バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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オニキス篇
58コア「ディアボロモン」


ライダーハンターズとの激闘の末に、ノヴァ王国のライダースピリットの三王、テンドウ・ヒロミがオブシディアンの器にされ、頂点王、シイナ・メザが息子を庇って致命傷を負い、死んだ。

 

目的の1つであったトゥエンティの保護には成功したものの、危険人物であるウィルは異世界のバケモノ、ブラックフォースの領域に片足を突っ込み、最強のブラックフォース、オブシディアンと共に逃走。

 

結果的にプラスかマイナスで言うと、マイナスだ。バトルにこそ勝利はしたが、ライダーハンターズを討伐するべく編成されたメンバー達の事実的な大敗であると言える。

 

 

******

 

 

シイナ様が消えてから2日が経った。「頂点王が死んだ、三王が誘拐された」なんてニュースを世間に流せば大混乱になるのは目に見えているからか、未だその情報は世間にリークされてはいない。

 

ただ、この世界にウソを通す事はできないのか、まるで世界はシイナ様の死を嘆き悲しみ、涙するかの如く、前人未到の大豪雨で国を濡らし続けていた。

 

戦いの後、ロンは「修行に出る」と言葉を残し、どこかへ去って行った。相変わらずの無表情だったけど、でも何となく悔しそうにしていたのはわかった。そりゃそうよね………

 

トゥエンティは疲弊こそしていたものの軽症。

 

エレンお兄様は唯一残された三王として彼ら、ブラックフォース達の情報を集めている。凄いわよね。あんな事があったのにもう立ち直って前を向いているなんて……

 

 

それに比べて私、エール・オメガと来たら………

 

あの日からずっと眠り続けているアスラの顔も見る事ができない………

 

 

ー……

 

 

「………」

「むえ〜」

 

 

病院の中。その一室の扉の前。エールは一房の花束を手に持ちながらも、その扉を開くのを戸惑っていた。

 

理由は単純。激闘の果てに体に大きな負担を掛ける黒の力を多量に使い、シイナが亡くなった事で体力的にも精神的にも弱り果ててしまったアスラ。最後に気を失って以降、それ以来ずっとベットの上だ。

 

それを自分のせいだと自己嫌悪しているからである。

 

 

「むえ、むえむえむえむえ、むえ〜」⬅︎まぁ、元気だせよ〜…エールちゃん来たら絶対アイツ喜んで復活するって〜

 

 

足元で小さなオレンジ色の犬みたいな生き物、ムエが励まそうと必死に鳴いているが、今のエールには一切響かない。

 

そしてその直後、病院の床から足跡が聞こえて来た。エールが首だけをその方向に動かすと、そこには顔を見知った人物がいて………

 

 

「トゥエンティ……」

「エール・オメガ………」

 

 

そこにいたのはトゥエンティだった。顔のあちこちに絆創膏が貼られており、未だに傷は完治はしていないのが窺える。

 

 

「アスラの病室はここか?」

「えぇ、そうだけど……アンタわざわざ見舞いに来たの?」

「……まぁな」

 

 

トゥエンティも事件の関係者。今回の件はエレンを通じて話を聞いている。

 

本来罪人である彼は先ず先に罪を裁かれねばならないのだが、事が事であるため、解決するまではこうして解放されている。

 

 

「……オマエこそ、何故扉の前で立ち止まっている……アスラの仲間なのだろう?」

 

 

今度はトゥエンティがエールに聞いた。エールは花束を強く握り締めながら答える。

 

 

「……見たくないのよ。今のアイツの顔……辛そうで、悲しそうで……ッ!」

「………」

 

 

本当は「見たくない」と言うよりかは「見る事ができない」と言った方が正しい。

 

それを聞くなりトゥエンティは彼女に向かって頭を下げて………

 

 

「すまなかった」

「!!」

「頂点王とテンドウさんを失わせたのは全てオレの責任だ。オレがウィルの口車に乗せられ続けた結果……オマエ達の心に傷を………ッ」

 

 

……『心に傷を負わせてしまった』

 

深々と反省の意を示しているトゥエンティがそう口にしようとした直後だ。怒りを抑えきれなくなったエールが彼の胸ぐらに掴み掛かる。

 

 

「ふざけんじゃないわよ………みんな必死でアンタを助けようとしてた!…テンドウも、アスラも!!…「トゥエンティはカナさんを助けるために頑張ってるだけだ」って言ってた!!」

「………」

「だから謝らないで!!…私はアンタのためにテンドウがブラックフォースの器にされたりとか、アンタのためにアスラがあんなになっちゃったとか………アンタのために………アンタのためにシイナ様が死んだなんて思いたくない!!」

「!」

「………アスラの病室に入りたければ勝手に入れば?……私はもう帰るわ」

 

 

散々怒り散らした後、花束を強く握り締め、軽く溢れ出て来た涙を拭いながら病室を後にするエール。その後ろをムエが待ってと言わんばかりに「むえ〜」と鳴き声を上げながら追いかけて行く………

 

叱咤されたトゥエンティは、何か気が付いた事でもあったのか、顔を伏せながら、アスラの病室の扉を見つめていて………

 

 

ー………

 

 

 

「むえ〜」

 

 

豪雨の中、外を飛び出したエール。雨に濡れながら病院の壁に力尽きたようにもたれ掛かり、下を向く。それを心配しているのか、ムエは小さくエールに向かって鳴き声を上げる。

 

それに気づいたエールはムエを抱きしめながら………

 

 

「……バカだよね。イラついてるからって他の人に当たって……本当はトゥエンティだって私達に対してどうして接していいかもわからない筈なのに」

「むえ」

「ねぇ聞いてムエ。昨日三王塔で最上階、シイナ様の仕事部屋に行ったの………そしたら………」

 

 

 

シイナ様の匂いがした

 

無くなっちゃうのかな!?

 

本人が居なくなったら、匂いも一緒に消えちゃうのかな!?

 

そしたらその本人の事も忘れちゃうのかな!?

 

これからこんな戦いが続いたら、アスラや他のみんなも私の前から消えちゃうのかなぁ!?

 

作って来た思い出も全部消えちゃうのかなぁ!?

