バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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46コア「熾烈なタッグバトル!…グランドジオウVSエルドラシュオン!」

「はい注目ーーー」

 

 

ー!?

 

 

ある日、アスラがカードショップにて、七罪竜の使い手である烈我達に修行をつけてもらっていた頃。

 

三王テンドウ・ヒロミがひと休み入れるかのように話題をふって来た。

 

 

「急にどうしたんすかテンドウさん」

「どうもこもうもねぇ。小僧、オマエに関する事だ」

「オレに?」

 

 

アスラに聞かれるなりテンドウはその内容を淡々と説明していく。

 

 

「オマエが気になるって言ってた「黒い力」……つい昨日までオレは元の世界でそれを色々と調べ尽くして来たんだよ」

「!!」

「しばらく見ないと思ってたら………珍しく仕事してるじゃない、テンドウのクセに」

「いやまぁこう見えて気になった事は直ぐに調べる癖あるからなオレ」

 

 

エールの言う通り珍しく仕事してるテンドウ。余程アスラの事を気に入っている節が見受けられる。

 

 

「あ、ありがとうございますテンドウさん!!……それでその黒い力って何なんですか!?」

 

 

感謝するアスラ。テンドウはその本題へと入るかのように、一度咳き込むと……………

 

 

「オウドウ都立の図書館にあった本によれば「黒」って言うのはここみたいな異世界、「黒の世界」っつー場所から来た、バトルスピリッツ第七の属性。これはオマエもあの髭帽子紳士ヤロウから聞いているよな」

「おうっす」

 

 

ここで言うテンドウの「髭帽子紳士ヤロウ」とはライダーハンターズの主任、ウィルの事を指している。

 

 

「そんで、黒属性なんてカードが実際にあるわけではなく、黒はカードに寄生し、それを限界まで強化できる色らしい。オマエの龍騎も黒くなったが色そのモノは紫だったんだろ?」

「!」

 

 

バトルスピリッツ第七の属性「黒」………

 

その力はアスラを見ての通り実在するが、黒属性のカードそのモノは存在しない。龍騎から派生したリュウガを見れば分かり易いか、言わば「黒い龍騎」と評されるリュウガだが、そのカード属性は黒ではなく、紫だ。

 

 

「本の空想上で語られるている事だから定かじゃねぇが、黒の世界でライダースピリットに寄生できる程強力な力を持った連中は『ブラックフォース』と呼ばれていた」

「!!」

「どいつもこいつも身体の実態が無く、別の世界に現れるためには余程イレギュラーな事態が起きない限りは不可能らしい」

 

 

………『ブラックフォース』

 

その名に耳覚えがあるアスラは思わず目を見開いた。

 

それもそのはず、何せ、以前自分の龍騎に取り憑いているであろう黒の力はそう名乗っていたのだから…………

 

 

「もちろん空想上の生き物とされているが、ブラックフォースを構成しているメンバーは4人。それぞれ名前はヘタマイト、シャーマン、オブシディアン、そしてオニキス」

「ッ……そいつだ。オニキス!!……そいつが龍騎の、いやオレの中にいるんだ!」

 

 

やはりその構成しているメンバーの中に自分の知っているオニキスはいた。そしてさらにテンドウは言葉を続けて………

 

 

「でもって、黒の代償とやらの理屈もオレには何となく読めたぜ」

「!!」

「黒の力は進化とは違う。黒の力によって生まれたカードは全てコピーのようなモノ………オレの言ってる意味わかる?」

「いえ、全然わかりません!!」

 

 

実は少し前から話についていけなくなっているアスラ。何となく理解はしていたものの、理解していなかったらテンドウに殺されるかもしれないため、黙っていた。

 

 

「まぁ要するにだ。オマエの言う黒い龍騎、リュウガっつってたっけ?…それはそのオニキスとか言う奴が龍騎の力をコピーして作り上げた偽物………別のライダースピリットって事だ………そして、ライダースピリットは1人につき1種類しか使えない」

「!!」

「頭の悪いオマエでも察したか。そうだ、ミラーワールドでの過酷な戦いの末、オマエは今、龍騎ではなく、そのリュウガに選ばれちまっている。だから龍騎は召喚できねぇんだよ。でもってリュウガもバトルの終わりにはカードごと消える……こう言った事から結果的にライダースピリットを扱える力が無くなったかのように見せられていたって訳。まっ飽くまでオレの推理……予想?…感?…みたいなもんだけど」

 

 

飽くまでテンドウの推理ではある。しかし、余りにも説得力があり過ぎる。

 

アスラは今龍騎ではなく、別のライダースピリットであるリュウガに選ばれている。確かにそれだったらアドベントカードがまだ使える事も説明できる。何せリュウガは龍騎のコピー。アドベントカードも当然多用するのだから。

 

 

「じゃ、じゃあテンドウ。アスラはもう二度と龍騎を召喚できなくて、そのリュウガだけしか召喚できないの!?」

「いや。そうとも決まった訳じゃねぇ………少なくともオレは複数のライダースピリットを扱える奴を1人知ってる………オマエらも散々相手しただろ?」

 

 

ー!!

 

 

話について行けていない烈我達を他所に、アスラとエール、ロンのみが察する。確かに1人だけいた。複数のライダースピリットを扱えるチート級の力を持った人物が…………

 

 

「トゥエンティ……!」

「あぁ。だからこそ、ライダースピリットの複数持ちは少なくとも不可能ではない事を言っておくぜ」

 

 

トゥエンティの持つライダースピリット「ジオウ」………

 

あのカードは何故か本来デッキに1種類しか入れられないライダースピリットの共存を可能にする。イレギュラーな存在なのは確かな事だが、テンドウの言う通り、確かに龍騎とリュウガ。2つの力を扱うのは不可能な話ではないかもしれない。

 

 

「………うおぉぉお!!」

「うっさ!…どうしたのよ急に!」

「いやなんかさ!…色々謎だったモノの理屈とか理由とかがわかるとテンションが上がっちまって……オレはいつか絶対龍騎もリュウガも扱えるヤツになれるって思うと叫ばずにはいられねぇよ!」

「………そ。ま、まぁ精々頑張る事ね」

 

 

新たな目標を掲げるアスラ。彼に対する想いに素直になれないエールは照れ臭そうにそう告げた。烈我達この世界も面々もその光景を温かい目で見守る。

 

 

「盛り上がってる所悪いが、オレとそこの頂点王は今日でここを立つぞ」

「え………私聞いてない……」

「えぇ!?…2人とも帰っちゃうんですか!?」

「あぁ。エレンの野郎が早く戻って事務作業をしろってうっせぇからな」

 

 

ここ1週間程はこちらの世界にいたテンドウとシイナ。本来、頂点王や三王が全うしなければならない業務は全てエレンがたったの1人でこなしていた。

 

最も、テンドウとシイナはギャンブルに逃げ出したり、何処かへ勝手に出かける事が多いため、そもそも最初からエレンがほとんど1人でやっていたのだが…………

 

 

「で。戻ってどうすんの?…エレンに頭下げて事務作業手伝うの?」

 

 

頂点王シイナがテンドウに聞いた。テンドウはライターでタバコに火をつけようとしながら答える。

 

 

「あぁ?…事務作業?…んなモンやる訳ねぇだろ。エレンにちょっと顔見せたらトンズラこかせてもらうぜ」

「………戻る意味とは?……まぁ私も逃げるけど」

「お兄様が気の毒だわ………」

 

 

エレンには戻った報告だけを行い、後は適当にギャンブルに行くと告げるテンドウ。エールは咄嗟に実兄が必死に頑張っている姿を頭に思い浮かび上がり、悲しくなる。

 

そしてテンドウはその後、小さくてすごい機械、異世界転送装置の予備をアスラに手渡して………

 

 

「ほれ小僧。転送装置の予備だ。無くすんじゃねぇぞ。後、オマエらも後1日くらいで元の世界に帰って来い」

「えぇ!?…後1日!?…なんでですかァァァー!?!」

「あぁ?…小僧オマエ、この作者が主に技術的な面においてこれ以上人様のキャラ借りて小説なんて書けるわけねぇだろ」

「ドユコトォォォー!?」

 

 

テンドウの口から言い放たれる突然の宣告。今からテンドウとシイナは元の世界へと帰還するが、アスラ、エール、ロンもまた明日には帰らなければならなくなった。

 

急な別れの決まりに、烈我達も騒つく。

 

 

「そんな……折角仲良くなれたのにもうお別れかよ……」

「残念だが、まぁお互い別世界の人間だしな。こればかりはしょうがない」

「エールちゃんとはもうちょっと親睦を深めたかったな〜」

「お前は黙ってろ!」

「あっはは……」

 

 

セリフはそれぞれ烈我、光黄、ミナト、絵瑠、星七の順番。相変わらず女好きなミナトを絵瑠が黙らせる。

 

 

「よし。そんじゃ帰るぞ頂点王」

「へーへー…じゃあねみんな〜…機会があったらまた遊ぼう!」

 

