バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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40コア「紫のカラーリーダーと黒き代償」

鏡の中の世界、ミラーワールドでの戦いは終わった。人間に恨みを持つライダースピリット、オーディンが表の世界にいる人間たちを根絶やしにしようと目論むも、それはアスラとロンが阻止。結果的に2人はこの世界を救った事になったが、その栄光を知る者は限りなく少ない。

 

そして、事の発端となったメイキョウ家の父娘があれからどうなったかと言うと………

 

 

ー……

 

 

「ねぇ、バカスラ、あんたさ。何回病院で療養すれば気が済むわけ?…流石に怪我しすぎでしょ」

「いや……うん。何回もすんません」

「むえ〜」⬅︎もっちゃり、もっちゃり

 

 

オウドウ都、ライライ町側にある小さめな病院。アスラとロンはここでミラーワールドでの戦いで傷ついた身体を癒していた。もっとも、ロンはアスラよりも1日早く退院し、今日はオウドウ都の街をふらついているそうだが………

 

エールにそう言われ、アスラはそれなりに彼女に迷惑をかけている事を自覚し、謝罪の言葉を述べる。そしてオレンジ色の小動物、ムエは山のようなドーナツをもっちゃりもっちゃりとその口の中に頬張っていた。

 

 

「……にしても、よかったな。シスイのおっちゃん、死刑になんなくてよ」

「そうね。三王のテンドウが証人だったのもあって、どうにかなったわね……まぁ、それが不安要因でもあったけど………これでイユも幸せに暮らせるわね………いや、別にあの女の事を心配しているわけじゃないけど……//」

 

 

素直になれないエールが今ここにはいないイユに対して照れ臭そうに言葉を落とした。

 

メイキョウ家、シスイ・メイキョウは、ゾンを殺していなかった事実や、テンドウのテコ入れもあり、どうにか死刑を免れ、懲役で済んだ。しかし、その懲役が何年かまではアスラ達は知らない。

 

だが、生き続けると言う覚悟を決めたイユならば必ずシスイの罪が拭えるまで待ち続ける事だろう…………

 

 

「っしゃぁ、オレも今日で退院だし、明日には次の紫のカラーリーダーがいる街に行こうぜ」

「えぇ……そう言えば、前にテンドウが紫のカラーリーダーは厄介で面倒くさくて、それでいてカラーリーダー達の中でも赤のカラーリーダーと双璧を成す強さを誇るとか、なんとか」

「へっ……誰が相手だろうと関係ねぇ!!……オレはこの龍騎と一緒に、絶対残り2枚のカラーカードをゲットして三王に挑戦する権利をもらう!!……でもって絶対シイナも超える頂点王になるッ!!」

 

 

アスラは自分の相棒、仮面ライダー龍騎のカードを天に掲げ、高らかに宣言する。ミラーワールドでの戦い以後、アスラのデッキには新たにイユとの絆で生まれた変身龍騎、龍騎に宿るミラーモンスターのドラグレッダーが加えられただけでなく、サバイブのカードも取り返した。

 

最早彼のデッキはそんじょそこらのライダースピリット使いのデッキを軽く凌駕する仕上がりとなっており、いくらソウルコアが使えないとは言え、徐々に、それでいて確実に、アスラの頂点王になると言う夢は現実を帯び始めて来ていた。

 

しかし、そんな会話を繰り広げる彼らの前に、ある人物が現れる。それはアスラもエールもよく知っている人物であり…………

 

 

「誰が、誰を超えるって?……アスラ!!」

「ッ……シイナ!!」

「シイナ様………なんですか、その格好」

 

 

アスラの病室に現れたのは他でもない、頂点王シイナだ。多忙を極める中、ようやく時間を作り、こうしてアスラ、エール、ロンに会いに来たのだ。

 

ナースの格好で…………

 

 

「何って、ナースの格好に決まってるじゃないかエールちゃん。先ずは形から入らないとね」

「いや、オレもう今日で退院なんだけど……」

「エールちゃんの分もあるよ〜!!…着る?」

「嫌よ」

「ふっふっふ……拒否権はないんだな〜〜これが!!」

「え……えぇ!?…ちょっとぉ!?」

 

 

何事も形から入るシイナ。エールを強引に別の場所へ連れて行き、強引に服を剥いで着替えさせていく。

 

そしてナース服を着たエールがアスラの前に現れて………

 

 

「なんでエックスの私がこんな格好を……」

「うんうん。似合う似合うよ〜…さぁアスラ!!…今のエールちゃんを見た感想をお聞き願おうか!!」

「いや〜…なんか今日も平和だな〜って感じッす」

 

 

ミラーワールドでの苛烈な戦いは僅か2日であったが、随分と長くこの平和な感覚を味わってなかったと感じるアスラ。シイナの奇怪な行動が凄く懐かしく思えてしみじみと感想を述べる。

 

 

「てゆーかあんた達さ。私が目を離すとなんですぐ変な事件に遭遇するかな。私さえいればものの数秒で解決したのに」

「あながち否定できないのがちょっと腹立つわね」

 

 

シイナが物難しい顔でそう呟いた。確かにシイナがミラーワールドにいたらシスイどころかあのオーディンでさえもあっさりと撃破してしまっていた事だろう。

 

 

「そうそう、さっきロンをお墓の方で見かけたよ。多分本当のお父さんの所だろうね。死んでないけど」

「え……シイナ、ロンの事聞いたのかよ」

「うん。テンドウからね……まぁ、どちらにせよ私は頂点王だからこの情報は耳にしていたと思うけど」

 

 

どこか寂しそうな声を零すシイナ。ロンの育ての親であるシイナは、今回のロンの生い立ちの話を聞いた際に、複雑な心境に陥っていた事だろう。

 