 

 

 

豪雨に打たれながら胸に秘めた悲痛な思いを全て吐露するエール。その大きく綺麗な瞳から涙がこれでもかと溢れ出てくる。

 

きっと、ずっと我慢し続けていたのだろう。

 

その気持ちを痛い程理解しているムエは「なんかごめんな」と言うように「むえ」と鳴き声を上げるのだった。

 

 

ー……

 

 

一方ここは病院の中。トゥエンティはアスラの病室の中に入り、未だに目を覚さない彼の容態を確認していた。

 

エールが言うように本当に弱り切った顔をしており、これまでの彼からは想像もつかない。彼女が見たくないと思うのが理解できる。

 

そんな中、トゥエンティは1人ベットの前にある小さな椅子に腰掛けると……

 

 

「アスラ……オレは今まで、カナのためだけにライダースピリットを集めて来た。言われるがままに。オマエなど、ライダースピリットを得るための獲物としか思っていなかった…………」

 

 

最初にアスラ達と対面したトゥエンティは本当にそうだった。まるで殺戮マシーンの如く無感情のまま彼らに襲いかかり、ライダースピリットを狩るためだけにバトルを行っていた。

 

だが、それ以降、何度もぶつかり続けた結果。トゥエンティは少しずつだが元の彼を取り戻していった。しかしそれがカナを助けなければならないと言う気持ちとぶつかり合い、彼の悩みの種の1つとなっていたのは言うまでもない。

 

 

「正直オレはオマエに謝りたい。全身全霊を持って……だが、オマエの仲間に叱咤されてしまった。理解したよ。ここで頭を下げるのは、死力を尽くしてオレのために戦ってくれたオマエ達にとって無礼であるという事………」

 

 

返事が帰って来るわけもないアスラに対し、そう言うトゥエンティは立ち上がりながら………

 

 

「だから必ずオレ1人でヤツらを倒して見せる。例え差し違えてもな………それがオレなりのケジメだと思ってる。邪魔立てはしないでくれよ………いや、オマエの事だ。オレの行動を知った途端、血相変えて止めに来るに違いない。だがその時、オレはオマエを容赦なく潰す。もう一度ここに送りつけてやる…………」

 

 

決意を口にするトゥエンティ。

 

秘策と言う秘策があるわけではない。ただ、差し違えてでもウィルとブラックフォースを葬り去る事が、自分のできるアスラやテンドウ達にできる恩返しだと思っていて………

 

 

「じゃあな。オレはもう1つ行く場所がある…………オレはもう、大事なモノを何1つとして失いたくないんだよ。今のオマエならその気持ち、わかるだろ?………母を失った、オマエなら……」

 

 

最後にそう呟くと、扉を開け、病室を後にするトゥエンティ。

 

そして傘を手に持ち、次の行先は恋人であるカナの入院する病院。こことは違う支部である。正直、カナに合わせる顔がないのはわかっている。

 

だが、この間の戦いで気が付いた。それはただ怖がっているだけであると。だからこそ彼は勇気を持って、実に3年ぶりに彼女に会うと決意を固めていたのだった。

 

 

******

 

 

ここは三王塔。王国最強のカードバトラー集団、三王が6枚のカラーカードを揃えた挑戦者を待ち構える場所。

 

しかし今となってはエレンただ1人。デスクに向かって黙々と事後処理を進めていた。

 

だが、こんな状況でも脳裏から頂点王シイナと同じ三王であるテンドウの顔が頭から離れない。少し前まではあんな連中と一緒に仕事などしたくないとも思っていたにも関わらずだ。

 

 

「三王塔とはこんなに広い場所だったのか………」

 

 

失ってからわかる寂しさ。自分がどれだけあの喧しい2人を仲間として接していたのかが理解できる。

 

 

(頂点王シイナ……最初は貴様のような異国の者を頂点王などとは認めたくはなかった)

 

 

そう。エレンは最初、出会い方も出会い方なだけあって、シイナが頂点王になった事を認めたくはなかった。

 

この時の彼が身分絶対主義だったのもあるのだろう。

 

だが………

 

 

(だがオマエは、母上が亡くなり、多忙を極めてしまった余の代わりにエールに寄り添ってくれた………今思えば、その時から既に余はオマエの事を認めていたのかもしれない)

 

 

シイナに感謝していた。エールの姉として接してくれた事に………

 

それがどれだけあの時の幼いエールに影響を与えていたのかは計り知れない。彼女がいなければ今のエールは居ないだろうとエレンは考えていて………

 

 

(このエレン・オメガの名に掛けて母上の弟子であったと言うウィル、そしてブラックフォースを必ず駆逐し、必ずテンドウを救い出す………気にするな、別に貴様のためではない。ただ余はエールを悲しませたヤツらが許せんだけだ)

 

 

エックスにして残された唯一の三王、エレン・オメガ。エールを盾に内心で言い訳しているものの、その目は敵討ちとテンドウの救出に燃えていた。

 

 

******

 

 

アスラが療養している病院とはまた別の区にある病院。ここでライダースピリットの三王であるテンドウ・ヒロミの妹、トゥエンティの恋人であるテンドウ・カナが入院している。

 

トゥエンティは高鳴る鼓動を内に潜めながら一歩ずつ彼女の病室へと足を運んでいた。

 

無理もない。あの戦いの中、兄であるテンドウ・ヒロミはこう言ったのだ。

 

 

………『カナの病気は治る』と………

 

 

自分を助けるために命を張ったアスラ達に頭を下げるのは無礼だと知ったが、カナは特別だ。絶対に謝りたい。そしてその後、必ず師であるテンドウ・ヒロミを助けに行くと己に誓っていた。

 

そして、遂にその扉前に辿り着く。トゥエンティは一度深呼吸をし、そこへと入室して行った。そこには当然ベッドの上に腰を掛けているカナがいて………

 

 

「カナ………」

「トゥエンティ………トゥエンティ……ッ!!」

 

 

互いに顔を合わせたのは実に3年ぶり。愛する人物が急に目の前に現れた事により、カナは目に涙を浮かべながら思わずその胸に飛び込んで行く。

 

 

「ごめん。中々会いに来れなくて………」

「バカ………バカトゥエンティ…今までどこ行ってたのよ……ッ!」

「ごめん………」

「ずっと心配してたんだから。兄さんに聞いても何も言ってくれないし、私貴方が何か危険な事に巻き込まれたんじゃないかってずっと思ってたのよ!?」

「ごめん………」

 

 

トゥエンティの事を心配しながらも心の奥底でそれを閉まっていたカナ。3年と言う月日を超え、ようやく帰って来たその姿に涙ながら声を荒げる。

 