 

そう告げながらカードショップから去っていく頂点王シイナと三王テンドウ。その後は元の世界へと帰って行く事だろう。もう会う機会はそう訪れないであろう烈我達5人は軽く手を振って彼らを見送った。

 

 

「つーかオレ達も後1日か。正直龍騎を召喚できるようになるまで残りたかったんだけどな」

「まぁ、しょうがないわよ……異世界人の私達がずっとここに残るのもね」

 

 

まだ一緒にいたいのはアスラとエールとて同じ事。しかし、この世界に存在し続けるのもまた難しい話である。

 

そんな中、この世界に対して未練も全く無いロンがアスラに話しかける。

 

 

「アスラ。明日オレとバトルしないか?」

「!」

「散々修行した成果。このオレに見せつけてみろ………強いヤツじゃないとオレはライバルとは認めない」

「へへ……またそれかよ。ユキカイ町で決戦した時もそんな事言ってたよな。あぁいいぜロン!…明日の最後のバトルは烈我にしてもらう予定だけど、その前にオマエをぶっ倒してやるぜ!」

「フッ……それはこっちのセリフだ。負けたからって泣いて叫くんじゃねぇぞ」

「誰が泣いて叫くかァァァー!!…つーか勝つし、勝ってやるし!!」

 

 

久し振りにライバル同士、目線の間で火花を散らし合う2人。

 

そんな2人の好敵手関係を目の当たりにするなり、星七、ミナト、絵瑠は言葉を落として…………

 

 

「そう言えばあの2人ってライバル同士でしたね……お互いを高め会える存在ってなんか羨ましいです」

「確かに。しかもこの手の話にありがちな性格も真逆な設定だし」

「そればかりはミナトに同意かなーー…ロンはイケメンでクール、天才だけど、反対にアスラはバカそうで熱血、秀才って感じだもんね〜」

「あれ絵瑠さん。ひょっとしてオレの事少しディスってる?」

 

 

絵瑠に「バカそう」と言われて少しショックを受けるアスラ。絵瑠的にはアスラを褒めてるつもりだったようだ。

 

 

「どちらにせよ、頑張れよアスラ!!…ロンにお前の今の実力を見せつけて、最後に俺と決着だ!」

「おう烈我、この1週間での特訓の成果。全部ぶつけてやるぜ!」

 

 

修行の中で烈我を超えるのが目標だったアスラ。彼と築き上げて来た熱い友情を確かに感じながらもその闘争心に火をつけていく。そしてそれはロンとて同じ事。

 

 

「何寝ぼけた事言ってやがる一点突破バカ1号、2号」

「「誰が一点突破バカだァァァー!!」」

「フッ……明日のバトル、油断はしない。勝つのは当然、このオレロンだ」

 

 

ロンの中で烈我の蔑称は「一点突破バカ2号」である。

 

何はともあれ、別々の世界でそれぞれ絆を紡いで来たアスラ達、烈我達。その最後のバトルスピリッツが明日行われる…………

 

 

******

 

 

その日の夜。アスラが寝泊まりしていた天上家にて、アスラは烈我の姉であるるみかにお別れの挨拶をしていた。

 

 

「ええぇ!?…アスラ君もう帰っちゃうの!?…アスラ君が居なくなったらいったい誰が掃除洗濯家事育児するのよ!?」

「図々し過ぎるだろ。後育児はやらせてないだろ……つか誰の育児だよ」

「いや〜〜…本当もうお世話になりましたァァァー!!」

『カッ……テメェが居なくなると思うと精々するぜ』

 

 

アスラが居なくなる事を悲しく思うるみか。もちろん家事全般を任せられなくなったからと言うのは冗談である。

 

 

「まぁいっか!…次に会う時には立派な………立派な………なんだっけ、超電動になって来るのよ!」

「頂点王っするみかさん!!…ハイもちろん!…オレは絶対に頂点王になるァァァー!!」

 

 

いつもの事だが、改めて頂点王への夢を叫ぶアスラ。そんな中、今日のテンドウの話で引っかかっていた烈我は、その点をアスラに聞いて来て………

 

 

「そう言えばオマエ。身体の中に変なのがいるんだっけ?……黒くてヤバいの」

「ん?……あぁオニキスの事か」

「お前、そんなヤツが中にいて平気なのか?…俺だったらもう怖くて夜も眠れねぇよ」

「そっか?…まぁ死にかけるのは慣れっ子だしな」

「……壮絶だな、お前の人生」

 

 

烈我が気に掛けていたのはオニキスの存在だった。確かに身体の中にそんな怪物がいたら恐怖を覚えるのが一般的な考え方であろう。

 

しかし、アスラにこれと言った恐怖がないのを理解すると、安心したように烈我は笑顔を浮かべて………

 

 

「明日までに最高のデッキ組めよ。ロンに勝った後は俺と決着だからな!」

「おう!!…何回も言うぜ、オレはオマエに絶対勝つ!!」

 

 

2人はそう言い合いながら今まで培って来た絆を示すかのように、己の右拳を合わせたのだった。

 

 

******

 

 

翌日。アスラ達と烈我達が最初に出会った河川敷にて、ライバル同士であるアスラとロンはBパッドとデッキを構え、視線を向け合いながら、今にもバトルを始めようとしていた。

 

 

「バカスラ〜…負けたら承知しないわよーー!」

「む〜え〜」⬅︎承知しないぞ〜

「わかってるよエール!!……このバトル、絶対勝つぜ!!」

「フッ……アスラ、オマエがこのオレに一度でも勝てた日があったか?」

「へへっ……だったら今日がオマエの敗北記念日だぜ」

 

 

烈我達やエール達の応援もあり、2人のやる気は既にマックスを超えていた。Bパッドにデッキをセットし、颯爽とバトルを開始する…………

 

が、その時だ。視線の外れた先、遥か後方よりそのバトルを止めんとする声が聞こえて来て…………

 

 

「そのバトル、待ってもらおう……!!」

「ヤッホー…アスラ君にエールちゃん、おっひさ〜〜!!」

 

 

………!!

 

 

「トゥエンティに……イバラ!?……なんでオマエ達がこの世界にいるんだよ!?」

 

 

そこにいたのはライダーハンターズのトゥエンティとイバラ。なんの前触れもなく突然現れた彼らにアスラやエールは驚きを隠せない。

 

 

「………あの時のライダースピリットを複数枚使える顔色の悪いヤツか」

「あらあら〜…まさかアレが噂のロン君!?…すっごくイケメンじゃない〜…しくよろ〜」

 

 

コラボダンジョン以来の再会であるロンとトゥエンティ。イケメンであるため、初対面のイバラから猛アピールを受ける。

 

 

「エール。この人達は誰だ…知り合いなのか?」

『素敵な女性もいらっしゃるではないですかァァァー!!…私にも是非是非お教え下さいエール様ァァァー!!』

「へ〜〜アレが噂の七罪竜?…嬉しい事言ってくれるのね〜…まぁ当然だけど♡」

 

 

光黄がエールに聞いた。その横で彼女の相棒である色欲の七罪竜ライトは余りにもイバラが美人過ぎるがために、いつもより興奮しているようである。

 

イバラとトゥエンティが七罪竜と呼ばれるカード達を認識していく中で、エールは光黄の質問に対して答える。

 

 

「あの2人はライダーハンターズ。その名の通り、ライダースピリットを狙ってハントする存在……アスラの龍騎も幾度となく狙って来た連中よ………まさかこの世界に来ていたなんて………」

「今回はライダースピリットだけではない。ウィルの命令で、そこの七罪竜とやらもいただく」

「ッ……エヴォル達も!?」

 

 

トゥエンティの言葉に誰よりも強く反応を示したのはまだ5人の中でも比較的幼い星七だった。

 

力が強力過ぎるが故か、ライダーハンターズの主任であるウィルは烈我達の持つ七罪竜までもを標的にしていて…………

 

 

「トゥエンティ……オレはユキカイ町でオマエに『オマエの夢のために頑張れよな』って言った……けどそれは決してオレの龍騎や、バジュラやライト、他の七罪竜達をくれてやっても良いってわけじゃないぞ」

 

 

アスラが前に出ながら、トゥエンティにそう告げた。

 

ユキカイ町でトゥエンティと共闘したあの日。アスラはトゥエンティの事情を知った。恋人であるテンドウ・カナを謎めいた病気から救うべく、奮闘する彼にアスラは同情しているが、それは決して龍騎を手放す理由にはならない。

 

トゥエンティも当然それを理解していて…………

 

 

「分かっている。だから今ここで、オレと決着を着けろアスラ……力の限りオレと戦え……オマエをぶっ潰してオレは……オレはもう一度……」

「??」

 

 

ユキカイ町でのアスラとの一件以降、急がなければならないと言うのに、本気でライダースピリット狩りに専念できなくなっていたトゥエンティ。

 

