バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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51コア「嵐を呼ぶ滅亡迅雷」

スーミ村近辺でシイナ・メザに拾われたアスラとロン。2人の壮大な物語が始まるおよそ13年前の話…………

 

当時9歳だったライダーハンターズの最強格トゥエンティは、普通な「レア」の身分であったが、早くで両親を失い、独り孤独な生活を送り続けていた。

 

若すぎた故働き口もなく、ただただ痩せ衰え、弱っていった。身体が衰弱していくのを感じ、脳が「生きろ」と命令して来るが、それ以上に本能がもう生きるのを諦めていた。

 

いっそ死んでしまった方が楽になる。

 

そう考えた当時のトゥエンティは誰にも見られないであろう町の裏側、路地裏にてひっそりと身を潜めていた。いずれ来る死をただ待ち侘びていた………

 

 

しかし………

 

 

そんな彼にも救いの手は差し伸べられた…………

 

 

「………ねぇ君。なんでそんな所にいるの??…こんな汚い所にいたら服が汚れちゃうよ?」

「…………」

「??……まぁいいか、ちょっと待っててね!!」

 

 

現れたのはブロンドヘアの長い髪の少女。歳は自分と同じくらいだった。

 

 

「おーーいバカ兄貴〜〜!!」

「………あぁ?…んだよクソ妹。また変なモノ見つけたんじゃないだろうな?…何度も言ってるが犬や猫は飼わんぞ」

「違うよ〜…人だよ人!!…男の子がそこでずっと座ってるの!」

「あぁ?」

 

 

少女が誰かを呼ぶようにそう叫ぶと、2人目の人物がこの場にすぐさま現れる。黒髪の若い男性。二十歳には到達していないくらいか。自分と同じ無表情で、何を考えているかわからなかった。

 

 

「おいオマエ。何そんな所に座ってんだ……あぁアレか。親父とお袋が乳繰り合ってるせいで家に帰れないってか??」

「………」

「オレの熱烈ジョークを無視すんな小僧、殺すぞ?」

 

 

意味のわからない彼の冗談を無視するトゥエンティ。

 

いっそ本当に殺して欲しかった。今ここで死ねば楽だとどれほど考えていた事か………

 

 

「……まぁ来るとこないならオレと一緒に来るか?…ここで死んじまったら余った寿命の数だけ人生損するだけだぜ」

「……嫌だ。生きている方が意味ない……」

 

 

朧気なからにそう呟くトゥエンティ。

 

生きていても意味がない。生きている時間こそが無意味なのだと、本気で思っていた………

 

 

「うーーーん……よし、じゃあ私たちと一緒に旅しない?」

「!?」

「今ちょうど国のあっちこちを周らないといけないんだー!…一緒に旅していたら絶対見つけられるよ、生きる意味!」

「おい何言ってんだクソ妹。オレは嫌だぜ、こんなヤツ」

「バカ兄貴に決定権はありませーん!!」

 

 

少女からの突然の提案に驚きを隠せないトゥエンティ。その後、少女は座り込んでいる彼の手を無理矢理引っ張り立ち上がらせると………

 

 

「ねぇ君、名前は??」

「!!」

 

 

その名前を問いかけた。トゥエンティは照れ臭そうにしながりも答える。

 

 

「………名前……トゥ……トゥエンティ……」

「トゥエンティ!!…名前長いねー!!…私はカナ!!…テンドウ・カナ!!…こっちはバカ兄貴!!」

「誰がバカ兄貴だこのクソ妹。オレはテンドウ・ヒロミだ……三王のサイコパスババアがムカつくんでこの国の頂点王にでもなってやろうと思ってまーす」

 

 

その正体は当時16歳だったテンドウ・ヒロミ。そして一緒に連れていた少女はその妹のカナである。

 

この時のテンドウはまだ三王ではなく、単なる挑戦者。

 

三王であり、エール・オメガの母でもあった『エレナ・オメガ』を倒すべく、妹のカナと共に旅をしていた。彼の言う『サイコパスババア』とは無論彼女の事である。

 

異国の者だが、本気でカラーリーダーを全員倒して、三王に挑むつもりだったのだ。

 

 

 

半ば強引なやり方ではあったが、トゥエンティはそんなテンドウ兄妹の手に救われ、共にこの国を旅していく事になる。

 

最初こそ気乗りしなかったが、次第にテンドウの強さに憧れを持ち、カナに好意を抱いていった事で、この旅はトゥエンティにとっては何よりの宝物となり、決して忘れる事のできない掛け替えの無いモノとなった。

 

この2人こそが自分の生きる意味なのだと考えを改める事ができた………

 

後にテンドウはカラーリーダーこそ全員倒すも、エレナには敗れ、彼女のスカウトで自身がこの国の三王となってしまい、そこで旅は終わってしまうのだが、トゥエンティは彼の妹、テンドウ・カナと恋仲になり、一緒にこの国で幸せに暮らしていた…………

 

 

はずだった。数年後、彼女が謎めいた病に陥るまでは………

 

 

******

 

 

「ふーーん。原因不明の病ねーー…まぁ人間生きてればそう言う事もあるだろうよ」

「何呑気な事言ってんだテンドウさん!!…病にかかったのはアンタの妹だぞ!?」

「……まぁそれがアイツの寿命って事だろ。だったら残り少ない人生、オマエが楽しませてやれ」

「………なんで……なんでそんな事言えるんだよ!!…死ぬんだ、死んじゃうんだぞ!!…カナが!!」

 

 

精神的に大人が故に、テンドウはかなりの余裕を見せているが、トゥエンティから見たら既に彼は妹であるカナの事を諦めているように感じていて………

 

 

「だったらオレがカナを救う!!…この身がどうなろうとも、必ずオレが救う!!」

「ワハハハハハ!!…なんだオマエ、医者にでもなろうってか?」

 

 

今度は自分がカナを救う番だ。そう己に言い聞かせ、トゥエンティは悪魔に魂を売る事になってしまう。

 

それこそがウィル、ライダーハンターズだ。病に落ちた恋人カナを救うため、トゥエンティはこうして今もライダーハントを続けている………

 