申し訳ない気持ちでいっぱいになったトゥエンティはただただ「ごめん」としか口にできなかった。

 

 

「わぁぁぁぁあ!!!……もう離さない、離さないんだからァァァー!!」

「………ごめん」

 

 

抱きしめ合う恋人同士の2人。もう離さないとは言っているが、本当にずっと抱きしめ合うわけにはいかない。

 

カナの涙が収まるまでトゥエンティは彼女を抱きしめ続けた………

 

 

ー……

 

 

およそ5分くらいか。カナが泣き止むと、2人は病室のベッドの上で腰を掛け、落ち着いて話をする。

 

 

「それでカナ。テンドウさんから聞いたんだが、君の病気は本当に治るのか?」

「うん。もうすっかり元気だよ。もう少しで退院だって」

「ッ………そうか、よかった………よかったな」

「何泣いてるのよ。男でしょ?」

「これが喜ばずにいられるか………よかったなカナ」

「ふふ、そうね」

 

 

本当に治るのだとカナ自身の口から聞けた事で、ようやくホッとするトゥエンティ。その目から涙が少しだけ溢れる。

 

ライダースピリットを奪うと言う今まで自分がやって来た所業の愚かさを自覚した。本当に愚か極まりない。そしてやはり、その罪を拭うためには自分のせいで復活してしまったと言っても過言ではないブラックフォース達をこの手で葬るしかないと改めて思った。

 

カナはトゥエンティが身の危険を顧みず、ライダーハンターズで自分のためにライダースピリットを狩っていた事実をまだ知らない。だが、トゥエンティが自分のために危険な場所へと身を置いていた事はなんとなく理解はしているようで………

 

 

「どうしたのトゥエンティ?……さっきから何か難しい顔してるけど……」

「ッ……あぁいや別に。何でもない」

「………」

 

 

勘の鋭いカナはトゥエンティがまたそんな危険な場所に行くのではないかと思っているのか、心配そうな表情でそう聞いて来た。悟られそうになったトゥエンティは慌てて表情を元に戻す。流石に命を賭けてカナの兄テンドウ・ヒロミを救い出し、邪悪なバケモノを倒しに行くなんて突飛な発言はできない。

 

そして………

 

そんなトゥエンティを見て思い詰めたようにカナは………

 

 

「ねぇトゥエンティ………私、今ここで貴方に伝えないと行けない事があるの」

「?……なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は僕、カナじゃなくてブラックフォースのヘタマイトなんだ〜〜〜!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………は?」

 

 

その質問に突如として一変される空気。暖かな空気は冷え上がり、トゥエンティに衝撃を与える。余りの異常な発言に思考が追いつかず、思わず声が漏れる。

 

声色こそ変わらないが、声質と喋り方が豹変したカナ。口角が狂人とも呼べる程以上に上がり、とてもではないがあのお淑やかな彼女の顔には見えなかった。

 

今の質問は本当に目の前のカナから発せられた言葉なのかと勘繰ってしまうトゥエンティ。無理もない。

 

 

「ジジジ……ねぇねぇトゥエンティ〜……久し振りに会ったんだから、血みどろで、楽しいバトルをしようよ〜〜!!」

「……な、何を言ってるんだ……カナ!?」

「どこからどう見ても君の恋人のカナちゃんだったでしょ〜!!…僕ってば名演技〜!!」

 

 

鳥肌と冷や汗が止まらない。何かの悪い夢であってくれと、トゥエンティがどれ程懇願したかは計り知れない。

 

だが、いくら祈ろうとも現実は変わらない。

 

今のカナは紛れもなくブラックフォースの紅一点「ヘタマイト」なのだ。

 

 

「う、ウソだ………な、なんでオマエがカナの中に………いったいいつから……」

「いつからって言われると………3年前からかな」

「!!」

「カナちゃんがなんで病気になってたかわかる?………ウィルとか言うヤツが僕の黒の力を馴染ませるためにこの子に注いだからだよ」

「な、なんだと………!?」

「ジジジ………急に病気が治ったって言うのもそう言う事。本体の僕が中に入った事でその症状は消えた。つまり君は最初からソイツの手の平で踊らされていたんだよ」

 

 

発覚する衝撃の事実の数々。

 

カナの掛かっていた不治の病。その原因はヘタマイトの黒の力だった。おそらくウィルは生まれつき体の弱かったカナを無理矢理ブラックフォースの器にさせるためにそうしたのだろう。

 

そしてそうする事で、本来オブシディアンの器にする予定だったトゥエンティも手駒にできる。正に完璧な計画であったのだ…………

 

最終的にはオブシディアンの器はテンドウ・ヒロミに変更されたが、こうして結果的にトゥエンティとカナの身体を器にしたヘタマイトが対面する事になった。

 

 

「全て敷かれたレールの上を全力で走っていたんだよ〜〜!…面白いね?……ね、面白いね〜!!」

「黙れぇぇぇぇえ!!!……カナの身体から出て行け、このバケモノがァァァー!!」

 

 

余裕がなくなり、激情に駆られたトゥエンティはカナ、もといヘタマイトに向けて己のBパッドを展開。バトルを要求した。

 

その反応に、ヘタマイトは又しても「ジジジ……」と笑い声を上げると………

 

 

「ジジジ……そうこなくちゃね。あーー…この今から戦いになる感じ好き♡……ずっとここで待ってた甲斐があったよ。決めてたんだ〜……ちゃんとした器に入ったら先ず君を殺るってね」

「黙れと言った。早くオレと戦え、ヘタマイト!!」

 

 

自分もまた夥しい闇の力を固め、展開したBパッドの形を形成。デッキをセットした。

 

そして………

 

 

………ゲートオープン、界放!!

 

 

病室の中、トゥエンティとヘタマイトのバトルスピリッツが幕を開ける。

 

先行はヘタマイトだ。他のどのブラックフォースよりも闘争を求める彼女は狂気の表情のまま己のターンを進めて行き………

 

 

[ターン01]ヘタマイト

 

 

「メインステップ〜……あぁ私の本当のデッキ使うの久し振りだな〜…ジジジ、それじゃあ先ずはケラモンを召喚だ」

 

 

ー【ケラモン】LV1(1)BP2000

 

 

ヘタマイトが放った最初のスピリットは群青色の体色に体がいかのように数本の足でできている成長期スピリット、ケラモン。不気味なその笑みはまるでこの世の破壊を楽しんでいるかのよう。

 

 

「デジタルスピリット………!?」

「そうそう。これが本来の僕のデッキ!……ターンエンド。さぁ全力で来てよトゥエンティ!」

手札:4

場:【ケラモン】LV1

バースト:【無】

 

 

そのターンをエンドとするヘタマイト。次はトゥエンティのターン、烈火の如く怒る彼は、カナの身体を取り戻すべくターンを進めていく。

 

 

[ターン02]トゥエンティ

 

 

「メインステップ!!…オレは仮面ライダージオウに変身する!」

 

 

………カメーーーンライダーー!!

