バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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最近「オメガワールド」「オーバーエヴォリューションズ」の正当な続編「バトルスピリッツ 王者の鉄華」も連載をスタートしました!

主人公「鉄華オーカミ」と相棒のバルバトスの活躍にご期待ください!
下記のリンクから飛べるので、感想等よろしくお願いします!

https://syosetu.org/novel/250009/



54コア「選ばれるための一撃」

ノヴァ王国の中心都市オウドウ都。その中にある三王塔と呼ばれる巨大な鉄塔はその言葉通り、最強のカードバトラー集団三王とそれさえをも超える存在、頂点王の職場である。

 

本来であれば6枚のカラーカードを獲得していなければ何人たりとも入る事を許されないこの場所に呼ばれたアスラとエールは最上階である頂点王の間を目指し階段を上がっていた。

 

 

「ねぇバカスラ。なんでまたテンドウは私たちを呼んだのかしら?」

 

 

一段一段と歩みを進めながらエールが前を進んでいるアスラに聞いた。彼は頭に乗っかっている謎のオレンジ色の生物、ムエごと振り向いて答える。

 

 

「うーーーん、アレじゃないか?…またイセカイに行くとか」

「また光黄達の世界に?…この間あんなに盛大に別れたのに、また直ぐに会うのもね」

 

 

要件は言わず、オウドウ都の三王塔に来いとだけ言われた2人。いつも以上に真剣だったテンドウの声色から考えるに、今回は相当重要な事であると勘ぐれるが………

 

 

「まぁ正直なんだっていいさ!…あのテンドウさんに呼ばれたんだ!…どんな願い事でもバッチリ引き受けてやるぜ!」

「呑気ね………尊敬できる程凄くないわよテンドウって……いつもタバコばっかり吸ってるし、賭博しに行くし」

「そんな事ねぇよ!…凄い人じゃねぇか!…この間だってちょび髭シルクハットからオレ達を守ってくれただろ?」

「まぁそりゃやる時はやるけど」

 

 

同じ赤いライダースピリットを使うからか、テンドウを尊敬しているアスラ。幼少期から彼のだらしなさを見てきているエールはそんなアスラの感情があまり理解できなかった。

 

そして2人は会話しているうちに、頂点王の間の門前まで辿り着いた。アスラは青銅でできたその扉をゆっくりと開け、中へと入室して行く………

 

そこに居たのは…………

 

 

「あ、来た来た……おーい、アスラ、エールちゃん!」

 

 

先ずは現在の頂点王シイナ・メザだ。頂点王の間であるので、ここに彼女がいるのは当然の事。

 

 

「やっと来たか、遅いぞ小僧。殺されてぇのか?」

「すんません!!…でも結構早めに来ました!!」

「オマエ、誰に口答えしてんの?」

「えぇぇ!?!」

 

 

アスラに恐怖の顔面で詰め寄って来たのは他でもないライダースピリットを司る三王テンドウ・ヒロミ。アスラ達を呼んだのは彼なので、当然彼もここにいる。

 

 

「エレンお兄様まで……いったい何が始まろうって言うのよ」

「エールよ、久し振りに会った実の兄に挨拶の一つもできないとはな」

「あ……ご、ごめんなさいお兄様……ご無沙汰しております」

「フン」

 

 

エール・オメガの実の兄にして、モビルスピリットを司る三王、エレン・オメガもそこに居た。エックスと言う最高身分、三王と言う最高位に最も近い存在である彼は妹であるエールに対しても常に仏頂面であるが…………

 

 

(し、しまった〜〜〜〜!!!……またエールに変な事言ってしまった〜〜〜!!!……違う、違うのだエールよ……これはただ挨拶されなくて寂しかっただけなのだ……許してくれぇぇぇぇえ!!!)

 

 

内面でそう叫ぶエレン。

 

その正体は極度のシスコン。エールに対しても外面ではクールで冷静なフリをしている彼だが、本当は妹であるエールが好き過ぎるだけなのだ。

 

つまり彼の生態をわかりやすく説明すると、ツンデレシスコン三王。

 

 

「す、すげぇ……三王の2人だけじゃない、シイナまで居るなんて……」

 

 

錚々たる面々。いずれ超えなければならない相手達が目の前にいるためか、思わずテンション、闘争本能の高まりを感じるアスラ。

 

口角を上げて笑みを浮かべるが………

 

彼としてはもう一つ気になる事があって…………

 

 

「つーかなんでそこにオマエがいるんだよロン!!!」

「よぉアスラ」

 

 

その方角へと全力で指を刺すアスラ。その先には彼の幼馴染みにして因縁、永遠のライバル、スーミ村のロンの姿があった。相変わらずアスラとは違い、クールでイケメンで背が高い。

 

 

「なんでオマエ平然とこんな凄い人達の中に混ざり込めるわけ!?……て言うかなんださっきの「よぉアスラ」って!!……カッコつけてんじゃねぇコノヤロー!!」

「まぁそりゃオマエよりはカッコいいし」

「何だとォォォー!!…遠回しにオレの事ブサイクって言うんじゃねぇコノヤロー!!」

 

 

口喧嘩になると「コノヤロー」しか言えなくなるアスラ。

 

だがこの口喧嘩や罵り合いはこの2人にとって普通な事。お互いをよく知り、よく理解している2人にしかできない会話である。

 

 

「そう言えばオマエ、紫のカラーリーダー……カゲミツさんにリベンジは果たしたか?」

「ッ……おぉそうだったぜ、見ろよコレ!!…バッチリ勝って来たぜ!!…何か知らんけど黒い龍騎、リュウガのカードも一緒に使えるようになったしな!」

「……へぇ」

 

