バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

49 / 74
49コア「三ツ首龍大進行」

5つ目の紫のカラーカードを求め、オウドウ都を出てシエン町へと向かって森を歩き続けるアスラとエール、次いでにオレンジの小動物ムエ。

 

その道中、エールは図書館から借りた黒の世界について描かれた本を読書していたが…………

 

 

「………ダメね。幾ら読んでもブラックフォースの詳しい情報は無さそう……テンドウが言ってた以上の情報は得られないわ」

「そっか〜……まぁしょうがないよな」

 

 

本と言ってもかなり薄く、その物語は非常に浅い。内容を分かり易く要約すると………

 

場面1:大昔に4人のブラックフォースが暴れ回った。

 

場面2:ブラックフォース達は神々の鉄槌を受け全く別の世界に放り込まれ、その肉体を失ってしまった。

 

場面3:その世界は『黒の世界』と名付けられ、ブラックフォース達は神々が選んだ一族によって監視させられたのでした………

 

これでめでたしめでたしで物語は幕を閉じている。なんとも言えない簡素な昔話である。

 

 

「うーーーむ。アレか?…じゃあ今この世界にオニキスとかがいるって事は、その神様が選んだ監視役の一族がいなくなったから?」

「どうだろ、昔話だからね」

 

 

監視役の一族が黒の世界から消えたからこそ今オニキス達ブラックフォースが目覚めつつあるのではないか………

 

そう思うアスラだが、結局真相は闇の中のままである。

 

 

「まぁ、今はそんな難しい事考えてもしょうがないよな。先ず目の前のカラーリーダー戦に集中だ!!」

「カゲミツよね。正直今までのカラーリーダー達とは格が違うって感じがするわ。まさかあんなに強かったなんてね」

 

 

次の目標である紫のカラーリーダー、カゲミツ・ブゲイの事を頭に思い浮かべるアスラ。実は一度龍騎が使えなかったからとは言え、圧倒的な力の差で大敗を喫している。

 

その強さは頂点王シイナからも折り紙付き。いくら転醒龍騎の力を駆使したとしても、そう易々と勝たせてくれる相手ではないだろう。

 

 

「へへ。確かにカゲミツ姐さんはメッチャ強い!…一回負けたし!…けどあの天才イケメンヤロー、ロンが勝ったんだ。アイツにやれて、オレにやれない事なんてねぇ!…絶対勝ってオレも5枚目のカラーカードをゲットしてやる!」

「むえ〜」⬅︎その意気や良し

「……そ。ま、まぁ応援してやらなくもないわ……」

 

 

アスラが志を口にすると、その頭の上に乗っかっているオレンジの犬みたいな小動物ムエもまた応援しているかのように鳴き声を上げる。エールも照れ臭そうにしながらもアスラを応援する。

 

だがそんな時だ。彼らの道を唐突に遮るように現れ、アスラ達に、いや、アスラは除き、エールだけに喋りかけて来た人物が1人…………

 

 

「やぁ、そこの素敵なお嬢さん。その身なり服装、かなりの高身分者と見た………是非是非、このしがない私と一戦………」

「誰よアンタ」

「コイツどっかで…………ッ」

 

 

生暖かくて気味の悪い声色。長髪に額から右目に掛けて存在する大きな傷痕。アスラはこの人物をどこかで見た事があるような気がしてならなかったが、すぐさま思い出して見せた……

 

この人物は………

 

 

「そうだオマエは……いつかのライダースピリット盗人ヤロー!!」

「あ?……あっテメェはあの時のソウルコアが使えないクズチビ!!…後オレの名前はそんな長ったらしい名前じゃなくてクサリだ!!」

「オレもクズチビじゃねぇ、アスラだ!」

 

 

アスラが思い出した直後にそう言い放つと、向こうもアスラを認識する。

 

やはりこの人物はおよそ一年前、アスラがまだ龍騎に選ばれていなかった頃、ロンのナイトを狙い、彼を襲って来たモスラデッキの使い手、『舞蛾のクサリ』で間違いなかった。

 

 

「ロンの次はエールのカードか!!…こりねぇヤツだな!」

「テメェもな!!…つーかなんでテメェみたいなコモンの薄汚いガキが高身分者の女と一緒にいやがる!?」

「仲間だからに決まってんだろコノヤロー!」

「理屈になってねぇよ」

 

 

当然の如く口論になる2人。あの日以来、やはり因縁があるようだ。

 

 

「……誰よこの汚いの。アンタの知り合い?」

「おうよエール、メチャクチャ悪いヤツだ!…こんなヤツ、オレがぶっ飛ばしてやるぜ!」

「ほぉ、1年前はオレに偶然勝てただけの癖にまた懲りずに挑戦するつもりか??……果てても知らないぜ?」

「へへ……オレもあの時と同じだと思ったら大間違いだぜ」

 

 

何かと再び始まろうとしているアスラとクサリのバトルスピリッツ。距離を置き、己のBパッドを展開、エールが興味なさそうに欠伸をしながら見守る中、遂に因縁の対決が幕を開けようとした………

 

……直後だった。

 

そのバトルを制止させるべく割って入って来た人物が1人………

 

 

「ヘイ!!……良い空気のところ悪いがその勝負、代わりにこのアタイがやってやろうじゃないか!」

 

 

ー!!