だが…………

 

 

「てか、そうそう!!……ロンの身分エックスなんだってね!!…凄くない!?」

 

 

そんな事はなかった。全然気にしてなかった。めちゃくちゃ元気な声で喋るし、なんなら本当はエックスだった息子のロンを自慢するような口ぶりだった。

 

 

「そうなんすよ!!……ロンがエックスだったって事は、あいつと同じ日にシイナに拾われたこのオレもひょっとしてエックスだったのかもしれないと思うと夢があるよな〜」

「ないね」

「ないわね」

「むえ〜」⬅︎ないね

「…………」

 

 

アスラのエックス説を問答無用で切り捨てるエールとシイナ、ムエ。

 

マスターやエックスは基本的に容姿端麗だ。ぶっちゃけ高身長でイケメンなロンがコモンではなく、実はエックスだったと言われても違和感がない。

 

だが、アスラは真逆の低身長で見た目も明らかに見窄らしい。どこをどう見てもコモンにしか見えないのだ。

 

 

「……そんなドストレートに言わなくても……」

「ハッハッハ!!…ごめんて」

 

 

流石にちょっとへこむアスラ。そして彼を慰めるシイナ。そんな光景が見える病室に、また新しい人物が加入して来て………

 

 

「お、お邪魔しまーす」

「ッ……イユ!!」

「今日退院するって聞いたから、遊びに来ちゃった……お取り込み中だった?」

「そんな事ないない!!…入りなよお嬢さん!!」

「いやシイナ。ここオレの病室なんだけど……別にいいんだけどさ」

 

 

それはイユだ。アスラが退院する=もうすぐまた旅に出る。と考え、居ても立っても居られなくなり、こうして病院まで足を運んだのだ。

 

 

「教会に住ませてもらえるんだったっけ?……よかったわね」

「うん。私は私なりに強く生きてみる………それが私にできる償いだから」

「オマエはそんなに悪い事してないだろ?」

 

 

たわいもない会話を繰り広げるアスラ、エール、イユ。

 

イユはミラーワールドでの一件以後、住む場所を探していた。三王のテンドウの協力もあって、ようやく小さな教会に住まわせてもらう事が決定。シスターと共に子供達の世話をしている。

 

 

「それでアスラ、今日で退院って事はやっぱり、もうオウドウ都は出るの?」

「おう!…早く紫のカラーリーダーに挑戦したいからな!」

「そっか………じゃあもうお別れなんだね」

「なぁに。また遊びに来てやるさ」

 

 

目をギラギラと輝かせながらそう言うアスラを目に映すなり、どこか物寂しそうな表情になるイユ。

 

やはり、折角友達になれたのに、離れてしまうのが少しだけ悲しいのだろう。

 

 

「アスラ……その、最後にお礼しても良い?」

「ん?……お礼?……いや〜オレなんかにお金使わなくてもいいぞ?」

 

 

アスラにお礼をしたいイユ。対するアスラは貧乏故の発想か、お金を自分に使わせてしまう事に自己嫌悪を感じるため、それを拒否するが………

 

 

「お金なんか使わないよ………」

 

 

イユはそう言いながらベットの上で腰を下ろしているアスラに近づき、その頬に唇を着けた………

 

所謂キスだ。

 

 

ー!!!

 

 

流石にこの光景は衝撃だったか、キスされたアスラを含め、エールもシイナも驚愕の様子。

 

 

「助けてくれて、ありがとう!!」

「え?え?……お、おぉ!!……どういたしましてぇぇぇー!?!」

「ちょ…え?……なっ、なっ、なっ、なぁ〜〜〜〜〜!?」

「わーー!…良い!…こう言う展開良い!!…ご馳走さまでした!」

 

 

キスされた左頬に手を置きながら流石に照れるアスラ。驚きのあまり髪の毛が逆立ち、困惑するエール。そしてシイナはめちゃくちゃイユに感謝した。

 

その後、まさかまさかの急展開の熱りが冷めた所で、アスラ達はイユと別れ、ロンのいるであろう、墓地へと向かった。

 

 

******

 

 

 

「ねぇアスラ〜〜…どうだったキスのお味は?」

「ッ!!……変な事聞くなよ」

 

 

墓地へ向かう途中。シイナがイユにされたキスの事を、凄くわざとらしく、それでいていやらしい言い方で聞いてきた。

 

 

「じゃあ今度はエールちゃんがアスラにやる番だね〜」

「なぁッ!?…なんでそうなるんですか!?」

「そりゃ、イユちゃんと言う強力なライバルが出現したし、ここらでエールちゃんも頑張らなきゃ」

「だからそんなんじゃないですってば!!」

「??……2人ともなんの話してんだ?」

「バカスラは黙ってなさい!!」

「なんで!?」

 

 

シイナがエールを揶揄うが、アスラは鈍感過ぎてその話の内容が理解できない。

 

そんなこんなでボケ有りツッコミ有りで街中を突き進み、ようやくオウドウ都、ライライ町側の墓地へと到着した。広大な土地に多くの墓石が所狭しと敷き詰められており、墓地らしく、どこか虚しさを感じさせるものがあった。

 

 

「あ。ロンいた」

 

 

しかし、この時期は人数が少ない事もあり、その中からロンを見つけるのは容易だった。

 

 

ー……

 

 

「………あんたを本当の父親だとは思っていない。だが、このカード、ソーディアスアーサーは使わせてもらう。オレの夢のためにな」

 

 

『アーサー家の墓』と、刻まれた墓石に、そう誓いの言葉を告げるロン。その手にはアーサー家のカード、騎士の覇王ソーディアスアーサーのカードが握られていた。それは15年前まではロンの血の繋がった父親、ゾン・アーサーが持っていたモノだ。