 

ロンにそう言われると、アスラは勝ち誇ったような表情を見せながら懐より紫のカラーリーダーに勝利した証であるパープルカードと仮面ライダーリュウガのカードを彼に見せつける。

 

 

「どうだイケメン天才コノヤロー!…オマエに追いついてやったぜ!」

「フッ……その程度で追いついた気になってるとは、お気楽だな、一点突破バカ」

「な、なにぃ!?」

 

 

ロンは小さく笑みを浮かべると、自身も懐からカラーカードを取り出した。それはこれでもかと言わんばかりに赤々と光輝いていた………

 

それを目に映すなり、アスラや、その横にいたエールも思わずして言葉を詰まらせる。

 

そう、ロンが見せつけて来たこのカードは………

 

 

「ろ、ロンオマエ……ひょっとしてそのカード………最後の」

「あぁその通りだ。最後のカラーカード、レッドカード……これでオレは全てのカラーリーダーを倒した証を手に入れ、三王への挑戦資格を得た」

「!!」

 

 

鳥肌が止まらない。

 

因縁、永遠のライバルである彼が強くなったと言う喜びと、常に前を行かれると言う悔しさが同時にアスラを襲った。

 

だがアスラはそれさえをも己の糧とするかのように笑みを浮かべると………

 

 

「はは……クソおめでとうだぜイケメン天才ヤロー……だけど、オレも直ぐに追いついてやるからな!」

「フッ……その言葉何回目だ一点突破バカ……来るなら来いよ。オレは先に行く」

「へへ……」

 

 

どちらが先に頂点王になれるかを競い合っているアスラとロン。そんな2人の競争もいよいよ佳境を迎えようとしているようだ。

 

そしてその間に割って入るように口を挟んで来たのは他でもない三王テンドウ・ヒロミ。

 

 

「オマエ達の乳繰り合いはその辺にしとけ、本題に入るぞ」

「誤解されるような言い方はやめてください」

「そうだテンドウさん!!……なんでオレ達呼ばれたんすか!?…しかもロンまで!!」

「うるせぇ。本題に入るって言ってんだろ」

 

 

頂点王シイナ、三王のテンドウ、エレンだけではない。アスラロンエールまでもがここに集められた理由を、このテンドウが語って行く。

 

 

「まぁアレだ。単刀直入にざっくり説明しちゃうと、今からライダーハンターズ潰しに行くぞって事だ」

 

 

ー!!

 

 

これ以上にないわかりやすい説明をするテンドウ。

 

 

「つ、潰しに行くって、アイツらの場所わかるんすか!?」

「バカヤロー小僧、オレを誰だと思ってる。ちゃんと調べて突き止めてやったよ」

「おぉスゲェ!!…流石テンドウさん!」

「………まぁやったのはテンドウじゃなくてテンドウの部下なんだけどね」

 

 

アスラが目をギラギラと輝かせながら興奮すると、シイナが捕捉する。

 

そして今からライダーハンターズを倒しに行くと思うと感情が昂ったエレンはその拳を強く固め…………

 

 

「だがこれでヤツらを一網打尽にできる。いつもはこちらが後手に回っていたが、今回は我らが先手に回る時だ」

「それでアイツらを倒すためのメンバーを集めるためにアスラ、オマエが選ばれたってわけだ」

「ッ……オレが選ばれた!?」

 

 

ロンがアスラに言った………

 

そう。アスラがこの場に召集された理由。

 

それがライダーハンターズを一網打尽にする作戦に加えられたからである。

 

 

「あぁ。オマエとイケメン天才君は今まで幾度となくアイツらとぶつかって来たからな………次いでにカラーカードの枚数も申し分ねぇ、そこらへんのカラーリーダーを連れていくよりかはそっちの方が良い」

「うぉぉお!!…メッチャ光栄ですテンドウさん!!…頑張ります!!」

「はい暑苦しーー…ちょっと黙って」

「えぇぇ!?!」

 

 

テンションのアスラが声を荒げるが、テンドウが一瞬で黙らせる。その後、テンドウは今一度口を開き、今回のメンバーを改めて発表していく。

 

 

「と、言うわけで今回のメンバーはオレ、ツンデレエックス……」

「誰がツンデレだ、この異邦人」

「そんで元はエックスのアーサー家だったイケメン天才君に、ソウルコアの使えない小僧の4人だ」

「………」

 

 

彼のつける妙な渾名をなしでメンバーを上げると、「テンドウ」「エレン」「ロン」「アスラ」の4人が今回のメンバーである。改めて指名された事でやる気を見せるかのような表情を見せるアスラだったが、その反面、呼ばれなかったエールの表情はどこか暗くて………

 

そんな中、肝心の最強カードバトラー、頂点王であるシイナの名前がない事にアスラが気付く。

 

 

「アレ??……シイナは?」

「あっはは…最初は行く気満々だったんだけどエレンに止められちゃった」

「貴様がここを離れたら誰が最後に国を守ると言うのだ……それにライダーハンターズのウィルは貴様の攻略法を見つけたと言っていたしな。念のためだ」

 

 

今回はお留守番の頂点王シイナ。彼女に勝てるカードバトラーなど先ず存在しないため、連れて行けば間違いなくバトルに勝てるのだが、用心深いエレンは念のために彼女をこのオウドウ都に残して置く作戦に出た。

 

 

「じゃ、私はエールちゃん、ムエと一緒にここでお留守番かな……麻雀でもする?」

「15のエールにそんなモノを教えるな」

「まぁまぁ良いじゃないかエレン。エールちゃんはもうすぐ16歳だよ?」

「そのラインは関係ないだろ!」

 

