伝説のスピリットカード、七罪竜の使い手達との修行を終えたその日の夜。
アスラは明日のお使いに向け、天上家にて準備を進めていた。無論、それがシイナと天上るみかの策略だとは気付いていなくて…………
「いや〜〜明日のアミューズメントパークとやらがどんな場所か楽しみですな〜〜」
「あぁ、俺も光黄とデートできて幸せだぜ」
「弟よ、この私に感謝するが良い」
「だからなんだよ姉ちゃんのそのキャラ」
アスラはデートと言う言葉をあまり理解していないが、烈我は違う。アスラとエールがもれなく付いて来るとは言え、光黄と一緒に新設のアミューズメントパークに行ける事を楽しみにしていた。
そんな中、烈我の相棒、七罪竜のバジュラが話しかけて来て………
『お前らだけずるいじゃねぇか。俺様にも行かせろよ、その何とかパークとやらに』
「バジュラ君は今度私と行こうねー…明日はカードになってデッキの中でお留守番しててちょうだい」
『フン。わーったよ、邪魔なんだろ?…だったらとことん黙っといてやるよ。だが、俺だったら黙っといてやれるが、あの色欲魔はどうだろうな』
バジュラが光黄の相棒にして同じ七罪竜、ライトの事を思い浮かべながら口にした。確かにライトの性格なら明日のWデートの邪魔をしかねない。
「ところでさ〜アスラ君はエールちゃんだっけ?…あの子とどう言う関係なの?」
「ん?…エールっすか?」
るみかがアスラに興味津々な様子でエールの事を聞いて来た。彼女が期待していたのは当然彼らの恋愛に関する事だったが………
「あいつは1番信頼してる仲間っす!」
「あ……うん。そうなんだ」
目をギラギラと輝かせながらそう答えるアスラ。まぁ別に予想していなかった訳ではなかったが、やはりアスラの恋愛感はほぼゼロに等しい。るみかはアスラの言葉でそれを確信する。
「取り敢えず、明日アスラ君はエールちゃんに会ったら先ずあの子の服を褒める事。オッケー?」
「え?…エールの服を褒めるんすか?……なんで?」
「いいからいいから。せっかくあんなに可愛い子が振り向いてくれてるのに、君がそんなんじゃ台無しだよ?」
「いったい何が台無しなんですか!?…オレはあいつの服を褒めない事でそんなに損を!?」
おそらく心配するベクトルが違うアスラ。やっぱりエールの気持ちには気がつかない。
「服か〜…そういや明日何着て行こうかな〜…飛び切りカッコいい服あったかな〜」
『浮き足だってるぞコイツ。明日死ぬんじゃねぇか?』
「浮き足だってるって言うか最早浮いてるし。空回りしないといいけどね」
兎に角光黄とアミューズメントパークでデートするのを楽しみにしている烈我。楽しみにし過ぎて体が宙にふわふわと浮いている。
るみかはそんな弟を見て、どうにも失敗しそうな予感が止まらなかった。
******
アスラ達が着実と明日の息抜きに向けて準備を進めていく中、同時刻。エールとシイナのお世話になっている黄空光黄の自宅、彼女の部屋にて…………
光黄の相棒たる七罪竜、ライトはどこか気難しそうな顔を見せていた。理由は当然、明日のお使いの件であって………
『解せぬ……このライト、解せぬのです光黄様、エール様』
「何がよ」
『何で……何でこのライトはお使いに参加してはいけないのですかァァァー!?!』
「そんな事だろうと思ったわ」
色欲を司る彼らしい発言。相変わらずな様子にエールは呆れる。
「ライト。明日行くのは新設されたアミューズメントパークだ。当然人も多い、明日は大人しくデッキに入っていろ」
『ぐぬぬ……ですがあんな野蛮な連中にお美しい光黄様とエール様を渡すわけには………!!』
どうしても光黄とエールを烈我とアスラに渡したく無いライト。しかしその直後、頂点王シイナが部屋に入って来て………
「じゃあ代わりにライト君は今度、いや明後日でもいいや。どこかに遊びに行こうか!…もちろん光黄ちゃん、エールちゃんも連れて!…ライト君のハーレムタイムって事で!!」
『不肖ライトボルディグス。明日はどんな事があってもデッキの中で沈黙していましょうとも!』
「変わり身はっや!!」
明後日のハーレムタイムを餌にされ、シイナに手懐けられるライト。これで少なくとも明日はどんな事があってもデッキの中にいる事が約束された。
その後、シイナは「これでよし」と言わんばかりな笑顔をライトに向けると、次はその顔をエールへと向けて………
「ところでさエールちゃん!!…明日何着て行く!?」
「え?…何って、いつもの服着て行きますけど?」
「ダメダメそんなんじゃ。折角のデートなんだからちゃんと完全装備して行かなきゃ!…いつもと違う事しなくちゃアイツに意識されないよ?」
「べ、別にあんなバカスラに意識なんてされたくないわよ!!」
「へ〜…私アイツとは言ったけど、アスラだなんて一言も言ってないけど?」
「ッー!?」
エールをからかい続けるシイナ。エールがアスラを意識し始めてからはよく見る光景である。
『はぁ……なんでエール様みたいな超絶美少女が、あんな薄汚くて馬鹿煩いチビ助の事をこんなに想っているのでしょうか……』
「だから何とも想ってないって言ってるでしょうが!!…そもそもシイナ様、絶対私達を一緒に行かせて楽しみたいだけですよね!?」
モテるアスラの事を考え、ライトがショックを受ける中、エールがシイナに聞いた。アスラ意外の全員が気がついているが、明日のお使いはシイナとるみかによる策略。
4人のお使いもとい、Wデートを見て楽しみたいだけなのだ。しかしそれを表立って言うわけにもいかないか、シイナは下手くそな口笛を吹きながら誤魔化す。
「いやいや〜そんな事ないよ〜」
「じゃあ明日のお使い、何を買ってくればいいんですか?」
「え?…それは明日決めるよ」
「確信犯!」
誤魔化し切れないシイナ。何故事前にお使いを頼もうとしているのに買って来る物を明日決めるのか…………
(………明日、烈我と買い物……か)
エールとシイナがそんなやり取りをしている中、光黄はクールな表情を見せながらも、内心ではそれなりに明日の事を緊張していた。
******
翌日。待ちに待ったお使いタイムが幕を開ける。本日開店のアミューズメントパークには当然ながら若者を中心に多くの人々が集まっており、あっちこっちのアトラクションから声が飛び交い、大いに賑わっているのがわかる。
そんな中、待ち合わせの入り口近辺にて、アスラと烈我の2人はエールと光黄を待ち続けていた。
しかし………
「なぁ烈我。なんでこんなに早く待ち合わせ場所に来たんだよ、まだ1時間前だろ?」
「いやごめん。楽しみ過ぎて待ち切れなかった……でも光黄達を待たせるわけにもいかねぇだろ?」
そう。今は約束の1時間前。光黄とアミューズメントパークでデートできると烈我が浮き足だった結果、こうなった。
だが、烈我のこの行為は無駄ではなくて…………
「なんだ、もう着いていたか、早いじゃないか烈我、アスラ」
「光黄!!」
「おはようございます光黄さん!!」
「あぁ、おはようアスラ」
現れたのは光黄とエールのペア。烈我達程ではないが、彼女らも中々の早さで待ち合わせの場所に到着していた。
「光黄、まだ1時間前だぞ、どうしたってそんな早く……」
「それを言うならお前達こそなんでそれ以上の早さで来た」
「あ、いや俺はその……お前と行けるのが楽しみで……」
「フ、フン……相変わらず子供な奴だ」
「えぇ!?」
烈我にそう言われ、照れ臭そうにする光黄。しかし出て来る言葉は彼を突き放すようなモノ。鈍感な烈我にとっての感触はイマイチだった。
「よっ!…エール」
「おはようバカスラ」
アスラとエール。何気ない挨拶から始まる会話。だが、エールもどこか照れ臭そうにもじもじしながらアスラに言葉を落として…………
「ど、どう!?この服!…コモンじゃ見た事ないでしょ!?」
「ん?」
恥ずかしさを押し殺し、頑張ってエールがアスラに自分の服を見せつけながらそう告げた。白いブラウスやブロンドのガウチョパンツが良く似合っている。そんな折、アスラは昨日るみかに言われた言葉を思い出し、彼女の顔が頭に浮かんで来る。
ー……
ー『取り敢えず、明日アスラ君はエールちゃんに会ったら先ずあの子の服を褒める事。オッケー?』
ー……
(危ない危ない、そうだった……で、具体的にどう褒めるんだったっけ??)
