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】(2➡︎0)消滅

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ】(3S➡︎1S)LV2➡︎1

 

 

「ぐっ……ファムはスピリット、マジックの効果を受けない。故にその効果は効かん」

「だけど、ライアと龍騎サバイブは消滅した。オレはカードを2枚ドローする」

 

 

放たれた黒炎に焼きたくられるライアと仮面ライダー龍騎サバイブ。ナイトサバイブは辛うじて生き残るも、そのLVを降格させられてしまう。

 

 

「アタックステップ!!……仮面ライダーリュウガでアタック!!……さらに効果発揮。コア2個以下のスピリット1体を破壊する事で、ライフ1つをボイドに送る!!」

「なに!?」

「オレはこの効果でナイトサバイブを破壊し、オマエのライフを破壊する……ブラックドラゴンキック!!」

 

 

 

 

リュウガが再びベルトからカードを引き抜き、それを左腕のバイザーに装填。

 

 ………ファイナルベント!!

 

 と、無機質で太い音声が鳴り響くと、リュウガの背後で鳥栖を巻く黒龍が口内から冷気のブレスをナイトサバイブに向けて放出、その足元はたちまち凍り付き、身動きを奪われる。

そしてリュウガは謎の浮力で軽く浮かび上がり、キックの構えを取ると、黒龍はその背に向かって火炎弾を発射。リュウガは黒い炎の弾丸となって、身動きが取れないナイトサバイブへと飛び向かい、そのままそれを貫き、爆散させた………

 

そしてその爆風と爆炎による被害はオーディンのライフにも及んで………

 

 

「……ぐっ、ぐおぉぉぉおーー!!?!」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉オーディン

 

 

「リュウガのアタックは継続中!!」

「………ただのミラーライダー如きがこの神たるオーディンが操るミラーライダーズを、しかもサバイブ体を破壊するだと……許さん。貴様ら人間如きに奇跡など起きない事を証明してやる!!……ファムでブロック!!…その効果でコアを1つ増加!!」

 

 

アタック中の仮面ライダーリュウガと相対するのは女性型の白きミラーライダー、ファム。そのBPは5000。リュウガの10000とは比較のしようもない程に劣っている………

 

しかし、オーディンは神。その程度のBP差。どうとでもできて………

 

 

「フラッシュマジック、ソードベントを発揮!!」

「!!」

「効果によりファムのBPを5000アップさせ、黒い龍騎のコアを2つ取り除く!!」

 

 

ー【仮面ライダーファム】BP5000➡︎10000

 

ー【仮面ライダーリュウガ】(3➡︎1)LV2➡︎1

 

 

ファムはソードベントのカードを、ナイトと同様、剣の取手にあるバイザー部に装填………

 

………ソードベント!!

 

の音声と共に稲妻のような形をした槍をその手に握る。ファムはそれを迫り来るリュウガに振い、スラッシュの文字を刻むようにダメージを与える。リュウガそれによりLVダウン。BPは6000まで下がってしまった。

 

形成は逆転。オーディンの方が一枚上手だった。アスラは自分も理解できていない、または及んでいない力を発揮させてまで奮闘したが、今の彼ではここが限界なのだろう。

 

ただし、彼一人ではの話であるが…………

 

 

「フラッシュマジック、ソードベント!!」

「!!」

「これにより、アスラの黒い龍騎のBPを5000上げる」

「ロン……ッ!!」

「フッ……言っただろうアスラ。オマエに仕切られるのは癪だと……その黒いのは知らんが、どちらにせよオレを忘れるな!!」

 

 

ー【仮面ライダーリュウガ】BP6000➡︎11000

 

 

絶体絶命な状況に陥るリュウガに与えるかのように落下して来たのは、ナイトがソードベントのカードで呼び出す黒槍。リュウガはそれを手に握り、反撃に転ずる。

 

 

「へっ……ロン、忘れてなんかいねぇよ……だってオレは……オマエを超えて、いつか頂点王になる男だからなァァァー!!!」

 

 

 

………ブラックドラゴンスラッシュ!!!