 

 

「よぉロン!!…もう用はすんだのかよ!」

「おう、チビスラ。オマエもようやく退院か?…オレはオマエよりも1日早く退院したぞ」

「誰がチビスラだぁぁー!!……オマエの方が早く退院した事なんて知ってるし!!」

 

 

アスラがロンに声を掛ける。それを機に、シイナとエールも2人に近づいて………

 

 

「やぁロン。今回は色々と大変だったね。全部テンドウから聞いたよ……辛かった?」

「いや。関係ないし、辛くもないし、それで変わる事はない。オレはただあなたを超えるだけだ」

「ふふ、それを聞いて安心したよ」

 

 

慰めを掛けるかのうなシイナの言葉。しかし、ロンは既にそんなモノ超越している。

 

結局、やる事はこれからも変わらない。ソウルコアも使えないバカな幼馴染みで、ライバルのアスラと競い合い、育ての親でもある頂点王シイナを超えるだけだ。

 

 

「っしゃぁロン!!…そんじゃ、今どっちが上か勝負しようぜ!!…こいつも試したいしな!!」

「あんたね。退院した直後にバトルやる気?」

「おう!!…早く新しいデッキを試したいんだ!!」

 

 

アスラが新しいカード、ドラグレッダーのカードをロンに突き付けながらバトルを仕掛けてきた。怪我が治った直後にバトルすると言うアスラのバトル好きに、エールは呆れた声を漏らす。

 

しかしそんな時だ。

 

別の誰かがその試合に水を刺すように話しかけて来たのは………

 

 

「あっ……シイナお姉様じゃないですか!!」

「げっ…この声は……」

 

 

その声を聞くなり、頂点王シイナは最中が痒くなるのを感じた。4人がその声のする方へと首を向けると、そこには長い紫色の髪を一つに結っている女性がいた。

 

その人物は、シイナだけでなく、アスラとエール、ロンも認知している存在であり……

 

 

「あ……ぁぁぁあ!!!……あんたまさか、カゲミツ姐さん!?」

「む?……おぉ!!…アスラじゃないか!!…それにエール!!…どうして2人がこんな所に!」

「それはこっちのセリフよ。あんた、レイデル森の別荘に住んでるんじゃないわけ?」

「いや〜飽くまであれは別荘。実家は違う街なのさ」

 

 

そこにいたのはカゲミツ。アスラとエールは一度だけ、彼女の別荘で一泊お世話になった事がある。バトルもしており、彼女はライダースピリットに選ばれる程の実力者だ。

 

 

「2人は既にカゲミツと知り合いなの?」

 

 

シイナがエールとアスラに聞いた。エールが難しそうな顔をしながら、「んーーちょっとね」と、言葉を返す。

 

 

「いや〜ん!!…シイナお姉様ぁ!!……今日もご機嫌麗しゅう!!…私を嫁にしてぇ!!」

「だぁ!!…くっつくな、離れなさい!!…あんたね。私はそう趣味はないって何度言えばわかるんだよ!?」

「カゲミツ姐さん、この間はテンドウさんを婿にするとか言ってなかったか?」

「む?……テンドウが私の婿で、シイナお姉様が私の夫、何か問題でもあるかアスラ?」

「え……何言ってんだよ姐さん」

 

 

カゲミツの意味深過ぎる発言に困惑し、ドン引きするアスラ。

 

 

「こいつ、昔からこんなんだから、苦手なんだよな。強い奴見つけると直ぐ「嫁候補」だの「婿候補」だの、めんどくさいったらありゃしない」

「シイナ様がツッコミ側に回るのは凄く新鮮ね」

 

 

カゲミツ・ブゲイ言う人間はバトルの腕前含め、あらゆる事に関して天才である。

 

しかし、天の神様は他の人間達と釣り合うようにするためか、どうしようもない程に彼女は変態だった。どこまで本気かはわからないが、彼女は性別を問わず、彼女より強い人間を好きになる習性があった。

 

そんな中、カゲミツはこの面倒くさい状況から逃げ出そうとしているロンを視界に入れて………

 

 

「あぁ!!……ロンだ、ロンもいるではないか!!」

「………」

「え……カゲミツ姐さん、ロンとも知り合いなのかよ」

 

 

2人にも面識がある事を知り、驚くアスラとエール。そんなカゲミツはロンの所へとスタスタと駆け寄り………

 

 

「久しいなロン!!……我が婿候補よ!!」

「………知りません、そんな奴……オレの名前はナイト・オブ・スペルタンです」

「ネーミングセンス!!…逃げようったってそうは行かないぞ!!……もう一度私と血の滾るようなバトルをしようではないか!」

「嫌です」

 

 

カゲミツは猛烈にアピールしていくが、尽く仏頂面で返事をされる。このやり取りで、それなりの知り合いなのだと、アスラとエールも認識して………

 

 

「おいロン!!…オマエもカゲミツ姐さんと知り合いなのかよ!?」

「……極力再開したくない相手だったが、まぁな。それに、この人はこう見えてこの国の紫の、5番目のカラーリーダーだ」

「ふ〜〜ん………ん?」

 

 

紫のカラーリーダー………??

 

誰が??

 

………カゲミツ姐さん!!?!