この日のエールの着て来た服を褒める事。それがるみかに課せられたアスラのノルマ。彼はさらに記憶の中を辿って如何にして彼女の服を褒めようか探ってみる………
すると、再び昨日るみかに言われた事を思い出して………
ー……
ー『え?…服の褒め方がよくわからない?…もうアスラ君てばウブなんだから〜…そんなの簡単簡単♪………』
ー……
「おう似合ってるな!…ずっとオマエだけを見ていたいぜ〜!!」
「なッ!?」
るみかに言われた通りの褒め言葉を、目をギラギラと輝かせながらそのままエールに告げるアスラ。
余りにスムーズに褒められた事で、エールの顔は真っ赤になってしまい…………
「な、何見てんのよこのバカスラァァァー!!」
「ブワァァァー!!…自分で見ろって言ったクセにィィィー!?!!」
思わず手が出てしまう。アスラは遥か上空へと吹き飛ばされる。実際エールの服自体は本当に似合っていると思っていたが、褒めたらぶん殴られるのは予想外だった様子。
「こ、光黄の服も似合ってるな、すごく!」
「いや、俺に関してはいつもとそんなに変わらないだろう」
「そんな事ないって!…なんだろうな、いつものボーイッシュな服装とはまた違うボーイッシュさがあるって言うか………兎に角可愛い!…凄まじく可愛いです!」
「ッ………ほ、褒めるな。いいからさっさと行くぞ」
「えぇ!?…ちょっと待ってくれよ光黄!」
落ち着きがなく、覚束ない様子だったが、烈我に褒められた事で頬を染める光黄。照れ臭さを隠すように1人入り口の方へと向かって早歩きする。
それを烈我、エール、丁度上空から帰還したアスラが追って行き、お使いと言う名のWデートが幕を開けたのだった。尚、当然の如くアスラだけは全くそれを意識していない。
そしてそんな4人の様子を見守るように物陰から2人の姿が見えた………
「始まったわねシイナさん」
「始まったねるみかちゃん」
そこにいたのは他でもないアスラの母親的存在シイナ・メザと、烈我の実の姉、天上るみか。変装のつもりなのか、2人とも黒いサングラスを掛けている。
「いや〜服褒める作戦上手くいったと思ったんだけどな〜…まさかぶん殴られるとは、ごめんねアスラ君」
「はっは。アレがウチのアスラとエールちゃんさ。可愛いでしょ?…でもお宅の烈我君と光黄ちゃんも中々やりますな〜…もう側から見たらウブな恋人にしか見えないんですけど。アレで付き合ってないの?」
「アレで付き合ってないんですシイナさん〜…面白いでしょ?」
「面白い!!……さぁ、今日はとことん見物するぞ〜!」
「おぉ!!」
声を揃えて気合を入れ合う2人。どうやら目的はWデートの見学のようである。今のところ4人には気づかれていないようだが、側から見たら裏でこそこそしている変質者であるためか、小さな子供達に後ろ指を刺されていた。
******
それから約数十分。アスラ達4人はアミューズメントパーク内に存在するデパートの中にいた。アスラの手には買い物袋が握られている事から、どうやらお使いを済ませたようである。
「よぉっし!…じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、シャンプー、トイレットペーパー!!…全部買えたぜ、これでお使い完了だ!」
「て言うかこれ別にこんな所じゃなくても買えたでしょ」
お使いを完了させて喜ぶアスラ。そんな彼を他所にエールはやはりこれがエールとるみかによる策略だと再確認する。
「まぁいいじゃねぇかエール、これで買い物は終わりだ………そんじゃ帰るか」
「えぇ!?…ちょっと待てよアスラ、せっかくここまで来たんだから遊んで行こうぜ!?」
「え?…でもここには遊びに来たんじゃなくてお使いしに来たんだろ?」
「いや、うんまぁそうなんだけどよ」
「真面目なんだな」
「そんなにバカスラを褒めなくても良いわよ光黄。アレはただ頭がカッチカチなだけなんだから」
「誰が頭カッチカチだエールコノヤロー!!」
お使いが完了した事で、一人帰宅しようとするアスラ。それを烈我が全力で止めに入る。
そして止めに入ったのは烈我だけではなくて…………
『そうだぞチビ助!!…Wデートの意味わかってんのか!?…お前は今日そこの偉そうな女連れて楽しく遊べば良いんだよ!』
『ちょっとバジュラ!!…何勝手に喋ってんですか!?…せっかくこの私が我慢して黙って………と言うかWデートと言う言葉を考えないようにしていたのに台無しじゃないですか!!…あぁもうやだ光黄様ァァァー!!』
「おいバジュラ、お前今日黙ってる約束だったろうが!」
「ライトもだ」
2人のデッキ越しから居ても立っても居られなくなったバジュラとライトの声が響く。
「おぉ、Wデートって楽しく遊ぶって意味だったのか………」
「って言うか偉そうな女って私の事?」
バジュラの言葉でWデートの意味をやや違う解釈で覚えるアスラ。男女の交流と言う意味では絶対に捉えていないだろう。
「このアミューズメントパーク、バッティングセンターとかボウリング場があるみたいだしさ、取り敢えず一回そこ行ってみないか?」
「おぉ!!…なんだバッキングセンターとボーリングジョーって!!」
烈我が施設のパンフレットをアスラに見せながら言った。一瞬にしてそちらに興味が振り向くアスラ。バッティングセンターとボウリングに興味津々だ。
その後、4人は先ずバッティングセンターに赴く。その裏でこっそりとシイナとるみかも彼らを追いかけるように移動していく。
******
ボールが打たれる音がこだまする。ここはバッティングセンター。言葉の通り、バットでボールを打つ場所だ。
4人もまたそれぞれの配置につき、バッターボックスに立ってその白球を全力で打とうとしていた。
(ここは光黄に良いところを見せるチャンスだ。ホームラン目指すぞ!)
天上烈我は内心でそんな事を考える。と言うか彼の頭の中は常に黄空光黄と言う才色兼備な少女の事でいっぱいいっぱいだ。
そんな彼はバットを強く固く握りしめ、ストライクゾーンに飛んでくる白球を狙い打とうとするが…………
「ふん!……ハッ!!……とぁっ!!…………当たんねぇ……擦りもしねぇよ………」
その全てが空振り三振だった。実を言うと余り運動そのモノは得意な方ではない。どちらかと言えばミナトの方がこう言うのは得意だった。
烈我はふと右側を見渡してみる。するとそこには鮮やかなフォームで白球を返り討ちにする光黄の姿が見えた…………
「ふぅ………まぁ、こんなものか」
「うん。何となく思ってたけど結局こうなるのね………」
黄空光黄と言う少女はどんな事でもある程度卒なく熟す。そこが魅力の1つでもあるが、烈我はちょっと残念そうにする。
そして烈我が今度は左側を見渡してみる、そこにはアスラとエールがいて………
「うおぉぉお!!…なんかよくわからんけど球が沢山飛んで来るゥゥゥー!?!……なんだ、誰が投げてやがる!?…セコイ手使ってないで正面からぶつかって来やがれコノヤロー!!」
「きゃっ!?…危ないじゃないバカスラ、こっちにボール飛ばさないでよね!?」
「向こうは向こうでイチャついてるし………」
初めてのバッティングセンターの2人。困惑するアスラが片手でバットを振い、身を守るように白球を弾き返していくが、その弾道が度々エールの方へと飛んで行っていた。
そんな彼らのやり取りを烈我はなんとなく羨ましく思っていて……
******
ボールの転がる音、ピンが弾け飛ぶ音が流れて来る。ここはボウリング場、散々バッティングセンターでバッティングした彼らは次にこのボウリング場へと訪れていた。
烈我、アスラ、エールが座る中、光黄の出番がやって来た。バッティングセンターの時同様、プロ顔負けの美しいフォルムでボールを転がし、見事全てのピンを倒してストライクを取って見せた。
「おぉ凄いぜ光黄さん!!…なんかよくわからんけども!」
「うん。何故かしら、なんか今のが凄いって言うのはわかる気がするわ……」
そもそもボウリングと言うものを知らなかったアスラとエールの2人。しかし、そんな彼らでも凄いとわかるくらい光黄は天才だった。
「いや別に、これくらい普通さ。さぁアスラ、次はお前の番だぞ」
「おうっす!」
肩を回しながら準備運動を始めるアスラ。その手にボウリングの玉を握り締め、ピンに狙いを定める。
「要はあれだろ?…あの白いヤツ全部ぶっ倒せば良いんだろ?」
「まぁそうだな」
「へへっ……だったらこっちの方が絶対効率が良いぜ!」
「?」
………うぉおりゃぁぁぁあー!!!