間違いなく原因であるアスラを倒す事ができればまた再び非情且つ残忍なライダー狩りトゥエンティに戻れると信じていて…………

 

アスラとトゥエンティによる1対1のバトルスピリッツが展開されるのかと思われた直後。そこに横槍を入れて来たのは同じくライダーハンターズのイバラだった。

 

 

「ちょいウェイト!……このバトル、私も参加しちゃう。せっかくだからタッグバトルでもしようよ〜…アスラ君も誰かもう1人指名しちゃって〜」

 

 

まるで遠足の自由時間みたいなノリで提案して来たイバラ。冷徹なトゥエンティが横にいるためか、非常に温度差が目立つ。

 

 

「だったらオレが行く」

「ッ……ロン」

「向こうもライダースピリットの使い手が来てくれたら文句はないだろ……あのトゥエンティとか言うヤツにも借りがあるからな」

「わ〜〜…イケメンロン君が相手してくれるの〜〜?……感激なんですけど!」

 

 

そんな中、アスラの横に立ったのは最大のライバルであるロン。コラボダンジョンにてトゥエンティになす術なく敗れかけたロンは、この場でその借りを返そうと言う気概を見せている。

 

しかし………

 

 

「ちょっと待ってもらおうか!」

「?」

「絵瑠さん!?」

 

 

突如として2人の間に割って入って来たのは、紫色の髪色が特徴的な七罪竜の使い手の1人、式音絵瑠だった。

 

 

「ロンじゃなくて、この私がアスラと一緒に戦うよ」

「なに?」

「今回は七罪竜もバトルに賭けられている……自分達の問題は自分達で解決したい。と言うわけでさっき5人でジャンケンしたら私が勝ったので私が来ました〜」

「よぉっし頑張れよ絵瑠〜!」

「頑張ってください絵瑠さん〜!!」

「今日も可愛いよーーー!」

「なんでアンタだけ関係無い事言ってんのよ」

 

 

烈我や星七、ミナトが彼女に大きな声援を送る。ただ1人関係ない事を叫んだミナトは横にいるエールからツッコミを受ける。

 

 

「癪だが……まぁいいや。勝てよ」

「もちろんだ!!…絶対アスラの力になってあげるよ!」

「うぉぉお!!…めちゃくちゃ心強いぜ絵瑠さん!!」

 

 

己のBパッドを絵瑠に託し、意外にもあっさり引き下がったロン。この約1週間の修行の中で、彼らとある程度の信頼関係を結べた証拠である。

 

 

『……俺の出番のようだな絵瑠。丁度、飢えていた頃だ』

「うんシュオン。行こうか……!」

 

 

絵瑠の背後からこっそりと顔を出したのは、暴食を司る七罪竜の一体シュオン。彼は現れるなりカードへと姿形を変え、絵瑠のデッキへと宿った。

 

 

「絵瑠さんとシュオンが一緒なら向かう所敵無しだぜ!!…行くぞトゥエンティ、イバラ!!…タッグバトルで決着だ!」

「望む所よアスラ君、折角だから楽しくいきましょ」

「ライダー狩りの始まりだ」

 

 

………ゲートオープン、界放!!!!

 

 

4人はBパッドを展開、その上にデッキをセットし、早々にバトルスピリッツを行った。

 

そして今回のバトルスピリッツはタッグバトル。いつもとは少しだけ違ったルールで行われる。

 

 

[ターン01]アスラ&絵瑠

 

 

「っしゃぁ絵瑠さん、オレ達のターンっすよ!」

「え?…一緒にターンを進めるの?…別々じゃなくて??」

「何言ってんすか?…タッグバトルもレイドバトルもパートナーと一緒にやるもんっすよ!」

 

 

当然ながら、住む世界や地域によって文化が異なる。バトルスピリッツも例外では無い。

 

バトスピの基本的なルールはどの世界でも共通なようだが、タッグバトルなどの特殊なルールは変わっているようで、アスラと絵瑠にタッグバトルの認識に違いが生じる。

 

 

「前に私と光黄でレイドバトルって言うバトルをやったでしょ?…基本的にはそのルールに等しいんだけど、その時と違って私たちのタッグバトルはタッグパートナーのカードでコストを軽減できないの」

「ふーん。一緒にターンを進めて一緒にバトル……なんか楽しそうだね」

 

 

エールが光黄達にタッグバトルのルールを簡単に説明、ミナトが興味深そうな感想を零す。

 

彼女の言う通り、基本的にレイドバトルのタッグ側が両サイドに増えたモノだと言える。ただし、初期手札はタッグそれぞれ4枚ずつであり、同じ色であってもタッグパートナーの軽減シンボルでコストの軽減は不可能だ。

 

 

「ルールはオッケー?…じゃあ改めてターンをどうぞお二人さん♡」

「よ〜し、じゃあお互いの本気をぶつけ合って必ず勝とうアスラ!」

「おうよ!…このバトルで今のオレがどれだけ強くなったのかをトゥエンティに見せつけてやる!」

 

 

ルールをある程度把握したところで絵瑠は勢い良くターンを進めていく。

 

 

「メインステップ!…先ずは私から、ネクサス、No.32アイランドルートを配置!…配置時効果でドロー!」

「さらにオレがバーストをセットしてターンエンドだぜ!」

アスラ手札:4

絵瑠手札:5

場:【No.32アイランドルート】LV1

バースト:【有】

 

 

最初のターンから息のあったコンビネーションを見せるアスラと絵瑠。

 

絵瑠がネクサス配置とドロー、アスラがバーストのセットでそのターンは幕を閉じる。次は絵瑠にとっては未知数なトゥエンティとイバラのターンだ。

 

 

[ターン02]トゥエンティ&イバラ

 

 

「メインステップ、オレは………」

「私は湖に咲く薔薇を2枚ポンポンっと2枚配置するわ〜!」

「!?」

 

 

ー【湖に咲く薔薇】LV1

 

ー【湖に咲く薔薇】LV1

 

 

トゥエンティのプレイングを遮るかのようにイバラの配置したのは、巨大な赤い薔薇。生き物のように蠢くそれは絵瑠にも大きなプレッシャーを与えるが……

 

 

「………何の真似だイバラ。オレのライダー狩りを邪魔するつもりか?」

「ノンノン!!…そんな怖い顔しないの。トゥエンティも知っての通り、湖に咲く薔薇はコアブースト効果がある。パートナーのカードで軽減できないタッグバトルにおいて、この手の効果は重宝するでしょ?……まぁその分次のターンは勝手に動いていいわよ。ほれほれアスラ君、ターンを進めちゃって〜」

トゥエンティ手札:5

イバラ手札:3

場:【湖に咲く薔薇】LV1

【湖に咲く薔薇】

バースト:【無】

 

 

身勝手にコアを使ったのには、どうやら彼女なりの作戦があっての事のようである。

 

何はともあれ、お互いの最初のターンは終わり。再びアスラと絵瑠のターンが幕を開ける。

 

 

[ターン03]アスラ&絵瑠

 

 

「メインステップ……来いオレのドラグノ突撃兵!」

 

 

ー【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV1(1)BP4000

 

 

アスラが動く。ドラグノ族の勇敢なる戦士、ドラグノ突撃兵が姿を見せる。

 

昔は三王であるテンドウ・ヒロミが使用していたドラグノ突撃兵を視認するなり、トゥエンティは………

 

 

「………ドラグノ??……何故オマエがテンドウのドラグノを持っている?」

「そういやオマエ、テンドウさんの元弟子だったな………コイツらは譲ってもらったんだよ。龍騎が使えなくなった時に」

「ッ……なに、使えなくなっただと!?……アスラ貴様」

 

 

龍騎が使えなくなった事実をトゥエンティ達に告げるアスラ。

 

トゥエンティはジオウのカードを持つが故に、ライダースピリットを持つ者をある程度感知する力を持つが、その人物のデッキの中にあるかまではわかり得なかった。

 

 

「………あらあら〜……アスラ君龍騎使えなくなったの〜…じゃあちょうだい〜」

「やらん!…龍騎はオレに色んな事を教えてくれた大事な存在だ!…オマエ達には絶対に渡さねぇ!」

「あら、いけずね」

「ライダースピリットをお守りにしてるつもりか。龍騎も使えない貴様に、カードバトラーとしての価値は無い」

「自分の価値は自分で見出すモノだ。オマエが勝手に決めつけるもんじゃねぇ………それにオレはいつか絶対にまた龍騎を使えるようになって見せるし、仮にもう一生使えないんだとしても、必ず頂点王になる!!」

「………!!」

 

 

溢れんばかりの気迫に満ちたアスラの表情を目に映すトゥエンティ。思わず慄き、半歩下がる。だが、すぐさま苛立ちを覚えたかのように歯を軋ませ睨みつけて………

 

 