 

妹のような存在であるエールと久し振りに遊べると思ってテンションが高いのかふざけまくる頂点王シイナ。これから味方が敵軍に攻め込むと言うのにまるで緊張感がない。

 

 

「まぁ正直エールちゃんとなら何やっても良いんだけどさ。何して遊ぶ?」

「………わ、私は………」

 

 

エールは少し黙り込むと、内に秘めていたその感情を正直に吐露する。

 

 

「シイナ様、私は……いや私もこの作戦に同行させてください!」

「………」

「アスラと、みんなと一緒に戦いたい!」

「エール……」

 

 

今まで幾度となく死線を潜り抜けて来たのはアスラとロンだけではない。このエールもまた共に戦い抜いて来た。今更自分だけが置いていかれるのは嫌だと言わんばかりに主張する。

 

そんな彼女に同情するアスラもまたシイナに向かって頭を下げると……

 

 

「オレからも頼むぜシイナ!…エールはめちゃくちゃ強ぇ!…絶対オレ達の力になる!」

「アスラ………」

 

 

それを見て聞いたエールもまたシイナに向かって頭を下げる。

 

正直、シイナは最初からエールがそう言う事はわかっていた。頂点王の権限で無理矢理叶えさせてやっても良い。いや、叶えさせてあげたい。

 

だが………

 

例えこの国の最強カードバトラー「頂点王」がゆるしても、彼が決してそれを許さない………

 

 

「頂点王とは言え、相手は異邦人だぞエール。仮にも誇り高きエックスなら頭を下げるな」

 

 

ー!!

 

 

「余はオマエの同行は認めん。オマエが居ては足手まといだ」

「お、お兄様………」

 

 

 

そう。

 

誇り高きエックスのオメガ家にしてこの国の三王の1人、エレン・オメガ。

 

エールの実の兄であり、誰よりも彼女の事を大事に思っている彼がそれを許すわけがないのだ。

 

 

「待てよエールの兄ちゃん!…エールだってもう立派なカードバトラーで、これ以上にないオレ達の最高の仲間だ!…一緒に行くくらいいいじゃねぇですかァァァー!」

「貴様に口を開く権限はないぞコモン。そこで黙っていろ」

「またそれかァァァー!!」

 

 

物申すアスラをエレンは黙らせる。

 

 

「そんな固い事言わなくていいんじゃねぇのツンデレお兄様。オマエも知ってるだろエールのオメガモン。ありゃオレ達三王が所持するスピリットを上回るスペックを持つ。それが使えるエールは多分それなりに戦力になる………正直オレは連れて行ってもいいぜ」

「ッ……テンドウ」

「テンドウ貴様……ッ!」

 

 

反対のエレンとは裏腹に、エールの同行は賛成であるテンドウ。エレンから反感を買う事を知っていながらも堂々と己の意見を述べた。

 

そして今度は頂点王であるシイナが前に出ると………

 

 

「私もエールちゃんの好きなようにやればいいと思うけど………やっぱり危険な場所に向かうわけだし、心配かな」

「シイナ様………」

「だから、本気で行きたいと言うのであれば、今ここでエールちゃんの実力を示して欲しい」

「!」

 

 

証明しろと言わんばかりの意見。実際実力がなければ本当に足で纏いになるだけ………彼女の意見は最もである。

 

 

「実力を示す?…ならばこの余が相手だ。完膚なきまでに叩きのめしてわからせてやる」

 

 

妹とのバトルに名乗りを上げるエレンだったが…………

 

 

「いや、ここは私が決める。なんてったって頂点王だからね………ロン!…アンタがバトルをしろ」

「……オレが?」

「そう。オレだ」

 

 

シイナが頂点王たる者の権限で指名したのは他でもない、息子であるロン。

 

その選択に不満があるのか、アスラは反発していく。

 

 

「なんでオレじゃなくてロンなんだよシイナ!!…そう言う話ならオレにやらせてくれよ!」

「アンタはまだカラーカード5枚しか集めてないでしょ。ロンは全部のカラーカードを集めたから三王のエレンも納得だろ?」

「………確かヤツはエックスの身分でありながらコモンの住む辺境で暮らしたんだったな。良かろう、余の代わりにエールを叩きのめして見せよ」

「別にアンタのためにもアンタの妹のためにもバトルはしない。オレはただ、シイナに言われたからやるだけだ」

 

 

エレンにそう言い放ちつつ己のBパットをエールに向けて展開するロン。すぐさまデッキもセットし、準備を整える。

 

対するエールも当然やる気だ。懐からBパットとデッキを取り出す。

 

 

「っしゃぁ!…負けんなよエール!…ロンに勝って一緒に行こうぜ!」

「えぇ、アンタに言われるまでもないわ!!……行くわよロン!」

「あぁ。来いエール・オメガ……オレは正直どっちでもいいから手は抜かないぞ」

 

 

アスラからの声援をもらい、俄然やる気を出すエール。Bパットを展開し、デッキをセットした。

 

そして………

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

三王塔の頂点王の間にて、三王の2人と頂点王、スーミ村のアスラが見守る中、ライダーハンターズ討伐メンバーの仲間入りを賭けたエールとロンのバトルスピリッツがコールと共に幕を開ける。

 

先行はエールだ。相手はあのアスラが一度たりとも勝てた事がない因縁のライバル。だがそれでも負けられないと強気にターンを進めていく。

 

 

[ターン01]エール

 

 

「メインステップ、ネクサス、勇気の紋章を配置!……これでターンエンド」

 

 

ー【勇気の紋章】LV1

 

 