 

………ジ、オーーウ!!

 

 

ー【変身!!仮面ライダージオウ】LV1

 

 

ジオウドライバーを腰に装着し、トゥエンティは時を操るライダースピリット、仮面ライダージオウへと変身を果たす。その際に神託が発揮。今回は2枚が対象であるため、変身ジオウのカードに2個のコアが追加された。

 

 

「あー、オーマジオウの抜け殻か、まだ持ってたんだ。言っとくけどね、黒は黒じゃないと倒せないし、オブシディアンがオーマジオウのカードを復活させた今、それは最早なんの力も持たないただのカード。僕を倒すのになんの役に立たない」

「うるさい。未知のデジタルスピリットを使おうが、貴様は今ここで倒す、そしてカナもテンドウさんも取り戻す!!……ネクサス、タイムマジーンビークルモードを配置してターンエンド」

手札:3

場:【変身!!仮面ライダージオウ】LV1

【タイムマジーンビークルモード】LV1

バースト:【無】

 

 

背後に未来的な乗り物を出現させ、そのターンをエンドとするトゥエンティ。次は一周回ってヘタマイトのターンであり………

 

 

[ターン03]ヘタマイト

 

 

「メインステップ……ケラモンのLVをアップ。ジジジ、少しだけ小突いてみようかな?……アタックステップ、ケラモンで攻撃!」

「!」

 

 

早速仕掛けて来たヘタマイト。ケラモンのアタック時効果はデジタルスピリットらしい進化の効果。

 

だが、その進化は他の成長期スピリットとは一線を画するものであって………

 

 

「アタック時の【超進化】発揮、成長期ケラモンを完全体インフェルモンに進化!」

「ッ……成長期から成熟期を飛ばして完全体に進化させるだと!?」

 

 

ー【インフェルモン】LV3(5S)BP10000

 

 

ケラモンが0と1のコードに身を包まれ、その中でインフェルモンと呼ばれるデジタルスピリットに進化を果たす。

 

その姿はまるで白い蜘蛛と言ったところか、不気味な鉄の面がデジタルスピリットとしての異端さをより際立たせている。

 

 

「僕のケラモンは特別でね、成長期だけど【超進化】の力を持っている。黒の力を嘗めないでほしいな」

「バケモノが………!」

「ジジジ……今までそのバケモノの力に縋っていてよくそんな事言えるね!!……アタックステップは続行、行けインフェルモン!!」

「ッ……ライフだ…………ぐっ」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉トゥエンティ

 

 

長い手足を体の中に収納させ、白い弾丸のような姿に変わったインフェルモンはその姿のままトゥエンティに特攻。彼のライフ1つを打ち砕いた。

 

ブラックフォースから繰り出されるライフダメージに、トゥエンティは思わず膝を突いた。

 

 

「ターンエンド。どうしたのトゥエンティ??……このくらいで痛がる君じゃないよね?……ほら立ってよ。立って僕をもっと楽しませて!!」

手札:5

場:【インフェルモン】LV3

バースト:【無】

 

 

「くっ……カナの顔で、口で、声で、これ以上喋るな……!!」

 

 

怒りを原動力に立ち上がるトゥエンティは自分のターンを進めていく。全ては自分のせいで酷い目にあったカナを取り戻すために………

 

 

[ターン04]トゥエンティ

 

 

「メインステップ!!……仮面ライダージオウをLV2で召喚!」

 

 

ー【仮面ライダージオウ】LV2(2)BP7000

 

 

出現したのはトゥエンティが変身した姿と全く同じ姿をしたライダースピリット、仮面ライダージオウ。最初はオーマジオウの力の抜け殻としてトゥエンティに渡されていたカードであるが、激戦を共にした事もあり、今ではすっかり彼のマイフェイバリットカードとなっている。

 

 

「変身ジオウに神託してアタックステップ!!…仮面ライダージオウでアタック!!…効果で1枚ドロー、さらにフラッシュタイミングの順番を入れ替える!」

「ジジジ、フラッシュタイミングを先に使って何をするんだい?」

 

 

一刻も早くヘタマイトを殴り倒したいトゥエンティはジオウの効果をフルで発揮させ、フラッシュタイミングの順番を入れ替える。

 

手札にあるカードを1枚引き抜き、コストとしてソウルコアを支払うと、それは発揮される。

 

 

「フラッシュ【煌臨】発揮、対象はジオウ!!……来い、仮面ライダージオウII………ッ!」

 

 

ジオウのベルトのバックル部にさらにもう一つ別のライドウォッチが装着され、ジオウはそれをバックルごと回転………

 

 

……ジオウ!!ジオウ!!ジオウ!!

 

Ⅱーー!!

 

 

ー【仮面ライダージオウII】LV2(2)BP10000

 

 

ハイテンションな音声が流れると共に、仮面ライダージオウはその姿をさらに一段階強化した姿、ジオウIIへと昇華して見せた。

 

 

「成る程。抜け殻も抜け殻なりに進化はしてるみたいだね♡」

「笑っていられるのも今の内だ、ジオウIIの煌臨時効果、トラッシュにあるライダースピリット2枚をデッキの下に戻し、BP15000以下のスピリット1体を破壊!!」

「!」

「インフェルモンを叩け!!」

 

 

ジオウIIはカタカナで「ジオウサイキョウ」と書かれた剣を強く握りしめると、インフェルモンに向かって一閃。

 

インフェルモンは真っ二つに切断され、爆散するかと思われたが………

 

 

「………なに!?」

「残念〜〜…インフェルモンは効果で破壊されない」

 

 

砕けたのは剣の方。インフェルモンは如何なる効果であっても破壊する事はできない。

 

 

「そして今度は僕のフラッシュタイミングだね……僕も煌臨を使う。対象はこのインフェルモンだ」

「ッ……完全体を煌臨対象に……」

「察しがいいね!…そう、僕が呼ぶのは究極体だ!!」

 