 

******

 

 

時は戻り現在。

 

ライダーハンターズの1人トゥエンティは主任であるウィルに言われるがまま、赤の町外れに新たに発見されたとされるコラボダンジョンに足を運んでいた。

 

最も、オロチを始め、イバラもライダーハンターズを辞めたため、団員はこのトゥエンティのみなのだが………

 

 

「……微かに感じる……この奥に眠るライダースピリットの力を………そしてもう一つ……」

 

 

コラボダンジョンの扉の前でそう呟くトゥエンティ。ただ、もう一つ気になる気配があるようで、茂みの方へと目を向ける………

 

 

「そこにいるのはわかっている。いい加減様子見はやめて出てきたらどうだ……スーミ村のロン」

「………」

 

 

トゥエンティにそう言われ、茂みの方から姿を見せたのは、アスラの永遠のライバル、ロン。トゥエンティと同様にクールな表情を一切崩さない。

 

敵対する関係にある両者、暫く睨み合いが続くと、先に口を開いたのはトゥエンティだった。

 

 

「フッ……オレを尾行して、気づかれないとでも思ったのか?」

「尾行したんじゃない。偶然見つけたから興味本位で後ろをついて行っただけだ」

「それを尾行と言うんだがな」

 

 

2人がこのような場で出会ったのはどうやら偶然のようである。ロンは言葉を続けて………

 

 

「オマエとは一度決着を着けておきたいと思っていた所だ……ミナト達の居た異世界では結局何もできなかったが……オレ達以外に誰も居ないこの状況なら」

「決着を着けられる……と?」

 

 

デッキを向けながらそう告げるロンに、トゥエンティが察しそう言い返した。それに対してロンも首を縦に小さく振る。

 

 

「ハッ……生憎だが、貴様との決着は既に着いている。青の町、ナミラ町近辺で発見されたコラボダンジョンでな」

「………」

 

 

ロンの中では忘れもしないあのバトル。あの時のバトルでは手も足も出ずにトゥエンティに敗北した。

 

だが、今のロンは違う………

 

 

「決着は既に着いている??……これを見てもまだそれを言えるか?」

「……なッ!?」

 

 

ロンは懐からカードを取り出し、それをトゥエンティへと見せつける。

 

そのカード達は所謂『カラーカード』………

 

カラーリーダー達に勝利した証としてもらえる強者の証。

 

そして、ロンはその内の1枚も欠かさず、最後にして最難関と呼ばれる赤のカラーカード『レッドカード』までもをトゥエンティに見せつけていて………

 

これ即ちロンはもはや三王に限りなく近い実力をトゥエンティに示しているに他ならなくて…………

 

 

「貴様……6枚のカラーカードを……」

「あぁ。三王に挑む前の特訓でオマエとまたこうして巡り合うとは思ってもいなかったぜ」

 

 

ロンのこの行為で空気が一変する。

 

彼の実力の高さを知って、バトラーとしての本質が燻ったのか、トゥエンティはバトルに対してやる気を見せつけるかのようにデッキを取り出す。

 

 

「……いいだろうスーミ村のロン……コラボダンジョンに行く前に先ずは貴様のライダースピリットをハントするのも悪くない」

「フッ……そうかなくてはな」

 

 

さらにはBパッドまでもを取り出し、いよいよアスラのライバル同士である2人の決闘が幕を開ける…………

 

かと思われたその直後。

 

ロンとトゥエンティの頭の中に直接流れ込むように誰かの声が聞こえてきて…………

 

 

………ザザザ………誰だ。私の力を求める者は……?

 

 

ー!!

 

 

ドスの聞いた男の笑い声。流れ込んで来たその声は2人の動きを止め、バトルへのモチベーションを消失させる。

 

 

「……この声……まさかこのコラボダンジョンから……」

「何者かは知らないが、バトル中に声を掛けられるのも面倒だな。どうだ、ここは一時休戦してこの中にいるヤツを黙らせてから決着を着けるのは」

 

 

ロンがトゥエンティにそう提案する。他の誰もいないと思っていたこの空間。ロンは誰の邪魔もされずにトゥエンティとの決着を着けたいようで………

 

だがそれはトゥエンティにとっても好都合。一度デッキとBパッドを懐にしまいながらそれに賛同して………

 

 

「……それは同意見だ。この勝負、いったん預ける……だが、この中にあるであろうライダースピリットをもらうのはこのオレだ」

「フッ……好きにしろ、オレはオマエの目的に興味はない」

 

 

お互いに承諾を得た所で、2人は青銅でできたコラボダンジョンの扉を開け、中へと進んで行った………

 

 

ー……

 

 

古びた煉瓦の積まれたダンジョンを歩いていく中、2人はある者達と対面していた。

 

 

「……ケモノか」

「丁度良い。準備運動がてらに蹴散らしてやる」

 

 

その正体は黒い煙の怪物『ケモノ』………

 

コラボダンジョンにおいては「罠」として数多く存在し、コラボダンジョンにある最も貴重な物を守るために奔走する。

 

その正体は過去に生きていたとされるバトスピ生命体。つまりバトスピで倒せば消える。ナミラ町のコラボダンジョンでも数多く出現した。

 

2人はデッキとBパッドを構え、セットし、それぞれと対面しているケモノとバトルを行なっていく。

 

ケモノもBパッドに酷似した物体を黒い煙で作り上げ、対抗するが、無論2人と比べたらケモノの実力は大したことはない。それが故に………

 

 

「行け、ナイトサバイブ!!」

「やれ、ジオウⅡ!!」

 

 

黒いマントを靡かせる騎士型のライダースピリット、ナイトサバイブの凄まじい剣撃と、時を操る仮面ライダージオウ、その第二段階であるジオウⅡの強烈な蹴りがケモノの最後のライフをそれぞれ打ち砕く。

 

 

(……ジオウ……時を操る力と、他のライダースピリットを統べる力……成る程チートだな)

 

(……ナイトサバイブ。成る程、本当に口だけじゃないようだ……それにコイツはまだ本気じゃないな)

 

 