エールの背後に配置されたのは太陽を模した紋章。

 

防御などのサポートに特化したこのネクサスカードで一先ずは様子を見る作戦だろう。

 

しかし………

 

このロンを相手に後手に回る事がどれだけ茨の道なのかを身を持って痛感する事になる…………

 

 

[ターン02]ロン

 

 

「メインステップ……オレはアーマーバット3体を連続召喚!」

 

 

ー【アーマーバット】LV1(1)BP1000

 

ー【アーマーバット】LV1(1)BP1000

 

ー【アーマーバット】LV1(1)BP1000

 

 

鎧を装着したコウモリ型のスピリット、アーマーバット。颯爽と上限の3体がロンの場へと姿を見せる。

 

その後、ロンは己の手札からさらに1枚を引き抜き………

 

 

「さらにオレのライダースピリット、転醒する仮面ライダーナイトをLV2で召喚!」

「なッ!?…最初のターンで転醒のナイト!?」

「不足コストは3体のアーマーバットから確保。よって消滅」

 

 

ー【仮面ライダーナイト】LV2(2)BP6000

 

 

召喚されたばかりだが、すぐさま消滅していく3体のアーマーバット。その代わりに様々な鏡像が重なり合い、闇夜に輝く黒騎士、仮面ライダーナイトが姿を見せる。

 

このスピリットはロンのデッキの中でも最強と呼べるスピリット。対戦相手であるエールが警戒を怠っていたわけではないが、まさか最初のターンで召喚してくるとは思ってもいなかった。

 

 

「召喚時効果で2枚ドロー………アタックステップ、転醒ナイトで攻撃する」

 

 

手札をリカバリーさせた直後、ナイトで攻撃を仕掛けるロン。その瞬間、ナイトには強力な効果を発揮する。

 

 

「ナイトのアタック時効果、【零転醒】手札のアドベントカードを破棄する事でナイトはナイトサバイブへと昇華する!」

「!!」

 

 

仮面ライダーナイトは一瞬にして武器を一新させる。それは腕に装備された青い盾。ナイトはさらに、ベルトよりカードを引き抜き、それをその青い盾のバイザー部に装填………

 

 

………サバイブ!!

 

と言う音声が鳴り響き、仮面ライダーナイトは自身を強化した姿、仮面ライダーナイトサバイブへと昇華して見せる。

 

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ】LV2(2)BP9000

 

 

「最初のターンでいきなりナイトサバイブだなんて………」

「ロンオマエ………」

「言ったはずだエール。容赦はしない」

 

 

黒いマントを翻し、地を駆けるナイトサバイブ。前のターンでネクサスの配置にコアを費やしたエールはこの攻撃をライフで受ける以外の選択肢ない。

 

 

「ライフで受ける……ッ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉エール

 

 

ナイトサバイブの引き抜かれた聖剣の一撃がエールのライフバリアを斬り裂く。

 

たった一つ減らされたライフだが、この時点で実力の差をエールは感じて………

 

 

「ターンエンド。来いよエール・オメガ……こんなモンじゃないだろ、せっかくのオマエとのバトルだ、さっさとオメガモンとか言う究極体のデジタルスピリットを呼べ」

手札:2

場:【仮面ライダーナイトサバイブ】LV2

バースト:【無】

 

 

「ッ……オメガモンを……!?」

「あぁ。それがオマエの最強なんだろ?……今のオマエの全力をオレに見せてみろ。じゃなければオマエはアスラと同じ場所に立てない」

「!!」

 

 

エールにオメガモンの召喚を要求するロン。どうやら彼女の本気が見たいらしい。

 

ここまで煽られてはやるしかない。速攻でオメガモンを場に立てるべく、返って来た己のターンを進めていく。

 

 

[ターン03]エール

 

 

「メインステップ、オメガモンを要求した事、後悔しないでよね!!……第二のアグモンを召喚!」

 

 

ー【アグモン[2]】LV2(3)BP5000

 

 

 

手始めに召喚したのは赤属性の成長期スピリット、獰猛な肉食恐竜をこれでもかとデフォルメしたようなスピリット、アグモンがその姿を見せる。

 

 

「アタックステップ、アグモンの【進化:赤】発揮、手札に戻し、猛き獣レオモンを召喚!」

 

 

ー【レオモン】LV2(4)BP10000

 

 

アグモンは溢れんばかりの青白い光をその身から放ち、その中で姿形を大きく変化させていく。やがてその光を解き放つと、アグモンは赤属性の成熟期スピリット、猛き獣戦士レオモンに姿を変えていた。

 

 

「進化したレオモンでアタック!!…その効果で手札にあるオメガモンをレオモンに煌臨で重なる!!」

「………来るか」

「全てのデジタルスピリットを超えた英雄、オメガモンをここに煌臨!」

 

 

ー【オメガモン】LV3(4)BP21000

 

 

登場したばかりのレオモンは粒子となって散り散りになるが、その粒子は新たに再結合を果たす。こうして現れたのはエールのデッキ最強のスピリット、オメガモン。純白のボディに右腕の砲手、左腕の聖剣が一眼見ただけで何よりも印象に残る。

 

 

「うぉぉお!!出たぜエールのオメガモン!!…頑張れエールゥゥゥ!…ロンなんかぶっ飛ばしちまえ!!…でもって負けんなよロン!!」

「うるせぇぞ小僧。テメェどっちの味方してんだ」

 

 

無表情なテンドウがタバコを吸いながらアスラに軽くツッコミを入れる。アスラは仲間としてエールに、好敵手としてロンに勝利して欲しいのか、やや情緒不安定気味。

 

 