 

 

「えぇぇ!?!……う、ウソだろ!?」

「カゲミツが紫のカラーリーダー!?」

「ふひひ……バレたか。オマエが紫の町に来る時まで内緒にしておこうと思ったのだがな……そうだ、アスラ、エール。私こそが、この国の紫のカラーリーダー、カゲミツ・ブゲイだ!」

 

 

気持ち悪い笑い声をあげながら、カゲミツがそう言った。

 

そう。森で出会ったこのカゲミツ・ブゲイこそ、アスラが倒さなければならない相手、カラーリーダーの内の一人。しかもそのナンバー2の実力を誇る強者である。

 

ロンは既に彼女に勝利を収め、紫のカラーカードを獲得しているため、彼女の事も知っていたし、婿候補にもなってしまっているのだ。

 

 

「し、信じられねぇ……いやでも実力は確かにたけぇし、納得かも」

「私はまだ信じられないわ。こんな変態がカラーリーダーだなんて」

 

 

ちゃっかり毒舌なエール。しかし、カゲミツはそんな彼女の言葉など全く気にせず、アスラの方に詰め寄って………

 

 

「アスラ!!……オマエ、カラーカードはスピーカーまで倒して、今は4枚あるんだってな。最近のカラーリーダー会議で聞いたよ………どうだ。今ここでやるかカラー戦」

「!!」

「丁度ここは墓地。死を超越し、司る紫属性のカラー戦にはピッタリな場所だ」

 

 

カゲミツからのバトルの誘い。突然の宣告に、アスラは一瞬だけ戸惑うが、すぐさま口角を大きく上げて…………

 

 

「やる!!……今ここで、5番目のカラーカードをもらいます!!」

「ふひひ……威勢が良いじゃないか。オマエはレイデル森で会った時から目をつけてたんだよな〜……楽しませておくれよ」

 

 

そこまで言うと、バトルを行うアスラとカゲミツ、それを観戦するエール、シイナ、ロン、エールの頭の上にいるムエは、墓地にある空きスペースへと赴く。

 

到着すると、アスラとカゲミツは、すぐさまBパッドを展開。デッキをセットし、バトルの準備を行った。

 

 

「最初に私と出会った時、オマエはまだヘラクレスしか倒していないかった。だが今は全カラーリーダー、三王、そして頂点王のシイナお姉様にも注目される程になっている。その実力を、この場で確かめさせてもらおう!!」

「おうカゲミツ姐さん!!……行くぜ、あの時とは比べ物にならない程強くなったオレの実力、存分に堪能してくれ!!」

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

エール、ムエ、シイナ、ロンが見守る中、2人のバトルスピリッツがコールと共に幕を開ける………

 

……先行はカゲミツだ。

 

 

[ターン01]カゲミツ

 

 

「メインステップ……先ずはネクサス、大天空寺の地下を配置!!」

 

 

ー【大天空寺の地下】LV1

 

 

バトル開始早々、カゲミツの背後に現れたのは、目玉のようなマークが刻まれた石碑。

 

 

「配置時効果発揮。もっとも、オマエは既に知っているだろうアスラ……デッキから3枚オープンし、その中から対象となるライダースピリット、即ちゴーストを1枚手札に加え、残りはトラッシュへ落とす」

 

 

カゲミツはゴーストと言うライダースピリットに選ばれている。ネクサスの効果でそのカードを1枚回収した。

 

 

「これでターンエンド。さぁ次はオマエの番だ。どこからでもかかって来い!!」

手札:5

場:【大天空寺の地下】LV1

バースト:【無】

 

 

「おう!!…行くぜ、オレのターン!!」

 

 

カゲミツのエンド宣言の直後、アスラがすぐさま己のターンを開始していく。

 

 

「カゲミツは変態だが、実力は三王に限りなく近い。このバトルであんたの真価が問われると言っても過言じゃないぞ、頑張れアスラ」

 

 

このバトルを傍観するシイナがそう言葉を落とした。カゲミツの事は煙たがっているが、彼女のバトル腕前は認めている様子。

 

 

[ターン02]アスラ

 

 

「メインステップ!!……っしゃぁ来い、ドラグレッダー!!」

 

 

ー【ドラグレッダー】LV1(1)BP6000

 

 

空間が鏡のようにひび割れ、そこから赤き龍、ドラグレッダーがアスラの場に鳥栖を巻き、出現。自分の新しい力に、アスラはその目をギラギラと輝かせており………

 

 

「うぉぉ!!…カッケェ!!……でも今回はんな事言ってる場合じゃねぇ、出し惜しみは無しだ。アタックステップ!!…翔けろ、ドラグレッダー!!」

「ライフで受けよう……ッ!」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉カゲミツ

 

 

ドラグレッダーが颯爽と飛翔し、口内から火炎弾を放出。カゲミツのライフ1つを焼き払った。

 

 

「オレはこれでターンエンド!!」

手札:4

場:【ドラグレッダー】LV1

バースト:【無】

 

 

「ふひひ……成る程、何度かデッキが進化を繰り返しているようだな。そうでなくては面白くない!」

 

 

今のアタックでより気合が入ったか、カゲミツは己が楽しむためにターンシークエンスを進めていく。

 

 

[ターン03]カゲミツ

 

 

「メインステップ!!……一つ面白いモノを見せてやろう、私は!!…私自身を仮面ライダーゴーストに変身させる!!」

「!!」

 

 

……覚悟!!

 

……ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!