敗北により消え去っていくケモノ達を眺めながら、互いに互いのバトルに対する感想を内心で述べていく両者。

 

 

「……先を行くぞ」

「あぁ」

 

 

その関係性もさる事ながら、会話を全くしないロンとトゥエンティ。コラボダンジョンのさらに奥まで突き進んでいき、やがて最奥部へと辿り着いた…………

 

 

ー……

 

 

「ここがこのコラボダンジョンの奥か」

「……おい、オレ達を呼んでいたのは誰だ!!……隠れてないで姿を見せたらどうだ!!」

 

 

到着するなり、先程の声を呼び出すべく叫ぶトゥエンティ。

 

その声が古びた煉瓦に反射して響き渡ると、こだまするようにその声は再び聞こえて来る………

 

 

「ザザザ……来たか…迷える子羊君達」

「……ケモノ?」

「イヤ……コイツは何か違うな……まぁケモノ同様、コラボダンジョンの罠には変わりなさそうだが」

 

 

現れたのは黒い煙の姿をした何か。そこから声が聞こえてくるのは間違いなにのだが、ロンからして見ればどう見てもさっきバトルで戦ったケモノにしか見えなかった。

 

 

「ザザザ……ここに来て早15年。そろそろ『約束』の時かと思っていたが、成る程、おそらくこの銀髪の方だな」

「オレ?……約束とは何だ?」

「ザッザ……まぁそんなに気にするな……貴様がバトルに勝てば、私の持つライダースピリットを授けよう……その数、4枚だ」

「ッ……4枚だと!?」

 

 

その数に驚愕するトゥエンティ。無理もない、何せ今現在16枚のライダースピリットを所持しているトゥエンティはそのバトルに勝利するだけで目標だった20枚に手が届くのだから………

 

俄然、気合が入る………

 

 

「さぁ来い。約束通り汝が私に相応しいか、試して見ろ」

 

 

黒い煙はそう告げながらケモノ同様のBパッドもどきを展開。その上にデッキを乗せる。

 

 

「邪魔立てするなよロン……これはオレのバトルだ」

「……わかってる。そう言う約束だからな」

 

 

2人の中でバトルに挑むのは黒い煙直々に指名が下ったトゥエンティ。ロンはそんな2人のバトルを見届けまいと、後ろに下がる。

 

 

「ザザザ……これはバトルではなく、試練。そう思って挑んで来い、行くぞ選ばれし者よ」

「何でも良い。誰が相手だろうと、このバトルは勝つ……そして必ず20枚のライダースピリットを得る」

 

 

……全てはカナのために!!

 

そう内心で叫びながら、己のBパッドを展開し、デッキをセットするトゥエンティ。これで互いにバトルの準備は完了。

 

そして………

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

この誰にも見つけられなかったコラボダンジョンにて、恋人のために悪魔に魂を売った男トゥエンティと、謎の生命体によるバトルスピリッツがコールと共に幕を開ける。

 

先行は黒い煙だ。実態がないため、カードを宙に浮かし、ターンを進めていく。

 

 

[ターン01]黒い煙

 

 

「メインステップ……ザザザ……先ずはネクサス、衛星アークを配置」

「!」

 

 

ー【衛星アーク】LV1

 

 

彼の後ろに現れたのは巨大な衛星。その名もアーク。

 

 

「配置時効果でデッキから3枚をオープン。その中の対象となるスピリット1枚を手札に加える……私は『仮面ライダー雷』を手札に加え、残りをトラッシュに破棄」

「……早速来たかライダースピリット」

「私はこれでターンエンド……汝のターンだ」

手札:5

場:【衛星アーク】LV1

バースト:【無】

 

 

おそらく己を選んだであろうライダースピリットをデッキから手札に加え、そのターンをエンドとする黒い煙。

 

次はトゥエンティのターンである。目標が眼前に迫っているため、やや前のめりな気持ちが現れているものの、そこは幾戦もの戦いを乗り越えたプロフェッショナル。心を落ち着かせ、冷静な表情を見せながら己のターンを進めていった。

 

 

[ターン02]トゥエンティ

 

 

「メインステップ……オレは仮面ライダージオウに変身する!!」

「ほぉ、変身か」

 

 

……カメーーーンライダーーー!!

 

ジ、オーウ!!

 

 

ー【変身!!仮面ライダージオウ】LV1

 

 

背後に時計のようなモノが浮かび上がると、トゥエンティの身体はみるみる内に仮面ライダーとなっていき、全てのライダーを司る存在、仮面ライダージオウへと変身して見せた。

 

 

「配置時の神託を発揮!…対象カードは3枚、よってコアは3つ追加!!……そらにオレは仮面ライダーWサイクロンジョーカーを召喚、効果でコアブースト!」

 

 

……サイクロン!

 

……ジョーカー!!

 

 

ー【仮面ライダーWサイクロンジョーカー】LV1(1S)BP2000

 

 

紫電纏し疾風が吹き荒れ、中より半分緑で半分黒のライダースピリット、仮面ライダーWサイクロンジョーカーが出現。その効果でトゥエンティのコアを増やす。

 

 

「ライダースピリットの召喚でオレに神託。バーストをセットし、最後にネクサスカード、パンドラボックスを配置してアタックステップ……オレはWサイクロンジョーカーで攻撃する!!」

 

 

最初のターンであるにもかかわらず、颯爽と攻撃を仕掛けるトゥエンティ。Wサイクロンジョーカーが地を駆けていくが、その間に彼はさらなるアタッカーを供給して………

 

 

「フラッシュ……変身したオレの【転神】を発揮!!…このターン、オレもスピリットとしてアタックを行う事ができる!」

「!」

 

 

ー【変身!!仮面ライダージオウ】(4➡︎1)BP3000

 

 

Wサイクロンジョーカーが疾走する中、自身も場へと赴くジオウに変身したトゥエンティ。怒涛の連続攻撃が幕を開ける。

 

 

「Wサイクロンジョーカーのアタックはライフで受ける……」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉黒い煙

 

 

風の力を乗せたWサイクロンジョーカーの拳の一撃が黒い煙のライフバリアを1つ打ち砕く。

 

