48コア「図書館の魔法使い…VSウィザード」
ここはバトルスピリッツの勝敗や優劣が全てのとある世界。
バトルにおいて重要な役割を担う「ソウルコア」を生まれながらに生み出せない少年アスラは、気合と最後まで諦めないド根性でライダースピリット、「龍騎」に選ばれ、カラーリーダーを始めとした並いる強敵達に挑み続ける。
全ては弱くても、ソウルコアが使えなくても最強である頂点王になれると証明するために!!
******
「むえ〜」
異世界での激しい激闘を終えて、早数日と言ったところか……
小柄でツンツン頭の少年アスラと、この国最高の身分エックスの少女エールは国の中心都市、オウドウ都を歩いていた。オレンジ色の犬みたいな生き物、ムエは何を考えているのか、エールに抱き抱えられたままいつもの変な鳴き声を上げている。
そんなムエの鳴き声など気にも留めず、アスラは己のデッキの中にある1枚のカードを見ては嬉しそうに満面の笑みを浮かべていて…………
「………えへへ〜」
「…アンタ最近ずっとそれね。笑い方気持ち悪いからやめてくれる?」
「いやだってさエール、見ろよこの新しい龍騎!!」
「………もう何万回も見たわよ、このバカスラ」
アスラがエールに見せつけたカードは己を選んでくれたライダースピリット、「仮面ライダー龍騎」………
これは異世界で進化を果たした転醒の力を持つ特別な個体である。アスラはその事に対していつまでも喜んでいるようで………
「何度見てもカッケェオレの龍騎!!……次のカラーリーダー戦で早く使いてぇ!!」
「バッカみたい。直ぐ調子乗るんだから………でも変な話よね、4枚のカードが合体して1枚のカードになるなんて。もう他の龍騎はないんでしょ?」
エールがアスラに聞いた。
事実、異世界での戦いで第一の龍騎、第二の龍騎、龍騎サバイブ、そして変身龍騎のカードが合わさり、転醒龍騎が誕生した。もうこの世のどこにも4枚の龍騎は存在しないのである。
今まで一緒に戦ってきたカード達の消失、アスラが当然それにショックを受けないはずはないが………
「あぁ、確かにもう他の龍騎は無い。けどオレにはわかる!…この転醒龍騎にオレ達の思い出の全てが詰まってるって!!…オレはこの転醒龍騎と一緒に必ず頂点王になる!」
「……ハハ、アンタらしいわね」
アスラは新たな切札、転醒龍騎を手に、改めて夢である頂点王になる事を誓う。アスラらしい解答に、エールは嬉しそうに笑顔を浮かべる。
「そう言えばアンタ、オニキス……だったっけ?…アイツのせいでこの間暴走したみたいだけど、あれから本当に身体は大丈夫なわけ?」
「ん?…おぉ、別に問題ないぜ。暴走してる時の記憶もないし」
「それはそれで問題だけどね」
アスラの中に宿っている黒き力を持つ存在「オニキス」………
異世界での戦いでは同類のヘタマイトと言う人物が登場し、恨みでも持っているのか、暴走してしまい、それにアスラも巻き込まれてしまっていた。
その暴走の象徴とも言える黒い龍騎、仮面ライダーリュウガも消え去った事もあり、今では鳴りを潜めている。
「………アイツ、あのヘタマイトって言うヤツに何かスッゲェ憎んでるみたいだった………何の訳あってか知らねーけど、どちらにせよいつかアイツのそんな心の蟠りも治せたらいいなって思う」
「……アスラ……」
心優しいアスラ。おそらく自分を利用する事しか考えてないであろうオニキスにでさえも尽力を尽くそうと考えている。
そしてふとそんな時、エールが閃いたように口を開き………
「………あっ、そうだ」
「?」
「この間テンドウがオウドウ都立の図書館に行って黒の世界について学んだって言ってたでじょ?……ちょうど近いと思うし、私たちもその黒の世界について書かれた本、見てみない?」
「おぉ!…いいなそれ!」
「むえっ!」⬅︎いいなそれ!
エールの提案。アスラは黒の世界について知る機会があると思い、エールに指を指して大いに賛同してみせる。その頭の上でムエも賛同するように短い手をエールにビシッと向ける。
そんなアスラの賛同の言葉を耳に入れるなり、エールは「じゃあ決まりね!」と声を上げる。こうして、2人は国で最も大きな都立の図書館に行く事が決定した。
******
ここは国の中心都市オウドウ都の中にある都立の図書館。至る所に本が所狭しと並んでおり、先ず置いてない本は無いと言われている程である。
そしてそんな華やかな雰囲気を醸し出す図書館に、アスラとエール、ムエは来ていて………
「うぉぉぉぉ!!…広ぇぇ!!」
「むえぇぇ〜!!」⬅︎広ぇぇ!!