 

 

ー【変身!!仮面ライダーゴースト】LV1

 

 

陽気な音声に合わせ、パーカーが踊るように飛び交う。それは最終的にカゲミツの体に被さり、彼女はその瞬間から一本の角が生えたライダースピリット、ゴーストへと変身を遂げた。

 

 

「カゲミツ姐さんが変身!?」

「ふひひ……良い感じに驚いてるな。配置時の神託の効果……対象カードは1枚、よって1つのコアを追加!」

 

 

ー【変身!!仮面ライダーゴースト】(0➡︎1)

 

 

「さらにこのカード、ゴースト オレ魂を召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダーゴースト オレ魂[2]】LV2(3)BP4000

 

 

カゲミツは自分と全く同じ姿をしたライダースピリット、ゴーストのオレ魂を召喚。その召喚により、変身している自身にコアを1つ追加した。

 

 

「一先ずはこれでターンエンド!!…もう一度オマエのターンだぞアスラ、存分に活用するがいい!!」

手札:4

場:【仮面ライダーゴースト オレ魂[2]】LV2

【大天空寺の地下】LV1

【変身!!仮面ライダーゴースト】LV1

バースト:【無】

 

 

変身と言うカードでアスラを驚愕させるも、このターンはあまり動かず、エンドとしたカゲミツ。

 

だが、変身できるのは彼女だけではなくて………

 

 

[ターン04]アスラ

 

 

「メインステップ!!……よし来た。見ててください姐さん!!……オレの変身!!」

「!!」

「オレは!!…オレ自身を仮面ライダー龍騎に変身させる!!」

 

 

変身には変身だと言わんばかりに、アスラは変身龍騎のカードをBパッドに叩きつける。これでアスラは赤きライダースピリット、仮面ライダー龍騎に変身し、ゴーストに変身したカゲミツと対等な試合ができる…………

 

 

…………はずだった。

 

 

 

「え………アレ??」

 

 

イユとの絆で生み出された変身龍騎のカード。ミラーワールドの神、オーディンを倒せたのもこのカードのお陰であったが、何故か今一度それをBパッドに置いても反応が無く、アスラは龍騎の姿へと変身できなくて…………

 

 

「どうしたアスラ?…変身と言うのはハッタリか?」

「い、いや違うっす!!…オレやれるんす!!……でも、なんでだ?」

 

 

考えてもキリがない。違和感は拭えないが、アスラは使えない変身のカードの事は一度置いておき、このバトルに集中し直す。

 

 

「まぁいいや!!…だったらオレは、ドラゴンヘッドをLV2で召喚!!」

 

 

ー【ドラゴンヘッド】LV2(2)BP2000

 

 

変身龍騎のカードを手札に戻し、アスラは龍の頭部だけと言う小さなスピリット、ドラゴンヘッドを呼び寄せる。

 

 

「でもって残ったリザーブのコアをドラグレッダーに移動させてアタックステップ!!…頼むぜドラグレッダー!!」

「ライフで受けよう!!……ッ」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉カゲミツ

 

 

ドラグレッダーの火炎弾が再びカゲミツを襲う。だが、ブロッカーのいるカゲミツの場を、アスラはこれ以上攻める事ができなくて………

 

 

「ターンエンド」

手札:4

場:【ドラグレッダー】LV1

【ドラゴンヘッド】LV2

バースト:【無】

 

 

「どうしたのかしらアスラ。変身がどうとかで騒いでたけど」

「あいつそんなカード持ってたっけ?」

「………」

 

 

アスラがターンを終える中、エール、シイナが妙な違和感に気づき、そう呟いた。唯一アスラの変身を見ているロンは、何を考えているのか、ただ真剣な眼差しでこのバトルを眺めていて…………

 

 

[ターン05]カゲミツ

 

 

「メインステップ……は無し!!…シイナお姉様に良いところも見せたいし、そろそろアタック行くぞ、オレ魂で攻撃だ!!」

 

 

メインステップでは何も行動せず、そのままアタックステップへと移行するカゲミツ。その理由はトラッシュと言う名の墓地に理由があって………

 

 

「フラッシュ、トラッシュに眠るガンガンセイバーの効果!!…ゴーストのアタック時に自身を召喚!!…そのままオレ魂と合体させる!!」

「!!」

 

 

【仮面ライダーゴースト オレ魂[2]+ガンガンセイバー】LV2(3)BP7000

 

 

フラッシュタイミングでオレ魂の手に剣脊が太めの剣が装備され、強力な合体スピリットと成り上がった。

 

 

「これでダブルシンボル!!…アタックも当然継続だ!!」

「ッ……ライフだ……ぐぁっ!!」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉アスラ

 

 

オレ魂が振るうガンガンセイバーの一撃が、アスラのライフを一気に2つ斬り裂く。余の威力にアスラは身体が蹌踉めく。

 

 

「どうだアスラ。死を超越したゴーストのカード達。手札だけでなく、トラッシュの警戒を怠らない事だ、ターンエンド」

手札:4

場:【仮面ライダーゴースト オレ魂[2]+ガンガンセイバー】LV2

【大天空寺の地下】LV1

【変身!!仮面ライダーゴースト】LV1

バースト:【無】

 

 

「へっ……やっぱりカゲミツ姐さんはべらぼーに強いな……でも勝つのはオレだ!!」

 

 

それなりの攻撃を行い、そのターンをエンドとするカゲミツ。

 

バトルも中盤戦に突入。アスラもここで負けじと攻めに転ずる………

 

 

[ターン06]アスラ

 

 

「……よし、メインステップ!!……行くぜ相棒、仮面ライダー龍騎をLV2で召喚だ!!」

「!!」

 

 

ターン開始の刹那。

 

アスラは果敢に攻めるべく、己の相棒、最初に出会った第一の龍騎をこの場に召喚しようとする。

 

 

だが…………

 

 

「………アレ……おい、どうした龍騎!!……召喚だ、来い!!」

 

 

アスラは幾度となく仮面ライダー龍騎の名を呼び、そのカードをBパッドに叩きつける。しかし、幾らやっても龍騎はこの場に呼び出されなくて…………

 

 

「大事なバトルなんだ!!……頼む!!………りゅ、龍騎?」

 

 

アスラは龍騎に、いや、自分自身に何か変化が起こっていた事を察したのか、力尽きたようにその名を呼ぶのをやめてしまう。

明らかな異変に、エールやシイナ、ロンと言った仲間達も緊張感を感じはじめて…………

 

 

「ど、どうしたのよアスラ……あんたさっきからちょっと変よ!?」

「できないんだ………」

「?」

「龍騎を……召喚できなくなってる……!?!」

 

 

ー!!!