「これがエールのオメガモン……確かに見事なモノだ。よくここまで成長した………しかし、それでもあの落ちぶれエックスにどこまで通用するか……」

「なにエレン。やっぱ心配なの?」

「バカ言え異邦人頂点王……願わくば余はエールの敗北を望んでいる」

「それ本当?」

「………」

 

 

頂点王シイナとモビルスピリットの三王エレンもそう何気ない会話を繰り広げていく中、エールとロンのバトルは続行される。

 

おそらく頂点王シイナのデジタルスピリットに勝るも劣らない力を持つオメガモンがロンに牙を剥く。

 

 

「オメガモンの煌臨時効果、オメガモンのBP以下のスピリット1体を破壊し回復!」

「だがナイトサバイブは自分の場がこのスピリットのみの場合効果を受けない」

「そうよね。でも回復はできる!」

 

 

ー【オメガモン】(疲労➡︎回復)

 

 

右腕のキャノン砲から放たれる強烈な砲撃。普通ならば被弾して仕舞えばひとたまりもないが、ナイトサバイブは手に持つ聖剣でそれを一刀両断。背後で爆散させてそれを凌ぐ。

 

しかし、それでもオメガモンのダブルシンボルの2回攻撃までもを防げるわけではなくて………

 

 

「そしてオメガモンのアタックは継続中!!」

「ライフで受ける………ッ」

 

 

〈ライフ5➡︎3〉ロン

 

 

オメガモンの左腕から伸びる聖剣グレイソード。その一太刀がロンのライフを大きく削る。

 

そしてもう一撃………

 

 

「いけオメガモン!!」

「それもライフだ………ぐっ」

 

 

〈ライフ3➡︎1〉ロン

 

 

グレイソードのニ太刀目がロンのライフを風前の灯である残り1つまで追い詰めた。エールの勝利は目前まで近づいたと言えるが…………

 

 

「ターンエンド!!…どうよロン、オメガモンの……私の力は!!」

手札:3

場:【オメガモン】LV3

【勇気の紋章】LV1

バースト:【無】

 

 

「成る程。オマエの実力はわかった………かなりのモノだ……だが緩い……この程度じゃオマエは行った先で死ぬ」

「!?」

 

 

強力なオメガモンの力を見せつけられたにもかかわらず、ロンは冷徹な表情でそうエールに告げた。

 

 

「行った先で死ぬ?…そんなわけないでしょ!?…って言うか残りライフ1でよくもそんな事堂々と言えたわね」

「だったらこのターンで見せてやるよ……オマエが如何に愚かなのかを……」

「!?」

 

 

アスラとはまた違うロンの纏うオーラ。

 

 

[ターン04]ロン

 

 

「メインステップ……オレはナイトサバイブのLVを3に上げ、ミラーモンスター、ダークウィングを召喚、ナイトサバイブと合体……ミラージュせよ!」

「!?」

 

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ+ダークウィング】LV3(4)BP15000

 

 

龍騎とナイトを始めとしたミラーライダー達の最強形態、ミラージュ。

 

ナイトの中に宿るミラーモンスター、ダークウィングが甲高い鳴き声を上げながら姿を見せると、その姿を鋼の翼、ダークレイダーへと一変……

 

ダークレイダーはナイトサバイブと一体化して行き、ナイトをその最強形態、ナイトサバイブレイダーへと昇華させて見せた。騎士から王に近づいたようなその圧巻の姿にエールは思わず半歩下がってしまう………

 

 

「アタックステップ……駆けろナイトサバイブレイダー!!…効果でトラッシュにあるソードベントを回収し、オメガモンのコア2つをトラッシュへ」

「!?」

 

 

ー【オメガモン】(4➡︎2)LV3➡︎2

 

 

合体しているダークウィングの効果がここで適用。ロンはカードを手札に戻しつつ、オメガモンのコアを2つ、使用不可ゾーンであるトラッシュへと追いやった。

 

 

「まだだ……フラッシュマジック、ソードベント!!……効果でナイトサバイブレイダーのBPを5000上げオメガモンを消滅!!」

「な………オメガモン!?」

 

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ+ダークウィング】BP15000➡︎20000

 

ー【オメガモン】(2➡︎0)消滅

 

 

手に持つ黒き聖剣から放たれる紫の衝撃波。それをエックスの字になるように二度放つナイトサバイブレイダー。

 

オメガモンは避けられず被弾。胸にエックスの文字を刻まれ力尽き、溜まらず爆散してしまった………

 

今まで幾度となくオメガモンを頼って来たエール。どんなバトルであっても決して破壊される事がなかったそれが破壊された事で大きくショックを受ける。

 

 

「そ、そんな……私のオメガモンがたったの1ターンで………」

「ナイトサバイブレイダーの効果、アドベントカード使用後に回復する……どうした、もう戦意喪失か?」

「ッ……ライフで受ける!!……ぐっ!?」

 

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ+ダークウィング】(疲労➡︎回復)

 

 

〈ライフ4➡︎2〉エール

 

 

今度はエールのライフに向けて衝撃波を放つロンの最強スピリット、ナイトサバイブレイダー。ダブルシンボルであるその攻撃はエールのライフを残り2つまで追い込んだ。

 

 

「ライダーハンターズのトゥエンティ……ヤツはブラックフォースの1人「オブシディアン」に体を乗っ取られた」

「え……」

「トゥエンティが……オニキスと同じブラックフォースに!?」

「あぁ、そしてそいつとウィルとか言うちょび髭野郎はブラックフォースと何か深い関係があるそうだ」

 

 

回復状態となったナイトサバイブレイダーでトドメを刺しに行く直前。ロンはエール、そしてアスラに向けてそう告白した。

 