 

 

「イカヅチ……!?」

 

 

彼女の名をエールが零す。

 

そう、現れたのは金髪でワイルドな女性、イカヅチ。昔は賞金稼ぎとして名を馳せていたが、とある事情でバッサリ止め、今ではアスラ、ロンと同じカラーリーダーに挑む者として日夜バトルに勤しんでいる。

 

尚、凄まじくバトルジャンキー。

 

だが、そのイカヅチをよく見てみると、彼女の腰を離すまいと抱きしめている人物がいて…………

 

 

「あ〜〜〜ん、イカヅチお姉様ァァァー!!……啖呵を切るところもお美しゅうございますゥゥゥ〜〜!!」

「だからオマエは引っ付いてくんじゃねぇぞカゲミツ!!」

「……カゲミツ姐さんまで……何がどうなってんだよ」

 

 

おそらくイカヅチにストーカー行為を繰り返しているであろうこの人物は他でもなく紫のカラーリーダー、カゲミツ・ブゲイ。彼女は自分より強い者の「婿」になろうとしたり「嫁」になろうとする変態である。

 

イカヅチはその腰に引っ付いているカゲミツごとアスラ達に身体を向けると………

 

 

「よっ!…久し振りだなオメガ家と……なんだっけ、チビスラ?」

「チビスラじゃねぇ!!…バカスラだァァァー!!……あ、間違った…アスラだァァァー!!」

 

 

普通に挨拶して来た。

 

だが、彼女に引っ付いているカゲミツはアスラ達に気づかず自分の愛をイカヅチにぶつける。

 

 

「あ〜〜ん、私はイカヅチお姉様のお側を片時も離れたくはございませぬ〜!」

「そうそう。コイツどうにかしてくれよ。私がバトルで勝った後からずっとコレなんだよ」

「ッ……イカヅチさん、アンタカラーリーダーのカゲミツ姐さんにバトルで勝ったのか!?」

「ん?…あぁ当然さ。アタイとギドラに敵はない」

 

 

変態だがバトルの腕前はカラーリーダー達の中でも2番目に強いと言われるカゲミツに勝利したと告げるイカヅチ。

 

カゲミツの実力を知るアスラは、この時点でイカヅチと言う人物の得体の知れなさを改めて理解し直す。

 

 

「イカヅチ??……あぁ、確か賞金稼ぎの女か」

「おっ…なんだアタイの名前を知ってるのかい、だったらアタイが今からアンタにやろうとしている事はわかるよな??……絶賛指名手配中の盗賊「舞蛾のクサリ」……!」

 

 

盗賊であるため指名手配中のクサリも、元賞金稼ぎのイカヅチも互いの存在を認識している。

 

つまりイカヅチの狙いはクサリの首に掛けられている懸賞金に他ならなくて………

 

 

「ちょっとイカヅチ、アンタ賞金稼ぎは辞めたんじゃなかったわけ!?」

「オメガ家よ、前にも言ったが、アタイはただ強いヤツとのバトルを求めている。その本質はこの先、アタイがどこで何をしようが変わりはしない」

「理由になってないんだけど………」

 

 

イカヅチは闘争本能が剥き出しになっているのか、狂気の笑みを浮かべながらクサリに向かってBパッドを展開。アスラに変わってバトルスピリッツを始めようとする。

 

クサリもまたやる気なのか、己のBパッドをアスラからイカヅチの方へと構え直す。

 

 

「イカヅチお姉様〜…Bパッドを展開するご様子も素敵です〜」

「あぁったく。オマエはいい加減どいてろ!」

「いや〜〜〜ん」

 

 

目がハートになっているカゲミツを鷲掴みにし、その剛力を持ってして全力で彼女をぶん投げるイカヅチ。

 

変態であるカゲミツは、幸せそうな笑顔のまま、アスラ達の方へと転がった。

 

 

「おっ、アスラとエールじゃないか!…ここにいるって事は遂に私に挑戦かい?」

「アンタよくこの流れで平然と私達に声掛けたわね」

「お久し振りですカゲミツ姐さん!…5番目のカラーカードをもらい受けますよ!!」

「ハッハッハ!!…良いだろう良いだろう、イカヅチお姉様のバトルを見届けたらその挑戦受けてやろうじゃないか!」

 

 

ようやくアスラ達の存在に気付いたカゲミツ。あれだけ腑抜けててたクセに急に引き締まった様子になり、威厳のある声色で話しかけてきた。

 

そして、そんな彼らの他愛もない会話の中で、イカヅチとクサリは完全にバトルの準備を終えて………

 

 

「クックック……後悔すんなよ。ご自慢のギドラとやらを完膚なきまでに叩き潰してくれる」

「フッ……アンタの盗賊としての強さ。このアタイとギドラ達に教えてくれよ」

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

アスラ、エール、ムエ、そしてメロメロでぐったりしているカゲミツが見守る中、元賞金稼ぎイカヅチと盗賊のクサリによるバトルスピリッツが幕を開ける………

 