ー!!
通常。ボウリングはアンダースロー。下投げが主な投法だ。しかし、このアスラはあろう事かそのボウリング玉を上投げ、オーバースローで豪快にぶん投げてしまう。
凄まじい速度で宙を駆けるボウリング玉は見事に全てのピンを弾き飛ばした。
「よしっ!」
「よしじゃねぇ!?…お前どんな怪力してんだ!?…人間技じゃなかったぞ!?」
「いや〜…オレ昔身体鍛えたらソウルコア出るんじゃないかと思ってめちゃくちゃ鍛えたことあるんですよね〜…今でもしょっちゅうやりますよ筋トレ」
「だから人間技じゃねぇんだよ!?…どんな鍛え方したらそんな事できるんだぁ!?」
アスラの信じられない怪力に驚愕する烈我。一方でエールはツッコムのが面倒くさくなったか、タピオカとやらを飲みはじめる。その味が美味しいのか、「何よこれ、美味しいじゃない!!」と内心で叫びながら夢中になって飲み進めていく。
「はっは。ボウリングでオーバースローする奴初めて見たよ。やっぱり面白いなアスラは」
「どうもありがとうございまァァァーす!!」
「!!」
そんな中、アスラを面白い奴だと笑いながら称する光黄。それを聞くなり、烈我は少しばかりムキになってしまい…………
「お、俺だってオーバースローで投げれるし………」
「え?…おい烈我、何ムキになって………」
不本意ながらアスラが光黄を笑わせたのが府に落ちなかったか、光黄が止めようとしてももはや烈我は止まらない。1人ボウリング玉を手に持ち、アスラ同様野球のピッチャーの如く構える。そして振りかぶって全力でそれを投げた…………
しかし………
「ぐはぁぁ!?」
「烈我!?」
ボウリング玉はピンの方向ではなく、まさかの少し真上に飛び、烈我の頭に落下。脳天に直撃した烈我はそのまま気を失って倒れ込んでしまう………
「おい!!大丈夫か烈我!?」
「ダメだな。暫くは起きそうにない……済まないがアスラ、この近くに医務室がある、烈我をそこまで運んで行ってくれないか?」
「わっかりました!!…漢アスラ、烈我の命を救うためならなんだってやるぜ!!」
「いや別に死なないでしょこの程度で」
エールからツッコミを受けながらも、アスラは烈我を背負い、飛ぶように走って行った。光黄とエールだけがこの場に取り残された直後、光黄が無茶をして気を失った烈我に対して言葉を落とし…………
「バカ烈……別にあんな事しなくてもいいのに……」
「?」
エールにも聞こえないくらい小さな声でボソッと呟いた光黄。エールはそれを聞き取れなかったが、光黄と2人きりになれた事により、ある事を閃いて…………
「そうだ光黄、せっかくだからあのバカ達が戻ってくるまでバトルしない!?」
「!」
「ここに来た時から絶対に光黄とバトルしたいって思ってたのよね〜」
『そうですねエール様!!…是非私達と優雅なひと時を過ごしましょう!』
「別にあんたとバトルはしたくないわ」
『酷い!』
光黄のデッキからライトの声がこだまする。エールは光黄がこちら側の世界に来た時から彼女といつかバトルしたいと思っていた、その願いをこの場で果たそうと言うのだ。
そんな彼女の想いに応えない光黄ではなくて………
「あぁ、いいだろうエール。俺でよければ相手になってやるよ」
「決まりね!…それじゃ人通りが少ない所に行きましょ!」
『わーい!…エール様とバトル!!』
「ライトはまだ黙ってろ」
こうして2人はバトルが出来そうな場所を求めてボウリング場から移動を始める。4人ともボウリング場から姿を消したわけだが、そんな4人を眺めて楽しんでいたシイナとるみかは…………
「どうしよう、カップリングが変わってしまいましたね……二手に別れちゃったし、私達も別々で行動しますかシイナさん?」
「…………私もボウリングやって良い?」
「シイナさん?」
ボウリングに興味津々なシイナ。肩を回しながら準備運動を始めている。ここら辺の仕草などは本当にアスラによく似ている。
こうして、エールと光黄は2人だけでこっそりとバトルを行う事になった………
******
「ここなら丁度良いかもね」
アミューズメントパークの中でもかなり人気の少ない場所を見つけたエールと光黄。ここならバトルフィールドに向かっても誰にも見つからなそうだ。
「さぁ、待ちに待ったわ!…始めましょう光黄、私達のバトルを!」
「あぁ。ライト共々、全力で相手させてもらうよ」
『お相手さんが超絶美人なエール様でも手加減はしませんよ!!』
………ゲートオープン、界放!!
光黄がバトルフィールドへと誘える小さなキューブを足元に投げると、2人はこの世界のバトルフィールドへと身を移す。そしてコールと共にバトルスピリッツが幕を開ける。
先行は光黄だ。飄々とした様子でターンを進めて行く。
[ターン01]光黄
「メインステップ、俺は先ずはガトーブレパスを召喚。続けてバーストを伏せる、これでターンエンド」
手札:3
場:【ガトーブレパス】LV1
バースト:【有】
翼の生えた牛のようなスピリット、ガトーブレパスが青い鬣靡かせながら出現。以前、光黄とタッグを組んで戦った経験のあるエールはこのスピリットの効果を熟知していて…………
「早速来たわね、ライフを破壊したら自分のライフを回復できる【聖命】の効果を持つスピリット……」
序盤はライフを回復して行くのが光黄のバトルスタイル。このガトーブレパスはその序盤においての象徴とも言える。エールは警戒をしながらも己の最初のターンを開始した。
[ターン02]エール
「メインステップ……ネクサス、勇気の紋章をLV2で配置してターンエンド!」
手札:4
場:【勇気の紋章】LV2
バースト:【無】
エールの背後に太陽を模した巨大な紋章が現れる。エールが光黄のカードをある程度知っているように、光黄もある程度エールのカードの事を知っている。そのため、この勇気の紋章が自分にとってのメタカードである事は瞬時に理解できていて…………
(赤のネクサス、勇気の紋章……確か自分のライフが減った時にBP5000以下のスピリットを破壊する効果だったな。成る程、これでガトーブレパスは【聖命】を発揮した途端に破壊されるわけだ………)
内心でそう勘ぐる光黄。この最序盤にて、エールの勇気の紋章と言うカードは厄介極まりなかった…………
しかし………
(だが、この程度の戦略で詰む俺じゃない……!)