 

Bパッドにカードを叩きつけ、ヘタマイトは狂気の笑みを浮かべながら、自分のエースカードであるその名を叫んで行く。

 

 

「次元の狭間の魔王よ!…今こそ愚かなる者達に鉄槌を下せ!…インフェルモン究極進化!…ディアボロモン!!」

 

 

ディアボロモンLV2(4)BP15000

 

 

インフェルモンは禍々しいオーラに飲まれてその形を変える。現れたのは異質な姿をした究極体のデジタルスピリット、ディアボロモン。その見た目はまさしく魔王そのもの。

 

 

「これがデジタルスピリットなのか!?」

「臆した?」

「ッ……誰が臆するモノか!!……さらにフラッシュタイミング、変身ジオウの【転神】発揮、このターン、オレもアタックを行う事ができる!」

「ジジジ……そうこなくちゃ!!…殺し甲斐がないよね!!」

 

 

ー【変身!!仮面ライダージオウ】BP3000

 

 

目の前に存在する異端なデジタルスピリット。だがトゥエンティはそれでも臆する事なく自分のバトルを貫いていく。

 

 

「煌臨したとは言え、疲労状態のスピリットに煌臨したソイツはブロックできない!!……ジオウIIはアタック中、オレのデッキの数10枚につき赤のシンボルを1つ追加する。今のデッキは31枚、シンボルは3つ追加され4点。そこにさらに変身したオレの攻撃が加われば貴様の負けだ!!」

「へ〜!!…そこまで考えていたなんて。怒ってたから冷静さを失ったんだと思ってたけど、意外とやるじゃん!」

 

 

ヘタマイトのライフを4点破壊すべく、ベルトのバックルを回転させ、右足にエネルギーを溜めるジオウII。そして跳び上がり、ライダーキックを放つ………

 

 

………トゥワイスタイムブレーーーク!!

 

 

そのライダーキックは忽ちヘタマイトのライフバリアを壊していく………

 

はずだった。彼女が手札からあるカードを1枚切るまでは………

 

 

「まぁでも、それじゃ勝てないのが僕達ブラックフォースなんだけどね!!…ライフが一気に3つ以上減る時、その前に手札からフェイタルダメージコントロールの効果を発揮!」

「!!」

「このカードを手札から破棄する事で、フラッシュ効果をノーコストで強制発揮。それによりこのターンの間、如何なるダメージも1点になる!……そう、4点だろうがダメージは1点だけ!!」

「なに!?」

 

 

〈ライフ5➡︎4〉ヘタマイト

 

 

ジオウIIの強烈なライダーキック。その余波は病室にあった花瓶、カーテンやレースなどを吹き飛ばしてしまう程強大なモノであった。

 

しかし、それでもヘタマイトのライフはたったの1点しか削られてなくて………

 

 

「ジジジ……どうする?…少なくともこのターンじゃ勝てなくなったみたいだけど」

「くっ……嘗めるなァァァー!!…転神したオレでアタック!!」

「それもライフ」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉ヘタマイト

 

 

怒りに身を任せたトゥエンティの拳の一撃。ヘタマイトのライフをまた1つ破壊して見せる。

 

しかし、このターンはもうそれ以上はアタックできない。トゥエンティはターンの終了を宣言するしかない。

 

 

「ターンエンド……」

「ジジジ……不思議。人間ってさ、怒ったら強くなるよね〜〜…ねぇねぇもっと怒ってよトゥエンティ!!…そしたら君はもっと強くなって、もっと楽しくなるでしょ??」

「知ったような口を聞くな。このバケモノ………早くターンを進めろ!!」

「わぁ!…いいねいいね!…その静かに怒りを燃やす感じ!」

 

 

頭の先から足の指先まで、狂った発言しかしないヘタマイト。

 

ブラックフォースの中でも特に変わり種の性質を持つ彼女は、殺し合いと言う名のバトルスピリッツをより堪能すべく、己のターンを進めていく。

 

そして遂に、前のターンに疲労状態のまま煌臨したディアボロモンが回復状態となり起き上がる………

 

 

[ターン05]ヘタマイト

 

 

「メインステップ!…バーストをセットしてディアボロモンのLVを3にアップ!」

 

 

ー【ディアボロモン】(4➡︎5)LV2➡︎3

 

 

悍ましい眼光を輝かせ、レベルアップを示唆させるディアボロモン。その視線の先には当然ジオウIIがいて………

 

 

「アタックステップ、やっちゃえディアボロモン!!…その効果で2枚ドローし、ジオウIIからコア2つをリザーブに」

「!!」

「ジジジ、よって消滅する!」

 

 

ー【仮面ライダージオウII】(2➡︎0)消滅

 

 

伸縮自在の両腕を伸ばし、ジオウIIを締め付けるディアボロモン。圧力で装甲に亀裂が走り、コアが飛び出すとジオウIIはこの場より消滅してしまう。

 

そして次にディアボロモンはその持ち主であるトゥエンティに目を付けると………

 

 

「ディアボロモン本命のアタックはどうする??……もっとも君を守るスピリットなんてどこにもいないけどねぇ!!」

「………ッ」

「逆襲の……カタストロフィーキャノン!!」

 

 

ヘタマイトがディアボロモンの技名を叫ぶと、ディアボロモンは胸部から高威力の破壊エネルギー弾を発射。

 

それを防ぐ手段はトゥエンティには無くて…………

 

 

「ぐっ………ぐぁぁぁぁあ!?!」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉トゥエンティ

 

 

木っ端微塵に破壊される1つのライフバリア。そしてそれだけでなくトゥエンティとそのBパッド、タイムマジーン事、病室の扉を吹き飛ばしてしまう。

 

 

「くっ………」

「な、何今の爆発………え、キャァァー!?!」

「なんだこの怪物!?」

 

 

ここは病院。当然Dr.や看護師、患者などが大勢いる。そしてバトルしていた病室の扉が破壊された事で、遂にトゥエンティとヘタマイトのバトルがその者達に露わになってしまった。

 

病室から顔を覗かせるヘタマイトのディアボロモン。病院の者達は恐怖に怯えてしまうが、それを見たトゥエンティは大きく息を吸い込み………

 

 

「生きたくば怯むな!!……早くここから出ろ!!」

 

 

強引に逃げるよう催促した。その後、慌ただしくも病院内の人々は速やかに逃げて行った。

 