「……オマエはいつもそうだ。どんなにうちのめされ、災難に見舞われても曲げずに立ち向かってくる。身の程も知らずにな……本当に腹立たしい」

「へっ……それがソウルコアの無い、オレの唯一無二の取り柄だからな!…あの時のリベンジはここでキッチリとやらせてもらうぜ!…これでターンエンドだ!」

アスラ手札:4

絵瑠手札:6

場:【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV1

【No.32アイランドルート】LV1

 

 

どこまでも真っ直ぐな気持ちと考え方を持つアスラ。トゥエンティへのリベンジを誓いながら、2体のスピリットをブロッカーとし、そのターンをエンドとする。

 

 

「アスラ!…私達がいる事忘れるなよ?…バッチリ活躍してやるからさ。頼りにしてよね!」

「モチロンですとも絵瑠さん!…シュオン含めて3人で、必ずこのバトル勝ちましょう!!」

 

 

アスラと絵瑠がそう言葉を交わし合う中、トゥエンティとイバラのターンが再び幕を開ける。

 

トゥエンティはその中でも特にアスラに敵対心を剥き出しにしているかのような表情を見せながらターンシークエンスを進めていく。

 

 

[ターン04]トゥエンティ&イバラ

 

 

「メインステップ。イバラ、今度はオレが好き勝手やらせてもらうぞ」

「いいわよん〜…イケメン君の頼みは断れないしね」

「オレは、仮面ライダークローズを召喚!」

 

 

ー【仮面ライダークローズ】LV1(1S)BP4000

 

 

トゥエンティの場にアスラでも見た事が無いライダースピリット、クローズが姿を見せる。

 

そしてこの瞬間、イバラが前のターンで事前に配置していたネクサスの効果が起動して…………

 

 

「うふ。6色のスピリットであるクローズが召喚された事により、私が配置した湖に咲く薔薇の効果、コアを1つこのカード自身に追加。それが2枚分あるため、2回行う」

 

 

緑のコスト4以上のスピリットが召喚された時にコアブーストを行うネクサスカード、湖に咲く薔薇。仮面ライダークローズは全ての色を持つ。故にその身に緑の力を宿しているため、今回のコアブーストに繋がった。

 

 

「湖に咲く薔薇に置かれたコアをクローズに置き、クローズのLVを1から2にアップ。バーストを伏せてアタックステップ。その開始時に仮面ライダークローズの効果、トラッシュにあるコア2つをライダースピリットに。クローズへと追加し、さらにLV3にアップ」

 

 

ー【仮面ライダークローズ】(1S➡︎5S)LV1➡︎3

 

 

イバラのサポートの甲斐あって、最大LVまで自身を強化されたクローズ。そのBPはアスラのスピリット達を超えた10000。

 

当然、アタックを行わないわけがない。

 

 

「クローズでアタック!…効果でオレはデッキから1枚ドローする」

 

 

拳を固め、走り出す仮面ライダークローズ。しかし、その1枚ドローをする効果は、アスラの伏せていたバーストカードの発動条件であって………

 

 

「甘いぜトゥエンティ!…手札増加後のバースト、千枚手裏剣!」

「ッ……緑のバーストカードだと!?」

「効果により、スピリット2体を疲労させ、リザーブにコアを2つ追加するぜ!」

「……アスラが僕と同じカードを……!」

 

 

勢い良く反転させられたバーストカード。それに強く反応を示したのは対戦相手のトゥエンティやイバラよりも観戦していた星七だった。

 

アスラがこのカードを使用したのは、彼と散々修行を行ったための結果であった。

 

 

「だが、クローズはアタック中により既に疲労状態。この攻撃は止められない!」

「そんなもん百も承知だぜ!」

「ライフで受けるよアスラ!」

「おう!……ライフで受ける!!……ッ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉アスラ&絵瑠

 

 

クローズの拳により砕かれるアスラと絵瑠。だがその砕かれたコアは次のターン、千枚手裏剣の効果で増えたコアと共に彼らの力となる。

 

 

「……オレはこれでターンエンドだ」

トゥエンティ手札:5

イバラ手札:4

場:【仮面ライダークローズ】LV3

【湖に咲く薔薇】LV1

【湖に咲く薔薇】LV1

バースト:【有】

 

 

パートナーであるイバラの宣言は聞かずに、トゥエンティはターンを終了させる。対してアスラと絵瑠のペアが再びターンシークエンスを進めていき………

 

 

[ターン05]アスラ&絵瑠

 

 

「メインステップ!!…先ずはクリスタニードルを2体連続召喚!」

 

 

ー【クリスタニードル】LV1(1)BP1000

 

ー【クリスタニードル】LV1(1)BP1000

 

 

ターン開始の刹那。アスラと絵瑠の場に小さな蛇、嫌龍のようなスピリット、クリスタニードルが鳥栖を巻いて2体出現………

 

だが、これは彼女にとって下準備でしかなくて………

 

 

「そして出番だ、行くぞシュオン!」

『あぁ、食らってやるぜ』

 

 

ー!!

 

 

笑顔を浮かべる絵瑠より放たれる異様な気配。トゥエンティとイバラが感じ取ったそれは紛う事なき七罪竜のモノ。

 

絵瑠は手札からカードになったそれを引き抜き、Bパッドへと叩きつける。

 

 

「決して潰えぬ常闇の影、全て無に帰す暴食の闇で何もかも喰い尽くせッ!!!…召喚、闇影夜龍エルドラシュオン……2体のクリスタニードルから不足コストを確保して、LV2!」

 

 

たった今召喚された2体のクリスタニードルが消滅すると、闇の瘴気が一気に広がっていく、どす黒い瘴気はその周囲を完全に覆い隠す。

 

そして静かに闇が晴れて行くと、姿を見せたのはどす黒い体表に覆われ、鋭い牙と爪を掲げる黒龍。その姿こそ、「暴食」を司る七罪竜エルドラシュオンの真の姿。

 

 

ー【闇影夜龍エルドラシュオン】LV2(2S)BP11000

 

 

「ワーオ、これが七罪竜のマジマジの姿。お目にかかれて光栄太郎です」

 

 

エルドラシュオンの真の姿を目前にしてもいつものマイペースさを崩さないイバラ。トゥエンティもそれは同様か、特に驚愕したり動揺する素振りは見せない。

 

 

『防御は俺と絵瑠に任せろ。アスラ、お前は存分に攻めていけ』

「おうよシュオン!!…頼りにしてるぜ……バーストをセットしてアタックステップだ!!…行け、突撃兵!!」

 

 

七罪竜が一体、エルドラシュオンの効果を把握しているアスラ。バーストを伏せると共に、ドラグノ突撃兵で攻撃を仕掛ける。

 

前のターン、唯一のスピリットであった仮面ライダークローズをアタッカーに回したがために、トゥエンティとイバラにはライフを守る存在はおらず………

 

 

「ライフで受ける」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉トゥエンティ&イバラ

 

 

身の丈程はある巨大なハンマーを振い、トゥエンティとイバラのライフを破壊するドラグノ突撃兵。

 

だが、まだまだこんなモノでは終わらなくて………

 

 

「まだ行くぜ……【追撃】だ突撃兵!!…重疲労状態にする事でもう一度攻撃!」

「わー、仕事熱心ねー……ライフで受けるわ」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉トゥエンティ&イバラ

 

 

今一度巨大なハンマーを振うドラグノ突撃兵。再びそれを破壊して見せた。

 

重疲労状態になっても攻撃を止めないドラグノ突撃兵に「仕事熱心」と称するイバラ。トゥエンティはこの効果を知っていたためか、ノーコメント。

 

 

「よし決まった、怒涛の二連続攻撃!」

「どうだトゥエンティ、イバラ!!…これでオレ達はターンエンドだ!!」

アスラ手札:4

絵瑠手札:4

場:【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV1

【闇影夜龍エルドラシュオン】LV2

【No.32アイランドルート】LV1

バースト:【有】

 

 

攻めるアスラ。守備に徹する絵瑠。息のあったコンビネーションのまま勢い付き、そのターンをエンドとする。

 

次は今一度ライダーハンターズの2人のターンだ。

 

 

[ターン06]トゥエンティ&イバラ

 

 

「メインステップ……オレは……」

「ちょい待ちトゥエンティ!!…マジック、フルアッド。不足コストはクローズから確保して、これを2枚使用しちゃうわ!」

「!?」

「フルアッドの効果はネクサス1つを指定して、そのネクサスのLVか1つ上になるようにボイドからコアを追加する効果。対象は当然湖に咲く薔薇、LV2の維持コア数は5。よって2枚のフルアッドを使用した事により、合計10個のコアをボイドから追加よ!」

 

 

ー【湖に咲く薔薇】(0➡︎5)LV1➡︎2

 

ー【湖に咲く薔薇】(0➡︎5)LV1➡︎2

 

 

イバラを無視して己のみでメインステップを始めようとしたトゥエンティだったが、その前にイバラがマジックの効果で大量にコアブーストを行って見せる。

 

 

「どうよトゥエンティ。さっきよりもコアが増えたわ。これで存分に暴れてもオケオケよ」

「……さっきからオレのサポートばかり。なんの真似だイバラ、オマエらしくない」

「なぁに言っちゃってんのトゥエンティ。これはタッグバトル。どちらかがサポートに徹するのは当たり前の太郎じゃない〜」

 

 

いつものイバラであれば、全力で自分のスピリットを展開していくはずだ。こんなサポート寄りのプレイングを見せる訳がない。

 

そんな彼女にちょっとした違和感を感じつつも、トゥエンティは非情なライダー狩りへと戻るべく、ターンを進めていく。

 

 

「コアが追加された湖に咲く薔薇よりコストを確保し、召喚。来い、仮面ライダージオウ!」

「!!」

 

 

カメーーーンライダーー!!