満ち溢れた自信を持つ光黄の2度目のターンが幕を開ける。
[ターン03]光黄
「メインステップ……2枚のネクサス、創界神ラーと黄金の鐘楼を配置!」
ー【創界神ラー】LV1
ー【黄金の鐘楼】LV2(2)
効果の背後に配置されたのは、仮面を装着したエジットの最高神ラーと、黄金に光り輝く鐘楼。
「ラーの神託。デッキの上からカードを3枚トラッシュへ……今回の対象カードは1枚、よってコアを1つ追加」
ー【創界神ラー】(0➡︎1)
ラーにコアが置かれた直後、「これで下準備は終わりだ」と言わんばかりの気迫に満ちた表情を見せ、光黄は攻めに転ずる。
「アタックステップ、ガトーブレパスで攻撃する」
「来たわね……ライフで受ける!……ッ」
〈ライフ5➡︎4〉エール
ガトーブレパスの渾身の体当たりがエールのライフバリアに炸裂、1つだけ砕け散った。
そしてこの時、ガトーブレパスの真価が発揮され………
「ガトーブレパス【聖命】の効果、ボイドからコア1つを俺のライフに」
〈ライフ5➡︎6〉光黄
光黄のライフが光り輝き、初期の数を超えた6となる。だが、それも束の間、今度はエールの配置したネクサス、勇気の紋章の効果が発揮されて………
「ライフの回復はそれで最後にしてもらうわ!…勇気の紋章の効果、私のライフが減った事でBP5000以下のスピリット1体を破壊する!」
「!」
「これにより、ガトーブレパスを破壊!」
太陽を模した巨大な紋章より放たれる火球。それがガトーブレパスに直撃。BPは貧弱なガトーブレパスがそれに耐えられるわけもなく、あっさりと焼き尽くされた。
しかし…………
「その効果の発揮を待っていた」
「!」
ここまでを計算に入れていない光黄ではなくて………
「黄金の鐘楼LV2の効果、互いのアタックステップ中に【聖命】を持つスピリットが破壊された時、俺のライフを1つ回復する」
「え!?…このタイミングでまたライフを回復!?」
〈ライフ6➡︎7〉光黄
再びライフが光り輝き、その数が増える。さらに光黄が狙っていたのはそれだけではない。今度は事前に伏せていたバーストカードが勢い良く反転する。
「さらにスピリットの破壊後によるバースト、双光気弾!」
「ッ……赤のバーストマジック!?」
「お前も使った事あるから、効果は知ってるよな。俺はカードを2枚ドロー……その後、コストを支払う事で相手ネクサス1つを破壊する!……不足コストは黄金の鐘楼のLVを下げて確保。勇気の紋章にはここで退場してもらう!」
放たれる2つの気弾がエールの勇気の紋章を粉砕した。黄色使いの光黄から赤のカードが使用される事は、エールにとっては完全に予想外だった。
「俺はこれでターンエンド」
手札:4
場:【創界神ラー】LV1(1)
【黄金の鐘楼】LV1
バースト:【無】
「流石にやるわね……まさかこんなに早く勇気の紋章を攻略されるなんて……」
「フッ……その効果は知っていたからな」
このターン、エールの勇気の紋章を逆手に取り、自分のライフを7まで増やし、手札も増強、挙げ句の果てには勇気の紋章を破壊まですると言う偉業を成し遂げた光黄。
そんな彼女の実力の高さを改めて知ったエールはより気合を入れて己のターンを進めて行った。
[ターン04]エール
「メインステップ……私も創界神ネクサス、八神太一と石田ヤマトを連続配置!」
ー【八神太一】LV1
ー【石田ヤマト】LV1
「ッ……赤と、紫の創界神ネクサス?」
「2枚分の神託を発揮!…今回の対象カードは2枚ずつ、よってコアを2つずつ追加!」
ー【八神太一】(0➡︎2)
ー【石田ヤマト】(0➡︎2)
特に変化はないが、光黄のラー同様の創界神ネクサスを配置するエール。赤の八神太一ならまだしも、紫の石田ヤマトと言うネクサスに光黄は反応を示す。
無理もない、何せ彼女はエールが紫のオメガを手にする前に出会っているのだから………
「さらに太一のアグモンを召喚!」
ー【太一のアグモン】LV1(1)BP3000
「召喚時効果、4枚オープンしてその中の成長期を除いたデジタルスピリットを手札に加える!…私はこのカード、ウォーグレイモンを手札に加えるわ!」
「ウォーグレイモンか」
肉食恐竜をこれでもかとデフォルメした可愛らしい成長期のデジタルスピリット、アグモン。その召喚時効果でエールのエースカード、ウォーグレイモンが手札に行く。
「そしてアグモンの召喚により八神太一と石田ヤマトにコアが1つずつ追加される。私は八神太一の効果を使ってカードを1枚ドロー」
ー【八神太一】(3➡︎0)
減って来た手札を創界神ネクサスの効果で補うエール。その後すぐさまアタックステップを宣言して………
「アタックステップ!…1つでも多くのライフを破壊するわよ……行きなさいアグモン!」
「ライフで受ける!」
〈ライフ7➡︎6〉光黄
アグモンの鋭い爪による一撃が光黄のライフ1つを切り裂く。しかしその数はまだ初期の5を上回っており………
「私はこれでターンエンド!」
手札:4
場:【太一のアグモン】LV1
【八神太一】LV1(0)
【石田ヤマト】LV1(3)
バースト:【無】
(……どうやら、アスラと同じように、エールも以前のエールとは異なるようだ………これは倒し甲斐があるな!)
知らないカードの配置。それだけでエールの成長を感じ取る光黄。己のターンを再び開始して行く。
[ターン05]光黄
「メインステップ……黄金の鐘楼をLV2に戻し、ガトーブレパス2体を連続召喚!」
ー【黄金の鐘楼】(0➡︎2)LV1➡︎2
ー【ガトーブレパス】LV1
ー【ガトーブレパス】LV1
勇気の紋章で破壊したばかりのガトーブレパスが追加で2体も光黄の場に召喚される。
「さらに神託によりラーにコアを2つ追加。コストを支払い、ラーの【神技】……デッキからカードを3枚オープンしてその中の想獣スピリットをコスト8まで手札に加える……俺はこのカード、想竜王ジュランを手札に!」
「ッ……私が知らない光黄のスピリット!?」
ー【創界神ラー】(3➡︎0)
ラーの効果を使用し、光黄が手札に加えた1枚のカードは、以前彼女とタッグを組んだ経験のあるエールでもわからないカード。
警戒するエールだったが、それだけで光黄のこのターンの攻撃が終わるわけなくて………
「アタックステップだ。2体目のガトーブレパスで攻撃する」
「ッ……石田ヤマトの【神技】!!」
「!!」
「ターンに一度、コア3つをボイドに置き、コア3個以下のスピリット1体を破壊する。2体目のガトーブレパスを破壊!」
ー【石田ヤマト】(3➡︎0)
反射的に効果を発揮させるエール。アタック中のガトーブレパスが紫の輝きに飲み込まれ、堪らず爆散した。
「成る程、それが紫の創界神ネクサスの力か。でも黄金の鐘楼LV2効果で再び俺のライフは1つ回復」
「くっ!」
〈ライフ6➡︎7〉光黄
防御したのも束の間。光黄のライフは再び7となる。そして彼女の場にはまだ3体目となるガトーブレパスが残っていて………
「3体目のガトーブレパスでアタック!」
「……ライフで受ける!」
〈ライフ4➡︎3〉エール
3体目のガトーブレパスの体当たりがエールのライフ1つを砕く。それに伴い、再びあの効果が適用され………
「ガトーブレパス【聖命】の効果。俺のライフ1つを回復」
〈ライフ7➡︎8〉光黄
「ライフ8………!」
回復を続ける光黄。そのライフは8。残りライフ3のエールと比べると、実に5もの差をつけて見せた。
「俺はこれでターンエンドだ。どうしたエール?…俺の知ってるお前はまだやれる筈だ」
手札:4
場:【ガトーブレパス】LV1
【創界神ラー】LV1(0)
【黄金の鐘楼】LV2
バースト:【無】
「やっぱ凄いわね光黄は……烈我が倒したいと思うわけだわ。でもそう、あなたの言う通り、私はまだやれる!…ここから一気に逆転よ!」
「フッ……そうこなくてはな」
この序盤は完全にエールの敗北。しかし、バトルはまだ始まったばかり。ここからが自分の本気であると言わんばかりに、エールは己のターンを再び進めて行く…………
[ターン06]エール
「メインステップ……ネクサス、友情の紋章をLV2で配置!」
ー【友情の紋章】LV2(1)
勇気の紋章と対を成す存在、友情の紋章を配置する。彼女の背後に友情を表す紫の紋章が出現した。
「さらに第三のメタルグレイモンを召喚するわ!」