 

 

アスラは青ざめた表情でエールにそう告げた。

 

ミラーワールドから帰還し、ようやく気がつく自分に起きていた異変、変化。

 

そう。アスラは己を選んだライダースピリットである龍騎を召喚、変身する力を失っていた。衝撃過ぎる異常事態に、ロンはおろか、頂点王のシイナまでもがその額に汗を流している。

 

 

「龍騎を召喚できなくなっているだと??……どう言う事だ」

「……それは……わかんねぇ……」

 

 

対戦相手であるカゲミツにそう言われ、アスラは何故龍騎を使えなくなってしまったのかを考える。

 

そうしたら一つだけそれらしい原因が思い浮かんで………

 

 

ー……

 

 

ー『もう一度あの力を使うか?』

 

ー『オマエ自身は単なる人間だ。アレを連続で使うと、代償が付き纏うぜ……!!』

 

 

ー……

 

 

ー!!

 

 

これはミラーワールドで自分が黒い龍騎の力を欲した時に囁かれた黒き謎の声。確かにあの時、代償が付き纏うと口にしていて………

 

 

「おい!!…オレの中にいる黒くて気持ち悪いの!!……あの時オマエが言ってた代償ってこれの事か!?……そうなのか、おい!!」

「……アスラ!?」

「なんとか言ってみろよ、この黒キモヤロー!!」

 

 

切羽詰まった様子で己の中に存在するそれに訴えかけるアスラ。しかし幾らやってもオニキスと名乗るそれは反応を示さない。エールも焦るアスラを心配そうに見つめる。

 

 

「どう言う事?……ロンは何か知ってる?」

「わかりません。龍騎と言うライダースピリットが本当にアスラを見限ったなら、もう既にカードそのものがどこかへ飛び去ってると思いますし、何より龍騎の中にいた赤い龍、ドラグレッダーを使えるのも不自然だ……何か、別の力が働いているんでしょうね」

 

 

シイナがロンに疑問を投げる。同じくライダースピリットに選ばれている彼は、経験となんとなくの感覚でアスラが龍騎に見放されているわけではない事を悟る。

 

 

「……どちらにせよ、今のあいつはライダースピリットを使う事ができなくなっているのは事実です」

「………ソウルコアが使えない、あいつの唯一の希望も振るう事ができなくなるなんて………」

 

 

幼い時のアスラを見てきたシイナは、この光景にショックを隠せなかった。あれだけ努力して積み上げて来たと言うのに、ソウルコアがなくても頑張って来たと言うのに………

 

何故ここまで世界はアスラを見放すのだろうか……………

 

 

「哀れだな」

「!!」

「オマエに期待した私がうつけだった。ソウルコアも使えないコモンの小童。オマケにライダースピリットも扱う事ができなくなったのであれば、私はもうオマエに興味は無い」

 

 

カゲミツから言い渡されたのは身体の芯までもが凍りつくような冷たい言葉。あれだけ優しくしてもらえたアスラからしたらかなり辛くて…………

 

 

「ライダースピリット無しでこの私に勝つ事など不可能だ。諦めろ。生まれながらの負け犬………さっさとコモンしかいない辺鄙な村にでも帰郷するがいい!!」

「………」

 

 

重く………

 

その言葉はどこまでも重くアスラにのし掛かって行く………

 

コモンで、しかもソウルコアが使えないと言う致命的なハンデを生まれた時から背負ったアスラは今まで、普通では考えられない程努力を繰り返して来た。

 

そしてその努力の末手に入れた相棒のライダースピリット龍騎。

 

それさえも消えた。積み上げて来た物がなくなる失望感は計り知れない。

 

消えて初めて自分がどれだけ龍騎に頼っていたかがわかる。諦めたい。もうどうでもいい。そう考えてもおかしくはない…………

 

 

だが………

 

 

そうだとしてもアスラは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは、帰らねぇし、諦めねぇ!!!

 

 

 

 

ー!!

 

 

諦めなかった。アスラの信念の籠もった咆哮が墓地全体に響き渡る。

 

 

「カゲミツ姐さんはオレの夢知ってるだろ!!…オレは頂点王になるまで、カラーリーダー、三王、ロン、シイナを超えるまで、もう二度と、絶対に諦めねぇ!!」

「!!」

「この世界がどうしてもオレを頂点王にさせてくれねぇって言うなら、オレはそれを全部飛び越えてやる!!……コモンだろうが、ソウルコアが使えなかろうが、ライダースピリットが使えなかろうが、関係ねぇ、オレは頂点王になる!!………オレが諦めるのは、あの時で最後だ!!」

 

 

アスラはあの時、旅立つ前に龍騎に選ばれた瞬間の事を思い出していた。

 

あの時は諦めかけた。

 

しかし、踏みとどまり、最後まで諦めなかったからこそ、龍騎に選ばれたのだ。その時に誓った。もう二度と諦めたりしないと、自分の価値を疑ったりしないと………

 

 

「……そうよ、あんたはそう言う奴よ……絶対に頂点王になりなさい!」

 

 

エールが目に涙を浮かべながらアスラにそう言葉を落とした。彼女は最初こそアスラみたいなコモンのネズミが頂点王などなれるわけがないと考えていた。しかし、今では彼が未来の頂点王になる事を信じて止まない。