自分が見て来た光景と、何故ここに自分も来たのかを………

 

 

「ヤツはオレの目の前で体を乗っ取られた、このままじゃ目覚めが悪いんでな……だからこうしてオレはここに来た。わかるか?…エール、オマエが今から行こうとしている場所はそんなブラックフォースがいる場所なんだよ」

「!?」

「命をドブに捨てたくなかったらとっととサレンダーでもするんだな」

 

 

今までの事情を話すロン。

 

かなりキツイ言い方ではあるが、これは彼なりの気遣い。死闘へと道連れにするのは自分と三王、後ついでにアスラで十分だと考えている。

 

しかしエールは………

 

 

「嫌よ……サレンダーなんてしないし、諦めもしない……王国の危機なのに最高身分のエックスを持つ私が、ただ指を咥えて見てるだけなんて、そんなの許されるわけがない!!」

「!!」

「ミラーワールドでも、異世界でも私はただ他の誰かのバトルを眺めてるだけだった………嫌よそんなの、どんなに命を賭けてもいい……どんなに辛い思いをしてもいい……私はアスラと、みんなと一緒に戦いたい!!」

「エール………」

 

 

勇気を振り絞り、啖呵を切るエール。その覚悟を乗せた声は対戦しているロンだけでなく、アスラや三王、頂点王にも届く………

 

そしてそれを聞いた頂点王シイナはエレンに対して言葉を告げていき………

 

 

「なぁエレン……もうアンタが目くじら立てなくても、エールちゃんは強いよ……大丈夫、いざとなったらアスラとロン。私の2人の息子たちがエールちゃんを守ってくれるよ」

「………」

 

 

彼女の言葉を聞くなり、静かに目を瞑るエレン。

 

迷っているのだ。エールを同行させるかさせまいか………

 

本当は少し前から、いや初めから必ずエールが強くなる事はわかっていた。しかし、いくら強くなったとは言え、危険な場所に行かすのは話は別………

 

当然だ。エールは唯一の肉親、大切な妹なのだ………

 

 

「行くわよロン!!…オメガモンがやられようが関係ない!!…ここからが私のバトスピよ!」

「おうよく言ったぜエール!!……頑張れ!!頑張って一緒にトゥエンティを助けに行こうぜ!!」

「えぇ!!」

 

 

強く意気込むエール。ただ、忘れては行けないのは………

 

今、ターンを行なっているのがロンであるという事、ナイトサバイブレイダーの一撃でエールは敗北してしまうという事………

 

 

「覚悟があろうとも手を抜く理由にはならない………決めろ、ナイトサバイブレイダー!!」

「負けない、私もアンタ達に食らいついていけると証明するまでは……絶対!!……フラッシュマジック、リミテッドバリア!!」

「!!」

「このターン、コスト4以上のスピリットのアタックでは私のライフは穢されない………攻撃はライフで受ける」

 

 

〈ライフ2➡︎2〉エール

 

 

「よし止めた!!」

 

 

ガッツポーズを見せるアスラ。

 

エールは手札にあった防御マジックで見事にロンのナイトサバイブレイダーの攻撃を止めて見せた。

 

 

「……ターンエンドだ」

手札:2

場:【仮面ライダーナイトサバイブ+ダークウィング】LV3

バースト:【無】

 

 

ライフ残り1。ブロッカーはゼロ。

 

そんな状況でも顔色一つ変えずそのターンを終えるロン。おそらくその残り少ない手札に防御マジックが控えているのだろう………

 

だがそう思い至ってもエールは一歩も背を向けたりしない………

 

 

「私は負けない……お母さまから貰ったこのデッキがある限り、アスラから貰ったこの勇気がある限り!!……誇り高きオメガ家長女、エール・オメガは決して………負けない!!」

 

 

止められないし………

 

止まる気もない………

 

どこまでも前へと突き進んでいくエール。もう城に閉じ込められていた時の自分ではない。そう言いたげに言い放つ………

 

 

 

 

そしてその時だった………

 

エールのデッキが真っ赤に燃えるような光で充満し始めたのは………

 

 

「………これは……」

「デッキが進化している……エールちゃんの強い想いで……」

 

 

エレンがリアクションし、シイナがそう言葉を落とした。

 

三度目となるエール・オメガのデッキの進化。彼女のエックスとしての類稀なる才能と尽きる事のない勇気が、また彼女を強くする。

 

 

「エールの進化は、これで三度目か。普通カードやデッキの進化ってーのは人生で一度起きるか起きないかくらいの確率だ……凄いなアイツ」

「当然だぜテンドウさん……なんてったってエールは、この頂点王になるオレの仲間だからな!!…それを思いっきりロンにぶつけてやれエール!!」

「えぇ……行くわよ、私のターン!!」

 

 

背中を押されるかの如くそうアスラに言われると、口角を上げ、己のターンを開始していくエール。

 

進化したカード、デッキと共に突き進んでいく………

 

 

[ターン05]エール

 

 

「ドローステップ!!」

 

 

真っ赤に光輝くデッキの中からカードをドローするエール。そのカードは当然ながら何も知らない、さっきまでデッキには存在しなかったカード………

 

 

「リフレッシュステップ、メインステップ!!……第二のアグモン、そして創界神ネクサス、八神太一を配置!」

 

 

ー【アグモン[2]】LV3(6)BP8000

 

ー【八神太一】LV1

 

 

先ずは進化の効果で手札に戻っていたアグモンと、デジタルスピリットを限界までサポートできる創界神ネクサス、八神太一が召喚、配置される。

 