先行はクサリだ。手慣れた手付きでターンを進めていく。

 

 

[ターン01]クサリ

 

 

「クックック。メインステップ……モスラ幼虫を召喚!…効果でコアブースト」

 

 

ー【モスラ(幼虫)[1992]】LV1(1➡︎2)BP2000

 

 

早速地中よりクサリの場へと出現してみせたのは巨大な芋虫。虫という事もあり見窄らしい姿をしているが、どこか神秘的な雰囲気を漂わせる不思議なスピリットである。

 

 

「オレはこれでターンエンド。さぁ、どっからでもかかって来いよ」

手札:3

場:【モスラ(幼虫)[1992]】LV1

バースト:【無】

 

 

やれる事が最低限に限られる第一ターンと言う事もあり、幼虫の召喚のみでこのターンをエンドとしたクサリ。

 

次はアスラ達も注目するイカヅチのターンだ。

 

 

[ターン02]イカヅチ

 

 

「メインステップ……どっからでもかかって来ていいんだとよ。だったら好きに暴れてやれ、アタイの可愛いギドラ!!……召喚、宇宙超怪獣キングギドラ!!」

 

 

ー【宇宙超怪獣キングギドラ】LV1(1S)BP3000

 

 

ー!!

 

 

「ッ……4コストのギドラ!?…こんなにも早くギドラの名を持つスピリットが出るなんて……」

「おぉ……やっぱ首三つカッケェ………」

「イカヅチお姉様のギドラ素敵〜」

 

 

雷鳴と共にイカヅチが呼び出したのは言わずもがな黄金の三ツ首龍キングギドラ。だが、そのサイズはいつも彼女が召喚していたものとは別の個体のためか少し小さい。

 

いつもとは違うカードの登場に、イカヅチのバトルを見た事があるエールとアスラは、この時点で何となく彼女のデッキがより精錬されているのを理解して…………

 

 

「バーストをセット。そしてお待ちかねアタックステップ!!…宇宙超怪獣キングギドラでアタック!…その効果でBP5000以下のスピリット1体を破壊」

「!」

「ハハ!…対象は当然モスラ幼虫!!…次いでにソウルコアが上に置かれているため、デッキからカードを1枚ドローだ!」

 

 

飛び立ったキングギドラの三つの口から放たれる黄金の稲妻。それは瞬く間にモスラ幼虫へと直撃。耐えられるわけもなく爆発四散した。

 

 

「アタックは継続中!」

「チ……ライフで受ける……ッ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉クサリ

 

 

三つの首を叩きつけ、クサリのライフ1つを砕くキングギドラ。先制点をイカヅチにもたらして見せた。

 

 

「これでアタイはターンエンド。おいおいどうした?…それなりの賞金首だったらもうちとアタイを満足させてみな!」

手札:4

場:【宇宙超怪獣キングギドラ】LV1

バースト:【有】

 

 

「……先制点を与えたくらいで調子に乗りやがって……オレのモスラの実力を見せてやる」

 

 

次はクサリのターン。イカヅチに煽られ、腹を立てながらも己のターンシークエンスを進行させて行った………

 

 

[ターン03]クサリ

 

 

「メインステップ!…バーストを伏せ、カッチュウムシと守護神獣モスラを召喚!」

 

 

ー【カッチュウムシ】LV1(1)BP1000

 

ー【守護神獣モスラ】LV1(2S)BP3000

 

 

バーストを伏せた直後に召喚したのは、文字通り甲冑を来た甲虫、カッチュウムシと彼には似ても似つかわしくない程に色鮮やかな翅を持つ巨大な蛾のスピリット、モスラ。

 

そしてさらにクサリは動く。手札にある1枚のカードを抜き取って……

 

 

「さらにブレイヴ、オオヅツナナフシを召喚し、モスラに合体!」

 

 

ー【守護神獣モスラ+オオヅツナナフシ】LV1(2S)BP5000

 

 

筒のような細い体を持つ虫型のブレイヴカード、オオヅツナナフシ。場へと現れるなり華麗に宙を舞うモスラの背中へとドッキング。合体スピリットとなり強力なスピリットとなった。

 

しかもオオヅツナナフシの効果の真骨頂はここからであり………

 

 

「オオヅツナナフシの召喚時効果。残った1枚の手札を破棄。そうした時、オレは相手の手札の枚数分カードをドローできる」

「!」

「今のオマエの手札は4枚。クックック、よってオレも4枚のカードをドロー!」

 

 

残った1枚のカードをトラッシュへと捨て、クサリはイカヅチの手札と同じ枚数、4枚になるようにデッキから新たにカードを引いた。

 

その4枚のカードは余程強力なカードなのか、クサリは思わず品の無い笑顔を見せる。

 

 

「クックック……それじゃさっきの仕返しにアタックステップと行きますか。行けモスラ!!…アタック時効果でコアブーストし、LVを2に。さらにソウルコアが上に置かれているため、BPプラス3000!」

 

 

ー【守護神獣モスラ+オオヅツナナフシ】LV1➡︎2(2S➡︎3S)BP5000➡︎10000

 

 

オオヅツナナフシを背に乗せたモスラがイカヅチ目掛けて飛翔する。手札、コアも増え、BPも上げて、クサリの場は万全なように見える。

 