 

 

「フッ……だからこそ、オレはオマエを倒したい、アスラ!!」

 

 

幼馴染みにして親友にして最大のライバル、ロンがそう言った。その言葉には彼に対する尊敬の念も込められている。

 

 

「………そうだよなアスラ。ここでそれを言わないとあんたじゃない……私は信じているよ、あんたがロンと一緒にもっと強くなるって事を」

 

 

最後に育ての親で彼らの目標でもある頂点王シイナが言った。元々彼のために得たような地位。そうだとしても彼らの中でその地位が大きな存在になっている事が嬉しくてしょうがなかった。

 

 

「オレはドラゴンヘッドにコアを追加してターンエンド!!……さぁカゲミツ姐さん、カラー戦はまだ終わってねぇ!!……どっからでも掛かって来やがれ!!」

手札:5

場:【ドラグレッダー】LV1

【ドラゴンヘッド】LV2

バースト:【無】

 

 

紫のコアシュート対策を施し、そのターンを終えるアスラ。ドラグレッダーには4つ、ドラゴンヘッドには5つのコアが置かれている。

 

最後まで決して諦めないアスラを見て、カゲミツは何を考えたのか、その口角を大きく上げると…………

 

 

「ハッハッハッハッハ!!!」

 

 

ー!!

 

 

何がおかしいのか、天を大きく見上げながら高笑いした。しかし、それはたいへん彼女らしい理由であり…………

 

 

「やっぱりオマエは面白いヤツだアスラ。勝ち確定の勝負とわかってここまで血が滾ったのは生まれて初めてだ!!……いいだろう、その無謀な挑戦、敢えて受けて立とうではないか!!」

 

 

アスラを見直し、己のターンを再び進行して行くカゲミツ。その圧倒的なプレッシャーは、アスラが今まで感じたどのカラーリーダーよりも鋭く、凄まじくて…………

 

 

[ターン07]カゲミツ

 

 

「メインステップ!!…マジック、双翼乱舞を使い、カードを2枚ドロー」

 

 

汎用的なマジックカードで手札を増やすカゲミツ。そしてそのカードを目に映すなり、笑みがこぼれ落ちて………

 

 

「ふひひ……これを待っていたんだ……アタックステップ!!…ガンガンセイバー付きのオレ魂で攻撃する!!」

 

 

攻撃を仕掛けるカゲミツ。そしてこの瞬間より、手札からカードを1枚引き抜く…………

 

それは彼女のデッキの中にある最強のエースカードであり………

 

 

「諦めなかった褒美だ!!…最後に良い物を見せてやるぞアスラ!!……フラッシュ、煌臨を発揮!!…対象はアタック中のオレ魂!!」

「!!」

「来るか、カゲミツの最強のゴーストが……!!」

 

 

何が来るのかを悟るシイナ。その直後に、オレ魂が無限の文字が描かれた光に包み込まれて行き、その中で姿形を変化させて行く。

 

 

「来い、仮面ライダーゴースト ムゲン魂!!」

 

 

ー【仮面ライダーゴースト ムゲン魂+ガンガンセイバー】LV2(3)BP15000

 

 

その光が晴れると、そこには仮面ライダーゴースト最強の姿、仮面ライダーゴースト ムゲン魂が現れていた。圧倒的過ぎる存在感がこの墓地全体を包み込む。

 

 

「す、スゲェ……これがカゲミツ姐さんの切札……めちゃくちゃカッケェ」

「お褒めの言葉は良い!!…身構えなアスラ!!…煌臨時効果、スピリット1体のコアを3つリザーブに置く!!」

「!!」

「私はこの効果でドラグレッダーのコアを取り除く!!」

 

 

ー【ドラグレッダー】(4➡︎1)

 

 

カゲミツが効果発揮の宣言を行うと、アスラのドラグレッダーからコアがリザーブに戻される。しかし、1つ残ったため消滅は免れた。

 

しかし、それこそが彼女の狙いであり………

 

 

「その後、この効果でスピリットが生き残った場合、このターンの間、ムゲン魂はブロックされない!!」

「ッ……アンブロッカブル効果!?」

「ムゲン魂は元よりダブルシンボルのスピリット、ガンガンセイバーとの合体でトリプルシンボル!!…オマエの残りライフは3!!……これで終わりだ!!」

 

 

アスラの残りライフを一撃の元に葬り去ろうとするカゲミツ。ドラグレッダーとドラゴンヘッドが動かない今、アスラに残された手はただ一つ………

 

 

「頼む、アドベントカードは発動してくれ!!……フラッシュマジック、ファイナルベント!!」

「!!」

「この効果でBP15000以下のスピリット1体を破壊、オレはBP15000のムゲン魂を破壊する!!」

 

 

龍騎を得た共に得たアドベントカード。龍騎の使用が不可となった今、このカードが使用できるかも怪しかったが…………

 

 

「ッ……よし、使える!!」

 

 

ファイナルベントの効果により、龍騎の額にある龍の紋章を象った炎がカゲミツのムゲン魂へと突撃していく。どうやらアドベントカードはならば問題なく使用できるようだ。

 

しかし………

 

それが使えたとしても、三王に限りなく近い実力を誇るカゲミツの壁は遠く、分厚くて………

 

 

「信じていたぞ、オマエなら逆転の手を叩き出してくると……しかし、それではまだ勝たしてあげられないな!!……ムゲン魂のさらなる効果!!」

「!?」

「私の手札を2枚破棄する事で、ムゲン魂を対象に発揮された効果を無効にする!!」

「なにッ!?」

 

 