そしてそのままエールはロンの最後のライフを破壊すべくターンを進めていき………

 

 

「アタックステップ……第二のアグモンで攻撃!!」

 

 

鋭い爪を立て、ロンの方へと走り行くアグモン。この攻撃が通れば念願のロンを倒す事ができるが………

 

彼もまだ折れない………

 

いや、折れるわけがない。仮にもロンはあのアスラの最大のライバルなのだから………

 

 

「フラッシュマジック、ナイトサバイブレイダーからコアを確保し、光翼之太刀を使用……このターン、ナイトサバイブレイダーは疲労状態でブロックできる」

「!」

 

 

ー【仮面ライダーナイトサバイブ+ダークウィング】BP12000➡︎15000

 

 

このターンのみ永遠とブロックが可能となったロンのナイトサバイブレイダー。それは間違いなく絶対的な防御力を有しており、アグモンの相手など容易い………

 

だが、エールはそれさえをも突破する。彼女は進化したての新しいカードを手札から切って………

 

 

「フラッシュ【煌臨】を発揮、対象はアグモン!!…この時、私のライフが3以下ならコストにソウルコアを必要としない!!」

「ッ……アグモンに煌臨だと!?」

 

 

成長期スピリットであるアグモンを対象に発揮されるエールの新しい煌臨。

 

通常、デジタルスピリットのデッキとは、最上級の究極体しか煌臨を持たない。しかも対象にできるのはその最強に限りなく近い完全体のみ………

 

つまり、このアグモンを対象にしての煌臨は明らかにイレギュラーなのである………

 

これは、この世のイレギュラーとも呼べるアスラと共に歩みを進め、成長していったエールだからこそ手に入れる事のできた………

 

エールだけの進化………

 

 

「アグモン究極進化!!……勇気の想いは、世界を変える!!」

「………!」

「現れなさい、アグモン……勇気の絆!!」

 

 

灼熱の炎にその身を包んでいくアグモン。その中でこれまでとは比較の仕様もない進化を遂げていく………

 

やがてその灼熱の炎を弾け飛ばしながら現れたのは、新たなるアグモン。グレイモンの頭角、人形の姿、どこまでも伸びそうな三つの尾を持つ究極体、アグモン・勇気の絆がその姿を見せる………

 

 

ー【アグモン・勇気の絆】LV3(6)BP20000

 

 

「こ、コイツは………」

「なんつーかっこよさだよ、流石だぜエール……!!」

 

 

勇気の絆のその圧倒的な存在感に思わず声が出るロンとアスラ。

 

そして容赦なく、エールは勇気の絆の効果を発揮させて………

 

 

「勇気の絆の煌臨アタック時効果……BP15000以下のスピリット1体を破壊、ナイトサバイブレイダーは破壊よ!!」

 

 

その効果は強烈な上限のBP破壊効果。

 

しかし………

 

 

「ナイトサバイブレイダーは相手の効果を受けない……よってその効果も無効になる」

 

 

そう。

 

ナイトサバイブレイダーは場の自分のスピリットがこれだけの時、一切の効果を受けない。当然この勇気の絆の効果も受け付けない………

 

はずだった。

 

 

「いや、まだよ。勇気の絆は自分の場に八神太一が存在する場合、相手の効果を受けない効果を無効にする!!」

「!!」

「よってナイトサバイブレイダーの効果は無効!!…さらに第二の効果、アタック中にスピリットを破壊した時、相手のライフ1つも同時に焼き尽くす!!」

「な、なんだと……!?」

 

 

決して突破できない壁を突破するべく生み出されたその力は、効果を受けない効果を無効にする力。

 

終わりだ。このエールを止められる者はもういない……

 

 

「いけ……夢想の炎……レッドリーマァァァー!!」

「!!」

 

 

勇気の絆の両拳から放たれる螺旋の炎が、覚醒したエールの力が今、ナイトサバイブレイダーごとロンのライフを焼き尽くしていく。彼に最早これを止める手立てはない…………

 

やる事と言えば、それを受け入れる事のみ………

 

 

〈ライフ1➡︎0〉ロン

 

 

ライフが全て砕け散ると、彼のBパッドから「ピー……」と言う敗北を告げる甲高い音が流れ出る。

 

これにより勝者はエール・オメガだ。圧倒的な力を見せつけながらも、勇気の想いの強さで進化し、勝利をもぎ取って見せた………

 

 

「か、勝ったの……!?」

「お……おぉエール!!…オマエ勝ったんだよロンに!!……スゲェぞ!!」

「アスラ……私勝った……勝ったわよ!!」

 

 

バトル終了に伴いスピリットが消え行く中。未だにあのロンに勝てた事が信じられない様子のエール。

 

誰よりも喜ぶアスラ。そんな中でもロンの方へと歩みを進め………

 

 

「おいロン。いくらカラーカードを全部集めたっつってもまだまだだな!」

「フッ……次やる時は勝つさ。よれよりも強いな、オマエの仲間は」

「おう!…絶対リベンジしようぜ、でもって先ずは邪魔な連中全員ぶっ倒す!」

「あぁ」

 

 

拳を合わせる幼馴染み且つライバルの2人。エールを含めてその3人の青春の時を眺めていた三王2人と頂点王は………

 

 

「決まりだな。エールを含めた5人で行くぞ、ライダーハンターズ潰し。カラーカードを集め切ったヤツに勝ったんだ、文句は言わせねぇぞ」

「あぁテンドウ。余も異論はない………ただ……」

 

 

そう言いながらエレンはアスラとロンの元に近づいていき………

 

 