しかし、それをあっさりとカウンター1つで覆してしまうのがイカヅチの恐ろしいところであって…………

 

 

「フッ……ライフで受けてやるよ!」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉5➡︎4

 

 

鼻で笑いながら合体しているモスラの体当たりを受け止めるイカヅチ。そのライフバリアが1つ砕け散ってしまうが………

 

これは彼女が伏せていたバーストカードの発動条件でもあって………

 

 

「待ちに待ったぜ、アタイのライフ減少がこのバーストのトリガーだ!!……バースト発動!!」

「ッ……!!」

「効果によりこのカード自身をノーコスト召喚……来い、死をも超越せし魔獣……宇宙超魔獣デスギドラ、バースト召喚!!」

 

 

ー【宇宙超魔獣デスギドラ】LV1(1)BP6000

 

 

地表より噴き上がるマグマ。その中より姿を現し、キングギドラの横に並び立ったのは黒い体表を持つこれまでとは一風変わったギドラ、その名をデスギドラ。

 

2体のギドラは共鳴し合うように咆哮を上げた。

 

 

「召喚時効果、BP5000以下のスピリット全てか、BP15000以下の緑のスピリット全てを破壊する!」

「なにッ!?」

「モスラはその全てが緑のスピリット!!……これでオマエの場は全て消える!……失せな蛾共!!」

 

 

咆哮を上げたデスギドラの三つの口から放たれる赤い熱線。それはカッチュウムシと合体したモスラの貫き、あっという間にそれらを爆散させた。モスラと合体していたブレイヴ、オオヅツナナフシは逃げるようにモスラとの合体を解き、生き残った。

 

 

「……さぁどうする舞蛾のクサリさんよ〜……もっともっとスピリットを出して来ても良いんだぜ?」

「くっ……この賞金稼ぎ如きが……ターンエンド」

手札:4

場:【オオヅツナナフシ】LV1(1)BP2000

バースト:【有】

 

 

悔しさに歯を軋ませ、そのターンをエンドとする舞蛾のクサリ。イカヅチの容赦の無いターンが幕を開ける。

 

 

[ターン04]イカヅチ

 

 

「メインステップ…キングギドラのLVを2に、デスギドラのLVを3にアップ!!」

 

 

ー【宇宙超怪獣キングギドラ】(1S➡︎3S)LV1➡︎2

 

ー【宇宙超魔獣デスギドラ】(1➡︎4)LV1➡︎3

 

 

LVが跳ね上がる2体のギドラ。それをアピールするように、総数6本の首から爆音のような咆哮が放たれる。

 

さらに手を緩めず、イカヅチはすかさずアタックステップへと移行して………

 

 

「アタックステップ!!…この時、デスギドラのLV2、3の効果!!…アタイのギドラスピリット全てに赤のシンボルを1つ追加する!」

「ッ……2体のギドラがダブルシンボルだと!?」

 

 

クサリが隠し得ない驚愕の効果。デスギドラはマグマのような赤い光をその身に纏うと、キングギドラにもそれが伝播、2体はダブルシンボル、即ち一撃で2つのライフを破壊できる存在になって………

 

 

「覚悟しな!!…キングギドラでアタック!!…効果で残ったオオヅツナナフシを破壊してカードを1枚ドロー!」

 

 

大きな翼を広げて飛び出すキングギドラ。三つの首、その口々から放たれる稲妻がクサリの場に残ったブレイヴ、オオヅツナナフシを貫き爆散させた。

 

 

「さぁどう受ける!!」

「くっ……ライフだ……ぐっ!?」

 

 

〈ライフ4➡︎2〉クサリ

 

 

再び三つの首をライフバリアに叩きつけるキングギドラ。デスギドラの力でパワーアップしているため、今回はそれを2つ破壊した。

 

そして知らぬのうちに、イカヅチはデスギドラでアタックを仕掛ければ勝てる状況になっており………

 

 

「ヘイ!…どうした舞蛾のクサリ、この程度かい?……ガッカリだね〜もうちとやると思ってたからさ〜」

「………」

 

 

完全に追い詰められたクサリ。確かに2種類のギドラが並んでしまったこの盤面の突破はかなり困難を極める………

 

しかし………

 

クサリはそれでも並大抵の人間では思わず背筋が凍ってしまうような、気味の悪い笑顔を浮かべて…………

 

 

「クックック……この程度??……ハハ、残念だがそう思ってるのはコッチなんだよな〜〜!!」

「!」

「オマエはバカだ!!…そこの田舎者と同じ、何も考えずに攻撃を仕掛けてきやがる!!……だからオレみたいな賢い人間の罠に引っかかるんだよ〜〜!!」

 

 

クサリはそこまで強気に言い放つと、伏せていたバーストを勢いよく発揮させる………

 

 

「ライフ減少後のバースト、烈翔降臨を発動!!…ライフが2以下の時、緑のスピリット1体をノーコスト召喚できる……そう、どんなに大きなコストを持つヤツでもな!!」

「!!」

「現れろ、オレの最強の僕、鎧モスラ!!」

 

 