バトルしている本人達、トゥエンティとヘタマイトを残して…………

 

 

「なんで逃がしたのさ。別に危害なんて加えないよ?……あの中に強いカードバトラーがいなければね、ジジジ………それとも何、師匠も恋人も助けられなかったから、せめて他の人達だけでもと思ったわけ?……エライな〜!!」

「黙れ………今オマエと戦っているのはこのオレだ………これで思う存分、貴様を叩きのめせる」

「ジジジ………正直、これまでのバトルの流れは一方的過ぎてつまらなかったんだ。期待しておくよ、君の真の実力!!………ターンエンド!」

手札:6

場:【ディアボロモン】LV3

バースト:【有】

 

 

邪魔者は消えた。そう言わんばかりに倒れたBパッドを立て直し、己のターンを始めようとするトゥエンティ。

 

ここは病院の7階。落ちたらひとたまりもない排水人の中、負けじとカナとテンドウのためにカードをドローしていく。

 

 

[ターン06]トゥエンティ

 

 

「メインステップ!!…仮面ライダージオウを召喚!」

「お、2枚目か」

 

 

ー【仮面ライダージオウ】LV2(4)BP7000

 

 

前のターンとは別の個体であるジオウが召喚される。そしてそれを歯切りに、トゥエンティは逆襲を開始していく………

 

 

「見ろ。これがオレの得た最強のライダースピリット!!……【煌臨】発揮、対象は仮面ライダージオウ!!」

「!」

 

 

グ・ラ・ン・ド!

 

ジオーウ!!

 

 

ー【仮面ライダーグランドジオウ】LV2(4)BP12000

 

 

歴史ある20体のライダースピリットの力を宿した黄金の仏像をその身に纏い、仮面ライダーグランドジオウが場へと煌臨した。

 

 

「ジジジ、病院に仏壇なんて演技が悪いね〜」

「ここで決める!!…アタックステップ、グランドジオウ、行け!!」

 

 

トゥエンティの最強スピリットであるグランドジオウ。幾度となく発揮して来たその効果を使うべく、彼は手札を構えて………

 

 

「グランドジオウのアタック時効果、手札にあるライダースピリット1枚をグランドジオウの煌臨元に追加する事で、そのスピリットのアタック時効果を発揮させる!」

「!」

 

 

他のライダースピリットの力をそれ以上に使い熟す事ができるグランドジオウの力。彼は今までジオウに限らず、多くのライダースピリットの力を利用し、勝ち上がって来た…………

 

 

「オレはこのスピリット、仮面ライダーフォーゼコズミックステイツの効果を発揮!!…それにより相手スピリット1体をデッキの下に戻す!…消え去れディアボロモン!!」

「ジジジ……本当にそれ、使えると思ってるのかな?」

「!?」

 

 

だが、その他のライダースピリットの力を自在に操ると言う力はもう無い。

 

その証拠に、トゥエンティがその効果発揮を宣言しても、グランドジオウはそれを使おうとはしていない。つまりそれは今のトゥエンティはジオウ以外のライダースピリットを扱えないと言う事実に他ならない。

 

 

「な……何故だ。何故………」

「だ〜〜か〜〜ら〜〜…言ったでしょ?…今のジオウはもう抜け殻。黒の力はもう全部オブシディアンのオーマジオウが持って行っちゃったから、ライダースピリットを複数扱える事はもうできないんだよ〜!」

「!!」

 

 

そう。

 

今まで、仮面ライダージオウのカードはその中に黒の力があるが故に他のライダースピリットを自在に操る事ができた。

 

しかし、オブシディアンのカード、オーマジオウが復活した事で、元はその抜け殻のような存在だったジオウのカードは文字通り抜け殻となり、今では何の力もない、ただのライダースピリットと化してしまっていたのだ。

 

 

「ちぇーー…なんだつまんないの。そんな事もわからずに僕に喧嘩挑んで来たんだ………ホント、笑わせてくれるよね?」

「ッ……いや、だがまだバトルが終わったわけじゃない!!…フラッシュ、グランドジオウの第二のアタック時効果で煌臨元のジオウを召喚!…その際に貴様に1点の効果ダメージを与える!!」

「!」

 

 

ー【仮面ライダージオウ】LV2(2)BP7000

 

 

〈ライフ3➡︎2〉ヘタマイト

 

 

トゥエンティを徐々に単なる弱いカードバトラーだと感じて来たヘタマイトの恐怖の圧に気圧されかけるトゥエンティであったが、それを跳ね除け、復讐するためにグランドジオウの更なる効果を適用。

 

額にあるジオウの像にタッチすると「2019」と刻まれた黄金の扉の中からジオウが出現。自慢のライダーキックを披露し、ヘタマイトのライフ1つを砕いた。

 

これで………

 

 

「これで残りライフは2つ!!…グランドジオウとジオウのアタックでオレの……」

「『オレの勝ち』って言いたいわけ?」

「!?」

「あーあーあーあーあーあー……なんか僕、興が醒めちゃったな〜〜…こんな弱いヤツを待ち伏せしてたんだ〜……もういいや。殺しちゃお」

 

 

雰囲気が変わり出すヘタマイト。その顔は最早感情のないただの殺戮兵器。

 

今まではトゥエンティの実力を測るためのプレイングをしていたが、今度は彼を殺すためのプレイングでバトルを行なっていく。その切り替えだと言わんばかりに伏せていたバーストカードを勢い良く反転させる。

 

 

「ライフ減少のバースト、イマジナリーゲート……手札からノーコストで黄色のスピリットを召喚……僕はこの効果で2体目のディアボロモンを呼ぶ」

「な………2体目!?」

 

 

ー【ディアボロモン】LV3(5)BP20000

 

 

 

ヘタマイトの場に現れる光輝く天門。しかしそこより現れ出るのは天使ではなく、ディアボロモンと言う名の禍々しい悪魔………

 

2体並んだディアボロモンは共鳴するように雄叫びを上げ、トゥエンティの2体のジオウを威嚇した。

 

そして、このタイミング。まだトゥエンティのグランドジオウのアタック中。即ちブロックが可能であり…………

 

 

「ブロックだ。殺せ」

「グランドジオウ……!!」

 

 

伸縮自在の両腕を伸ばし、グランドジオウを捕らえるディアボロモン。自分の近くに手繰り寄せ、そのまま胸部から破壊光線を放ち、グランドジオウの腹部に大きな穴を開け、爆散させる。