「ちょっとバカスラ!!…図書館でデッカイ声出すな!」
「え?…あ、そうなの?…いや〜ごめんごめん。オレ図書館どころか本も読んだ事ないからさ〜」
「むえ………」⬅︎ごめんなさい……
「田舎者……と言うかそう言う問題?……あ、別にムエは騒いでいいのよ、可愛いから」
早速喧しいアスラを制すエール。ここは図書館である。当然ながら他の読者のためにも静寂を保っていないといけない。
「……こんな広い所からどうやって一冊しかない本を探すんだよ……」
「まぁテンドウはここで見つけたって言うんだし、徹底するしかないわね……一度二手に分かれて探しましょ」
「おう、そうだな」
このままでは余りにも効率が悪い。アスラとエールは二手に分かれて本を探す事にした。ムエはエールに連れ、アスラは一人行動して行く。
ー……
「本か〜〜……本って高いし昔から縁はなかったな。図書館ってのも名前しか聞いた事なかったし」
両手を頭の後ろに回しながらのんびりと図書館内を歩くアスラ。コモンと言う貧しい身分故、本と言う物を生まれてから読んだ事もないし、買った事もない。
幸い文字書きはシイナから学んでいるが、それはバトルスピリッツをプレイするためにやった事、特別本に興味があるわけではない。
「……取り敢えず黒の世界に関する本を…………ッ!」
兎にも角にも、黒の世界、オニキスやヘタマイト、ブラックフォース達に関する本を探さなければとアスラが自覚した直後、その考えを吹き飛ばす本が目に入って来た。
その本の背表紙にはアスラがこの世で最も欲するモノが記載されており…………
「……し、『身長が伸びる秘訣』……だって〜〜!?」
そう。アスラがこの世でソウルコア以上に求めているモノ、それは身長。棚の一番上にあるその本のタイトルは「身長が伸びる秘訣』………
正しく、アスラがこの世で最も必要とする本であった。
一刻も早く黒の世界が記載されている本を探さなければならないが、この機を流してしまうと次に図書館を訪れるのはいつかわからない。アスラは猛烈な速度でその棚まで近づくと、その『身長が伸びる秘訣』のタイトルの本を取ろうとする………
しかしここで障害が………
「と、届かねぇ!!……だってオレチビだから〜〜!!」
届かなかった。全然届かなかった。軽く飛んでみても大きくジャンプしてみてもだ。届かない理由は言わずもがな、彼がチビだからだ。チビ故に棚の一番上にある本を取れない。あの本はチビを解消するための本なのに………
「うぉぉ!…ここで諦めてなるものかぁぁぁー!!…ここで身長が伸びたらいつも横を歩くエールやあのクソムカつく天才イケメンヤロー、ロンも見上げさせられる!!…この機会は逃せねぇ!!」
アスラは今、猛烈に想像している。背が高くなった自分を………
そしてそれを見て憧れの眼差しを向けるロンとエールを………
そんな光景を妄想すると変な笑いが止まらなくなる。
だが届かない。圧倒的に身長が足りない。腕も短い。今すぐ欲しい。そう思った直後だった。アスラの上方から別の手が伸びてその目当ての本を取り上げたのは…………
「この本が欲しいのかい?……少年よ」
「ッ………お、おぉ……ありがとうございます……??」
「あと、図書館で大きな声を出してはいけないよ。他の方々の迷惑になるからね」
「あっ……そ、そうだった……す、すみませんしたぁぁぁー!!」
「……うーーん。君、僕の話聞いてた?」
現れたのは狐の面を被った長身の男性。熟成された声色からして少なくとも30代以上の人物である事は理解できる。
アスラは一度はその不気味な狐の面に驚くも、見かけで人を判断しない彼はすぐさま大きな声で反省の言葉を告げる。
「おぉ……これが身長が伸びる秘訣の本。この魔法の本があればオレもチビを卒業できるのか〜〜」
「あっはは……君面白いね〜…因みにその本に書いてある事は全てデタラメだよ」
「……え?」
狐の面の男性にそう言われアスラの表情は青ざめる。
「……で、でもちょっと待ってくれよ狐の面のおっちゃん!!…ここにちゃんと身長が伸びる秘訣って………」
「その本は読んだ事あるんだけどね。奇妙な虫を食べるとか、高い山に登るとか、根拠がない上に妙な事しか書いてないんだ。素直に身長を伸ばしたいんだったらよく食べ、よく寝るのが最も健康的で良法だと思うよ!」
「そ、そんなー!!…オレちゃんと早寝早起きしてるし、ご飯も全部食べてます!!」
「じゃあ無理だね!」
「ギャァァァァァァァーー!!」
とてつもない程のショックを受けるアスラ。これは致し方ない。何せ、抱いていた夢の一つが完璧に瓦解してしまったのだから………
「ところで君、そんな本を探しにこんな所まで来たのかい?」
一々リアクションの大きいアスラを面白いと感じ、笑いながら狐の面の男性がアスラに聞いて来た。確かに身長を伸ばしたいがためにこんな所には来ないであろう。
アスラはすぐさま元気を取り戻し、その質問に答える。
「あぁ、オレ達、黒の世界って言って、この世界とは別??…のイセカイについて知りたいんす」
「黒の世界??……おぉ、それならグッドタイミングだ!…僕はこう見えてもこの図書館に通い詰める常連でね、その本ならちょうどここに……」
「!!」
余りにもタイムリー。
狐の面の男性はぶら下げているカバンから『黒の世界』と言うタイトルが刻まれた本をアスラに提示する。
「ま、マジっすか!!……タイミング良すぎてビビるぜ……その本にブラックフォースとかオニキスの事とか載っているのか!?」
(ッ……既にブラックフォースやオニキスの事を知っているのか!?)