ー【メタルグレイモン[3]】LV3(3)BP9000
エールの場、アグモンの横に出現したのは半身が鋼鉄でできたグレイモン、メタルグレイモン。これで攻撃の準備は整った。エールはアタックステップを開始する………
「バーストをセットしてアタックステップ!……第三のメタルグレイモンでアタック!!…アタック時効果で自身を回復。BP10000以下のスピリットガトーブレパスとネクサスの黄金の鐘楼を破壊!」
「!」
ー【メタルグレイモン[3]】(疲労➡︎回復)
メタルグレイモンが回復状態となると共に、左手にある鋼鉄のアームを一直線に伸ばし、ガトーブレパスと黄金の鐘楼を貫こうと試みる………
しかし、ガトーブレパスは貫かれ、堪らず爆散してしまうものの、黄金の鐘楼だけは違った………
「ッ……黄金の鐘楼が破壊されない!?」
「残念だったな。黄金の鐘楼は相手のターン中、自分のネクサスが黄一色の場合破壊されない……LV2の効果、【聖命】を持つガトーブレパスが破壊された事によりライフ1つを回復」
「!!」
〈ライフ8➡︎9〉光黄
破壊されなかった黄金の鐘楼の効果が適用。そのライフは二桁に限りなく近い数値となる。だが、この程度でエールはへこたれない。手札にある最も信頼できるカードをこのタイミングで切って見せる………
「だったらこれで一気にライフを削る!…フラッシュ【煌臨】を発揮!!…対象は第三のメタルグレイモン!!」
「ッ……来るか」
コストとして、エールのリザーブにあるソウルコアがトラッシュへと弾かれる。そして第三のメタルグレイモンは真っ赤な炎に身を包み、その姿形を大きく変化させて行く………
「究極進化!!……現れなさい、ウォーグレイモンッーー!!」
ー【ウォーグレイモン】LV2(3)BP12000
完全にその姿が切り替わり、周囲の炎を手に装着されたドラモンキラーと呼ばれる武器で切り裂きながら現れたのは、グレイモン系の頂点、最強の竜戦士ウォーグレイモン。
「出たな。待っていたぞウォーグレイモン」
「これで一気にライフ差を詰める!…煌臨スピリットは煌臨元となったスピリットの全ての状態を引き継ぐ、よってウォーグレイモンはアタック中!!」
アタック中のウォーグレイモン。光黄のライフ目掛けて走り出す。ライフが多いとは言え、今の光黄はそれを防御する手段が何も無くて………
「ライフで受ける!!……ッ」
〈ライフ9➡︎8〉光黄
ウォーグレイモンのドラモンキラーによる一撃が光黄のライフ1つを紙切れのように斬り裂く。
さらにエールは畳み掛ける。ウォーグレイモンのアタック時効果の発揮を宣言して………
「ウォーグレイモンのLV2、3のアタック時効果……トラッシュにあるソウルコアをウォーグレイモンに置く事でライフ1つをボイドに送る!」
「!」
「ガイアフォースッーー!!」
「ぐっ……!!」
ー【ウォーグレイモン】(3➡︎4S)LV2➡︎3
〈ライフ8➡︎7〉光黄
ウォーグレイモンは両手を合わせ、その間に火球を形成。間隔を開けると共にそれを巨大化させて行く。身の丈以上の大きさまで肥大化させるとそれを全力で光黄のライフに叩き込む。光黄のライフ1つは一瞬にして消し炭となる。
「まだまだ!!…一気に行くわよ、ウォーグレイモン、アグモン!!」
「そのアタックもライフだ………ッ!」
〈ライフ7➡︎6➡︎5〉光黄
まだまだ続くエールの攻撃。煌臨元が回復した第三のメタルグレイモンだったため、二度目の攻撃が可能だったウォーグレイモンと、太一のアグモンが光黄のライフ1つずつを切り裂いた。
「よし!!…これでライフは振り出しに戻った、ターンエンド!!」
手札:1
場:【太一のアグモン】LV1
【ウォーグレイモン】LV3
【八神太一】LV1(2)
【石田ヤマト】LV1(2)
バースト:【有】
ようやく光黄のライフを初期の数値に戻したエール。ブロッカーを一切残さないままそのターンをエンドとした。
[ターン07]光黄
「メインステップ……ウォーグレイモン、確かエールの家系に伝わる伝説のカードだったな……相手にとって不足は無い。全力で叩きのめさせてもらう」
「!!」
アスラと共に並いるカラーリーダー達を見て来たエールだったが、光黄の放つ気迫はそれらに勝るとも劣らない、いや、ひょっとすればそれ以上かもしれない………
そしてエールが身構えた直後、光黄もまた手札にあるカードを構える………
「新しき時代の王者!…可能性秘めしその無限の翼で飛び上がれ!…想竜王ジュラン、LV2で召喚ッ!」
ー【想竜王ジュラン】LV3(3)BP10000
黒雲立ち込める空の下、眼光を光らせながら舞い降りる幻獣、否、幻竜とも言うべきジュラン。ヴィーナ・ルシファーに並ぶ光黄の新たなキースピリットだ。
「これが光黄の新しいエースカード!!」
「想竜王ジュランの召喚時効果、LV1のスピリット2体をデッキの下に戻す」
「!」
「この効果でアグモンをデッキの下へ!」
鳴り響くジュランの咆哮。それに吹き飛ばされたアグモンは粒子と化してエールのデッキの下へと送り込まれてしまう。
だがこの効果はエールのバースト発動条件でもあって………
「だけどその召喚時効果はもらったわ!…バースト発動、双翼乱舞!」
「!」
「効果でカードを2枚ドロー、さらにウォーグレイモンから不足コストを確保し、メイン効果も発揮!!…追加で2枚のカードをドロー!」
ー【ウォーグレイモン】(4S➡︎3S)LV3➡︎2
勢い良く反転して発揮されたバーストカードは双翼乱舞。ウォーグレイモンのLVダウンと代償に、エールは新たなカードを4枚ドローする。
しかし、その手札に臆する事なく光黄は動き続けて………
「アタックステップ……ジュランで攻撃する!……アタック時効果、俺のライフを1つ回復」
「ッ……また回復!?」
〈ライフ5➡︎6〉光黄
羽ばたき飛翔する想竜王ジュラン。その瞬間に又しても光黄のライフに光が灯されその総数は6となる。
だがこの効果は強力ではあるものの、オマケに過ぎない。光黄の狙いはその後に発揮させる別の効果であって………
「ここからだ。ジュランのもう一つのアタック時効果【転醒】を発揮!」
「ッ……転醒!?」
「黄のコスト5以上のスピリットがアタックした時、ジュランは真の姿……火山竜王ジュランとなる!!」
アスラやロン、兄であるエレンも使っていた【転醒】の効果。光黄のエースカードであるジュランもまたその効果を所有している。
ジュランは翼を大きく広げたかと思うと、鳴き声を上げながら、まるで力を溜め込むように光を放ちながら身を収縮、羽ごと体を丸め始める。
そして次の瞬間、その光を解き放つと同時に巻き起こる爆発、否、例えるなら宇宙を創造する為の超新星。
そして爆風と光が完全に晴れ始めると、より強大な翼を広げる赤き龍の姿、その姿こそジュランの真の姿、想竜王ではなく火山竜王ジュランとして転醒した姿である。
ー【火山竜王ジュラン】LV3(3)BP14000
「凄い……これが光黄の転醒スピリット、ジュラン!」
「驚く暇は与えないぞエール……火山竜王となったジュランの転醒アタック時効果、シンボル1つの相手スピリット1体を破壊する!」
「!!」
「対象は当然ウォーグレイモンだ!!」
ウォーグレイモンに向けて両手を翳し、そこから火炎弾を放つ火山竜王ジュラン。ウォーグレイモンは咄嗟に背中にあるシールドを盾に防御の構えを取るが、火炎弾はそれごと貫き、ウォーグレイモンに直撃、爆散させた。
しかし………
「この程度で倒される私のウォーグレイモンじゃないわ!!…ネクサス、友情の紋章LV2の効果、手札にあるカード1枚を破棄する事で破壊されたウォーグレイモンを疲労状態で場に残す!」
「!」
5枚ある内の1枚のカードをトラッシュへと破棄するエール。すると場にデジタルゲートが出現。ウォーグレイモンはそこから飛び出して行き復活を果たした。
「やるな。だけどそのネクサスが無ければウォーグレイモンに耐性は無い!!…フラッシュ、火山竜王ジュランの更なる効果を発揮!」
「!!」
「相手のネクサス1つを破壊する事で回復する!」
「なっ!?」
ー【火山竜王ジュラン】(疲労➡︎回復)
ジュランが再び両手を翳し、向けた先はエールの背後に存在する友情の紋章。ジュランは強力な火炎弾を爪の先から発射し、それを焼き払った。
しかも次いでのように回復状態となったため、ジュランはこのターンだけで二度のアタックが可能となる。