 

「続けてオレ自身で攻撃する……!!」

「それもライフで受けよう」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉黒い煙

 

 

続け様にジオウに変身したトゥエンティの拳がライフを殴り壊す。これでこのターンで出来る事を全て終えたトゥエンティはこのターンのエンドステップを迫られて………

 

 

「オレはこのターンをエンドとする……!!」

手札:1

場:【仮面ライダーWサイクロンジョーカー】LV1

【変身!!仮面ライダージオウ】LV1(1)

バースト:【有】

 

 

そのターンをエンドとするトゥエンティ。怒涛の連続攻撃をを決め、守りの要であるバーストカードも伏せた事により、かなり幸先の良いスタートを切れたと言える………

 

だが次は黒い煙のターン。彼の操るカードが蠢き出して………

 

 

[ターン03]黒い煙

 

 

「メインステップ……ザザザ……成る程、良い攻撃だった。かなり洗練された腕前だ。興味深い、非常に面白い個体だよオマエは」

「長々と貴様の会話に付き合う気は無い……早くかかって来い」

「おぉおぉ、怖い怖い……じゃあ始めるとするか」

 

 

何者かも知らない黒い煙を急かすトゥエンティ。黒い煙はジオウの驚異的なスペックを理解しながらも、不気味で冷たい笑い声を零しながらターンを進めていく。

 

 

「衛星アークのLVを2に上げ、このスピリット、仮面ライダー雷をLV2で召喚……!」

「!」

 

 

ー【衛星アーク】(0➡︎2)LV1➡︎2

 

ー【仮面ライダー雷】LV2(2S)BP6000

 

 

紫のシンボルが砕け散り、中より現れたのは2つの剣を持つ赤黒いライダースピリット、その名も雷。

 

 

「ザザザ……雷の召喚時効果でWサイクロンジョーカーからコアを1つリザーブへ……よって消滅!」

「!」

 

 

ー【仮面ライダーWサイクロンジョーカー】(1S➡︎0)消滅

 

 

雷は登場するなり2つの剣を打ち鳴らしながら電気の力を溜めると、それを一気にWサイクロンジョーカーへと向けて発射。Wサイクロンジョーカーはたちまちコアが消失し、消滅した。

 

しかし………

 

一見有効打に見えるこの効果はトゥエンティの伏せていたバーストを踏んでしまう条件でもあって………

 

 

「それが貴様のライダースピリットの力か……この程度ならオレの敵ではない!!…相手の召喚時効果発揮後によりバースト発動、第二の仮面ライダークウガライジングマイティ!!」

「!」

「バースト効果によりシンボルが1つの雷を破壊し、このスピリット自身を召喚!」

 

 

ー【仮面ライダークウガライジングマイティ[2]】LV1(1S)BP6000

 

 

Wサイクロンジョーカーを葬った雷。しかし直後に反転したトゥエンティのバーストカードの効果により、足元から火柱が吹き荒れ、それに飲み込まれてしまった。

 

対するトゥエンティの場には赤きライダースピリット、仮面ライダークウガライジングマイティが新たに出現。

 

複数のライダースピリットを有する事ができるトゥエンティの形成逆転………………

 

かに見えたが………

 

 

「ザザザ……今度は赤属性のライダースピリットか。良い効果してるな」

「………なに!?……何故雷が場に残っている!?」

 

 

消えて行く火柱の中より姿を見せたのはまさかの対象になったはずの仮面ライダー雷。クウガライジングマイティの効果を受けて尚生き残って見せたのだ。

 

当然カラクリがないわけではなく、黒い煙はそれをトゥエンティに説明して行く。

 

 

「ネクサス、衛星アークのLV2の効果だ。カード名「滅」「亡」「迅」「雷」を含む自分のスピリットが相手の効果で破壊される時、同じ状態で残る」

「!!」

「そう。この効果で雷は効果で破壊されても尚、生き残った」

 

 

仮面ライダー雷のその驚異的な生命力の秘密はネクサスカードである衛星アークにあった。これにより、雷はLV2の衛星アークが存在する限り、決して効果破壊効果を受けない。

 

 

「そしてそのライダースピリットにもご退場願おうか………衛星アークのLVを2にダウンさせ、雷のLVを3にアップ」

 

 

ー【衛星アーク】(2➡︎0)LV2➡︎1

 

ー【仮面ライダー雷】(2S➡︎4S)LV2➡︎3

 

 

仮面ライダー雷のLVをマックスの3に上昇させる黒い煙。直後に堂々とアタックステップを宣言して見せ………

 

 

「アタックステップ……雷でアタック。アタック時効果でクウガライジングマイティに指定アタック!」

「なに!?」

「驚いたか?…雷はコアが2個以下のスピリットを指定してアタックができる」

 

 

紫で指定アタックを行える特異なスピリット雷。その2つの剣に稲妻を迸らせ、トゥエンティの場のクウガライジングマイティを容易に斬り裂く。クウガライジングマイティは堪らず爆散してしまった。

 

 

「……くっ」

「ザザザ……少なくともこのターンの鬩ぎ合いは私の勝ちだな。ターンエンド」

手札:5

場:【仮面ライダー雷】LV3

【衛星アーク】LV1

バースト:【無】

 

 

(……コラボダンジョンの最奥部の罠だけあって流石になかなかやる。だが見逃さないぞ、オレのクウガライジングマイティを破壊するために衛星アークのLVを下げた事を……!)

 

 

衛星アークのレベルがダウンし、雷の耐性が無くなっているこの一瞬隙をトゥエンティは逃さない。雷を破壊して優勢に立つべく、その巡って来たターンシークエンスを進めていった。

 

 

[ターン04]トゥエンティ

 

 

「メインステップ……先ずは仮面ライダービルドラビットタンクフォームを召喚!…召喚時効果でデッキからカードを3枚オープン、その中のライダースピリット、クウガライジングペガサスを手札に加える」

 

 

……鋼のムーンサルト、ラビットタンク!!