 

ジ、オーーウ!!

 

 

ー【仮面ライダージオウ】LV2(3)BP7000

 

 

甲高い音声と共にトゥエンティの場へと現れたのは、ライダースピリットを複数扱えると言うチートじみた力を持つ強力なライダースピリットジオウ。

 

特にその基本形態である通常の姿は、これのデッキの核のような存在である。6色のスピリットであるため、又してもイバラの配置したネクサス、湖に咲く薔薇にコアが追加された。

 

そしてこのカードを対象に、トゥエンティは更なるカードをこのメインステップ中に切って………

 

 

「さらに【煌臨】を発揮!!……対象は仮面ライダージオウ!」

「ッ……メインステップ中で煌臨って事は………」

「来い、煌臨せよ。仮面ライダーグランドジオウ!!」

 

 

グ・ラ・ン・ド!

 

ジオーウ!!

 

 

ー【仮面ライダーグランドジオウ】LV2(3)BP12000

 

 

歴史ある20体のライダースピリットの力を宿した黄金の仏像をその身に纏い、仮面ライダーグランドジオウが場へと煌臨した。

 

 

「来やがったなグランドジオウ!…そいつをぶっ倒して、今度こそ勝つ!」

「言ってろ、そんな日は絶対に訪れん!」

 

 

このスピリットは不本意ながらトゥエンティがアスラと共闘を行った際に入手した、現在のジオウの最強形態、即ち、トゥエンティの最強切札であって…………

 

 

「クローズのLVを2に戻し、アタックステップ。その開始時にクローズの効果。トラッシュにあるコア2つをグランドジオウに追加!…自身以外にコアが置かれたため、クローズの更なる効果でドラグノ突撃兵を破壊!」

「!」

 

 

ー【仮面ライダークローズ】(1➡︎2)LV1➡︎2

 

ー【仮面ライダーグランドジオウ】(3➡︎5)

 

 

闘魂を纏ったクローズの拳の一撃。その闘魂のエネルギーは弾丸のように撃ち放たれ、アスラのドラグノ突撃兵に直撃。堪らず爆散した。

 

だが、その直後。トゥエンティの勢いを削ぐかのように発言して見せたのはアスラのパートナーである絵瑠だ。

 

 

「だけどアタックステップ開始時にシュオンの【闇影(シャドー)】を発動!!……アンタのスピリットを全て裏向きにさせてもらう!!」

「なに?」

 

 

絵瑠の宣言と共に、口内からドス黒い闇を場全体へと放出するエルドラシュオン。その解き放たれた闇は瞬く間にトゥエンティの2体のライダースピリット、クローズとグランドジオウを包み込んでいった。

 

 

「見たかシュオンの力!…さらに【闇影(シャドー)】の効果を受けて裏向きになったスピリットでアタックを行う場合、裏向きのカードをランダムに選び、そのカードでアタックを行わさせる!」

「成る程。つまりこの場でアタック宣言を行なっても、必ずしも狙ったスピリットでアタックできるわけではないと」

「何か闇鍋みたいでワクワクする効果ね〜」

 

 

エルドラシュオンの効果を自慢気に語る絵瑠。しかし、見慣れない効果に対しては場慣れしていると言う事もあってか、トゥエンティとイバラは対して動揺を見せてはおらず………

 

 

「アタックステップは続行。アタックだスピリット!」

「!」

 

 

動揺を見せるどころか躊躇なくアタック宣言を行うトゥエンティ。

 

そしてアスラ達を攻撃すべく闇の中から選ばれ、抜け出してきたのは「仮面ライダーグランドジオウ」だ。この時、トゥエンティはエルドラシュオンの【闇影(シャドー)】のもう一つのメリットに気がついて………

 

 

(手札のライダースピリットを煌臨元に追加してそのスピリットのアタック時効果を発揮できるグランドジオウの効果が起動しない……成る程、アタック直後でカードが表に戻るためか……だがこの程度、どうとでもできる)

 

 

エルドラシュオンの【闇影】が即時発揮タイプのアタック時効果を事実上の無効にできる事を悟るトゥエンティ。しかし全く持って揺らぐ事はなく、グランドジオウの更なる効果を発揮させて………

 

 

「フラッシュタイミング、グランドジオウのアタック時効果!」

「なッ!?…フラッシュタイミングでスピリット効果を!?」

「グランドジオウの煌臨元にあるライダースピリットを召喚。そうした時、1点のダメージを貴様達に与える……オレはグランドジオウの煌臨元から仮面ライダージオウを召喚!…1点のダメージだ!」

「!!」

 

 

ー【仮面ライダージオウ】LV1(1)BP5000

 

 

〈ライフ4➡︎3〉アスラ&絵瑠

 

 

グランドジオウが額にある己の仏像をタッチ。すると「2019」と書かれた扉が出現。そここら仮面ライダージオウの通常の姿が場へと飛び出して行き、アスラと絵瑠の2人のライフを蹴り飛ばして見せる。

 

 

「フラッシュタイミングで召喚されたこの仮面ライダージオウは七罪竜エルドラシュオンの【闇影】の効果は受けない」

「!!?」

「考えが甘かったな。ライダースピリットの殆どはフラッシュタイミングで真価を発揮する。が故に、アタックステップの開始直後しか縛れないエルドラシュオンの効果は通用しない」

 

 

絵瑠は一度、このエルドラシュオンを巧みに操り、アスラの龍騎デッキをほぼ完封して見せた事がある。しかしそれは龍騎がライダースピリットにしては珍しい、フラッシュに強いデッキではないため。

 

本来であれば、この状況の通り、フラッシュタイミングで多く動けるライダースピリットはエルドラシュオンの最大の天敵となり得るのだ。

 

 

「さぁ、アタックはどう受ける?」

「くっ…ライフで受ける……ぐっ!」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉アスラ&絵瑠

 

 

グランドジオウの拳がアスラと絵瑠、2人のライフを砕く。そのライフ数は遂に半数を下回ってしまうが、この瞬間にアスラの伏せていたバーストカードが発動して…………

 

 

「ライフ減少のバースト、絶甲氷盾!!」

「!!」

「効果によりライフを1つ回復!」

 

 

〈ライフ2➡︎3〉アスラ&絵瑠

 

 

再び勢い良く反転していくアスラのバーストカード。その効果でライフを3に戻す。

 

 

「ターンエンド」

トゥエンティ手札:4

イバラ手札:3

場:【仮面ライダークローズ】LV2

【仮面ライダーグランドジオウ】LV2

【仮面ライダージオウ】LV1

【湖に咲く薔薇】LV1

【湖に咲く薔薇】LV2

バースト:【無】

 

 

 

これ以上の追撃は無意味と見たトゥエンティはそのターンをエンドとした。エルドラシュオンの【闇影】により放たれた闇が消えていく中、アスラと絵瑠は会話し合っていて…………

 

 

「ごめんアスラ、助かった」

「いいって事っすよ!…そんな事より次のターン、オレに任せて欲しいっす」

「ッ……うん、わかった!…全力でぶつかって行け!」

「おう!」

 

 

作戦会議は終わり。アスラは今の全力をトゥエンティにぶつけるべく、ターンシークエンスを進めていくのだった。

 

 

[ターン07]アスラ&絵瑠

 

 

「メインステップ!!…ドラゴンヘッド2体と、2体目のドラグノ突撃兵を召喚!」

 

 

ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000

 

ー【ドラゴンヘッド】LV1(1)BP1000

 

ー【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV1(1)BP4000

 

 

エルドラシュオンの周囲に、アスラのいつものスピリット達が次々と場を埋めていく。

 

 

「次いでにネクサス、決闘者たちの戦場を配置!」

 

 

ー【決闘者たちの戦場】LV1

 

 

周囲が赤々と燃え滾る炎に包まれていく。これにより、アスラの一部のスピリットは相手の場のスピリットに指定アタックが可能だ。

 

そして、まだだと言わんばかりに、アスラは最後の手札を切って………

 

 

「そして、これが今のオレのエース!!…現れろ、ドラグノ総軍団長!!」

 

 

ー【ドラグノ総軍団長】LV2(3)BP7000

 

 