 

 

 

気合を入れ、アスラが咄嗟に考えた技名を叫ぶ。リュウガはナイトの黒槍に己の黒い炎の力を流し込み、ファムへと一閃。彼女の握る稲妻のような形をした槍ごと、体を斬り裂き、爆散させた。

 

 

「ば、馬鹿な………貴様ら如きが……この神たるオーディンのミラーライダーズを全滅させただと!?……龍騎!!…神たる我が眠っていたこの長い時の中で、貴様にいったい何があったと言うのだ!!」

「……どうだこのヤロー……ターンエンドだ………ぐっ、ぐうっ!!」

アスラ手札:4

ロン手札:2

場:【ミラーワールド】LV1

【ミラーワールド】LV1

バースト:【無】

 

 

ー!!

 

 

ターンが終わり、ここに来てようやく優勢に立てたと思えた直後。アスラはまるで体の中が引き裂かれるような痛みを感じた。そしてそれと同時に、仮面ライダーリュウガはこの場よりカードごと姿を消滅………

 

 

「おいアスラ!!…大丈夫か!?」

「お、おう……珍しく心配するじゃねぇかロン。まだまだ……この程度でくたばれねぇ……何度でも立ち上がってやる……」

 

 

アスラはひょっとしたらこれがオニキスの言っていた「代償」ではないかと勘ぐっていた。その真実は定かではないが、限界を超えて状況を覆して見せたのに変わりはない。

 

 

「ぐっ……や、やめろ……出てくるな……人間如きが神の支配から出ようとするな……ぐっぐぉぁぁー!!!」

 

 

ー!!

 

 

 

「……お、お願いアスラ!!……私を殺して!!」

「ッ……イユなのか!?」

「イユ……!!」

 

 

追い詰められた事が幸いしてしまったのか、突然苦しみだすオーディン。そして、その意識は彼からイユへと移り変わった。イユはこの時間が短いのを理解しているのか、開口一番でアスラに酷な要求をする。

 

 

「……さっきの黒い龍騎の一撃がアイツの支配を弱めたのか……?」

 

 

ロンはイユの意識が戻った事をそう考え、推理した。しかし、アスラとシスイはそんな事考える余裕など無くて………

 

 

「殺してって……ンな事できるかァァァー!!…オレはわざわざオマエを助けるためにここまで来たんだぞぉ!!…そんなバッドエンド認められっか!!」

「無理。オーディンはもう私から離れないし、このバトルでオーディンが負ければ私も死ぬ。そしてオーディンが勝ったらこの世界も終わる……だったら…………」

「……だったらいっそ自分が死んで仕舞えば良いとか思ってんのかよ」

 

 

イユの気持ちを察したアスラ。その考えは的中しているのか、イユはアスラのその言葉に首を縦に振り、頷く。

 

 

「イユ………」

「お父様、申し訳ございません……オーディンは貴方の思ったようには動きませんが、どうやら私にも従えるのは不可能だったようです……ごめんなさい、ごめんなさい……私はただ、もう一度貴方と一緒に家族として暮らしたかっただけだったんです……!」

「謝るのは私の方だ!!……もう二度と手放したりしない、だから頼むイユ、戻って来てくれ!!……頼むゥゥゥー!!」

 

 

シスイはこれまで自分がやって来た事を憂い、涙を流しながらイユに謝罪するが、それに対してイユは今度は優しく首を横に振った。たとえ愛する父であっても、その望みが叶えられない事を誰よりも知っているからだ。

 

この瞬間より飛び交うのはバッドエンドのムード。イユが死ねば鏡の中での戦いは幕を閉じる事になる………そして、それにより表の世界は救われるのだ………

 

だが、それを認めていない人物が一人…………

 