ー【鎧モスラ】LV2(3)BP15000

 

 

銀色の鱗粉を撒き散らしながら出現したのは、身体全体が外骨格のようなモノで覆われた特大のモスラ。アスラもスーミ村で戦った際に一度対面したクサリのエースカード、鎧モスラだ。

 

 

「おぉ鎧モスラ……懐かしい」

「……BP15000……これでイカヅチはアタックができなくなった」

 

 

アスラが鎧モスラを懐かしむ中、エールがそう察した。

 

彼女の言う通り、イカヅチの今のスピリット達ではクサリの鎧モスラを超える事は出来ず、必然的にターンエンドせざるを得ない状況に追い込まれていた。

 

 

「………フッ、なんだい、少しは骨があるじゃないか。まぁ、その程度で満足されても困るけど。これでターンエンドだ」

手札:5

場:【宇宙超怪獣キングギドラ】LV2

【宇宙超魔獣デスギドラ】LV3

バースト:【無】

 

 

「クックック……余裕ぶっこいてられるのも今のうちだ。直ぐに楽にしてやる……やがてそのギドラもオレの物だ」

 

 

結果的にデスギドラをブロッカーとして残し、そのターンをエンドとする事になったイカヅチ。

 

己のエースカードである鎧モスラを相手のターンに召喚してみせたクサリのターンがそれと同時に幕を開ける………

 

 

[ターン06]クサリ

 

 

「メインステップ。もう貴様ではオレを止められない……マジック、モスラの羽化!!」

「!」

「クックック〜…この効果により先ずはデスギドラを疲労、そしてオレのライフが2以下のため、手札からノーコストでモスラスピリットを召喚!!…現れろ2体目の鎧モスラ!!」

 

 

ー【宇宙超魔獣デスギドラ】(回復➡︎疲労)

 

ー【鎧モスラ】LV2(3)BP15000

 

 

巨大な繭がクサリの背後に出現したのかと思えば、その繭の糸はほつれていき、次第に2体目の鎧モスラが中より姿を見せる。2体目の鎧モスラの羽ばたきが旋風を巻き起こし、イカヅチのデスギドラは行動不能の疲労状態に陥ってしまう。

 

そしてクサリはさらに手札のカードを引き抜いて………

 

 

「この程度で終わったと思うなよ〜〜…2枚目のモスラの羽化を使用〜!!…手札から3体目の鎧モスラを召喚する!」

「!」

「3体の鎧モスラ!?」

 

 

ー【鎧モスラ】LV2(3)BP15000

 

 

声を荒げて驚いたのは鎧モスラの実力を知っている他でもないアスラだった。再び巨大な繭がクサリの背後に出現、その繭の中より3体目となる鎧モスラが飛び出して行った。

 

 

「こんなに巨大なスピリットが3体も……イカヅチと言えども流石にこれはキツいわね……」

「…いや、多分それは無いな……仮にもこの私とのバトルに勝ったあのイカヅチお姉様だ……今に見ていろ」

 

 

イカヅチの実力を知っているエール。しかし、この状況は流石に不利が過ぎると感じてしまう。

 

だがそれを否定したのは紫のカラーリーダーカゲミツ。飽くまで勘の域を出ないが、彼女は客観的に見てクサリ程度のバトラーに負けるイカヅチではないと察していて………

 

 

「クックック〜…これがオレの真の実力、オマエのギドラ程度じゃ到底敵わない〜〜…アタックステップ、2体目の鎧モスラで攻撃!!…ダブルシンボルにより一撃で2点のダメージを与えるぜ〜」

「………」

 

 

遂に突入されるアタックステップ。羽から銀色の鱗粉を落としながら、鎧モスラがイカヅチのライフ目掛けて飛び立った。

 

3体全ての鎧モスラが当然ながらダブルシンボルであるため、この状況は実に6点ものダメージを奪える状況にあった。

 

だが、この攻撃を全て通すイカヅチではない。余裕の笑みを浮かべ、手札より防御用のマジックを切った。

 

 

「キングギドラから不足コストをもらい、フラッシュマジック…スクランブルブースター!!」

「!」

「このバトル中、キングギドラは疲労状態でのブロックが可能……迎え撃て!」

「チ……またそのカードで防がれるか」

 

 

イカヅチの放ったマジックにより、レベルダウンに陥りつつも、勇猛果敢に鎧モスラに挑みに行ったキングギドラ。三つの口から電撃を放つが、それは鎧モスラの強靭な外骨格の前に全て弾き返されてしまう。

 

そしてそのまま巨大な羽で一刀両断。キングギドラは大爆発して散って行った………

 

 

「鎧モスラのアタック時効果!!…オマエのライフ1つをもらう!」

「ッ……!」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉イカヅチ

 

 

破壊するのはキングギドラだけにあらず、鎧モスラはそのままイカヅチのライフ1をもその羽で切り裂いた。

 

 

「クックック……どうだ。どんなにブロッカーを並べても鎧モスラはその全てを貫く……これでオマエのギドラも、そこのソウルコアが使えないクズの持っているライダースピリットも……全てオレのモノだ!!」

 

 

余裕を見せ、大きく高笑いを決めるクサリだったが………

 