 

 

ー【仮面ライダービルドラビットタンクフォーム】LV2(3S)BP6000

 

 

鳴り響く音声と共に、赤と青が特徴的なライダースピリット、ビルドラビットタンクフォームが姿を見せる。その効果でトゥエンティの手札を潤す。

 

 

「神託でコアを追加し、アタックステップ……ビルドラビットタンクフォームで攻撃する!」

 

 

反撃開始であると言わんばかりのトゥエンティの攻撃。そのフラッシュタイミングで手札からさらにカードを1枚引き抜いて………

 

 

「フラッシュチェンジ、ビルドラビットタンクフォームを対象に、今加えた仮面ライダークウガライジングペガサスを発揮!!……BP10000までスピリットを好きなだけ破壊」

「!」

「仮面ライダー雷を破壊する!!…そしてその後対象となったビルドラビットタンクフォームと回復状態で入れ替える!!……現れろ!」

 

 

ー【仮面ライダークウガライジングペガサス】LV2(3S)BP7000

 

 

放たれる疾風の矢。それは黒い煙の場に存在する雷の腹部に命中。その身体はたちまち風化してしまい、この世を彷徨った。

 

トゥエンティの場ではビルドラビットタンクフォームがデジタル粒子に変換。分解と結合を繰り返し、新たなライダースピリット、仮面ライダークウガライジングペガサスへと姿を変えた。その新たな姿で場がガラ空きとなった黒い煙に容赦なく襲いかかる。

 

 

「アタックは継続中!!…このターンのフルアタックでオマエは終わりだ!!」

「ザザザ……冗談でしょ?……まだまだ楽しませてもらうぞ……そのアタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉黒い煙

 

 

クウガライジングペガサスの放つ矢が黒い煙のライフバリアを撃ち抜く。だが、それは彼の伏せたバーストを反転させる条件………

 

 

「ライフの減少でバースト発動〜〜…絶甲氷盾」

「!」

「ライフ1つを回復し、コストを支払う事でこのターンのアタックステップを終了させる」

 

 

〈ライフ2➡︎3〉黒い煙

 

 

反転させたバーストカードでライフを回復するだけではなく、フィニッシュまで持って行けたであろうトゥエンティのアタックステップを強制的に終了させる黒い煙。

 

 

「ッ………ターンエンドだ」

手札:2

場:【仮面ライダークウガライジングペガサス】LV2

【変身!!仮面ライダージオウ】LV2(3)

【パンドラボックス】LV1

バースト:【無】

 

 

歯痒い思いをするトゥエンティ。苛立ちを覚え、眉間にシワを寄せてはいるが、バトルに対する冷静さを失う事なくこのターンをエンドとする。

 

 

[ターン05]黒い煙

 

 

「ザザザ……やはりオマエの攻撃は重たいな」

「??」

「覚悟があるヤツにしかできない攻撃だ。何かを成し遂げると覚悟を決めた者の一撃は重たい……オマエはいったいどんな覚悟を決めてこの場に立っている?」

 

 

ターン開始直後の刹那。黒い煙は不気味な声でトゥエンティに語りかけて来た。

 

彼の覚悟と言えば、当然ながら身の危険を冒してでも恋人であるテンドウ・カナを救う事だ。しかしそれを目の前の異常生命体に説明する義理もない。

 

 

「……貴様とお喋りをする気はないと、前のターンも言ったはずだ」

「釣れないね〜〜…仕方がない、少しだけ本気を出す事にしよう」

「!」

「メインステップ……」

 

 

メインステップを開始する黒い煙だったが、

 

次に彼が召喚したのは驚きを隠し得ないものであって………

 

 

「現れろ。第二の仮面ライダー滅!!」

「!?」

 

 

ー【仮面ライダー滅スティングスコーピオン[2]】LV1(1)BP7000

 

 

凝縮された闇の力がライダースピリットの姿となって地上に現れる。その正体は仮面ライダー滅。先程の雷同様、強力なライダースピリットではあるが、トゥエンティとロンが驚愕するのはそこではなくて………

 

 

「……オレのジオウと同じ……貴様も複数のライダースピリットを扱えるのか!?」

「何を言ってる。我々ならこのくらい当たり前さ」

 

 

そう。別種のライダースピリットを操れる力が黒い煙にはある事に驚愕せざるを得なかった。

 

ミラーライダー限定で複数操る事ができるオーディンに似ているのかとロンは内心で推理するが、口振りからしてそう言うわけでもなさそうだ。

 

 

……何か別のカラクリがあるのか?

 

 

2人が同時にそう考えた直後。黒い煙は召喚した強力なライダースピリット、仮面ライダー滅の召喚時効果を発揮させて………

 

 

「ザザザ……滅の召喚時効果!!…相手のコア3個以下のスピリット3体を破壊し、衛星アークがある時はさらに追加で相手の創界神ネクサスを破壊する!」

「!!」

「気がついたようだな……厄介なオマエの変身を解除させてもらおうか」

 

 

アーチェリーのような武器を手に持つ滅。そこから強烈な一矢を放つと、それは瞬く間に場のクウガライジングペガサスを貫き………

 

そしてジオウに変身したトゥエンティをも貫いて………

 

 

「ぐ……ぐぁぁぁぁあ!?!」

「ッ……トゥエンティ!!」

 

 

余のダメージ量に変身が解け、その場で思わず片膝を突いてしまうトゥエンティ。変身の解除のダメージはライフで受ける時よりも過多である。ロンの想像を絶する痛みが今正に彼を襲っていた。

 

 

「ターンエンド……ほぉ、変身を解除されても尚、まだ動けるか……やはりかなりの覚悟がある者だと見た」

「……だ、黙れケモノが……勝負はこれからだ」

「おいオマエ、そんな身体で大丈夫なのか!?」

「オマエに心配される程、オレはやわじゃない。そこで指を加えて見ていろ」

 

 

明らかな痩せ我慢。強がりを見せるトゥエンティ。

 

損なわれた体力を振り絞りながら己のターンを開始して行く………

 

 

[ターン06]トゥエンティ

 

 

「メインステップ……2枚目のパンドラボックスを配置し、手札に戻ったビルドラビットタンクフォームを再召喚!…効果で3枚オープンし、ライダースピリット1枚を手札に加える……!」