「火山竜王ジュランは赤と黄のダブルシンボル。それの二回攻撃で今度こそウォーグレイモンを破壊しつつ俺の勝ちだ」
「ッ!」
両爪を構え、エールのライフを狙い飛び出す火山竜王ジュラン。絶体絶命の窮地に立たされたエール。しかし、まだ彼女には隠された奥の手が存在していて…………
「ふふ……遂にこの時が来たわね……!」
「?」
「見てなさいよ光黄、強くなったのはあなただけじゃない!!……これが私の得た最強のカード!!…【煌臨】発揮!!…対象はウォーグレイモン!!」
「なに!?…煌臨したウォーグレイモンをさらに煌臨させるだと!?」
ー【ウォーグレイモン】(3S➡︎2)LV2➡︎1
エールがウォーグレイモンを対象に煌臨を宣言すると同時に、デジタルゲートが新たに開かれ、そこから紫のオメガの究極体、鋼鉄に身を包んだ神獣メタルガルルモンが現れる。
メタルガルルモンは登場するなりウォーグレイモンと共に大きく雄叫びを上げると、エールはあのスピリットの口上を述べ始める………
「右に友情、左に勇気!!……2つの勇姿重ね合う時、すべての闇穿つ英雄となる!!」
ウォーグレイモンとメタルガルルモンは自身を模した腕のようなパーツに変化し、宙を舞う。そして光と共にそれらは混ざり合い、今こそ究極を超えた姿となって地上へと舞い戻る…………
そのデジタルスピリットの名は…………
「究極をも超えるデジタルスピリット、オメガモン!!」
ー【オメガモン】LV2(2)BP17000
現れたのはウォーグレイモンを模した左腕、メタルガルルモンを模した右腕を持つ白き騎士型の超究極体デジタルスピリット、オメガモン。
元々バトルスピリッツにおいてセンスのあったエールの感情が昂り、さらにそこに紫のオメガが加わり誕生した。正に絆を象徴する最強のデジタルスピリットだ。
「オメガモン!?……なんだこいつは……」
「これが私の最強スピリット……ウォーグレイモンとメタルガルルモンが合体した無敵のデジタルスピリット、オメガモンよ!」
見た目や風格、物静かな佇まいからしてオメガモンと言う存在がどれだけ驚異的なモノなのかを悟る光黄。
そしてその驚異的なデジタルスピリットはすぐさま彼女に牙を向ける。
「オメガモンの煌臨アタック時効果、このスピリットのBP以下のスピリット1体を破壊して回復する!」
「なに!?」
「対象に取るのは当然BP14000の火山竜王ジュラン!!……行きなさいオメガモン……神獣の咆哮、ガルルキャノン!!」
ー【オメガモン】(疲労➡︎回復)
メタルガルルモンを模した右腕から巨大な砲手を出現させるオメガモン。それを向かってくる火山竜王ジュランへと静かに、それでいてゆっくりと向け、強烈なエネルギー弾を放つ。
火山竜王ジュランは避け切れずに被弾。その余の威力に堪らず爆散してしまう。
「転醒したジュランが一撃で……なんてスピリットだ……」
「どう光黄?…成長したこの私の実力は!…もっと褒めなさいよ」
「あぁ、凄いよ。アスラも相当強くなったと思っていたが、それ以上だ。あれから色々あったんだな」
「ッ……何よ素直に褒めてくれるのね」
思ってた以上に素直に褒められたエールは思わず照れ臭そうにする。
だが、いくらエールのオメガモンが難敵であろうとも光黄にサレンダーの文字は無い。
「あのバカ烈もそれくらい強くなってくれたら良いんだけどな………悪い、話が逸れたな、このターンはターンエンドだ」
手札:4
場:【創界神ラー】LV1(1)
【黄金の鐘楼】LV2(2)
バースト:【無】
「?」
ほんの少しだけ抑え切れなくなり、サラッと自分の願望を口ずさみながらそのターンをエンドとする光黄。エールは最初こそ疑問符を頭に浮かべるが、その理由を直ぐに直感と推理で理解して…………
「……まぁ強くなるんじゃない?…烈我ってあのバカスラに似てるし。あいつも最初は意味がわからないくらい雑魚の小ネズミだったわ。その時から頂点王になるだのなんだのと喧しかったし」
「はは……随分と根拠の無い自信だな」
おそらく無意識だろう、えらく楽しそうにアスラの話をするエール。「本当に彼の事が好きなんだな」と感じた光黄は思わず苦笑い。
「何はともあれ、次はお前のターンだエール。オメガモンの効果、それだけじゃないんだろう?」
「えぇ。見せてあげるわ……オメガモンの真骨頂を!……私のターン!」
軽い余談は終わり。再びバトルスピリッツへと意識を向ける2人。オメガモンを呼び出して見せたエールの第8ターンが幕を開けた。
[ターン08]エール
「メインステップ……オメガモンのLVを3にアップさせ、グレイモンを2体召喚!」
ー【オメガモン】(2➡︎3S)LV2➡︎3
ー【グレイモン】LV1(1)BP4000
ー【グレイモン】LV1(1)BP4000
ー【八神太一】(3➡︎4➡︎5)LV1➡︎2
ー【石田ヤマト】(3➡︎4➡︎5)LV1➡︎2
メインステップ開始直後、エールの場に立派な頭角を持つ肉食恐竜のような見た目の成熟期スピリット、グレイモンが2体見参。
神託の効果で創界神達にコアが置かれLVが上昇していく中、エールはそのカードの効果発揮も忘れずに発揮させていき…………
「八神太一の効果!…コア3個をボイドに置き、1枚ドロー!」
ー【八神太一】(5➡︎2)LV2➡︎1
破壊される事のあまりない創界神ネクサスの効果で減った手札を潤していくエール。そのまま勢いに乗ってアタックステップを宣言する………
「アタックステップ!!……オメガモンでアタックするわ!」
ウォーグレイモンを模した左腕からグレイソードと呼ばれる聖剣を発現させ、マントを翻し光黄のライフへと突き進むオメガモン。そしてこの時、オメガモンの強力過ぎるアタック時効果がいくつも発揮されて………
「オメガモンのアタック時効果で自身を回復!…さらに究極体のスピリットが回復した事により、石田ヤマトの【神域】の効果!…相手ライフ1つを破壊する!」
「ッ………!」
ー【オメガモン】(疲労➡︎回復)
〈ライフ6➡︎5〉光黄
オメガモンが回復状態となると同時に光黄のライフが1つ紫の光と共に砕け散る。そして、まだまだこんなモノではないと告げて来るかのようにエールはオメガモンの更なる効果を発揮させて………
「フラッシュ!!…オメガモンのアタック時効果、煌臨元になったウォーグレイモンを破棄する事で相手ライフをさらに2つ破壊する!!」
「ッ……今度は2つを……!!」
「食らいなさい!!……天下の豪剣…グレイソードッッーー!!」
「ぐっ………」
〈ライフ5➡︎3〉光黄
左腕のグレイソードに炎の力を込め、それを横一線に振い斬撃を放つオメガモン。それは光黄のライフ2つを瞬く間に焼き斬り斬り裂いた。
どちらの効果も凄まじいカードパワーを誇るオメガモンの強さに光黄は思わず「なんてデタラメなパワーだ……」と声を漏らす。
「オメガモンは赤と白のダブルシンボル!!…2回の攻撃でこのバトルは私の勝ちで終わるわ!!」
勝ちを確信するエール。しかし、まだまだ光黄の壁は越えられなかったか、彼女は手札から1枚のカードを淡々と引き抜き、使用する。
「フラッシュタイミング、マジック……シンフォニックバーストを使用!」
「!」
「これにより、このバトル終了時、俺のライフが2以下の場合、アタックステップを強制終了させる!……そのアタックはライフで受ける!……ぐぁっ!」
〈ライフ3➡︎1〉光黄
マジックを放った束の間、オメガモンがグレイソードを振り下ろし、そのライフ2つを一気に破壊。遂に残りライフ1となってしまうが、ライフが1となった事により…………
「残りライフは1。よってシンフォニックバーストの効果は適用!!…アタックステップは終了だ!」
「くっ……やっと残り1まで追い詰めたのに……ターンエンド……」
手札:3
場:【オメガモン】LV3
【グレイモン】LV1
【グレイモン】LV1
【八神太一】LV1(2)
【石田ヤマト】LV2(5)
バースト:【無】
シンフォニックバーストにより光の波動がエンドステップまで光黄のライフを守り続ける。エールは致し方なく苦渋のエンド宣言を行う。
だが、ライフ差や盤面は圧倒的にエールが優勢である。一般的に見たら光黄がここから逆転するのは厳しいモノと思われる。
(油断はしない。次のターンを凌いで絶対に勝つ!)