アスラの口からブラックフォース、オニキスと言うワードが出てきた途端に狼狽、顔色を変えた様子になる狐の面の男性。
だがすぐさま冷静さを取り戻し、立ち直ると………
「ふふ、この本が欲しいかい少年よ」
「はい!!…めっちゃ欲しいですー!!…喉から手が出る程!!」
「はっは!……そうかそうか!…そんなに欲しいのか。でもタダとは言いづらいな僕も今からこの本を借りて置きたいんだ。この本には壮大な昔話が刻まれているからね」
「!!」
「君がこの本を手にするためには僕にバトルスピリッツで勝つ事。それが条件だ。君もこの世界に生まれた人間なら、当然理解はあるだろ?」
「へへっ……おうっす!……ちょうどカラーリーダー戦前に調整した新しいデッキを回したいと思ってたところっす!」
「ふふ……成る程、カラーリーダーに挑戦する者だったか」
本の所有権を得るためには狐の面の男性にバトルスピリッツで勝利する事が絶対条件となったアスラ。カードバトラーとしての本能がバトルをしたくてウズウズしているのか、その表情からは笑みが溢れる。
「じゃあ場所を移そうか。図書館内でのバトルは禁止されているからね」
「おうっす!」
「……あっバカスラ。黒の世界に関する本、見つかった??」
「あ、エール」
ちょうど図書館を出ようとした直後。アスラに声をかけたのはエール。その腕にはムエがぬいぐるみのように大事に抱き抱えられている。
「聞いて驚くなよエール!…本はなんとこの狐の面のおっちゃんが持ってたんだぜ!」
「狐の面……って、えぇ!?」
「あっはは、ごめんごめん、びっくりさせちゃったかいお嬢さん」
狐の面の男性の不気味な狐の面に驚くエール。だが彼のその優しそうな声色から直ぐに慣れる。
しかし、狐の面の男性はここで墓穴を掘る。
「……ところで君はこの少年のガールフレンドか何かかい?」
「なぁッー!?!」
「ん?……ガースフレンダってなんだ?…ガードベントなら知ってるけど………」
突然放り込まれた恋愛ネタに、エールは一気に顔が真っ赤になる。当然ながらアスラはこの意味に気がついていない………
と言うかわかっていない。
「か、勘違いしないでよねェェェー!!」
「ギャァァァァァァァー!!……なんでだぁぁぁー!?」
何故かアスラを張り手でぶっ飛ばすエール。その光景を見た狐の面の男性は「君たちここ図書館って知ってるかい?」と幸せそうな笑顔でそう告げた。
そしてその後、ようやく、彼らはバトルスピリッツを行うべく、図書館から近くの広場へと足を移して…………
******
「へへっ……自己紹介がまだだったな狐の面のおっちゃん!!……オレはアスラ!!…いつか絶対頂点王になる男だ!!」
「おぉ頂点王か、壮大な夢だね。せっかく名乗ってくれて悪いんだけど、僕の本名は明かせなくてね、今は『仮面Z』……とでも呼んでくれ」
「うぉぉぉぉ!!…『仮面Z』!!…なんてカッケェ名前の響きなんだ!!」
「え?…あ、そう??…そこまで褒められるとおじさん照れちゃうな〜」
「いやどう聞いてもダサいでしょ」
Bパッドを展開し、バトルの準備をしながら己の自己紹介をするアスラと仮面Zと名乗る男性。
その仮名をアスラは猛烈に高く評価するが、エールは酷く評価する。まぁ普通に考えたらちょっとダサイ。
「よし。本を賭けようなんて言い出したのは僕だけど、全力で楽しもうか少年……いやアスラ!」
「おうZのおっちゃん!!…互いの全力を尽くしあおうぜ!!」
展開したBパッドに己のデッキをセットし、初期手札を構える両者。これでバトルスピリッツの準備は完璧………
そして………
………ゲートオープン、界放!!
エールとムエが見守る中、コールと共にアスラと仮面Zによるバトルスピリッツが広場の草原にて行われる。
先行はアスラだ。開始早々勢い良くメインステップまでトップスピードで駆け抜ける。
[ターン01]アスラ
「メインステップ!!…オレはドラグノ突撃兵を召喚!!」
ー【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV1(1)BP4000
アスラの場に颯爽と現れたのは今や彼のデッキでは絶対的なアタッカー、ドラグノ突撃兵。巨大なハンマーを構え、バトルに対してのやる気を見せている。
そしてこの瞬間に、仮面Zはある事に気がついて………
(……Bパッドにソウルコアが無い……この子は……)
「あっ…気がつきました?……えっへへ、すみません、オレ昔から何故かソウルコアが使えないんっすよね〜〜!」
仮面Zが察する中、アスラは己の境遇について軽く説明した。ソウルコアが無いと言う事は手抜きも同然なので、事前に使わないのではなく、使えない事を説明しなければならないのだ。
しかし、普通なら驚くか笑われる事だが、仮面Zはそんなそぶりは一切見せず………
「………成る程。アスラ、やっぱり君は面白いね」
「??……とりあえずオレはこれでエンドっす!」
手札:4
場:【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV1
バースト:【無】
すぐさまアスラのソウルコア無しのスタイルを受け入れる仮面Z。アスラは今までにない不思議なリアクションに疑問を抱きながらも、そのターンをエンドとした。
[ターン02]仮面Z
「メインステップ……おじさん結構久し振りなバトルだからね、張り切って行っちゃおうかな?」
「!」
そう独り言を溢しながら、仮面Zは己の手札から1枚のカードを引き抜き、それをBパッドに叩きつける。
それはアスラやエールも驚愕するであろうカードであり………
「変身。仮面ライダーウィザード……!」
「ッ……ライダースピリット!?」
「しかも一握りのライダースピリットしか持っていない変身のカード!?」
……シャバドゥビタッチヘンシーン!!
……シャバドゥビタッチヘンシーン!!
………ヒー!ヒー!…ヒーヒーヒー!!