赤いシンボルが砕けると共に爆誕したのは、ドラグノの指揮官的存在。座椅子に腰を下ろしていたそれは、重たい腰をゆっくりと立ち上げると、4本もの腕があるからこそ握れる3本の剣を構え、トゥエンティ達を威嚇するように咆哮を上げた。

 

 

「アタックステップ!…その開始時にドラグノ総軍団長の効果、トラッシュにあるコア5つまでを好きなだけオレの赤のスピリットに追加!!…オレは4つあるコアを突撃兵と総軍団長にそれぞれ追加してLVアップだ!」

 

 

ー【ドラグノ突撃兵〈R〉】(1➡︎3)LV1➡︎2

 

ー【ドラグノ総軍団長】(3➡︎5)LV2➡︎3

 

 

「さらにこの時、他のドラグノスピリットにコアが2個以上置かれていたなら、オレはデッキからカードを2枚ドロー!」

 

 

コアの回収と0になってしまった手札の補充。無駄のないプレイングを周囲の面々に見せつけていくアスラ。

 

この戦い方、戦法こそ、この修行の中でアスラが新たに得たモノであると言える。後はここに龍騎が加わりさえすれば万全なのだが………

 

 

「アタックステップは続行!!…言って来いドラグノ突撃兵!!…決闘者たちの戦場の効果でクローズに指定アタック!!…でもってアタック時効果と総軍団長の効果で合わせて2枚のカードをドローだ!!」

「クローズ、攻撃をブロックしろ」

 

 

準備は万端。ドラグノ突撃兵が巨大なハンマーを振り回しながらトゥエンティのクローズへと向かって駆けていく。

 

 

「アタックステップ中、ドラグノ突撃兵と決闘者たちの戦場の効果が合わさり、オレのドラグノスピリットのBPは全てプラス6000だ!」

 

 

ー【ドラグノ突撃兵〈R〉】BP6000➡︎9000➡︎12000

 

ー【ドラグノ総軍団長】BP11000➡︎14000➡︎17000

 

 

「先ずはクローズを討ち取る!!」

 

 

ぶつかり合うエネルギーを纏ったクローズの拳とドラグノ突撃兵の巨大なハンマー。

 

しかし、その差は歴然。力は拮抗する事なく、クローズは吹き飛ばされてしまう。そしてトドメを刺すべく、ドラグノ突撃兵は今一度吹き飛ばされたクローズを追うが………

 

カウンターを打つべく、トゥエンティは手札から1枚のカードを切って………

 

 

「フラッシュチェンジ、仮面ライダーオーズラトラーターコンボ!」

「!」

「効果により、コスト4以下のスピリット2体を破壊。消え去れ、ドラゴンヘッド、ドラグノ突撃兵!」

 

 

上空より唸り、放たれる稲妻。それがドラゴンヘッド1体とドラグノ突撃兵に直撃。クローズへの勝利を目前に爆散してしまう。

 

 

「その後、このスピリット、仮面ライダージオウと入れ替える。この時、トラッシュにあるソウルコア以外のコア全てをジオウへ移す……来い、仮面ライダーオーズラトラーターコンボ!」

 

 

ー【仮面ライダーオーズラトラーターコンボ】LV2(9)BP7000

 

 

仮面ライダージオウが粒子となりトゥエンティの手札へと帰還した直後、姿を現したのはアスラも知らないトゥエンティのライダースピリット、仮面ライダーオーズラトラーターコンボ。黄色い体からアスラ達を威嚇するかのように稲妻が弾け飛ぶ。

 

 

「ドラグノ突撃兵が消えた事で、ドラグノ総軍団長のBPは3000下がる」

「でも、まだオマエのグランドジオウを倒す分には十分だぜ!!…行け総軍団長!!…決闘者たちの戦場の効果でグランドジオウに指定アタックだ!!…次いでにドロー!」

 

 

未知のライダースピリット、未知の戦法を使われたくらいではアスラは怯んだりはしない。勇猛果敢にグランドジオウへと指定アタックを行う。

 

ドラグノ総軍団長が圧倒的な体格差を活かしてグランドジオウへと斬りかかる。グランドジオウはそれらを全て紙一重でかわし続けるが、その内斬り裂かれて爆散するのは時間の問題である。

 

だが、当然ながら自身の最強カードであるグランドジオウの破壊をトゥエンティが見過ごす訳がなくて…………

 

 

「言っただろう、オマエがオレに勝てる日は絶対に来ないと!!…フラッシュマジック、ソウルオーラ!」

「!!」

「効果によりこのターンの間、スピリットのBPをプラス3000。これでグランドジオウはドラグノ総軍団長のBP14000を超えたBP15000となる!」

 

 

ー【仮面ライダーグランドジオウ】BP12000➡︎15000

 

 

トゥエンティの放った1枚のマジックカードにより劣勢をひっくり返すグランドジオウ。時を操り、四方からの目にも止まらない連続攻撃でドラグノ総軍団長を追い詰めていく。

 

 

「そのカード達は皆テンドウ・ヒロミのカード。仮にも弟子だったこのオレが理解していない訳がないだろう」

「!」

「これで終わりだ!!」

 

 

トゥエンティがそう言い放つと、グランドジオウはジカンギレードと呼ばれる剣状の武器を生成。その切っ先をドラグノ総軍団長へと向け、一閃。

 

ドラグノ総軍団長は耐えきれず、堪らず爆散…………

 

するかと思われたが…………

 

 

「………なに?」

 

 

トゥエンティは訪れたその光景に目を疑った。

 

無理もない。何せ、ドラグノ総軍団長は咄嗟に龍騎がソードベントのカードによって得られる柳葉型の剣を手に、グランドジオウの攻撃をガードしていたのだから…………

 

 

「へへ、トゥエンティ……確かに、テンドウさんのカード達だけなら総軍団長は負けてたぜ……でも忘れんなよ?……これはオレのバトルスピリッツ!!…今まで培って来た全部がここに詰まってんだ!!」

「!?!」

「フラッシュマジック、ソードベント!!…これによりドラグノ総軍団長のBPを5000アップ!!…よってその合計BPは………」

 

 

ー【ドラグノ総軍団長】BP14000➡︎19000

 

 

「い、19000だと!?」

「その通りだ、いっけぇぇぇ総軍団長!!…これが今のオレにできる全力の一撃だァァァー!!!」

 

 

龍騎の剣を手にしたドラグノ総軍団長はアスラの声に反応を示すかのように眼光を輝かせると、4本となった剣を巧みに扱い、グランドジオウを吹き飛ばして見せる。

 

そして怯んだグランドジオウにさらに高速で走り寄り、一閃。グランドジオウは流石に耐えられなかったか、遂に爆散してしまった………

 

 

「よっしゃァァァァァァー!!!」

「アスラがトゥエンティのグランドジオウを倒した!!」

「フッ……」

 

 

グランドジオウへの勝利に歓喜の声を上げるアスラ。そんな中、仲間であるエールも喜んで見せる。

 

アスラのライバルであるロンも、嬉しかったのか、「当然だ」と言わんばかりに、この光景を鼻で笑った。

 

 

「どうだトゥエンティ!!…こっちにはまだ絵瑠さんの相棒、シュオンもいる!!…これでターンエンドだ!!」

アスラ手札:4

絵瑠手札:5

場:【ドラゴンヘッド】LV1

【ドラグノ総軍団長】LV3

【闇影夜龍エルドラシュオン】LV2

【決闘者たちの戦場】LV1

【No.32アイランドルート】LV1

バースト:【無】

 

 

「やったねアスラ、凄いじゃん!!…めっっちゃ強くなってるよ!」

「ありがとうございまァァァーす!!…この調子で一気に大勝利だぜ!」

 

 

グランドジオウを破壊した事により、完全に勢いついたアスラと絵瑠。そして自身の最強カードが破壊されてトゥエンティは………

 

 

「………オレのグランドジオウを破壊したか………フッ、だが図に乗るなよ?…オレのデッキにはまだまだ強力なスピリットが大勢いる事を忘れるな」

「おうよ、負けないぜ!!」

 

 

不思議と笑っていた。無意識のうちにバトルを楽しんでいるのであろう。やはりアスラと一緒にいると彼の何かが狂わされてしまうようで………

 

そしてそれにいち早く気がついたイバラは………

 

 

「うっふふ、なんか楽しそうねトゥエンティ〜」

「!!」

 

 

ストレートに伝えた。トゥエンティも自覚がなかったが故、今更自分がアスラとのバトルを楽しんでいたことに気がつく………

 

 

「………別に楽しんではいない。オレはアイツの持っている龍騎のカードが欲しいだけだ」

「あらあら強がっちゃって〜…そういうとこ可愛いわよね〜」

「強がってないし、可愛くもない」

 

 

本人は否定こそしているが、それは真っ赤な嘘。素直になれないだけである。

 

本当はもう気がついているのだ。アスラとバトルしている時はライダー狩りの事や、カナの病気を治さないといけないと言う使命を忘れて楽しんでしまっている自分がいると………

 

しかし認めたくはないのだ。カナを忘れてバトルを楽しんでしまっている自分がいる事に………

 

そもそも、バトルを楽しんでもいいわけがない。自分は非情なライダー狩り、トゥエンティなのだから…………

 

 

「………何度も言うが、オレは、オマエやオロチの事を仲間や友達だとは思っていない」

「ん?」

 

 

完全に忘れていたわけではないが、己の使命を思い出し、自覚し直したトゥエンティは、同じライダーハンターズであるイバラに対して口を開いた。

 

 

「だが、敵は強敵。致し方ないが、オマエと一時的に手を組んでやる」

「うっふふ……素直になればいいのに〜……まぁ私は最初からそのつもりだったんだけどさ〜」

 

 

このバトルに勝ちたいと言う意欲のためか、自分からイバラに協力を要請するトゥエンティ。

 

本人は仲間だと思っていないとは言っているものの、少しは仲間意識があった何よりの証拠と言える。

 

イバラは改めて手札を構え、これから存分にバトルを楽しんでやろう…………

 

 

そう思った直後だった。

 

 

彼女の身体に異変が起きたのは……………

 

 

「えっ……なに………う、うぁぉぁぁぉぉぁぁぁぁあ!!!?!」

 

 

ー!!!