イカヅチもまた余裕のある笑みを見せつけると………

 

 

「フッ……成る程ね、たった今完璧に理解したよ」

「あぁ?…何がだ」

「当然、アンタがアタイとギドラを満足させるに値しない存在だって事がさ」

 

 

クサリの実力の無さを理解してしまったイカヅチ。軽く失望しながらも手札からあるカードの効果を発揮させて………

 

 

「手札からこのスピリット、サイボーグ怪獣メカキングギドラの効果発揮!!」

「何、このタイミングで手札からスピリット効果!?」

「ギドラが破壊された時、ノーコストで召喚……来い、天の雷操りし黄金の龍王、その不動の魂を不屈の鋼へと昇華せよ!!…鋼鉄雷動の最強龍ッ!メカキングギドラ!!……LV1で機動!!」

 

 

ー【サイボーグ怪獣メカキングギドラ】LV1(1)BP10000

 

 

キングギドラが破壊された爆煙の中、キングギドラは大半が機械化され復活を果たす。そしてその強力無比な召喚時効果はこのタイミングでも発揮が可能であり………

 

 

「メカキングギドラの召喚時効果!!…スピリット1体をデッキの上に戻す」

「なッ……デッキの上だと!?」

 

 

真ん中の機械化された首から放たれるレーザー光線。それが鎧モスラ1体に命中。堪らず粒子化され、クサリのデッキの上へと強制的に送還されてしまう………

 

 

「ハッ…だが1体処理したくらいで良い気になるなよ!!…こっちにはまだ2、3体目の鎧モスラが………」

「そんなモノ、ずっと残ってられると思うなよ?…アタイはさらにこのタイミングで2、3体目のサイボーグ怪獣メカキングギドラの効果を誘発させる!」

「………は?」

「再びノーコスト召喚だ……機動せよ、最強龍達!!」

 

 

ー【サイボーグ怪獣メカキングギドラ】LV1(1S)BP10000

 

ー【サイボーグ怪獣メカキングギドラ】LV1(1)BP10000

 

 

イカヅチの後方、遥か彼方より出現し、この場に顕現して見せたのはまさかまさかの2、3体目のメカキングギドラ。その圧巻の存在感はこの場にいた誰もが震え上がってしまい………

 

 

「おぉ……これで首の数は合計12本……カッケェ!!」

「いやバカスラ、首の数は関係ないでしょ」

 

 

アスラが目をギラギラと輝かせて感動する中、デスギドラと合わせて首の合計が12本となったギドラ達はその効果を遺憾なく発揮させる。

 

 

「2、3体目のメカキングギドラの効果で残った2体の鎧モスラもデッキの上へと戻す!!」

「……ば、バカな……そんな事が……」

 

 

メカキングギドラ達より放たれるレーザー光線が全ての鎧モスラを撃退させる。これで遂にクサリのスピリット達は0になってしまい………

 

 

「だから言ったろ、もうちとやれると思ってたって………場のスピリット0。手札も0。さぁどうするよ舞蛾のクサリ……この状況から反撃できるんならやってみな」

「くっ……ターン……エンドだ」

手札:0

バースト:【無】

 

 

悔しさに歯を軋ませながらもそのターンをエンドとしたクサリ。

 

もう誰がどう見ようとも彼の負けは確定。圧倒的な実力を見せつけたイカヅチの最後のアタックを待つのみとなった………

 

 

[ターン07]イカヅチ

 

 

「メインステップはもう要らん。アタックステップ、行って来いメカキングギドラ!!…デスギドラの効果でトリプルシンボル!!」

「ウソだ。このオレが……このオレがこんなヤツにまで!!………ぐ、ぐぁぁぁぁあ!?!」

 

 

〈ライフ2➡︎0〉クサリ

 

 

メカキングギドラの口々から放たれる電撃もレーザー光線がクサリの残った全てのライフを打ち砕いた。吹き飛ばされるクサリ、彼のBパッドからは敗北を告げるように「ピー…」と言う無機質な音が鳴り響く………

 

これにより、このバトルの勝者はイカヅチだ。結果的に終始彼女が圧倒した一方的な試合展開となった。

 

 

「イカヅチ……アイツ、また強くなってる……」

 

 

ポツリとそう呟いたのはエールだった。最後に見たのは叙勲式の際にロンとバトルした時であったが、イカヅチの実力はその時より格段に上がっていた。

 

どうやらアスラが異世界で修行をしていた中で、強くなっていたのは彼だけではないらしい。

 

 

ー………

 

 

バトルも終わり、クサリが巻き起こした一悶着もようやく決着が着いた。気を失ったクサリを縄で縛りながら、イカヅチが元気をなくしながら言葉を落とす。

 

 

「はぁ………全く持ってつまらないバトルだった。これでアタイとギドラ達にどう満足しろってんだい」

「だったらこの私とバトルしましょーよカゲミツお姉様〜〜!!」

「オマエは変態だから却下」

 

 

飛び込んでくるカゲミツをかわしながら、彼女からの好意とバトルを拒否するイカヅチ。直後にアスラの方へと顔を向ける………

 

 

「アスラ……だったな、確かロンのライバルの………少し見ない間に随分と顔付きが変わったじゃないか」

「ん?…そうっすか??……まぁでもこう見えてテンドウさんとネコガイヌ博士のお陰様でイセカイとやらで修行して来たし…………」

「ッ………ちょっとバカスラ!!」

 

 

色々ベラベラと話すアスラにチョップをかますエール。アスラを呼び出し「あの出来事は私達だけの秘密でしょ」と耳打ちする。

 

確かに、あの出来事は公にはできない。そもそも異世界に行ってたなどとトンチンカンな話を誰かが信用するとも思えない。

 

 

(……ネコガイヌ??……噂で偶に聞く、ロクでもない発明ばっかりやってる偏屈な爺さんか??……実在すんの?)