ムゲン魂に激突した龍の紋章を象った炎。しかし、ムゲン魂はそれをモノともせず、弾き飛ばしてしまった。

 

 

「如何なる効果であっても、私の手札がある限り、ムゲン魂は死なん!!」

「くっ……!!」

「今度こそ……終わりだ!!」

 

 

ドラグレッダーとドラゴンヘッドを素通りし、アスラのライフへゆっくりと歩み寄るムゲン魂。そして眼前まで近づくと、その手に握るガンガンセイバーにムゲンの力を溜め込んで…………

 

 

〈ライフ3➡︎0〉アスラ

 

 

振り切った。アスラの残ったライフは立ち所に全て消滅。

 

これにより、勝者は紫のカラーリーダー、カゲミツだ。圧倒的な実力の差をアスラに見せつけながらの勝利となった。仮にアスラが万全だったとしても、勝っていたのは彼女かもしれない………そう思える程の差であった。

 

 

「……私の勝ちだ。今の心境を聞こうか、スーミ村のアスラ」

 

 

Bパッドを閉じながら、カゲミツがアスラにそう聞いた。スピリットやネクサスが消滅していく中、アスラは顔を上げて………

 

 

「もうっ最高だぜ!!……どんだけ強いんだよ姐さんは!!……マジスゲェ!!…でも次は必ずオレが勝つ!!……もっと強くなって出直して来ます!!」

 

 

笑いながらそう言い返した。最後まで自分が頂点王になれる事を疑わないアスラらしいセリフだった。その応答に、カゲミツもまた口角を小さく上げると…………

 

 

「ふひひ……そうだ、その返事だ。オマエは決してスタート時点に戻されたわけじゃない……ライダースピリットが無くなろうが、オマエと言うカードバトラーは確実に成長している……だがまだ足りない、もっと強くなれアスラ!!…私は紫の街で成長したオマエを待ち続けてやろう」

「おうっす!!…楽しみにしていてください!!」

 

 

カゲミツは自分が思っていたアスラの最高の返事を耳に入れるなり、この場から去って行った。その表情はどこか満足しているようで、満足し切っていないようにも見える。

 

 

「………っしゃぁ!!……オレはまだまだ全然弱い!!…やるぞ、オレは絶対もっと強くなってやるぁぁぁ!!…修行だぁぁぁあ!!!」

「うっさ!!…負けた早々からうっさいのよあんたは!!」

 

 

カゲミツの背中が見えなくなると、より気合の入ったアスラは、改めて強く宣言した。この行為は彼が敗北して落ち込んでいるわけではないという何よりの証拠でもあって………

 

 

「うぉぉ!!…修行には修行相手が付き物!!…ロン、行くぜ、修行だぁぁぁー!!」

「嫌だ。というか、なんで無駄にテンション高いんだ」

「えぇぇ!?!…そりゃ、あの展開は身体が熱くなるだろ!?…え?ならない感じ!?」

「あっはっは!!…あんたらのこの絡み好きだわ〜」

 

 

1人だけテンション高いアスラをロンとエールが冷たく接する。漫才みたいなやり取りに、シイナは1人大爆笑。

 

その光景はとてもではないが選ばれたライダースピリットが使えなくなったと知った直後の出来事とは思えなくて………

 

そしてそんな時だ。又しても聴き慣れた声色がアスラ達の耳を通過して………

 

 

「なんだ、修行相手を探してんのか小僧」

「ッ……テンドウさん!?」

 

 

そこに現れたのは三王の1人テンドウ・ヒロミ。ヘビースモーカーな彼は今日もまたタバコを口に咥えている。

 

 

「テンドウ。あんた、さては最初からいたな。カゲミツと絡みたくないからって言う理由でこっそり隠れて傍観してたろ」

「当然だ。誰があんなバイオレンスお嬢様と顔を合わせるかってんだ。一々婿になれだのうるせぇ」

「あいつ結構嫌われてるのね」

 

 

テンドウが実はずっとここら辺に隠れていた事を看破する頂点王シイナ。どれだけカゲミツが2人から煙たがれているのかがわかる。

 

 

「え……てか、テンドウさん!!…ひょっとしてテンドウさんがオレの修行の相手してくれるんですかァァァー!!」

 

 

アスラが目をギラギラと輝かせながらテンドウにそう聞いた。テンドウは咥えてたタバコを手に取り、口から煙を吐きながら返答して…………

 

 

「まぁ、それでも良いけどな……だが、ひょっとすれば、もっとうってつけの相手がいるかもしれねぇ」

「え!?……三王のテンドウさんより修行相手に相応しい相手!?」

 

 

まだ自分に相応しい修行相手がいる事に驚くアスラ。他と言えばもう残りは頂点王のシイナくらいしか頭に浮かんで来ない。

 

その後、テンドウは巨大な手でアスラの頭に手をポンっと置くと………

 

 

「おう、そんじゃ修行相手を探しに、いっちょ異世界行くか、小僧!!」

「………え」

 

 

そう告げて来た。

 

彼の言葉の意味がわかっていないアスラは頭の上にハテナマークをポカンと浮かべた。

 

 

 




******


最後までお読みくださり、ありがとうございました!!

次回はブラストさん作の「バトルスピリッツ7Guilt」とのコラボ編がスタート!!

私自身、ブラストさんの大ファンで、今回のコラボ編はたいへん嬉しく思っております!

実は二度目のコラボで、一度コラボストーリーズのキャラを7Guiltに出演させてもらった事があるんです!…その時は光栄過ぎて感涙していました。

気になった方々は是非7Guiltをお読みになってくださいね!


アスラは龍騎のカードを召喚する力を失ってしまいましたが、次回からは彼に相応しい新デッキも登場!?
お楽しみに!!
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