 

 

ー【パンドラボックス】LV2(1)

 

ー【仮面ライダービルドラビットタンクフォーム】LV2(3)BP6000

 

 

再召喚されるビルドラビットタンクフォーム。その効果でトゥエンティは使えるライダースピリットを探索するも、いずれもこの状況を打破できるモノではなくて………

 

 

「オレはこのライダースピリットを手札に加え、残りは破棄……1枚目のパンドラボックスのレベルを上げ、ターンエンドだ」

手札:2

場:【仮面ライダービルドラビットタンクフォーム】LV2(3)BP6000

【パンドラボックス】LV2

【パンドラボックス】LV2

バースト:【無】

 

 

「どうした?……もう打つ手無しか」

「黙れケモノ……さっさとターンを進めろ」

「ザッザ……強がるね」

 

 

どう足掻いても覆せないこのターン。トゥエンティは屈辱のターンエンド宣言を行う。

 

次はジオウ同様に複数のライダースピリットを扱える力を持つ黒い煙。どこから発しているかもわからない不気味な嘲笑を上げると、己のターンを開始して行く。

 

 

[ターン07]黒い煙

 

 

「メインステップ……魂鬼を召喚……そして3枚目のライダースピリット、亡をここに呼ぶ」

「!!」

 

 

ー【魂鬼】LV1(1S)BP1000

 

ー【仮面ライダー亡】LV1(1)BP4000

 

 

手始めと言わんばかりに人魂ならぬ鬼魂と言えるスピリット、魂鬼が姿を見せると、突如として狼の遠吠えが響き渡る。それがなり終わると同時に場へと参上したのは青白いライダースピリット亡。黒い煙が扱えるライダースピリットの1体であるようで………

 

 

「召喚アタック時効果……他の自分のスピリット1体を破壊……さっき召喚した魂鬼を破壊」

 

 

亡は登場するなり腕に備え付けられた鍵爪で魂鬼を斬り裂く。一見無駄に見えるこの効果だが、当然ながら大きなリターンが待っていて………

 

 

「その後、破壊したら相手は相手のスピリット1体を破壊しなければならない」

「ッ……オレの場にはビルドラビットタンクフォームのみ」

「そう。つまりそれが消える」

 

 

トゥエンティの場に存在するビルドラビットタンクフォームに高速で斬り裂く仮面ライダー亡。ビルドラビットタンクフォームは堪らず爆散……

 

 

「魂鬼の破壊時効果、ソウルコアが置かれていれば1枚ドロー………さらに2体目の仮面ライダー雷を召喚」

 

 

ー【仮面ライダー雷】LV1(1)BP4000

 

 

このバトル中では2体目となる雷を呼び出す黒い煙。これで彼の場には合計3体のライダースピリットが揃った。フィールドには軽減用のネクサスしかないトゥエンティと比べるとかなり差が開いて来た。

 

 

「仮面ライダー滅のLVを2にアップさせアタックステップ……」

「ッ……来るか……」

 

 

ー【仮面ライダー滅スティングスコーピオン[2]】(1➡︎2)LV1➡︎2

 

 

場には強力なライダースピリットが3体。敵のスピリットも効果で滅殺した………

 

遂にライフへの直接攻撃が来るか……??

 

そうトゥエンティは内心で予測を立てるが……………

 

彼の取った行動は…………

 

 

「ザザザ………アタックは無し。これでターンエンド」

「なに!?……この状況でアタック無しだと!?」

 

 

まさかのエンド宣言。攻撃に切り替えるには正にこれ以上に打ってつけの状況などなかったと言うのに………

 

 

「貴様……オレを嘗めているのか!!」

「ザッザ……そう思いたくばそう思っていろ……こちらとしてはまだ準備が足りてないんでね」

 

 

 

(……ぐっ……オレは今、いったい何とバトルしているんだ……!)

 

 

得体の知れない煙と声だけの怪物。じわじわと来る力の差。

 

実態が無いこともあり、トゥエンティは一瞬自分が何と戦っているのかを見失いかけるが、それでもカナのためにと己に巡ってきたターンを進めて行く。

 

 

[ターン08]トゥエンティ

 

 

「ドローステップ!!………くっ」

 

 

力を振り絞り、デッキからカードを引き抜くも、デッキの回転が良くないのか苦い表情を浮かべるトゥエンティ。

 

 

「メインステップ……3枚目のパンドラボックスを配置してターンエンドだ」

手札:2

場:【パンドラボックス】LV2

【パンドラボックス】LV2

【パンドラボックス】LV2

バースト:【無】

 

 

結局ほとんど何も出来ず、そのターンをエンドとしてしまうトゥエンティ。

 

防戦一方な状況が続き、再び黒い煙のターンが幕を開ける………

 

 

[ターン09]黒い煙

 

 

「メインステップ……4種目のライダースピリット、仮面ライダー迅バーニングファルコンを召喚!!」

「!!」

「召喚時効果でコア1つを追加」

 

 

ー【仮面ライダー迅バーニングファルコン】LV2(2➡︎3)BP8000

 

 

吹き荒れる炎。それが弾け飛び去って行くと、中より鷹をモチーフにしたライダースピリット、迅バーニングファルコンが姿を見せる。

 

 

「ザザザ……これで揃った、アタックステップ……」

 

 

遂にトゥエンティのライフを破壊しに向かうのか、アタックステップを宣言する黒い煙。

 

そして今現在、彼の場には名称「滅」「亡」「迅」「雷」を持つライダースピリットがそれぞれ1体ずつ存在していて………

 

 

「行け、滅……攻撃しろ」

「ッ……やっと来たか、だが4体のライダースピリットのシンボルはそれぞれ紫の1のみ……ライフ5のオレのライフを0にはできない」

「いや、もうオマエは詰んでるよ……滅のアタック時効果。カード名「滅」「亡」「迅」「雷」を含むライダースピリットが1体以上存在する場合、相手ライフを2つボイドに置く」

「なに!?」

「今までオマエのライフを減らさなかったのは単なるミスでも手抜きでもない。ただ減らしても意味がなかったのだ。このターンでどちらにせよ勝負を決めれるのだから……!!」