【変身!!仮面ライダーウィザード】LV1
右側から赤い魔法陣が仮面Zを通り過ぎると、仮面Zは黒い衣装に赤い宝石のような仮面を装着した魔法使いのようなライダースピリット、仮面ライダーウィザードへと変身を遂げた。
一握りしかない変身のカード。そのカード達が如何に強力かはアスラもこれまでの経験で痛いほど理解できて………
「……どうだい?…これが僕の相棒、仮面ライダーウィザードだよ……カッコいいだろ?」
「お、おぉ!!…まさかまさか過ぎるけどドチャクソカッコいいぜZのおっちゃん!!」
「ふふ、神託の効果でデッキからカードを3枚トラッシュへ……今回の対象カードは3枚。よって3個のコアを僕に追加するよ」
ー【変身!!仮面ライダーウィザード】(0➡︎3)LV1➡︎2
配置時に行われる神託により、すぐさまレベルアップを果たす変身のカード。そして変身した仮面Zは小さく笑い声を上げながらもう1枚のカードをBパッドへと叩きつけて………
「さらに僕はこのネクサスカード……アンダーワールドをLV1で配置するよ!」
「!?」
ー【アンダーワールド】LV1
仮面Zが配置したネクサスカード。しかし、それは普通のネクサスカードではないのか、その影響で、眩い光と共にバトルする場所はすぐさま変更される。
一瞬にして場所が変わって一早くリアクションしたのはエールだった………
「………どこよここは?……えらく小さな家々ね。でもちょっと風は優しくて気持ちいいかも………」
「…………」
「ふふ、君なら知ってるはずだよねアスラ……」
「え?」
エールが疑問を抱く中、アスラは唯一この場所を知っていた。
いや、知らないわけがない。何せここは………
「……す、スーミ村だ……オレを育ててくれた村だ……」
「えぇ!?…そうなの!?」
「久し振り過ぎてビックリしたぜ……でもなんで??」
そう。アスラとその最大のライバルロンの故郷、スーミ村であった。当然ながら単なるネクサスカードが何故スーミ村になったのかについて疑問を抱くアスラ。
そしてその疑問を仮面Zは軽く説明していく。
「このネクサスカード、アンダーワールドは対戦相手の過去を少しだけ覗く。その人物にとって一番大事な思い出が詰まった場所をバトル中のみ実体化させてくれる」
「……へぇ〜…変わったネクサスだな!……おっ、懐かしいな〜…見ろよエール、あの小さな家でシイナとロンと一緒に暮らしてたんだぜ!」
「へ、へーー……べ、別にどうでもいいけど」
アンダーワールドと言うネクサスカードはその人物にとっての思い出の場所が蘇る。アスラにとってはそれはスーミ村だったのだ。
昔話をするアスラに、エールはどうでもいいといいながらも、顔を赤らめ、興味津々にその話を聞いていた。
「(……ロン。そうか、やはりアスラ君は……)………ターンエンドだ。存分にかかってくるといい!」
手札:3
場:【変身!!仮面ライダーウィザード】LV2
【アンダーワールド】LV1
バースト:【無】
「おう!!…久し振りにスーミ村を見せてくれてありがとなZのおっちゃん!!…でもバトルはバトル!!…手は抜かないぜ!!」
アスラの口から出た『ロン』と言う名に、少なからず反応を示す仮面Z。一応このターンはエンドとし、次はアスラのターンとなる。
[ターン03]アスラ
「メインステップ!!…ドラグノ突撃兵のLVを2に上げてアタックステップ!!…ドラグノ突撃兵はアタックステップ中BPプラス3000だ!」
ー【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV1➡︎2(1➡︎2)BP6000➡︎9000
アスラのデッキにおいて序盤のエースアタッカーを担うドラグノ突撃兵。LVアップもアタックステップ開始時に伴いそのBPを大きくパンプアップさせていく。
「でもってアタックだ突撃兵!!…LV2効果でデッキからカードを1枚ドロー!」
「……成る程、攻めが得意な赤属性らしい判断だね。ライフで受けようか」
〈ライフ5➡︎4〉仮面Z
ドラグノ突撃兵が全力で仮面Zにハンマーを振い、そのライフを1つ砕いた。
そしてこの程度では済まず………
「へへっ……まだ行けるよな突撃兵…【追撃】の効果で重疲労させる事でもう一度アタック!…効果で1枚ドロー!」
「ッ……単機で二度のアタックを……仕方ない、それもライフだ」
〈ライフ4➡︎3〉仮面Z
再度その巨大なハンマーを振るうドラグノ突撃兵。仮面Zのライフへと直撃し、再びそれを1つ粉砕した。
「っしゃぁぁぁー!!…決まったぜ連続攻撃!!…オレはこれでターンエンドだ!!」
手札:7
場:【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV2
バースト:【無】
ドラグノ突撃兵は一度の回復でも疲労状態のままである重疲労状態に陥ってしまうものの、このターンだけで2枚のカードドローと、2つのライフを破壊したアスラ。
幸先の良いスタートを切り、そのターンはエンドとした。
だが、仮面Zのウィザードデッキの真骨頂はここからであり………
[ターン04]仮面Z
「メインステップ。仮面ライダーウィザードフレイムスタイルを召喚!」
「!」
……ヒー!ヒー!…ヒーヒーヒー!!
ー【仮面ライダーウィザードフレイムスタイル】LV2(2)BP4000
再び赤い魔法陣が仮面Zの場を横切ると、その通り過ぎた跡地から変身した姿と全く同じ姿をした赤いウィザードが姿を見せる。
「先ずは神託で変身のカードにコアを置いて、フレイムスタイルの召喚時効果。デッキから3枚のカードをオープン、その中にある「仮面」「導魔」を持つ赤、緑、青、黄のカードを1枚ずつ手元に置く」
「手元!?…手札じゃなくて!?」
「カードをオープン!!…オープンされたのはウィザードハリケーンスタイル、ウォータースタイル、ランドスタイル!…それぞれ緑、青、黄色の「仮面」「導魔」を持つカードなので全て手元に置くよ」
召喚時効果で手札ではなく手元を増やすウィザード。しかし、それが仮面ライダーウィザードの特徴の一つとも言える。仮面Zがウィザード達を手元に置く様はいささか魔力の供給にも見える。
「さらに今や手元に追加した仮面ライダーウィザードハリケーンスタイルを召喚!」
……フー!フー!…フーフー、フーフー!