内心でそう呟いたエール。普通のカードバトラーだったら先ず勝った気になってしまい、気を緩めてしまうだろうが、相手が七罪竜の使い手黄空光黄と言う事もあり、エールはまだ警戒心を怠らないでいる。
そして回って来る光黄のターン。アスラの最大のライバル、ロンを見ているかのような余裕を感じさせる涼しい表情を見せながら淡々とそれを進めて行く。
[ターン09]光黄
「ドローステップ!!……よし」
「!?」
ターンシークエンスの過程の中でドローカードを視認し、そう呟く光黄。普段からクールでポーカーフェイスな彼女だが、エールでもそのドローカードが良きモノであった事だけは真っ先に理解できて………
「メインステップ!!……これで勝利のピースは全て揃った。行くぞエール……俺の全力を受け取るがいい!」
「ッ……えぇ、かかって来なさい光黄!!」
お互いがお互いのバトルへのモチベーションを高め合う中、光黄はこのターンでドローしたカードをバトル台に叩きつけ、口上を述べる………
「煌き羽ばたく堕天の龍よ! 地に堕ちしその身を再び天へと羽ばたき降臨せよッ! 堕天神龍ヴィーナ・ルシファー、Lv.3で召喚ッ!!」
空を覆う黒雲、雷鳴が響き渡る中、唯一黒雲から差し込む光、その光よりゆっくり地へと舞い降りる龍の姿、龍の降臨を祝福するかのように降り注ぐ雷と雷鳴。そして龍、否、ヴィーナ・ルシファーは鳴り止まぬ雷鳴を掻き消すほど強大な咆哮を上げ、黒雲をも吹き飛ばして見せた。
【堕天神龍ヴィーナ・ルシファー】LV3(5)BP10000
このヴィーナ・ルシファーこそ、光黄の最初のエースカード。どんな時でも一緒に戦った戦友とも呼べる存在である。
「出た……ヴィーナ・ルシファー……確か召喚する時、場だけじゃなくてトラッシュのカードでも軽減できるスピリット」
「その通りだ。よってフル軽減され1コストで召喚できた……さらに俺はここでブレイヴカード、光翼の神剣エンジェリックフェザーを召喚し、ヴィーナ・ルシファーに直接合体!!」
「!!」
ー【堕天神龍ヴィーナ・ルシファー+光翼の神剣エンジェリックフェザー〈R〉】LV3(5)BP15000
天より降り落ちる一本の剣、エンジェリックフェザー。振り落ちるその剣を掴み取ると、合体スピリットとなり咆哮を唸らせる。
「アタックステップ!!…翔けろヴィーナ・ルシファー!!…合体したエンジェリックフェザーの効果でグレイモン1体のBPをマイナス5000。0になった事により手札に戻す!」
「ッ!!」
「次いでにヴィーナ・ルシファーは回復する!」
ー【グレイモン】BP4000➡︎0
ー【堕天神龍ヴィーナ・ルシファー+光翼の神剣エンジェリックフェザー〈R〉】(疲労➡︎回復)
羽ばたくヴィーナ・ルシファー。直後にエンジェリックフェザーを振い、その先から放たれた光のエネルギーがエールのグレイモンに直撃。力尽きて粒子となり彼女の手札へと帰還して行った。
「そしてここでフラッシュ!!…ヴィーナ・ルシファーの合体アタック時効果。スピリットカードを破棄する事で、デッキからマジックカードが出るまで破棄……最後に出たそのマジックカードをノーコストで発揮させる。今回は妖雷スパーク……よってヴィーナ・ルシファーのBPを2000アップさせ、1枚ドロー!」
ー【堕天神龍ヴィーナ・ルシファー+光翼の神剣エンジェリックフェザー〈R〉】BP15000➡︎17000
立て続けにヴィーナ・ルシファーの効果を発揮させ、BPと手札の質を高める光黄。
だが…………
「だけどまだ私のオメガモンの敵じゃない!!…ブロックよ!!」
ヴィーナ・ルシファーを迎え撃つは最強のデジタルスピリットオメガモン。右腕の砲手と左腕の聖剣を発現させ、ゆっくりと歩みながら迎撃に向かう。
上空に佇むヴィーナ・ルシファーはエンジェリックフェザーを構え、オメガモン目掛けて急降下。しかしオメガモンは左腕のグレイソードを軽く振るった風圧だけでそれを吹き飛ばしてしまう。
「いくら回復状態になろうが、このバトルで破壊して仕舞えば全て無駄に終わる!!」
「フッ……逆に言えばここで勝てば俺の勝ちに等しい………フラッシュ【天雷】を発揮!!行くぞライト!!」
『はい光黄様!!…お待ちしていましたよこの私の出番!!』
「!!」
圧倒的な実力でヴィーナ・ルシファーを追い詰めるオメガモン。そんな中、それに対抗すべく光黄は手札からあるカードを引き抜いた。
それは自分を選んでくれた最高の相棒であり…………
「瞬光雷進! 色欲の咎を持つ雷竜! 戒めのない自由な天を舞い、地上の敵に轟雷の光を下せッ! 雷光天龍ライトボルディグス、天雷召喚ッ!!」
正しく刹那の一瞬。
稲妻の如く光の速さで場へと飛来して来たのは8枚の翼を束ねる伝説の七罪竜、名を雷光天龍ライトボルディグス。
ー【雷光天龍ライトボルディグス】LV2(4)BP9000
『どうですかエール様!!…改めてこの私の本当の姿を見たご感想は!!…惚れてくれましても構いませんよ!』
「………なんか羽の生えたトカゲって感じ」
『酷い!!』
いくら本来の姿で召喚され、サイズアップしても中身は変わらないライト。その事を知っているエールは彼を軽くあしらう。
「ふざけてる場合じゃないぞライト。バトルに集中しろ」
『はい光黄様!!…お相手がエール様と言えども手加減は致しません!!』
光黄にそう言われると、バトル中の相手であるエールのオメガモンに目を向けるライト。ヴィーナ・ルシファーと共にそれに立ち向かっていく。
「既に知ってると思うが、七罪竜、ライトボルディグスの【天雷】はフラッシュタイミングで疲労状態で召喚する事により、バトルに加勢する事ができる。そしてそのBPはヴィーナ・ルシファーと合わさり、合計26000だ!」
「!」
エンジェリックフェザーを構え、空を刺すような刺突がオメガモンに繰り出されるが、オメガモンは難なくそれを回避。
しかしその横からすぐさま突撃して来るライトボルディグス。オメガモンに飛び乗り、その装甲を爪で引き裂こうと試みるが………
『硬ッ!!…何なんですかこの鉄人は!?……うぉぉお!!?』
装甲の硬さにリアクションする間もなく、オメガモンに引き剥がされ、ガルルキャノンを発射されるライトボルディグス。一撃喰らえば一溜りもないのは目に見えているため、全力且つ無我夢中でそれを回避する。
「ふふ……光黄、私がライトの効果の存在を忘れたとでも思ってたの??……寧ろこれを待っていたわ!!…あなたのエースカードと相棒を一網打尽にできるこの時をね!!…フラッシュマジック…フルーツチェンジ!!」
「ッ……なに、お前も黄色のマジックを!?」
「えぇ、不足コストはオメガモンから確保。よってLVは下がり、BPは12000となるわ」
ー【オメガモン】(3S➡︎1S)LV3➡︎1
「でもそれで良い。フルーツチェンジの効果、このバトルはBPが下回っている方が勝つ!!」
「!」
ここに来てまさかまさかのエールの手札から黄色のマジックカードが発揮される。
オメガモンは飛び掛かって来るヴィーナ・ルシファーとライトボルディグスに対し、グレイソードとガルルキャノンを巧みに使い、一切無駄の無い動きで返り討ちにしていく。
圧倒的な力の差に隙を見つけられるわけもなく、ヴィーナ・ルシファーとライトボルディグスは苦戦を強いられる。
「これで勝負あったわね……決めなさいオメガモン!!」
エールの指示に、オメガモンがその眼光を瞬間的に強く輝かせたと思えば、グレイソードとガルルキャノンを駆り低空飛行で駆ける。狙う先は光黄の2体のスピリット達。
だが…………
「俺は信じていたぞエール。お前がこの状況から強力な一手を繰り出す事を………」
「!?」
「だけどこの勝負、勝つのは俺だ」