 

 

発揮される仮面ライダー滅の効果。亡、迅、雷からエネルギーが滅へと流れ込んで行き、滅はその力を乗せた矢を放つ。

 

その強烈な一撃はトゥエンティのライフ2つを跡形も無く玉砕して…………

 

 

「ぐっ……ぐぁぁぁぁあ!?!」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉トゥエンティ

 

 

変身解除の時とは比べものにならない痛みがトゥエンティを襲う。激しい苦痛と共に、目の前の黒い化け物の実力の高さを思い知らされる。

 

 

「ザザザ……変身解除を耐えたオマエでも、この痛みは流石に堪えるようだな……滅のアタックは継続中だ」

「くっ………まだだ。まだ……オレは戦える……例え目の前にいる敵が人智を超えた化物てまあろうと………カナのために……!」

 

 

カナの病気を治すために勝つ………

 

屈するわけにはいかないんだ………

 

そう何度も自分に言い聞かせながら、モチベーションを高め、効果の発動を宣言する………

 

 

「オレのライフ減少によりバースト発動!!」

 

 

痛みで朦朧とする意識の中、気を強く保ち、高らかにライフ減少のバースト発動の宣言をするトゥエンティ………

 

だが…………

 

 

「ライフ減少のバースト??……戯事を抜かすな。オマエのバーストゾーンにはバーストなど無いではないか」

 

 

そう。

 

今現在、トゥエンティのバーストは伏せられていない………

 

それが故に、バースト発動を宣言する事自体、あり得ない事なのである………

 

しかし………

 

 

「戯事を抜かしてるのは貴様の方だ……トラッシュに存在する仮面ライダーネクロムの効果、ゲーム中に一度だけ、トラッシュから自身のバースト効果を発動できる!!」

「ッ……トラッシュからバースト効果だと?」

「効果によりスピリットのコアを2つをリザーブに置く……消え去れ仮面ライダー亡、雷!!」

 

 

ー【仮面ライダー亡】(1➡︎0)消滅

 

ー【仮面ライダー雷】(1➡︎0)消滅

 

 

仮面ライダー亡と雷の足元から突如として噴き出す紫の波動。それは彼らを飲み込み、体内のコアを除去。消滅へと追い込んだ。

 

 

「その後、このスピリットを召喚する……黄泉の底より現れろ、仮面ライダーネクロム!!」

 

 

ー【仮面ライダーネクロム】LV3(6)BP8000

 

 

トゥエンティの場、地中より噴き出す緑色の水捌き。その中より現れ出でたのは白い体に頭部に一角を備えたライダースピリットネクロム。

 

トラッシュで効果を発揮できる特異なライダースピリットである。ただ、このネクロムと言えども滅のアタックは止められなかったか、彼のアタックそのモノは未だ継続中で………

 

 

「滅のアタックはライフで受ける!!……ッ」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉トゥエンティ

 

 

再び放たれる滅の矢はトゥエンティのライフをさらに1つ破壊して見せる。そのライフは遂に2まで追い詰められるが、少なくともこのターンで黒い煙がフルアタックを仕掛けたとしてもそれは決して0にはできなくて………

 

 

「ザザザ……やるな。だがこの程度は耐えてもらわないと困る……ターンエンドだ」

手札:3

場:【仮面ライダー滅スティングスコーピオン[2]】LV2

【仮面ライダー迅バーニングファルコン】LV2

【衛星アーク】LV2

バースト:【無】

 

 

「強い……しかもまだ本気を出していないのがわかる………まるであの時の化物見たいな……ッ…まさかコイツは………」

 

 

ターンをエンドとする黒い煙。激しい攻防が繰り広げられる中、ロンは禍々しい気配を常に漂わせている黒い煙のバトルを、異世界で戦ったヘタマイトに重ねていた。

 

そしてその正体に一人勘付いて………

 

 

「ここで決める……オレのターン!!」

 

 

しかしトゥエンティはそんなロンを気にする様子はない。反撃を開始すべく無我夢中で己のターンを進めて行った………

 

 

[ターン10]トゥエンティ

 

 

「メインステップ……クウガタイタンフォームのチェンジ発揮!!……衛星アークを破壊!」

「!」

 

 

ターン開始直後にトゥエンティが放ったのは相手のネクサスカード1つを破壊する「仮面ライダークウガタイタンフォーム」のチェンジの効果。これにより、衛星アークは内部から爆発、滅亡迅雷のスピリット達は効果破壊による耐性を失ってしまう。

 

 

「その後の入れ替えはせず、ネクロムを対象に【煌臨】を発揮!!」

 

 

ソウルコアをコストとしてトラッシュへと移動させ、スピリットを更なる姿へと進化させる効果【煌臨】………

 

ネクロムは黄金の光をその身に纏い、姿形を大きく変化させて行く………

 

 

「現れろ……仮面ライダーグランドジオウ!!」

 

 

グ・ラ・ン・ド!

 

ジオーウ!!

 

 

ー【仮面ライダーグランドジオウ】(6)BP20000

 

 

やがて黄金の光を解き放ち現れたのは、仮面ライダージオウの強化形態、仮面ライダーグランドジオウ。

 

その威厳ある風格に満ち溢れた姿は正しくライダースピリットの王であり………

 

 

「グランドジオウ……ザザザ……まだ足りてないようだな」

 

 

その圧倒的な存在感を放つトゥエンティのグランドジオウを見て尚、不気味な笑みを浮かべながらそう意味深な言葉を呟く黒い煙。

 

だがトゥエンティは止まらずにグランドジオウで攻撃を仕掛けて………

 

 

「アタックステップ!!…グランドジオウでアタック!!…そのアタック時効果で手札にある最後の1枚、仮面ライダーオーズプトティラコンボを煌臨元に追加し、そのアタック時効果をグランドジオウのアタック時効果として使用!!」

「!!」

 

 

グランドジオウは左腕の上段にある仏像をタッチすると、光と共に獰猛な肉食恐竜を象った紫色の斧のような武器を手に取る。

 