ー【仮面ライダーウィザードハリケーンスタイル】LV1(1S)BP2000
真上から魔法陣が通り過ぎて行き、その中から緑色のウィザード、ハリケーンスタイルが姿を見せる。
「神託で僕自身にコアを置き、ハリケーンスタイルの召喚時の効果でコア1つをフレイムスタイルに追加。さらにそのコアを使い、手札からブレイヴカード、ウィザーソードガンをフレイムスタイルに合体だ!」
ー【仮面ライダーウィザードフレイムスタイル+ウィザーソードガン】LV2(2)BP7000
コアブースト直後、そのコアを無駄なく活用してみせる仮面Z。銃剣一体の合体であるウィザーソードガンがフレイムスタイルへと装備される。
「アタックステップ!…さっきのお返しだよアスラ。合体したフレイムスタイルで攻撃だ!…ウィザーソードガンにより、そのシンボルは黄色のダブルシンボル、一撃で2つのライフを破壊するよ!」
「ッ……ライフで受ける!……ッ!」
〈ライフ5➡︎3〉アスラ
颯爽と、それでいて華麗に剣を構え、飛び出したウィザードフレイムスタイル。アスラのライフを見事な剣技で一気に2つ斬り裂いて見せた。
「……ハリケーンスタイルはブロッカーとして残し、このターンはエンドとしようか」
手札:2
場:【仮面ライダーウィザードフレイムスタイル+ウィザーソードガン】LV2
【仮面ライダーウィザードハリケーンスタイル】LV1
【変身!!仮面ライダーウィザード】LV2(4)
【アンダーワールド】LV1
バースト:【無】
ドラグノ系スピリットによる【追撃】を警戒しての事か、緑色のウィザード、ハリケーンスタイルをブロッカーとして残し、そのターンをエンドとする仮面Z。
そして次はコアの増えたアスラの反撃だ。
[ターン05]アスラ
「メインステップ!……先ずはドラゴンヘッドを2体召喚!」
ー【ドラゴンヘッド】LV1
ー【ドラゴンヘッド】LV2
下準備と言わんばかりにアスラは2体のドラゴンヘッドを場へと呼び出す。
そして手札にあるカードをさらにもう1枚引き抜いて………
「行くぜ、ライダースピリットにはライダースピリットだ!!…ドラグノ突撃兵から不足コストを確保!!…来いオレの相棒、仮面ライダー龍騎!!」
「!」
ー【仮面ライダー龍騎】LV1(1)BP5000
ドラグノ突撃兵がレベルダウンし、肩をすくめるが、直後に様々な鏡像が重なり合い、龍の影を纏う赤きライダースピリット、仮面ライダー龍騎がアスラの場へと見参して見せる。
「………仮面ライダー龍騎……か」
「行くぜZのおっちゃん!!…アタックステップだ!」
仮面Zが龍騎の存在を懐かしむように言葉を落とすが、アスラはその言葉を全く耳に入れず、勝利をもぎ取るために己のアタックステップへと移行する。
「行け仮面ライダー龍騎!!…アタック時効果でネクサスカード、アンダーワールドを破壊して回復だ!」
「!」
仮面ライダー龍騎はベルトに備え付けられたデッキからカードをドロー。それを左腕の龍の頭部を模したバイザーに装填………
………ストライクベント!!
と言う音声と共に、同じく龍の頭部を模したガントレットを装備。龍騎はそれを上空へと突きつけ、火炎放射を発射する。
「………いいのかい?…アンダーワールドを破壊すると言う事は、ここはもうスーミ村ではなくなると言う事だよ?」
「へへっ……もう十分さ、そんな小さい事に拘ってたらバトルなんて勝てねー!」
ー【仮面ライダー龍騎】(疲労➡︎回復)
上空へと放たれた火炎放射はやがて空間に紫の亀裂を生じさせ、そこを中心に全体に綻びが出て行き、スーミ村、もといアンダーワールドは崩壊した。
そして舞台は再び図書館前の広場。原っぱへと戻り………
「行くぜ!!…オレの龍騎の真骨頂はここからだ!!…相手のネクサスカードを破壊した事により【零転醒】発揮!」
「!」
「現れろ、仮面ライダー龍騎サバイブ!!」
仮面ライダー龍騎はアンダーワールドの破壊をトリガーに、ベルトからサバイブのカードを引き抜き、それを新たに出現させた龍の頭部が描かれたショットガンに装填………
………サバイブ!!