 

 

「弱〜〜…流石抜け殻。あーあ。やっぱりアスラ君と戦えばよかった」

「くっ……ターンエンド」

手札:2

場:【仮面ライダージオウ】LV2

【変身!!仮面ライダージオウ】LV1(1)

【タイムマジーンビークルモード】LV1

バースト:【無】

 

 

堪らずそのターンをエンドとするトゥエンティ。このターンで決めたかったがだけに歯軋りが止まらない。

 

そして次はヘタマイトのターン。トゥエンティに対して完全に興味を失ってしまった彼女は、トゥエンティの事を用済みであると言わんばかりに殺しに行く………

 

 

[ターン07]ヘタマイト

 

 

「メインステップ……はもう要らない、アタックステップ。ディアボロモン………!!」

 

 

ヘタマイトがそう告げると、戦闘態勢に入ったのか、2体のディアボロモンの眼光が不気味に輝く。

 

 

「先ずは効果で2枚ドローしてジオウを消滅」

「!」

 

 

ー【仮面ライダージオウ】(2➡︎0)消滅

 

 

伸縮自在の両腕でジオウを捕らえ、壁という壁に叩きつけていくディアボロモン。ジオウは堪らず消滅してしまう。

 

これでトゥエンティのスピリットはゼロ。彼を守る者は一切合切いなくなってしまう。

 

そして、ここからがディアボロモンの真骨頂、ヘタマイトは気の狂った笑顔でその発揮を宣言する………

 

 

「ジジジ………さらにもう1つのアタック時効果を発揮、手札にあるディアボロモンを好きなだけノーコストで召喚できる……♡」

「好きなだけ………!?」

「うん。僕は手札から追加で3体のディアボロモンを召喚!!」

 

 

ー【ディアボロモン】LV1(1)BP12000

 

ー【ディアボロモン】LV1(1)BP12000

 

ー【ディアボロモン】LV1(1)BP12000

 

 

刹那。1体、2体であれ程苦戦してしまうディアボロモンが次々と増殖し、この病室内に溢れかえった。そのまるで地獄の門前のような光景は、トゥエンティに敗北を感じさせるのに十分すぎるモノがあって………

 

 

「ご、5体に増えただと!?」

「ジジジ……僕のディアボロモンはデッキに何枚でも入れる事ができる。さぁ、1体目のアタックはまだ残ってるよ!!」

「ッ……ライフで受ける!!………ぐっ!?」

 

 

〈ライフ3➡︎2〉トゥエンティ

 

 

駆け抜けるのは最初のディアボロモン。伸縮自在の両腕を叩きつけ、トゥエンティのライフ1つを砕く。

 

そして………

 

 

「さぁてと、もう僕の勝ちは確定だね。まぁ僕はブラックフォースだから当然なんだけど………最後に言い残す事はある?」

「……まだだ。まだオレのライフは残ってるぞ……既に勝った気でいるんじゃねぇ……!!」

「………何それ。ウザ………アスラ君の真似事なんかやっても変わんないよ?……君はどこまでも哀れで、愚かで、情けない………利用されて、最後にはボロ雑巾のように捨てられる惨めな負け犬なんだから」

 

 

 

 

ディアボロモン…………

 

早くアレ、殺してよ

 

 

 

 

ヘタマイトは最後にそう告げると、アタックを残した4体のディアボロモンが同時にトゥエンティの前に接近。そして4体同時に胸部の発射口からエネルギーを溜めていき…………

 

 

「オレは……オレはオマエから絶対にカナを救う!!……テンドウさんもこの手で救って見せる!!」

「いいから大人しく死ねって…………」

 

 

逆襲の…………

 

カタストロフィーキャノン!!!

 

 

「ッ………!!」

 

 

〈ライフ2➡︎1➡︎0➡︎−1➡︎−2〉トゥエンティ

 

 

4体同時に放たれた巨大なエネルギー砲。それはトゥエンティのライフバリアはおろか、トゥエンティ本人にも直撃。

 

血だらけのまま彼は吹き飛ばされ、ここ7階の病院から外へと放り出されてしまう。とてもではないが、人が生きていられる出来事ではない…………

 

これにより、勝者はヘタマイトだ。勝ちこそしたものの、トゥエンティの実力は低いと感じていたからか、どこか不満気な様子………

 

 

「今ので死んだかな??……まぁ何でもいいか」

 

 

トゥエンティの遺体を確認しようともせず、デッキを片付け、この場から立ち去ろうとするヘタマイト。

 

そこに空間を裂いて現れた黒いゲートと共にテンドウ・ヒロミ、もといブラックフォースの頂点、オブシディアンが姿を見せて………

 

 

「ザザザ……どうだったヘタマイト、トゥエンティのバトルは?」

「あ、オブシディアン。全然ダメだね、こんなんじゃ及第点も上げられないよ。まぁもう死んだだろうからどうでもいいけど」

 

 

テンドウ・ヒロミの体を奪ったオブシディアン。テンドウ・カナの体を奪ったヘタマイト。不本意ながらこの場にテンドウ兄妹が揃ってしまっていた。

 

 

「やっぱ僕もアスラ君達と戦いに行けばよかったな〜〜…そっちの方が絶対楽しかったよ〜!」

「ザザザ……まぁ私達がいた時代の人間達とは比べ物にならない強者ばかりだったな。特に「頂点王」とか言う女は間違いなく私達ブラックフォースよりも強かった」

「えぇ!!…ソイツどこ!?…僕今すぐソイツと殺し合いしたいな〜〜!!」

「残念。もう死んだよ、ウィルが危険とみなして先に殺してしまった」

「えぇ〜〜!!……つまんないの!!」

 

 

誰よりも強い者との戦闘を求めるヘタマイト。ブラックフォースより強いと称された頂点王シイナの存在に興奮するが、死んだと言う情報を聞くなり、すぐさましょんぼりとする。

 

しかし、それはそれか。ヘタマイトは話題を変えるように口を開き………

 

 

「ところでさ〜〜……この世界に戻って来て、私とシャーマンの意識が消えている間、オブシディアンはなんであんなウィルとか言う変なおじさんとつるんでたのさ」

「急にどうした」

「いや、なんかいつものオブシディアンらしくないと思ってさ。アレ、どう見ても小物だろ?」

「ザザザ………小物と称するか。まぁ見てなさい、ウィルはこれから我々ブラックフォースに力を齎してくれる」

「???……ジジジ、まぁいいや、僕は取り敢えず強いヤツと血みどろの戦いができれば」

 