 

「んだよこの雰囲気、ふざけんなよ……」

「アスラ………」

「イユ、オマエ本当は死にたくないんだろ!?……じゃあなんでこんなお別れみたいな雰囲気醸し出してんだコノヤロー!!」

 

 

ブチ切れるアスラ、その咆哮が轟く。それはイユの生きたいと言う気持ちを理解しているからこそであって………

 

 

「わかってよアスラ……私を殺してよ、それ以外に手はないの!!…もう覚悟は決まってる!!…私だけの命で他の人達の命が救われるのなら安いものだわ!!」

「うるせぇぇぇ!!…そんな覚悟、勝手に決められても困る!!」

「!!」

「なんでオーディンの力は信用してるのにオレ達の力は信用してくれない!!…オレ言ったよな、オマエの事も諦めねぇって!!」

 

 

アスラの言葉に少しずつ動揺が表れるイユ。それは彼の優しさに再び決意と覚悟が揺れている証拠であって………

 

 

「それにオレも、たった今、オマエも表の世界も救けるって覚悟を決めた!!」

「……お願い、お願いだからアスラ……貴方は頂点王になるんでしょう?……こんなつまらないところでその命を無駄にしないで!!」

「…オマエを救けられるくらいの男じゃねぇと、オレは頂点王にはなれねぇし、仮にオマエの命を犠牲にして頂点王になれたとしてもなんも嬉しくねぇ!!」

「!!」

 

 

決して揺らぐ事のないアスラの覚悟。

 

そんな彼の雄叫びがイユの涙を誘う………

 

 

「あ、アスラ……私……」

「オマエ、夢が無いって言ったよな。夢ってスゴいんだぜ。それになりたいって思うだけで力がグワッて湧いてくる!!…夢が無いなら、先ずは明日を生きる事を夢にしようぜ………ほんの少し先でも良い、想像して見ろよ、未来の自分を!!」

「ッ……アスラ……私、私生きたいよ、アスラやお父様と一緒に………最後の最後まで……!!」

「へっ……おう!!…オレも手助けするから、もう少しだけ頑張ろうぜ!!」

 

 

イユは大粒の涙を流しながらアスラに懇願する。その願いが、想いが、この場にいる全員に届いた。

 

アスラが変えたのだ………

 

 

しかし、そんな時間も束の間、遂に神が今一度蠢いて………

 

 

 

「……い、良い加減にしろ……小娘……オマエはこの神の依代なのだ……それは15年前から決まっていた事……貴様はもう死んだのだ……この神の意志の中で……!!」

 

 

イユの意識が消え失せ、再びオーディンが表に出てくる。その威圧感のある図太い声色が、この三王塔の最上階へと響き渡る………

 

 

「テメェ…この肩書き神ヤロウ……!!」

「何の力かは知らぬが、さっきの黒い龍騎の攻撃は効いたぞ、小僧………しかし、結果は変わらぬ!!…これでライダースピリットのみが生きる世界を実現できる!!」

 

 

己の野望を叫び直すオーディン。

 

そして、ようやくバトルが動き、再び神たる彼のターンが幕を開ける………

 

 

[ターン09]オーディン

 

 

ターンシークエンスの過程の中でデッキからカードをドローするオーディン。そしてそのカードを目に映すなり笑いが止まらなくなり………

 

 

「ふっふっふ……フハハハハハハハハハーー!!」

 

ー!!

 

「貴様らとの戯れもここまでだ。終わらせてくれよう……この、神たる我自身の力で!!」

 

 

オーディンはそう宣言すると、己のBパッドにカードを勢い良く叩きつけ、そのカードの名を叫ぶ…………

 

 

我、仮面ライダーオーディン………

 

………ここに降臨仕る!!!

 

 

ー!!