と言う力強い音声と共に、烈火、龍騎サバイブへと強化を果たした。
ー【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV1(1)BP7000
「ほぉこれは珍しい。転醒まで使えたか」
「おうよ!…この新しい龍騎でオレは勝つ!!…転醒アタック時効果、最もBPの低いスピリット1体を破壊だ!」
「!」
「今、Zのおっちゃんの場で1番BPが低いのはハリケーンスタイル!…よってそれを破壊させてもらうぜ……メテオバレット!!」
転醒直後にショットガンより放たれる龍騎サバイブの烈火の弾丸。それはウィザードハリケーンスタイルに命中し、瞬く間に焼き尽くして見せる。
「さらにまだアタックは継続中だ!…このターンで一気に勝負をつけさせてもらう!」
今の仮面ライダー龍騎サバイブは回復しており、このターンのみで最低2回の攻撃が行える。
仮面Zのライフは残り3。【追撃】で攻撃できるドラグノ突撃兵や2体のドラゴンヘッドの存在により、このターンでのアスラの勝利は明確かと思われた………
だが…………
「凄い勢いだ。だけど、おじさんもまだまだ若い子には負けちゃいられない年齢なんでね。大人気ないけどいかしてもらうよ!!……フラッシュマジック、手元にある仮面ライダーウィザードランドスタイルの効果!」
「ッ……フラッシュマジックでライダースピリットの効果!?」
仮面Zがカウンターとして放ったのはマジックカード。しかしそれはライダースピリットでもある一風変わった存在………
「ランドスタイルのマジック効果は、このターンの間スピリット1体のシンボルを0にする。対象は当然龍騎サバイブだ」
「!!」
「そしてそのアタックは当然ライフで受けるよ……0だから減らないけどね」
直後に龍騎サバイブが一瞬のみ閃光に囚われる。無事ではあるものの、ライフを破壊するのに必要不可欠なシンボルを奪われる。
仮面Zのライフを破壊するには至らなかった。
「僕を選んでくれたライダースピリット、仮面ライダーウィザードの1番の特徴は大半のスピリットがマジックカードでもあると言う事。スピリットとして扱うか、はたまたマジックカードとして使うかは僕次第だ」
「スピリットでもあり、マジックでもあるライダースピリット………へへっ……面白くなって来たぜ」
ウィザードの一風変わった特徴を聞かされるアスラ。目の前の仮面Zは意外にも強敵である事を知ると、笑みを浮かべて再びアタックへと意識を向ける。
「【追撃】の効果でドラグノ突撃兵を重疲労させてアタックだ!」
「今度は3体のスピリットによる波状攻撃が狙いかい?……でもそうはいかない。フラッシュ、変身した僕の【神技】を発揮!」
「!!」
「コア3つをボイドに置き、トラッシュに眠るライダーマジックカードを手札に戻す……僕はさっき君が破壊してくれた仮面ライダーウィザードハリケーンスタイルを手札に戻すよ」
ー【変身!!仮面ライダーウィザード】(5➡︎2)
創界神ネクサスである変身カードの効果。それにより緑色のウィザード、ハリケーンスタイルが手札へと帰還する。
このタイミングで戻すと言う事は、このウィザードも当然ながらフラッシュ効果が使えると言う事であり………
「フラッシュマジック、今戻したハリケーンスタイルの効果を発揮!!……コスト3以下のスピリット3体を疲労させる」
「ッ……なに!?」
「この効果でドラゴンヘッド2体を疲労だ」
ー【ドラゴンヘッド】(回復➡︎疲労)
ー【ドラゴンヘッド】(回復➡︎疲労)
吹き荒れる緑色の風。それらが上空で飛び交っている2体のドラゴンヘッドを疲れさせ、地へと追いやる。
「ドラグノ突撃兵のアタックはライフで受けるよ!」
〈ライフ3➡︎2〉仮面Z
1人立ち向かうドラグノ突撃兵。三度そのライフバリアを自慢のハンマーで1つ砕く。
だが、これ以上アスラに攻め手は無くて………
「………ターンエンドだ」
手札:5
場:【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV1
【ドラゴンヘッド】LV1
【ドラゴンヘッド】LV2
【仮面ライダー龍騎サバイブ】LV1
バースト:【無】
結果的に、仮面ライダー龍騎サバイブをブロッカーとして場に残し、そのターンをエンドとする事になったアスラ。
次は特殊なライダースピリットであるウィザードを見事に使いこなして見せた仮面Z。華やかにそのターンシークエンスを進めていく。
[ターン06]仮面Z
「さて、楽しい時間だったけど、そろそろフィナーレと行こうか」
「ふぃ、ふぃなーれ……ってどう言う意味だエールぅぅ〜!?!」
「終わりって意味よこのバカスラァァァー!!……ちゃんとバトルに集中しなさいよ!」
エールに叱れるアスラ。その様子に幸せそうな優しい声色で笑い声を上げると、仮面Zは己のBパッドに最強のウィザードのカードを叩きつけて見せる………
「変身した僕の【神域】により、トラッシュにあるカードでもウィザードは軽減シンボルを満たす事ができる……よってフル軽減で現れろ……仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル!!」
「ッ……!!」
……イーンフィニティー!!
……イーンフィニティー!!
ヒースイーフードー、ボゥザバビュードゴーン!!