 

 

アスラの言葉をバッチリ覚えていたイカヅチ。この件が後々、アスラ達がお世話になった天上烈我、黄空光黄を始めとした七罪竜の使い手達に色々とご迷惑をお掛けしてしまう事は、また別のお話である。

 

 

「まっ……取り敢えずアタイはコイツをオウドウ都の上層部に換金………じゃなかった突き出して来るか」

「………今コイツ換金って言わなかった?」

 

 

やはり目当ての半分くらいはお金だったと悟るエール。そもそもイカヅチがあんな咬ませ犬の塊みたいなクサリに自分からバトルを挑んで行く話自体、おかしな事だと思っていた。

 

 

「じゃあなオメガ家、アスラ。次いでにカゲミツ」

「あーーーん!…行ってしまうのですかイカヅチお姉様〜〜!!」

「うるせぇな。オマエは仕事しろってんだ。挑戦者が目の前にいるだろうが………ったく、アタイはなんでこうも面倒くさい女にばかり絡まれるんだ?」

 

 

再び腑抜けになってイカヅチにゴネル紫のカラーリーダーカゲミツ。これでカラーリーダーのナンバー2だとは到底思えない。

 

さらにイカヅチは別れ際、もう一度アスラの顔を見て………

 

 

「オマエには期待してるぞアスラ。今度会った時はアタイのギドラ達の餌にしてやるよ」

「おうっ!…オレもいつかアンタとバトルができるのを楽しみにしてるぜ!」

「フッ……じゃあな。最後の赤のカラーリーダーを倒した先で待ってるぞ」

 

 

強気な物言いで言葉を返し合う両者。イカヅチはその後アスラの返答に鼻で笑いながらも、縄で縛り上げたクサリを引き摺りながらこの場から去って行った………

 

アスラはイカヅチの姿が見えなくなるまで手を振り、見届けると………

 

 

「……やっぱあの人結構良い人だよな。メチャクチャ強い上にカッケェし」

「むっ……なんか楽しそうね」

「ん?…何が?」

 

 

まだバトルこそしていないものの、同じカラーリーダー達に挑む者としてイカヅチを意識するアスラ。

 

当然ながらそこにそれ以外の感情はなく、色恋沙汰なんてものは存在しないのだが、それをわかっていてもエールは少しばかりイカヅチに嫉妬してしまう。

 

 

「むぅ。イカヅチお姉様……豪快でワイルドで素敵なお方でした………よし、そんじゃアスラ、エール、シエン町に行こうか。この紫のカラーリーダーがバッチリ挑戦を受けてやろうではないか」

「おうっすカゲミツ姐さん!!…散々修行つけてもらったオレの実力、とくと味わってくれ!!」

「フフ……そう簡単にロンやイカヅチお姉様と同じ道を歩めると思うなよ?」

 

 

名残惜しそうにイカヅチの事を想うカゲミツ。

 

だがその心はすぐさまアスラとのバトルへとシフトされる。まだ試合は始まってもいないと言うのにもかかわらず、闘争心を燃やしている2人の目線からはバチバチと火花が飛び散っていた。

 

 

******

 

 

とある辺境。荒廃した城の瓦礫の山が重ねられたここはライダーハンターズの隠れ家。抜け出したオロチを除き、トゥエンティ、イバラ、ウィルの3人が出揃っていた。

 

ウィルに対して何か言いたげな表情を見せるトゥエンティ。ウィルは彼の言いたい事を把握しているのか、不敵に笑みを浮かべている。

 

緊迫感のある状況が続く中、初めて発言したのは見た目だけは絶世の美女であるイバラだった。

 

 

「はいはーい。私ライダーハンターズ辞めまーす!」

 

 

ー!!