 

 

突然もがき、苦しみだすイバラ。その身体とデッキからは黒いエネルギーがこれでもかと溢れ出て来ていて…………

 

 

 

******

 

 

ここはアスラ達の世界。瓦礫の山で囲われたライダーハンターズのアジトの中、ライダーハンターズの主任であるウィルは偉そうに腰を下ろし、足を組みながら、まるでイバラの異変を悟ったかのように言葉を落とした…………

 

 

「遂に来ましたか、これで2人目………あと1人………ふふ、あと1人であの方々が全て揃う!!」

 

 

ウィル以外は誰もいないこの空間。これまでにない不気味な笑みを浮かべながら、嬉しさの余韻に浸っていくのだった……………

 

 

「オロチは驚異的な精神力で支配を拒んだが、イバラはどうでしょうね〜〜??………ふっふふ」

 

 

******

 

 

 

場所は戻り、烈我達の世界。バトル中に苦しみ出したイバラは、体の中から自分とは違う何者かの意思が迫ってくるのを感じていて…………

 

 

(な、何これ……いったい何がどうなって………)

 

 

………ジジジ……この身体は僕がもらうよ♡

 

 

ー!!

 

 

直接脳内に流れてきたその声を聞いたのを最後に、イバラは意識を失った…………

 

そして…………

 

 

「ふ〜〜ん。ここひょっとして表の世界じゃない感じ?……ジジジ……まぁいいや!…面白そうなバトルが目の前にあるみたいだしね」

 

 

突然もがき苦しむのをやめたイバラ。何事もなかったかのように喋り出したかと思いきや、随分とズレた発言が目立つ。

 

それだけでなく、声や喋り方もイバラの者とは全くの別人であり、不思議な事に、周囲の面々は皆今目の前に存在しているのはライダーハンターズのイバラではない事を理解した。

 

そんな中、冷や汗を流しながらも、トゥエンティがその得体の知れない存在に対して口を開いた…………

 

 

「………オマエは誰だ。イバラじゃないな……」

「あ〜〜…やっぱ気付く?…気付いちゃうよね〜〜〜〜!!……ジジジ、でも今僕の名前教えても知ってる人いるのかな〜〜〜??」

 

 

その後、イバラの中にいたであろうその得体の知れない存在は「でもやっぱり教えちゃお!…自己紹介は大事だよね♡」と口にすると、己の名前を立て続けに言い放つ…………

 

 

「僕の名前はヘタマイト!!……黒の世界、ブラックフォースの紅一点だぞ♡……よろしくね〜〜〜」

「ッ………く、黒の世界だって!?」

 

 

アスラを中心にテンドウの話を耳にしていた誰もがその場で驚愕した。

 

そう、このイバラの身体を乗っ取り、目の前にいるのは、アスラの中に宿るオニキスと同等の存在…………

 

その名もヘタマイト……………

 

 

「でも、なんたってそんなヤツがイバラの中に……!?」

「ジジジ……そこの小っちゃい君!!…君の中にオニキスがいるね〜〜……アイツは元気にしてる〜〜??」

「うっせぇ!!…どうでもいいけどさっさとイバラの中から出て行けよコノヤロー!!」

「え〜〜この身体スタイル良いから結構気に入ってるんだけどな〜…でもそんな事より折角現世に出られたんだから〜〜……僕と血みどろの戦いをしようよ!!……ねぇ、オニキス!!」

 

 

アスラの中にいるオニキスの名を叫びながら、イバラの身体を乗っ取った黒の世界、ブラックフォースのヘタマイトは己のターンシークエンスを進めて行く。

 

 

[ターン08]ヘタマイト&トゥエンティ

 

 

「ジジジ……ドローステップ!!……ん?…あっちゃ〜…このデッキが弱いのかな?…進化させてもそんなに強くないカードしか生成できないや」

 

 

不敵な笑みを浮かべながら黒々と光っているデッキよりカードをドローするヘタマイト。そのカードの弱さにがっかりした様子を浮かべるが…………

 

 

「まぁいいや。しっかり僕のバトルについて来てよね、パートナー君♡」

「ッ……誰が貴様のパートナーだ……おいイバラ!!…誰よりも我の強いオマエが何してる、早くそんなヤツ引っ剥がしちまえ!!」

「ジジジ……無駄無駄。どんなに叫んでももう彼女に声は届かないんだな〜……だってこれはもう僕の身体だから♡」

 

 

トゥエンティの声どころか最早誰の声であってもイバラには届かない。

 

ヘタマイトは周囲が戦慄、及び恐怖するような笑みと言う名の凶相を浮かべると、己の黒の力で無理矢理進化させたそのカードをBパッドへと叩きつけた。

 

 

「現れろ……千年杉・ヤクーツォーク!!」

 

 

ー!!

 

 

あらゆる方向から密集していく緑色のエネルギーと木々。それらは1つの完成形態へと辿り着く。

 

それは太陽の日光さえをも遮ってしまう程に巨大なモノ。その木でできた不気味な口元から放たれる雄叫びは正しく自然界の力そのものであると言える…………

 

その名はヤクーツォーク。ヘタマイトがイバラのデッキを黒の力で進化させた事で誕生した驚異のスピリットである。

 

 

ー【「千年杉」ヤクーツォーク】LV3(10)BP25000

 

 

「……い、いくら何でもデカ過ぎだろ!?」

「今はリアクションしてる場合じゃない……来るぞアスラ!!」

 

 

身構えるアスラと絵瑠。その直後に、ヤクーツォークを召喚して見せたヘタマイトは更なる行動を取り…………

 

 

「アタックステップ!!……と、言いたいところだけど、その前に先ずパートナー君の場にいるライダースピリットから全てのコアを外しちゃいまーす♡」

 

 

ー!!

 

 

ヘタマイトの宣言と共に場を共有しているトゥエンティのライダースピリット、クローズとオーズラトラーターコンボのコアが全てリザーブへと戻り、たちまち消滅してしまう。

 

これにより、2人の場に残ったのはヤクーツォークのみとなったが、もちろん、何も考え無しで消滅させたわけではない。

 

 

「ジジジ……これでそこの黒いドラゴンの【闇影】とか言う効果は事実上の無効だね♡……だっていくらアタックするスピリットを分からなくしたところで、最初からヤクーツォークだけだったら嫌でもそのスピリットでアタックする事になるからね♡」

「くっ………!!」

「アタックステップ!!」

 

 

今度こそアタックステップを宣言するヘタマイト。直後にエルドラシュオンが口内から闇を解き放つが、ヤクーツォークはそれを体内へと吸い込んで行き、無効にしていく。

 

 

「あは♡……黒いのは僕たちだけで十分だよ。さぁ、アタックだヤクーツォーク!!…その効果でシンボルは緑の4となる!!」

「なに!?…シンボル4点!?」

「こんなの食らったら絵瑠達は一撃で終わるぞ!?!」

 

 

ヤクーツォークの魔の手がゆっくりと迫る。その驚愕の能力に対して真っ先にリアクションしたのは烈我と光黄。

 

残り3つのライフしかないアスラと絵瑠は是が非でもこのアタックはブロックしなくてはならなくて…………

 

 

「シュオンを犠牲にするのは不味い………ここはオレのドラゴンヘッドでブロックだ!!」

「ッ……アスラ!!」

 

 

咄嗟にドラゴンヘッドにブロックの指示を送るアスラ。勇猛果敢にヤクーツォークへと飛び立つドラゴンヘッドだったが、そのBPは高々1000。木でできた腕を振るった風圧だけで吹き飛ばされ、呆気なく爆散してしまう。

 

 

「……すまねぇドラゴンヘッド……でも助かったぜ」

 

 

犠牲になったドラゴンヘッドに謝罪を込めて感謝の言葉を送るアスラ。

 