ー【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル】LV3(3)BP16000
魔法陣から美しいダイヤモンドでできた白銀のドラゴンが現れ、天高く舞い上がったかと思えば、地へと急速に落下。それは砕け散って行き、中から仮面ライダーウィザードの最強の形態、仮面ライダーウィザードインフィニティースタイルが出現した。
その鎧はダイヤモンドで光り輝き、その手には斧のような、はたまた剣のような武器が握られている。
「……す、スゲェ……」
余の優雅さ、美しさにアスラもそれ以上の言葉が出ない。そして仮面Zはそのウィザードインフィニティースタイルの力を存分に発揮させて…………
「インフィニティースタイルの召喚時効果。トラッシュにある全てのライダーマジックカードを僕の手元に置く」
「なッ!?…全て!?…じゃあさっきのターンで使ったヤツも全部復活!?」
「その通り!!……インフィニティースタイルが存在する限り、魔力は尽きない!!……トラッシュに眠るハリケーンスタイル1枚と、ランドスタイル3枚を僕の手元へ!!」
インフィニティースタイルの強力な召喚時効果により、低コストスピリットを疲労させる効果を持つハリケーンスタイルが1枚。龍騎サバイブのシンボルをも消して見せたランドスタイルが3枚、手元に置かれる。
「さらに、場のフレイムスタイルに合体しているウィザーソードガンをインフィニティースタイルへと付け替える!」
ー【仮面ライダーウィザードフレイムスタイル】LV2(2)BP4000
ー【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル+ウィザーソードガン】LV3(3)BP19000
ウィザードフレイムスタイルが銃剣、ウィザーソードガンを上空へと投げると、インフィニティースタイルは跳び上がりそれをキャッチ。元々あった武器と並べて二刀流となった。
これで準備は整った。
そう言わんばかりに仮面Zはアタックステップを宣言して………
「アタックステップ!…アタックだインフィニティースタイル!……そしてこのフラッシュタイミング、手元に存在する仮面ライダーウィザードウォータースタイルの効果!」
「!!」
「このターンの間、ウィザード1体のLVは最大となる……けど、今のウィザード達は既にLVが最大、この効果は無駄に終わる」
「え?……だったらなんで………」
青いウィザード、ウォータースタイル。その効果でLVが最大となれるが、今は特に必要な時ではない………
だが、飽くまでもインフィニティースタイルがいなければの話ではあるが………
「だけどこの瞬間、インフィニティースタイルのアタック時効果を発揮!…マジックカードを使用した時、このスピリットは回復し、ブロックが不可となる!」
「ッ……そうかこのためにわざわざ無駄にマジックを……」
「ようやく、理解できたようだね。このターンで僕の勝ちだよ」
二本の剣を構え、アスラに斬りかかるウィザードインフィニティースタイル。ブロッカーである龍騎サバイブもその素早い動きを見切る事ができない。
絶体絶命のピンチ。コアとライダーマジックカードがある限り、インフィニティースタイルは幾らでもアタックができる。
しかし、アスラはそれを止めるべく、逆転へのマジックカードを1枚、己のBパッドへと叩きつけて………
「まだだ、まだまだぁぁぁー!!…フラッシュマジック!!……リアクティブバリア!!」
「!!」
「不足コストは龍騎サバイブを除いた、全てのスピリットから確保!!…力を借りるぜ、みんな!!」
ドラグノ突撃兵、2体のドラゴンヘッドが全てのコアを取り除かれた事により消滅してしまうが、これで白の防御マジック、リアクティブバリアが発揮される………
「リアクティブバリアの効果で、このバトルの終了がこのターンのアタックステップの終了だ!!……そのライダースピリットのアタックはライフで受ける!!」
〈ライフ3➡︎1〉アスラ
インフィニティースタイルの二刀流の二撃がアスラのライフを一気に2つ穿つ。だがこの瞬間、リアクティブバリアの効果が本格的に発揮され………
「リアクティブバリアの効果でZのおっちゃんのアタックステップは終了する!!」
「……ふむ。フィナーレとはいかなかったか……なら仕方ない、アタックは終わろう。だけどエンドステップ。インフィニティースタイルの更なる効果、エンドステップにこのスピリットの召喚時効果を発揮させる」
「!」
「さっき使用したウィザードウォータースタイルをトラッシュから手元へ移動、これで正真正銘ターンエンドだ。さぁ来たまえアスラ、この最強の布陣を超えられるモノならね」
手札:3
場:【仮面ライダーウィザードフレイムスタイル】LV2
【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル+ウィザーソードガン】LV3
【変身!!仮面ライダーウィザード】LV2(3)
手元:【仮面ライダーウィザードハリケーンスタイル】
【仮面ライダーウィザードウォータースタイル】
【仮面ライダーウィザードランドスタイル】
【仮面ライダーウィザードランドスタイル】
【仮面ライダーウィザードランドスタイル】
リアクティブバリアにより、強制的にターンエンドまで追い込むも、アスラの不利な状況は変わらない。
低コストでアタックすればハリケーンスタイルに疲労させられ、多くのシンボルをもつスピリットでアタックすればランドスタイルによって0にされてしまう。正に八方塞がり、難攻不落。
だが、当然の如くこの程度で諦めるアスラではない。
「行くぜオレのデッキ。次のターンが正念場だ………!」
最後まで諦めない志を胸に、己のターンを全うして行く。全ては頂点王になるために………
[ターン07]アスラ
「ドローステップ……ドロー!!………ッ」
ターンシークエンスの過程の中、ドローを行うアスラ。そしてそれはこの絶体絶命な状況を覆す可能性を秘めたカードである。
アスラはそのカードに望みを託し、一気にメインステップまで駆け上がる。
「メインステップ!!……召喚だ。来いミラーモンスター、ドラグレッダー!!」
ー【ドラグレッダー】LV1(3)BP6000
空間の裂け目から現れたのは胴の長い赤き龍。仮面ライダー龍騎に宿るミラーモンスター、ドラグレッダーだ。だがその姿は場の龍騎サバイブの影響なのか、一瞬にして赤き武装龍ドラグランザーへと姿を変える。
「そして、場の仮面ライダー龍騎サバイブと合体だ!!……赫焉の烈火へと生まれ変われ!!……ミラージュ!!」
アスラが龍騎サバイブとドラグランザーに向かってそう叫ぶと、ドラグランザーはパーツを分解して行き、それらを龍騎サバイブの各所へと装備させて行く………