 

 

彼の場に降り注ぐ黄金の羽の数々。その一つ一つが可憐に地上へと堕ちる中、様々な鏡像が重なり合い、黄金のライダースピリット、ミラーライダーの頂点に立つ神たるスピリット、仮面ライダーオーディンが腕を組み、仁王立ちで姿を現わして…………

 

 

ー【仮面ライダーオーディン】LV3(5)BP24000

 

 

「こ、これがオーディン……」

「ナイト達を司る存在……」

 

 

神たる存在感。アスラとロンは圧倒されざるを得なかった。

 

 

「やはりこの娘の才能は本物だった……神たる我の目に狂いはなかったのだ……ふふ、後はほぼ死に体となった龍騎とナイトを回収するのみ!!」

 

 

実体化した己を目に映しながら、イユに取り憑いたのは正解である事を悟るオーディン。真の力を取り戻すべく、アタックステップへと進行させて………

 

 

「アタックステップ……神たる我でアタック!!……そしてその効果【タイムベント】を発揮!!」

 

ー!!

 

「我がトラッシュにある11枚のミラーライダーズをゲームから除外する事で、貴様らのコアを初期状態に戻す!!」

「なに!?」

 

 

オーディンのトラッシュから踊るようにミラーライダーのカード達が飛び交い、消え去っていく。それでコストは成立したのか、場にいる仮面ライダーオーディンはベルトにあるカードデッキからカードを1枚ドローし、それを杖型の武器に装填………

 

 

……タイムベント!!

 

 

と、音声が鳴り響くと、まるでバトルを遡っていくかのように、アスラとロンのBパッドからコアが次々と消え去って行き…………

 

 

「オレ達の合計コアが………」

「たったの4つに!?」

「これが神たる我、オーディンの力だ!!…貴様らの龍騎とナイトさえ戻れば、我はバトル中だけでなく、現実でもタイムベントが使用できる!!……さぁ、早く渡せ!!」

 

 

オーディンがそう言い放つと、スピリットとしての仮面ライダーオーディンがアスラ達に迫り来る。

 

彼らはこの攻撃をライフで受ける他なくて………

 

 

「ぐっ……」

「ぐぁぁあ!?!」

 

 

〈ライフ2➡︎1〉アスラ&ロン

 

 

仮面ライダーオーディンの金色の拳が2人のライフバリアを1つ粉砕。それに伴うバトルダメージが2人を襲うが、それは今までの比ではなくて………

 

 

「……まだ、立てるか……アスラ!!」

「……おう……イユと約束したんだ……今更くたばるわけにはいかねぇ!!」

「ほお、まだ立ち上がるか。並の人間ならとうに諦めているところだろうな………しかし、最早万策尽きた筈だ。そのコア数でなにができる?……ターンを終えよう」

手札:1

場:【仮面ライダーオーディン】LV3

【ミラーワールド】LV1

バースト:【無】

 

 

諦めるわけにはいかない………

 

そう意志を固めているアスラとロンは、相手が神だろうが何であろうが何度でも立ち上がる。

 

しかし、コアの総数は次のコアステップを考えても僅か6個。誰がどう見ても勝てるわけがなくて……………

 

 

******

 

 

ここは意識の中、まるで海のような場所だった。オーディンに意識と身体を奪われたイユは、その中でゆっくりと沈んで行っていた。

 

おそらく、日も当たらない場所まで沈んで仕舞えば、イユの意識は完全に死んでしまうのだろう………

 

 

 

………アスラ………

 

 

沈みゆく中、日の光が遠ざかって行く中、イユが頭の中で真っ先に思い浮かべたのは、他でもないスーミ村のアスラ。

 

最初はただの怖いもの知らずでバカだと思った。だが、一緒に居るうちにどんどんその逞しさと優しさに惹かれて行った………

 

暖かかった。ずっと一緒にいたいと思った………

 

父以外でそんな事を思ったのは彼が初めてだった………

 

そんな彼にこう言われた……-

 

 