 

あまり深い事は考えないことにしたヘタマイト。オブシディアンが潜って来た黒いゲートに飛び込み、その姿を消す。

 

そしてオブシディアンもまたトゥエンティの落下した方角に首を向けると………

 

 

「二兎を追う者は一兎をも得ず………ようやくわかったろ?…君は贅沢を言っていい生物ではない。まぁ、ウィルに従おうが従うまいが結局は同じ結果だったと思うけどね」

 

 

最後にそう告げ、オブシディアンもまた黒いゲートの中に姿を消した。

 

こうして、未だに悲しみの豪雨が降り続ける中、避難し切って誰もいなくなった病院の中で、トゥエンティは敗北を喫したのだった…………

 

 

******

 

 

ウィルと激闘を繰り広げたアスラ。

 

その果てに母に等しい頂点王シイナ・メザを失い、身体的にも精神的にも激しいダメージを負っていた…………

 

そしてそんな彼は今、黒くて深い、冷たくて暗い闇の中にいて………

 

 

「……ここは……」

 

 

寝ぼけているアスラ。その目を擦り、視界を広げると…………

 

目の前に母であるシイナの後ろ姿があった。息苦しいくらい暗いこの場所でもそのオレンジ色の長い髪が目立つ。

 

 

「シイナ………」

 

 

その背中に安堵し、アスラはそれに追いつこうと走り出すが…………

 

それに触れようとした直後、シイナは突如として光の粒子となり、消え去ってしまい…………

 

 

「ッ………おいシイナ!?…どこだよ、どこに行ったんだよ!?」

 

 

慌てて辺りを見渡すアスラだが、当然そこはもう黒い闇ばかり、自分以外何者もいない。だが、本当の所、アスラ自身もシイナがどこに行ったのかはわかっている。

 

わかっていて彼女を探している。

 

受け入れたくないのだ…………

 

 

「あの女はもう戻って来ねぇよ………死んだんだ。オマエが代償を支払ったからな」

「ッ……オニキス!!」

 

 

この世界の主のような存在、ブラックフォースのオニキスが龍の形を象り出現。アスラに囁く。

 

 

「ウソつくなよ!!…シイナは死なねぇ!!…約束したんだ、いつか絶対自分に挑みに来いって!!…シイナが約束を守らないはずねぇんだ!!」

「…………理解できていないみたいだな………いいかよく聞け」

 

 

 

オマエが弱いからあの女は死んだんだ。

 

オマエが最初から強ければこんな事にはなってねぇんだよ!!

 

 

 

ー!!

 

 

哀れなアスラにはらわたを煮えくり返したオニキスが怒りを込めて叫ぶ。

 

しかし、彼にそう言われても尚、アスラにとってシイナが死んだと言う事実は受け入れ難くて……………

 

 

 

 

******

 

 

 

 

「!!」

 

 

場所は病院。時間は夜。豪雨による雨音が非常に喧しい中、およそ2日ぶりにアスラは目が覚め、飛び起きる。

 

 

「………オレ、何で病院に??…………あぁ、そうだよな。全部夢だったんだ……オニキスのヤツ何脅しに来てんだよ、焦ったじゃねぇか。そうだよ夢なんだよ全部………夢……」

 

 

今までの事が全部夢だったと錯覚しているアスラ。しかし、それは直ぐに覆される事になる。

 

アスラは病室のデスクに置かれていた自分のデッキを手に取ると………

 

 

「!!」

 

 

そこにはエールから借りると称して無理矢理黒の力で進化させた「ブラックウォーグレイモン」のカードと、シイナが消える直前に自分に渡した血のついた「デュークモン」のカードがあった。

 

それらがよりアスラに鮮烈に思い出させる。あの激闘、ロンとエール3人で乗り越えた瞬間、そしてシイナが自分の腕の中で消えていくあの感触を…………

 

 

「シイナ………!!」

 

 

ウソだ。きっと何かの間違いに違いない。

 

そう思ったアスラはいつもの黒いパーカーを入院服の上から着用し、大雨の中、勢いよく病院を飛び出していった。

 

 

ー………

 

 

 

「ハァッ………ハァッ………ウソだ。んなわけねぇ………死ぬわけねぇんだシイナは………絶対に」

 

 

アスラが大雨の中、傘もささずにオウドウ都の街中を駆け回る。そして彼が目指している場所はただ一つ…………

 

 

 

 

絶対にあのデッケェ塔でオレを……

 

オレとロンを待ち構えているんだ!!

 

最後の砦、頂点王として、最後の壁として、オレ達を待ってるんだ………!!

 

 

 

それは三王塔。王国の最強カードバトラーである三王と頂点王がカラーカードを6枚集めた挑戦者を待ち構える場所。

 

そう。シイナは昔、アスラとロンから離れる際に約束したのだ「必ず自分に挑みに来い」と…………

 

だからこそ、アスラは本当にシイナが消えてしまったのか否かをあの三王塔で確かめたいのだ。

 

本当は確かめるまでもないと言うのに…………

 

 

そして、その時だった…………

 

 

 

「何をしてるんだアスラ?」

 

 

ー!!

 

 

彼を呼ぶ声が聞こえて来た。男性の声だ。当然シイナではないが、どこか耳覚えのある穏やかな声に、アスラは一度立ち止まり、振り向いて…………

 

 

「アンタ……Zのおっちゃん………!?」

「傘もささないで、風邪引くよ?……まぁでも丁度よかった、君達がこの間借りて行った本。アレそろそろ返却期限が来るから返してね、次おじさんの番だからさ」

 

 

そこにいたのは不気味な狐の面を被った長身の男性「仮面Z」………

 

都立の図書館にて一度アスラ、エールと出会っている謎多き男。それが雨傘を片手に再びアスラと出会した…………

 

だが、この再会は偶然ではなく、本当は彼が意図してアスラに会いに来ていて…………

 

 

「それと、教えてもらおうか。君が今、どこに行こうとしていたのかをね」

 

 

以前とは比較のしようもない圧をアスラに向ける仮面Z。

 

大雨が降り続ける中再会する2人。そしてこの再会はアスラに大きな影響を与えていく事になる…………

 

 

 

 




最後までお読みくださり、ありがとうございました!!


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