それだけで語る程、黄空光黄と言う人間は甘くはなかった。仮にこの程度で勝てたとしたら、天上烈我はとうの昔に彼女に勝てていた事だろう………
「これが最後のフラッシュタイミングだ。マジック、ペガサスフラップ!!……このバトルはBPを比べずに終了する!!」
「なッ!?……バトルを強制終了!?」
光黄の最後の手札から放たれた最後のマジックカード。それがオメガモンの足を止めさせ、ヴィーナ・ルシファーとライトボルディグスを救う。
そしてそれだけでは終わらない。
「さらにペガサスフラップの更なる効果、このバトル終了時、スピリット1体を回復」
「!」
「起き上がれライト!!」
ー【雷光天龍ライトボルディグス】(疲労➡︎回復)
【天雷】の効果で疲労状態で召喚されていたライトボルディグス。ペガサスフラップの効果で回復状態となり、更なる攻撃が可能となった。
「エンジェリックフェザーの効果で回復したヴィーナ・ルシファーで再アタック!!…エンジェリックフェザー合体時の効果でグレイモンのBPをマイナス5000。0になるため手札に戻す!」
「!!」
ー【グレイモン】BP4000➡︎0
再び発揮されるエンジェリックフェザーの効果。剣先より放たれる光の波動がグレイモンを貫いて肉体を粒子化。エールの手札へと強制帰還させられる。
これでエールのブロッカーはいなくなった。合体によりダブルシンボルとなっているヴィーナ・ルシファーが牙を剥く。
「さぁメインのアタックはどうする?」
「くっ……オメガモンはもうブロックできない………ライフで受ける!!……ッ」
〈ライフ3➡︎1〉エール
ヴィーナ・ルシファーがエンジェリックフェザーを用いて強烈な刺突を繰り出す。それによりエールのライフは一気に2つを貫かれ、いよいよ残り1となってしまう。
「最後はお前で決めるぞ。行けライト!!」
『承知しました光黄様!!…このライト、光黄様の執事としてお役に立って見せましょう!!』
ライトボルディグスが再び羽ばたく。ブロックにより疲労状態となったオメガモンを横切り、エールのライフへと迫る。
その間にエールはこのバトルでの敗北を悟って………
「……負けか……でも楽しいバトルだったわ光黄!」
「あぁ、俺もだエール」
「ライフで受ける!!」
〈ライフ1➡︎0〉エール
ライトボルディグスが光の速さで強烈な一撃を繰り出す。それにより、エールは最後のライフを砕かれ、このバトルでの敗北が確定。
勝者は黄空光黄。オメガモンの圧倒的な力に翻弄されながらも最後には素の実力を見せつけ、エールに勝利を収めて見せた。
ー………
「もう一歩だと思ったんだけどな〜…やっぱり強いわね光黄は」
「いや、冗談抜きで危なかった。次やったらこっちが負けるかもな」
「またやりましょう!」
「あぁ。俺でよければいつでも相手になるよ」
バトルも終わり、アミューズメントパークに戻った2人。そろそろアスラ達も帰って来ている頃だと思い、ボウリング場へと足を運びながら軽く談笑していた。
「さて、光黄の好きな烈我は無事かしらね?」
「ッ……それは余計なお世話だ」
「はは。ごめんごめん!!……」
珍しく光黄をからかうエール。恥ずかしがり、赤面した光黄に謝りながらも辿り着いたボウリング場の扉を開ける。
「「え」」
しかし、そこには…………
「うわァァァァまたガーター!?!……なんで、何で私のボウリング玉はいつもあらぬ方向へ!?」
「あっはは!!…シイナさん下手過ぎ、どれどれ、今度はこの私が……」
「ボウリング玉割るのだけは勘弁してくれよ姉ちゃん」
「え!?…るみかさんこの硬いボール壊せるんすか!?…カッケェ!!」
戻っていたアスラと烈我だけでなく、どう言う訳か、シイナとるみかもいた。シイナはどうやらボウリングが下手くそなようで、転がしたボウリング玉は全てガーターだった。
「あっ!…エールと光黄さん!!…2人ともどこ行ってたんだよ〜……ボーリングって楽しいな!」
「2人もやろうよ〜」
「あ。そう………まぁシイナ様達がどこかにいるのは最初から何となく分かってたけど」
「あぁ、俺もだ」
ナチュラルな感じで2人に絡んでくるアスラとシイナ。全てが面倒臭くなったエールはツッコミを拒否する。
そんな中光黄は面倒臭くなったエールに同意しながらも、さっきの出来事で頭に大きなタンコブを作った烈我の横に座り、声を掛ける。
「そ、その……怪我は大丈夫か烈我?」
「おう!…この通りだぜ!」
「そうか。それはまぁ……良かったな」
「まさか……俺の事心配してくれてたのか!?……めちゃくちゃ嬉しいぜ!」
「ッ……そ、それは無い。俺がお前の事なんて心配する訳ないだろ、このバカ烈」
「えぇぇぇぇ!?」
本当はめちゃくちゃ心配していたが、やっぱり素直になれない光黄。そんな彼らのやり取りを見てニヤニヤするシイナとるみか。
「はいじゃあ次はエールちゃんね。これ投げて」
「え?……私ですか?」
るみかにボウリング玉を渡されるエール。レーンの前に立ち、凄腕だった光黄の見様見真似で構えるが………
「わっ!!」
やはり見た事ないスポーツでそう上手くできるモノではないか、バランスを崩してしまい…………
「おっと!…大丈夫かエール?」
「ッーー!!」
不本意ながらアスラの胸に飛び込んでしまう。これまた美味しい展開だと思い、ニヤニヤするシイナとるみか。
冷静なアスラに対し、エールは当然ながら顔を真っ赤にしてしまい…………
「な、なに触ってんのよこのバカスラァァァァーー!!!」
「えぇぇぇぇ!?……なんでだァァァァーー!!!」
アスラの胸ぐらを掴み、それを背負い投げでピンの山にぶん投げるエール。ボウリング玉となったアスラは全てのピンを倒し、見事ストライクを取って見せた。
そんな彼らのやり取りを見て、他の面々も大笑いしたのだった。
《キャラクタープロフィール》
【黄空光黄】
性別:女
年齢:18歳
身長:166cm
身分:一般市民
使用デッキ:【想獣】
概要:一人称は俺で男勝りな性格の少女。バトルの実力もかなり高く、烈我の挑戦を何度も返り討ちにしてるものの、烈我に対しては何だかんだ放っておけない為、引っ張られることもしばしば。普段は冷静だが不意の言葉に感情を表に出してしまいがち。
マジックデッキ使いで、黄色をメインに戦う。ライトに選ばれた事で彼女も騒動に巻き込まれる。
※バトルスピリッツ7-Guiltより引用
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最後までお読みくださりありがとうございました!!
ライトボルディグスの効果は下記の通りです!
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雷光天龍ライトボルディグス、コスト6(3)、黄色
系統:導魔、罪竜
Lv.1(1)BP6000、Lv.2(2)BP9000
Lv.1、Lv.2 フラッシュ:【天雷】
自分のスピリットのバトル中、このスピリットを疲労状態で召喚する事で、このスピリットをバトルに加える。(BPとシンボルはバトルしているスピリットの合計とする)
Lv.2 『このスピリットのバトル時』
BPを比べ、相手のスピリット/アルティメットだけを破壊した時、このスピリットを手札に戻してもよい。または、自分のスピリット1体を回復することができる。
※バトルスピリッツ7-Guiltより引用
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バトルの途中で参加すると言う奇襲性の高い効果です!
バトル勝利時に回復もできるので、オメガモンがBPで勝っていようが負けていようがエールは負けてましたね。
飽くまで予定ですが次回はコラボ先のバトルスピリッツ7-Guiltにて登場します敵役が登場します!
お楽しみに!