「貴様ら、死んでもエールを守り抜けよ。エールが傷付いたら殺される前に余が制裁を下す」

「おぉ、任せてくれお兄様!!」

「ム……だから貴様にお義兄様と呼ばれる筋合いはないと何度言えば………」

「アスラ、面倒くさいんだな、兄妹って」

 

 

エールには聞こえないように予め2人に鍵を刺していくエレン。その後エールの方へと振り向くと………

 

 

「実力は見させてもらったぞ我が妹エール・オメガ……覚悟があるのならば、エックスの者としてこの余と共に王国を守り抜け、そして必ず勝利を齎して見せよ」

「お兄様………ハイッ!!」

 

 

認めてくれた兄の言葉を嬉しく思い、より気合が入った挨拶を送るエール。その光景に頂点王シイナ、アスラも思わず笑顔を見せる。

 

 

「ちぇ。結局は私だけお留守番か」

「むえ〜!」⬅︎私も!

「あ、ムエもだったね〜」

 

 

愚痴るシイナの元によちよちと歩いて来たオレンジ色の小動物ムエ。シイナと共に今回はお留守番だ。

 

 

「よし。そんじゃ改めてメンバー発表だ……先ずはオレ、ツンデレエックス、天才イケメンくん。元気小僧………そしてエール。この5人で黒いヤツとかちょび髭紳士とかぶっ殺しに行くぞ」

「なんかアンタが言うと一々締まらないのよね……」

 

 

改めてメンバー発表をするテンドウ。その締まりのなさにエールが軽くツッコミを入れる。

 

何はともあれ、これでメンバーは揃った。王国を守るため、5人の勇姿がウィルとオブシディアンに戦いを挑みに向かう…………

 

 

******

 

 

ここはどこかの辺境。崩れ去った城壁の中、とある一室がライダーハンターズの秘密基地だ。

 

だが、そこにはもう最強の殺人鬼オロチも最強の天然美人イバラはもういない。皆それぞれの想いがそこを抜け出していった………

 

残されたのはトゥエンティただ1人………

 

だが、そこにいるのは最早トゥエンティではない………

 

 

「やぁトゥエンティ。私が紹介したコラボダンジョンはどうでした?……さぞかし、有意義だったでしょう……なんと言ったって、ライダースピリットがようやく20枚揃ったのですから」

「…………」

 

 

現れたのはライダーハンターズの主任ウィル。いつもとは明らかに違う雰囲気を漂わせるトゥエンティに声をかける………

 

 

「ずっとこの日を待っていた……貴方の身体に、我が主人、ブラックフォースのオブシディアン様が宿るその時をね……お疲れ様トゥエンティ、安らかにお眠りなさい」

「……ザザザ……この身体への別れは終えたかウィル」

「はい。オブシディアン様……如何でしたでしょうか、私共が用意した器は」

「あぁ、完璧だよ。よくやった……全盛期とまでは言わないが、私もかなり力を取り戻せた」

「ありがたきお言葉でございます」

 

 

トゥエンティの身体にいるのはブラックフォースの1人、最強の黒を持つオブシディアン。

 

やはりウィルとは何か深い繋がりがあるようで…………

 

 

「シャーマンとヘタマイトの魂はどうした。この世界で目覚めさせる事はできたか?」

 

 

トゥエンティの身体を乗っ取ったオブシディアンがそうウィルに聞いた。シャーマン、ヘタマイトとは、黒い怪物、ブラックフォースのメンバー。

 

アスラの中に眠るオニキスもその1人。イバラの身体にいたヘタマイトとのバトルは記憶に新しい。

 

 

「お気になさらずオブシディアン様。シャーマンは凶悪の殺人鬼オロチが、ヘタマイトは絶世の美女イバラがそれぞれ目覚めさせてくれました。かなり私も苦労しましたがね」

「ザッザ……成る程、上出来だ」

 

 

ブラックフォースのシャーマン、ヘタマイト。その復活を手助けしたのはウィルだと言う。おそらく殺人鬼オロチが一度戦いの最中で進化を果たしたのはそのシャーマンが原因だと推測できる。

 

 

「で。その2人の蘇った魂はどこへ行った?」

「えぇ。しっかりちゃんとした器に入れておきましたよ………出て来なさい」

 

 

ウィルがその人物を呼ぶと、誰かの足音が響き渡る。その人物は………

 

 

「やぁ。貴方が噂のオブシディアン様ですか?……僕の名前はフリソデ。ウィルさんにブラックフォースのシャーマンを宿してもらった特別な人間です」

「ほぉ。シャーマンを汝が」

 

 

そこに現れたのはアスラ達とミラーワールドで激闘を繰り広げた青年フリソデ。生き残るためには手段を選ばない彼はウィルにしがみつき、アスラ達への復讐を叶えるべくこうして今ここにいる。

 

 

「ここにはいませんがヘタマイトさんの魂も既に器の人間の中にいます。その人間もかなりの素質を持ちます」

「ほぉ。それは楽しみだな」

「そんな事よりさ。時は来たって感じなんじゃないの?」

 

 

ヘタマイトの話をする中、その身にブラックフォースを宿したフリソデがそう言い放った。

 

 

「フフ……あぁそうさ。フリソデ……決戦の日は近い……全てはオブシディアン様、そして我が野望のために!」

 

 

ウィルがそう言葉を落とす。正の力が結成していく中、こうして蠢き続けていた闇の勢力も拡大していたのだった…………

 

 




最後までお読みくださりありがとうございました!

重ね重ね、何度も申し訳ございませんが、「オメガワールド」「オーバーエヴォリューションズ」の続編「王者の鉄華」の方もよろしくお願いします!

https://syosetu.org/novel/250009/
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