ー『オマエ、夢が無いって言ったよな。夢ってスゴいんだぜ。それになりたいって思うだけで力がグワッて湧いてくる!!……夢が無いなら、先ずは明日を生きる事を夢にしようぜ………ほんの少し先でも良い、想像して見ろよ、未来の自分を!!』

 

 

15年もの長い間ミラーワールドにいた自分にとって、夢など遠い存在だったし、見ようとするだけでも行けない事だと思っていた………

 

だけど違った。意味を変えてくれた……あの背中の小さな男の子に………

 

 

あぁ、そうだ…………

 

 

 

……私は生きたい!!

 

……もっともっと!!

 

………お父様やアスラともっと長く生きるんだ!!

 

………………それが私の叶えたい夢、必ず叶えて見せる………たとえ行けない事でも、私自身が決めた事なんだ!!

 

…………諦めたくない、諦めない

 

…………最後まで生きる事だけは絶対に諦めるもんかぁぁぁぁぁあ!!!

 

 

意識の中で、イユはアスラやシスイと共に暮らす絵を想像すると、それを力に変え、叫ぶ。その願いは白く眩い、一筋の光となりて…………

 

 

******

 

 

「生きたい」と言うイユの願い。それは現実にも反映される………

 

それは正しく奇跡とも呼べる超常現象であり…………

 

 

ー!!

 

 

「がっ……な、なんだ!?……ぐっ、ぐがぉぁぁー!!!?」

 

 

 

イユの身体を乗っ取ったオーディンが苦しみだすと、その身体より白い光が溢れ出てくる。そしてそれは何がなんだかわからないまま、アスラの身体へと集結して行く。その様子は、まるで彼に新しい力を与えたかのようであって…………

 

 

「イユなのか??………へっ……アイツもまだまだ諦めてねぇんだな……伝わって来たぜ、なんとなく!!」

「ぐっ……あの小娘、また何かしたと言うのか……だがしかし、どう足掻いた所で結果は変わらぬのだ。貴様らは負け、世界は我々ライダースピリットのモノとなる!!」

「そんな事はさせねぇ!!……オレは頂点王になる、でもその前に世界もイユも救けられる男になってやる!!……行くぜロン!!」

「フッ……オマエの言ってる事は半分嘘になるぜアスラ。何せ、頂点王になるのはこのオレだからなッ!!」

 

 

イユから希望を貰い受け、2人は再び立ち上がると、自分達のターンを開始して行く………

 

全てはこの国最強たる頂点王になるため、世界とイユを救けだすためだ…………

 

 

[ターン10]アスラ&ロン

 

 

イユが与えた力は、アスラのデッキをさらに進化させていた………

 

そして、アスラはその力を存分に使用する…………

 

 

「メインステップ………行くぜイユ………見ててくれよ、オレの………変身!!」

「!!」

「オレは!!…オレ自身を仮面ライダー龍騎に変身させる!!」

 

 

刹那。その気合の入った宣言と共に、アスラの腰にベルトが巻かれる。さらに彼はBパッドの上に置かれたデッキのカードを全てベルトに差し込む。

 

そして、まるでその行いが合図になったかのように、様々な鏡像がアスラの身体へと重なり合った……………

 

 

ー【変身!!仮面ライダー龍騎】LV1

 

 

それらが完全に重なり合うと、アスラは赤きライダースピリット、仮面ライダー龍騎へと姿を変えていた。その姿に周囲の誰もが驚愕していて…………

 

 

「な、何!?……貴様が龍騎になっただと!?」

「フッ……やはり、オレのライバルはオマエしかいないな、アスラ……!!」

「勝負はこれからだぜオーディン………諦めないのがオレのバトスピだァァァー!!」

 

 

龍騎に変身したアスラが龍の如く咆哮を上げる。それにより三王塔の最上階が軋む中、3人のバトルスピリッツはさらに限界を超えて行くのだった………

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。