 

 

まさかの第一声がノリノリの辞職宣言。流石のトゥエンティも眉を潜めて驚きを隠し得ない様子。

 

 

「辞めるだと?」

「だって〜…なんか飽きちゃったし。ライダースピリットハントの競争もどうせトゥエンティが一番になっちゃうだろうしさ〜……え?…何トゥエンティ、私がどっかいなくなっちゃうのが嫌な感じ??」

「それだけは無い」

「フフ…照れ屋さんなんだから♡」

 

 

異世界での激闘でオロチやイバラに対しても仲間意識が芽生え始めて来ていたトゥエンティ。口ではそう言ってはいるものの、実際は少しだけ寂しさを感じているに違いなくて………

 

 

「ね!…オッケーでしょウィル。抜けた後の行き先も実はバッチリ決めてあるし、何よりアスラ君達を見てたら、私ももっと自由な場所で、楽しく暮らしたくなっちゃったのよねん!」

「フフ……そうですか。自分の好きな所に居て、自分の好きな事をやってこそ人間は輝く。好きにしなさい」

「わーい!…流石、話しがわかるわねん!」

 

 

ウィルもイバラの辞職をあっさりと承諾。その口ぶりからライダーハンターズに労働の強制力はなかったものと思われる。

 

その後、イバラは懐から数枚のカードを取り出し、それをトゥエンティへと託した。

 

 

「はいトゥエンティ。上げるわ」

「……ッ……ライダースピリット!?……何故オレに!?」

「だってもう要らないし〜〜元々レアカードは興味ナッシングって言うか〜〜…だったらトゥエンティに上げた方が良いかな〜って思ってさ」

 

 

自分の持っていたライダースピリットのカードをトゥエンティに託したイバラ。これでトゥエンティの所有するライダースピリットはジオウを含めて『16枚』………

 

残り4枚で20のライダースピリットカードが揃う事になる。

 

 

「それじゃあねトゥエンティ。なかなか楽しい時間だったよ。素敵な恋人ちゃんにしくよろねん!」

「あ、おい!…まだ貰うとは……」

 

 

いきなり4枚ものライダースピリットを譲り受けるこの行為は卑怯だと感じ、返そうとするトゥエンティだったが、

 

最後にそう言い残すと、イバラはBパッドのワームホール機能を使い、空間を移動。颯爽と何処かへと姿を消してしまう。

 

 

「まぁ良いじゃないかトゥエンティ。イバラを無くしたのは大きいが、君にとってはこれで残り4枚のライダースピリットで君の恋人は病から解放されるのだから……」

「………ウィル、オマエには1つ聞きたい事がある」

「ほう。なんだね?」

 

 

イバラやオロチは仲間であると認識していても、紳士の皮を被った下衆であるウィルの事は信用していないトゥエンティ。

 

異世界での激闘で感じた違和感を彼に告げていく。

 

 

「……異世界とやらでバトルをしている時、イバラは不思議な力に操られ、暴走した……その操った人物は黒の世界、ブラックフォースのヘタマイトであると名乗っていた………オレの推測が正しければ、オマエはイバラの中にあの化物がいた事を知っていたはずだ」

「………」

「オマエはいったい、オレ達に何を隠している?」

 

 

何故かイバラの身体のいたと言うブラックフォースのヘタマイト。トゥエンティはその事をウィルは初めから知っていたのではないかと勘繰っていた………

 

しかし………

 

 

「フフ……知りませんね〜…黒の世界??……お初にお目にかかる言語だ」

「惚けるな!!」

「仮にだ。トゥエンティ……仮にその黒の世界とやらを私が知っていたとして、君はどうする?……どちらにせよ君は私の言う事を聞かざるを得ない……何せ、恋人を治さなくちゃいけないんだからね」

「ッ……!!」

「彼女の重たい病気を治せるのはこの私と、20枚のライダースピリットだけだ」

 

 

確実に嘘をついているようにしか思えないウィルの返答。

 

実際、嘘はついていて、ウィルは一度アスラとエールの前で『黒の世界』や『第七の属性』などと失言している。

 

バトルを仕掛け、ウィルに白状させると言う手もある。その薄汚い性根をこの手で成敗したくてしょうがない………

 

だがトゥエンティにはそれができない。何せ、彼の恋人『テンドウ・カナ』の重たい病を治せる唯一の鍵がこの得体の知れないちょび髭シルクハット、ウィルなのだから………

 

トゥエンティは一旦冷静になり、ウィルに対して込み上げていた感情を押さえ込む。その様子を見たウィルは不敵な笑みを浮かべながら提案するように言葉を彼に送る。

 

 

「フフ……わかったらこれからもライダースピリットを狩り続ける事だ。丁度最近、新しいコラボダンジョンが発見された。そこに向かってみるのも有りかもね」

「……コラボダンジョン……」

 

 

コラボダンジョン。

 

それはこの世界に偶に発見される言わば古墳のような存在。宝の山で溢れかえっている場合もあるが、その分古代人が仕掛けた罠がある事も多い。

 

トゥエンティはそのコラボダンジョンの名を聞いて、アスラ達と最初に激闘を繰り広げた事を思い出した。今思えば自分が変わり始めた、いや戻り始めたのはあの瞬間からなのかも知れない、そう彼は改めて感想を抱き………

 

 

「残り4枚。これで本当にカナの病気は治るんだな……オマエを、信用していいんだな?」

「フフ……あぁ、もちろんだよ、トゥエンティ」

 

 

仮に、今目の前にいる存在が、この世界を脅かす悪魔だとしても、トゥエンティはそんな彼に手を貸さざるを得ない。

 

他でもない大事なカナの命が関わっているのだから………

 

 

 




最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

今回のお話はブラストさん作の『バトルスピリッツ7-G-uilt』にて投稿された『新年特別編』に繋がるように構成しました。是非そちらの方もお読みになってください!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。