「現れろ!!……龍騎サバイブランザー!!」
ー【仮面ライダー龍騎サバイブ+ドラグレッダー】LV3(4)BP17000
そして完全に合体が完了すると、新たに誕生したのは仮面ライダー龍騎最強の形態、仮面ライダー龍騎サバイブランザー。両腕に備え付けられたドラグランザーの顔を意匠したブラスターが光り輝く。
「おぉ…文字通りの合体。そんな裏技を隠し持っていたとは」
「おうよ!…これがオレの切札、仮面ライダー龍騎サバイブランザーだ!!…行くぜZのおっちゃん!」
これで決める。と言う気概と勢いのまま、アスラは切札である龍騎サバイブランザーと共にアタックステップへと突入する。
「龍騎サバイブランザーでアタック!!…その効果で最もBPの低いスピリット1体を破壊!…BP4000のウィザードフレイムスタイルを破壊だ!…メテオバレットミラージュ!!」
両腕のブラスターから放たれる赫焉の火炎弾。それはウィザードフレイムスタイルを焼き尽くし、爆散させた。
そしてここで終わりではないのが龍騎サバイブランザーの凄いところである。
「龍騎サバイブランザーは相手のスピリットを破壊した時、相手に1点のダメージを与える!」
「ッ……ライフ貫通効果!?……ぐっ」
〈ライフ2➡︎1〉仮面Z
ウィザードフレイムスタイルの爆発の余波が仮面Zを襲う。そのライフは遂にアスラ同様の1となってしまった。
「この効果があればランドスタイルのシンボル0は関係ねぇ!!…更なる効果でウィザードインフィニティースタイルに指定アタックだ!!」
「なに?……龍騎サバイブランザーのBPは17000。対するウィザードインフィニティースタイルはウィザーソードガンとの合体でBP19000……自ら破壊を望んでいるのか!?」
BPが劣っているスピリットからの唐突な指定アタック。龍騎サバイブランザーはインフィニティースタイルに赫焉の火炎弾を撃ち放つが、インフィニティースタイルはダイヤモンドのような装甲でそれらを全て弾きながら突き進んでいく。
まだ刃を交えていないと言うのに感じるスピリットとしての圧倒的な力の差。このままでは間違いなくアスラの龍騎サバイブランザーは破壊されるであろう………
しかし………
これを見越していないアスラではない。龍騎サバイブランザーの最後の効果を発揮させる………
「撃ち抜くのはインフィニティースタイルじゃない……龍騎サバイブランザーはブロックされた時にも相手ライフを1つ破壊する!」
「ッ……それを狙って指定アタックを……!?」
「戦う必要はねぇ!!…Zのおっちゃんのライフを撃ち抜け、龍騎サバイブランザー!!」
再びインフィニティースタイルを狙って放たれたと思われた龍騎サバイブランザーの火炎弾。だがそれはインフィニティースタイルを横切り、彼の主人である仮面Zのライフへと叩きつけられる………
「………成る程ね。アスラ、強いな君は………」
〈ライフ1➡︎0〉仮面Z
仮面Zはそう言い残すと、被弾した龍騎サバイブランザーの火炎弾が遂にライフを撃ち抜き、そのライフを全て破壊して見せる。彼のBパッドからは敗北を告げるように「ピー……」と言う甲高い音声が鳴り響いた。
そして同時にその音はアスラの勝利を告げる音でもあって………
「っしゃぁ!!…これがオレの新しい龍騎、龍騎サバイブランザーの力だ!!」
アスラが勝鬨を上げるようにそう叫ぶと、龍騎サバイブランザーもそれに応えるかのように両腕のブラスターを構えた。
これにて、黒の世界が記載されている本を賭けた図書館前のバトルスピリッツはアスラの勝利に終わった………
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「いったた。効いたよ〜……流石、カラーリーダーに挑み続けているだけの事はあるね。とてもじゃないけど、おじさんじゃ敵わなかったよ」
「いやいや!!…Zのおっちゃんもめっちゃ強かったぜ!…結局最後までインフィニティースタイルを倒せなかったし!」
バトルも終わり、お互いを称え合う2人。龍騎サバイブランザーの効果でアスラは勝利こそ収めたものの、仮面Zのエースカードであろうインフィニティースタイルを倒せなかったのが心残りのようだ。
「はい。約束の本だ。と言っても神話、おとぎ話の本だから、宛になるかはわからないけどね」
「おぉ!…ありがとうございまァァァーす!」
「ふふ、図書館の本だからね、期限が来たらしっかり返すんだよ」
目をギラギラと輝かせながら約束の本を貰い受けるアスラ。これで黒の世界についてわかるのかと思えば、ほんの少し嬉しくなる。
「ようやくゲットね。期限はまだまだ先だし、次の紫のカラーリーダー……と言うかカゲミツがいる町、シエン町に向かいながら読みましょうか」
「おう!…そうだな」
エールがそう提案すると、アスラもそれに賛成する。紫のカラーリーダーカゲミツ・ブゲイ。彼女の住う町の名前がシエン町と呼ばれるのだ。
「……ほぉ、次はこの国で2番目に強いカラーリーダーと言われているカゲミツ・ブゲイ様とのバトルなのか。手強いだろうけど、アスラならきっと勝てると思うよ、自信を持って頑張ってね」
「はいZのおっちゃん!!…いつか必ずまたバトルしましょォォォー!!」
この少ない僅かな時間の中で、大きな信頼関係を築き上げたアスラと仮面Z。硬い握手をお互いに交わすと、アスラとエールは次の目的地、シエン町へと向かっていった。
仮面Zはそんな2人が見えなくなるまで手を振り、完全に別れるまで見届けた。
やがて1人になると…………
「………まだ、僕の力が必要な時ではないな……いつか必ず、貴女との約束を果たして見せます………」
少しだけズレた狐の面を戻しながら、悲しそうな声色でそう呟いた仮面Z。彼はいったい何者なのだろうか…………
《キャラクタープロフィール》
【仮面Z】(仮名)
性別:男性
年齢:??
身長:191cm
身分:??
使用デッキ:【仮面ライダーウィザード】
概要:狐の面を被ったオウドウ都立図書館の常連。その殆どが謎に包まれている。
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最後までお読みくださり、ありがとうございました!!
最近、私の2作目、『バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ』の世界線に続く新作を考えております。できれば3月くらいには1話を上げたいです。
と言うかコラボの母数が少なくなって来ていたので貯めていました。できればこのコラボストーリーズと二刀流で更新していけたらなと思っております。