そしてそれを黒い煙の場に存在する迅バーニングファルコンへと向け………

 

 

「オーズプトティラコンボのアタック時効果……コスト4以下のスピリット1体を破壊する……さらにこの時、オレの場のカードの数だけ破壊上限のコストを1上げる」

「ほほぉ……今場には3枚のパンドラボックスとグランドジオウ……つまり破壊上限はプラス4コスト……コスト8以下のスピリットを破壊できるわけだ」

「そう言う事だ!!…迅バーニングファルコンを破壊!」

 

 

……プ・ト・ティラーノヒッサーツ♪

 

 

陽気な音楽と共に斧を振り下ろすグランドジオウ。そこから発せられた紫の衝撃波が、黒い煙のライフを守るブロッカーとして残っていた迅バーニングファルコンを破壊して見せる。

 

これで黒い煙の場には滅のみ。そしてブロックできるスピリットはいない……

 

トゥエンティは締めだと言わんばかりにグランドジオウの更なる効果を発揮させる。

 

 

「グランドジオウ更なる効果!!…フラッシュタイミングで1コストを支払い、煌臨元のライダースピリット1体を召喚し、相手ライフに1つのダメージを与える!」

「!」

「オレはこの効果を二度使用し、仮面ライダーネクロムと仮面ライダーオーズプトティラコンボを召喚!!…貴様に合計2点のダメージを与える!」

「ッ………!」

 

 

ー【仮面ライダーネクロム】LV1(1)BP4000

 

ー【仮面ライダーオーズプトティラコンボ】LV1(1)BP7000

 

 

〈ライフ3➡︎2➡︎1〉黒い煙

 

 

グランドジオウが手を翳すと、時を超越した時空の扉が今開く。

 

その中より仮面ライダーネクロムと、紫色の獰猛なライダースピリット、仮面ライダーオーズプトティラコンボが飛び出し、そのまま黒い煙のライフを打ち砕いて行く。

 

これで残りライフは1。しかもグランドジオウのアタックは継続中であり………

 

 

「グランドジオウのアタックは続いている……これで終わりだァァァー!!」

 

 

鬼気迫るトゥエンティの勢い。そんな彼の必死さが伝わって来たのか、黒い煙は又しても余裕のある笑い声を上げると………

 

 

「ザザザ……成る程、糧としては上々じゃないか………ライフで受ける」

 

 

〈ライフ1➡︎0〉黒い煙

 

 

刹那。

 

その瞬間。トゥエンティの想いを乗せた、グランドジオウは強烈な拳の一撃で黒い煙の最後のライフを殴りつけ、粉々に粉砕して見せる。

 

これにより、勝者はライダーハンターズのトゥエンティだ。最後は意外にも呆気ない幕引きとなってしまったが………

 

 

「オ……オレの勝ちだ……早く……早くライダースピリットを寄越せ!!…貴様がバトルで使用した4枚のスピリットを!!」

 

 

そう。

 

これでトゥエンティはウィルとの約束であった、合計20枚のライダースピリットを揃える事ができる。

 

およそ3年。ようやくカナを不治の病から助け出す希望を手に握る事ができる。激闘を終えて体力の限界を迎えつつあったトゥエンティは、息を切らしながらも黒い煙にその残りの4枚のライダースピリットを差し出せと要求する………

 

しかし………

 

 

「そう急くな……ザザザ……よく試練に耐えた……お望み通り、くれてやろう……ライダースピリットだけじゃない。私の『黒の力』もな!!」

「なに!?」

 

 

突如として滅亡迅雷のライダースピリットカードと共に飛び出して来た黒い煙は、トゥエンティの身体に纏わり付いて来た。そして少しずつだがその身体の中に浸透していき………

 

 

「ぐっ……ぐぁぁぁぁあ!?!」

「トゥエンティ!!……おいクロキモヤロー…今黒い力って言ったな……やっぱりオマエは……」

 

 

トゥエンティが窮地に落ち入る中、ロンは黒い煙に問い掛ける。彼はトゥエンティを取り込もうとしながら、その質問に返答して………

 

 

「ザザザ……そうだ。よくわかったな……私は『オブシディアン』………黒の世界、ブラックフォースの1人にして最強の力を持つ者!!……待っていた、ずっとこの時を待っていたぞ……ウィルの育てた使い手を!」

「!!」

 

 

そう。

 

黒い煙のその正体とはオニキスやヘタマイト同様ブラックフォースの1人、しかもその中でも最強の力を持つと言われている「オブシディアン」………

 

その口からは何故かウィルの名が出てくる。何かしらの関係があるのだろうかと勘ぐってしまうが、今はそれどころではない。

 

 

「くっ……おいトゥエンティ!!…そんなヤツに負けるんじゃねぇ!」

「ぐっ…ぐぅぅ!!」

「無駄だ。もうすぐコイツは私の傀儡となる」

 

 

ロンがいくらトゥエンティに問い掛けても、トゥエンティはもがき苦しんでいる声を上げるのみ………

 

 

「お、オレは……カナを………」

「あぁ、オマエの中に入る事で、オマエの記憶が私にも伝わって来る!!……そうか、恋人のために身を削ってまで……ザザザ……だがそれも徒労に終わる!!……オマエの身体は私の身体、今日からオマエの力は全て私がもらう!!」

「ふ、ふざけるな………ぐっ……ぐぁぁぁぁあ!?!」

「トゥエンティ!!」

 

 

今思えば最初からトゥエンティを待ち続けていたようなオブシディアンの発言の数々。トゥエンティの身体を得て何をしようと言うのか、黒い煙を再び漂わせ、その中より姿を眩ましてしまう………

 

そのコラボダンジョンの最奥部には、ロンがただ1人残された。

 

 

「何だったんだ今のは………くっ」

 

 

トゥエンティが取り込まれてしまった事に少なからず責任を感じているロン。普段は自分が強くなる事しか考えていない彼だが、目の前であんなモノを見せられたら黙っているわけにはいかない………

 

颯爽とコラボダンジョンを出て行き、オウドウ都の方へと歩き出した………

 

 

 

 




最後までお読みくださり、ありがとうございました!!

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