しかし、ヘタマイトが進化させたヤクーツォークはこの程度で終わるスピリットではなかった…………

 

 

「盛り上がってるとこ悪いけど、ヤクーツォークの更なる効果……BP比べでスピリットを破壊した時、このスピリットのシンボル分のダメージを与える♡」

「ッ……なに!?」

「じゃ、じゃあ効果でシンボルは4つになっていたから………」

「そう♡……4点のダメージで君たちは死んじゃう♡」

 

 

ヤクーツォークが再びその木でできた巨大な腕を振るう。狙う先は当然アスラと絵瑠2人のライフ。

 

この効果ダメージを受けて仕舞えば一環の終わり。周囲の面々がアスラと絵瑠の名前を荒げ、身を案じる中、この攻撃を凌がんと手札のカードを切って見せたのは絵瑠だった…………

 

 

「まだだ!!…アスラを負けさせる訳にはいかない!!…効果によるダメージが発生する時、手札のマジックカード、リアクティブバリアの効果を発揮!」

「?」

「このカードを破棄する事で、そのダメージを1に抑える!!」

 

 

咄嗟に防御用マジックを切った絵瑠。これで少なくともこのターンでの敗北は回避できた。

 

しかし、ダメージを受ける事に変わりはなくて…………

 

ヤクーツォークの木でできた巨大な腕がしなり、2人のライフを叩きつけた……………

 

 

「ぐっ……ぐぁぁぁぁあ!!!」

「うぁぁぁぉぁぁー!!!」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉アスラ&絵瑠

 

 

「あ、アスラァァァー!!」

『絵瑠!!』

「絵瑠ゥゥゥー!!」

 

 

そのダメージ数は僅か1であると言うのにこれまでに受けた事のない凄まじいダメージがアスラと絵瑠の2人を襲う。

 

思わず膝を突いてしまう程のダメージを受ける彼らの身を最も案じたのはエールと絵瑠の相棒シュオンと彼女の事を想っているミナトだった。

 

 

「ジジジ……ターンエンド。流石にこのくらいは耐えてもらわないと面白くないよね〜〜♡」

ヘタマイト手札:3

トゥエンティ手札:5

場:【[千年杉]ヤクーツォーク】LV3

【湖に咲く薔薇】LV1

【湖に咲く薔薇】LV1

バースト:【無】

 

 

余裕のターンエンドを宣言するヘタマイト。

 

 

「でももっと強くなってくれないと面白くないな〜……ねぇチビ君。君の中にいるオニキスを出してよ!」

「!?」

「僕、オニキスと久し振りに戦いたいな〜〜」

 

 

自身の欲求を満たすべく、突然オニキスを要求して来たヘタマイト。しかし、アスラはそもそもどうやってオニキスを出せばいいのかもわからない。

 

 

「何がオニキスだ!!…今のオマエの相手はオレと絵瑠さんだろコノヤロー!!…あんなクロキモヤローの力がなくったって勝ってやらぁ!」

「よく言ったよアスラ!…2人で絶対あの人の身体を取り戻そう!」

「おう!」

 

 

敵がどんなに驚異的で得体の知れない存在だとしても、決して諦めずに、それでいて尚強気にそう宣言して見せるアスラと絵瑠だったが…………

 

 

「ねぇオニキス。僕の声、聞こえるんでしょ〜〜??……オブシディアンが言ってたんだけどさ〜〜……君、僕たち他のブラックフォースを憎んでるんだって?……まさかその理由ってアイツらを滅ぼしたから??……ジジジ……だったら滑稽だね、あのオニキスがそんなくだらない理由で僕たちに復讐しようだなんてさ」

「……何言ってんだよオマエ……!?」

 

 

アスラ達には1ミリも伝わらないヘタマイトの煽りを含んだ言葉。おそらく同じ黒の世界、ブラックフォースのオニキスならば伝わるのだろう。

 

そして彼女はまだ言葉を続けて…………

 

 

「でもさ〜〜…僕的にはアイツらは死んで当然だったと思うよ?……だってゴミだもん♡……弱いヤツ程この世に要らないものはないよね〜〜」

 

 

淡々と煽り散らかすヘタマイト。やはり言っている意味を理解できないアスラ。

 

しかしその時だった………

 

聞き慣れたあのドスの聞いた声が脳内から聞こえて来たのは…………

 

 

………ふざけるな………

 

 

「!?!」

 

 

アスラだけが聞き取れるこの聞き慣れた声は紛う事なきブラックフォースのオニキスのモノ。だが、いつもの余裕がある感じとは違って、怒りがあるからか、どこか切羽詰まっているように感じて………

 

 

………憎い……

 

………許さない……

 

………殺してやる………

 

殺す   殺す   殺す   殺す   殺す

 殺す   殺す   殺す  殺す  殺す  殺す

  殺す   殺す   殺す   殺す  殺す

 殺す 殺す  殺す 殺す  殺す  殺す  殺す

  殺す  殺す  殺す  殺す  殺す  殺す

殺す  殺す  殺す  殺す  殺す  殺す 

  殺す  殺す  殺す  殺す  殺す  殺す

殺す  殺す  殺す  殺す  殺す  殺す

 

 

 

 

………死にやがれェェェー!!!!

 

 

ー!!!

 

 

憎しみ。怒り。憎悪。それらの悪意が全てアスラに伝わって来たかと思えば、デッキが黒の力で満たされ、やがてその黒、大いなる闇はアスラを飲み込んだ。

 

そして周囲が驚愕する間も無く、アスラはその闇を払い再び姿を見せるが、黒の力に取り込まれているのか、右腕が闇で覆われており、目や表情も正気のモノではなくなっていて、まるで理性を持たず、本能のみで動く獣や野獣のようだった。

 

 

「ヴ………ヴ………ヴ…………グ…………ガァァァァァァァァァーーーーーー!!!!!」

「あ、アスラ!?……おいどうしたんだよアスラ!?……しっかりしろ!!!」

「ガァァァァァァァァァーーーーーー!!!!!」

 

 

野獣のような咆哮を張り上げるアスラ。最早普通の人間が発していい音量ではなくなっている。タッグパートナーである絵瑠の声など片耳にも入れやしない。

 

おそらくヘタマイトの言葉に怒りを露わにしたオニキスが暴走してしまい、結果的にアスラも釣られて暴走してしまったのだろう。

 

 

「ジジジ………待ってたよオニキス。さぁ、もっと怒ってよ、そしたらもっと強くなって僕を楽しませてくれるよね♡」

 

 

オニキスの怒りで暴走するアスラを見るなり、不気味な笑みを浮かべて喜ぶヘタマイト。

 

最早ライダースピリットや七罪竜を賭けた単なる戦いでは終わらなくなったこのバトル。アスラ達の運命や如何に……………

 

 

 

 

 




《キャラクタープロフィール》
【式音絵瑠】
性別:女
年齢:18歳
身長:166cm
身分:一般市民
使用デッキ:【死竜】
概要:紫デッキの使い手で明るくポジティブな性格の少女。光黄の事をライバル視しており、何度も光黄と張り合いその実力は拮抗していたが、経験の差からか実力が光黄と離れて行く事に焦りを感じ、強さをひたすらもとめるようになるがそんな心の内に秘めた欲望をシュオンに狙われる羽目に。
※バトルスピリッツ7-G-uiltより引用


******


最後までお読みいただきありがとうございます!!
今回黒の世界などの説明が少しありましたが、簡単に言うと、前作の『鬼』に近い存在だと思ってます。

本日のコラボ回でお借りした暴食を司る七罪竜、エルドラシュオンの効果は以下の通りです。これで今現在公開されている七罪竜は全てコンプリートしました!

ー……

黒影夜竜エルドラシュオン 9(4)、紫。
系統:死竜、罪竜
Lv.1(1)BP9000、Lv.2(2)BP11000、Lv.3(4)BP15000。
Lv.1、Lv.2、Lv.3『相手のアタックステップ開始時』【闇影シャドー】
相手スピリット、アルティメット上のコアを全て持ち主のリザーブに戻し、裏向き状態でフィールドに置く。
その後相手は、裏向きのカードをランダムに選択してもよい。そうした場合、そのカードを元の状態でフィールドに戻し、その後そのスピリットを疲労させてアタック中の状態として扱う。
相手のアタックステップ終了後、このスピリットの効果で裏向きにしたカードをすべて元の状態でフィールドに戻す。
Lv.2、Lv.3『このスピリットのバトル時』【闇殺アサシン】
BPを比べ、相手スピリットだけを破壊した場合、相手のフィールドにある裏向きのカード1枚をトラッシュに送る。

※バトルスピリッツ7-G-uiltより引用


ー……


実はアスラ、ブラストさんが書いてくださったコラボ回にも登場していた事もあって、この効果は最初から知っていたんですね。

次回でコラボ回も最後です。コラボしてくださったブラストさんのためにも全力で取り組ませていただきます。
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